JP2000157290A - 細胞死を調節する方法 - Google Patents
細胞死を調節する方法Info
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- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 細胞死を調節すること
【解決手段】 タバコDS9遺伝子などの細胞死調節遺伝
子を単離し、植物発現ベクターに組み込み、これらの遺
伝子を植物で発現させることにより、細胞死の調節が可
能な植物を取得した。
子を単離し、植物発現ベクターに組み込み、これらの遺
伝子を植物で発現させることにより、細胞死の調節が可
能な植物を取得した。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞死を調節する
方法に関する。さらに詳しくは、細胞死調節遺伝子の発
現レベルを調節することにより、様々な環境ストレスに
対して、植物に抵抗性を付与する方法に関する。
方法に関する。さらに詳しくは、細胞死調節遺伝子の発
現レベルを調節することにより、様々な環境ストレスに
対して、植物に抵抗性を付与する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物は、病原体(例えば、ウイルス、細
菌、糸状菌およびウイロイド)に感染すると、1)病原
体が全身に広がって、増殖することにより病気になる
か、または、2)感染部位に病原体を封じ込め、全身へ
の広がりを抑えることにより病原体に対して抵抗性にな
るかのいずれかの反応を示す。病原体に対する植物の後
者のような反応は、超過敏反応(hypersensitive respo
nse、HR)と呼ばれる。この反応においては、感染した
部位に局所的な細胞死が生じ、壊死病斑が形成されるこ
とが知られている。このような病原体感染に伴う壊死病
斑形成は植物の典型的な抵抗性反応であり、プログラム
細胞死と考えられる。しかし、その分子機構はほとんど
解っていない。
菌、糸状菌およびウイロイド)に感染すると、1)病原
体が全身に広がって、増殖することにより病気になる
か、または、2)感染部位に病原体を封じ込め、全身へ
の広がりを抑えることにより病原体に対して抵抗性にな
るかのいずれかの反応を示す。病原体に対する植物の後
者のような反応は、超過敏反応(hypersensitive respo
nse、HR)と呼ばれる。この反応においては、感染した
部位に局所的な細胞死が生じ、壊死病斑が形成されるこ
とが知られている。このような病原体感染に伴う壊死病
斑形成は植物の典型的な抵抗性反応であり、プログラム
細胞死と考えられる。しかし、その分子機構はほとんど
解っていない。
【0003】HRは、全ての植物において生じるわけでは
ない。植物において、感染した病原体に由来する病原性
遺伝子の産物を認識する遺伝子が、内因的に存在する場
合に生じる。このような遺伝子が存在しない場合、HRは
生じず、植物は病原体感染に対して非抵抗性である。
ない。植物において、感染した病原体に由来する病原性
遺伝子の産物を認識する遺伝子が、内因的に存在する場
合に生じる。このような遺伝子が存在しない場合、HRは
生じず、植物は病原体感染に対して非抵抗性である。
【0004】タバコモザイクウイルス(TMV)感染に対
するタバコのHRは、従来から植物のHRを研究するために
用いられてきたモデル系である。
するタバコのHRは、従来から植物のHRを研究するために
用いられてきたモデル系である。
【0005】N遺伝子は、TMVの感染によるHR(すなわ
ち、細胞死)に関与する細胞死調節遺伝子の1つであ
る。TMV感染に対して、N遺伝子を有するタバコ(NNタ
バコ)はHRを生じるが、N遺伝子を有さないタバコ(nn
タバコ)はHRを生じない(Holmes, Phytopathology 28,
553, (1938))ことが報告されている。NNタバコのHR
は、24℃以下の温度においてのみ生じ、28℃以上では生
じない。それゆえ、N遺伝子および温度条件の両方が、
TMVに感染した細胞におけるHRの誘発に必須であると考
えられてきた。
ち、細胞死)に関与する細胞死調節遺伝子の1つであ
る。TMV感染に対して、N遺伝子を有するタバコ(NNタ
バコ)はHRを生じるが、N遺伝子を有さないタバコ(nn
タバコ)はHRを生じない(Holmes, Phytopathology 28,
553, (1938))ことが報告されている。NNタバコのHR
は、24℃以下の温度においてのみ生じ、28℃以上では生
じない。それゆえ、N遺伝子および温度条件の両方が、
TMVに感染した細胞におけるHRの誘発に必須であると考
えられてきた。
【0006】しかし、本発明者らの研究により、アクチ
ノマシシンD(AMD)および熱(50℃、2分)で処理した
場合、通常はHRを生じない30℃の温度条件下でも、NNタ
バコにおいて、TMV感染に対するHRが誘発されることが
見出された。さらに、TMV感染に対するHRは、AMDおよび
熱での同様な処理によって、N遺伝子を有さないnnタバ
コにおいても誘発された。これらにより、TMV感染に対
する細胞死が、N遺伝子の存在および非存在、ならびに
温度とは無関係に生じ得ることが明らかになった(Shim
omuraおよびOhashi, Virology, 43, 531,(1971);Oha
shiおよびShimomura, Virology, 48, 601(1972))。AM
Dは核におけるDNA依存性のRNA合成を阻害することが知
られている。従って、植物において新規な細胞調節遺伝
子が存在し、その転写および引き続くタンパク質合成の
抑制によりHRが誘発される可能性が示された。
ノマシシンD(AMD)および熱(50℃、2分)で処理した
場合、通常はHRを生じない30℃の温度条件下でも、NNタ
バコにおいて、TMV感染に対するHRが誘発されることが
見出された。さらに、TMV感染に対するHRは、AMDおよび
熱での同様な処理によって、N遺伝子を有さないnnタバ
コにおいても誘発された。これらにより、TMV感染に対
する細胞死が、N遺伝子の存在および非存在、ならびに
温度とは無関係に生じ得ることが明らかになった(Shim
omuraおよびOhashi, Virology, 43, 531,(1971);Oha
shiおよびShimomura, Virology, 48, 601(1972))。AM
Dは核におけるDNA依存性のRNA合成を阻害することが知
られている。従って、植物において新規な細胞調節遺伝
子が存在し、その転写および引き続くタンパク質合成の
抑制によりHRが誘発される可能性が示された。
【0007】このような細胞死調節遺伝子が同定されれ
ば、その発現レベルをコントロールすることにより、植
物細胞死を調節(促進または抑制)することが可能であ
ると考えられる。特に、細胞死を調節することにより、
環境ストレスに対する抵抗性を植物に付与することは、
農業の分野において重要な課題である。
ば、その発現レベルをコントロールすることにより、植
物細胞死を調節(促進または抑制)することが可能であ
ると考えられる。特に、細胞死を調節することにより、
環境ストレスに対する抵抗性を植物に付与することは、
農業の分野において重要な課題である。
【0008】しかし、このような細胞死調節遺伝子はこ
れまでに同定されておらず、発現レベルを調節して細胞
死を促進または抑制することにより、環境ストレスに対
して抵抗性を付与するという研究は、全くなされていな
いのが現状である。
れまでに同定されておらず、発現レベルを調節して細胞
死を促進または抑制することにより、環境ストレスに対
して抵抗性を付与するという研究は、全くなされていな
いのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解決するためのものであり、その目的とするところは、
細胞死調節遺伝子の発現レベルを調節して、細胞死を促
進または抑制する方法を提供することにある。また、本
発明は、細胞死を調節することにより、環境ストレス
(例えば、病害体感染)に対して抵抗性が付与された植
物を作出する方法を提供する。さらに、本発明は、細胞
死調節遺伝子の選択的な阻害剤をスクリーニングする方
法を提供する。
解決するためのものであり、その目的とするところは、
細胞死調節遺伝子の発現レベルを調節して、細胞死を促
進または抑制する方法を提供することにある。また、本
発明は、細胞死を調節することにより、環境ストレス
(例えば、病害体感染)に対して抵抗性が付与された植
物を作出する方法を提供する。さらに、本発明は、細胞
死調節遺伝子の選択的な阻害剤をスクリーニングする方
法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、DS9もしくは
そのホモログをコードする遺伝子、または、その一部を
含むポリヌクレオチドで植物細胞を形質転換する工程、
および上記の形質転換した植物細胞を再分化させて植物
を得る工程、を包含する、植物において細胞死を調節す
る方法に関する。上記のDS9もしくはそのホモログはATP
依存性Zn型メタロプロテアーゼであり、上記のポリヌク
レオチドは、植物細胞中でATP依存性Zn型メタロプロテ
アーゼの産生を減少または増大させ、それによって植物
中の細胞の細胞死が促進、または抑制される。DS9もし
くはそのホモログをコードする遺伝子、またはその一部
を含むポリヌクレオチドは、公知の遺伝子組換え技術に
より、植物細胞中の核内のDNAに組み込まれて存在す
る。なお、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの重合体
を意味し、特定の鎖長に限定されない。
そのホモログをコードする遺伝子、または、その一部を
含むポリヌクレオチドで植物細胞を形質転換する工程、
および上記の形質転換した植物細胞を再分化させて植物
を得る工程、を包含する、植物において細胞死を調節す
る方法に関する。上記のDS9もしくはそのホモログはATP
依存性Zn型メタロプロテアーゼであり、上記のポリヌク
レオチドは、植物細胞中でATP依存性Zn型メタロプロテ
アーゼの産生を減少または増大させ、それによって植物
中の細胞の細胞死が促進、または抑制される。DS9もし
くはそのホモログをコードする遺伝子、またはその一部
を含むポリヌクレオチドは、公知の遺伝子組換え技術に
より、植物細胞中の核内のDNAに組み込まれて存在す
る。なお、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの重合体
を意味し、特定の鎖長に限定されない。
【0011】1つの実施態様においては、上記のポリヌ
クレオチドは、上記のDS9もしくはそのホモログをコー
ドする遺伝子、またはその一部をアンチセンスで含み、
上記の植物中の細胞の細胞死が促進される。
クレオチドは、上記のDS9もしくはそのホモログをコー
ドする遺伝子、またはその一部をアンチセンスで含み、
上記の植物中の細胞の細胞死が促進される。
【0012】本発明はまた、DS9もしくはそのホモログ
をコードする遺伝子、またはその一部を含むポリヌクレ
オチドで植物細胞を形質転換する工程、および上記の形
質転換した植物細胞を再分化させて植物を得る工程を包
含する、植物に環境ストレスに対する抵抗性を付与する
方法に関する。ここで、上記のDS9もしくはそのホモロ
グは、ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼであり、上記
のポリヌクレオチドは、植物細胞中でATP依存性Zn型メ
タロプロテアーゼの産生を減少または増大させる。
をコードする遺伝子、またはその一部を含むポリヌクレ
オチドで植物細胞を形質転換する工程、および上記の形
質転換した植物細胞を再分化させて植物を得る工程を包
含する、植物に環境ストレスに対する抵抗性を付与する
方法に関する。ここで、上記のDS9もしくはそのホモロ
グは、ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼであり、上記
のポリヌクレオチドは、植物細胞中でATP依存性Zn型メ
タロプロテアーゼの産生を減少または増大させる。
【0013】1つの実施態様においては、上記の環境ス
トレスは、病原体感染である。
トレスは、病原体感染である。
【0014】1つの実施態様においては、上記のポリヌ
クレオチドは、上記のDS9もしくはそのホモログをコー
ドする遺伝子、またはその一部をアンチセンスで含む。
クレオチドは、上記のDS9もしくはそのホモログをコー
ドする遺伝子、またはその一部をアンチセンスで含む。
【0015】1つの実施態様においては、上記のホモロ
グが、DS9に対して、ATPase領域において約70%以上の相
同性を有する。
グが、DS9に対して、ATPase領域において約70%以上の相
同性を有する。
【0016】さらに、本発明は、DS9もしくはそのホモ
ログをコードする遺伝子を有する発現系に、阻害剤候補
物質を導入する工程、および、上記の発現系においてDS
9またはそのホモログの産生が選択的に減少したか否か
を同定する工程、を包含する、DS9もしくはそのホモロ
グをコードする遺伝子の選択的な阻害剤をスクリーニン
グする方法に関する。ここで、上記のDS9もしくはその
ホモログは、ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼであ
る。
ログをコードする遺伝子を有する発現系に、阻害剤候補
物質を導入する工程、および、上記の発現系においてDS
9またはそのホモログの産生が選択的に減少したか否か
を同定する工程、を包含する、DS9もしくはそのホモロ
グをコードする遺伝子の選択的な阻害剤をスクリーニン
グする方法に関する。ここで、上記のDS9もしくはその
ホモログは、ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼであ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは、高等植物から新た
に単離したATP依存性Zn型メタロプロテアーゼの1種で
あるDS9およびそのホモログが、細胞死を調節する因子
であることを解明した。この調節は、例えば、環境スト
レス下においてDS9またはそのホモログの産生が抑制さ
れることにより、植物細胞における細胞死が誘発される
ことで行われる。本発明は、この新規な知見に基づいて
完成された。
に単離したATP依存性Zn型メタロプロテアーゼの1種で
あるDS9およびそのホモログが、細胞死を調節する因子
であることを解明した。この調節は、例えば、環境スト
レス下においてDS9またはそのホモログの産生が抑制さ
れることにより、植物細胞における細胞死が誘発される
ことで行われる。本発明は、この新規な知見に基づいて
完成された。
【0018】本発明者らは、タバコにおいてHRが生じる
際に特異的に発現する6つのクローンを単離した。単離
したクローンの1つを「DS9遺伝子」と名付け、その全
塩基配列を決定した。
際に特異的に発現する6つのクローンを単離した。単離
したクローンの1つを「DS9遺伝子」と名付け、その全
塩基配列を決定した。
【0019】DS9遺伝子がコードする推定のアミノ酸配
列について、ホモロジー検索を行った。その結果、ATP
依存性Zn型メタロプロテアーゼである、大腸菌のFtsH、
酵母のOsd1p、シロイヌナズナのArFtsH、およびレッド
ペパーのPftfのアミノ酸配列と、それぞれ、40%、30%、
79%および42%の相同性を示した。特に、ATPaseに特有の
保存性領域において相同性が高かった。表1は、本発明
におけるDS9と、大腸菌のFtsH、酵母のOsd1p、シロイヌ
ナズナのArFtsH、およびレッドペパーのPftfとの間のア
ミノ酸配列を比較した表である。各アミノ酸は1文字表
記で表している。
列について、ホモロジー検索を行った。その結果、ATP
依存性Zn型メタロプロテアーゼである、大腸菌のFtsH、
酵母のOsd1p、シロイヌナズナのArFtsH、およびレッド
ペパーのPftfのアミノ酸配列と、それぞれ、40%、30%、
79%および42%の相同性を示した。特に、ATPaseに特有の
保存性領域において相同性が高かった。表1は、本発明
におけるDS9と、大腸菌のFtsH、酵母のOsd1p、シロイヌ
ナズナのArFtsH、およびレッドペパーのPftfとの間のア
ミノ酸配列を比較した表である。各アミノ酸は1文字表
記で表している。
【0020】
【表1】
【0021】DS9には、他のATP依存性Zn型メタロプロテ
アーゼと同様に、N末端側の膜を貫通すると考えられる
疎水性領域(表中「WalkerモチーフA」および「Walker
モチーフB」で示す)、および中央部のATPase領域
(「SRH」で示す)、ならびにC末端側のZn2+結合モチ
ーフが存在した(図1)。また、大腸菌において組換え
発現したDS9は、実際にATPase活性を示した(図2)。
これらのことは、本発明におけるDS9が、ATP依存性Zn型
メタロプロテアーゼであることを示している。
アーゼと同様に、N末端側の膜を貫通すると考えられる
疎水性領域(表中「WalkerモチーフA」および「Walker
モチーフB」で示す)、および中央部のATPase領域
(「SRH」で示す)、ならびにC末端側のZn2+結合モチ
ーフが存在した(図1)。また、大腸菌において組換え
発現したDS9は、実際にATPase活性を示した(図2)。
これらのことは、本発明におけるDS9が、ATP依存性Zn型
メタロプロテアーゼであることを示している。
【0022】DS9遺伝子のHR誘発時における挙動を解析
した結果、DS9遺伝子は、HRが生じるまでの間に、転写
レベルおよび翻訳産物であるタンパク質量の両方におい
て抑制されていることが示された(図3および図4)。
TMV感染したNNタバコの葉においては、30℃から20℃へ
の温度シフト後1時間以内に、その転写レベルおよびタ
ンパク質量が減少した。一方、模似感染した葉において
は、DS9遺伝子の転写レベルおよびタンパク質量は一定
であった(実施例4および6を参照)。また、HRを誘発
することが知られているアクチノマイシン(A MD)およ
び熱ショック(HS)処理を行うと、DS9のタンパク質量
が劇的に減少した(実施例7を参照)。
した結果、DS9遺伝子は、HRが生じるまでの間に、転写
レベルおよび翻訳産物であるタンパク質量の両方におい
て抑制されていることが示された(図3および図4)。
TMV感染したNNタバコの葉においては、30℃から20℃へ
の温度シフト後1時間以内に、その転写レベルおよびタ
ンパク質量が減少した。一方、模似感染した葉において
は、DS9遺伝子の転写レベルおよびタンパク質量は一定
であった(実施例4および6を参照)。また、HRを誘発
することが知られているアクチノマイシン(A MD)およ
び熱ショック(HS)処理を行うと、DS9のタンパク質量
が劇的に減少した(実施例7を参照)。
【0023】上記実験結果に基づいて、本発明者らは、
DS9が植物において細胞死を調節する機能を有する因子
であることを確認し、その利用方法を開発するために、
さらに種々の実験を行った。その結果、以下のことを見
出した。
DS9が植物において細胞死を調節する機能を有する因子
であることを確認し、その利用方法を開発するために、
さらに種々の実験を行った。その結果、以下のことを見
出した。
【0024】1)壊死病斑形成の誘導における各種プロ
テアーゼ阻害剤の効果を試験した結果、メタロプロテア
ーゼ阻害剤を用いた場合においてのみ、TMV感染タバコ
において細胞死が誘導されたこと。
テアーゼ阻害剤の効果を試験した結果、メタロプロテア
ーゼ阻害剤を用いた場合においてのみ、TMV感染タバコ
において細胞死が誘導されたこと。
【0025】2)DS9が葉緑体に局在すること。
【0026】3)HRを生じるための条件とされている温
度にシフトしなくても、メタロプロテアーゼ阻害および
葉緑体の機能の低下のいずれの場合においてもHRが誘発
されること。
度にシフトしなくても、メタロプロテアーゼ阻害および
葉緑体の機能の低下のいずれの場合においてもHRが誘発
されること。
【0027】4)HR誘発における葉緑体の機能の低下
は、DS9タンパク質量の減少と相関すること。
は、DS9タンパク質量の減少と相関すること。
【0028】5)アンチセンス方向でDS9遺伝子を導入
して、DS9遺伝子の転写レベルおよびタンパク質量が減
少された植物においては、細胞死が促進されること。こ
のアンチセンス植物は、病害抵抗性を獲得したこと。
して、DS9遺伝子の転写レベルおよびタンパク質量が減
少された植物においては、細胞死が促進されること。こ
のアンチセンス植物は、病害抵抗性を獲得したこと。
【0029】6)センス方向でDS9遺伝子を導入してDS9
遺伝子の転写レベルおよびタンパク質量が増加された植
物においては、細胞死が抑制されること。このセンス植
物は、スーパーオキシド発生型除草剤に対して、耐性を
獲得したこと。
遺伝子の転写レベルおよびタンパク質量が増加された植
物においては、細胞死が抑制されること。このセンス植
物は、スーパーオキシド発生型除草剤に対して、耐性を
獲得したこと。
【0030】DS9ホモログであるFtsHは細菌由来であ
る。DS9が細菌起源とされる葉緑体において見出された
ことは、その起源を考える上で興味深い。DS9のホモロ
グであるArFtsHもまた、葉緑体に局在することが報告さ
れている(Lindahlら、The Journal of Biological Che
mistry. vol 271, pp29329-29334(1996))。従って、D
S9ホモログが、全般に葉緑体で機能している可能性が示
唆される。また、植物中で、DS9およびそのホモログ
は、同じく細菌起源と考えられるミトコンドリアにおい
ても機能をしていることが想定される。実際、酵母ミト
コンドリアでは、未会合のチトクロームCオキシダーゼ
のサブユニット2の分解にFtsHホモログが関与すること
が示されている(Nakai, Tら、Mol.Cell.Biol., 15, 44
41-4452 (1995))。
る。DS9が細菌起源とされる葉緑体において見出された
ことは、その起源を考える上で興味深い。DS9のホモロ
グであるArFtsHもまた、葉緑体に局在することが報告さ
れている(Lindahlら、The Journal of Biological Che
mistry. vol 271, pp29329-29334(1996))。従って、D
S9ホモログが、全般に葉緑体で機能している可能性が示
唆される。また、植物中で、DS9およびそのホモログ
は、同じく細菌起源と考えられるミトコンドリアにおい
ても機能をしていることが想定される。実際、酵母ミト
コンドリアでは、未会合のチトクロームCオキシダーゼ
のサブユニット2の分解にFtsHホモログが関与すること
が示されている(Nakai, Tら、Mol.Cell.Biol., 15, 44
41-4452 (1995))。
【0031】哺乳動物において、アポトーシスがミトコ
ンドリアにおける電子伝達系の阻害による膜電位の低下
によって引き起こされること、およびこの膜電位の低下
が細胞死抑制遺伝子産物であるBcl-2などにより阻害さ
れることが報告されている(Zamzami, N.ら、Exp. Me
d., 182, 367-377(1995))。また、哺乳動物におい
て、ミトコンドリアにおける電子伝達系が首尾良く機能
しない場合に細胞死が生じることは、Kripperら(The J
ournal of Biological Chemistry, 271, 21629, (199
6))およびQuillet-Maryら(The Journal of Biologica
l Chemistry, 272, 21388 , (1997))によっても報告さ
れている。一方、葉緑体において、ある種のプロテアー
ゼが働くことにより、その恒常性が維持されていること
が報告されている(Zatch Adam, Plant Molecular Biol
ogy 32:773-783, 1996)。
ンドリアにおける電子伝達系の阻害による膜電位の低下
によって引き起こされること、およびこの膜電位の低下
が細胞死抑制遺伝子産物であるBcl-2などにより阻害さ
れることが報告されている(Zamzami, N.ら、Exp. Me
d., 182, 367-377(1995))。また、哺乳動物におい
て、ミトコンドリアにおける電子伝達系が首尾良く機能
しない場合に細胞死が生じることは、Kripperら(The J
ournal of Biological Chemistry, 271, 21629, (199
6))およびQuillet-Maryら(The Journal of Biologica
l Chemistry, 272, 21388 , (1997))によっても報告さ
れている。一方、葉緑体において、ある種のプロテアー
ゼが働くことにより、その恒常性が維持されていること
が報告されている(Zatch Adam, Plant Molecular Biol
ogy 32:773-783, 1996)。
【0032】これらを考慮すれば、本発明において調節
される細胞死の機構は、下記のように説明することがで
きる。もっともこれは、本発明の方法の範囲が、以下の
機構によって限定または束縛されることを意図するもの
ではない。
される細胞死の機構は、下記のように説明することがで
きる。もっともこれは、本発明の方法の範囲が、以下の
機構によって限定または束縛されることを意図するもの
ではない。
【0033】メタロプロテアーゼであるDS9またはその
ホモログは、未会合タンパク質または異常タンパク質な
どを分解することによって、葉緑体およびミトコンドリ
アの恒常性を維持している。環境ストレス下に植物がお
かれると、葉緑体およびミトコンドリア中のDS9もしく
はそのホモログをコードする遺伝子の転写が抑制され、
翻訳産物のタンパク質レベル(すなわち活性レベル)が
低下した組織が現れる。これらの組織では、本発明者に
より示されたように細胞死が誘導される。葉緑体および
ミトコンドリアにおいて未会合タンパク質もしくは異常
タンパク質などが増加し、そしてこれらが蓄積されて、
葉緑体およびミトコンドリアの機能(ATPまたはNADPH生
産)の低下が引き起こされる。光合成の場である葉緑体
においては、この機能の低下により光エネルギーが首尾
良く葉緑体の中で処理されなくなり、その結果、活性酸
素が植物細胞内に発生する。このような細胞内の恒常性
の崩壊(電子伝達系の崩壊およびそれによる活性酸素の
蓄積)が生じることにより、細胞は最終的に死に至る。
DS9もしくはそのホモログはこれらの不要なタンパク質
を分解することによって細胞を死から救い、恒常性を維
持させるために機能していると考えられる。
ホモログは、未会合タンパク質または異常タンパク質な
どを分解することによって、葉緑体およびミトコンドリ
アの恒常性を維持している。環境ストレス下に植物がお
かれると、葉緑体およびミトコンドリア中のDS9もしく
はそのホモログをコードする遺伝子の転写が抑制され、
翻訳産物のタンパク質レベル(すなわち活性レベル)が
低下した組織が現れる。これらの組織では、本発明者に
より示されたように細胞死が誘導される。葉緑体および
ミトコンドリアにおいて未会合タンパク質もしくは異常
タンパク質などが増加し、そしてこれらが蓄積されて、
葉緑体およびミトコンドリアの機能(ATPまたはNADPH生
産)の低下が引き起こされる。光合成の場である葉緑体
においては、この機能の低下により光エネルギーが首尾
良く葉緑体の中で処理されなくなり、その結果、活性酸
素が植物細胞内に発生する。このような細胞内の恒常性
の崩壊(電子伝達系の崩壊およびそれによる活性酸素の
蓄積)が生じることにより、細胞は最終的に死に至る。
DS9もしくはそのホモログはこれらの不要なタンパク質
を分解することによって細胞を死から救い、恒常性を維
持させるために機能していると考えられる。
【0034】従って、種々の要因により、同様な細胞死
の機構は、植物細胞に限らず、真核細胞全般において存
在する可能性が予想される。
の機構は、植物細胞に限らず、真核細胞全般において存
在する可能性が予想される。
【0035】以下、本発明を詳しく説明する。
【0036】本発明者らは、上述のように、その発現レ
ベルに応じて、細胞死を促進または抑制する、細胞死調
節遺伝子の機能を解明し、これに基づいて本発明を完成
させた。
ベルに応じて、細胞死を促進または抑制する、細胞死調
節遺伝子の機能を解明し、これに基づいて本発明を完成
させた。
【0037】本発明は、細胞死調節遺伝子の発現レベル
を調節して、細胞死を促進または抑制する方法を提供す
る。本発明は、さらに、細胞死を調節することにより、
環境ストレスに対して抵抗性が付与された植物を作出す
る方法を提供する。
を調節して、細胞死を促進または抑制する方法を提供す
る。本発明は、さらに、細胞死を調節することにより、
環境ストレスに対して抵抗性が付与された植物を作出す
る方法を提供する。
【0038】本明細書において、「細胞死調節遺伝子」
とは、その発現レベルに応じて、細胞死を促進または抑
制する遺伝子をいう。DS9およびそのホモログをコード
する遺伝子、ならびにその一部は、本発明において意図
される細胞死調節遺伝子である。
とは、その発現レベルに応じて、細胞死を促進または抑
制する遺伝子をいう。DS9およびそのホモログをコード
する遺伝子、ならびにその一部は、本発明において意図
される細胞死調節遺伝子である。
【0039】遺伝子についての「発現」とは、DNAのmRN
Aへの転写をいう。mRNAへの転写の程度を発現レベルと
して示す。従って、転写が抑制される場合は発現レベル
が減少されることを、および転写が促進される場合は発
現レベルが増大されることをいう。
Aへの転写をいう。mRNAへの転写の程度を発現レベルと
して示す。従って、転写が抑制される場合は発現レベル
が減少されることを、および転写が促進される場合は発
現レベルが増大されることをいう。
【0040】「DS9」は、配列番号1に示されるアミノ
酸配列を有するATP依存性Zn型メタロプロテアーゼであ
る。「ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼ」とは、その
酵素作用のためにATPを必要とし、活性中心に2価の金
属イオン(代表的にはZn2+)を含むプロテアーゼをい
う。この酵素は、そのアミノ酸配列において、N末端側
に1つ以上の疎水性領域、C末端側に金属イオン結合領
域(代表的にはZn2+結合領域)、その中間にATPase領域
を有する。代表的には、N末端側に2つの疎水性領域を
有し、そしてC末端側にZn2+結合領域を有する。
酸配列を有するATP依存性Zn型メタロプロテアーゼであ
る。「ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼ」とは、その
酵素作用のためにATPを必要とし、活性中心に2価の金
属イオン(代表的にはZn2+)を含むプロテアーゼをい
う。この酵素は、そのアミノ酸配列において、N末端側
に1つ以上の疎水性領域、C末端側に金属イオン結合領
域(代表的にはZn2+結合領域)、その中間にATPase領域
を有する。代表的には、N末端側に2つの疎水性領域を
有し、そしてC末端側にZn2+結合領域を有する。
【0041】「DS9のホモログ」とは、DS9と同様のATP
依存性メタロプロテアーゼであって、DS9と比較して、
全アミノ酸配列について少なくとも約30%以上、好まし
くは約40%以上の相同性を有し、さらにATPase領域のア
ミノ酸配列について少なくとも約60%以上、好ましくは
約70%以上の相同性を有するタンパク質をいう。このよ
うなホモログとしては、大腸菌のFtsH、酵母のOsd1p、
シロイヌナズナのArFtsH、およびレッドペパーのPftfが
挙げられる。
依存性メタロプロテアーゼであって、DS9と比較して、
全アミノ酸配列について少なくとも約30%以上、好まし
くは約40%以上の相同性を有し、さらにATPase領域のア
ミノ酸配列について少なくとも約60%以上、好ましくは
約70%以上の相同性を有するタンパク質をいう。このよ
うなホモログとしては、大腸菌のFtsH、酵母のOsd1p、
シロイヌナズナのArFtsH、およびレッドペパーのPftfが
挙げられる。
【0042】DS9およびそのホモログをコードする天然
由来の遺伝子を単離する方法としては、例えば、mRNA量
の変化を示す遺伝子をクローニングするのに有効なディ
ファレンシャルスクリーニングを用い得る。ディファレ
ンシャルスクリーニングを行うための遺伝子ライブラリ
ーの作製法、プローブとのハイブリダイゼーションに使
用するストリンジェントな条件、および遺伝子のクロー
ニング法は当業者に周知である。例えば、マニアティス
らのMolecular Cloning, A Laboratory Manual、第2
版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spri
ng Harbor, New York(1989)を参照。
由来の遺伝子を単離する方法としては、例えば、mRNA量
の変化を示す遺伝子をクローニングするのに有効なディ
ファレンシャルスクリーニングを用い得る。ディファレ
ンシャルスクリーニングを行うための遺伝子ライブラリ
ーの作製法、プローブとのハイブリダイゼーションに使
用するストリンジェントな条件、および遺伝子のクロー
ニング法は当業者に周知である。例えば、マニアティス
らのMolecular Cloning, A Laboratory Manual、第2
版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spri
ng Harbor, New York(1989)を参照。
【0043】新規なDS9のホモログをコードする遺伝子
もまた、細胞死調節遺伝子として使用され得る。このよ
うな新規遺伝子は、DS9もしくは公知のそのホモログを
コードする遺伝子、またはその断片をプローブとして、
種々の生物の遺伝子ライブラリーから得ることができ
る。例えば、植物の遺伝子ライブラリー、大腸菌遺伝子
ライブラリー、および酵母遺伝子ライブラリーが使用さ
れ得る。ライブラリーをスクリーニングするためのスト
リンジェントな条件は、当業者により適宜選択される。
もまた、細胞死調節遺伝子として使用され得る。このよ
うな新規遺伝子は、DS9もしくは公知のそのホモログを
コードする遺伝子、またはその断片をプローブとして、
種々の生物の遺伝子ライブラリーから得ることができ
る。例えば、植物の遺伝子ライブラリー、大腸菌遺伝子
ライブラリー、および酵母遺伝子ライブラリーが使用さ
れ得る。ライブラリーをスクリーニングするためのスト
リンジェントな条件は、当業者により適宜選択される。
【0044】得られた遺伝子によりコードされるアミノ
酸配列が、DS9のホモログであるか否かは、得られた遺
伝子にコードされるアミノ酸配列とDS9のアミノ酸配列
とを、市販のコンピューター解析ソフト(例えば、Gene
Works(IntelliGenetics, Inc.))を使用してアライ
ンメントし、両者の相同性を調べることにより、容易に
決定され得る。
酸配列が、DS9のホモログであるか否かは、得られた遺
伝子にコードされるアミノ酸配列とDS9のアミノ酸配列
とを、市販のコンピューター解析ソフト(例えば、Gene
Works(IntelliGenetics, Inc.))を使用してアライ
ンメントし、両者の相同性を調べることにより、容易に
決定され得る。
【0045】DS9もしくはそのホモログをコードする遺
伝子(以下、必要に応じて「DS9関連遺伝子」とい
う)、またはその一部としては、天然由来の遺伝子だけ
でなく、人工的に合成した遺伝子またはその一部も用い
得る。
伝子(以下、必要に応じて「DS9関連遺伝子」とい
う)、またはその一部としては、天然由来の遺伝子だけ
でなく、人工的に合成した遺伝子またはその一部も用い
得る。
【0046】「その一部」とは、DS9またはそのホモロ
グの細胞死調節機能を再現するのに十分な程度の長さを
有する本発明における遺伝子の断片をいう。
グの細胞死調節機能を再現するのに十分な程度の長さを
有する本発明における遺伝子の断片をいう。
【0047】アンチセンスでDS9関連遺伝子を導入する
場合における「その一部」は、植物内において、その一
部から産生されるアンチセンスRNAが、センス鎖からな
るmRNAの翻訳を阻害するのに十分な相補性および長さを
有する断片をいう。断片は、当該植物中に存在する内因
性のDS9関連遺伝子の相補的な領域と、塩基配列レベル
で代表的には50%、好ましくは80%、より好ましくは90
%、さらにより好ましくは95%以上の同一性(センス鎖と
して)を有する。断片の長さは、代表的には約20ヌクレ
オチド以上であり、好ましくは約50ヌクレオチド以上、
より好ましくは約100ヌクレオチド以上、さらにより好
ましくは200ヌクレオチドである。
場合における「その一部」は、植物内において、その一
部から産生されるアンチセンスRNAが、センス鎖からな
るmRNAの翻訳を阻害するのに十分な相補性および長さを
有する断片をいう。断片は、当該植物中に存在する内因
性のDS9関連遺伝子の相補的な領域と、塩基配列レベル
で代表的には50%、好ましくは80%、より好ましくは90
%、さらにより好ましくは95%以上の同一性(センス鎖と
して)を有する。断片の長さは、代表的には約20ヌクレ
オチド以上であり、好ましくは約50ヌクレオチド以上、
より好ましくは約100ヌクレオチド以上、さらにより好
ましくは200ヌクレオチドである。
【0048】センスでDS9関連遺伝子を導入する場合に
おける「その一部」とは、発現産物であるDS9またはそ
のホモログがメタロプロテアーゼ活性を有するに十分な
領域をコードする配列を含む、当該遺伝子の断片をい
う。この断片は、好ましくは、メタロプロテアーゼの金
属イオン結合領域およびATPase領域をコードし、より好
ましくは、目的のオルガネラに存在するための領域をさ
らにコードする。
おける「その一部」とは、発現産物であるDS9またはそ
のホモログがメタロプロテアーゼ活性を有するに十分な
領域をコードする配列を含む、当該遺伝子の断片をい
う。この断片は、好ましくは、メタロプロテアーゼの金
属イオン結合領域およびATPase領域をコードし、より好
ましくは、目的のオルガネラに存在するための領域をさ
らにコードする。
【0049】DS9関連遺伝子、またはその一部は、細胞
死調節の目的に応じて、センスまたはアンチセンスで、
適切な植物発現ベクターに組み込まれて植物に導入され
得る。DS9関連遺伝子またはその一部をアンチセンスで
導入する場合、代表的には、細胞死が促進される。DS9
関連遺伝子またはその一部をセンスで導入する場合、代
表的には、細胞死が抑制される。もっとも、導入遺伝子
の発現レベルの程度に応じてコサプレッションが生じ得
ることは、当該分野において周知の事項である。コサプ
レッションは、導入遺伝子のmRNAが過剰に産生される結
果、導入遺伝子およびその相同遺伝子である内因性遺伝
子の発現レベルが、両方とも抑制されることにより導か
れ得る現象である。コサプレッションが生じると、DS9
関連遺伝子の発現レベルが抑制されて、細胞死が促進さ
れ得る。
死調節の目的に応じて、センスまたはアンチセンスで、
適切な植物発現ベクターに組み込まれて植物に導入され
得る。DS9関連遺伝子またはその一部をアンチセンスで
導入する場合、代表的には、細胞死が促進される。DS9
関連遺伝子またはその一部をセンスで導入する場合、代
表的には、細胞死が抑制される。もっとも、導入遺伝子
の発現レベルの程度に応じてコサプレッションが生じ得
ることは、当該分野において周知の事項である。コサプ
レッションは、導入遺伝子のmRNAが過剰に産生される結
果、導入遺伝子およびその相同遺伝子である内因性遺伝
子の発現レベルが、両方とも抑制されることにより導か
れ得る現象である。コサプレッションが生じると、DS9
関連遺伝子の発現レベルが抑制されて、細胞死が促進さ
れ得る。
【0050】当業者に明らかなように、コサプレッショ
ンにより本発明の効果が得られる場合には、上記の「そ
の一部」は、メタロプロテアーゼ活性を有するに十分な
領域をコードする必要はなく、アンチセンスの場合にお
ける「その一部」の定義が援用される。
ンにより本発明の効果が得られる場合には、上記の「そ
の一部」は、メタロプロテアーゼ活性を有するに十分な
領域をコードする必要はなく、アンチセンスの場合にお
ける「その一部」の定義が援用される。
【0051】本願発明の方法が適用される「植物」は、
単子葉植物および双子葉植物のいずれも含む。特に好ま
しい植物としては、タバコ、ピーマン、ナス、メロン、
トマト、サツマイモ、キャベツ、ネギ、ブロッコリー、
ニンジン、キウリ、柑橘類、白菜、レタス、モモ、イ
ネ、ジャガイモ、オオムギ、コムギおよびリンゴが挙げ
られる。また、特に他で示さない限り、植物は、植物
体、植物器官、植物組織、植物細胞、および種子のいず
れをも意味する。植物器官の例としては、根、葉、茎、
および花などが挙げられる。植物細胞の例としては、カ
ルスおよび懸濁培養細胞が挙げられる。
単子葉植物および双子葉植物のいずれも含む。特に好ま
しい植物としては、タバコ、ピーマン、ナス、メロン、
トマト、サツマイモ、キャベツ、ネギ、ブロッコリー、
ニンジン、キウリ、柑橘類、白菜、レタス、モモ、イ
ネ、ジャガイモ、オオムギ、コムギおよびリンゴが挙げ
られる。また、特に他で示さない限り、植物は、植物
体、植物器官、植物組織、植物細胞、および種子のいず
れをも意味する。植物器官の例としては、根、葉、茎、
および花などが挙げられる。植物細胞の例としては、カ
ルスおよび懸濁培養細胞が挙げられる。
【0052】本発明の方法に用い得る細胞死調節遺伝子
が、対象となる植物と同一種または近縁の種(例えば、
同一の属、または同一の科に分類される種)に由来する
ことは、好ましい態様であり得るが、必ずしも必要では
ない。
が、対象となる植物と同一種または近縁の種(例えば、
同一の属、または同一の科に分類される種)に由来する
ことは、好ましい態様であり得るが、必ずしも必要では
ない。
【0053】本発明に用いられる「ポリヌクレオチド」
は、DS9感染遺伝子またはその一部、および所望の形質
転換を達成するために必要な任意の付加的配列を有す
る。代表的には植物発現ベクターである。
は、DS9感染遺伝子またはその一部、および所望の形質
転換を達成するために必要な任意の付加的配列を有す
る。代表的には植物発現ベクターである。
【0054】「植物発現ベクター」とは、目的の遺伝子
の発現レベルを調節するプロモーターなどの種々の調節
エレメントが、宿主植物細胞中で作動し得る状態で連結
されている核酸配列の組換え構築物をいう。好適には、
植物プロモーター、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子な
どのマーカー遺伝子、およびエンハンサーを含み得る。
より好適には、複製起点を含み得る。植物発現ベクター
のタイプおよび使用される調節エレメントの好適な種類
が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知
の事項である。
の発現レベルを調節するプロモーターなどの種々の調節
エレメントが、宿主植物細胞中で作動し得る状態で連結
されている核酸配列の組換え構築物をいう。好適には、
植物プロモーター、ターミネーター、薬剤耐性遺伝子な
どのマーカー遺伝子、およびエンハンサーを含み得る。
より好適には、複製起点を含み得る。植物発現ベクター
のタイプおよび使用される調節エレメントの好適な種類
が、宿主細胞に応じて変わり得ることは、当業者に周知
の事項である。
【0055】当業者は、本発明の実施にあたって、プロ
モーター、エンハンサーなどの調節エレメントを適宜選
択することにより、細胞死の程度を調節し得る。
モーター、エンハンサーなどの調節エレメントを適宜選
択することにより、細胞死の程度を調節し得る。
【0056】本発明に用いる植物発現ベクターはさらに
T−DNA領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバ
クテリウムを用いて植物を形質転換する場合に遺伝子の
導入の効率を高める。
T−DNA領域を有し得る。T−DNA領域は、特にアグロバ
クテリウムを用いて植物を形質転換する場合に遺伝子の
導入の効率を高める。
【0057】「植物プロモーター」とは、植物細胞にお
いて機能し得るプロモーターをいう。例えば、タバコの
感染特異的タンパク質PR-1のプロモーター(以下、タバ
コPR-1プロモーターという)、熱ショックにより誘導さ
れるプロモーターなどの、ある種のストレスにより発現
が誘導されるプロモーター、カリフラワーモザイクウイ
ルス(CaMV)35Sプロモーター、ノパリン合成酵素のプロ
モーター(Pnos)のような恒常的なプロモーターなど
が挙げられるが、これらに限定されない。
いて機能し得るプロモーターをいう。例えば、タバコの
感染特異的タンパク質PR-1のプロモーター(以下、タバ
コPR-1プロモーターという)、熱ショックにより誘導さ
れるプロモーターなどの、ある種のストレスにより発現
が誘導されるプロモーター、カリフラワーモザイクウイ
ルス(CaMV)35Sプロモーター、ノパリン合成酵素のプロ
モーター(Pnos)のような恒常的なプロモーターなど
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】「ターミネーター」は、遺伝子のタンパク
質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写
される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配
列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して
遺伝子の発現レベルに影響を及ぼすことが知られてい
る。ターミネーターの例としては、CaMV35Sターミネー
ター、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tno
s)、タバコPR-1遺伝子のターミネーターが挙げられる
が、これに限定されない。
質をコードする領域の下流に位置し、DNAがmRNAに転写
される際の転写の終結、ポリA配列の付加に関与する配
列である。ターミネーターは、mRNAの安定性に関与して
遺伝子の発現レベルに影響を及ぼすことが知られてい
る。ターミネーターの例としては、CaMV35Sターミネー
ター、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター(Tno
s)、タバコPR-1遺伝子のターミネーターが挙げられる
が、これに限定されない。
【0059】「薬剤耐性遺伝子」は、形質転換植物の選
抜を容易にする遺伝子であることが望ましい。カナマイ
シン耐性を付与するためのネオマイシンフォスフォトラ
ンスフェレースII(NPTII)遺伝子、およびハイグロマイ
シン耐性を付与するためのハイグロマイシンフォスフォ
トランスフェレース遺伝子などが好適に用いられ得る。
抜を容易にする遺伝子であることが望ましい。カナマイ
シン耐性を付与するためのネオマイシンフォスフォトラ
ンスフェレースII(NPTII)遺伝子、およびハイグロマイ
シン耐性を付与するためのハイグロマイシンフォスフォ
トランスフェレース遺伝子などが好適に用いられ得る。
【0060】薬剤耐性遺伝子を発現させるプロモーター
の例としては、上記植物プロモーター、例えば、タバコ
PR-1プロモーター、CaMV35Sプロモーター、ノパリン合
成酵素プロモーターなどが挙げられるが、これらに限定
されない。
の例としては、上記植物プロモーター、例えば、タバコ
PR-1プロモーター、CaMV35Sプロモーター、ノパリン合
成酵素プロモーターなどが挙げられるが、これらに限定
されない。
【0061】「エンハンサー」は、目的遺伝子の発現効
率を高めるために用いられ得る。エンハンサーとして
は、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエン
ハンサー領域が好適である。エンハンサーは、1つの目
的遺伝子について複数個用いられ得る。
率を高めるために用いられ得る。エンハンサーとして
は、CaMV35Sプロモーター内の上流側の配列を含むエン
ハンサー領域が好適である。エンハンサーは、1つの目
的遺伝子について複数個用いられ得る。
【0062】植物発現ベクターの構築に用いるベクター
としては、pBI系のベクター、pUC系のベクターあるいは
pTRA系のベクターが好適に用いられ得る。
としては、pBI系のベクター、pUC系のベクターあるいは
pTRA系のベクターが好適に用いられ得る。
【0063】pBI系およびpTRA系のベクターは、アグロ
バクテリウムを介して植物に目的の遺伝子を導入し得
る。pBI系のバイナリーベクターまたは中間ベクター系
が好適に用いられ得る。例えば、pBI121、pBI101、pBI1
01.2、pBI101.3などが挙げられる。これらのベクター
は、植物に導入され得る領域(T-DNA領域)の遺伝子と、
マーカー遺伝子として植物プロモーターの支配下で発現
されるNPTII遺伝子(カナマイシン耐性を付与する)と
を含む。
バクテリウムを介して植物に目的の遺伝子を導入し得
る。pBI系のバイナリーベクターまたは中間ベクター系
が好適に用いられ得る。例えば、pBI121、pBI101、pBI1
01.2、pBI101.3などが挙げられる。これらのベクター
は、植物に導入され得る領域(T-DNA領域)の遺伝子と、
マーカー遺伝子として植物プロモーターの支配下で発現
されるNPTII遺伝子(カナマイシン耐性を付与する)と
を含む。
【0064】pUC系のベクターは、植物に遺伝子を直接
導入し得る。例えば、pUC18、pUC19、pUC9などが挙げら
れる。
導入し得る。例えば、pUC18、pUC19、pUC9などが挙げら
れる。
【0065】本発明の植物発現ベクターは、当業者に周
知の遺伝子組換え技術を用いて作製され得る。好適に
は、上記ベクターのプロモーター下流にDS9関連遺伝
子、またはその一部が、センスまたはアンチセンスで組
み込まれる。
知の遺伝子組換え技術を用いて作製され得る。好適に
は、上記ベクターのプロモーター下流にDS9関連遺伝
子、またはその一部が、センスまたはアンチセンスで組
み込まれる。
【0066】植物細胞への植物発現ベクターの導入に
は、当業者に周知の方法、例えば、アグロバクテリウム
を介する方法および直接細胞に導入する方法が用いられ
得る。アグロバクテリウムを介する方法としては、例え
ば、Nagelらの方法(Micribiol.Lett., 67, 325(1990))
が用いられ得る。この方法では、まず、例えば植物発現
ベクターでエレクトロポレーションによってアグロバク
テリウムを形質転換し、次いで、形質転換されたアグロ
バクテリウムをPlant Molecular Biology Manual(S. B.
Gelvinら、Academic Press Publishers)に記載の方法
で植物細胞に導入する方法である。植物発現ベクターを
直接細胞に導入する方法としては、エレクトロポレーシ
ョン法、遺伝子銃法の他、リン酸カルシウム法およびポ
リエチレングリコール(PEG)法などがある。これらの
方法は、当該分野において周知であり、形質転換する植
物に適した方法が、当業者により適宜選択され得る。
は、当業者に周知の方法、例えば、アグロバクテリウム
を介する方法および直接細胞に導入する方法が用いられ
得る。アグロバクテリウムを介する方法としては、例え
ば、Nagelらの方法(Micribiol.Lett., 67, 325(1990))
が用いられ得る。この方法では、まず、例えば植物発現
ベクターでエレクトロポレーションによってアグロバク
テリウムを形質転換し、次いで、形質転換されたアグロ
バクテリウムをPlant Molecular Biology Manual(S. B.
Gelvinら、Academic Press Publishers)に記載の方法
で植物細胞に導入する方法である。植物発現ベクターを
直接細胞に導入する方法としては、エレクトロポレーシ
ョン法、遺伝子銃法の他、リン酸カルシウム法およびポ
リエチレングリコール(PEG)法などがある。これらの
方法は、当該分野において周知であり、形質転換する植
物に適した方法が、当業者により適宜選択され得る。
【0067】植物発現ベクターを導入することにより形
質転換した細胞は、まずカナマイシン耐性などの薬剤耐
性を指標として選択される。次いで、常法により、植物
組織、植物器官および/または植物体に再分化され得
る。さらに、再生された植物体から種子が取得され得
る。このようにして、細胞死調節遺伝子を細胞内に有す
る植物が得られる。
質転換した細胞は、まずカナマイシン耐性などの薬剤耐
性を指標として選択される。次いで、常法により、植物
組織、植物器官および/または植物体に再分化され得
る。さらに、再生された植物体から種子が取得され得
る。このようにして、細胞死調節遺伝子を細胞内に有す
る植物が得られる。
【0068】得られた植物において、DS9関連遺伝子、
またはその一部が発現することにより、植物中の細胞の
細胞死が促進または抑制され得る。
またはその一部が発現することにより、植物中の細胞の
細胞死が促進または抑制され得る。
【0069】DS9またはそのホモログの産生(すなわ
ち、メタロプロテアーゼの産生)が減少された植物にお
いては、通常、細胞死が促進される。細胞死を起こす傾
向が適度に強められた植物においては、ある種の環境ス
トレスに対する抵抗性、特に、病斑形成による病害抵抗
性が示され得る。これは主として、局所的な細胞死が促
進されて感染領域で増殖する病原体が封じ込められるこ
とにより、感染部位の広がりが阻止されることによると
考えられる。もともと天然の植物においても、病原体感
染を受けた部位の細胞ではDS9のmRNAやタンパク質が減
少するので、その部位のみが細胞死を起こし得る。DS9
またはそのホモログの産生が減少するように作出された
形質転換植物においては、病原体感染細胞はさらに死に
やすくなり、その結果感染細胞の細胞死の反応が促進さ
れる(すなわち、抵抗性になる)。
ち、メタロプロテアーゼの産生)が減少された植物にお
いては、通常、細胞死が促進される。細胞死を起こす傾
向が適度に強められた植物においては、ある種の環境ス
トレスに対する抵抗性、特に、病斑形成による病害抵抗
性が示され得る。これは主として、局所的な細胞死が促
進されて感染領域で増殖する病原体が封じ込められるこ
とにより、感染部位の広がりが阻止されることによると
考えられる。もともと天然の植物においても、病原体感
染を受けた部位の細胞ではDS9のmRNAやタンパク質が減
少するので、その部位のみが細胞死を起こし得る。DS9
またはそのホモログの産生が減少するように作出された
形質転換植物においては、病原体感染細胞はさらに死に
やすくなり、その結果感染細胞の細胞死の反応が促進さ
れる(すなわち、抵抗性になる)。
【0070】DS9またはそのホモログの産生が増大され
た植物においては、通常、細胞死が抑制される。細胞死
を起こす傾向が適度に弱められた植物においても、様々
な環境ストレスに対する抵抗性が示され得る。環境スト
レス下に植物が曝されると、内因性のDS9関連遺伝子が
不活性化されて、それによりオルガネラの恒常性が維持
できなくなり、植物細胞中に有害な活性酸素が生じ得
る。本発明の方法により、DS9またはそのホモログの産
生が増大されてメタロプロテアーゼの活性値が上昇する
ことより、オルガネラ(例えば、ミトコンドリアおよび
葉緑体)の恒常性維持機能が向上する結果、活性酸素の
発生が低くおさえられて細胞死が抑制されると考えられ
る。
た植物においては、通常、細胞死が抑制される。細胞死
を起こす傾向が適度に弱められた植物においても、様々
な環境ストレスに対する抵抗性が示され得る。環境スト
レス下に植物が曝されると、内因性のDS9関連遺伝子が
不活性化されて、それによりオルガネラの恒常性が維持
できなくなり、植物細胞中に有害な活性酸素が生じ得
る。本発明の方法により、DS9またはそのホモログの産
生が増大されてメタロプロテアーゼの活性値が上昇する
ことより、オルガネラ(例えば、ミトコンドリアおよび
葉緑体)の恒常性維持機能が向上する結果、活性酸素の
発生が低くおさえられて細胞死が抑制されると考えられ
る。
【0071】本明細書において、「環境ストレス」と
は、自然界で植物が受け得る、その生育を妨げる任意の
ストレスをいう。環境ストレスの例としては、病原体感
染、強光、低温、凍結、乾燥、高温、高塩濃度、UV照
射、オゾン、および除草剤などが挙げられる。
は、自然界で植物が受け得る、その生育を妨げる任意の
ストレスをいう。環境ストレスの例としては、病原体感
染、強光、低温、凍結、乾燥、高温、高塩濃度、UV照
射、オゾン、および除草剤などが挙げられる。
【0072】環境ストレスに対しての「抵抗性の付与」
とは、植物に新たな抵抗性を付与すること、または既に
抵抗性を有する植物のその抵抗性を増強することをい
う。
とは、植物に新たな抵抗性を付与すること、または既に
抵抗性を有する植物のその抵抗性を増強することをい
う。
【0073】「病原体感染」とは、植物の病原因子によ
る感染をいい、ウイルス、ウイロイド、糸状菌および細
菌による感染を含む。
る感染をいい、ウイルス、ウイロイド、糸状菌および細
菌による感染を含む。
【0074】環境ストレスに対する抵抗性の有無は、植
物がある環境ストレス下におかれた場合の、形質転換植
物とコントロール植物との間に観察され得る差異を評価
することにより、確認できる。
物がある環境ストレス下におかれた場合の、形質転換植
物とコントロール植物との間に観察され得る差異を評価
することにより、確認できる。
【0075】例えば、病原体感染に対する形質転換植物
の病害抵抗性は、病原体(例えば、TMVなどのウイル
ス、およびキュウリ立ち枯れ病菌(Rhizoctonia solan
i)などの糸状菌)感染における、形質転換植物とコン
トロール植物との間の形態学的変化の差異として評価さ
れる。例えば、病原体感染後の形質転換植物において観
察され得る病斑の程度が、コントロール植物に比べて有
意に抑制されている場合は、その形質転換植物には抵抗
性が付与されている。
の病害抵抗性は、病原体(例えば、TMVなどのウイル
ス、およびキュウリ立ち枯れ病菌(Rhizoctonia solan
i)などの糸状菌)感染における、形質転換植物とコン
トロール植物との間の形態学的変化の差異として評価さ
れる。例えば、病原体感染後の形質転換植物において観
察され得る病斑の程度が、コントロール植物に比べて有
意に抑制されている場合は、その形質転換植物には抵抗
性が付与されている。
【0076】本発明に従って病原体感染に対する抵抗性
が付与された形質転換植物には、TMVに対する抵抗性お
よびキュウリ立ち枯れ病菌に対する抵抗性の少なくとも
1つについて抵抗性である植物が含まれる。
が付与された形質転換植物には、TMVに対する抵抗性お
よびキュウリ立ち枯れ病菌に対する抵抗性の少なくとも
1つについて抵抗性である植物が含まれる。
【0077】除草剤に対する形質転換植物の抵抗性は、
例えば、スーパーオキシド発生型除草剤(例えば、パラ
コート(商品名)(1,1-dimethyl-4,4-bipyridinium dic
hloride))などの公知の除草剤処理に対する抵抗性とし
て評価される。例えば、除草剤処理後の形質転換植物に
おいて、クロロフィルaおよびbの分解の程度が、コン
トロール植物に比べて有意に抑制されている場合は、そ
の形質転換植物は抵抗性が付与されている。
例えば、スーパーオキシド発生型除草剤(例えば、パラ
コート(商品名)(1,1-dimethyl-4,4-bipyridinium dic
hloride))などの公知の除草剤処理に対する抵抗性とし
て評価される。例えば、除草剤処理後の形質転換植物に
おいて、クロロフィルaおよびbの分解の程度が、コン
トロール植物に比べて有意に抑制されている場合は、そ
の形質転換植物は抵抗性が付与されている。
【0078】上述のように、(DS9に代表される)ATP依
存性Zn型メタロプロテアーゼによる細胞死の調節は、植
物に限らず真核生物全般においてその生体機能に深く関
与していることが示唆される。従って、DS9関連遺伝子
の選択的な阻害剤は、生体機能の選択的な抑制のための
手段として重要であり得る。例えば、このような阻害剤
は、農薬および医薬の候補物質として利用される。
存性Zn型メタロプロテアーゼによる細胞死の調節は、植
物に限らず真核生物全般においてその生体機能に深く関
与していることが示唆される。従って、DS9関連遺伝子
の選択的な阻害剤は、生体機能の選択的な抑制のための
手段として重要であり得る。例えば、このような阻害剤
は、農薬および医薬の候補物質として利用される。
【0079】DS9関連遺伝子の選択的な阻害剤のスクリ
ーニングは、DS9関連遺伝子を有する植物細胞に、阻害
剤候補物質を導入して、上記の植物細胞においてDS9ま
たはそのホモログの産生が選択的に減少したか否かを同
定することにより行われる。このスクリーニングの方法
を実施するための条件は、当業者により適宜選択され得
る。スクリーニングは、例えば、N遺伝子を有さないタ
バコにTMVを接種した後に阻害候補物質で処理した場合
に、TMV感染部に壊死病斑が形成されるかどうかを試験
することにより行われる。処理葉片のみにおいてTMV感
染部に壊死病斑が形成され、かつTMV感染していない処
理葉片においては有意な形態学的変化が認められない場
合には、この阻害剤候補物質はDS9関連遺伝子に対して
選択的であるとする。
ーニングは、DS9関連遺伝子を有する植物細胞に、阻害
剤候補物質を導入して、上記の植物細胞においてDS9ま
たはそのホモログの産生が選択的に減少したか否かを同
定することにより行われる。このスクリーニングの方法
を実施するための条件は、当業者により適宜選択され得
る。スクリーニングは、例えば、N遺伝子を有さないタ
バコにTMVを接種した後に阻害候補物質で処理した場合
に、TMV感染部に壊死病斑が形成されるかどうかを試験
することにより行われる。処理葉片のみにおいてTMV感
染部に壊死病斑が形成され、かつTMV感染していない処
理葉片においては有意な形態学的変化が認められない場
合には、この阻害剤候補物質はDS9関連遺伝子に対して
選択的であるとする。
【0080】例えば、スクリーニングに使用する植物細
胞は、任意の形態の植物中に存在する。好ましくは、遊
離の植物細胞として、インビトロで用いられる。植物細
胞は、好ましくは、DS9関連遺伝子を内因性の遺伝子と
して有する。阻害剤候補物質は、タンパク質、核酸、
糖、脂質などを含むが、これらに限定されない。植物細
胞への導入のために、当業者は阻害剤の種類に応じて、
適切な送達手段を選択し得る。
胞は、任意の形態の植物中に存在する。好ましくは、遊
離の植物細胞として、インビトロで用いられる。植物細
胞は、好ましくは、DS9関連遺伝子を内因性の遺伝子と
して有する。阻害剤候補物質は、タンパク質、核酸、
糖、脂質などを含むが、これらに限定されない。植物細
胞への導入のために、当業者は阻害剤の種類に応じて、
適切な送達手段を選択し得る。
【0081】阻害候補物質で処理した植物細胞において
DS9またはそのホモログの産生が減少したか否かは、当
業者に周知の方法により適宜同定され得る。例えば、ウ
ェスタンブロット解析により、阻害候補物質で処理した
植物細胞と未処理の植物細胞との間の、DS9またはその
ホモログのタンパク質量を比較することにより、容易に
決定され得る。DS9およびそのホモログの産生が有意に
減少した場合、その候補物質は、DS9関連遺伝子の阻害
剤であると考えられる。
DS9またはそのホモログの産生が減少したか否かは、当
業者に周知の方法により適宜同定され得る。例えば、ウ
ェスタンブロット解析により、阻害候補物質で処理した
植物細胞と未処理の植物細胞との間の、DS9またはその
ホモログのタンパク質量を比較することにより、容易に
決定され得る。DS9およびそのホモログの産生が有意に
減少した場合、その候補物質は、DS9関連遺伝子の阻害
剤であると考えられる。
【0082】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。この実施例で使用した制限酵素、プラスミドなどは
商業的な供給源から入手可能である。
る。この実施例で使用した制限酵素、プラスミドなどは
商業的な供給源から入手可能である。
【0083】(実施例1:DS-9遺伝子の単離)N. tabac
um cv. Samsun NNおよびSamsun nnを、温度を調節した
温室において、25℃、16時間の日長下、120μE/m2/sの
強度にて生長させた。TMVのOM株(農水省生物研ジーン
バンク)をこの実施例において使用した。温度シフトア
ッセイのために、タバコの葉を、葉の上部表皮と、10mM
リン酸緩衝液(pH7.0)中の十分な濃度のウイルス懸濁
物とを穏やかに擦り合わせ、Carborundum(600番、Kish
ida Chemicals, Osaka, Japan)を湿らして、30分間室
温に保ち、ウイルスの侵入を可能にすることによりTMV
を接種した。感染した葉を水で洗浄してCarborundumを
除去した後、それらを含む透明なプラスティックボック
スを、30℃で、24時間の日長下、60μE/m2/sの強度にて
維持したインキュベーターに移した。48時間インキュベ
ーションした後、20℃、60μE/m2/sの光強度で維持した
インキュベーターに移した。20℃および30℃両方のイン
キュベーションの間、湿らせたティッシュペーパーで覆
うことにより、葉柄に水を与えた。
um cv. Samsun NNおよびSamsun nnを、温度を調節した
温室において、25℃、16時間の日長下、120μE/m2/sの
強度にて生長させた。TMVのOM株(農水省生物研ジーン
バンク)をこの実施例において使用した。温度シフトア
ッセイのために、タバコの葉を、葉の上部表皮と、10mM
リン酸緩衝液(pH7.0)中の十分な濃度のウイルス懸濁
物とを穏やかに擦り合わせ、Carborundum(600番、Kish
ida Chemicals, Osaka, Japan)を湿らして、30分間室
温に保ち、ウイルスの侵入を可能にすることによりTMV
を接種した。感染した葉を水で洗浄してCarborundumを
除去した後、それらを含む透明なプラスティックボック
スを、30℃で、24時間の日長下、60μE/m2/sの強度にて
維持したインキュベーターに移した。48時間インキュベ
ーションした後、20℃、60μE/m2/sの光強度で維持した
インキュベーターに移した。20℃および30℃両方のイン
キュベーションの間、湿らせたティッシュペーパーで覆
うことにより、葉柄に水を与えた。
【0084】ディファレンシャルスクーリーニングを、
Seoら(Science, vol.270, 1995)に記載されるように行
った。簡単には、TMV(10μg/ml)で感染し、30℃から2
0℃に温度シフトした3時間後または52時間後に採集し
た葉からポリ(A)+RNAを単離した。これらのポリ(A)+RNA
から、放射標識した1本鎖cDNAプローブを2種類(プラ
スプローブ(温度シフト3時間後のポリ(A)+RNAから調
製)およびマイナスプローブ(温度シフト52時間後のポ
リ(A)+RNAから調製))合成した。次いで、プラスプロ
ーブの合成について使用したポリ(A)+RNAから常法によ
り調製したcDNAライブラリーに対して、これらの2種類
のプローブを用いて、ディファレンシャルスクリーニン
グを行った。その結果、6つのクローンがプラスプロー
ブにのみハイブリダイズすることが見出された。1つの
cDNAをDS9と名付けた。このcDNAを、製造業者(Strat a
gene)の使用説明書にしたがって、R408ヘルパーファー
ジで切り出し、そして再び環化させてpBluescript SK-
ファージミドベクターにサブクローニングした。
Seoら(Science, vol.270, 1995)に記載されるように行
った。簡単には、TMV(10μg/ml)で感染し、30℃から2
0℃に温度シフトした3時間後または52時間後に採集し
た葉からポリ(A)+RNAを単離した。これらのポリ(A)+RNA
から、放射標識した1本鎖cDNAプローブを2種類(プラ
スプローブ(温度シフト3時間後のポリ(A)+RNAから調
製)およびマイナスプローブ(温度シフト52時間後のポ
リ(A)+RNAから調製))合成した。次いで、プラスプロ
ーブの合成について使用したポリ(A)+RNAから常法によ
り調製したcDNAライブラリーに対して、これらの2種類
のプローブを用いて、ディファレンシャルスクリーニン
グを行った。その結果、6つのクローンがプラスプロー
ブにのみハイブリダイズすることが見出された。1つの
cDNAをDS9と名付けた。このcDNAを、製造業者(Strat a
gene)の使用説明書にしたがって、R408ヘルパーファー
ジで切り出し、そして再び環化させてpBluescript SK-
ファージミドベクターにサブクローニングした。
【0085】DS9の両方の鎖を、373A型 DNAシーケンサ
ー(Applied Biosystems)を用いてダイデオキシチェー
ンターミネーション法により配列決定した。核酸および
アミノ酸配列を、GENE WORKSソフトウエアシステム(In
telliGenetics)を用いて解析した。
ー(Applied Biosystems)を用いてダイデオキシチェー
ンターミネーション法により配列決定した。核酸および
アミノ酸配列を、GENE WORKSソフトウエアシステム(In
telliGenetics)を用いて解析した。
【0086】DS9 cDNAによりコードされるアミノ酸配列
は、ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼである、大腸菌
のFtsH、酵母のOsd1p、シロイヌナズナのArFtsH、およ
びレッドペパーのPftfのアミノ酸配列と、それぞれ、40
%、30%、79%および42%の相同性を示し、特にATPaseの保
存性領域において高かった。DS9は、他のATP依存性Zn型
メタロプロテアーゼと同様に、N末端側の膜を貫通する
と考えられる疎水性領域、および中央部のATPase領域、
C末端側のZn2+結合モチーフが存在した(図1)。
は、ATP依存性Zn型メタロプロテアーゼである、大腸菌
のFtsH、酵母のOsd1p、シロイヌナズナのArFtsH、およ
びレッドペパーのPftfのアミノ酸配列と、それぞれ、40
%、30%、79%および42%の相同性を示し、特にATPaseの保
存性領域において高かった。DS9は、他のATP依存性Zn型
メタロプロテアーゼと同様に、N末端側の膜を貫通する
と考えられる疎水性領域、および中央部のATPase領域、
C末端側のZn2+結合モチーフが存在した(図1)。
【0087】(実施例2:細菌における組換えGST-DS9
タンパク質の発現)GST-DS9融合遺伝子を作製するため
に、DS9コード領域(配列表の配列番号411〜2240)を、
プライマー:5'-ACGTGGATCCTTGAATGCTGTGAAAAAGGGTA-3'
および5'-ACGTGAATTCTTATGCCTATTTCTCTTGCATC-3'を用い
てPCRにより増幅した。BamHI-EcoRI断片をpGEX-2T(Pha
rmacia; Smith および Johnson, Gene, 67, 31(198
8))のBamHI部位およびEcoRI部位にサブクローニングし
て、GSTタンパク質のC末端に融合した。得られた構築
物(pGEX-DS9)をGST領域とDS9領域との間の接合部位周
辺を配列決定して、それぞれのコード領域がインフレー
ムで接合されていることを確認した。ほとんど全てのGS
T-DS9融合遺伝子がE.coliにおいて不溶性タンパク質と
して産生されたので、タンパク質を以下の手順のように
して不溶性画分から精製した。pGEX-DS9を、0.4mM IPTG
とともに、12時間インキュベートすることによりE.coli
株 JM109(Stratagene)において発現させた。細胞をペ
レット化し、洗浄し、そして緩衝液A(20mM Tris-HCl,
pH 8.0, 30mM NaCl, 10mM EDTA, 2mM フェニルメタン
スルホニルフルオリド(PMSF))中に懸濁した。10分の
1容量のリゾチーム(緩衝液A中の20mg/ml)を加えた
後、懸濁液を1時間氷上でインキュベートし、そして大
腸菌を超音波により破砕した。不溶性画分を6,000×g、
10分間、4℃での遠心分離により回収し、緩衝液B(20
mM Tris-HCl, pH7.5, 30mM NaCl)で3回洗浄した。次
いで、不溶性画分を8,000×g、10分間、4℃での遠心分
離により回収し、そして10mM EDTA(pH8.0)中に再懸濁
した。最終濃度が6.22Mになるように、8M グアニジン-
HCl(pH8.3)を添加した後、溶解物を、12,000×g、30
分間、4℃での遠心分離に供した。上清を、最初に緩衝
液C(2Mグアニジン-HCl, 0.2mM EDTA, pH 8.0, 5mM
β-メルカプトエタノール)に対して2時間、4℃にて
透析し、次いで、緩衝液D(20mM Tris-HCl, pH 7.5, 1
00mMNaCl, 0.5mM EDTA, 5mM EDTA, 5mM β-メルカプ
トエタノール)に対して4時間以上、4℃にて透析し
た。100,000×g、30分間、4℃での遠心分離による回収
後、SmithおよびJohnsonら(前出の文献)の方法に従っ
て、グルタチオン-アガロースビーズを用いる親和精製
に供した。タンパク質濃度は、Coomassie dye-based pr
otein assay kit(Bio-Rad)により決定した。
タンパク質の発現)GST-DS9融合遺伝子を作製するため
に、DS9コード領域(配列表の配列番号411〜2240)を、
プライマー:5'-ACGTGGATCCTTGAATGCTGTGAAAAAGGGTA-3'
および5'-ACGTGAATTCTTATGCCTATTTCTCTTGCATC-3'を用い
てPCRにより増幅した。BamHI-EcoRI断片をpGEX-2T(Pha
rmacia; Smith および Johnson, Gene, 67, 31(198
8))のBamHI部位およびEcoRI部位にサブクローニングし
て、GSTタンパク質のC末端に融合した。得られた構築
物(pGEX-DS9)をGST領域とDS9領域との間の接合部位周
辺を配列決定して、それぞれのコード領域がインフレー
ムで接合されていることを確認した。ほとんど全てのGS
T-DS9融合遺伝子がE.coliにおいて不溶性タンパク質と
して産生されたので、タンパク質を以下の手順のように
して不溶性画分から精製した。pGEX-DS9を、0.4mM IPTG
とともに、12時間インキュベートすることによりE.coli
株 JM109(Stratagene)において発現させた。細胞をペ
レット化し、洗浄し、そして緩衝液A(20mM Tris-HCl,
pH 8.0, 30mM NaCl, 10mM EDTA, 2mM フェニルメタン
スルホニルフルオリド(PMSF))中に懸濁した。10分の
1容量のリゾチーム(緩衝液A中の20mg/ml)を加えた
後、懸濁液を1時間氷上でインキュベートし、そして大
腸菌を超音波により破砕した。不溶性画分を6,000×g、
10分間、4℃での遠心分離により回収し、緩衝液B(20
mM Tris-HCl, pH7.5, 30mM NaCl)で3回洗浄した。次
いで、不溶性画分を8,000×g、10分間、4℃での遠心分
離により回収し、そして10mM EDTA(pH8.0)中に再懸濁
した。最終濃度が6.22Mになるように、8M グアニジン-
HCl(pH8.3)を添加した後、溶解物を、12,000×g、30
分間、4℃での遠心分離に供した。上清を、最初に緩衝
液C(2Mグアニジン-HCl, 0.2mM EDTA, pH 8.0, 5mM
β-メルカプトエタノール)に対して2時間、4℃にて
透析し、次いで、緩衝液D(20mM Tris-HCl, pH 7.5, 1
00mMNaCl, 0.5mM EDTA, 5mM EDTA, 5mM β-メルカプ
トエタノール)に対して4時間以上、4℃にて透析し
た。100,000×g、30分間、4℃での遠心分離による回収
後、SmithおよびJohnsonら(前出の文献)の方法に従っ
て、グルタチオン-アガロースビーズを用いる親和精製
に供した。タンパク質濃度は、Coomassie dye-based pr
otein assay kit(Bio-Rad)により決定した。
【0088】(実施例3:ATPase活性のアッセイ)DS9
がATPase活性を有するか否かを調べるために、37℃でAr
monら(The Journal of Biological Chemistry, 265, 2
0723(1990))により記載されるようにATPase活性の測
定を行った。ATP加水分解をアッセイするための、25μl
の反応混合物以下の成分を含んだ:50mM Tris-HCl(pH
7.6), 5mM MgCl2, 2mM ジチオスレイトール(DTT),
1mM ATP, 1mM [α-32P]ATP(約14 8TBq/mmol;ICN Bi
omedicals Inc.)および6μg/ml GST-DS9タンパク質を
含んだ。放射活性を、チェレンコフ放射によって常法に
より測定した。
がATPase活性を有するか否かを調べるために、37℃でAr
monら(The Journal of Biological Chemistry, 265, 2
0723(1990))により記載されるようにATPase活性の測
定を行った。ATP加水分解をアッセイするための、25μl
の反応混合物以下の成分を含んだ:50mM Tris-HCl(pH
7.6), 5mM MgCl2, 2mM ジチオスレイトール(DTT),
1mM ATP, 1mM [α-32P]ATP(約14 8TBq/mmol;ICN Bi
omedicals Inc.)および6μg/ml GST-DS9タンパク質を
含んだ。放射活性を、チェレンコフ放射によって常法に
より測定した。
【0089】結果を図2に示す。大腸菌内で発現させた
組換えDS9タンパク質は、ATPase活性を有することが示
された。
組換えDS9タンパク質は、ATPase活性を有することが示
された。
【0090】(実施例4:TMV感染NNタバコにおける温
度シフト後のDS9転写レベルの変動)TMV感染NNタバコに
おける温度シフト後のDS9の転写レベルの変動を調べる
ために、ノザン解析を行った。
度シフト後のDS9転写レベルの変動)TMV感染NNタバコに
おける温度シフト後のDS9の転写レベルの変動を調べる
ために、ノザン解析を行った。
【0091】タバコ(N. tabacum cv. Samsun NN)の葉
を、実施例1に記載のようにTMVで感染し、30℃で40時
間培養した後、20℃への温度シフトを行った。また、TM
Vで感染せず、傷のみをつけたタバコの葉をコントロー
ルとして用いた(模似)。
を、実施例1に記載のようにTMVで感染し、30℃で40時
間培養した後、20℃への温度シフトを行った。また、TM
Vで感染せず、傷のみをつけたタバコの葉をコントロー
ルとして用いた(模似)。
【0092】20℃に温度シフトした後、0、1、3、
4、8および24時間目の葉を回収し、全RNAを、Seoら
(前出の文献)の方法に従ってそれぞれ調製した。
4、8および24時間目の葉を回収し、全RNAを、Seoら
(前出の文献)の方法に従ってそれぞれ調製した。
【0093】DS9 cDNAについてはcDNAの3'非コード領
域に対応する部分DNA断片を、プローブとして用いた。
域に対応する部分DNA断片を、プローブとして用いた。
【0094】感染時特異的に発現する酸性タンパク質PR
-1をコードするcDNAおよび塩基性タンパク質PR-1をコー
ドするcDNAを、コントロールプローブとして用いた。酸
性タンパク質PR-1をコードするcDNAプローブは、Matsuo
kaら(Plant Physiology, 85, 942(1987))に従い、プ
ライマーA、5'-TACTAATTGAAACGACCTACGTCC-3';プラ
イマーB、5'-ATAATAATATCTGATCATACATCAAGC-3'を用
いて常法によりPCRを行って合成した。また、塩基性PR-
1タンパク質(Eyalら、Plant Molecular Biology 19, 5
89(1992))をコードするcDNAは、報告されている配列
データから設計した合成プライマー(プライマーA、5'
-ATCCCTTTGATTCCAAGGTTGG-3';プライマーB、5'-CAA
AACACATACATATACACACCTCC-3')を用いて、常法によりP
CRを行って合成した。
-1をコードするcDNAおよび塩基性タンパク質PR-1をコー
ドするcDNAを、コントロールプローブとして用いた。酸
性タンパク質PR-1をコードするcDNAプローブは、Matsuo
kaら(Plant Physiology, 85, 942(1987))に従い、プ
ライマーA、5'-TACTAATTGAAACGACCTACGTCC-3';プラ
イマーB、5'-ATAATAATATCTGATCATACATCAAGC-3'を用
いて常法によりPCRを行って合成した。また、塩基性PR-
1タンパク質(Eyalら、Plant Molecular Biology 19, 5
89(1992))をコードするcDNAは、報告されている配列
データから設計した合成プライマー(プライマーA、5'
-ATCCCTTTGATTCCAAGGTTGG-3';プライマーB、5'-CAA
AACACATACATATACACACCTCC-3')を用いて、常法によりP
CRを行って合成した。
【0095】ノザンハイブリダイゼーションを、Seoら
(前出の文献)に記載されるように行った。各ブロット
をXARフィルム(Kodak)に、Intensyfying Screen(Koda
k)を用いて、-80℃にて48時間、露光した。DS9転写産物
の相対的な強度をNIH Image 1.61(National Institute
of Health)プログラムを用いて決定した。
(前出の文献)に記載されるように行った。各ブロット
をXARフィルム(Kodak)に、Intensyfying Screen(Koda
k)を用いて、-80℃にて48時間、露光した。DS9転写産物
の相対的な強度をNIH Image 1.61(National Institute
of Health)プログラムを用いて決定した。
【0096】結果を図3に示す。HRが生じるまでの間
に、DS9遺伝子の転写が抑制されていることが見出され
た。TMV感染した葉においては、30℃から20℃への温度
シフト後1時間以内に、DS9 mRNAの発現レベルが減少し
た。さらに、温度シフト後8時間目には、DS9 mRNAの発
現は検出されなかった。一方、模似感染した葉は、DS9
遺伝子の転写は一定であり、抑制されなかった。
に、DS9遺伝子の転写が抑制されていることが見出され
た。TMV感染した葉においては、30℃から20℃への温度
シフト後1時間以内に、DS9 mRNAの発現レベルが減少し
た。さらに、温度シフト後8時間目には、DS9 mRNAの発
現は検出されなかった。一方、模似感染した葉は、DS9
遺伝子の転写は一定であり、抑制されなかった。
【0097】(実施例5:抗DS9タンパク質抗体の産
生)抗体産生のために、2匹のウサギに、実施例2で得
た組換えタンパク質(400μg/ウサギ)を腹腔内注射し
た。7日間の間にさらに3回の注射を行った(各100μg
/ウサギ)。抗血清を、最後の注射の2週間後に得、そ
して免疫グロブリン画分をProtein A-sepharoseカラム
(Pharmacia)におけるクロマトグラフィーにより精製
した。抗DS9抗体を含有する画分を、PBS(20mM KH2PO4,
140mM NaCl, pH7.4)に対して透析した。抗体を、画分
化したE.coliの全タンパク質を含むイムノブロットに対
する、DS9タンパク質との交差反応性について試験し
た。
生)抗体産生のために、2匹のウサギに、実施例2で得
た組換えタンパク質(400μg/ウサギ)を腹腔内注射し
た。7日間の間にさらに3回の注射を行った(各100μg
/ウサギ)。抗血清を、最後の注射の2週間後に得、そ
して免疫グロブリン画分をProtein A-sepharoseカラム
(Pharmacia)におけるクロマトグラフィーにより精製
した。抗DS9抗体を含有する画分を、PBS(20mM KH2PO4,
140mM NaCl, pH7.4)に対して透析した。抗体を、画分
化したE.coliの全タンパク質を含むイムノブロットに対
する、DS9タンパク質との交差反応性について試験し
た。
【0098】(実施例6:TMV感染NNタバコにおける温
度シフト後のDS9タンパク質量の変動)TMV感染NNタバコ
における温度シフト後のDS9タンパク質量の変動を調べ
るために、ウエスタンブロッティングを行った。
度シフト後のDS9タンパク質量の変動)TMV感染NNタバコ
における温度シフト後のDS9タンパク質量の変動を調べ
るために、ウエスタンブロッティングを行った。
【0099】タバコ(N. tabacum cv. Samsun NN)の葉
を、実施例1に記載のようにTMVで感染し、30℃で40時
間培養した後、20℃への温度シフトを行った。また、TM
Vで感染せず、傷のみをつけたものをコントロールとし
て用いた(模似)。
を、実施例1に記載のようにTMVで感染し、30℃で40時
間培養した後、20℃への温度シフトを行った。また、TM
Vで感染せず、傷のみをつけたものをコントロールとし
て用いた(模似)。
【0100】20℃に温度シフトした後、0、3、4、6
時間目(模似については、0および6時間目)、の葉を
回収した。回収した葉から常法により得たタンパク質サ
ンプルを、8% SDS-ポリアクリルアミドゲルにより分離
し、そして25mM Tris、192mMグリシン、および20% メタ
ノールを含有する溶液中で、Immobilon membrane(Mill
ipore)に移した。TBST(20mM Tris-HCl, pH7.5, 150mM
NaCl)中の2% BSAでブロッキングした後、メンブレン
を実施例5で調製した抗DS9抗体(1:3000希釈)ととも
に1時間、インキュベートした。メンブレンを0.05%Tw
een20を含むTBSで大量に洗浄し、そしてアルカリホスフ
ァターゼ結合ヤギ抗ウサギIgG(OrganonTeknika Corp.,
Durham)(1:2000希釈)とともに、30分間、インキュ
ベートした。反応を基質としてテトラゾリウム-5-ブロ
モ-4-クロロ-3-インドリルリン酸の加水分解により可視
化した。DS9タンパク質の相対的な強度をNIH Image 1.6
1(National Institute of Health)プログラムを用い
て決定した。
時間目(模似については、0および6時間目)、の葉を
回収した。回収した葉から常法により得たタンパク質サ
ンプルを、8% SDS-ポリアクリルアミドゲルにより分離
し、そして25mM Tris、192mMグリシン、および20% メタ
ノールを含有する溶液中で、Immobilon membrane(Mill
ipore)に移した。TBST(20mM Tris-HCl, pH7.5, 150mM
NaCl)中の2% BSAでブロッキングした後、メンブレン
を実施例5で調製した抗DS9抗体(1:3000希釈)ととも
に1時間、インキュベートした。メンブレンを0.05%Tw
een20を含むTBSで大量に洗浄し、そしてアルカリホスフ
ァターゼ結合ヤギ抗ウサギIgG(OrganonTeknika Corp.,
Durham)(1:2000希釈)とともに、30分間、インキュ
ベートした。反応を基質としてテトラゾリウム-5-ブロ
モ-4-クロロ-3-インドリルリン酸の加水分解により可視
化した。DS9タンパク質の相対的な強度をNIH Image 1.6
1(National Institute of Health)プログラムを用い
て決定した。
【0101】結果を図4に示す。20℃への温度シフト
後、4および6時間目で、TMV感染した葉におけるDS9の
タンパク質量は、それぞれ、78%および62%まで減少し
た。DS9タンパク質量はHR進行時に特異的に減少するこ
とが示された。
後、4および6時間目で、TMV感染した葉におけるDS9の
タンパク質量は、それぞれ、78%および62%まで減少し
た。DS9タンパク質量はHR進行時に特異的に減少するこ
とが示された。
【0102】(実施例7:AMDおよび熱処理後のTMV感染
NNタバコにおける、DS9の転写レベルおよびタンパク質
の変動)試薬処理の前に、タバコの葉を分離してTMV
(リン酸緩衝液(pH7.0)中の8μg/ml)で接種する
か、または模似(緩衝液のみ)接種し、30℃で、40時
間、インキュベートした。インキュベーション後、葉の
葉柄を0.5mlの阻害剤溶液を含有するバイアルにおい
た。AMD処理については、AMD(Sigma Chemical Co., St
Louis, MO, USA)を、10%(v/v)メタノール水溶液とし
て使用した。溶液を葉柄から吸収させ、そして1時間以
内に滅菌水をバイアルに加えた。熱処理については、50
℃で2分間処理することにより、TMV感染NNタバコに熱
ショックを与えた。次いで処理した葉を、それぞれ、30
℃にてさらにインキュベートした。ノザン解析およびウ
ェスタンブロット解析は、実施例4および6に記載の方
法と同様に行った。また、水処理したものコントロール
として用いた。
NNタバコにおける、DS9の転写レベルおよびタンパク質
の変動)試薬処理の前に、タバコの葉を分離してTMV
(リン酸緩衝液(pH7.0)中の8μg/ml)で接種する
か、または模似(緩衝液のみ)接種し、30℃で、40時
間、インキュベートした。インキュベーション後、葉の
葉柄を0.5mlの阻害剤溶液を含有するバイアルにおい
た。AMD処理については、AMD(Sigma Chemical Co., St
Louis, MO, USA)を、10%(v/v)メタノール水溶液とし
て使用した。溶液を葉柄から吸収させ、そして1時間以
内に滅菌水をバイアルに加えた。熱処理については、50
℃で2分間処理することにより、TMV感染NNタバコに熱
ショックを与えた。次いで処理した葉を、それぞれ、30
℃にてさらにインキュベートした。ノザン解析およびウ
ェスタンブロット解析は、実施例4および6に記載の方
法と同様に行った。また、水処理したものコントロール
として用いた。
【0103】結果を図5に示す。HRを誘発することが知
られているAMDおよび熱処理により、TMV感染NNタバコの
DS9の転写レベルおよびタンパク質量が非常に減少され
ることが示された。
られているAMDおよび熱処理により、TMV感染NNタバコの
DS9の転写レベルおよびタンパク質量が非常に減少され
ることが示された。
【0104】(実施例8:壊死病斑形成の誘導における
各種プロテアーゼ阻害剤の効果)セリンプロテアーゼ阻
害剤としてAPMSF、Aprotininおよび3,4-Dを、システイ
ンプロテアーゼ阻害剤としてE-64を、メタロプロテアー
ゼ阻害剤としてEDTAを、ならびにセリン/システインプ
ロテアーゼ阻害剤としてロイペプチンを用いた。各阻害
剤は、以下のように調製した。
各種プロテアーゼ阻害剤の効果)セリンプロテアーゼ阻
害剤としてAPMSF、Aprotininおよび3,4-Dを、システイ
ンプロテアーゼ阻害剤としてE-64を、メタロプロテアー
ゼ阻害剤としてEDTAを、ならびにセリン/システインプ
ロテアーゼ阻害剤としてロイペプチンを用いた。各阻害
剤は、以下のように調製した。
【0105】EDTA(Wako Pure Chemicals. Ind. (Osak
a, Japan)は、NaOHでpH8.0に調製した水性溶液として
使用した。
a, Japan)は、NaOHでpH8.0に調製した水性溶液として
使用した。
【0106】E-64は、メタノール/水(1:1, v/v)中の5
0mM E-64(Boehringer Mannheim, Germany)をストック
溶液として使用し、続いて水中で希釈して示した濃度に
した。
0mM E-64(Boehringer Mannheim, Germany)をストック
溶液として使用し、続いて水中で希釈して示した濃度に
した。
【0107】3,4-Dは、ジメチルスルホキシド中の50mM
3,4-D(Boehringer Mannheim, Germany)をストック溶
液として使用し、続いて水中で希釈して示した濃度にし
た。
3,4-D(Boehringer Mannheim, Germany)をストック溶
液として使用し、続いて水中で希釈して示した濃度にし
た。
【0108】ロイペプチンおよびAPMSPは、水溶液とし
て使用した。
て使用した。
【0109】この実施例において、EDTAは、1mM、10mM
および50mMの濃度で使用し、他の阻害剤は、0.01mM、0.
1mMおよび1mMの濃度で使用した。
および50mMの濃度で使用し、他の阻害剤は、0.01mM、0.
1mMおよび1mMの濃度で使用した。
【0110】試薬処理の前に、タバコの葉を分離してTM
V(リン酸緩衝液(pH7.0)中の8μg/ml)で接種する
か、または模似(緩衝液のみ)接種し、30℃で、40時
間、インキュベートした。インキュベーション後、葉柄
を0.5mlの阻害剤溶液を含有するバイアルにおいた。溶
液を葉柄から吸収させ、そして1時間以内に滅菌水をバ
イアルに加えた。次いで処理した葉を、30℃にて、さら
にインキュベートした。結果を表2に示す。
V(リン酸緩衝液(pH7.0)中の8μg/ml)で接種する
か、または模似(緩衝液のみ)接種し、30℃で、40時
間、インキュベートした。インキュベーション後、葉柄
を0.5mlの阻害剤溶液を含有するバイアルにおいた。溶
液を葉柄から吸収させ、そして1時間以内に滅菌水をバ
イアルに加えた。次いで処理した葉を、30℃にて、さら
にインキュベートした。結果を表2に示す。
【0111】
【表2】
【0112】EDTAで処理した場合に、壊死病斑が誘導さ
れた。さらに、N遺伝子を保持しないnnタバコにおい
て、同様の病斑形成が観察された。また、他の各種プロ
テアーゼ阻害剤を用いた場合、壊死病斑は観察されなか
った。これらの結果から、DS9タンパク質を含む少なく
とも植物のメタロプロテアーゼ活性が阻害されると、細
胞死が誘導されることが示される。
れた。さらに、N遺伝子を保持しないnnタバコにおい
て、同様の病斑形成が観察された。また、他の各種プロ
テアーゼ阻害剤を用いた場合、壊死病斑は観察されなか
った。これらの結果から、DS9タンパク質を含む少なく
とも植物のメタロプロテアーゼ活性が阻害されると、細
胞死が誘導されることが示される。
【0113】(実施例9:DS9の細胞内の局在場所) (9−1)免疫電子顕微鏡による実験 免疫電子顕微鏡研究を、葉を1×1mm片に切断し、そし
て減圧条件下、カコジル酸ナトリウム(pH7.4)中の0.1
%グルタルアルデヒドよび4%パラホルムアルデヒドで固
定した以外は、基本的には、SuzukiおよびKataoka(Jou
rnal of Histochemistry, 40,379(1992))、ならびに
Tomoyasuら(Journal of Bacteriology,175, 1352(199
3))に記載されるように行った。次いで、-20℃でLR W
hite樹脂(The London Resin Co., London)中に包埋し
た組織を超ミクロトームで切断した。切片を抗DS9抗体
(1:250希釈)とともにインキュベートし、次いで10nm
金結合ヤギ抗ウサギIgG(1:100希釈、Biocell Research
Laboratories, Cardiff)と、30分間、37℃で反応させ
た。免疫標識化した後、切片を酢酸ウラニルで染色し
た。
て減圧条件下、カコジル酸ナトリウム(pH7.4)中の0.1
%グルタルアルデヒドよび4%パラホルムアルデヒドで固
定した以外は、基本的には、SuzukiおよびKataoka(Jou
rnal of Histochemistry, 40,379(1992))、ならびに
Tomoyasuら(Journal of Bacteriology,175, 1352(199
3))に記載されるように行った。次いで、-20℃でLR W
hite樹脂(The London Resin Co., London)中に包埋し
た組織を超ミクロトームで切断した。切片を抗DS9抗体
(1:250希釈)とともにインキュベートし、次いで10nm
金結合ヤギ抗ウサギIgG(1:100希釈、Biocell Research
Laboratories, Cardiff)と、30分間、37℃で反応させ
た。免疫標識化した後、切片を酢酸ウラニルで染色し
た。
【0114】細胞化学的コントロールとして、標本を前
血清(非免疫ウサギIgG)とともにインキュベートする
か、または標識化プロセスを省略した一次抗体とともに
インキュベートした。極薄の凍結切片を用いる免疫電子
顕微鏡のために、Tokuyasu(Histochemical Journal, 2
1, 163, 1989)に記載される方法を用いて、固定化した
組織のいくつかの小片に、20% ポリビニルピロリドン
(分子量10,000:Sigma)および1 .6M スクロースの混
合物をを侵入させ、液体プロパン中で凍結させた。そし
て、これを低温切片化(cryo-sectioned)した。上述の
LR Whiteで包埋したサンプルについてと同じ手順により
イムノゴールド標識し、そしてポリビニルアルコール
(分子量10,000;Sigma)で吸着染色させた。サンプル
を、透過型電子顕微鏡(H-7100、Hitachi, Japan)によ
り観察した。
血清(非免疫ウサギIgG)とともにインキュベートする
か、または標識化プロセスを省略した一次抗体とともに
インキュベートした。極薄の凍結切片を用いる免疫電子
顕微鏡のために、Tokuyasu(Histochemical Journal, 2
1, 163, 1989)に記載される方法を用いて、固定化した
組織のいくつかの小片に、20% ポリビニルピロリドン
(分子量10,000:Sigma)および1 .6M スクロースの混
合物をを侵入させ、液体プロパン中で凍結させた。そし
て、これを低温切片化(cryo-sectioned)した。上述の
LR Whiteで包埋したサンプルについてと同じ手順により
イムノゴールド標識し、そしてポリビニルアルコール
(分子量10,000;Sigma)で吸着染色させた。サンプル
を、透過型電子顕微鏡(H-7100、Hitachi, Japan)によ
り観察した。
【0115】(9−2)金粒子の画像化による実験 電子顕微鏡写真のネガを平盤型スキャナー(GT-9000、E
pson;1800dpi)により数値化し、そしてTIFFフォーマッ
トに保存した。コントラストを増強するために、Fukui
(Theoretical and Applied Genetics, 72, 27(198
6))の方法に従って、数値化した画像をAdobe Photosho
p ver. 3.0(Adobe Systems, Incorp.)により標準化し
た。核、葉緑体、ミトコンドリア、およびミクロソーム
の境界を各電子顕微鏡写真についてトレースし、そして
オルガネラの面積を数値化して計算した。次いで、金粒
子の数をオルガネラのそれぞれについて視覚的にカウン
トした。
pson;1800dpi)により数値化し、そしてTIFFフォーマッ
トに保存した。コントラストを増強するために、Fukui
(Theoretical and Applied Genetics, 72, 27(198
6))の方法に従って、数値化した画像をAdobe Photosho
p ver. 3.0(Adobe Systems, Incorp.)により標準化し
た。核、葉緑体、ミトコンドリア、およびミクロソーム
の境界を各電子顕微鏡写真についてトレースし、そして
オルガネラの面積を数値化して計算した。次いで、金粒
子の数をオルガネラのそれぞれについて視覚的にカウン
トした。
【0116】これらの結果から、DS9が葉緑体に局在し
て存在することが示された(図6を参照)。
て存在することが示された(図6を参照)。
【0117】(実施例10:EDTAおよびDCMU処置による
HRの誘発)メタロプロテアーゼ阻害剤であるEDTA、およ
び光化学系II(PSII)における電子伝達の阻害剤である
DCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレ
ア)(DCMU(Sigma Chemical Co., St Louis, MO, USA)
を用いて、実施例8に記載のように、NNタバコおよびnn
タバコを用いて、阻害剤処理を行った。EDTAは実施例8
に記載のように調製し、およびDCMUはメタノール溶液と
して調製した。阻害剤の濃度は、EDTAおよびDCMUについ
て、それぞれ、5mMおよび100mMであった。処理した葉
を、30℃にて、さらにインキュベートした後、壊死病斑
の形成、HRタンパク質のマーカー遺伝子であるPR-1の発
現、およびHRのマーカーとして知られているサリチル酸
の蓄積を調べた。PR遺伝子の発現については、実施例4
に記載のようにノザン解析を行った。また、サリチル酸
の定量については、以下のように行った。
HRの誘発)メタロプロテアーゼ阻害剤であるEDTA、およ
び光化学系II(PSII)における電子伝達の阻害剤である
DCMU(3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレ
ア)(DCMU(Sigma Chemical Co., St Louis, MO, USA)
を用いて、実施例8に記載のように、NNタバコおよびnn
タバコを用いて、阻害剤処理を行った。EDTAは実施例8
に記載のように調製し、およびDCMUはメタノール溶液と
して調製した。阻害剤の濃度は、EDTAおよびDCMUについ
て、それぞれ、5mMおよび100mMであった。処理した葉
を、30℃にて、さらにインキュベートした後、壊死病斑
の形成、HRタンパク質のマーカー遺伝子であるPR-1の発
現、およびHRのマーカーとして知られているサリチル酸
の蓄積を調べた。PR遺伝子の発現については、実施例4
に記載のようにノザン解析を行った。また、サリチル酸
の定量については、以下のように行った。
【0118】遊離サリチル酸を、Malamyら(The Plant
Cell, 4 ,359(1992))により記載されるようにして、
抽出および定量した。HPLC分析を、40℃に維持したμBo
ndasphere、5-μm C-18(3.9mm×15cm)カラムに対し
て行った。Isocratic分離を、20mM 酢酸ナトリウム(pH
5.0)中の23%(v/v)メタノールを用いて1m/分で行っ
た。蛍光検出を、Model RF-550A(Shimazu, Japan)を
用いて行った。全てのデータを、lossについて補正し
た。結果を図7、8および9に示す。NNタバコおよびnn
タバコの両方において、EDTAおよびDCMUの両方が、それ
ぞれ、HRを誘発し、メタロプロテアーゼの阻害および葉
緑体の機能の低下により、HRが誘発されることが示され
た。
Cell, 4 ,359(1992))により記載されるようにして、
抽出および定量した。HPLC分析を、40℃に維持したμBo
ndasphere、5-μm C-18(3.9mm×15cm)カラムに対し
て行った。Isocratic分離を、20mM 酢酸ナトリウム(pH
5.0)中の23%(v/v)メタノールを用いて1m/分で行っ
た。蛍光検出を、Model RF-550A(Shimazu, Japan)を
用いて行った。全てのデータを、lossについて補正し
た。結果を図7、8および9に示す。NNタバコおよびnn
タバコの両方において、EDTAおよびDCMUの両方が、それ
ぞれ、HRを誘発し、メタロプロテアーゼの阻害および葉
緑体の機能の低下により、HRが誘発されることが示され
た。
【0119】(実施例11:HR誘発時の葉緑体の機能)
HR誘発時に葉緑体の機能の低下を、PSII活性を指標にし
て測定した。
HR誘発時に葉緑体の機能の低下を、PSII活性を指標にし
て測定した。
【0120】クロロフィル蛍光導入の動力学をpulse am
plitude modulation fluorimeter(PAM-2000, Heinz Wa
lz, Germany)を用いて測定した。TMV感染は、実施例1
に記載のように行った。葉サンプルを葉表面に対して60
℃の角度に保ち、そして葉の半分を化学光(600μE/m2/
s)に曝露した。蛍光導入の動力学を、Data Acquisitio
n Software(DA-2000, Heinz Walz)をインストールし
た携帯用コンピューターに記録した。結果を図10に示
す。TMVで感染したNNタバコの葉におけるPSII活性は、3
0℃での培養のみでは低下しなかった。しかし、20℃に
温度シフトした後4時間目から、PSII活性は低下し始め
た。この時間はDS9タンパク質量が減少する時間に一致
する。この結果から、葉緑体の機能の低下は、DS9タン
パク質量の減少と相関することが示された。
plitude modulation fluorimeter(PAM-2000, Heinz Wa
lz, Germany)を用いて測定した。TMV感染は、実施例1
に記載のように行った。葉サンプルを葉表面に対して60
℃の角度に保ち、そして葉の半分を化学光(600μE/m2/
s)に曝露した。蛍光導入の動力学を、Data Acquisitio
n Software(DA-2000, Heinz Walz)をインストールし
た携帯用コンピューターに記録した。結果を図10に示
す。TMVで感染したNNタバコの葉におけるPSII活性は、3
0℃での培養のみでは低下しなかった。しかし、20℃に
温度シフトした後4時間目から、PSII活性は低下し始め
た。この時間はDS9タンパク質量が減少する時間に一致
する。この結果から、葉緑体の機能の低下は、DS9タン
パク質量の減少と相関することが示された。
【0121】(実施例12:トランスジェニック植物の
作出)DS9コード領域(配列番号1の21〜2240位)を、
プライマーA、5'-ACTATGGCCAATTCTCTCCTCTC-3'および
プライマーB、5'-TTATGCCTATTTCTCTTGCATC-3'を用いて
PCRにより増幅した。
作出)DS9コード領域(配列番号1の21〜2240位)を、
プライマーA、5'-ACTATGGCCAATTCTCTCCTCTC-3'および
プライマーB、5'-TTATGCCTATTTCTCTTGCATC-3'を用いて
PCRにより増幅した。
【0122】センス構築物については、プライマーAお
よびBの5'末端それぞれにBamHIおよびSacI部位を連結
した。アンチセンス構築物については、プライマーAお
よびBの5'末端それぞれにSacIおよびBamHI部位を連結
した。
よびBの5'末端それぞれにBamHIおよびSacI部位を連結
した。アンチセンス構築物については、プライマーAお
よびBの5'末端それぞれにSacIおよびBamHI部位を連結
した。
【0123】PCR産物を、DNA配列決定により確認した。
このPCR産物をBamHIおよびSacIで消化し、次いで、CaMV
35Sプロモーターに対してセンス方向およびアンチセン
ス方向に、予めBamHIおよびSacIで消化したバイナリー
ベクターpBI121(Clonetech)に連結した。センスおよ
びアンチセンスDS9発現構築物を、Agrobacterium tumef
aciens LBA4404(Oomsら、Gene, 14, 33(1981))にエ
レクトロポレーション(Wen-JunおよびForde、Nucleic
Acid Research, 17, 8385(1989))により導入した。Sa
msun NNタバコの形質転換を、葉片共存培養法(Horsch
ら、Science, 227,1229(1985))により行った。葉片
を、細菌溶液中に浸し、次いで、ナフタレン酢酸(100
μg/L)およびベンゾアミノプリン(1mg/L)を含有する
インキュベーション培地(3%スクロースおよびB5ビタ
ミンを有するMurashige-Skoog(MS)基本培地)に、2
日間、25℃、白色蛍光灯の連続的な照射下、120μE/m2/
sの強度でおいた。次いで、この葉片を500mg/mlカルベ
ニシリンをさらに含有した上述のインキュベーショ培地
に移した。2日後、葉片を選択培地(500μg/mlカルベ
ニシリンおよび100μg/mlカナマイシンを含有するイン
キュベーション培地)に移した。センスDS9遺伝子を発
現する形質転換体の作出については、葉片を含むプレー
トを25℃、16時間の日長下、120μE/m2/sの強度でイン
キュベートした。アンチセンスDS9遺伝子を発現する形
質転換体の作出については、インキュベーションを、25
℃、24時間の日長下、10μE/m2/sの強度で行った。カナ
マイシンを含有する培地中で形成されたシュートを、ホ
ルモンを減少させた選択培地に移した。根形成後、植物
を土の入ったポットに移した。
このPCR産物をBamHIおよびSacIで消化し、次いで、CaMV
35Sプロモーターに対してセンス方向およびアンチセン
ス方向に、予めBamHIおよびSacIで消化したバイナリー
ベクターpBI121(Clonetech)に連結した。センスおよ
びアンチセンスDS9発現構築物を、Agrobacterium tumef
aciens LBA4404(Oomsら、Gene, 14, 33(1981))にエ
レクトロポレーション(Wen-JunおよびForde、Nucleic
Acid Research, 17, 8385(1989))により導入した。Sa
msun NNタバコの形質転換を、葉片共存培養法(Horsch
ら、Science, 227,1229(1985))により行った。葉片
を、細菌溶液中に浸し、次いで、ナフタレン酢酸(100
μg/L)およびベンゾアミノプリン(1mg/L)を含有する
インキュベーション培地(3%スクロースおよびB5ビタ
ミンを有するMurashige-Skoog(MS)基本培地)に、2
日間、25℃、白色蛍光灯の連続的な照射下、120μE/m2/
sの強度でおいた。次いで、この葉片を500mg/mlカルベ
ニシリンをさらに含有した上述のインキュベーショ培地
に移した。2日後、葉片を選択培地(500μg/mlカルベ
ニシリンおよび100μg/mlカナマイシンを含有するイン
キュベーション培地)に移した。センスDS9遺伝子を発
現する形質転換体の作出については、葉片を含むプレー
トを25℃、16時間の日長下、120μE/m2/sの強度でイン
キュベートした。アンチセンスDS9遺伝子を発現する形
質転換体の作出については、インキュベーションを、25
℃、24時間の日長下、10μE/m2/sの強度で行った。カナ
マイシンを含有する培地中で形成されたシュートを、ホ
ルモンを減少させた選択培地に移した。根形成後、植物
を土の入ったポットに移した。
【0124】(実施例13:トランスジェニック植物に
おける細胞死調節の解析) (TMV感染)実施例12により得られた、DS9 cDNAをセ
ンスまたはアンチセンスで発現させたトランスジェニッ
クタバコの自殖次世代の系統(センス植物;S1、S4、S
5、S6、S9;アンチセンス植物;A9、A12)を用いて、実
施例6に記載のようにウエスタンブロット解析を行い、
タンパク質量を調べた(図11)。また、各系統を実施
例1に記載のようにTMVで感染し、感染に対する病斑の
大きさの変化を観察した(図12および13)。いずれ
の実験も、コントロールとして野生型タバコを用いた。
おける細胞死調節の解析) (TMV感染)実施例12により得られた、DS9 cDNAをセ
ンスまたはアンチセンスで発現させたトランスジェニッ
クタバコの自殖次世代の系統(センス植物;S1、S4、S
5、S6、S9;アンチセンス植物;A9、A12)を用いて、実
施例6に記載のようにウエスタンブロット解析を行い、
タンパク質量を調べた(図11)。また、各系統を実施
例1に記載のようにTMVで感染し、感染に対する病斑の
大きさの変化を観察した(図12および13)。いずれ
の実験も、コントロールとして野生型タバコを用いた。
【0125】野生型タバコの2倍のDS9タンパク質量を
有するセンス系統(S6)では、壊死病斑の大きさが野生
型の2倍に達した。一方、野生型タバコの半分のタンパ
ク質量を有するアンチセンス系統(A9)では、壊死病斑
の大きさ(すなわち、細胞死)は、野生型の約半分であ
った。壊死病斑が小さいことは、細胞死が速やかに生じ
(すなわち、促進され)、感染した菌の広がりを阻止し
ていることを示す。この結果から、DS9タンパク質量が
少ない細胞においては、細胞死が促進され、タンパク質
量が多い細胞においては、細胞死が抑制されることが示
された。また、DS9 cDNAをアンチセンスで発現させたト
ランスジェニックタバコは、TMV感染に対する抵抗性が
増強されたことが明らかである。
有するセンス系統(S6)では、壊死病斑の大きさが野生
型の2倍に達した。一方、野生型タバコの半分のタンパ
ク質量を有するアンチセンス系統(A9)では、壊死病斑
の大きさ(すなわち、細胞死)は、野生型の約半分であ
った。壊死病斑が小さいことは、細胞死が速やかに生じ
(すなわち、促進され)、感染した菌の広がりを阻止し
ていることを示す。この結果から、DS9タンパク質量が
少ない細胞においては、細胞死が促進され、タンパク質
量が多い細胞においては、細胞死が抑制されることが示
された。また、DS9 cDNAをアンチセンスで発現させたト
ランスジェニックタバコは、TMV感染に対する抵抗性が
増強されたことが明らかである。
【0126】(キュウリ立ち枯れ病菌感染)カナマイシ
ン50μg/mlを含む寒天培地に、A9(実施例12により得
られた、DS9cDNAをアンチセンスで発現させたトランス
ジェニックタバコ)の自殖次世代の系統の種子、および
コントロールとして35S-GUSを導入したタバコの種子
を、MS寒天培地(Murashige ,T.およびSkoog,F. (1962)
A reversed medium for rapid grouth and bioassays w
ith tobacco tissue cultures. Physiologia Plantarum
15巻 473-497頁を参照)を含む直径9cmのシャーレに播
種した。キュウリ苗立ち枯れ病菌をPDA培地(39g/l Bac
to(登録商標)Poteto Dextrose Agar)で5日間、25℃
で前培養した。次いで、播種の7日目の芽生え、それぞ
れ30個体に、前培養により得られる菌そうを3mm角に切
り取り、シャーレ当たり1片を寒天上に置くことによ
り、菌を接種して、これを25℃に保温した。接種後7日
目に緑色を示して生存している個体を抵抗性植物体とし
た。結果を図14に示す。7日目の生存率は、A9植物が
63%(30個体中の19個体)およびコントロール植物が0
%(30個体中の0個体)であった。
ン50μg/mlを含む寒天培地に、A9(実施例12により得
られた、DS9cDNAをアンチセンスで発現させたトランス
ジェニックタバコ)の自殖次世代の系統の種子、および
コントロールとして35S-GUSを導入したタバコの種子
を、MS寒天培地(Murashige ,T.およびSkoog,F. (1962)
A reversed medium for rapid grouth and bioassays w
ith tobacco tissue cultures. Physiologia Plantarum
15巻 473-497頁を参照)を含む直径9cmのシャーレに播
種した。キュウリ苗立ち枯れ病菌をPDA培地(39g/l Bac
to(登録商標)Poteto Dextrose Agar)で5日間、25℃
で前培養した。次いで、播種の7日目の芽生え、それぞ
れ30個体に、前培養により得られる菌そうを3mm角に切
り取り、シャーレ当たり1片を寒天上に置くことによ
り、菌を接種して、これを25℃に保温した。接種後7日
目に緑色を示して生存している個体を抵抗性植物体とし
た。結果を図14に示す。7日目の生存率は、A9植物が
63%(30個体中の19個体)およびコントロール植物が0
%(30個体中の0個体)であった。
【0127】DS9 cDNAをアンチセンスで発現させたトラ
ンスジェニックタバコは、キュウリ立ち枯れ病菌に対し
て抵抗性を示した。
ンスジェニックタバコは、キュウリ立ち枯れ病菌に対し
て抵抗性を示した。
【0128】(実施例14:トランスジェニック植物に
おけるパラコート(商品名)耐性)パラコートは、クロ
ロプラスト中でスーパーオキシドを発生する除草剤であ
る。S4トランスジェニック植物(実施例12により得ら
れたDS9 cDNAをセンスで発現させたトランスジェニック
タバコ)および野生型タバコ(コントロール)を、温室
において生長させた。次いで、0、10、および20μMのパ
ラコート溶液中に円形に切り取ったタバコ葉片を浸漬
し、25℃、5000luxにて45時間処理した。結果を図15
に示す。野生型タバコでは、10μMの濃度におけるパラ
コート処理において、重度の白変化が生じたのに対し
て、S4トランスジェニック植物では、20μMの濃度にお
けるパラコート処理後も緑色を示し、葉緑体の分解が顕
著に抑制された。
おけるパラコート(商品名)耐性)パラコートは、クロ
ロプラスト中でスーパーオキシドを発生する除草剤であ
る。S4トランスジェニック植物(実施例12により得ら
れたDS9 cDNAをセンスで発現させたトランスジェニック
タバコ)および野生型タバコ(コントロール)を、温室
において生長させた。次いで、0、10、および20μMのパ
ラコート溶液中に円形に切り取ったタバコ葉片を浸漬
し、25℃、5000luxにて45時間処理した。結果を図15
に示す。野生型タバコでは、10μMの濃度におけるパラ
コート処理において、重度の白変化が生じたのに対し
て、S4トランスジェニック植物では、20μMの濃度にお
けるパラコート処理後も緑色を示し、葉緑体の分解が顕
著に抑制された。
【0129】DS9 cDNAをセンスで発現させたトランスジ
ェニックタバコは、パラコートに対して抵抗性を示し
た。
ェニックタバコは、パラコートに対して抵抗性を示し
た。
【0130】
【発明の効果】本発明により、細胞死調節遺伝子の発現
レベルを調節することにより細胞死を調節する方法が提
供される。さらに、細胞死を調節することにより、様々
な環境ストレスに対して、植物に抵抗性を付与する方法
が提供され、農業上および育種上有用な植物が作出され
得る。また、DS9関連遺伝子の選択的な阻害剤をスクリ
ーニングする方法が提供される。
レベルを調節することにより細胞死を調節する方法が提
供される。さらに、細胞死を調節することにより、様々
な環境ストレスに対して、植物に抵抗性を付与する方法
が提供され、農業上および育種上有用な植物が作出され
得る。また、DS9関連遺伝子の選択的な阻害剤をスクリ
ーニングする方法が提供される。
【0131】
【0132】
【配列番号:1】 配列の長さ:2446 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA to mRNA 配列: AACACCTTCC AAAAATAGTT ATG GCC AAT TCT CTC CTC TCT TCC AAC TTC 50 Met Ala Asn Ser Leu Leu Ser Ser Asn Phe 5 10 ATG GGT TCT CAA ATC TTT GTC TCT CCT CCC ACC CCT AAA ACA ACA AAG 98 Met Gly Ser Gln Ile Phe Val Ser Pro Pro Thr Pro Lys Thr Thr Lys 15 20 25 TAT TTC CAT TTT CAC TCC AAA AGA AAG TCT TTA ATC CCT CAA TCA ATT 146 Tyr Phe His Phe His Ser Lys Arg Lys Ser Leu Ile Pro Gln Ser Ile 30 35 40 CTC AAC AAA AAA CCC AAT TCA GAT AAT TCA AAG AAT ATT CCT TCA AAA 194 Leu Asn Lys Lys Pro Asn Ser Asp Asn Ser Lys Asn Ile Pro Ser Lys 45 50 55 GCT GCT TTA GCT GCT TTA CTC TTT TCT TCA ATC ACT CCA CAT GCC TAT 242 Ala Ala Leu Ala Ala Leu Leu Phe Ser Ser Ile Thr Pro His Ala Tyr 60 65 70 GCT CTT GAT AAT ACT ACC CCT ACA GTA CCA ACC CCT CAA GTG ATT CAA 290 Ala Leu Asp Asn Thr Thr Pro Thr Val Pro Thr Pro Gln Val Ile Gln 75 80 85 90 GCT GAA GCA GCC AAT CCC ACC ACT TCA AAT CCA TTC TCT CAA AAT ATA 338 Ala Glu Ala Ala Asn Pro Thr Thr Ser Asn Pro Phe Ser Gln Asn Ile 95 100 105 ATC TTG AAT GCT CCA AAG CCT CAA GCA CAG ACC AAT CCT GAA CTT CCA 386 Ile Leu Asn Ala Pro Lys Pro Gln Ala Gln Thr Asn Pro Glu Leu Pro 110 115 120 GAA GTT TCT CAA TGG AGA TAC AGT GAA TTC TTG AAT GCT GTG AAA AAG 434 Glu Val Ser Gln Trp Arg Tyr Ser Glu Phe Leu Asn Ala Val Lys Lys 125 130 135 GGT AAA GTT GAA AGG GTC CGA TTC AGT AAA GAC GGA TCT GCC CTC CTG 482 Gly Lys Val Glu Arg Val Arg Phe Ser Lys Asp Gly Ser Ala Leu Leu 140 145 150 CTT ACT GCT GTT GAT GGC CGT AGA GCT ACT GTA ACT GTG CCT AAT GAC 530 Leu Thr Ala Val Asp Gly Arg Arg Ala Thr Val Thr Val Pro Asn Asp 155 160 165 170 CCG GAT TTA ATT GAC ATT TTG GCT ATG AAT GGT GTT GAT ATA TCA GTT 578 Pro Asp Leu Ile Asp Ile Leu Ala Met Asn Gly Val Asp Ile Ser Val 175 180 185 TCT GAA GGT GAT TCT GCT GGT AAT GGG TTG TTT AAT TTA ATT GGA AAT 626 Ser Glu Gly Asp Ser Ala Gly Asn Gly Leu Phe Asn Leu Ile Gly Asn 190 195 200 TTA TTC CCT TTT ATT GCT TTT GCT GGA TTG TTC TAT CTT TTC CAG AGA 674 Leu Phe Pro Phe Ile Ala Phe Ala Gly Leu Phe Tyr Leu Phe Gln Arg 205 210 215 TCT CAA GGT GGG CCT GGT GGG CCA GGT GGG CTT GGT GGC CCC ATG GAT 722 Ser Gln Gly Gly Pro Gly Gly Pro Gly Gly Leu Gly Gly Pro Met Asp 220 225 230 TTT GGT AGG TCA AAG TCA AAG TTT CAA GAA GTT CCT GAA ACT GGA GTG 770 Phe Gly Arg Ser Lys Ser Lys Phe Gln Glu Val Pro Glu Thr Gly Val 235 240 245 250 ACT TTT GCT GAT GTT GCT GGT GCT GAT CAA GCT AAA TTG GAG TTA CAA 818 Thr Phe Ala Asp Val Ala Gly Ala Asp Gln Ala Lys Leu Glu Leu Gln 255 260 265 GAA GTG GTT GAT TTT TTA AAG AAT CCT GAT AAG TAT ACT GCT TTA GGT 866 Glu Val Val Asp Phe Leu Lys Asn Pro Asp Lys Tyr Thr Ala Leu Gly 270 275 280 GCT AAA ATA CCA AAA GGG TGT CTT TTG GTG GGA CCA CCT GGT ACA GGA 914 Ala Lys Ile Pro Lys Gly Cys Leu Leu Val Gly Pro Pro Gly Thr Gly 285 290 295 AAG ACA CTT TTG GCT AGA GCA GTT GCT GGT GAA GCT GGT GTA CCA TTT 962 Lys Thr Leu Leu Ala Arg Ala Val Ala Gly Glu Ala Gly Val Pro Phe 300 305 310 TTC TCA TGT GCA GCA TCA GAG TTT GTT GAG TTG TTT GTT GGT GTT GGA 1010 Phe Ser Cys Ala Ala Ser Glu Phe Val Glu Leu Phe Val Gly Val Gly 315 320 325 330 GCT TCT AGA GTG AGG GAT TTG TTC GAG AAG GCG AAG TCG AAA GCG CCT 1058 Ala Ser Arg Val Arg Asp Leu Phe Glu Lys Ala Lys Ser Lys Ala Pro 335 340 345 TGC ATT GTG TTT ATT GAT GAG ATT GAT GCT GTG GGG AGG CAG AGA GGT 1106 Cys Ile Val Phe Ile Asp Glu Ile Asp Ala Val Gly Arg Gln Arg Gly 350 355 360 GCA GGA ATG GGA GGT GGG AAT GAT GAG AGA GAG CAG ACT ATT AAT CAA 1154 Ala Gly Met Gly Gly Gly Asn Asp Glu Arg Glu Gln Thr Ile Asn Gln 365 370 375 CTC TTG ACT GAA ATG GAT GGG TTT TCT GGA AAT AGT GGA GTA ATT GTT 1202 Leu Leu Thr Glu Met Asp Gly Phe Ser Gly Asn Ser Gly Val Ile Val 380 385 390 TTG GCT GCA ACC AAT AGG CCT GAT GTT CTT GAT TCT GCA TTG TTG AGA 1250 Leu Ala Ala Thr Asn Arg Pro Asp Val Leu Asp Ser Ala Leu Leu Arg 395 400 405 410 CCT GGG AGG TTC GAT CGA CAA GTG ACT GTC GAC AGG CCT GAT GTT GCT 1298 Pro Gly Arg Phe Asp Arg Gln Val Thr Val Asp Arg Pro Asp Val Ala 415 420 425 GGT AGA ATC AAG ATT CTT CAG GTG CAT TCT AGA GGA AAG GCC CTT GCA 1346 Gly Arg Ile Lys Ile Leu Gln Val His Ser Arg Gly Lys Ala Leu Ala 430 435 440 AAG GAT GTG GAC TTT GAG AAG ATT GCC AGG AGA ACA CCG GGT TTC ACT 1394 Lys Asp Val Asp Phe Glu Lys Ile Ala Arg Arg Thr Pro Gly Phe Thr 445 450 455 GGT GCA GAT TTG CAA AAC TTG ATG AAT GAA GCA GCG ATC CTT GCA GCT 1442 Gly Ala Asp Leu Gln Asn Leu Met Asn Glu Ala Ala Ile Leu Ala Ala 460 465 470 AGG CGT GAA CTA AAG GAA ATA AGT AAA AAT GAG ATA TCT GAT GCT TTG 1490 Arg Arg Glu Leu Lys Glu Ile Ser Lys Asn Glu Ile Ser Asp Ala Leu 475 480 485 490 GAG AGG ATA ATT GCT GGA CCG GAG AAG AAA AAT GCT GTT GTC TCA GAG 1538 Glu Arg Ile Ile Ala Gly Pro Glu Lys Lys Asn Ala Val Val Ser Glu 495 500 505 GAG AAG AAG AAG CTG GTA GCT TAT CAT GAG GCC GCC CAT GCC TTG GTT 1586 Glu Lys Lys Lys Leu Val Ala Tyr His Glu Ala Ala His Ala Leu Val 510 515 520 GGT GCA CTT ATG CCC GAG TAT GAT CCT GTT CCC AAG ATA TCT ATT ATT 1634 Gly Ala Leu Met Pro Glu Tyr Asp Pro Val Pro Lys Ile Ser Ile Ile 525 530 535 CCT CGG GGC CAA GCT GGT GGT CTT ACC TTC TTT GCC CCT AGC GAA GAA 1682 Pro Arg Gly Gln Ala Gly Gly Leu Thr Phe Phe Ala Pro Ser Glu Glu 540 545 550 AGA CTT GAG TCG GGC TTG TAC AGC AGG AGC TAC CTA GAG AAT CAA ATG 1730 Arg Leu Glu Ser Gly Leu Tyr Ser Arg Ser Tyr Leu Glu Asn Gln Met 555 560 565 570 GCA GTT GCA CTT GGT GGA AGG GTT GCT GAG GAG GTT ATT TTT GGA CAA 1778 Ala Val Ala Leu Gly Gly Arg Val Ala Glu Glu Val Ile Phe Gly Gln 575 580 585 GAC AAC GTA ACA ACT GGG GCA TCT AAC GAT TTC ATG CTT GTT TCA CGA 1826 Asp Asn Val Thr Thr Gly Ala Ser Asn Asp Phe Met Leu Val Ser Arg 590 595 600 GTG GCA AGG CAG ATG GTT GAG AGA TTA GGG TTC ACC ACA AAG ATC GGA 1874 Val Ala Arg Gln Met Val Glu Arg Leu Gly Phe Thr Thr Lys Ile Gly 605 610 615 CAG GTT GCC ATT GGA GGA GGT GGA GGA AAT CCT TTC CTA GGT CAA CAG 1922 Gln Val Ala Ile Gly Gly Gly Gly Gly Asn Pro Phe Leu Gly Gln Gln 620 625 630 ATG TCA ACC CAG AAA GAC TAC TCC ATG GCA ACA GCC GAT GTG GTT GAT 1970 Met Ser Thr Gln Lys Asp Tyr Ser Met Ala Thr Ala Asp Val Val Asp 635 640 645 650 GCT GAA GTA AGG GAA TTG GTT GAA AGA GCA TAT GAA AGG GCA ACA CAG 2018 Ala Glu Val Arg Glu Leu Val Glu Arg Ala Tyr Glu Arg Ala Thr Gln 655 660 665 ATT ATC ACA ACA CAC ATT GAC ATC CTA CAC AAG CTT GCT CAG CTG TTG 2066 Ile Ile Thr Thr His Ile Asp Ile Leu His Lys Leu Ala Gln Leu Leu 670 675 680 ATA GAG AAA GAA ACT GTT GAT GGT GAA GAG TTC ATG AGC CTT TTC ATC 2114 Ile Glu Lys Glu Thr Val Asp Gly Glu Glu Phe Met Ser Leu Phe Ile 685 690 695 GAT GGC AAG GCC GAG CTA TAC ATT TCT TGG GTC TCT AAG GAG GAG GAT 2162 Asp Gly Lys Ala Glu Leu Tyr Ile Ser Trp Val Ser Lys Glu Glu Asp 700 705 710 714 TAGTTTCTGG CTTAACAAGA CTTGATGTAT CTGGTGGTTG AGAGTGGTAA ATTGCTGATG 2222 CAAGAGAAAT AGGCATAATA CATAGTGCTT TAGACTGAAG AAATTGCATT GCAGAACCAA 2282 CATTTTCTTC CATAAGTTTG GCCACTTGCC TTTCTGTACC ATCACTTGAC CACTTTTCCC 2342 AGGCTGGTTG GTTATTTCCA ACTTCACTGC TCTCTTCCTA AATAAGACAA GCCACAAAAA 2402 GGGATAAATT ATTAATTGAT AGGTTGGACA ATTCTGCAAA AAAA 2446
【0133】
【配列番号:2】 配列の長さ:714 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列: Met Ala Asn Ser Leu Leu Ser Ser Asn Phe Met Gly Ser Gln Ile Phe 5 10 15 Val Ser Pro Pro Thr Pro Lys Thr Thr Lys Tyr Phe His Phe His Ser 20 25 30 Lys Arg Lys Ser Leu Ile Pro Gln Ser Ile Leu Asn Lys Lys Pro Asn 35 40 45 Ser Asp Asn Ser Lys Asn Ile Pro Ser Lys Ala Ala Leu Ala Ala Leu 50 55 60 Leu Phe Ser Ser Ile Thr Pro His Ala Tyr Ala Leu Asp Asn Thr Thr 65 70 75 80 Pro Thr Val Pro Thr Pro Gln Val Ile Gln Ala Glu Ala Ala Asn Pro 85 90 95 Thr Thr Ser Asn Pro Phe Ser Gln Asn Ile Ile Leu Asn Ala Pro Lys 100 105 110 Pro Gln Ala Gln Thr Asn Pro Glu Leu Pro Glu Val Ser Gln Trp Arg 115 120 125 Tyr Ser Glu Phe Leu Asn Ala Val Lys Lys Gly Lys Val Glu Arg Val 130 135 140 Arg Phe Ser Lys Asp Gly Ser Ala Leu Leu Leu Thr Ala Val Asp Gly 145 150 155 160 Arg Arg Ala Thr Val Thr Val Pro Asn Asp Pro Asp Leu Ile Asp Ile 165 170 175 Leu Ala Met Asn Gly Val Asp Ile Ser Val Ser Glu Gly Asp Ser Ala 180 185 190 Gly Asn Gly Leu Phe Asn Leu Ile Gly Asn Leu Phe Pro Phe Ile Ala 195 200 205 Phe Ala Gly Leu Phe Tyr Leu Phe Gln Arg Ser Gln Gly Gly Pro Gly 210 215 220 Gly Pro Gly Gly Leu Gly Gly Pro Met Asp Phe Gly Arg Ser Lys Ser 225 230 235 240 Lys Phe Gln Glu Val Pro Glu Thr Gly Val Thr Phe Ala Asp Val Ala 245 250 255 Gly Ala Asp Gln Ala Lys Leu Glu Leu Gln Glu Val Val Asp Phe Leu 260 265 270 Lys Asn Pro Asp Lys Tyr Thr Ala Leu Gly Ala Lys Ile Pro Lys Gly 275 280 285 Cys Leu Leu Val Gly Pro Pro Gly Thr Gly Lys Thr Leu Leu Ala Arg 290 295 300 Ala Val Ala Gly Glu Ala Gly Val Pro Phe Phe Ser Cys Ala Ala Ser 305 310 315 320 Glu Phe Val Glu Leu Phe Val Gly Val Gly Ala Ser Arg Val Arg Asp 325 330 335 Leu Phe Glu Lys Ala Lys Ser Lys Ala Pro Cys Ile Val Phe Ile Asp 340 345 350 Glu Ile Asp Ala Val Gly Arg Gln Arg Gly Ala Gly Met Gly Gly Gly 355 360 365 Asn Asp Glu Arg Glu Gln Thr Ile Asn Gln Leu Leu Thr Glu Met Asp 370 375 380 Gly Phe Ser Gly Asn Ser Gly Val Ile Val Leu Ala Ala Thr Asn Arg 385 390 395 400 Pro Asp Val Leu Asp Ser Ala Leu Leu Arg Pro Gly Arg Phe Asp Arg 405 410 415 Gln Val Thr Val Asp Arg Pro Asp Val Ala Gly Arg Ile Lys Ile Leu 420 425 430 Gln Val His Ser Arg Gly Lys Ala Leu Ala Lys Asp Val Asp Phe Glu 435 440 445 Lys Ile Ala Arg Arg Thr Pro Gly Phe Thr Gly Ala Asp Leu Gln Asn 450 455 460 Leu Met Asn Glu Ala Ala Ile Leu Ala Ala Arg Arg Glu Leu Lys Glu 465 470 475 480 Ile Ser Lys Asn Glu Ile Ser Asp Ala Leu Glu Arg Ile Ile Ala Gly 485 490 495 Pro Glu Lys Lys Asn Ala Val Val Ser Glu Glu Lys Lys Lys Leu Val 500 505 510 Ala Tyr His Glu Ala Ala His Ala Leu Val Gly Ala Leu Met Pro Glu 515 520 525 Tyr Asp Pro Val Pro Lys Ile Ser Ile Ile Pro Arg Gly Gln Ala Gly 530 535 540 Gly Leu Thr Phe Phe Ala Pro Ser Glu Glu Arg Leu Glu Ser Gly Leu 545 550 555 560 Tyr Ser Arg Ser Tyr Leu Glu Asn Gln Met Ala Val Ala Leu Gly Gly 565 570 575 Arg Val Ala Glu Glu Val Ile Phe Gly Gln Asp Asn Val Thr Thr Gly 580 585 590 Ala Ser Asn Asp Phe Met Leu Val Ser Arg Val Ala Arg Gln Met Val 595 600 605 Glu Arg Leu Gly Phe Thr Thr Lys Ile Gly Gln Val Ala Ile Gly Gly 610 615 620 Gly Gly Gly Asn Pro Phe Leu Gly Gln Gln Met Ser Thr Gln Lys Asp 625 630 635 640 Tyr Ser Met Ala Thr Ala Asp Val Val Asp Ala Glu Val Arg Glu Leu 645 650 655 Val Glu Arg Ala Tyr Glu Arg Ala Thr Gln Ile Ile Thr Thr His Ile 660 665 670 Asp Ile Leu His Lys Leu Ala Gln Leu Leu Ile Glu Lys Glu Thr Val 675 680 685 Asp Gly Glu Glu Phe Met Ser Leu Phe Ile Asp Gly Lys Ala Glu Leu 690 695 700 Tyr Ile Ser Trp Val Ser Lys Glu Glu Asp 705 710 714
【図1】 DS9と他のATP依存性Zn型メタロプロテアー
ゼとの構造比較を示す模式図である。DS9は、他のATP依
存性Zn型メタロプロテアーゼと同様に、N末端側の膜を
貫通すると考えられる疎水性領域、および中央部のATPa
se領域、ならびにC末端側のZn2+結合モチーフが存在し
た。
ゼとの構造比較を示す模式図である。DS9は、他のATP依
存性Zn型メタロプロテアーゼと同様に、N末端側の膜を
貫通すると考えられる疎水性領域、および中央部のATPa
se領域、ならびにC末端側のZn2+結合モチーフが存在し
た。
【図2】 GST-DS9融合タンパク質のMg2+依存性のATPas
e活性を示す図である。
e活性を示す図である。
【図3】 TMV感染NNタバコにおける、30℃から20℃へ
の温度シフト後のDS9の転写の変動を示したノザン解析
の結果を示す電気泳動写真である。変動のコントロール
として、傷をつけたのみの葉(模似)を用いた。発現の
コントロールとしてrRNAを用いた。そしてHRの指標を示
すコントロールとして感染時特異的に発現するPR-1を用
いた。また、上部の各数字は30℃から20℃への温度シフ
ト後の時間を示す。
の温度シフト後のDS9の転写の変動を示したノザン解析
の結果を示す電気泳動写真である。変動のコントロール
として、傷をつけたのみの葉(模似)を用いた。発現の
コントロールとしてrRNAを用いた。そしてHRの指標を示
すコントロールとして感染時特異的に発現するPR-1を用
いた。また、上部の各数字は30℃から20℃への温度シフ
ト後の時間を示す。
【図4】 TMV感染NNタバコにおける、30℃から20℃へ
の温度シフト後のDS9タンパク質量の変動を示したウエ
スタンブロット解析の結果を示す電気泳動写真である。
変動のコントロールとして、傷をつけたのみの葉(模
似)を用いた。抗体として、抗DS9抗体を用いた。ま
た、上部の各数字は30℃から20℃への温度シフト後の時
間を示す。また、下部の各数字は、模似の感染後0時間
目のタンパク質量を100%としたときの、各時間における
タンパク質量を示す。
の温度シフト後のDS9タンパク質量の変動を示したウエ
スタンブロット解析の結果を示す電気泳動写真である。
変動のコントロールとして、傷をつけたのみの葉(模
似)を用いた。抗体として、抗DS9抗体を用いた。ま
た、上部の各数字は30℃から20℃への温度シフト後の時
間を示す。また、下部の各数字は、模似の感染後0時間
目のタンパク質量を100%としたときの、各時間における
タンパク質量を示す。
【図5】 AMDおよび熱処理後のTMV感染NNタバコにおけ
る、DS9の転写レベルおよびタンパク質の変動を示した
ノザン解析およびウエスタンブロット解析の結果を示す
電気泳動写真である。
る、DS9の転写レベルおよびタンパク質の変動を示した
ノザン解析およびウエスタンブロット解析の結果を示す
電気泳動写真である。
【図6】 DS9が葉緑体に局在して存在することが示す
電子顕微鏡写真である。図6Aは、抗DS9抗体および10n
m金粒子結合抗ウサギIgGで処理した葉肉細胞におけるDS
9タンパク質の局在を示す電子顕微鏡写真である。横棒
は1μmを示す。図6Bは、図6Aの高倍率の電子顕微
鏡写真である。横棒は0.1μmを示す。図6Cは、前血清
(コントロール)および10nmの金粒子結合抗ウサギIgG
で処理した葉肉細胞の電子顕微鏡写真である。横棒は0.
1μmを示す。図6Dは、抗DS9抗体および10nm金粒子結
合抗ウサギIgGで処理した葉肉細胞の凍結切片におけるD
S9タンパク質の局在を示す電子顕微鏡写真である。横棒
は0.1μmを示す。
電子顕微鏡写真である。図6Aは、抗DS9抗体および10n
m金粒子結合抗ウサギIgGで処理した葉肉細胞におけるDS
9タンパク質の局在を示す電子顕微鏡写真である。横棒
は1μmを示す。図6Bは、図6Aの高倍率の電子顕微
鏡写真である。横棒は0.1μmを示す。図6Cは、前血清
(コントロール)および10nmの金粒子結合抗ウサギIgG
で処理した葉肉細胞の電子顕微鏡写真である。横棒は0.
1μmを示す。図6Dは、抗DS9抗体および10nm金粒子結
合抗ウサギIgGで処理した葉肉細胞の凍結切片におけるD
S9タンパク質の局在を示す電子顕微鏡写真である。横棒
は0.1μmを示す。
【図7】 TM V感染タバコ(NNおよびnn)を、30℃で40
時間培養し、メタロプロテイン阻害剤(EDTA)および葉
緑体電子伝達系阻害剤(DCMU)処理して、さらに30℃で
培養した24時間後の壊死病斑の程度を示す生物の形態を
示す写真である。
時間培養し、メタロプロテイン阻害剤(EDTA)および葉
緑体電子伝達系阻害剤(DCMU)処理して、さらに30℃で
培養した24時間後の壊死病斑の程度を示す生物の形態を
示す写真である。
【図8】 TMV感染タバコ(NNおよびnn)を、30℃で40
時間培養し、メタロプロテイン阻害剤(EDTA)および葉
緑体電子伝達系阻害剤(DCMU)処理して、さらに30℃で
培養した24時間後のPR-1の発現レベルの程度を示したノ
ザン解析の結果を示す電気泳動写真である。
時間培養し、メタロプロテイン阻害剤(EDTA)および葉
緑体電子伝達系阻害剤(DCMU)処理して、さらに30℃で
培養した24時間後のPR-1の発現レベルの程度を示したノ
ザン解析の結果を示す電気泳動写真である。
【図9】 TMV感染タバコ(NNおよびnn)を、30℃で40
時間培養し、メタロプロテイン阻害剤(EDTA)および葉
緑体電子伝達系阻害剤(DCMU)処理して、さらに30℃で
培養した24時間後のサリチル酸量を示す図である。
時間培養し、メタロプロテイン阻害剤(EDTA)および葉
緑体電子伝達系阻害剤(DCMU)処理して、さらに30℃で
培養した24時間後のサリチル酸量を示す図である。
【図10】 HR誘発時に葉緑体の機能が低下すること
を、PSII活性を指標にして測定した図である。
を、PSII活性を指標にして測定した図である。
【図11】 DS9遺伝子を、センス(S)およびアンチセ
ンス(A)で導入したトランスジェニックタバコにおけ
るDS9タンパク質量を示すウエスタンブロット解析の結
果を示す電気泳動写真である。抗体として抗DS9抗体を
用いた。タンパク質量のコントロールとして、野生型タ
バコを用いた。
ンス(A)で導入したトランスジェニックタバコにおけ
るDS9タンパク質量を示すウエスタンブロット解析の結
果を示す電気泳動写真である。抗体として抗DS9抗体を
用いた。タンパク質量のコントロールとして、野生型タ
バコを用いた。
【図12】 DS9遺伝子を、センス(S)およびアンチセ
ンス(A)で導入したトランスジェニックタバコにおけ
るTMV接種5日後の壊死病斑の直径を示すグラフであ
る。コントロールとして、野生型タバコを用いた。
ンス(A)で導入したトランスジェニックタバコにおけ
るTMV接種5日後の壊死病斑の直径を示すグラフであ
る。コントロールとして、野生型タバコを用いた。
【図13】 DS9遺伝子を、センス(S)およびアンチセ
ンス(A)で導入したトランスジェニックタバコ(A9お
よびS6)における、TMV感染後5日目の壊死病斑形成の
程度を示す生物の形態を示す写真である。壊死病斑形成
の程度のコントロールとして、野生型タバコを用いた。
ンス(A)で導入したトランスジェニックタバコ(A9お
よびS6)における、TMV感染後5日目の壊死病斑形成の
程度を示す生物の形態を示す写真である。壊死病斑形成
の程度のコントロールとして、野生型タバコを用いた。
【図14】 DS9遺伝子を、アンチセンスで導入したト
ランスジェニックタバコ(A9)における、キュウリ立ち
枯れ病菌感染後7日目の生物の形態を示す写真である。
コントロールとして、35S-GUSを導入したトランスジェ
ニックタバコを用いた。
ランスジェニックタバコ(A9)における、キュウリ立ち
枯れ病菌感染後7日目の生物の形態を示す写真である。
コントロールとして、35S-GUSを導入したトランスジェ
ニックタバコを用いた。
【図15】 DS9遺伝子を、センスで導入したトランス
ジェニックタバコ(S4)における、パラコート処理後の
生物の形態を示す写真である。コントロールとして、野
生型タバコ(WT)を用いた。
ジェニックタバコ(S4)における、パラコート処理後の
生物の形態を示す写真である。コントロールとして、野
生型タバコ(WT)を用いた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91)
Claims (1)
- 【請求項1】 植物において細胞死を調節する方法であ
って、 DS9もしくはそのホモログをコードする遺伝子、または
その一部を含むポリヌクレオチドで、植物細胞を形質転
換する工程;および該形質転換した植物細胞を再分化さ
せて、植物を得る工程、を包含し、 ここで、該DS9もしくはそのホモログは、ATP依存性Zn型
メタロプロテアーゼであり、該ポリヌクレオチドは、該
植物細胞中でATP依存性Zn型メタロプロテアーゼの産生
を減少または増大させ、それによって該植物中の細胞の
細胞死が促進、または抑制される、方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11341386A JP2000157290A (ja) | 1999-01-01 | 1999-11-30 | 細胞死を調節する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11341386A JP2000157290A (ja) | 1999-01-01 | 1999-11-30 | 細胞死を調節する方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06015898A Division JP3586706B2 (ja) | 1998-03-11 | 1998-03-11 | 細胞死を調節する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000157290A true JP2000157290A (ja) | 2000-06-13 |
Family
ID=18345670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11341386A Pending JP2000157290A (ja) | 1999-01-01 | 1999-11-30 | 細胞死を調節する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000157290A (ja) |
-
1999
- 1999-11-30 JP JP11341386A patent/JP2000157290A/ja active Pending
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050311 |
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|
A02 | Decision of refusal |
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