JP2000157457A - 着座式便器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 周辺の床部がスッキリと納まって掃除もし易
く、車椅子でも支障なく近づくことができ、しかも、強
固に支持された手すり体で身体を確実に支えることがで
き、又、支持個所で破損する恐れもなく、ロータンクや
洗浄便座装置等を支障なく設置することができる着座式
便器を提供する。 【解決手段】 床部１に設置固定される便器本体２の側
部に支持アーム３の中程を一軸固定（８）し、この支持
アーム３の一端側を上方へ立設してその上端部分に前方
へ延出した略水平な手すり部４を形成し、同支持アーム
３の他端側を下方へ垂設してその下端部分を支持部５と
なして床部１上に支持固定してなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、床部に設置固定さ
れる便器本体の側部に手すり部を設けてなる着座式便器
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、図５に示す如く、床部１上に
設置固定される便器本体２の両側部に手すり部４を配設
してなる着座式便器は知られている。この場合、便器本
体２の周辺の床部１上に支持枠体19が設置され、該支持
枠体19の上端部分の両側に手すり部４が配設されてい
る。したがって、該着座式便器においては、便器本体２
の排便用開口部９上で、これに座ったりこれから立ち上
がったりする際に、両側の手すり部４を持って楽に動作
することができる。

【０００３】しかしながら、該着座式便器においては、
便器本体２の周辺の床部１上で支持枠体19が邪魔にな
り、特に、車椅子で近づく際に支障を来し、しかも、同
便器本体２の周辺の床部１を掃除し難く、又、同便器本
体２の足元回りがスッキリとした外観に納まらないとい
う問題があった。更には、便器本体２の後端部上にロー
タンク11や洗浄便座装置等を設置する場合、その後側に
位置する支持枠体19の上端部分が邪魔になって、これ等
を設置し難いという問題もあった。

【０００４】又、図６に示す如く、便器本体２の両側部
に上方前方へと略Ｌ字状に屈曲した支持アーム３を固定
立設し、該支持アーム３の前方へ延出した略水平な部分
を手すり部４として形成することも、改善例としては考
えられる。この場合、便器本体２の両側方の床部１上に
障害物がなくなり、便器本体２の後端部上にロータンク
11や洗浄便座装置等を設置し易くなって、前述の問題は
解消される。

【０００５】しかしながら、この場合には、陶器製の便
器本体２の外側面に略Ｌ字状に屈曲した支持アーム３の
下端部分が一軸固定されることになり、該一軸固定部８
には手すり部４上に加わった荷重がモーメント力となっ
て作用するので、同一軸固定部８によって前記荷重を支
えるには不十分であり、又、これに耐え得るよう固定強
度を高めると、同一軸固定部８やその付近の便器本体２
までもが破損してしまうという問題が生じるものであっ
た。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術における問題を悉く解決するために発明されたもの
で、その課題は、周辺の床部がスッキリと納まって掃除
もし易く、車椅子でも支障なく近づくことができ、しか
も、強固に支持された手すり部で身体を確実に支えるこ
とができ、支持個所で破損する恐れもなく、又、便器本
体の後端部上にロータンクや洗浄便座装置等を支障なく
設置することができる着座式便器を提供することであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
着座式便器は、床部に設置固定される便器本体の側部に
支持アームの中程を一軸固定し、該支持アームの一端側
を上方へ立設してその上端部分に前方へ延出した略水平
な手すり部を形成し、同支持アームの他端側を下方へ垂
設してその下端部分を支持部となして床部上に支持固定
してなるものである。

【０００８】したがって、この場合、手すり部上に加わ
った荷重が支持アームを介し便器本体の側部の一軸固定
部に作用するが、その力は該一軸固定部を中心とするモ
ーメント力となり、同支持アームの下端部分の支持部が
床部上に支持固定されることで、該床部の支持固定個所
でも受けられることになって、同手すり部は強固に支持
され、支持個所が分散されて同便器本体が破損する恐れ
もなくなる。

【０００９】それ故、手すり部で安心して身体を確実に
支えることができ、便器本体に座ったりこれから立ち上
がったりする際に、同手すり部を持って安全且つ楽に動
作することができる。更には、支持アーム及び手すり部
が便器本体の後端部上で邪魔になり難く、該便器本体の
後端部上にロータンクや洗浄便座装置等を支障なく設置
することができる。しかも、支持アーム及び手すり部は
便器本体の周辺の床部上でも邪魔になり難く、該周辺の
床部がスッキリとした外観に納まって掃除も楽に行うこ
とができるようになり、又、同便器本体には車椅子でも
支障なく近づくことができて、該車椅子、便器本体間の
乗り移りも容易に行うことができる。

【００１０】本発明の請求項２記載の着座式便器は、上
記請求項１記載の着座式便器において、便器本体の後部
下端周縁にフランジ部を一体に突設し、該フランジ部と
支持アームの支持部とを固着具で結合させて床部上に支
持固定したことを特徴とするものである。

【００１１】したがって、この場合は特に、支持アーム
の下端部分の支持部が、便器本体の後部下端周縁に一体
に突設されたフランジ部と共に、固着具で結合されて床
部上に支持固定されるので、該支持固定作業を、同便器
本体を床部に設置固定する作業として簡単に行うことが
できる。又、支持アームの支持部が便器本体のフランジ
部を介して床部上に支持固定されることで、該床部を傷
つけることもない。

【００１２】本発明の請求項３記載の着座式便器は、上
記請求項１記載の着座式便器において、便器本体の両側
部に支持アームを配設し、両支持アームの下端部分を支
持部を介して連設一体化したことを特徴とするものであ
る。

【００１３】したがって、この場合は特に、便器本体の
両側に手すり部が配設されることになるので、該両側の
手すり部でより確実に身体を支えることができる。又、
両支持アームの下端部分が支持部を介して連設一体化さ
れるので、床部に対しては同支持部一か所の支持固定作
業で済み、しかも、両側の手すり部は相互に均等で安定
した支持状態となる。

【００１４】本発明の請求項４記載の着座式便器は、上
記請求項１記載の着座式便器において、支持アームの他
端側を下方前側へ垂設し、支持部を一軸固定部よりも前
方位置で床部上に支持固定したことを特徴とするもので
ある。

【００１５】したがって、この場合は特に、支持アーム
の下端部分の支持部が一軸固定部よりも前方位置となる
ので、手すり部上に加わった荷重によるモーメント力が
同支持部では床部を押す方向に作用して強固に受けら
れ、該床部での支持固定構造を簡略化しても十分な支持
強度を得ることができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】図１、２は、本発明の請求項１、
２に対応する一実施形態を示し、該実施形態の着座式便
器は、床部１に設置固定される便器本体２の側部に支持
アーム３の中程を一軸固定（８）し、該支持アーム３の
一端側を上方へ立設してその上端部分に前方へ延出した
略水平な手すり部４を形成し、同支持アーム３の他端側
を下方へ垂設してその下端部分を支持部５となして床部
１上に支持固定してなる。この場合、便器本体２の後部
下端周縁にフランジ部６を一体に突設し、該フランジ部
６と支持アーム３の支持部５とを固着具７で結合させて
床部１上に支持固定してもいる。

【００１７】便器本体２は陶器製で床部１上に設置固定
されており、該便器本体２の前部上面には排便用開口部
９が形成され、同便器本体２の後端部上面にはロータン
ク接合部10が形成されており、該ロータンク接合部10上
に洗浄水を貯めるロータンク11が設置固定される。便器
本体２の前記排便用開口部９とロータンク接合部10との
間には、その上面両側に固定片12が配設されている。該
固定片12は帯状金属板を略Ｌ字状に折曲して形成された
もので、便器本体２の上端縁角部分に係合されてボルト
13により該便器本体２の上面に取着固定されている。便
器本体２の両固定片12の上側には、便座14及び便蓋15が
枢支付設された洗浄便座装置16を取り付けており、この
場合、前記ボルト13を利用して取り付けることができ
る。

【００１８】又、便器本体２の上端縁角部より垂下した
前記固定片12の縦片部分の外側に一軸固定部８が突設さ
れ、該一軸固定部８に支持アーム３の中程部分が支持固
定されている。支持アーム３は金属製のパイプ材を折曲
して形成され、その上端部分には木製或いは合成樹脂製
の手すり部４が取着形成されている。支持アーム３の下
端部分は後方へ折曲形成されており、該下端部分が支持
部５となってこれに支持具17が取着固定されている。該
支持具17は断面略Ｌ字型の金具で、その縦片部の外面に
支持部５が取着固定され、その横片部がボルト、ネジ釘
等の固着具７によって便器本体２の後部下端周縁に形成
されたフランジ部６に結合され、これと共に床部１上に
支持固定されている。

【００１９】したがって、該実施形態の着座式便器にお
いては、手すり部４上に加わった荷重が支持アーム３を
介し便器本体２の側部の一軸固定部８に作用するが、そ
の力は該一軸固定部８を中心とするモーメント力とな
り、同支持アーム３の下端部分の支持部５が床部１上に
支持固定されることで、該床部１の支持固定個所でも受
けられることになって、同手すり部４は強固に支持さ
れ、支持個所が分散されて一軸固定部８を有する固定片
12やこれが取着固定される同便器本体２等が破損する恐
れもない。

【００２０】それ故、両側に配設される手すり部４で安
心して身体を確実に支えることができ、便器本体２の排
便用開口部９上で、便座14上に座ったりこれから立ち上
がったりする際に、両手すり部４を持って安全且つ楽に
動作することができる。更には、支持アーム３及び手す
り部４が便器本体２の後端部上で邪魔になり難く、該便
器本体２の後端部上にロータンク11及びその前側に洗浄
便座装置16を支障なく設置することができる。しかも、
支持アーム３及び手すり部４は便器本体２の周辺の床部
１上でも邪魔になり難く、該周辺の床部１がスッキリと
した外観に納まって掃除も楽に行うことができるように
なり、又、同便器本体２には車椅子でも支障なく近づく
ことができて、該車椅子、便器本体２間の乗り移りも容
易に行うことができ、よって、高齢者や身体の不自由な
人にとって最適なものとなる。

【００２１】又、該実施形態の着座式便器においては、
支持アーム３の下端部分の支持部５が、便器本体２の後
部下端周縁に一体に突設されたフランジ部６と共に、支
持具17及び固着具７で結合されて床部１上に支持固定さ
れるので、該支持部５の支持固定作業を、同便器本体２
を床部１に設置固定する作業と一緒にして簡単に行うこ
とができる。又、支持アーム３の支持部５が便器本体２
のフランジ部６を介して床部１上に支持固定されること
で、該床部１を傷つけることもない。

【００２２】図３は、本発明の請求項１〜３に対応する
別の実施形態を示し、該実施形態の着座式便器において
は、便器本体２の両側部に配設された両支持アーム３の
下端部分を、支持部５を介して連設一体化している。こ
の場合も、支持部５は、便器本体２の後部下端周縁に一
体に突設されたフランジ部６と共に、支持具17で結合さ
れて床部１上に支持固定されている。

【００２３】したがって、この場合は特に、両側の手す
り部４で片側だけの場合に比してより確実に身体を支え
ることができるのはもちろん、両支持アーム３の下端部
分が支持部５を介して連設一体化されるので、床部１に
対しては同支持部５一か所の支持固定作業で済み、しか
も、両側の手すり部４は相互に均等で安定した支持状態
となる。

【００２４】又、該実施形態の着座式便器においては、
便器本体２の後端部上に温水タンクを内蔵した洗浄便座
装置16のみが設置固定されている。又、便器本体２の側
部外面に支持アーム３の中程がピン固定されており、該
ピン固定部分が一軸固定部８となる。又、支持アーム３
の上端部分に枢支具18を介して手すり部４が回動自在に
付設されており、該手すり部４は水平状態と起立状態と
の間で回動され得るもので、同手すり部４を不必要時に
邪魔にならないよう起立状態にして納めることができ
る。なお、それ以外は、上記実施形態と同様に構成され
ており、上記実施形態におけると同様の作用効果が奏さ
れる。

【００２５】図４は、本発明の請求項１、３、４に対応
する別の実施形態を示し、該実施形態の着座式便器にお
いては、支持アーム３の他端側を下方前側へ垂設し、支
持部５を一軸固定部８よりも前方位置で便器本体２の前
側となる床部１上に支持固定している。この場合、便器
本体２の両側部に配設された両支持アーム３の下端部分
が、支持部５を介して連設一体化されているので、該一
つの支持部５が床部１上に支持固定されることになり、
該支持固定作業は簡単で、両側の手すり部４も相互に均
等で安定した支持状態となる。

【００２６】したがって、この場合は特に、支持アーム
３の下端部分の支持部５が一軸固定部８よりも前方位置
で便器本体２の前側となるので、手すり部４上に加わっ
た荷重によるモーメント力が同支持部５では床部１を押
す方向に作用して強固に受けられ、該床部１での支持固
定構造を簡略化しても十分な支持強度を得ることがで
き、該実施形態の着座式便器においては、前記一つの支
持部５を床部１上面に直接当止させるだけの簡単な支持
固定構造となっている。なお、それ以外は、上記図１、
２に示した実施形態と同様に構成されており、同上記実
施形態におけると同様の作用効果が奏される。

【００２７】

【発明の効果】上述の如く、本発明の請求項１記載の着
座式便器においては、便器本体の側部と床部とで支持ア
ームが支持固定されて手すり部は強固に支持され、同便
器本体が破損する恐れもなくなり、同手すり部で安心し
て身体を確実に支えることができる。しかも、便器本体
の後端部上にロータンクや洗浄便座装置等を支障なく設
置することができ、該便器本体の周辺の床部がスッキリ
とした外観に納まって掃除も楽に行うことができるよう
になり、同便器本体には車椅子でも支障なく近づくこと
ができる。

【００２８】又、本発明の請求項２記載の着座式便器に
おいては、特に、支持アームの支持部を床部に支持固定
させる作業を、該床部に便器本体を設置固定する作業と
して簡単に行うことができ、その際、該便器本体のフラ
ンジ部が介在されて、同床部に傷をつけることもない。

【００２９】又、本発明の請求項３記載の着座式便器に
おいては、特に、両側の手すり部でより確実に身体を支
えることができ、床部に対しては支持部一か所の支持固
定作業で済み、同両側の手すり部は相互に均等で安定し
た支持状態となる。

【００３０】又、本発明の請求項４記載の着座式便器に
おいては、手すり部上に加わった荷重によるモーメント
力が床部を押す方向に作用して強固に受けられ、該床部
での支持固定構造を簡略化しても十分な支持強度を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態である着座式便器を示す斜
視図。

【図２】同着座式便器の使用状態を示す側面図。

【図３】別の実施形態である着座式便器の使用状態を示
す斜視図。

【図４】更に別の実施形態である着座式便器の使用状態
を示す斜視図。

【図５】従来例である着座式便器を示す斜視図。

【図６】従来の改善例である着座式便器を示す斜視図。

【符号の説明】

１ 床部 ２ 便器本体 ３ 支持アーム ４ 手すり部 ５ 支持部 ６ フランジ部 ７ 固着具 ８ 一軸固定部

フロントページの続き (72)発明者 奥村 勝之 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 中村 隆宏 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 西崎 喜弘 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 松下 芳朗 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 佐藤 靖史 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Ｆターム(参考） 2D037 AA02 BA16 2D039 AA02 AE01

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 床部に設置固定される便器本体の側部に
   支持アームの中程を一軸固定し、該支持アームの一端側
   を上方へ立設してその上端部分に前方へ延出した略水平
   な手すり部を形成し、同支持アームの他端側を下方へ垂
   設してその下端部分を支持部となして床部上に支持固定
   してなる着座式便器。
2. 【請求項２】 便器本体の後部下端周縁にフランジ部を
   一体に突設し、該フランジ部と支持アームの支持部とを
   固着具で結合させて床部上に支持固定したことを特徴と
   する請求項１記載の着座式便器。
3. 【請求項３】 便器本体の両側部に支持アームを配設
   し、両支持アームの下端部分を支持部を介して連設一体
   化したことを特徴とする請求項１記載の着座式便器。
4. 【請求項４】 支持アームの他端側を下方前側へ垂設
   し、支持部を一軸固定部よりも前方位置で床部上に支持
   固定したことを特徴とする請求項１記載の着座式便器。