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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法、および同装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライクリーニングの1浴目に使用する溶剤に小量の水および洗剤を添加して、衣服類に付着している油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去する方式のドライクリーニング方法において、
洗浄工程においては洗浄槽の内胴の回転速度を「内胴と一緒に回転せしめられる衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」となるようにして、衣服類が遠心力で内胴の内周面に張り付けられた形で回転するようにするとともに、
多孔板製の内胴の孔を通過するように溶剤を循環流動せしめて、該内胴に張り付けられている衣服類に該溶剤を滲透,流通せしめ、
乾燥工程においては、内胴の回転速度を所定の期間だけ「衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」で回転させた後、通常の回転速度で回転させることを特徴とする、水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項2】
ドライクリーニング用の溶剤を用いて衣服類に付着している油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去する方式のドライクリーニング方法において、
洗浄工程においては洗浄槽の内胴の回転速度を「内胴と一緒に回転せしめられる衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」となるようにして、衣服類が遠心力で内胴の内周面に張り付けられた形で回転するようにするとともに、
多孔板製の内胴の孔を通過するように溶剤を循環流動せしめて、該内胴に張り付けられている衣服類に該溶剤を滲透,流通せしめ、
乾燥工程においては、内胴の回転速度を所定の期間だけ「衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」で回転させた後、通常の回転速度で回転させることを特徴とする、水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項3】
前記の、遠心加速度を1G以上ならしめる回転は、これを数十秒間継続した後に数秒間停止し、こうした高速間欠回転をくり返すことによって、
内胴に張り付けられていた衣服類相互の位置、および内胴に対する衣服類の相対的な位置を変化させることを特徴とする、請求項1又は2に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項4】
前記乾燥工程を開始する際、最初の所定の時間は内胴の回転速度を「衣服類が受ける遠心加速度を1Gならしめる回転速度」よりも格段に低い回転速度とし、かつ、この格段に低い回転速度の回転を1秒間ないし数秒間継続させてから、数秒ないし十数秒間停止させる低速間欠回転とすることにより、
内胴の中に収納されている衣服類を緩徐に揺り動かすことを特徴とする、請求項3に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項5】
乾燥工程の最初は、洗浄槽内に大気圧の空気を循環流動せしめる常圧乾燥を行ないつつ、内胴に前記の低速間欠回転を行なわせ、
所定時間の低速間欠回転の後、前記の高速間欠回転に移行し、
さらに所定時間を経過した後、洗浄槽内を減圧して減圧乾燥を行なうことを特徴とする、請求項4に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項6】
外胴の中で内胴を回転させる型式の洗濯槽と、上記洗濯槽に溶剤を注入して循環流動せしめる機構と、上記洗濯槽内に乾燥用空気を流通せしめる機構と、これらの構成機器類の作動を制御して洗浄工程・脱液工程・乾燥工程を遂行せしめる自動制御装置とを具備しているドライクリーニング装置において、
前記の洗浄工程に際して、前記の洗濯槽に溶剤を循環流動せしめつつ、前記の内胴の回転速度を「内胴の内周面付近が回転によって受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」に制御するとともに、上記回転速度の内胴回転を数十秒間継続した後に数秒間停止せしめる高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有しており、
かつ、前記の乾燥工程に際して、前記の洗濯槽に空気を流通せしめつつ、所定の期間だけ前記の高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有していることを特徴とする、水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング装置。
【請求項7】
前記の自動制御装置は、乾燥工程の内の最初の所定時間だけ、前記の内胴を「内胴の内周面付近が回転によって受ける遠心加速度が1Gよりも格段に低くなる回転速度」で1秒間ないし数秒間回転させてから、数秒ないし十数秒間停止させる低速間欠回転を行なわせる制御機能を有していることを特徴とする、請求項6に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング装置。
【請求項8】
前記の乾燥用空気を洗浄槽に流通せしめる機構は、通風用のファンと減圧用の真空ポンプとを備えており、
かつ、前記の自動制御装置は、乾燥工程の最初の低速間欠回転の期間の全部、および、該低速間欠回転の後に引き続いて行なわれる高速間欠回転の期間の内の最初の所定時間は、前記の真空ポンプを作用せしめずにファンによる常圧通風乾燥を行なわせ、
上記所定時間の常圧通風乾燥の後、引き続いて、真空ポンプを作動せしめて減圧通風乾燥を行なわせる制御機能を有していることを特徴とする、請求項7に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤を用いて衣服類をドライクリーニングする方法および同装置に係り、特に、水溶性の汚れの洗浄率を向上させるために溶剤を用いてドライクリーニングする場合、上記の衣服類がウール製もしくはウール混紡繊維製であっても縮みを最小限ならしめ得るように改良したドライクリーニングする方法、および上記の方法を実施するに好適なドライクリーニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドライクリーニングは、基本的には溶剤を用いて行なわれるが、例えば汗などの水溶性の汚れは溶剤で除去しにくいので、使用される溶剤に小量の水および洗剤を加えることにより、油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去するという考え方のドライクリーニング技術は公知である。
しかし乍ら、ウール製衣類やウール混紡繊維製衣類は、水を含む溶剤で洗浄すると、洗浄時に受けるもみ作用,たたき作用によって縮みを生じるので、前記の洗浄方法(水,洗剤の添加)は従来一般に綿製もしくは綿混紡繊維製の衣服に限定され、ウール製やウール混紡繊維製の衣服には適用されなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を改善し、ウール製やウール混紡繊維製の衣服であっても、縮み量を最小限に抑えて、油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去し得るドライクリーニング技術を提供することを目的とする。なお、縮み量の抑制目標は原則として、繊維工業会で定められている基準に従って2%以下とする。ただし、実用上の目標値は、洗浄,乾燥後の仕上げ作業によって原寸(縮み量ゼロ)に復元し得る程度に縮み量を減少させるものとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明者は、ドライクリーニングにおける「縮み」を発生せしめる要因を解明した結果、被洗物である衣服類が洗浄槽の中で「もみ」「たたき」といった物理的な力を受けることが縮み発生の要因であることを確認した。そこで、これに基づいて被洗物に対してもみ作用やたたき作用を及ぼすことなく高い洗浄率が得られる洗浄技術を創作し、併せて、洗浄後の乾燥工程において皺を生じない技術を創作した。
次に、図1を参照して前述の、もみ作用,たたき作用を説明するとともに、その防止方法を説明する。
【0005】
図1(A)は従来例のクリーニング技術における洗浄槽内の情況を模式的に描いた図であって、多孔板製の内胴1が外胴2の中で矢印a方向に、例えば43rpmで回転する。
被洗物である衣服類は、内胴の回転に伴って矢印a方向に、内胴1とほぼ同じ速度で掻き上げられる形に上方に回転せしめられる。この場合、衣服類が受ける遠心加速度は1G以下(本例では0.88G)である。
上記の遠心加速度が1G以上であれば、衣服類は落下すること無く内胴1と一緒に回転するのであるが、1G以下であるため、該衣服類に対して常に作用している重力加速度のため、内胴1の天井付近から矢印bのように落下して、もみ作用,たたき作用といった物理的な力を受ける。この物理的な力が縮み発生の要因であることは先に述べたとおりである。
【0006】
そこで本発明においては、図1(B)に示したように内胴1を例えば75rpmというように、従来例におけるよりも高速で回転させる。この(B)図の例では、衣服類が受ける遠心加速度は2.7Gとなる。このように、1G以上の遠心加速度を受けると衣服類は内胴1内で矢印cのように360度連続回転し、途中で落下しないので、従来例におけるようなもみ作用,たたき作用を受けない。このため衣服類に縮みが発生しない。
もみ,たたきの作用が働かない代りに、本図1(B)のように衣服類が内胴1の内周面に張り付けられて一緒に回っている状態で、多孔板製の内胴の円筒壁を通過せしめるように溶液を循環流動させると、該溶液は衣服類を透過して内胴の孔を流通するので、衣服類の汚れは良く落ちる(詳細は、実施の形態で説明する)。
【0007】
また、乾燥工程においても、乾燥用の空気が衣服類を透過するので好都合である。
【0008】
本図1(B)のように、内胴1と衣服類との相対的位置が一定のままで張り付けられていると洗浄むらや乾燥むらを生じ易いので、例えば1分間の中で数秒間(本例では7秒間)回転を止めて衣服類を自重と慣性力とで自然移動させると良い。
【0009】
本図1(C)は、後に詳述するが、乾燥工程で使用する低速間欠運転の模式図である。例えば遠心加速度が0.19Gとなるような低速(20rpm)で、2秒間回転・13秒間停止といった間欠運転を繰り返すと、衣服類は矢印dのように移動せしめられ、揺動におけると類似の緩徐な動きを与えられ、縮みや皺を生じない。
【0010】
図1を参照して以上に説明した原理に基づいて本発明のドライクリーニング方法は、ドライクリーニングの1浴目に使用する溶剤を用いて油溶性の汚れと水溶性の汚れとを除去する方式のドライクリーニング方法において、
洗浄工程においては洗浄槽の内胴の回転速度を「内胴と一緒に回転せしめられる衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」となるようにして、衣服類が遠心力で内胴の内周面に張り付けられた形で回転するようにするとともに、
多孔板製の内胴の孔を通過するように溶剤を循環流動せしめて、該内胴に張り付けられている衣服類に該溶剤を滲透,流通せしめ、
乾燥工程においては、内胴の回転速度を所定の期間だけ「衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」で回転させた後、通常の回転速度で回転させることを特徴とする。
【0011】
また、上記の発明方法を実施するために創作した本発明のドライクリーニング装置は、外胴の中で内胴を回転させる型式の洗濯槽と、上記洗濯槽に溶剤を注入して循環流動せしめる機構と、上記洗濯槽内に乾燥用空気を流通せしめる機構と、これらの構成機器類の作動を制御して洗浄工程・脱液工程・乾燥工程を遂行せしめる自動制御装置とを具備しているドライクリーニング装置において、
前記の洗浄工程に際して、前記の洗濯槽の溶剤を循環流動せしめつつ、前記の内胴の回転速度を「内胴の内周面付近が回転によって受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」に制御するとともに、上記回転速度の内胴回転を数十秒間継続した後に数秒間停止せしめる高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有しており、
かつ、前記の乾燥工程に際して、前記の洗濯槽の空気を流通せしめつつ、所定の期間だけ前記の高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有していることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図2,図3,および図4は本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における作業工程のステップを描いたフローチャートに、各工程における液体の流動を表すブロック図を付記した工程説明図であって、図2は予洗に相当する1浴目の工程を表し、図3は上記図2に引き続く本洗に相当する2浴目およびすすぎ洗いに相当する3浴目の工程を表し、図4は上記図3に引き続く乾燥および脱臭の工程を表している。次に、上述の工程に従って本実施形態のクリーニング方法を説明し、併せて、本発明方法を実施するために構成したクリーニング装置の1実施形態を説明する。
【0013】
(図2参照)ステップS1で、1浴目の準備として「溶剤に水と洗剤とを添加したエマルジョン液」を準備する。この工程においては、ステップS1の右側に液体の流動経路を示したようにベースタンク内の溶剤をポンプによってミキシングタンクに注入する。これらの機器類の構成は図5を参照して次に述べる。
図5ないし図7は本発明に係るクリーニング方法を実施するために構成したクリーニング装置を模式的に描いた系統図であって、図5は1浴目(予洗)の準備作業における主要な液体流動経路、および、1浴目の洗浄作業における主要な液体の流動経路を太線で表してある。
【0014】
(図2,図5参照)外胴2の中に、多孔板製の内胴1が回転駆動可能に設置されて洗浄槽を形成している。符号3を付して示したのは、ソープ投入器と水投入器とを備えたミキシングタンクである。
図示を省略するが、本実施形態のクリーニング装置を構成する主要機器類を制御する自動制御装置が設けられていて、図2〜図4に示した工程ステップは上記の自動制御装置によって、以下に述べるように制御され、自動運転される。
【0015】
図2の工程ステップ欄、ステップS1に示したように、前記のミキシングタンク3で溶剤の中にソープ(洗剤)と水とを混合し、ベースタンク12内の溶剤を、0.3%の洗剤(容量パーセント、以下同様)と0.75〜1.5%の水とを含むエマルジョンにする。
【0016】
本実施形態の洗浄槽は、1回12キログラムの衣服類を処理する容量を有しており、洗浄用溶剤量40リットルである。従って、120ccの洗剤と、300〜600ccの水とを添加してエマルジョンを調整した。
上記のステップS1における主要な液体の流動経路は、図2のステップS1の右側の欄に示したごとくである。
【0017】
ステップS2で、洗浄槽の内胴1内に被洗物である衣服類を投入し、内胴の回転を開始する。
運転条件は、回転速度75rpmで、このとき内胴が受ける遠心加速度は2.7Gである。そして、53秒間回転させて7秒間停止するパターンの間欠回転をくり返す。説明の便宜上この回転パターンを、後に述べる低速間欠回転との対比において高速間欠回転と呼ぶ。
内胴を回転させた状態でステップS3に進み、外胴2の中へ前記のエマルジョン液を注入する。注入量は、内胴1の下方が僅かにエマルジョン液で浸される程度であることが望ましい。引き続いてステップS4に進み、内胴1を高速間欠回転させながら、溶剤(エマルジョン)を循環流動させる。循環経路は(図2のステッブS4の右側欄と図5とを参照)循環ポンプ7が、外胴2の底部に溜まったエマルジョン液を吸入・吐出し、吐出されたエマルジョン液はバイパス弁10によりフィルタ9をバイパスして内胴1内に注入され、多孔板製の内胴壁を通って外胴2の底に溜まり、ボタントラップ5および循環弁6を経て循環ポンプ7に吸入され、これを繰り返す。
【0018】
以上に述べたようにして高速間欠回転している内胴1内の衣服類の状態は、前掲の図1(B)に示したごとくであって、内胴1の内周面に張り付けられた形で回転(矢印c)せしめられる。
このような張付回転状態ならしめるには、内胴の内周面付近が遠心加速度1G以上を受けることが最低条件であって、実際にはこれよりも高速で回転することが望ましい。その理由は、張り付けられた衣服類は図1(B)に示したように厚さ寸法tを有していて、内胴の中心に近い部分に位置する衣服類は、内胴に接している衣服類に比して落下し易いからである。
この張付回転状態(図1(B))では、従来例の回転状態(図1(A))に比して矢印bのような落下による。「もみ,たたき」の作用を受けないので、ウール製もしくはウール混紡繊維製であっても縮みを生じ難い(本実施形態における縮み量は後に詳しく述べるように2%弱であり、仕上げ加工(アイロン仕上げなど)によってほとんど縮み量ゼロの状態に復元した)。
【0019】
前記もみ作用,たたき作用は、ウール系の衣服類に縮みを生じさせる要因になるが、洗浄を促進する効果も有る。前記の張り付け状態(B図)では、もみ,たたき作用による洗浄促進が得られない。その代り、矢印eで代表されるように、多孔板製の内胴1の壁を通して溶剤(エマルジョン)を流動させると、該溶液は衣服類に滲透・流通して衣服類の汚れを落とす。その結果、図1(A)の従来例に比して高い洗浄率が得られる。
上述のように、流体が矢印eのように衣服類の中に流通することの効果は、後述する乾燥工程においても乾燥促進として現れる。
ただし、図1(B)のように張り付け回転しているだけでは、多類の衣類相互の間の洗浄むらや乾燥むらを生じる虞れが有るので、本発明においては先に述べたように高速間欠運転を行なう。内胴1の回転が停止したとき、内胴の内周面に張り付けられていた衣服類は慣性力と重力とによって自由に動き、衣服類相互の位置や内胴に対する位置を変化させるので、洗浄むらや乾燥むらの発生が防止される。
【0020】
(図2参照)ステップS3,S4で、高速間欠回転による循環洗いを5分間実施した後、ステップS5に進んで、内胴の回転速度260rpmで2分間脱液する。この脱液工程は公知技術を適用して行なえば良い。この図2に示したステップS1〜ステップS5で、1浴目(予洗)を終えて、図3のステップS6に進む。
本洗に相当するステップS6の2浴目は、前述の高速間欠回転で2分間行なわれる。このステップS6における溶剤の流動経路は、該ステップS6の右側の欄および図6に太線で示したごとくであって、前記1浴目に比して異なるところは、バイパス弁10を切り換えてフィルタ9を通過させることである。2浴目は高速間欠回転・循環洗い(本洗)の後、洗浄槽内の溶剤を排出してベースタンク12に貯え、ステップS7に進んで3浴目(すすぎ洗い)の溶液を準備する。該ステップS7の右側の欄および図7に示したように、新液タンク15から新液を外胴2内に送入するとともに、120ccのソープ(0.3%に相当)をソープ投入器16から外胴2内に注入する。
【0021】
ステップS8の3浴目(すすぎ洗い)は、先に述べた高速間欠回転(75rpmで53秒回転,7秒停止)で行なう。この際の溶剤の循環流動経路は図3のステップS8の右側欄に示したように、(図7を併せて参照)外胴2内の溶剤を循環ポンプ7によって、ボタントラップ5および循環弁6を経て吸入・吐出する。吐出された溶剤流は、フィルタ9をバイパスして洗浄槽に送られ、内胴1の中に噴射される。
上記ステップS8の3浴目(すすぎ洗い)を3分間行ない、ステップS9に進んで脱液し、外胴2内の溶剤はベースタンク12に回収する。本実施形態における脱液工程(S9)の所要時間は5分間である。脱液の後、ステップS10に進んで乾燥工程に入る。
【0022】
乾燥工程は、内胴1の回転速度について見ると3段階に分かれる。すなわち、
最初は、衣服類が多くの溶剤を含んでいて、縮みや皺を生じる虞れが大きいので、先に図1(C)を参照して説明した低速間欠回転を行なわせる。
低速間欠回転で乾燥工程を進め、衣服類の溶剤含有率が或る程度減少したとき(所定時間の経過によって推定する)前述した高速間欠回転に切り換えて乾燥を続行する。
衣服類の溶剤含有率が更に減少して、皺や縮みを生じる虞れが無くなれば、従来技術におけると同様に回転させ、これと前後して、もしくはこれと同時に減圧乾燥に移る。
【0023】
上記の段階的な乾燥工程について、図4および図8を参照しつつ次に述べる。
乾燥工程の最初のステップS10は、先に述べた低速間欠回転(20rpm,2秒回転・13秒停止)で行ない、縮みや皺の発生を防止する。
そして、このステップS10と次のステップS11とは、真空ポンプ14を休止させ、吸入ダンパおよび排出ダンパを閉じ、ファン13を回転させて常圧乾燥を行なう。衣服類から蒸発した溶剤はクーラで凝縮させて回収する。
この時機に、真空ポンプによる減圧乾燥を行なわない理由は次のごとくである。溶剤や水分を蒸発させるには、蒸発潜熱を与えることも必要条件の一つである。そして、衣服類の溶剤や水分の含浸率の高いときに減圧すると、熱媒体である空気が稀薄になって充分な蒸発潜熱を与え得ないので、却って乾燥の進行が抑制されてしまう。そこで、乾燥が或る程度進行するまでは常圧乾燥を行ない、所定時間を経過したとき減圧運転を行なう。本発明を実施する際、内胴の回転速度を変化させる所定時間と、真空ポンプを作動させて減圧乾燥に移行する所定時間とは、それぞれ互いに独立に設定することができる。以下に説明する本実施形態においては、高速間欠回転(S11)の終了と同時に減圧乾燥に移行したが、本発明を実施する際、減圧の開始時機は任意に設定することができる。
【0024】
本実施形態においては、前記ステップS10の常圧・低速間欠回転乾燥を6分間行なった後、ステップS11に進み、未だ真空ポンプ14を作動せしめることなくファン13で乾燥用空気を循環流動させつつ、内胴1を高速間欠回転させて、常圧乾燥を続行する。
上記ステップS11の常圧高速間欠回転乾燥を6分間行なった後、ステップS12に進む。この時点では、衣服類の溶剤含浸率や水分含浸率が低下して、縮みや皺を発生する虞れが無くなっているので、従来技術における減圧乾燥と同様の処理をすることができる。本実施形態においては−400mmHg〜−540mmHgに減圧して、通常の回転速度(43rpm)で連続回転した。この際、正・運転させても良い。
次いでステップS13に進み(図8参照)ヒータを作動させるとともに、吸入ダンパおよび排気ダンパを開いて3分間、熱風乾燥を行ない、さらにステップS14に進み、ヒータを止め、吸入ダンパおよび排気ダンパを開いたまま3分間、ファン13を作動させて脱臭を行ない、クリーニング操作を終了する。
【0025】
以上に、図2〜図4を参照して説明したクリーニング作業のプログラムを表として示すと、次の表1のごとくである。
【0026】
【表1】
【0027】
次に、溶剤に対する水の添加量を変えて衣服類(背広)の縮み状態を比較した試験の結果を示す。洗浄プログラムは前掲の表1と同じである。
溶剤は、常圧における沸点約190℃の石油系溶剤を40リットル用いた。
1浴目の洗剤添加は、非イオン系のエコラボ社製ランドルOWSを200cc、3浴目の洗剤添加は、カチオン系のエコラボ社製ランドルSPFを160cc用いた。水の添加量は600cc(1.5%)と、300cc(1.75%)との2通りについてテストした。
上記テストにおける洗浄前寸法,洗浄後寸法,洗浄後縮み率、およびプレス,アイロン仕上後の寸法、並びに仕上後の縮み率は次の表2および表3のごとくであった。
【0028】
テスト用の被洗物は、ウール100%、もしくは合成樹脂繊維との混紡である。伸縮率のマイナスは縮んだことを、プラスに却って伸びたことを表している。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
次に、エコラボ社製汗汚染布を用いて洗浄率の試験を行なった結果を示す。 試験は、比較例として通常の(従来技術による)ドライクリーニングと、前述の実施形態において水の添加量を600cc(1.5%)にした場合と、同じく300cc(0.75%)にした場合とを比較した。
クリーニング方法 洗浄率
通常のドライクリーニング 0.12%
本発明方法(水600cc) 14.8%
本発明方法(水300cc) 14.5%
なお、ランドリー洗浄(水100%+洗剤)で比較テストしたところ、洗浄率24.8%であった。このランドリー洗浄における洗浄率を100とした場合のランドリー対比を示すと、
通常のドライクリーニングのランドリー対比は0.49%
本発明方法(水600cc)の場合のランドリー対比は59.61%
本発明方法(水300cc)の場合のランドリー対比は58.62%であった。
【0032】
以上の試験結果について考察するに、本発明を実施する場合、溶剤に対する水の添加量は、水溶性の汚れの程度に対応して適宜に調節することが望ましい。
【0033】
本発明を適用することによって、水溶性の汚れの除去は従来技術に比して著しく改善させ、しかも、ウール製もしくはウール混紡繊維製の衣服類であっても、繊維工業会の規準に適合した縮み率でドライクリーニングできることが確認された。
【0034】 次に、本発明の応用例について説明する。
前述した実施形態は、通常もっとも一般的な程度に油溶性の汚れと水溶性の汚れとが付着した衣服類を対象として本発明を実施した例であるが、実際問題として衣服類の汚れの態様は非常に多種多様である。そして、水溶性の汚れの程度に応じて1浴目の溶液に添加する水や洗剤の添加量を加減することが望ましい旨は、先に述べたとおりである。
【0035】
さらに、汚れの態様によっては、純溶剤で洗浄した方が良い場合が有る。
上記のように純溶剤で洗浄する場合は(水や洗剤を添加していないので)縮みを発生する虞れ無く油溶性の汚れを除去することができる。
【0036】 【発明の効果】
以上に本発明の実施形態を挙げてその構成,作用を明らかならしめたように、本発明に係るクリーニング方法によれば、水溶性の汚れが付着したウール製の衣服類、もしくは同じくウール混紡繊維製の衣服類に、有害な程度の縮みを生じさせることなく、該水溶性の汚れを除去することができる。
【0037】
また、本発明に係るクリーニング装置によれば、上記の発明方法を容易に実施して、その効果を充分に発揮せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の基本的原理を説明するために示したもので、(A)は比較のための従来例における内胴の回転状態の模式図、(B)は本発明に係る内胴の高速間欠回転状態の模式図、(C)は同じく低速間欠回転状態の模式図である。
【図2】
本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における初期の工程を示すフローチャートに、液体の流動経路を表すブロック図を付記した説明図である。
【図3】
本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における中期の工程を示すフローチャートに、液体の流動経路を表すブロック図を付記した説明図である。
【図4】
本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における後期の工程を示すフローチャートに、液体の流動経路を表すブロック図を付記した説明図である。
【図5】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態を示す溶液系統図であって、1浴目の洗浄作業における流路を太線で描いてある。
【図6】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態を示す溶剤系統図であって、2浴目の洗浄作業における流路を太線で描いてある。
【図7】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態を示す溶液系統図であって、3浴目の洗浄作業における流路を太線で描いてある。
【図8】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態における乾燥工程の作業を説明するための要部模式図である。
【符号の説明】
1…洗浄槽の内胴、2…同じく外胴、3…ミキシングタンク、4…ポンプ、5…ボタントラップ、6…循環弁、7…循環ポンプ、8…コンデンサ、9…フィルタ、10…バイパス弁、11…蒸留器、12…ベースタンク、13…ファン、14…真空ポンプ、15…新液タンク、16…ソープ投入器。
【発明の名称】 水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法、および同装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライクリーニングの1浴目に使用する溶剤に小量の水および洗剤を添加して、衣服類に付着している油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去する方式のドライクリーニング方法において、
洗浄工程においては洗浄槽の内胴の回転速度を「内胴と一緒に回転せしめられる衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」となるようにして、衣服類が遠心力で内胴の内周面に張り付けられた形で回転するようにするとともに、
多孔板製の内胴の孔を通過するように溶剤を循環流動せしめて、該内胴に張り付けられている衣服類に該溶剤を滲透,流通せしめ、
乾燥工程においては、内胴の回転速度を所定の期間だけ「衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」で回転させた後、通常の回転速度で回転させることを特徴とする、水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項2】
ドライクリーニング用の溶剤を用いて衣服類に付着している油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去する方式のドライクリーニング方法において、
洗浄工程においては洗浄槽の内胴の回転速度を「内胴と一緒に回転せしめられる衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」となるようにして、衣服類が遠心力で内胴の内周面に張り付けられた形で回転するようにするとともに、
多孔板製の内胴の孔を通過するように溶剤を循環流動せしめて、該内胴に張り付けられている衣服類に該溶剤を滲透,流通せしめ、
乾燥工程においては、内胴の回転速度を所定の期間だけ「衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」で回転させた後、通常の回転速度で回転させることを特徴とする、水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項3】
前記の、遠心加速度を1G以上ならしめる回転は、これを数十秒間継続した後に数秒間停止し、こうした高速間欠回転をくり返すことによって、
内胴に張り付けられていた衣服類相互の位置、および内胴に対する衣服類の相対的な位置を変化させることを特徴とする、請求項1又は2に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項4】
前記乾燥工程を開始する際、最初の所定の時間は内胴の回転速度を「衣服類が受ける遠心加速度を1Gならしめる回転速度」よりも格段に低い回転速度とし、かつ、この格段に低い回転速度の回転を1秒間ないし数秒間継続させてから、数秒ないし十数秒間停止させる低速間欠回転とすることにより、
内胴の中に収納されている衣服類を緩徐に揺り動かすことを特徴とする、請求項3に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項5】
乾燥工程の最初は、洗浄槽内に大気圧の空気を循環流動せしめる常圧乾燥を行ないつつ、内胴に前記の低速間欠回転を行なわせ、
所定時間の低速間欠回転の後、前記の高速間欠回転に移行し、
さらに所定時間を経過した後、洗浄槽内を減圧して減圧乾燥を行なうことを特徴とする、請求項4に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング方法。
【請求項6】
外胴の中で内胴を回転させる型式の洗濯槽と、上記洗濯槽に溶剤を注入して循環流動せしめる機構と、上記洗濯槽内に乾燥用空気を流通せしめる機構と、これらの構成機器類の作動を制御して洗浄工程・脱液工程・乾燥工程を遂行せしめる自動制御装置とを具備しているドライクリーニング装置において、
前記の洗浄工程に際して、前記の洗濯槽に溶剤を循環流動せしめつつ、前記の内胴の回転速度を「内胴の内周面付近が回転によって受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」に制御するとともに、上記回転速度の内胴回転を数十秒間継続した後に数秒間停止せしめる高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有しており、
かつ、前記の乾燥工程に際して、前記の洗濯槽に空気を流通せしめつつ、所定の期間だけ前記の高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有していることを特徴とする、水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング装置。
【請求項7】
前記の自動制御装置は、乾燥工程の内の最初の所定時間だけ、前記の内胴を「内胴の内周面付近が回転によって受ける遠心加速度が1Gよりも格段に低くなる回転速度」で1秒間ないし数秒間回転させてから、数秒ないし十数秒間停止させる低速間欠回転を行なわせる制御機能を有していることを特徴とする、請求項6に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング装置。
【請求項8】
前記の乾燥用空気を洗浄槽に流通せしめる機構は、通風用のファンと減圧用の真空ポンプとを備えており、
かつ、前記の自動制御装置は、乾燥工程の最初の低速間欠回転の期間の全部、および、該低速間欠回転の後に引き続いて行なわれる高速間欠回転の期間の内の最初の所定時間は、前記の真空ポンプを作用せしめずにファンによる常圧通風乾燥を行なわせ、
上記所定時間の常圧通風乾燥の後、引き続いて、真空ポンプを作動せしめて減圧通風乾燥を行なわせる制御機能を有していることを特徴とする、請求項7に記載した水溶性の汚れを有する衣服類のドライクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶剤を用いて衣服類をドライクリーニングする方法および同装置に係り、特に、水溶性の汚れの洗浄率を向上させるために溶剤を用いてドライクリーニングする場合、上記の衣服類がウール製もしくはウール混紡繊維製であっても縮みを最小限ならしめ得るように改良したドライクリーニングする方法、および上記の方法を実施するに好適なドライクリーニング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドライクリーニングは、基本的には溶剤を用いて行なわれるが、例えば汗などの水溶性の汚れは溶剤で除去しにくいので、使用される溶剤に小量の水および洗剤を加えることにより、油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去するという考え方のドライクリーニング技術は公知である。
しかし乍ら、ウール製衣類やウール混紡繊維製衣類は、水を含む溶剤で洗浄すると、洗浄時に受けるもみ作用,たたき作用によって縮みを生じるので、前記の洗浄方法(水,洗剤の添加)は従来一般に綿製もしくは綿混紡繊維製の衣服に限定され、ウール製やウール混紡繊維製の衣服には適用されなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を改善し、ウール製やウール混紡繊維製の衣服であっても、縮み量を最小限に抑えて、油溶性の汚れと水溶性の汚れとを同時に除去し得るドライクリーニング技術を提供することを目的とする。なお、縮み量の抑制目標は原則として、繊維工業会で定められている基準に従って2%以下とする。ただし、実用上の目標値は、洗浄,乾燥後の仕上げ作業によって原寸(縮み量ゼロ)に復元し得る程度に縮み量を減少させるものとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明者は、ドライクリーニングにおける「縮み」を発生せしめる要因を解明した結果、被洗物である衣服類が洗浄槽の中で「もみ」「たたき」といった物理的な力を受けることが縮み発生の要因であることを確認した。そこで、これに基づいて被洗物に対してもみ作用やたたき作用を及ぼすことなく高い洗浄率が得られる洗浄技術を創作し、併せて、洗浄後の乾燥工程において皺を生じない技術を創作した。
次に、図1を参照して前述の、もみ作用,たたき作用を説明するとともに、その防止方法を説明する。
【0005】
図1(A)は従来例のクリーニング技術における洗浄槽内の情況を模式的に描いた図であって、多孔板製の内胴1が外胴2の中で矢印a方向に、例えば43rpmで回転する。
被洗物である衣服類は、内胴の回転に伴って矢印a方向に、内胴1とほぼ同じ速度で掻き上げられる形に上方に回転せしめられる。この場合、衣服類が受ける遠心加速度は1G以下(本例では0.88G)である。
上記の遠心加速度が1G以上であれば、衣服類は落下すること無く内胴1と一緒に回転するのであるが、1G以下であるため、該衣服類に対して常に作用している重力加速度のため、内胴1の天井付近から矢印bのように落下して、もみ作用,たたき作用といった物理的な力を受ける。この物理的な力が縮み発生の要因であることは先に述べたとおりである。
【0006】
そこで本発明においては、図1(B)に示したように内胴1を例えば75rpmというように、従来例におけるよりも高速で回転させる。この(B)図の例では、衣服類が受ける遠心加速度は2.7Gとなる。このように、1G以上の遠心加速度を受けると衣服類は内胴1内で矢印cのように360度連続回転し、途中で落下しないので、従来例におけるようなもみ作用,たたき作用を受けない。このため衣服類に縮みが発生しない。
もみ,たたきの作用が働かない代りに、本図1(B)のように衣服類が内胴1の内周面に張り付けられて一緒に回っている状態で、多孔板製の内胴の円筒壁を通過せしめるように溶液を循環流動させると、該溶液は衣服類を透過して内胴の孔を流通するので、衣服類の汚れは良く落ちる(詳細は、実施の形態で説明する)。
【0007】
また、乾燥工程においても、乾燥用の空気が衣服類を透過するので好都合である。
【0008】
本図1(B)のように、内胴1と衣服類との相対的位置が一定のままで張り付けられていると洗浄むらや乾燥むらを生じ易いので、例えば1分間の中で数秒間(本例では7秒間)回転を止めて衣服類を自重と慣性力とで自然移動させると良い。
【0009】
本図1(C)は、後に詳述するが、乾燥工程で使用する低速間欠運転の模式図である。例えば遠心加速度が0.19Gとなるような低速(20rpm)で、2秒間回転・13秒間停止といった間欠運転を繰り返すと、衣服類は矢印dのように移動せしめられ、揺動におけると類似の緩徐な動きを与えられ、縮みや皺を生じない。
【0010】
図1を参照して以上に説明した原理に基づいて本発明のドライクリーニング方法は、ドライクリーニングの1浴目に使用する溶剤を用いて油溶性の汚れと水溶性の汚れとを除去する方式のドライクリーニング方法において、
洗浄工程においては洗浄槽の内胴の回転速度を「内胴と一緒に回転せしめられる衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」となるようにして、衣服類が遠心力で内胴の内周面に張り付けられた形で回転するようにするとともに、
多孔板製の内胴の孔を通過するように溶剤を循環流動せしめて、該内胴に張り付けられている衣服類に該溶剤を滲透,流通せしめ、
乾燥工程においては、内胴の回転速度を所定の期間だけ「衣服類が受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」で回転させた後、通常の回転速度で回転させることを特徴とする。
【0011】
また、上記の発明方法を実施するために創作した本発明のドライクリーニング装置は、外胴の中で内胴を回転させる型式の洗濯槽と、上記洗濯槽に溶剤を注入して循環流動せしめる機構と、上記洗濯槽内に乾燥用空気を流通せしめる機構と、これらの構成機器類の作動を制御して洗浄工程・脱液工程・乾燥工程を遂行せしめる自動制御装置とを具備しているドライクリーニング装置において、
前記の洗浄工程に際して、前記の洗濯槽の溶剤を循環流動せしめつつ、前記の内胴の回転速度を「内胴の内周面付近が回転によって受ける遠心加速度を1G以上ならしめる回転速度」に制御するとともに、上記回転速度の内胴回転を数十秒間継続した後に数秒間停止せしめる高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有しており、
かつ、前記の乾燥工程に際して、前記の洗濯槽の空気を流通せしめつつ、所定の期間だけ前記の高速間欠回転を繰り返して行なわせる制御機能を有していることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図2,図3,および図4は本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における作業工程のステップを描いたフローチャートに、各工程における液体の流動を表すブロック図を付記した工程説明図であって、図2は予洗に相当する1浴目の工程を表し、図3は上記図2に引き続く本洗に相当する2浴目およびすすぎ洗いに相当する3浴目の工程を表し、図4は上記図3に引き続く乾燥および脱臭の工程を表している。次に、上述の工程に従って本実施形態のクリーニング方法を説明し、併せて、本発明方法を実施するために構成したクリーニング装置の1実施形態を説明する。
【0013】
(図2参照)ステップS1で、1浴目の準備として「溶剤に水と洗剤とを添加したエマルジョン液」を準備する。この工程においては、ステップS1の右側に液体の流動経路を示したようにベースタンク内の溶剤をポンプによってミキシングタンクに注入する。これらの機器類の構成は図5を参照して次に述べる。
図5ないし図7は本発明に係るクリーニング方法を実施するために構成したクリーニング装置を模式的に描いた系統図であって、図5は1浴目(予洗)の準備作業における主要な液体流動経路、および、1浴目の洗浄作業における主要な液体の流動経路を太線で表してある。
【0014】
(図2,図5参照)外胴2の中に、多孔板製の内胴1が回転駆動可能に設置されて洗浄槽を形成している。符号3を付して示したのは、ソープ投入器と水投入器とを備えたミキシングタンクである。
図示を省略するが、本実施形態のクリーニング装置を構成する主要機器類を制御する自動制御装置が設けられていて、図2〜図4に示した工程ステップは上記の自動制御装置によって、以下に述べるように制御され、自動運転される。
【0015】
図2の工程ステップ欄、ステップS1に示したように、前記のミキシングタンク3で溶剤の中にソープ(洗剤)と水とを混合し、ベースタンク12内の溶剤を、0.3%の洗剤(容量パーセント、以下同様)と0.75〜1.5%の水とを含むエマルジョンにする。
【0016】
本実施形態の洗浄槽は、1回12キログラムの衣服類を処理する容量を有しており、洗浄用溶剤量40リットルである。従って、120ccの洗剤と、300〜600ccの水とを添加してエマルジョンを調整した。
上記のステップS1における主要な液体の流動経路は、図2のステップS1の右側の欄に示したごとくである。
【0017】
ステップS2で、洗浄槽の内胴1内に被洗物である衣服類を投入し、内胴の回転を開始する。
運転条件は、回転速度75rpmで、このとき内胴が受ける遠心加速度は2.7Gである。そして、53秒間回転させて7秒間停止するパターンの間欠回転をくり返す。説明の便宜上この回転パターンを、後に述べる低速間欠回転との対比において高速間欠回転と呼ぶ。
内胴を回転させた状態でステップS3に進み、外胴2の中へ前記のエマルジョン液を注入する。注入量は、内胴1の下方が僅かにエマルジョン液で浸される程度であることが望ましい。引き続いてステップS4に進み、内胴1を高速間欠回転させながら、溶剤(エマルジョン)を循環流動させる。循環経路は(図2のステッブS4の右側欄と図5とを参照)循環ポンプ7が、外胴2の底部に溜まったエマルジョン液を吸入・吐出し、吐出されたエマルジョン液はバイパス弁10によりフィルタ9をバイパスして内胴1内に注入され、多孔板製の内胴壁を通って外胴2の底に溜まり、ボタントラップ5および循環弁6を経て循環ポンプ7に吸入され、これを繰り返す。
【0018】
以上に述べたようにして高速間欠回転している内胴1内の衣服類の状態は、前掲の図1(B)に示したごとくであって、内胴1の内周面に張り付けられた形で回転(矢印c)せしめられる。
このような張付回転状態ならしめるには、内胴の内周面付近が遠心加速度1G以上を受けることが最低条件であって、実際にはこれよりも高速で回転することが望ましい。その理由は、張り付けられた衣服類は図1(B)に示したように厚さ寸法tを有していて、内胴の中心に近い部分に位置する衣服類は、内胴に接している衣服類に比して落下し易いからである。
この張付回転状態(図1(B))では、従来例の回転状態(図1(A))に比して矢印bのような落下による。「もみ,たたき」の作用を受けないので、ウール製もしくはウール混紡繊維製であっても縮みを生じ難い(本実施形態における縮み量は後に詳しく述べるように2%弱であり、仕上げ加工(アイロン仕上げなど)によってほとんど縮み量ゼロの状態に復元した)。
【0019】
前記もみ作用,たたき作用は、ウール系の衣服類に縮みを生じさせる要因になるが、洗浄を促進する効果も有る。前記の張り付け状態(B図)では、もみ,たたき作用による洗浄促進が得られない。その代り、矢印eで代表されるように、多孔板製の内胴1の壁を通して溶剤(エマルジョン)を流動させると、該溶液は衣服類に滲透・流通して衣服類の汚れを落とす。その結果、図1(A)の従来例に比して高い洗浄率が得られる。
上述のように、流体が矢印eのように衣服類の中に流通することの効果は、後述する乾燥工程においても乾燥促進として現れる。
ただし、図1(B)のように張り付け回転しているだけでは、多類の衣類相互の間の洗浄むらや乾燥むらを生じる虞れが有るので、本発明においては先に述べたように高速間欠運転を行なう。内胴1の回転が停止したとき、内胴の内周面に張り付けられていた衣服類は慣性力と重力とによって自由に動き、衣服類相互の位置や内胴に対する位置を変化させるので、洗浄むらや乾燥むらの発生が防止される。
【0020】
(図2参照)ステップS3,S4で、高速間欠回転による循環洗いを5分間実施した後、ステップS5に進んで、内胴の回転速度260rpmで2分間脱液する。この脱液工程は公知技術を適用して行なえば良い。この図2に示したステップS1〜ステップS5で、1浴目(予洗)を終えて、図3のステップS6に進む。
本洗に相当するステップS6の2浴目は、前述の高速間欠回転で2分間行なわれる。このステップS6における溶剤の流動経路は、該ステップS6の右側の欄および図6に太線で示したごとくであって、前記1浴目に比して異なるところは、バイパス弁10を切り換えてフィルタ9を通過させることである。2浴目は高速間欠回転・循環洗い(本洗)の後、洗浄槽内の溶剤を排出してベースタンク12に貯え、ステップS7に進んで3浴目(すすぎ洗い)の溶液を準備する。該ステップS7の右側の欄および図7に示したように、新液タンク15から新液を外胴2内に送入するとともに、120ccのソープ(0.3%に相当)をソープ投入器16から外胴2内に注入する。
【0021】
ステップS8の3浴目(すすぎ洗い)は、先に述べた高速間欠回転(75rpmで53秒回転,7秒停止)で行なう。この際の溶剤の循環流動経路は図3のステップS8の右側欄に示したように、(図7を併せて参照)外胴2内の溶剤を循環ポンプ7によって、ボタントラップ5および循環弁6を経て吸入・吐出する。吐出された溶剤流は、フィルタ9をバイパスして洗浄槽に送られ、内胴1の中に噴射される。
上記ステップS8の3浴目(すすぎ洗い)を3分間行ない、ステップS9に進んで脱液し、外胴2内の溶剤はベースタンク12に回収する。本実施形態における脱液工程(S9)の所要時間は5分間である。脱液の後、ステップS10に進んで乾燥工程に入る。
【0022】
乾燥工程は、内胴1の回転速度について見ると3段階に分かれる。すなわち、
最初は、衣服類が多くの溶剤を含んでいて、縮みや皺を生じる虞れが大きいので、先に図1(C)を参照して説明した低速間欠回転を行なわせる。
低速間欠回転で乾燥工程を進め、衣服類の溶剤含有率が或る程度減少したとき(所定時間の経過によって推定する)前述した高速間欠回転に切り換えて乾燥を続行する。
衣服類の溶剤含有率が更に減少して、皺や縮みを生じる虞れが無くなれば、従来技術におけると同様に回転させ、これと前後して、もしくはこれと同時に減圧乾燥に移る。
【0023】
上記の段階的な乾燥工程について、図4および図8を参照しつつ次に述べる。
乾燥工程の最初のステップS10は、先に述べた低速間欠回転(20rpm,2秒回転・13秒停止)で行ない、縮みや皺の発生を防止する。
そして、このステップS10と次のステップS11とは、真空ポンプ14を休止させ、吸入ダンパおよび排出ダンパを閉じ、ファン13を回転させて常圧乾燥を行なう。衣服類から蒸発した溶剤はクーラで凝縮させて回収する。
この時機に、真空ポンプによる減圧乾燥を行なわない理由は次のごとくである。溶剤や水分を蒸発させるには、蒸発潜熱を与えることも必要条件の一つである。そして、衣服類の溶剤や水分の含浸率の高いときに減圧すると、熱媒体である空気が稀薄になって充分な蒸発潜熱を与え得ないので、却って乾燥の進行が抑制されてしまう。そこで、乾燥が或る程度進行するまでは常圧乾燥を行ない、所定時間を経過したとき減圧運転を行なう。本発明を実施する際、内胴の回転速度を変化させる所定時間と、真空ポンプを作動させて減圧乾燥に移行する所定時間とは、それぞれ互いに独立に設定することができる。以下に説明する本実施形態においては、高速間欠回転(S11)の終了と同時に減圧乾燥に移行したが、本発明を実施する際、減圧の開始時機は任意に設定することができる。
【0024】
本実施形態においては、前記ステップS10の常圧・低速間欠回転乾燥を6分間行なった後、ステップS11に進み、未だ真空ポンプ14を作動せしめることなくファン13で乾燥用空気を循環流動させつつ、内胴1を高速間欠回転させて、常圧乾燥を続行する。
上記ステップS11の常圧高速間欠回転乾燥を6分間行なった後、ステップS12に進む。この時点では、衣服類の溶剤含浸率や水分含浸率が低下して、縮みや皺を発生する虞れが無くなっているので、従来技術における減圧乾燥と同様の処理をすることができる。本実施形態においては−400mmHg〜−540mmHgに減圧して、通常の回転速度(43rpm)で連続回転した。この際、正・運転させても良い。
次いでステップS13に進み(図8参照)ヒータを作動させるとともに、吸入ダンパおよび排気ダンパを開いて3分間、熱風乾燥を行ない、さらにステップS14に進み、ヒータを止め、吸入ダンパおよび排気ダンパを開いたまま3分間、ファン13を作動させて脱臭を行ない、クリーニング操作を終了する。
【0025】
以上に、図2〜図4を参照して説明したクリーニング作業のプログラムを表として示すと、次の表1のごとくである。
【0026】
【表1】
【0027】
次に、溶剤に対する水の添加量を変えて衣服類(背広)の縮み状態を比較した試験の結果を示す。洗浄プログラムは前掲の表1と同じである。
溶剤は、常圧における沸点約190℃の石油系溶剤を40リットル用いた。
1浴目の洗剤添加は、非イオン系のエコラボ社製ランドルOWSを200cc、3浴目の洗剤添加は、カチオン系のエコラボ社製ランドルSPFを160cc用いた。水の添加量は600cc(1.5%)と、300cc(1.75%)との2通りについてテストした。
上記テストにおける洗浄前寸法,洗浄後寸法,洗浄後縮み率、およびプレス,アイロン仕上後の寸法、並びに仕上後の縮み率は次の表2および表3のごとくであった。
【0028】
テスト用の被洗物は、ウール100%、もしくは合成樹脂繊維との混紡である。伸縮率のマイナスは縮んだことを、プラスに却って伸びたことを表している。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
次に、エコラボ社製汗汚染布を用いて洗浄率の試験を行なった結果を示す。 試験は、比較例として通常の(従来技術による)ドライクリーニングと、前述の実施形態において水の添加量を600cc(1.5%)にした場合と、同じく300cc(0.75%)にした場合とを比較した。
クリーニング方法 洗浄率
通常のドライクリーニング 0.12%
本発明方法(水600cc) 14.8%
本発明方法(水300cc) 14.5%
なお、ランドリー洗浄(水100%+洗剤)で比較テストしたところ、洗浄率24.8%であった。このランドリー洗浄における洗浄率を100とした場合のランドリー対比を示すと、
通常のドライクリーニングのランドリー対比は0.49%
本発明方法(水600cc)の場合のランドリー対比は59.61%
本発明方法(水300cc)の場合のランドリー対比は58.62%であった。
【0032】
以上の試験結果について考察するに、本発明を実施する場合、溶剤に対する水の添加量は、水溶性の汚れの程度に対応して適宜に調節することが望ましい。
【0033】
本発明を適用することによって、水溶性の汚れの除去は従来技術に比して著しく改善させ、しかも、ウール製もしくはウール混紡繊維製の衣服類であっても、繊維工業会の規準に適合した縮み率でドライクリーニングできることが確認された。
【0034】 次に、本発明の応用例について説明する。
前述した実施形態は、通常もっとも一般的な程度に油溶性の汚れと水溶性の汚れとが付着した衣服類を対象として本発明を実施した例であるが、実際問題として衣服類の汚れの態様は非常に多種多様である。そして、水溶性の汚れの程度に応じて1浴目の溶液に添加する水や洗剤の添加量を加減することが望ましい旨は、先に述べたとおりである。
【0035】
さらに、汚れの態様によっては、純溶剤で洗浄した方が良い場合が有る。
上記のように純溶剤で洗浄する場合は(水や洗剤を添加していないので)縮みを発生する虞れ無く油溶性の汚れを除去することができる。
【0036】 【発明の効果】
以上に本発明の実施形態を挙げてその構成,作用を明らかならしめたように、本発明に係るクリーニング方法によれば、水溶性の汚れが付着したウール製の衣服類、もしくは同じくウール混紡繊維製の衣服類に、有害な程度の縮みを生じさせることなく、該水溶性の汚れを除去することができる。
【0037】
また、本発明に係るクリーニング装置によれば、上記の発明方法を容易に実施して、その効果を充分に発揮せしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の基本的原理を説明するために示したもので、(A)は比較のための従来例における内胴の回転状態の模式図、(B)は本発明に係る内胴の高速間欠回転状態の模式図、(C)は同じく低速間欠回転状態の模式図である。
【図2】
本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における初期の工程を示すフローチャートに、液体の流動経路を表すブロック図を付記した説明図である。
【図3】
本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における中期の工程を示すフローチャートに、液体の流動経路を表すブロック図を付記した説明図である。
【図4】
本発明に係るクリーニング方法の1実施形態における後期の工程を示すフローチャートに、液体の流動経路を表すブロック図を付記した説明図である。
【図5】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態を示す溶液系統図であって、1浴目の洗浄作業における流路を太線で描いてある。
【図6】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態を示す溶剤系統図であって、2浴目の洗浄作業における流路を太線で描いてある。
【図7】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態を示す溶液系統図であって、3浴目の洗浄作業における流路を太線で描いてある。
【図8】
本発明に係るクリーニング装置の1実施形態における乾燥工程の作業を説明するための要部模式図である。
【符号の説明】
1…洗浄槽の内胴、2…同じく外胴、3…ミキシングタンク、4…ポンプ、5…ボタントラップ、6…循環弁、7…循環ポンプ、8…コンデンサ、9…フィルタ、10…バイパス弁、11…蒸留器、12…ベースタンク、13…ファン、14…真空ポンプ、15…新液タンク、16…ソープ投入器。
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