JP2000160215A - 高炉レースウェイ内の温度制御方法 - Google Patents
高炉レースウェイ内の温度制御方法Info
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Abstract
器に微粉炭を吹き込む操業方法において、高炉装入物の
装入分布に応じて高炉レースウェイ内の温度を適切に調
整し、安定した高炉操業を維持するための高炉レースウ
ェイ内の温度制御方法を提供する。 【解決手段】 高炉羽口からの微粉炭の吹き込みに際し
て、二重管ランスまたは三重管ランスを用い微粉炭を内
管中内部から、冷風を内管と外管の間および、外管と中
間管の間から供給し、該冷風量を高炉装入物(O/C)
の装入分布に応じて調整変更し、微粉炭の燃焼焦点を最
適位置に設定せしめる高炉レースウェイ内の温度制御方
法。
Description
炉型高温反応容器に微粉炭を吹き込む操業方法におい
て、高炉装入物の装入分布に応じて高炉レースウェイ内
の温度を適切に調整し、安定した高炉操業を維持するた
めの高炉レースウェイ内の温度制御方法に関するもので
ある。
溶融するまでの炉内滞留時間に相当する堆積量若しくは
その量以下の任意の一定量を旋回シュート速度および角
度を調節しながら、高炉の炉周に沿う各部(以下、炉周
方向という)および高炉軸芯から炉壁に至る各部(以
下、炉半径方向という)において、鉄鉱石/コークス
(以下、単にO/Cという)分布を調整することによ
り、操業上のトラブルを未然に防止するのに有利な高炉
への装入物の装入方法が採用されていた。
堆積層のO/C分布と密接な関係にあり、炉周方向およ
び炉半径方向でのO/C分布に偏りがある場合には、該
炉周方向および炉半径方向で熱レベルにも格差が生じ
る。特に炉周方向に格差が生じた時は、炉周に沿って複
数の出銑口をもつ高炉において、各出銑口から出湯する
溶銑の温度や成分に差異を生じる可能性が極めて大き
い。上記のように炉周方向および炉半径方向で熱レベル
状態に格差がある場合には、高炉操業が不安定なものに
なる。さらに各出銑口間で溶銑の温度、成分に差異が生
じた場合には後続工程での溶銑の円滑な処理が損なわれ
る。
方式での装入ではその装置の構成上、装入物を炉周方向
および炉半径方向に均一に装入することは難しく、この
ため炉周方向および炉半径方向でのO/C分布が不均一
となる場合がある。すなわち、装入物は旋回シュートの
旋回角に応じて高炉内の所定の位置に落下するが、該旋
回シュートの移動距離量に応じて等分に装入物が所定量
落下すればよいが、時には装入物の粒度分布の差異、シ
ュート上での異物の付着等により偏流落下を生じること
がある。このような状態では、最終的に炉内での炉周方
向および炉半径方向にO/C分布の堆積層プロフィルに
偏りが発生する。しかして、炉内堆積層の装入物のO/
C分布が、炉周方向および炉半径方向で均一でないと、
片減りによるスリップの発生、ガスの偏流による羽口破
損やステーブの破損等の操業上の各種トラブルを誘発す
るようになる。
偏った摩耗を防止するために、該シュートの旋回方向を
正旋回、逆旋回という周期的な変更を行っているが、そ
の変更によって炉内堆積層は丁度180°のずれをもっ
て、炉周に沿った各部で偏析する。したがって、ベルレ
ス高炉において、上述したような旋回方向の選択による
炉周方向および、炉半径方向におけるO/C分布の偏り
を考慮することなく装入しながら高炉操業を行うとすれ
ば、前述したトラブルは避け難いものになる。
に対する生産する鉄分の割合を示すものに当たるから、
その値が偏りをもつとすれば、単位Fe量当たりの燃料
使用量に差が出ることになる。しかも、鉄鉱石層とコー
クス層とでは、ガスの流れに対する通気抵抗が全く異な
るので、O/Cの高い方は、ガスが流れにくく低い方で
は流れやすいという現象が当然起こり得る。上述のよう
なO/C分布の差は、O/Cの高い所では鉄鉱石の加熱
溶融に多くのガス流を必要とするのに、ガスの流れが少
ないばかりか燃料比も小さいという倍加された形となっ
て顕れ、これが堆積物の付着、羽口の破損、ステーブの
破損等に大きく影響を及ぼす。
て微粉炭や重油を吹き込む操業を行っている。この目的
は高炉レースウェイ内温度制御による高炉操業の安定
と、コークス比の削減である。特に最近のコークス炉の
劣化を考えれば、コークス比の低減は急務であり、また
微粉炭とコークスの価格差を考えれば、高炉操業におい
て多く微粉炭を使用することはコスト的にみて大きなメ
リットがある。従って、できるだけコークス量を低下さ
せ、それに代えて微粉炭の吹き込み量を増加する高炉操
業法が主流となりつつある。このような状況下で微粉炭
を如何に多く使用できるかについて多くの試みがなされ
ているが、微粉炭は高炉内においては分解して炭素系ガ
スとなるため分解熱を必要とし、炉内温度の低下をもた
らす。そこで、この熱を補償するために高炉へ送る熱風
温度を上昇させてやらねばならないが、熱風温度の上昇
には自ずから限界が存在する。
粉炭比操業では、微粉炭の分解熱による羽口先での理論
燃焼温度の低下を補償するために、送風中の空気に酸素
を富化した操業を行ったり、または、微粉炭の燃焼性を
向上するために微粉炭の吹き込みランスを二重管にし
て、例えば内管から微粉炭、外管から酸素を別々に吹き
込み燃焼温度の低下に対処している。
ることなく、微粉炭燃料の燃焼効率を高レベルに維持す
ることができる高炉における送風方法として、例えば特
開平6−235009号が開示されている。該公報によ
れば、「羽口から高炉内部に送風されたガスの流路を中
心領域の主通路と周辺領域の副通路の2つに分割し、さ
らに、羽口から吹き込まれた微粉炭の流路を主通路とす
ることにより、主通路からの送風によって微粉炭の主た
る燃焼領域である噴流を形成せしめ、副通路からの送風
によって噴流を覆う。これにより、噴流の外部への微粉
炭の飛散を防ぎ、微粉炭の燃焼効率を高めることができ
るので、微粉炭の吹き込み量を増すことが可能となる」
と記載されており、羽口内部を特殊な構造にすることに
よって上記効果を狙っている。
の装入物の分布状態の如何は、高炉炉況に直接的な影響
を及ぼすので極めて重要な要因となっていたが、従来装
入物の制御の主体は、炉半径方向におけるO/C分布、
または粒度分布を対象にしたものであり、例えばO/C
分布状態はレースウェイから上昇してくるガス流れ分布
の状況を左右し、融着帯の形状形成にも影響を与え、高
炉での燃料比、安定な操業を支配する重要な因子であ
る。また、鉄鉱石、コークスの粒度分布は通気性や還元
性に影響を及ぼす。
/C分布、または粒度分布の制御に主きをおいており、
微粉炭を吹き込む高炉操業においても装入物のO/C分
布に考慮をはらう操業はなされていなかった。したがっ
て、羽口部前面のレースウェイでの温度分布は上記O/
C分布とは無関係に決められていた。また前述の特開平
6−235009号に述べられている方法では、レース
ウェイ内での燃焼温度の最高温部(以下、燃焼焦点とい
う)が羽口側に近づき、レースウェイで発生した高温の
還元ガスが炉周辺を上昇して炉体の損傷を促進する原因
ともなり、また高炉操業の安定化を阻害する惧れがあっ
た。
における羽口先端からの距離と炉内温度の関係につい
て、酸素富化の有無によってその変化する状況を示した
が、酸素富化によって羽口直前の温度が上昇しているこ
とが判る。このように微粉炭吹き込み操業においては、
その燃焼焦点を如何に適切に調整するかが大きな課題と
なっていた。
み、微粉炭吹き込み時に微粉炭吹き込みランスの外管の
冷風量を調整することによって、レースウェイ内での微
粉炭燃焼焦点位置を調整し、レースウェイ内の温度分布
を制御することを目的とするものである。
ろは、下記手段にある。 (1) 高炉羽口からの微粉炭吹き込みに際して、二重
管ランスを用い微粉炭を内管中内部から、冷風を内管と
外管の間から供給し、該冷風量を高炉装入物の装入分布
に応じて調整変更し、微粉炭の燃焼焦点を最適位置に設
定せしめる高炉レースウェイ内の温度制御方法。 (2) 高炉羽口からの微粉炭吹き込みに際して、三重
管ランスを用い微粉炭を内管中内部から、冷風を中心管
と中間管の間および、外管と中間管の間から供給し、該
冷風量を高炉装入物の装入分布に応じて調整変更し、微
粉炭の燃焼焦点を最適位置に設定せしめる高炉レースウ
ェイ内の温度制御方法。 (3) 前記(2)において、三重管ランスの外管と中
間管の間から供給する冷風は、二重管の中間管と内管の
間から供給する冷風量では、不足する場合に主に用いる
高炉レースウェイ内の温度制御方法。
て、内管外側のランスに酸素を富化した冷風を用いる高
炉レースウェイ内の温度制御方法。 (5) 前記高炉装入物の装入分布は鉄鉱石/コークス
比(O/C)をその指標として用いる(1)ないし
(4)のいずれかに記載の高炉レースウェイ内の温度制
御方法。 (6) 前記(5)において、その指標を炉半径方向で
のO/C分布に用いる高炉レースウェイ内の温度制御方
法。
炉周方向でのO/C分布に用いる高炉レースウェイ内の
温度制御方法。 (8) 前記(5)の指標を用いての微粉炭の燃焼焦点
位置の調整は、高炉円周方向を囲繞して設けられている
羽口毎に行う高炉レースウェイ内の温度制御方法。 (9) 前記二重管または三重管ランスに用いる冷風
は、熱風炉を通す以前の送風の一部を分離して用いる
(1)ないし(8)のいずれかに記載の高炉レースウェ
イ内の温度制御方法。
たる機能は、コークスを燃焼させることにより、鉄鉱石
の還元に必要な一酸化炭素ガスを発生すると同時に、鉄
鉱石の溶融に必要な熱を発生することである。特に後者
に関係するレースウェイ内の炉径方向の温度分布は、レ
ースウェイ内直上部における炉径方向の鉄鉱石の溶融速
度や溶融領域の大きさ、ひいては、レースウェイ内へ降
下するコークスの降下経路や降下速度、すなわち、高炉
内の装入物の降下状況にも多大の影響を及ぼす。従っ
て、レースウェイ内の温度分布とも密接な関係を持つも
のと考えられる。
例えばレースウェイの上部に存在する鉄鉱石の融着層の
位置や形状、炉壁付着物の脱着の状態及びレースウェイ
の前面に存在する炉芯の張り出し具合やコークス粉の発
生程度によって大きな影響を受ける。このように、稼働
中の高炉のレースウェイ内における温度分布は、高炉操
業上の重要な指標となるにもかかわらず、レースウェイ
内における温度制御を積極的に行った具体的な例は報告
されていなかった。
炉操業において、レースウェイ上部での鉄鉱石の還元・
溶融とコークスの降下に多大の影響を及ぼすレースウェ
イ内における温度分布を的確に制御すべく種々なる調査
を行った。すなわち、レースウェイ内での微粉炭の燃焼
焦点をいかなる位置に存在せしめれば高炉操業にとって
最適であるかの検討を行った結果、高炉に装入されたO
/Cの分布状態を指標とし、該O/C分布の指標値を求
めるために、その測定を行い、O/Cの最高値に合わせ
その真下のレースウェイ内に、微粉炭の燃焼焦点を調整
変更し最適位置に設定せしめることによって、微粉炭の
燃焼熱がその真上の鉄鉱石・コークスに有効に作用し、
高出銑比を維持し、安定した高炉操業を実現できるとの
知見を得た。
の設置状態を図1に示した。高炉炉壁1には羽口2が設
けられ、羽口2の後端にブローパイプ3が連接されてい
る。ブローパイプ3には加熱空気等のガスが供給されて
おり、ブローパイプ3を介して羽口2から炉内4に送風
される。このような送風羽口においてランス7がブロー
パイプ3を貫通してガス通路内に開口し、該ランス7を
介して微粉炭がガス通路内に吹き込まれるように構成さ
れており、羽口2の前方にはガスによる噴流5が形成さ
れ、さらに、炉内4に充填されたコークスが旋回しなが
ら燃焼する領域、すなわちレースウェイ6が形成され
る。
て、微粉炭はランス7から吹き込まれたのち羽口2の先
端を通過するまでに燃焼され、続いて、羽口2を通じて
高炉内部4に吹き込まれた後は、主に噴流5の内部で燃
焼される。噴流5の外部においては酸素濃度が低く、ま
たコークスの存在量が多いため、微粉炭の燃焼量は極め
て少ない。すなわち、微粉炭の燃焼が進行する主領域
は、羽口2および噴流5の内部である。
率を上昇させるために二重管ランスを用い、内管から微
粉炭を外管より酸素を富化した空気を送り、微粉炭を燃
焼せしめることが行われているが、微粉炭は富化酸素と
素早く反応し、早期に燃焼が進み、羽口直前での炉内温
度が上昇する。したがって、燃焼効率を上昇させるため
酸素を用いると早期に燃焼が進み、羽口直前での炉内温
度が上昇することは避けられない。
焼焦点をいかに制御して、レースウェイ内部の所定位置
へ移行させるかについて、鋭意研究を重ねた結果、微粉
炭吹き込み時に二重管または三重管ランスを用い、微粉
炭吹き込みと同時に該二重管または三重管ランスの外管
に冷風を供給し、該冷風流によって微粉炭を周辺から包
み込み、その冷風量を調整することによって、例えばラ
ンス先端近傍での微粉炭と外部酸素との接触反応を抑制
すると共に、送風中の熱風の温度を降下せしめる効果を
も有するので、供給する冷風量の大小によって、微粉炭
が酸素との反応によって発熱する領域を自由に制御で
き、その結果、燃焼焦点位置をレースウェイ内におい
て、羽口直前から炉芯近傍までの間で所定の位置に設定
することができることを見出した。
定は、前述したように高炉装入物のO/Cの分布状態に
応じて行う。すなわち、O/Cが大きい値を示すのは、
鉄鉱石量に対するコークス量が少なく、従って還元ガス
の発生が所要量を確保できていない状態となっているこ
とを意味する。そこでその不足分に該当する量を微粉炭
の燃焼により発生する還元ガスで補い、炉内での還元雰
囲気の均一化を図るものである。
の特異性または異常の発生により装入物のO/C分布状
態に偏りを生じることが起こり得るので、O/Cの分布
状態を例えばプロフィルメーターによって正確に把握
し、その状況に応じレースウェイ内での燃焼焦点位置の
設定に当たってはその測定結果を基にして、O/C値が
高いと予測される部位の真下に該当すると思われるレー
スウェイ内の位置に燃焼焦点を設定せしめるもる。
焦点位置の制御は、微粉炭吹き込み時に使用する二重管
または三重管ランスの外管に冷風を供給して行う。まず
その1としては三重管ランスを用いるものがあり、その
実施態様としては図2(a)と(b)にそれぞれランス
の断面図と側面図を示したが、三重管ランス8から微粉
炭と冷風をそれぞれ同時に吹き込むものである。すなわ
ち、該ランス8は外管10の内部に中間管11を挿入
し、さらにその内部に中心管12を挿入した三重管構造
をとり、ガス体および固体の流路を3通路としたところ
に特長があり、中心管内部15には微粉炭を供給し、中
心管と中間管の間16には冷風を、また中間管と外管の
間17にも冷風を供給できるように構成されている。
焦点位置の羽口先端からの距離によって、冷風量の大小
を調節する場合に、中心管と中間管の間16の冷風のみ
によるか、または中間管と外管の間17の冷風も使用す
るかを決定する。なお、三重管ランス8はブローパイプ
3内に臨んで設置されているので、外管10は常時熱風
に曝されている。したがって、外管の冷風を積極的に使
用するか否かに拘らず外管を保護するために、中間管と
外管の間17には少量の冷風を絶えず流しておくことが
必要である。
布値が高いと予測される場所が炉壁寄りの場合は、燃焼
焦点の設定位置を羽口先端寄りとしなければならないの
で、冷風の供給は中心管と中間管の間16からの僅かに
流すことにより、所望の燃焼焦点位置を確保することが
できる。これとは逆に、O/Cの値が高いと予測される
場所が炉芯寄りの場合は、燃焼焦点の設定位置は羽口先
端から遠く離れた炉芯寄りとなるので、冷風の供給は中
心管と中間管の間16からと中間管と外管の間17から
大量に流出させることにより、所望の燃焼焦点位置を確
保することができる。
ものであり、図3(a)と(b)にそれぞれランスの断
面図と側面図を示した。二重管ランス9は外管20の内
部に内管21を挿入した二重管構造をとり、ガス体およ
び固体の流路を2通路としたもので、内管内部25から
は微粉炭を供給し、内管と外管の間26からは冷風を供
給できるように構成されている。使用方法は三重管ラン
ス8の場合と同様で、高炉装入物のO/C分布状態に応
じて燃焼焦点位置をレースウェイ内に設定し、同様の操
作を行うことによって同様の効果を期待することができ
る。なお、二重管ランス9の場合は冷風が内管と外管の
間26に多く流せることによる冷風量の調整自由度を確
保するために、内管と外管の間26の間隔を広げておく
必要がある。
を使用するかは、高炉の持つ特殊性、操業状況への影響
度合い、装置製造上の容易性、使用に際してのランス保
守性等を考慮して決めればよい。なお、微粉炭を使用す
る高炉操業において、熱風中に酸素を富化し出銑量の増
大を図ることも行われているが、本発明において同様の
目的で熱風中へ酸素富化した場合であっても、冷風量を
調整(通常は増大)することによって、容易に対処でき
何等の支障もきたさない。
て、微粉炭を供給する内管外側のランスに酸素を富化し
た冷風を用い、微粉炭の完全燃焼を行わせることによ
り、未燃焼微粉炭の発生を極力抑制し、高炉操業の安定
化に大きく寄与せしめることも可能である。ななわち、
未燃焼の微粉炭が残ると炉芯まで飛散し、炉芯部に堆積
して炉芯コークスの目詰まりを惹起する。その結果、炉
芯部の空隙率が著しく低下しガスの流れを阻害し、通気
・通液性を悪化させ送風圧の上昇、スリップの多発、排
滓性の悪化を誘起する等高炉操業上において、種々の悪
影響を及ぼすが、ランス外管へ酸素を富化することによ
り、これらの障害発生を防止するのに極めて効果的であ
る。
点位置の調整方法について説明したが、前述したように
高炉内における炉内に堆積する装入物のO/C分布は、
炉半径方向ばかりではなく炉周方向においても不均一に
なるので、前記レースウェイ内での微粉炭の燃焼焦点位
置の調整は、高炉円周方向を囲繞して設けられている羽
口毎に行う必要がある。したがって、高炉炉内全体の装
入物O/C分布の状態を適確に把握し、その状況に応じ
最適と思われる位置に調整を行うものである。
どによる高炉円周方向および炉半径方向での高炉内装入
物O/C分布の不均一性になった場合の処置について説
明したが、均一な装入を行っているつもりであっても、
時には装入物層が異常な状態になることも起こり得る。
このため棚吊りや、スリップの発生、羽口破損やステー
ブの破損等の各種トラブルが惹起することがあり、その
対策として装入物を故意に高炉炉周方向で偏って堆積さ
せて、その異常事態の解消を図ることもある。また、シ
ャフト部のガス流分布状況によっては装入物中のO/C
分布を炉半径方向で変更する必要も生じる。このような
場合でも、本発明を適用することによて適切な高炉操業
を持続することができることは言うまでもないことであ
る。
スの外管に用いる冷風は、熱風炉により昇温する以前の
送風の一部を送風管より分岐した分岐管により、ランス
の外管に接続して活用すれば、コンプレッサーなどの他
の機器を要しないので、設備的に簡易化が図れコスト低
減に繋がる。また、通常熱風炉で昇温され高炉に供給さ
れる熱風は1000℃前後の高温を有するが、熱風炉を
通さない冷風は100℃前後の低温であるため、ランス
内管より供給される微粉炭が高温の熱風と直に接触する
のを防ぎ、微粉炭が燃焼温度に達するのを遅延する働き
を有する。
施について以下説明する。実施例に用いた微粉炭吹き込
み用ランスの先端は何れも羽口先端から0.3m内部に
入った羽口内である。 (実施例1)本発明方法を用いて2820m3 の高炉に
て図2に示したような三重管ランスを用いて微粉炭吹き
込みを行った。高炉内への装入物の装入については、炉
内上昇ガス流の分布状況から判断して、高炉内装入物堆
積層の炉半径方向でのO/C分布値が、高炉炉口半径方
向0.(炉中心を0とし炉壁を1としたとき、以下同
じ)で最大になるような装入を行い、その直後にプロフ
ィルメーターによって装入物の装入状態を測定したとこ
ろ、装入物のO/C分布はほぼ上記位置で最大値を示し
た。
/C分布については、炉全周に亙って高炉炉口半径方向
においてほぼ同一の位置にあったので、微粉炭吹き込み
を行っている全羽口について、レースウェイ内での微粉
炭の燃焼焦点位置を特定するため、以下に示すような同
一の操業条件で、供給する微粉炭量に見合う冷風量に制
御した。内管からの微粉炭吹き込み量は170kg/t
−pig(以下t−pigを単にt・pと記す)で、三
重管ランスの中間管内(内管と中間管の間,以下同じ)
からの冷風は3.5m3 /min,外管(中間管と外管
の間,以下同じ)よりの冷風は1.5m3 /minにそ
れぞれ調整し、微粉炭と共に羽口内に吹き込んだ。
ースウェイ内に微粉炭の燃焼焦点位置を設定せしめるこ
とができた(この位置は上記装入物のO/C分布の最大
値を示す位置のほぼ真下に該当する)ので、この状態で
の操業を8時間継続した。このような操業を実施し8時
間経過後には、炉内上昇ガス流の分布状況が通常のガス
分布状況と殆ど変わらない状態に復帰したので、以後装
入物の装入を通常の装入状態に戻した。また、レースウ
ェイ内の微粉炭燃焼焦点位置が通常位置になるように冷
風量を調整したので、それ以降安定した高炉操業を継続
することができた。
m3 の高炉にて図3に示したような二重管ランスを用い
て微粉炭吹き込みを行った。高炉内への装入物の装入に
ついては、炉内上昇ガス流の分布状況から判断して、高
炉内装入物堆積層の炉半径方向でのO/C分布値が、高
炉炉口半径方向0.95で最大になるような装入を行
い、その直後にプロフィルメーターによって装入物の装
入状態を測定したところ、装入物のO/C分布はほぼ上
記位置で最大値を示した。
/C分布については、炉全周に亙って高炉炉口半径方向
においてほぼ同一の位置にあったので、微粉炭吹き込み
を行っている全羽口について、レースウェイ内での微粉
炭の燃焼焦点位置を特定するため、以下に示すような同
一の操業条件で、供給する微粉炭量に見合う冷風量に制
御した。内管からの微粉炭吹き込み量は180kg/t
・pで、二重管ランスの外管よりの冷風は3m3 /mi
nに調整し、微粉炭と共に羽口内に吹き込んだ。
ースウェイ内に微粉炭の燃焼焦点位置を設定せしめるこ
とができた(この位置は上記装入物のO/C分布の最大
値を示す位置のほぼ真下に該当する)ので、この状態で
の操業を8時間継続した。このような操業を実施し8時
間経過後には、炉内上昇ガス流の分布状況が通常のガス
分布状況と殆ど変わらない状態に復帰したので、以後装
入物の装入を通常の装入状態に戻した。また、レースウ
ェイ内の微粉炭燃焼焦点位置が通常位置になるように冷
風量を調整したので、それ以降安定した高炉操業を継続
することができた。
m3 の高炉にて図2に示したような三重管ランスを用い
て微粉炭吹き込みを行った。高炉内への装入物の装入
は、炉内上昇ガス流分布の状況から判断して、高炉内装
入物堆積層の炉半径方向でのO/C分布が炉周方向で偏
りが発生しているように見受けられたので、装入直後に
プロフィルメーターによって装入物の装入状態を測定し
たところ、炉周方向でのO/C分布に偏りがあるのが確
認された。
高炉炉口半径方向で0.85であったので、炉周方向で
その位置の真下に存在し、微粉炭吹き込みを行っている
羽口5本ついてのみ、レースウェイ内での微粉炭の燃焼
焦点位置を特定するため、以下に示すような同一の操業
条件で、供給する微粉炭量に見合う冷風量に制御した。
内管からの微粉炭吹き込み量は180kg/t・pで、
三重管ランスの中間管内からの冷風は5m3 /min,
外管よりの冷風は1.5m3 /minに調整し、微粉炭
と共に羽口内に吹き込んだ。
ースウェイ内に微粉炭の燃焼焦点位置を設定せしめるこ
とができたので、この状態での操業を8時間継続した。
このような操業を実施し8時間経過後には、炉内上昇ガ
ス流の分布状況が通常のガス分布状況と殆ど変わらない
状態となり、また、それ以後の装入物のO/C分布には
炉周方向での偏りが発生しなかったので、レースウェイ
内の微粉炭燃焼焦点位置が通常位置になるように冷風量
を調整した。それ以降安定した高炉操業を継続すること
ができた。
m3 の高炉にて図3に示したような二重管ランスを用い
て微粉炭吹き込みを行った。高炉内への装入物の装入
は、炉内上昇ガス流分布の状況から判断して、高炉内装
入物堆積層の炉半径方向でのO/C分布が炉周方向で偏
りが発生しているように見受けられたので、装入直後に
プロフィルメーターによって装入物の装入状態を測定し
たところ、炉周方向でのO/C分布に偏りがあるのが確
認された。
高炉炉口半径方向で0.80であったので、炉周方向で
その位置の真下に存在し、微粉炭吹き込みを行っている
羽口5本ついてのみ、レースウェイ内での微粉炭の燃焼
焦点位置を特定するため、以下に示すような同一の操業
条件で、供給する微粉炭量に見合う冷風量に制御した。
内管からの微粉炭吹き込み量は190kg/t・pで、
二重管ランスの外管よりの冷風は7.5m3 /minに
調整し、微粉炭と共に羽口内に吹き込んだ。
ースウェイ内に微粉炭の燃焼焦点位置を設定せしめるこ
とができたので、この状態での操業を8時間継続した。
このような操業を実施し8時間経過後には、炉内上昇ガ
ス流の分布状況が通常のガス分布状況と殆ど変わらない
状態となり、また、それ以後の装入物のO/C分布には
炉周方向での偏りが発生しなかったので、レースウェイ
内の微粉炭燃焼焦点位置が通常位置になるように冷風量
を調整した。それ以降安定した高炉操業を継続すること
ができた。
き込み操業において、レースウェイ内での微粉炭の燃焼
焦点位置をランス外管よりの冷風量を調整することによ
り、自由に制御することができ、高炉内装入物の装入分
布が如何ような状態にあっても、それに対応してレース
ウェイ内での微粉炭の燃焼焦点位置を適正位置に移動さ
せることにより、炉体損傷を防止し高出銑比操業が可能
となるななど、高炉操業上有益な効果をもたらす。
模式図
図
図
す図
Claims (9)
- 【請求項1】 高炉羽口からの微粉炭吹き込みに際し
て、二重管ランスを用い微粉炭を内管中内部から、冷風
を内管と外管の間から供給し、該冷風量を高炉装入物の
装入分布に応じて調整変更し、微粉炭の燃焼焦点を最適
位置に設定せしめることを特徴とする高炉レースウェイ
内の温度制御方法。 - 【請求項2】 高炉羽口からの微粉炭吹き込みに際し
て、三重管ランスを用い微粉炭を内管中内部から、冷風
を中心管と中間管の間および、外管と中間管の間から供
給し、該冷風量を高炉装入物の装入分布に応じて調整変
更し、微粉炭の燃焼焦点を最適位置に設定せしめること
を特徴とする高炉レースウェイ内の温度制御方法。 - 【請求項3】 前記請求項2において、三重管ランスの
外管と中間管の間から供給する冷風は、二重管の中間管
と内管の間から供給する冷風量では、不足する場合に主
に用いることを特徴とする高炉レースウェイ内の温度制
御方法。 - 【請求項4】前記請求項1または請求項2において、内
管外側のランスに酸素を富化した冷風を用いることを特
徴とする高炉レースウェイ内の温度制御方法。 - 【請求項5】 前記高炉装入物の装入分布は鉄鉱石/コ
ークス比(O/C)をその指標として用いることを特徴
とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の高炉
レースウェイ内の温度制御方法。 - 【請求項6】 前記請求項5において、その指標を炉半
径方向でのO/C分布に用いることを特徴とする高炉レ
ースウェイ内の温度制御方法。 - 【請求項7】 前記請求項5において、その指標を炉周
方向でのO/C分布に用いることを特徴とする高炉レー
スウェイ内の温度制御方法。 - 【請求項8】 前記請求項5の指標を用いての微粉炭の
燃焼焦点位置の調整は、高炉円周方向を囲繞して設けら
れている羽口毎に行うことを特徴とする高炉レースウェ
イ内の温度制御方法。 - 【請求項9】 前記二重管または三重管ランスに用いる
冷風は、熱風炉を通す以前の送風の一部を分離して用い
ることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか
に記載の高炉レースウェイ内の温度制御方法。
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---|---|---|---|
JP34190198A JP3796059B2 (ja) | 1998-12-01 | 1998-12-01 | 高炉レースウェイ内の温度制御方法 |
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JP3796059B2 JP3796059B2 (ja) | 2006-07-12 |
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ID=18349629
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005060834A (ja) * | 2003-07-31 | 2005-03-10 | Jfe Steel Kk | 冶金用微粉炭吹き込みバーナー及び冶金炉内への微粉炭吹き込み方法 |
-
1998
- 1998-12-01 JP JP34190198A patent/JP3796059B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005060834A (ja) * | 2003-07-31 | 2005-03-10 | Jfe Steel Kk | 冶金用微粉炭吹き込みバーナー及び冶金炉内への微粉炭吹き込み方法 |
JP4506337B2 (ja) * | 2003-07-31 | 2010-07-21 | Jfeスチール株式会社 | 冶金炉用微粉炭吹き込みバーナー及び冶金炉内への微粉炭吹き込み方法 |
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