JP2000154205A - 重合体、重合体の製造方法及び組成物 - Google Patents

重合体、重合体の製造方法及び組成物

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JP2000154205A JP11248895A JP24889599A JP2000154205A JP 2000154205 A JP2000154205 A JP 2000154205A JP 11248895 A JP11248895 A JP 11248895A JP 24889599 A JP24889599 A JP 24889599A JP 2000154205 A JP2000154205 A JP 2000154205A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明においては、末端に官能基を有するビニ
ル系重合体及びその製法を提供し、その重合体を用いた
硬化性組成物を提供する。 【解決手段】 末端にシラノール基、加水分解性シリル
基又はアクリル官能性基を有するビニル系重合体。末端
にシラノール基を有するビニル系重合体に、加水分解性
基を2つ以上有するケイ素化合物を反応させることから
なる、末端に加水分解性シリル基を有するビニル系重合
体の製造方法。末端にシラノール基を有するビニル系重
合体に、下記一般式で表されるケイ素化合物を反応させ
ることからなる、末端にアクリル官能性基を有するビニ
ル系重合体の製造方法。 XSiR2 −G−O−C(O)C(L)=CH2 式中、Xは加水分解性基である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、末端にシラノール
基、加水分解性シリル基又はアクリル官能性基を有する
ビニル系重合体、該重合体の製造方法、及び該重合体を
用いた硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】分子内に架橋性シリル基を有するビニル
系重合体、特に(メタ)アクリル系重合体は、主鎖と架
橋点の高い耐候性を利用して、高耐候性塗料として利用
されている。これらの(メタ)アクリル系重合体は、通
常、架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系モノマ
ーを他のモノマーと共重合する方法により製造されるの
で、架橋性シリル基が分子鎖中の任意の位置に存在して
おり、従ってゴム用途に用いるのは困難である。一方、
架橋性シリル基を分子末端に有する(メタ)アクリル系
重合体を製造して、シーリング材や接着剤に利用しよう
とする試みがある。分子末端に架橋性シリル基を有する
(メタ)アクリル系重合体の製造法としては、例えば、
特公平3−14068において、(メタ)アクリル系モ
ノマーを、架橋性シリル基含有メルカプタン、架橋性シ
リル基を有するジスルフィド、および架橋性シリル基を
有するラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法
が、また、特公平4−55444において、アクリル系
モノマーを架橋性シリル基含有ヒドロシラン化合物、ま
たはテトラハロシランの存在下に重合させる方法が開示
されている。また、特開平6−211922には、水酸
基含有ポリスルフィドを開始剤に対して大量に用いるこ
とにより、まず末端に水酸基を有するアクリル系重合体
を合成し、さらに水酸基を変換することを特徴とする、
末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリル系重合
体の製造法が記載されている。
【0003】一般的な重合体末端への架橋性シリル基の
導入法としては、重合体末端のアルケニル基へのヒドロ
シリル化反応によるものが挙げられる。しかし、シラノ
ール基とヒドロシリル基を併せ持つ化合物は不安定で入
手が困難であり、この方法により重合体末端へのシラノ
ール基の導入は困難である。
【0004】一方、架橋性シリル基の内でシラノール基
は反応性が高く、その反応性の高さを利用して特にシリ
コーンの分野では良く利用されている。しかし、シリコ
ーン以外でシラノール基を末端に有する重合体は上述の
ように製造が困難なためほとんど知られていない。
【0005】また、架橋性シリル基の内で、ケトオキシ
モ基、アシロキシ基等は反応性が高く、その反応性の高
さを利用して特にシリコーンの分野では良く利用されて
いる。しかし、シリコーン以外でケトオキシモ基、アシ
ロキシ基等を末端に有する重合体は上述のように製造が
困難なためほとんど知られていない。
【0006】ところで、分子鎖の末端にアルケニル基を
有する重合体は、そのもの単独、又は、ヒドロシリル基
含有化合物等の硬化剤を用いることにより架橋し、耐熱
性、耐久性の優れた硬化物を与えることが知られてい
る。そのような重合体の主鎖骨格としては、ポリエチレ
ンオキシドやポリプロピレンオキシド、ポリテトラメチ
レンオキシド等のポリエーテル系重合体;ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリイソブチ
レンあるいはそれらの水素添加物等の炭化水素系重合
体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリカプロラクトン等のポリエステル系重合
体;ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン系重合
体等が例示され、主鎖骨格の特性に応じて様々な用途に
用いられている。
【0007】(メタ)アクリル系重合体は、高い耐候性
や耐熱性、耐油性、透明性等、上記の各種重合体では得
られない特性を有しており、アルケニル基を側鎖に有す
るものは高耐候性塗料としての利用が提案されている
(例えば、特開平3−277645号公報、特開平7−
70399号公報)。しかし、アルケニル基を末端に有
する(メタ)アクリル系重合体は製造が困難であり、ほ
とんど実用化されていない。
【0008】特開平1−247403号公報には、アル
ケニル基を有するジチオカーバメート、又は、ジアリル
ジスルフィドを連鎖移動剤として用いることにより、両
末端にアルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方
法が開示されている。また、特開平6−211922号
公報には、水酸基含有ポリスルフィド、又は、アルコー
ル系化合物を連鎖移動剤として末端に水酸基を有するア
クリル系重合体を製造し、更に、水酸基の反応性を利用
することによる、末端にアルケニル基を有するアクリル
系重合体の製造方法が開示されている。
【0009】一方、硬化性ゴム弾性組成物は接着剤、シ
ール材、緩衝材等として広く利用されている。これらを
硬化手段から分類すると、密封下では安定であるが大気
中においては湿分の作用で室温で硬化してゴム弾性体と
なるいわゆる湿気硬化性組成物と、ヒドロシリル化反応
などを利用して加熱により架橋反応がおこるものに大別
される。
【0010】しかし、上述した方法においては、重合体
の末端にアルケニル基を確実に導入することは難しい。
また、これらの方法では通常のラジカル重合が用いられ
ているため、得られる重合体の分子量分布(重量平均分
子量と数平均分子量の比)は通常、2以上と広く、従っ
て、粘度が高いという問題があった。粘度が高いと、例
えば、シーリング材や接着剤として利用する際に、施工
時のハンドリングが困難になったり、補強のための充填
材を多量に配合できないといった問題が生じる。
【0011】さらに、ラジカル重合活性のあるアクリル
官能性基を、ラジカル重合により重合される(メタ)ア
クリル系重合体に導入することは容易ではなかった。特
にオリゴマーの末端にアクリル官能性基が導入された化
合物はほとんど合成されていない。
【0012】一方、光硬化性組成物においては、多くの
場合、アクリル官能性基を持つ低分子量の化合物が用い
られる。この場合、硬化中及び硬化後において、低沸点
の未反応化合物が揮発することによる臭気が大きな問題
となっている。これを回避するためにアクリル官能性基
を持つオリゴマーが用いられる。しかし、このようなオ
リゴマーは、主に合成上の問題から、エポキシアクリレ
ート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリ
レート系などに限定され、しかも、分子量の大きなオリ
ゴマーはあまりない。その結果として、それらの硬化物
は比較的固い硬化物になりがちであり、良好なゴム弾性
を持つものなどは得られない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、分子末端にシラノール基、加水分解性シリル基又
はアクリル官能性基を有する、構造が良く制御されたビ
ニル系重合体及びその製法を提供すると共に、それらを
用いた硬化性組成物を提供することを目的とするもので
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】第一の本発明は、少なく
とも一つの末端にシラノール基を有するビニル系重合体
(I)、及び、これを含有する硬化性組成物である。
【0015】第二の本発明は、少なくとも一つの末端に
シラノール基を有するビニル系重合体(I)に、ケイ素
原子に結合した加水分解性基を2つ以上有するケイ素化
合物を反応させることからなる、少なくとも一つの末端
に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(II)
の製造方法、この製造方法により得ることができる、少
なくとも一つの末端に加水分解性シリル基を有するビニ
ル系重合体(II)、及び、これを含有する硬化性組成
物である。
【0016】第三の本発明は、少なくとも一つの末端に
シラノール基を有するビニル系重合体(I)に、一般式
(3)で表わされるケイ素化合物を反応させることから
なる、少なくとも一つの末端にアクリル官能性基を有す
るビニル系重合体(III)の製造方法、 XSiR2 −G−O−C(O)C(L)=CH2 (3) (式中、Rは、炭素数1〜14の炭化水素基、又は炭素
数1〜10のハロゲン化炭化水素基であり、2つあるR
は同一でも異なっていてもよい。Xは加水分解性基であ
り、Gは炭素数1〜4のアルキレン基であり、Lは水素
原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)、この
製造方法により得ることができる、少なくとも一つの末
端にアクリル官能性基を有するビニル系重合体(II
I)、及び、これを含有する硬化性組成物である。以下
に本発明を詳述する。
【0017】
【発明の実施の形態】第一の本発明は、少なくとも一つ
の末端にシラノール基を有するビニル系重合体(I)で
ある。シラノール基としては特に限定されないが、一般
式(1)で示されるものが例示される。 −[Si(R12-b (OH)b O]m −Si(R23-a (OH)a (1) (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
1 又はR2 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
ってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2又は
3を示し、bは0、1又は2を示す。mは0〜19の整
数である。ただし、a+mb≧1であることを満足する
ものとする。)限定はされないが、一般式(1)におい
てm=0であるシラノール基が好ましい。
【0018】R1 およびR2 の具体例としては、限定は
されないが、次のようなものが挙げられる。 −(CH2n −CH3 、−CH(CH3 )−(CH
2n −CH3 、−CH(CH2 CH3 )−(CH2
n −CH3 、−CH(CH2 CH32 、−C(CH
32 −(CH2n −CH3 、−C(CH3 )(CH
2 CH3 )−(CH2n −CH3 、−C65 、−C6
5 (CH3 )、−C65 (CH32 、−(CH2
n −C65 、−(CH2n −C65 (CH
3 )、−(CH2n −C65 (CH32 (nは0以上の整数で、各基の合計炭素数は20以下) 本発明におけるシラノール基としては、さらに具体的に
は、−Si(CH32OH基が好ましい。
【0019】第一の本発明によるビニル系重合体(I)
の主鎖を形成するモノマーとしては特に限定されず、各
種のものを用いることができる。例示するならば、(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリ
ル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、
(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アク
リル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキ
シル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)ア
クリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オ
クチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸
フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アク
リル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエ
チル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メ
タ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アク
リル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)
アクリル酸−2−アミノエチル、γ−(メタクリロイル
オキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリ
ル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸
トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−
トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−
パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−
パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、
(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メ
タ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル
酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2
−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロデシルエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデ
シルエチル等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチ
レン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モ
ノマー(本明細書中において芳香族ビニル系モノマーと
もいう);パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピ
レン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマ
ー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン
酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及
びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアル
キルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メ
チルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミ
ド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチル
マレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミ
ド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等
のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アク
リルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル
系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニル
エステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブ
タジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、
塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙
げられる。これらは、単独で用いても良いし、複数を共
重合させても構わない。共重合する際にはランダム共重
合でも、ブロック共重合でも構わない。これらのモノマ
ーのなかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル
系モノマー、アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニ
ル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素
含有ビニル系モノマーが好ましい。より好ましくは、ア
クリル酸エステル系モノマー及びメタクリル酸エステル
系モノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチル
である。本発明においては、これらの好ましいモノマー
を他のモノマーと共重合させてもよく、その際は、これ
らの好ましいモノマーが重量比で40%以上含まれてい
ることが好ましい。なお上記表現形式で例えば(メタ)
アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリ
ル酸を表す。
【0020】第一の本発明によるビニル系重合体(I)
の分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)と数平
均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)については特に制
限はない。しかし、硬化性組成物とした際の粘度を低く
抑えて取扱いを容易にし、なおかつ十分な硬化物物性を
得るためには、分子量分布は狭いことが好ましい。分子
量分布の値としては1.8未満が好ましく、より好まし
くは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、さらに
好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.4以下、
さらに好ましくは1.3以下である。分子量分布の測定
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)で測定するのが最も一般的である。移動相としては
クロロホルムやTHFを、カラムとしてはポリスチレン
ゲルカラムを用い、数平均分子量等はポリスチレン換算
で求めることができる。
【0021】第一の本発明によるビニル系重合体(I)
の数平均分子量については特に制限はないが、500〜
100000の範囲にあるのが好ましい。分子量が50
0以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が発現さ
れにくく、また、100000以上であると、取り扱い
が困難になる場合がある。
【0022】<シラノール末端ビニル系重合体(I)の
製造>以下に、第一の本発明による少なくとも一つの末
端にシラノール基を有するビニル系重合体の製造法につ
いて説明するが、ここに示される方法に限定されるもの
ではない。シラノール基を有する重合体の適当な合成法
については、Advances in Inorgan
ic Chemistry vol.42,p.142
(1995)のP.D.Lickissの論文を参照で
きる。
【0023】基本的には、第一の本発明によるビニル系
重合体(I)は、ビニル系モノマーの重合を行い、これ
になんらかの方法でアルケニル基を末端に導入し、得ら
れた少なくとも1つの末端にアルケニル基を有するビニ
ル系重合体に対して、ケイ素原子に結合した加水分解性
基及びヒドロシリル基を併せ持つケイ素化合物でヒドロ
シリル化反応を行い、続いてこの加水分解性基を加水分
解し、シラノール基に変換することにより製造される。
この工程について以下、詳細に説明する。
【0024】<重合>まず、ビニル系モノマーを重合し
て、アルケニル基などの特定の官能基を有するビニル系
重合体を合成する。重合方法としては特に限定されない
が、モノマーの汎用性、重合の簡便さからラジカル重合
が好ましい。ここでラジカル重合法は、重合開始剤とし
てアゾ系化合物、過酸化物などを用いて、特定の官能基
を有するモノマーとビニル系モノマーとを単に共重合さ
せる「一般的なラジカル重合法」と、末端などの制御さ
れた位置に特定の官能基を導入することが可能な「制御
ラジカル重合法」に分類できる。
【0025】「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法
であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマー
は確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率
の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーを
かなり大量に使う必要があり、逆に少量の使用ではこの
特定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなる
という問題点がある。またフリーラジカル重合であるた
め、重合速度は高く、またラジカル同士のカップリング
などによる停止反応が起こりやすいため、重合の制御は
困難である。その結果、分子量分布が広く粘度の高い重
合体しか得られないという問題点もある。
【0026】「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の
官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうこと
により末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる
「連鎖移動剤法」と、重合生長末端が停止反応などを起
こさずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の
重合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類
することができる。
【0027】「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合
体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大
量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処
理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的な
ラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるた
め分子量分布が広くなるため、比較的粘度の高い重合体
しか得られないという問題点もある。
【0028】これらの重合法とは異なり、「リビングラ
ジカル重合法」は、停止反応が起こりにくく、分子量分
布の狭い(Mw/Mnが1.1〜1.5程度)重合体が
得られるとともに、モノマーと開始剤の仕込み比によっ
て分子量は自由にコントロールすることができる。従っ
て「リビングラジカル重合法」は、分子量分布が狭く、
粘度が低い重合体を得ることができる上に、特定の官能
基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入す
ることができるため、上記特定の官能基を有するビニル
系重合体の製造方法としてはより好ましいものである。
【0029】なお、リビング重合とは狭義においては、
末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合
のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたもの
と活性化されたものが平衡状態にありながら生長してい
く擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後
者である。
【0030】「リビングラジカル重合法」は近年様々な
グループで積極的に研究がなされている。その例として
は、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、19
94年、116巻、7943頁に示されるようなコバル
トポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュール
ズ(Macromolecules)、1994年、2
7巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物
などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物
等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラ
ジカル重合」(Atom Transfer Radi
cal Polymerization:ATRP)な
どがあげられる。
【0031】「リビングラジカル重合法」の中でも、有
機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等
を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマー
を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リ
ビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反
応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触
媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有
するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好まし
い。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMat
yjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁、サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報、WO97/18247号公報あるいはS
awamotoら、マクロモレキュールズ(Macro
molecules)1995年、28巻、1721頁
などが挙げられる。
【0032】まず、ニトロキシド化合物などのラジカル
捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合では一
般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O・)を
ラジカルキャッピング剤として用いる。このような化合
物類としては、限定はされないが、2,2,6,6−置
換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5
−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環状ヒド
ロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが好まし
い。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素数4以
下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキシフリ
ーラジカル化合物としては、限定はされないが、2,
2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラ
ジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル
−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,6−
テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキシラ
ジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジ
ニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチル−
2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ−t
−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニトロ
キシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル(ga
lvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフリーラ
ジカルを用いても構わない。
【0033】上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発
生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル
発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性
モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割
合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピ
ング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モル
が適当である。
【0034】ラジカル発生剤としては、種々の化合物を
使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカル
を発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシ
ドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシ
ド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド
類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシ
ド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘ
キシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカー
ボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステ
ル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好まし
い。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチ
ロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジ
カル発生剤も使用しうる。
【0035】マクロモレキュールズ(Macromol
ecules)1995年、28巻、2993頁で報告
されているように、ラジカルキャッピング剤とラジカル
発生剤を併用する代わりに、下図のようなアルコキシア
ミン化合物を開始剤として用いても構わない。
【0036】
【化1】
【0037】アルコキシアミン化合物を開始剤として用
いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の
官能基を有するものを用いると、末端に当該官能基を有
する重合体が得られる。
【0038】上記のニトロキシド化合物などのラジカル
捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合
温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原
子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わな
い。
【0039】次に、本発明で用いるリビングラジカル重
合としてより好ましい原子移動ラジカル重合法について
説明する。この原子移動ラジカル重合では、有機ハロゲ
ン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有する
有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有するカ
ルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化合
物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤
として用いられる。
【0040】この重合法を用いて両末端にアルケニル基
を有するビニル系重合体を得るために、開始点を2個以
上有する有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニ
ル化合物が開始剤として用いられる。それらの具体例と
しては、 o−,m−,p−XCH2 −C64 −CH2 X、o
−,m−,p−CH3 C(H)(X)−C64 −C
(H)(X)CH3 、o−,m−,p−(CH32
(X)−C64 −C(X)(CH32 (ただし、上記式中、C64 はフェニレン基を表す。
Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す) RO2 C−C(H)(X)−(CH2n −C(H)
(X)−CO2 R、RO2C−C(CH3 )(X)−
(CH2n −C(CH3 )(X)−CO2 R、RC
(O)−C(H)(X)−(CH2n −C(H)
(X)−C(O)R、RC(O)−C(CH3 )(X)
−(CH2n −C(CH3 )(X)−C(O)R (上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリー
ル基またはアラルキル基を表す。nは0〜20の整数を
表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素を表す) XCH2 −C(O)−CH2 X、H3 C−C(H)
(X)−C(O)−C(H)(X)−CH3 、(H3
C)2 C(X)−C(O)−C(X)(CH32 、C
65 C(H)(X)−(CH2n −C(H)(X)
65 (上記式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素を表し、nは
0〜20の整数を表す) XCH2 CO2 −(CH2n −OCOCH2 X、CH
3 C(H)(X)CO2−(CH2n −OCOC
(H)(X)CH3 、(CH32 C(X)CO2
(CH2n −OCOC(X)(CH32 (上記式中、nは1〜20の整数を表す) XCH2 C(O)C(O)CH2 X、CH3 C(H)
(X)C(O)C(O)C(H)(X)CH3 、(CH
32 C(X)C(O)C(O)C(X)(CH3
2 、o−,m−,p−XCH2 CO2 −C64 −OC
OCH2 X、o−,m−,p−CH3 C(H)(X)C
2 −C64 −OCOC(H)(X)CH3、o−,
m−,p−(CH32 C(X)CO2 −C64 −O
COC(X)(CH32 、o−,m−,p−XSO2
−C64 −SO2 X (上記式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表す)
【0041】重合触媒として用いられる遷移金属錯体と
しては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7
族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属
とする金属錯体錯体である。更に好ましいものとして、
0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は
2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯
体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するなら
ば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化
第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合
物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビ
ピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン
及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペン
タメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス
(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子
が添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリスト
リフェニルホスフィン錯体(RuCl2 (PPh3
3 )も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒
として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアル
コキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフ
ェニルホスフィン錯体(FeCl2 (PPh32 )、
2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(N
iCl2 (PPh32 )、及び、2価のニッケルのビ
ストリブチルホスフィン錯体(NiBr2 (PBu3
2 )も、触媒として好適である。
【0042】この重合において用いられるビニル系のモ
ノマーとしては特に制約はなく、既に例示したものをす
べて好適に用いることができる。
【0043】上記重合反応は、無溶媒又は各種の溶媒中
で行うことができる。溶媒としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソー
ル、ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶媒;塩化メチ
レン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭
化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタ
ノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチル
アルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコー
ル系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾ
ニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル
等のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレ
ンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられ
る。これらは、単独又は2種以上を混合して用いること
ができる。また、エマルジョン系もしくは超臨界流体C
2 を媒体とする系においても重合を行うことができ
る。この重合は、限定はされないが、0〜200℃の範
囲で行うことができ、好ましくは、室温〜150℃の範
囲である。
【0044】<アルケニル基導入>少なくとも1つの末
端にアルケニル基を有するビニル系重合体の製造方法
は、以下の(A)〜(C)において具体的に例示して説
明するがこれらに限定されるものではない。 (A)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際
に、重合体主鎖に直接アルケニル基を導入する方法。 (B)ハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合体
を用いて、このハロゲンをアルケニル基含有官能基に置
換する方法。このハロゲン基としては、限定はされない
が、一般式(4)で示されるものが好ましい。 −C(R5 )(R6 )(X) (4) (式中、R5 およびR6 はビニル系モノマーのエチレン
性不飽和基に結合した基を表す。Xは塩素、臭素または
ヨウ素を表す。) (C)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体を
用いて、この水酸基をアルケニル基含有官能基に置換す
る方法。
【0045】上記合成法(A)の重合体主鎖に直接アル
ケニル基を導入する方法としては特に限定されないが、
具体的には次に述べる(A−a)〜(A−b)の方法な
どを挙げることができる。 (A−a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、所定のビニル系モノマーとともに、下
記一般式(5)等で表される一分子中に重合性のアルケ
ニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合
物をも反応させる方法。 H2 C=C(R7 )−R8 −R9 −C(R7 )=CH2 (5) 式中、R7 は水素またはメチル基を表し、互いに同一で
あっても異なっていてもよい。R8 は−C(O)O−
(エステル基)、またはo−,m−もしくはp−フェニ
レン基を表す。R9 は直接結合、または1個以上のエー
テル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有
機基を表す。R8 がエステル基のものは(メタ)アクリ
レート系化合物、R8 がフェニレン基のものはスチレン
系の化合物である。上記一般式(5)におけるR9 とし
ては、メチレン、エチレン、プロピレン等のアルキレン
基;o−,m−,p−フェニレン基;ベンジル基等のア
ラルキル基;−CH2 CH2 −O−CH2 −や−O−C
2 −等のエーテル結合を含むアルキレン基等が例示さ
れる。
【0046】上記一般式(5)の化合物の中でも、入手
が容易であるという点から下記のものが好ましい。 H2 C=C(H)C(O)O(CH2n −CH=CH
2 、H2 C=C(CH3)C(O)O(CH2n −C
H=CH2 上記の各式において、nは0〜20の整数を表す。 H2 C=C(H)C(O)O(CH2n −O−(CH
2m CH=CH2 、H 2 C=C(CH3 )C(O)O
(CH2n −O−(CH2m CH=CH2 上記の各式において、nは1〜20の整数、mは0〜2
0の整数を表す。 o−,m−,p−ジビニルベンゼン、o−,m−,p−
2 C=CH−C64−CH2 CH=CH2 、o−,
m−,p−H2 C=CH−C64 −CH2 −C(CH
3 )=CH2 、o−,m−,p−H2 C=CH−C6
4 −CH2 CH2CH=CH2 、o−,m−,p−H2
C=CH−C64 −OCH2 CH=CH 2 、o−,m
−,p−H2 C=CH−C64 −OCH2 −C(CH
3 )=CH 2 、o−,m−,p−H2 C=CH−C6
4 −OCH2 CH2 CH=CH2 、o−,m−,p−H
2 C=C(CH3 )−C64 −C(CH3 )=CH
2 、o−,m−,p−H2 C=C(CH3 )−C64
−CH2 CH=CH2 、o−,m−,p−H2 C=C
(CH3 )−C64 −CH2 C(CH3 )=CH2
o−,m−,p−H2 C=C(CH3 )−C64 −C
2 CH2 CH=CH2 、o−,m−,p−H2 C=C
(CH3 )−C64 −OCH2 CH=CH2 、o−,
m−,p−H2 C=C(CH3 )−C64 −OCH2
−C(CH3 )=CH2 、o−,m−,p−H2 C=C
(CH3 )−C64 −OCH2 CH2 CH=CH2 上記の各式において、C64 はフェニレン基を表す。
【0047】なお、上記重合性のアルケニル基および重
合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる
時期としては特に制限はないが、リビングラジカル重合
において、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反
応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ま
しい。
【0048】(A−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する
化合物を反応させる方法。
【0049】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式(6)に示される化合物等が挙げられる。 H2 C=C(R7 )−R10−C(R7 )=CH2 (6) 式中、R7 は水素またはメチル基を表し、互いに同一で
も異なっていてもよい。R10は1個以上のエーテル結合
を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表
す。上記一般式(6)に示される化合物としては特に限
定されないが、入手が容易であるということから、1,
5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デ
カジエンが好ましい。
【0050】上記合成法(A)の重合体主鎖に直接アル
ケニル基を導入することによる、少なくとも1つの末端
にアルケニル基を有するビニル系重合体の合成方法にお
いては、一分子当たりに導入されるアルケニル基の制御
がより容易である点から(A−b)の方法が好ましい。
【0051】上記合成法(B)における重合体末端のハ
ロゲン、好ましくは一般式(4)で表されるハロゲンを
少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は原子移
動ラジカル重合法が好ましい。この重合体のハロゲンを
アルケニル基含有官能基に置換する方法としては特に限
定されないが、具体的には次に述べる(B−a)〜(B
−d)の方法などを挙げることができる。 (B−a)重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式
(4)で表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニ
ル系重合体に、アルケニル基を有する各種の有機金属化
合物を作用させてハロゲンを置換する方法。
【0052】このような有機金属化合物としては、有機
リチウム、有機ナトリウム、有機カリウム、有機マグネ
シウム、有機錫、有機ケイ素、有機亜鉛、有機銅等が挙
げられる。特に一般式(4)のハロゲンと選択的に反応
し、カルボニル基との反応性が低いという点で、有機
錫、有機銅化合物が好ましい。
【0053】アルケニル基を有する有機錫化合物として
は、特に制限はないが、下記一般式(7)で示される化
合物が好ましい。 H2 C=C(R7 )C(R11)(R12)Sn(R133 (7) (式中、R7 は上述したものと同様である。R11および
12は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数6〜10のアリール基、または炭素数7〜10のアラ
ルキル基を表し、これらは互いに同じであっても異なっ
ていてもよい。R 13は、炭素数1〜10のアルキル基、
アリール基、またはアラルキル基を表す。)上記一般式
(7)の有機錫化合物の具体例を示すならば、アリルト
リブチル錫、アリルトリメチル錫、アリルトリ(n−オ
クチル)錫、アリルトリ(シクロヘキシル)錫等が例示
される。アルケニル基を有する有機銅化合物としては、
ジビニル銅リチウム、ジアリル銅リチウム、ジイソプロ
ペニル銅リチウム等が例示される。
【0054】(B−b)重合体末端のハロゲン、好まし
くは一般式(4)で表されるハロゲンを少なくとも1個
有するビニル系重合体に、下記一般式(8)等で表され
るアルケニル基を有する安定化カルバニオンを反応させ
てハロゲンを置換する方法。 M+- (R15)(R16)−R14−C(R7 )=CH2 (8) (式中、R7 は上述したものと同様である。M+ はアル
カリ金属イオンまたは4級アンモニウムイオンを表す。
14は1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素
数1〜20の2価の有機基を表す。R15およびR16はと
もにカルバニオンC- を安定化する電子吸引基、または
一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数1〜1
0のアルキル基もしくはフェニル基を表す。R15および
16の電子吸引基としては、−CO2 R(エステル
基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2 )(ア
ミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN(ニ
トリル基)、−NO2 (ニトロ基)等が挙げられる。置
換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20
のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基であ
り、好ましくは炭素数1〜10のアルキル基もしくはフ
ェニル基である。R15およびR16としては、−CO2
R、−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。)
【0055】アルカリ金属イオンとしてはリチウムイオ
ン、ナトリウムイオン、カリウムイオンが、また、4級
アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウ
ムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、トリメチ
ルベンジルアンモニウムイオン、トリメチルドデシルア
ンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン等
が具体例として挙げられる。
【0056】上記一般式(8)のカルバニオンは、その
前駆体に対して塩基性化合物を作用させ、活性プロトン
を引き抜くことによって得ることができる。一般式
(8)のカルバニオンの前駆化合物としては以下のよう
な化合物が例示できる。 H2 C=CH−CH(CO2 CH32 、H2 C=CH
−CH(CO2252 、H2 C=CH−(CH
2n CH(CO2 CH32 、H2 C=CH−(CH
2n CH(CO2252 、o−,m−,p−H
2 C=CH−C6 4 −CH(CO2 CH32 、o
−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(CO2
252 、o−,m−,p−H2 C=CH−C6
4 −CH2 CH(CO2 CH32 、o−,m−,p−
2 C=CH−C64 −CH2 CH(CO22
52 、H2 C=CH−CH(C(O)CH3 )(CO
225)、H2 C=CH−(CH2n CH(C
(O)CH3 )(CO225 )、o−,m−,p−
2 C=CH−C64 −CH(C(O)CH3 )(C
2 25 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C6
4 −CH2 CH(C(O)CH3 )(CO22
5 )、H2 C=CH−CH(C(O)CH32 、H2
C=CH−(CH2n CH(C(O)CH32 、o
−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(C
(O)CH32 、o−,m−,p−H2 C=CH−C
64 −CH2 CH(C(O)CH32 、H2 C=C
H−CH(CN)(CO 225 )、H2 C=CH−
(CH2n CH(CN)(CO225 )、o−,
m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(CN)(C
225 )、o−,m−,p−H2 C=CH−C6
4 −CH2 CH(CN)(CO22 5 )、H2
=CH−CH(CN)2 、H2 C=CH−(CH2n
CH(CN)2 、o−,m−,p−H2 C=CH−C6
4 −CH(CN)2 、o−,m−,p−H2 C=CH
−C64 −CH2 CH(CN)2 、H2 C=CH−
(CH 2n NO2 、o−,m−,p−H2 C=CH−
64 −CH2 NO2 、o−,m−,p−H2 C=C
H−C64 −CH2 CH2 NO2 、H2 C=CH−C
H(C65 )(CO225 )、H2 C=CH−
(CH2n CH(C6 5 )(CO225 )、o
−,m−,p−H2 C=CH−C64 −CH(C 6
5 )(CO225 )、o−,m−,p−H2 C=C
H−C64 −CH 2 CH(C65 )(CO22
5 ) 上記式中、nは1〜10の整数を表す。
【0057】上記化合物からプロトンを引き抜き一般式
(8)のカルバニオンとするためには各種の塩基性化合
物が使用される。これらの塩基性化合物としては以下の
ような化合物が例示できる。ナトリウム、カリウム、リ
チウム等のアルカリ金属;ナトリウムメトキシド、カリ
ウムメトキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナ
トリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert
−ブトキシド等の金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム等の
炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化
物;水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウ
ム、エチルリチウム等の水素化物;n−ブチルリチウ
ム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピ
ルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等の有機金
属;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリブチルアミン等のアルキルアミン;テトラメチ
ルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミ
ン等のポリアミン;ピリジン、ピコリン等のピリジン系
化合物等塩基性化合物の使用量は前駆物質に対して当量
または小過剰量用いればよく、好ましくは1〜1.2当
量である。
【0058】上記のカルバニオンとして4級アンモニウ
ム塩も使用できる。この場合、カルボン酸化合物のアル
カリ金属塩であるものを調製し、これに4級アンモニウ
ムハライドを作用させることによって得られる。4級ア
ンモニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウ
ムハライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリ
メチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデ
シルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウム
ハライド等が例示される。
【0059】上記前駆化合物と塩基性化合物を反応させ
る際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、ト
ルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメ
トキシベンゼン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、ク
ロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブ
チルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系
溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカー
ボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等の
スルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又
は2種以上を混合して用いることができる。上記の前駆
体に塩基性化合物を作用させることにより一般式(8)
で表されるカルバニオンが調製され、重合体末端のハロ
ゲン、好ましくは一般式(4)のハロゲン末端を有する
ビニル系重合体と反応させることにより、目的とするア
ルケニル基を末端に有するビニル系重合体を得ることが
できる。
【0060】(B−c)重合体末端のハロゲン、好まし
くは一般式(4)で表されるハロゲンを少なくとも1個
有するビニル系重合体に、金属単体あるいは有機金属化
合物を作用させてエノレートアニオンとし、しかる後
に、アルケニル基を有する求電子化合物と反応させる方
法。 金属単体としては、生成するエノレートアニオンが他の
エステル基を攻撃したり転移するような副反応を起こし
にくいという点で亜鉛が特に好ましい。アルケニル基を
有する求電子化合物としては各種のものを使用すること
ができる。例えば、ハロゲンやアセチル基のような脱離
基を有するアルケニル基含有化合物、アルケニル基を有
するカルボニル化合物、アルケニル基を有するイソシア
ネート化合物、アルケニル基を有する酸ハロゲン化物等
である。これらのうち、ハロゲンやアセチル基のような
脱離基を有するアルケニル基含有化合物を用いると、主
鎖に炭素以外の原子が導入されず、ビニル系重合体の耐
候性が失われないので好ましい。
【0061】(B−d)重合体末端のハロゲン、好まし
くは一般式(4)で表されるハロゲンを少なくとも1個
有するビニル系重合体に、下記一般式(9)等で表され
るアルケニル基含有オキシアニオン又は下記一般式(1
0)等で表されるアルケニル基含有カルボキシレートア
ニオンを反応させて、上記ハロゲンをアルケニル基含有
置換基に置換する方法。 CH2 =C(R7 )−R14−O-+ (9) (式中、R7 、R14およびM+ は上述したものと同様で
ある。) CH2 =C(R7 )−R14−C(O)O-+ (10) (式中、R7 、R14およびM+ は上述したものと同様で
ある。)
【0062】一般式(9)および(10)で表されるオ
キシアニオンの前駆化合物としては以下のような化合
物:H2 C=CH−CH2 −OH、H2 C=CH−CH
(CH3 )−OH、H2 C=C(CH3 )−CH2 −O
H、H2 C=CH−(CH2n −OH(nは、2〜2
0の整数を表す。)、H2 C=CH−CH2 −O−(C
22 −OH、H2C=CH−C(O)O−(CH
22 −OH、H2 C=C(CH3 )−C(O)O−
(CH22 −OH、o−,m−,p−H2 C=CH−
64 −CH2 −OH、o−,m−,p−H2 C=C
H−CH2 −C64 −CH2 −OH、o−,m−,p
−H2 C=CH−CH2 −O−C64 −CH2 −OH
等のアルコール性水酸基含有化合物;o−,m−,p−
2 C=CH−C64 −OH、o−,m−,p−H2
C=CH−CH2 −C64 −OH、o−,m−,p−
2 C=CH−CH2 −O−C64 −OH等のフェノ
ール性水酸基含有化合物;H2C=CH−C(O)−O
H、H2 C=C(CH3 )−C(O)−OH、H2 C=
CH−CH2 −C(O)−OH、H2 C=CH−(CH
2n −C(O)−OH(nは、2〜20の整数を表
す。)、H2 C=CH−(CH2n −OC(O)−
(CH2m −C(O)−OH(m及びnは、同一又は
異なって、0〜19の整数を表す。)、o−,m−,p
−H2 C=CH−C64 −C(O)−OH、o−,m
−,p−H2 C=CH−CH2 −C64 −C(O)−
OH、o−,m−,p−H2 C=CH−CH2 −O−C
64 −C(O)−OH、o−,m−,p−H2 C=C
H−(CH2n −OC(O)−C64 −C(O)−
OH(nは、0〜13の整数を表す。)等のカルボキシ
ル基含有化合物;等が挙げられる。
【0063】上記の化合物からプロトンを引き抜き上記
一般式(9)あるいは(10)のアニオンとするために
は各種の塩基性化合物が使用され、その具体例として
は、前述の一般式(8)のカルバニオンを調製する際に
用いられる塩基性化合物がすべて好適に使用される。ま
た、反応溶媒についてもカルバニオンを調製する際に用
いられるものがすべて好適に使用される。
【0064】上記合成法(B)の中では、高い比率でア
ルケニル基を導入することができることから、有機ハロ
ゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始
剤、遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル
重合法によって得られた重合体末端のハロゲン、好まし
くは一般式(4)で表されるハロゲンを少なくとも1個
有するビニル系重合体のハロゲンを(B−d)の方法に
より変換することによりアルケニル基を導入する方法が
好ましい。(B−d)の方法の中では一般式(10)等
で表されるアルケニル基含有カルボキシレートアニオン
を反応させる方法がより好ましい。
【0065】有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スル
ホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビ
ニル系モノマーを重合する原子移動ラジカル重合法を用
いることを特徴とするビニル系重合体の製造法におい
て、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物を開始剤と
して用いれば、片末端にアルケニル基を有し、他の末端
が重合体末端のハロゲン、好ましくは一般式(4)の構
造を有するビニル系重合体を得ることができる。このよ
うにして得られる重合体の停止末端のハロゲンをアルケ
ニル基含有置換基に変換すれば、両末端にアルケニル基
を有するビニル系重合体を得ることができる。その変換
方法としては、既に記載した方法を使用することができ
る。
【0066】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
しては特に制限はないが、例えば、下記一般式(11)
に示す構造を有するものが例示される。 R1718C(X)−R19−R9 −C(R7 )=CH2 (11) (式中、R7 、R9 およびXは上述したものと同様であ
る。R17、R18は水素または炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のア
ラルキル基、または他端において相互に連結したものを
表す。R19は−C(O)O−(エステル基)、−C
(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレ
ン基を表す。)
【0067】一般式(11)で表されるアルケニル基を
有する有機ハロゲン化物の具体例としては、XCH2
(O)O(CH2n CH=CH2 、H3 CC(H)
(X)C(O)O(CH2n CH=CH2 、(H3
C)2 C(X)C(O)O(CH2n CH=CH2
CH3 CH2 C(H)(X)C(O)O(CH2n
H=CH2
【0068】
【化2】
【0069】上記の各式において、Xは塩素、臭素、ま
たはヨウ素を表す。nは0〜20の整数を表す。 XCH2 C(O)O(CH2n O(CH2m CH=
CH2 、H3 CC(H)(X)C(O)O(CH2n
O(CH2m CH=CH2 、(H3 C)2 C(X)C
(O)O(CH2n O(CH2m CH=CH2 、C
3 CH2 C(H)(X)C(O)O(CH2n
(CH2m CH=CH2
【0070】
【化3】
【0071】上記各式において、Xは塩素、臭素、また
はヨウ素を表す。nは1〜20の整数を、mは0〜20
の整数を表す。 o,m,p−XCH2 −C64 −(CH2n −CH
=CH2 、o,m,p−CH3 C(H)(X)−C6
4 −(CH2n −CH=CH2 、o,m,p−CH3
CH2 C(H)(X)−C64 −(CH2n −CH
=CH2上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨ
ウ素を表す。nは0〜20の整数を表す。 o,m,p−XCH2 −C64 −(CH2n −O−
(CH2m −CH=CH2 、o,m,p−CH3
(H)(X)−C64 −(CH2n −O−(CH
2m −CH=CH2 、o,m,p−CH3 CH2
(H)(X)−C64−(CH2n −O−(CH
2m CH=CH2 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
す。nは1〜20の整数を表し、mは0〜20の整数を
表す。 o,m,p−XCH2 −C64 −O−(CH2n
CH=CH2 、o,m,p−CH3 C(H)(X)−C
64 −O−(CH2n −CH=CH2 、o,m,p
−CH3 CH2 C(H)(X)−C64 −O−(CH
2n −CH=CH2 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
し、nは0〜20の整数を表す。 o,m,p−XCH2 −C64 −O−(CH2n
O−(CH2m −CH=CH2 、o,m,p−CH3
C(H)(X)−C64 −O−(CH2n −O−
(CH2m −CH=CH2 、o,m,p−CH3 CH
2 C(H)(X)−C64 −O−(CH2n −O−
(CH2m −CH=CH2 上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
表す。nは1〜20の整数を表し、mは0〜20の整数
を表す。
【0072】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
してはさらに一般式(12)で示される化合物が挙げら
れる。 H2 C=C(R7 )−R9 −C(R17)(X)−R20−R18 (12) (式中、R7 、R9 、R17、R18、Xは上述したものと
同様である。R20は、直接結合、−C(O)O−(エス
テル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m
−,p−フェニレン基を表す。) R9 は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基
(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)である
が、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭
素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物で
ある。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲ
ン結合が活性化されているので、R20としてC(O)O
基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接
結合であってもよい。R9 が直接結合でない場合は、炭
素−ハロゲン結合を活性化するために、R17としてはC
(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0073】上記一般式(12)の化合物は、具体的に
は下記の化合物を例示できる。 CH2 =CHCH2 X、CH2 =C(CH3 )CH2
X、CH2 =CHC(H)(X)CH3 、CH2 =C
(CH3 )C(H)(X)CH3 、CH2 =CHC
(X)(CH32 、CH2 =CHC(H)(X)C2
5 、CH2 =CHC(H)(X)CH(CH32
CH2 =CHC(H)(X)C65 、CH2 =CHC
(H)(X)CH265 、CH2 =CHCH2
(H)(X)−CO2R、CH2 =CH(CH22
(H)(X)−CO2 R、CH2 =CH(CH 23
(H)(X)−CO2 R、CH2 =CH(CH28
(H)(X)−CO2 R、CH2 =CHCH2 C(H)
(X)−C65 、CH2 =CH(CH 22 C(H)
(X)−C65 、CH2 =CH(CH23 C(H)
(X)−C65 上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を表
す。Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基を表す。
【0074】アルケニル基を有するハロゲン化スルホニ
ル化合物は、具体的には下記の化合物を例示できる。 o−,m−,p−CH2 =CH−(CH2n −C6
4 −SO2 X、o−,m−,p−CH2 =CH−(CH
2n −O−C64 −SO2 X (上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
表す。nは0〜20の整数を表す。)
【0075】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物、
またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤として用
いると、片末端がアルケニル基、他の末端がハロゲン
基、好ましくは一般式(4)で示されるハロゲン末端の
重合体を得ることができる。この重合体のハロゲンを置
換できる、同一または異なった官能基を合計2個以上有
する化合物を用いて、ハロゲン末端どうしをカップリン
グさせることによっても、両末端にアルケニル基を有す
るビニル系重合体を得ることができる。
【0076】末端ハロゲンを置換できる、同一または異
なった官能基を合計2個以上有する化合物としては特に
制限はないが、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン
酸、ポリチオール、およびそれらの塩、アルカリ金属硫
化物等が好ましい。これら化合物の具体例としては下記
の化合物を例示できる。エチレングリコール、1,2−
プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メ
チル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、
2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘ
プタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−
ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12
−ドデカンジオール、1,2−シクロペンタンジオー
ル、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロ
ヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジオール、グリセロール、1,
2,4−ブタントリオール、カテコール、レゾルシノー
ル、ヒドロキノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、
1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキ
シナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,
2′−ビフェノール、4,4′−ビフェノール、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4′−イソプ
ロピリデンフェノール、3,3′−(エチレンジオキ
シ)ジフェノール、α,α′−ジヒドロキシ−p−キシ
レン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオー
ル等のポリオール;および、上記ポリオール化合物のア
ルカリ金属塩;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプ
ロパン、1,2−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノ
ブタン、1,2−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,
5−ジアミノペンタン、2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−
ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9
−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,1
2−ジアミノドデカン、4,4′−メチレンビス(シク
ロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサ
ン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミ
ノシクロヘキサン、1,2−フェニレンジアミン、1,
3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミ
ン、α,α′−ジアミノ−p−キシレン等のポリアミ
ン;および上記ポリアミン化合物のアルカリ金属塩;シ
ュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、ジメチルマロン
酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、1,8−オクタン
ジカルボン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10
−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボ
ン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,2−シク
ロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−シクロ
ヘキサントリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テ
レフタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、
1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸等のポリカ
ルボン酸;および上記ポリカルボン酸のアルカリ金属
塩;1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチ
オール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジ
チオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキ
サンジチオール、1,7−ヘプタンジチオール、1,8
−オクタンジチオール、1,9−ノナンジチオール、2
−メルカプトエチルエーテル、p−キシレン−α,α′
−ジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−
ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、等
のポリチオール;および、上記ポリチオール化合物のア
ルカリ金属塩;硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カ
リウム。上記のポリオール、ポリアミン、ポリカルボン
酸、ポリチオールを用いる際は、置換反応を促進させる
ために、塩基性化合物が併用され、その具体例として
は、既に例示したものが挙げられる。
【0077】上記合成法(C)の水酸基を少なくとも1
個有するビニル系重合体を用いて、この水酸基をアルケ
ニル基含有官能基に置換する方法としては特に限定され
ないが、具体的には次に述べる(C−a)〜(C−d)
の方法などを挙げることができる。なお、上記の水酸基
を少なくとも1個有するビニル系重合体は、後述する
(D−a)〜(D−i)の方法により得ることができ
る。 (C−a)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合
体の水酸基に、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシ
ド等の塩基を作用させた後に、塩化アリルのようなアル
ケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方法。 (C−b)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合
体とアリルイソシアネート等のアルケニル基含有イソシ
アネート化合物とを反応させる方法。 (C−c)ピリジン等の塩基存在下、水酸基を少なくと
も1個有するビニル系重合体を(メタ)アクリル酸クロ
リド等のアルケニル基含有酸ハロゲン化物と反応させる
方法。 (C−d)酸触媒の存在下、水酸基を少なくとも1個有
するビニル系重合体とアクリル酸等のアルケニル基含有
カルボン酸とを反応させる方法。
【0078】(C)の方法で用いる水酸基を少なくとも
1個有するビニル系重合体の製造方法は以下に示す(D
−a)〜(D−f)のような方法が例示されるが、これ
らの方法に限定されるものではない。 (D−a)リビングラジカル重合によりビニル系重合体
を合成する際に、下記一般式(13)等で表される一分
子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持つ化
合物を第2のモノマーとして反応させる方法。 H2 C=C(R7 )−R8 −R9 −OH (13) (式中、R7 、R8 およびR9 は上述したものと同様で
ある。) なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を
併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特に
ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるい
は所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て反応させるのが好ましい。
【0079】(D−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基
を有する化合物を反応させる方法。このような化合物と
しては特に限定されないが、一般式(14)に示される
化合物等が挙げられる。 H2 C=C(R7 )−R10−OH (14) (式中、R7 およびR10は上述したものと同様であ
る。)上記一般式(14)に示される化合物としては特
に限定されないが、入手が容易であるということから、
10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアル
コールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
【0080】(D−c)特開平4−132706号公報
などに開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合
により得られる一般式(4)で表される炭素−ハロゲン
結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲン
を、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させるこ
とにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0081】(D−d)原子移動ラジカル重合により得
られる一般式(4)で表される炭素−ハロゲン結合を少
なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(15)
に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオン
を反応させてハロゲンを置換する方法。 M+- (R15)(R16)−R14−OH (15) (式中、R14、R15およびR16は上述したものと同様で
ある。)
【0082】(D−e)原子移動ラジカル重合により得
られる一般式(4)で表される炭素−ハロゲン結合を少
なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のよ
うな金属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノ
レートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又
はケトン類を反応させる方法。
【0083】(D−f)重合体末端のハロゲン、好まし
くは一般式(4)で表されるハロゲンを少なくとも1個
有するビニル系重合体に、下記一般式(16)等で表さ
れる水酸基含有オキシアニオン又は下記一般式(17)
等で表される水酸基含有カルボキシレートアニオンを反
応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する
方法。 HO−R14−O-+ (16) (式中、R14およびM+ は上述したものと同様であ
る。) HO−R14−C(O)O-+ (17) (式中、R14およびM+ は上述したものと同様であ
る。)
【0084】本発明では(D−a)〜(D−b)のよう
な水酸基を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場
合、制御がより容易である点から(D−b)の方法がさ
らに好ましい。また、(D−c)〜(D−f)のような
炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重
合体のハロゲンを変換することにより水酸基を導入する
場合は、制御がより容易である点から(D−f)の方法
がさらに好ましい。
【0085】<ヒドロシリル化反応>上記のように製造
されたアルケニル基を末端に有すビニル系重合体に対し
て、ケイ素原子に結合した加水分解性基とヒドロシリル
基を併せ持つケイ素化合物を用いてヒドロシリル化反応
を行うことにより、重合体末端にケイ素原子と結合した
加水分解性基を導入することができる。
【0086】ケイ素原子に結合した加水分解性基とヒド
ロシリル基を併せ持つケイ素化合物としては、限定はさ
れないが、下記一般式(18)で示される化合物が挙げ
られる。 H−[Si(R12-b (Y″)b O]m −Si(R23-a (Y″)a (1
8) (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は、(R′)3
SiO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基で
あって、3個のR′は同一であってもよく、異なってい
てもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、
1 又はR2 が2個以上存在するとき、それらは同一で
あってもよく、異なっていてもよい。Y″は水酸基以外
の加水分解性基を示す。aは0、1、2又は3を示し、
bは0、1又は2を示す。mは0〜19の整数である。
ただし、a+mb≧1であることを満足するものとす
る。)この内、m=0のものが好ましい。
【0087】Y″としては、限定はされないが、ケトオ
キシモ基、アシロキシ基、アルコキシ基、アミド基、ア
ミノキシ基、アミノ基、アルケノキシ基、ハロゲン基、
水素等が挙げられる。この内では、ハロゲン基が好まし
い。
【0088】このようなケイ素化合物の更なる具体例と
しては、ジアルキルクロロシラン、特にクロロジメチル
シランが好ましい。
【0089】ケイ素原子に結合した加水分解性基及びヒ
ドロシリル基を併せ持つケイ素化合物をアルケニル基を
末端に有する重合体に対し反応させる量は特に限定され
ない。ヒドロシリル基を一つだけ有する化合物を用いる
場合は、アルケニル基に対し等量で構わないが、ヒドロ
シリル基を複数有する化合物を用いる場合は、ヒドロシ
リル化反応によりカップリングしてしまう可能性がある
ので、過剰量用いるのが好ましい。
【0090】ヒドロシリル化反応をより迅速に進めるた
めに、ヒドロシリル化触媒が添加される。このようなヒ
ドロシリル化触媒としては、有機過酸化物やアゾ化合物
等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられ
る。
【0091】ラジカル開始剤としては特に制限はなく各
種のものを用いることができる。例示するならば、ジ−
t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシ
ン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキ
シド、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプ
ロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベン
ゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシ
ド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジク
ロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド
のようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチ
ルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過
ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカ
ーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シク
ロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオ
キシケタール等が挙げられる。
【0092】また、遷移金属触媒としては、例えば、白
金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体
に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸
とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−
オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメチルジ
シロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の
例としては、RhCl(PPh33 ,RhCl3 ,R
uCl3 ,IrCl3 ,FeCl3 ,AlCl3 ,Pd
Cl2 ・H2 O,NiCl2 ,TiCl4 等が挙げられ
る。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を
併用してもかまわない。
【0093】触媒量としては特に制限はないが、重合体
のアルケニル基1molに対し、10 -1〜10-8mol
の範囲で用いるのが良く、好ましくは10-3〜10-6
olの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ない
と硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は
高価であるので10-1mol以上用いないのが好まし
い。
【0094】ヒドロシリル化反応には、無溶媒でも溶媒
を用いても構わない。溶媒としては、炭化水素系溶媒、
エーテル系溶媒、エステル系溶媒等の一般的な有機溶媒
を用いることができるが、アミン系やホスフィン系等の
遷移金属への配位性を持つものは、遷移金属触媒を用い
る場合に触媒活性を低下させる可能性があるので好まし
くない。ヒドロシリル化反応の反応温度は特に限定され
ないが、通常は0〜250℃、好ましくは、20〜15
0℃、最も好ましくは40〜120℃で行われる。
【0095】<加水分解反応>上記のようにして製造さ
れた重合体末端の、ケイ素原子に結合した加水分解性基
を加水分解すると、シラノール基に変換することができ
る。加水分解性基が水素である場合には、限定はされな
いが、公知の方法を用いて行えばよく、例えば、Pd/
C触媒存在下、緩衝溶液とともに反応させる(J.Or
g.Chem.、31、885(1966)、あるい
は、白金触媒下、緩衝溶液と反応させる方法等を用いる
ことができる。加水分解性基がハロゲン基、特に塩素で
ある場合には、限定はされないが、加水分解は一般に0
〜60℃において、好ましくは、発生する塩酸を中和す
るために使用される重炭酸ナトリウムのような塩基の存
在下で行われる。
【0096】<<硬化性組成物>>第一の本発明による
少なくとも1つの末端にシラノール基を有するビニル系
重合体(I)は、シラノール基の縮合反応を利用して硬
化性組成物に用いることができる。シラノール基が重合
体1分子中に2つより多く存在する場合は、この重合体
だけで縮合架橋することができるが、その場合でも、そ
して、それ以外の場合には特に、限定はされないが、ケ
イ素原子に結合した加水分解性基を2つ以上有するケイ
素化合物や、ケイ素原子に結合した加水分解性基(水酸
基を除く)を有する重合体を含む組成物とすることが好
ましい。
【0097】ケイ素原子と結合した加水分解性の基を2
つ以上有するケイ素化合物としては、限定はされない
が、下記一般式(2)で示される化合物が挙げられる。 Z−[Si(R32-b (Y′)b O]m −Si(R43-a (Y′)a (2) (式中、R3 及びR4 は、同一又は異なって、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
3 又はR4 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
ってもよく、異なっていてもよい。Y′は水酸基以外の
加水分解性基を示す。Zは、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基若しくは炭素数7〜2
0のアラルキル基、若しくは(R′)3 SiO−(R′
は上記と同じ)、又は、水酸基以外の加水分解性基を示
す。aは0、1、2又は3を示し、bは0、1又は2を
示す。mは0〜19の整数である。ただし、Zが加水分
解性基の場合、a+mb≧1であることを満足し、Zが
加水分解性基でない場合、a+mb≧2であることを満
足するものとする。)
【0098】一般式(2)における加水分解性基(Y′
及びZ)としては、限定はされないが、ケトオキシモ
基、アシロキシ基、アルコキシ基、アミド基、アミノキ
シ基、アミノ基、アルケノキシ基からなる群から選ばれ
ることが好ましい。
【0099】加水分解性の基を2つ以上有するケイ素化
合物としては、限定はされないが、さらに具体的には、
メチルトリスメチルエチルケトオキシモシラン、ビニル
トリスメチルエチルケトオキシモシラン等のオキシモシ
ラン類、メチルトリスアセトキシシラン、エチルトリス
アセトキシシラン、ビニルトリスアセトキシシラン等の
アセトキシシラン類、メチルトリスメトキシシラン、エ
チルトリスメトキシシラン、ビニルトリスメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等
のアルコキシシラン類、下式で示されるようなアミドシ
ラン類、下式で示されるようなアミノキシシロキサン
類、メチルトリスシクロヘキシルアミノシラン等のアミ
ノシラン類、メチルトリスイソプロペノキシシラン等の
アルケノキシシラン類、下式で示されるような環状アミ
ノキシシロキサン類等が挙げられる。
【0100】
【化4】
【0101】
【化5】
【0102】
【化6】
【0103】また、第一の本発明による硬化性組成物
は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有し、かつシ
ラノール基を有さない重合体を含有しても構わない。ケ
イ素原子に結合した加水分解性基を有し、かつシラノー
ル基を有さない重合体の骨格としては、限定はされない
が、ポリシロキサン系重合体、ポリエーテル系重合体、
炭化水素系重合体(ポリイソブチレン等)、ビニル系重
合体((メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体
等)が挙げられる。
【0104】第一の本発明による硬化性組成物を硬化さ
せるにあたっては縮合触媒を使用してもしなくてもよ
い。縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキ
サノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメ
チルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル
錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレー
ト、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベ
ンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫
ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチ
ル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジ
オクチル錫ジイソオクチルマレート等の4価のスズ化合
物類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネ
ート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセ
チルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトア
セテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセト
アセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウ
ムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチル
アセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブ
チルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチ
ルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシ
ルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルア
ミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グ
アニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス
(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N
−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾ
ール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセ
ン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれら
のアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリア
ミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹
脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成
物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシ
ラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒
等の公知のシラノール縮合触媒1種または2種以上を必
要に応じて用いればよい。使用量は末端にシラノール基
を有するビニル系重合体(I)に対し、0〜10重量%
で使用するのが好ましい。ケイ素原子と結合した加水分
解性基Yとしてアルコキシ基が使用される場合は、この
重合体のみでは硬化速度が遅いので、硬化触媒を使用す
ることが好ましい。
【0105】第一の本発明による硬化性組成物には、用
途に応じて各種の充填材を配合することができる。充填
材としては木粉、パルブ、木綿チップ、アスベスト、ガ
ラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、
グラファイト、ケイソウ土、白土、フュームドシリカ、
沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイ
ト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラックのよう
な補強性充填材;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタ
ン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、ア
ルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛
華、亜鉛末およびシラスバルーンなどのような充填材;
石綿、ガラス繊維およびフィラメントのような繊維状充
填材などが使用できる。これら充填材で強度の高い硬化
物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シ
リカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表
面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレーおよび
活性亜鉛華などから選ばれる充填材をビニル系重合体
(I)100重量部に対して1〜100重量部の範囲で
使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で伸
びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛お
よびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を、ビニル
系重合体(I)100重量部に対して5〜200重量部
の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。これら充
填材は1種類で使用してもよいし、2種類以上混合使用
してもよい。
【0106】第一の本発明において、可塑剤を充填剤と
併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多
量の充填剤を混入できたりするのでより有効である。該
可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状
の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、
ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタ
レート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステ
ル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、
ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族
二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシ
リノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレング
リコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベ
ンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリア
ルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフ
ェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル
類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;
アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化
水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、あ
るいはこれらの分子に存在する水酸基の一部または全部
をアルコキシ基等に変換したポリエーテル類;エポキシ
化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ
可塑剤類;ポリエステル系可塑剤類;等を単独、または
2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必
要とするものではない。なおこれら可塑剤は、重合体製
造時に配合することも可能である。可塑剤量は、末端に
シラノール基を有するビニル系重合体(I)100重量
部に対し、0〜100重量部の範囲で使用すると好まし
い結果が得られる。
【0107】第一の本発明による硬化性組成物では充填
剤、可塑剤、縮合触媒が主に使用されるが、フェノール
樹脂、硫黄、シランカップリング剤、などの接着付与
剤;シラノール基または加水分解性基を含有するポリシ
ロキサンなどの変成剤;紫外線硬化性樹脂等のタックお
よび耐候性改良剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤な
どのような添加剤も任意に使用してよい。
【0108】垂れ防止材としてはポリアミドワックス
類;水添ヒマシ油誘導体;ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金
属石鹸類等が挙げられるが、使用目的または充填材、補
強材等の配合によっては不要な場合がある。着色剤とし
ては必要に応じて通常の無機顔料、有機顔料、染料等が
使用できる。
【0109】物性調製剤としては各種シランカップリン
グ剤、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロ
ピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン
類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイ
ソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノ
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N
−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等
の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニ
ス類;ポリシロキサン類等が必要に応じて添加される。
前記物性調製剤を用いることにより、本発明の組成物を
硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出
したりし得る。
【0110】接着促進剤は本発明による重合体自体がガ
ラス、ガラス以外のセラミック類、金属等に対して接着
性を有し、また各種プライマーを用いれば広範囲の材料
に対し接着させることが可能であるので必ずしも必要で
はないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、各種シラン
カプリング剤、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソ
シアネート等を1種または2種以上用いることによりさ
らに多種類の被着体に対しても接着性を改善することが
できる。
【0111】第一の本発明による硬化性組成物は、すべ
ての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿
気により硬化する1成分型として調整してもよく、ま
た、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等
の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用
前に混合する2成分型として調整することもできる。
【0112】第一の本発明による硬化性組成物の性状と
しては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状の
ものから樹脂状のものまで幅広く作成することができ
る。従ってこの組成物はシーリング材や接着剤、弾性接
着剤、粘着剤、塗料、粉体塗料、発泡体、電気電子用ポ
ッティング剤、フィルム、ガスケット、各種成形材料等
に利用することができる。
【0113】<<重合体(II)の製造方法>>次に第
二の本発明を説明する。第二の本発明においては、少な
くとも一つの末端にシラノール基を有するビニル系重合
体(I)に、ケイ素原子に結合した加水分解性基を2つ
以上有するケイ素化合物を反応させることにより、少な
くとも一つの末端に加水分解性シリル基を有するビニル
系重合体(II)が製造される。なお、加水分解性シリ
ル基とは、ケイ素原子に加水分解性基が結合してなる基
を意味する。ここで、ビニル系重合体(I)は第一の本
発明において詳述したものである。
【0114】加水分解性の基を2つ以上有するケイ素化
合物としては、限定はされないが、下記一般式(2)で
示される化合物が挙げられる。 Z−[Si(R32-b (Y′)b O]m −Si(R43-a (Y′)a (2) (式中、R3 及びR4 は、同一又は異なって、炭素数1
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
3 又はR4 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
ってもよく、異なっていてもよい。Y′は水酸基以外の
加水分解性基を示す。Zは、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基若しくは炭素数7〜2
0のアラルキル基、若しくは(R′)3 SiO−(R′
は上記と同じ)、又は、水酸基以外の加水分解性基を示
す。aは0、1、2又は3を示し、bは0、1又は2を
示す。mは0〜19の整数である。ただし、Zが加水分
解性基の場合、a+mb≧1であることを満足し、Zが
加水分解性基でない場合、a+mb≧2であることを満
足するものとする。)ここでm=0であることが好まし
い。
【0115】一般式(2)における加水分解性基(Y′
及びZ)としては、限定はされないが、ケトオキシモ
基、アシロキシ基、アルコキシ基、アミド基、アミノキ
シ基、アミノ基、アルケノキシ基からなる群から選ばれ
ることが好ましい。加水分解性の基を2つ以上有するケ
イ素化合物としては、限定はされないが、さらに具体的
には、第一の本発明において例示した化合物を挙げるこ
とができる。
【0116】この反応は、通常実施されている脱アルコ
ール縮合反応等の条件により行えばよい。その反応条件
はシラノール基及び加水分解性の基を2つ以上有するケ
イ素化合物の置換基の種類によって変わるが、一般的に
好ましい反応温度は0〜100℃であり、更に好ましく
は20〜80℃である。また、好ましい反応時間は1〜
20時間であり、更に好ましくは2〜8時間である。反
応時の圧力は常圧、加圧及び減圧のいずれの状態であっ
てもよいが、装置が簡単であり製造操作が容易であるこ
とから常圧とすることが好ましい。また、反応は不活性
ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0117】上記製造方法では、1モルのシラノール基
に対して、ケイ素原子に結合した加水分解性の基を2つ
以上有するケイ素化合物1モルが反応することが好まし
い。副反応を抑えるためには、加水分解性の基を2つ以
上有するケイ素化合物が過剰(より好ましくは大過剰)
となる条件下で反応を行うことが好ましい。具体的に
は、シラノール基と1モルの加水分解性の基を2つ以上
有するケイ素化合物とのモル比が1:3以上(より好ま
しくは1:5以上)となる条件下で反応を行うことが好
ましい。
【0118】尚、この反応は触媒の非存在下で行うこと
が好ましいが、通常使用されるエステル交換触媒等を用
いて反応を促進させてもよい。この触媒としては、Ti
(OEt)4 、Ti(OBu)4 、Ti(OPr)4
SnO、Sn(COO)2 、Bu2 SnO、Bi(O
H)3 、Zn(CH3 COO)2 ・2H2 O、Pb(C
3 COO)2 ・3H2 O、Pb(C65 COO)2
・H2 O、PbO、Sn23 、Al(CH3 COO)3
、Mn(CH3 COO)2 ・4H2 O、Co(CH3
COO)2 ・4H2 O、Cd(CH3 COO)2 、Cd
(COO)2 、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズ
ジマレエート、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジ
オクチルスズマーカプチド及びスタナスオクトエートオ
クテン酸鉛等の有機金属系触媒、トリエチレンジアミ
ン、テトラメチルグアニジン、2−(ジメチルアミノメ
チル)フェノール、N,N,N′,N′−テトラメチル
ヘキサン−1,6−ジアミン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセン−7、p−トルエンスルホン
酸及び三フッ化酢酸等が挙げられる。このうち、p−ト
ルエンスルホン酸又は三フッ化酢酸を用いることが好ま
しい。これらの触媒を使用する場合、その使用量はシラ
ノール基及び加水分解性の基を2つ以上有するケイ素化
合物の合計量に対して0.1〜5重量%とすることが好
ましい。
【0119】また、上記反応は無溶剤で行うことが好ま
しいが、反応を制御しやすくしたり、反応液の粘度を低
減させたりする等の目的で有機溶媒を使用してもよい。
この有機溶媒としては、原料及び生成物を溶解可能であ
り且つ反応条件下で不活性であるものを用いればよく、
例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセ
トン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシ
レン、ヘキサン及びミネラルスピリッツ等が好適であ
る。
【0120】また、第二の本発明は、以上のような製造
方法により得ることができる、少なくとも一つの末端に
加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(II)で
もある。この重合体はここに記載した方法により製造さ
れたものに限定されるものではない。
【0121】<<硬化性組成物>>第二の本発明による
少なくとも1つの末端に加水分解性シリル基を有するビ
ニル系重合体(II)は、加水分解性シリル基の縮合反
応を利用して硬化性組成物に用いることができる。以下
の説明において、第二の本発明による少なくとも1つの
末端に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体を重
合体(II)と表わすことがある。
【0122】第二の本発明による硬化性組成物を硬化さ
せるにあたっては縮合触媒を使用してもしなくてもよ
い。縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキ
サノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメ
チルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル
錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレー
ト、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベ
ンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫
ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチ
ル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジ
オクチル錫ジイソオクチルマレート等の4価のスズ化合
物類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネ
ート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセ
チルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトア
セテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセト
アセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウ
ムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチル
アセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブ
チルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチ
ルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシ
ルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルア
ミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グ
アニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス
(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N
−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾ
ール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセ
ン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれら
のアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリア
ミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹
脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成
物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β
−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシ
ラノール縮合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒
等の公知のシラノール縮合触媒1種または2種以上を必
要に応じて用いればよい。使用量はビニル系重合体(I
I)に対し、0〜10重量%で使用するのが好ましい。
加水分解性基Yとしてアルコキシ基が使用される場合
は、この重合体のみでは硬化速度が遅いので、硬化触媒
を使用することが好ましい。
【0123】接着促進剤は、本発明による重合体自体が
ガラス、ガラス以外のセラミック類、金属等に対して接
着性を有していたり、各種プライマーを使用することに
より広範囲の材料に対して接着させることが可能である
ので必ずしも必要ではないが、各種基材、部品、支持
体、被着体に対する安定的な接着性を得るために用いる
のが好ましい。
【0124】接着促進剤としては、フェノール、クレゾ
ール、キシレノール、レゾルシノール、アルキルフェノ
ール、変性フェノール(たとえば、カシューオイル変性
フェノール、トールオイル変性フェノールなど)などの
フェノール系化合物とホルマリン、パラホルムアルデヒ
ドなどのアルデヒド系化合物との反応により得られるレ
ゾール型またはノボラック型のフェノール樹脂;硫黄;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型
エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールAプロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル
型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂
などのエポキシ樹脂;テトラブチルチタネートなどのア
ルキルチタネート類、トリレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシ
アネート;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチ
ル)―γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(β−アミノエチル)―γ−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、N−(β−アミノエチル)―γ−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシランなどのような一分子中にア
ミノ基と架橋性シリル基を有する化合物;γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジメトキシシランなどのような一分子中にエポキ
シ基と架橋性シリル基を有する化合物;γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジ
メトキシシランなどのような一分子中にメルカプト基と
架橋性シリル基を有する化合物;γ−イソシアナートプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメ
チルジメトキシシランなどのような一分子中にイソシア
ナート基と架橋性シリル基を有する化合物;上記のよう
な一分子中にアミノ基と架橋性シリル基を有する化合物
と一分子中にエポキシ基と架橋性シリル基を有する化合
物あるいは一分子中にイソシアナート基と架橋性シリル
基を有する化合物の反応物;γ−(メタ)アクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシランなどのような一分
子中に(メタ)アクリロキシ基と架橋性シリル基を有す
る化合物と上記のような一分子中にアミノ基と架橋性シ
リル基を有する化合物の反応物;などが挙げられる。こ
れらは単独で使用しても2種類以上併用しても良い。な
かでも物性および接着性の制御が比較的容易な一分子中
にアミノ基と架橋性シリル基を有する化合物、一分子中
にエポキシ基と架橋性シリル基を有する化合物、一分子
中にメルカプト基と架橋性シリル基を有する化合物、一
分子中にアミノ基と架橋性シリル基を有する化合物と一
分子中にエポキシ基と架橋性シリル基を有する化合物の
反応物、一分子中に(メタ)アクリロキシ基と架橋性シ
リル基を有する化合物と一分子中にアミノ基と架橋性シ
リル基を有する化合物の反応物などのような一分子中に
窒素、酸素、硫黄原子のうちの少なくとも一つを有する
有機基と架橋性シリル基を有する化合物が好ましい。接
着性の高さから、上記の窒素、酸素、硫黄原子のうちの
少なくとも一つを有する有機基が、アミノ基、イソシア
ネート基あるいはこれらが反応することにより生成する
基である、一分子中に窒素原子を有する有機基と架橋性
シリル基を有する化合物がさらに好ましい。
【0125】上記接着促進剤は、ビニル系重合体(I
I)100重量部に対し、0.01から20重量部使用
されるのが好ましい。0.01重量部では接着性の改善
効果が発現しにくく、20重量部越えると硬化物の物性
に悪影響を与える。接着促進剤の添加量は、好ましくは
0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量
部である。
【0126】硬化性組成物を硬化させた時の硬度を上げ
たり、硬度を下げて伸びを出したりして物性を制御する
ために、物性調整剤を用いることができる。物性調整剤
としては例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチル
ジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシランなどのアルキルアルコキシシ
ラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルト
リイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
メチルジイソプロペノキシシランなどのアルキルイソプ
ロペノキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルメチルジメトキシシランなどの各種シランカップリン
グ剤、シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が必要
に応じて添加される。ビニル系重合体(II)100重
量部に対し、0〜20重量部の範囲で添加すれば好まし
い結果が得られる。
【0127】硬化性組成物の硬化速度を速めたり、遅ら
せたりするために硬化性調整剤を、また貯蔵中の増粘を
抑えるために貯蔵安定性改良剤を添加することができ
る。硬化性調整剤あるいは貯蔵安定性改良剤としては、
メタノール、エタノールなどのアルコール類;オルトギ
酸メチルナドノオルトエステル類;テトラエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ランなどの架橋性シリル基を有する化合物;2−エチル
ヘキサン酸などのカルボン酸類などが挙げられる。ビニ
ル系重合体(II)100重量部に対し、0〜20重量
部の範囲で添加すれば好ましい結果が得られる。
【0128】第二の本発明による硬化性組成物には、用
途に応じて各種の充填材を配合することができる。充填
材としては木粉、パルブ、木綿チップ、アスベスト、ガ
ラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、
グラファイト、ケイソウ土、白土、フュームドシリカ、
沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイ
ト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラックのよう
な補強性充填材;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタ
ン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、ア
ルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛
華、亜鉛末およびシラスバルーンなどのような充填材;
石綿、ガラス繊維およびフィラメントのような繊維状充
填材などが使用できる。これら充填材で強度の高い硬化
物を得たい場合には、主にヒュームドシリカ、沈降性シ
リカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表
面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレーおよび
活性亜鉛華などから選ばれる充填材をビニル系重合体
(II)100重量部に対して1〜100重量部の範囲
で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で
伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛お
よびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を、ビニル
系重合体(II)100重量部に対して5〜200重量
部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。これら
充填材は1種類で使用してもよいし、2種類以上混合使
用してもよい。
【0129】第二の本発明において、可塑剤を充填剤と
併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多
量の充填剤を混入できたりするのでより有効である。該
可塑剤としては特に限定されないが、物性の調整、性状
の調節等の目的により、例えば、ジブチルフタレート、
ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタ
レート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステ
ル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、
ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族
二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシ
リノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレング
リコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベ
ンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリア
ルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフ
ェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル
類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;
アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の炭化
水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、あ
るいはこれらの分子に存在する水酸基の一部または全部
をアルコキシ基等に変換したポリエーテル類;エポキシ
化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ
可塑剤類;ポリエステル系可塑剤類;等を単独、または
2種以上混合して使用することができるが、必ずしも必
要とするものではない。なおこれら可塑剤は、重合体製
造時に配合することも可能である。可塑剤量は、ビニル
系重合体(II)100重量部に対し、0〜100重量
部の範囲で使用すると好ましい結果が得られる。
【0130】第二の本発明による硬化性組成物では充填
剤、可塑剤、縮合触媒が主に使用されるが、フェノール
樹脂、硫黄、シランカップリング剤、などの接着付与
剤;シラノール基または加水分解性基を含有するポリシ
ロキサンなどの変成剤;紫外線硬化性樹脂等のタックお
よび耐候性改良剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤な
どのような添加剤も任意に使用してよい。
【0131】垂れ防止材としてはポリアミドワックス
類;水添ヒマシ油誘導体;ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金
属石鹸類等が挙げられるが、使用目的または充填材、補
強材等の配合によっては不要な場合がある。着色剤とし
ては必要に応じて通常の無機顔料、有機顔料、染料等が
使用できる。
【0132】物性調製剤としては各種シランカップリン
グ剤、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジ
メトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロ
ピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン
類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイ
ソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノ
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N
−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等
の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニ
ス類;ポリシロキサン類等が必要に応じて添加される。
前記物性調製剤を用いることにより、本発明の組成物を
硬化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出
したりし得る。
【0133】第二の本発明による硬化性組成物には、加
水分解性シリル基を有する他の重合体を添加しても構わ
ない。加水分解性シリル基を有する他の重合体の骨格と
しては、限定はされないが、ポリシロキサン系重合体、
ポリエーテル系重合体、炭化水素系重合体(ポリイソブ
チレン等)等が挙げられる。
【0134】第二の本発明による硬化性組成物は、すべ
ての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿
気により硬化する1成分型として調整してもよく、ま
た、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等
の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用
前に混合する2成分型として調整することもできる。
【0135】第二の本発明による硬化性組成物の性状と
しては、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状の
ものから樹脂状のものまで幅広く作成することができ
る。従ってこの組成物はシーリング材や接着剤、弾性接
着剤、粘着剤、塗料、粉体塗料、発泡体、電気電子用ポ
ッティング剤、フィルム、ガスケット、各種成形材料等
に利用することができる。
【0136】重合体(II)含有組成物をシーリング材
組成物として用いる場合、重合体(II)の分子量(重
量平均分子量)は、1000〜1000000であるこ
とが好ましい。第二の本発明による硬化性組成物をシー
リング材組成物として用いる場合に、機械物性の調整を
目的として添加できる充填材をさらに詳しく述べると、
フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケ
イ酸およびカーボンブラックのような補強性充填材;炭
酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成ク
レー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有
機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華お
よびシラスバルーンなどのような充填材;石綿、ガラス
繊維およびフィラメントのような繊維状充填材が使用で
きる。これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合に
は、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ
酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸
カルシウム、焼成クレー、クレーおよび活性亜鉛華など
から選ばれる充填材をビニル系重合体(II)100重
量部に対して1〜200重量部の範囲で添加すれば好ま
しい結果が得られる。また、低強度で伸びが大である硬
化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルー
ンなどから選ばれる充填材を、ビニル系重合体(II)
100重量部に対して1〜200重量部の範囲で添加す
れば好ましい結果が得られる。これら充填材は1種類で
使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0137】また物性および粘度の調整のために添加で
きる可塑剤をさらに詳しく述べると、ジブチルフタレー
ト、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)
フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エ
ステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケー
ト、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳
香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチル
リシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレ
ングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコール
ジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポ
リアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホ
スフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステ
ル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン
類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル、等の
炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコ
ール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル類、
あるいはこれらの分子に存在する水酸基の一部または全
部をアルコキシ基等に変換したポリエーテル類;エポキ
シ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキ
シ可塑剤類;ポリエステル系可塑剤類;等が挙げられ、
これらを単独、または2種以上混合して使用することが
できるが、必ずしも必要とするものではない。なおこれ
ら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能であ
る。可塑剤量は、ビニル系重合体(II)100重量部
に対して0〜100重量部の範囲で添加すれば好ましい
結果が得られる。
【0138】シーリング用組成物として用いる場合、第
二の本発明による硬化性組成物は、すべての配合成分を
予め配合密封保存し、施工後空気中の湿分を吸収するこ
とにより硬化する1成分型として調製することも可能で
あり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水
等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使
用前に混合する2成分型として調整することもできる。
取り扱いが容易で、施工時のミスも少ない1成分型がよ
り好ましい。
【0139】重合体(II)含有組成物を粘着剤用組成
物として用いる場合、重合体(II)のTgは、−20
℃以下であることが好ましく、また、その分子量(重量
平均分子量)は、1000〜1000000であること
が好ましい。また、基材との粘着性をより向上させるた
めには、酸基含有モノマーを共重合することが好まし
い。
【0140】第二の本発明による硬化性組成物を粘着剤
組成物として用いる場合、ビニル系重合体を主成分とす
るものであるため、粘着付与樹脂を添加する必要は必ず
しもないが、必要に応じて、各種のものを使用すること
ができる。具体例を挙げるならば、フェノール樹脂、変
性フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹
脂、キシレン樹脂、クマロン樹脂、石油樹脂、テルペン
樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂等
である。
【0141】作業性を調節するために用いる溶剤につい
てさらに詳しく述べると、例えばトルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢
酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチル
ケトン等のケトン系溶剤等が挙げられる。それらの溶剤
は重合体の製造時に用いてもよい。
【0142】可塑剤としては、特に限定はされないが、
例えば、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイ
ソプレンおよび液状ポリアクリレートなどを挙げること
ができる。充填剤としては、特に限定はされないが、例
えば、亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレーおよ
び各種顔料などを挙げることができる。老化防止剤とし
ては、特に限定はされないが、例えば、ゴム系酸化防止
剤(フェノール系、アミン系)および金属ジチオカルバ
メートなどを挙げることができる。以上に挙げた粘着性
付与剤、可塑剤、充填剤および老化防止剤は、各々につ
いて、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用して
もよい。
【0143】上記粘着剤組成物はテープ、シート、ラベ
ル、箔等に広く適用することができる。例えば、合成樹
脂製または変成天然物製のフィルム、紙、あらゆる種類
の布、金属箔、金属化プラスチック箔、アスベストまた
はガラス繊維布などの基質材料に溶剤型、エマルション
型またはホットメルト型等の形で上記粘着剤組成物を塗
布し、湿気または水分に暴露し、常温硬化または加熱硬
化させればよい。
【0144】重合体(II)含有組成物を塗料用組成物
として用いる場合には、塗膜の硬度が要求されるため、
ある程度の架橋密度が必要となる。そのため、塗料用途
に用いられる重合体(II)としては、架橋性シリル基
価が20〜200程度のものが好ましい。すなわち、架
橋性シリル基を有する単量体を共重合しない場合には、
重合体(II)の数平均分子量は、500〜5000程
度が好ましい。ただし、数平均分子量が5000より大
きいものでも、架橋性シリル基を有する単量体を共重合
することにより用いることができる。塗料用途に用いら
れる重合体(II)のTgとしては、−30℃〜100
℃が好ましく、−10℃〜60℃がより好ましい。用い
るビニル系単量体の種類と割合を調整することにより、
希望のTgを有する重合体を合成することができる。ま
た、重合体(II)含有組成物を塗料用組成物として用
いる場合、重合体(II)に加えて、従来公知の架橋性
シリル基を有する低分子化合物、従来公知の架橋性シリ
ル基を有するポリマー、従来公知の塗料用樹脂などが含
まれていてもよい。
【0145】第二の本発明による硬化性組成物をハイソ
リッドの塗料用組成物として用いる場合、架橋性シリル
基価の高いビニル系重合体を得る方法として好ましい方
法に、製造方法が簡便であることから一分子中に重合性
のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を他
のビニル系モノマーと共重合させる方法も挙げられる。
これらを用いれば塗料のハイソリッド化が可能となる。
【0146】一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性
シリル基を併せ持つ化合物の中でも、特に架橋性シリル
基がアルコキシシリル基である化合物がコストや安定性
の面で好ましく、例えば、CH2 =CHCO2 (CH
23 Si(OCH33 、CH2 =CHCO2 (CH
23 Si(CH3 )(OCH32 、CH2 =C(C
3 )CO2 (CH23 Si(OCH33 、CH2
=C(CH3 )CO2 (CH23 Si(CH 3 )(O
CH32 が特に好ましい。これらの化合物は単独で用
いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0147】一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性
シリル基を併せ持つ化合物と、他のビニル系モノマーの
共重合比としては特に制限はないが、同化合物は全重合
組成中、1〜50モル%、好ましくは2〜40モル%、
さらに好ましくは3〜30モル%がよい。一分子中に重
合性のアルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物
の量が1モル%未満であると硬化が不十分となり、50
モル%を越えると、貯蔵安定性が悪くなる。
【0148】この塗料用組成物には必要に応じて、ポリ
エステル、エポキシ、アクリル等の樹脂、着色助剤、流
展剤や消泡剤、帯電防止剤などの添加剤が、接着性硬化
性組成物として述べた添加剤に加えて添加することがで
きる。この塗料用組成物に用いる着色剤についてさらに
詳しく述べると、二酸化チタン、カーボンブラック、酸
化鉄、酸化クロム等の無機顔料、フタロシアニン系、キ
ナクリドン系等の有機顔料などが挙げられる。これらの
添加物の配合割合は必要特性に応じて適宜選択すること
ができ、また、混合して用いることも可能である。
【0149】ビニル系重合体(II)に、硬化触媒や添
加剤を必要に応じて添加し、被塗物に塗装した後、硬化
させれば、均一な塗膜を得ることができる。架橋性シリ
ル基の加水分解および/あるいは縮合は室温で進行する
ので、硬化の際に加熱する必要はないが、硬化促進のた
めに加熱してもよい。加熱温度は20〜200℃、好ま
しくは50〜180℃である。この塗料用組成物は、溶
剤系あるいは水系塗料として用いることができる。ま
た、主成分であるビニル系重合体から揮発分を留去し、
所望の配合物を添加した後に配合物を微粉砕し、粉体塗
料として使用することも可能である。
【0150】第二の本発明による硬化性組成物をハイソ
リッド化が可能でかつ弾性的な性質に優れた塗料用組成
物として用いる場合、架橋性シリル基の少なくとも1個
は分子鎖末端にあるのが好ましいが、架橋点間分子量を
調節するために一分子中に重合性のアルケニル基と架橋
性シリル基を併せ持つ化合物を少量、共重合させること
により分子鎖中に架橋性シリル基を導入してもかまわな
い。CH2 =CHCO2 (CH23 Si(OCH3
3 、CH2 =CHCO2 (CH23 Si(CH3
(OCH32 、CH2 =C(CH3 )CO2 (C
23 Si(OCH33 、CH2 =C(CH3 )C
2 (CH23 Si(CH 3 )(OCH3 )2、CH
2=CHCO2 (CH23 Si(OC253 、C
2 =CHCO2 (CH23 Si(CH3 )(OC2
52 、CH2 =C(CH3 )CO2 (CH23
i(OC253 、CH2 =C(CH3 )CO2 (C
23 Si(CH3 )(OC252 、CH2 =C
HCO2 (CH 23 Si(OC253 、CH2
CHCO2 (CH23 Si(CH3 )(OC25
2 、CH2 =C(CH3 )CO2 (CH23 Si(O
253 、CH2 =C(CH3 )CO2 (CH23
Si(CH3 )(OC25 2 などを例示すること
ができる。これらの化合物は単独で用いても、2種類以
上を混合して用いてもよい。
【0151】この塗料用組成物には必要に応じて、ポリ
エステル、エポキシ、アクリル等の樹脂、着色助剤、流
展剤や消泡剤、帯電防止剤などの添加剤が、接着性硬化
性組成物として述べた添加剤に加えて添加することがで
きる。この塗料用組成物に用いる着色剤についてさらに
詳しく述べると、二酸化チタン、カーボンブラック、酸
化鉄、酸化クロム等の無機顔料、フタロシアニン系、キ
ナクリドン系等の有機顔料などが挙げられる。これらの
添加物の配合割合は必要特性に応じて適宜選択すること
ができ、また、混合して用いることも可能である。、
【0152】ビニル系重合体(II)に、硬化触媒や添
加剤を必要に応じて添加し、被塗物に塗装した後、硬化
させれば、均一な塗膜を得ることができる。架橋性シリ
ル基の加水分解および/あるいは縮合は室温で進行する
ので、硬化の際に加熱する必要はないが、硬化促進のた
めに加熱してもよい。加熱温度は20〜200℃、好ま
しくは50〜180℃である。この塗料用組成物は、溶
剤系あるいは水系塗料として用いることができる。ま
た、主成分であるビニル系重合体から揮発分を留去し、
所望の配合物を添加した後に配合物を微粉砕し、粉体塗
料として使用することも可能である。
【0153】重合体(II)含有組成物を接着剤用組成
物として用いる場合、重合体(II)の分子量(重量平
均分子量)は、1000から1000000であること
が好ましい。この重合体(II)を、従来公知の縮合硬
化剤など組み合わせることにより、一液型もしくは二液
型接着剤として用いることができる。重合体(II)含
有組成物を接着剤用組成物として用いる場合、この組成
物中には、必要に応じて、従来公知の、粘着性付与剤、
カップリング剤、揺変剤、無機充填剤および安定剤など
の添加剤が含まれていてもよい。粘着性付与剤として
は、特に限定されないが、例えば、テルペン樹脂、フェ
ノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、
キシレン樹脂などを挙げることができる。カップリング
剤としては、特に限定はされないが、シランカップリン
グ剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。無機充
填剤としては、特に限定はされないが、例えば、カーボ
ンブラック、チタン白、炭酸カルシウム、クレーなどを
挙げることができる。揺変剤としては、特に限定されな
いが、エアロジル、ディスパロン等が挙げられる。安定
剤としては、特に限定はされないが、例えば、例えば、
紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安
定剤などを挙げることができる。以上に挙げた粘着性付
与剤、カップリング剤、揺変剤、無機充填剤および安定
剤は、各々について、1種のみを用いてもよいし、2種
以上を併用してもよい。
【0154】上記接着剤の用途としては、特に限定はさ
れないが、例えば、食品包装用接着剤、靴・履物用接着
剤、美粧紙用接着剤、木材用接着剤、構造用(自動車、
浄化槽、住宅)接着剤、磁気テープバインダー、繊維加
工用バインダー、繊維処理剤などが挙げられる。重合体
(II)含有組成物を人工皮革用及び/または合成皮革
用組成物として用いる場合、この組成物中には、必要に
応じて、人工皮革や合成皮革に用いられる従来公知の化
合物をすべて用いることができる。たとえば、鎖長伸長
剤、溶剤などである。その他、必要に応じて、縮合触
媒、促進剤、顔料、染料、界面活性剤、繊維柔軟剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、加水分解防止剤、防かび剤、
無機充填剤、有機充填剤、艶消し剤、消泡剤なども使用
できる。
【0155】この組成物は、人工皮革に、また、乾式法
の合成皮革や湿式法の合成皮革に用いることができる。
重合体(II)含有組成物を印刷インキ組成物として用
いる場合、この組成物中には、必要に応じて、印刷イン
キに用いられる従来公知の化合物を総て用いる事ができ
る。たとえば、溶剤等である。溶剤としては、エタノー
ル、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、
MEK、MIBK、シクロヘキサノン等のケトン類、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロルベン
ゼン、トリクレン、パークレン等のハロゲン化炭化水
素、THF、ジオキサンなどのエーテル類、セロソルプ
アセテート、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類
を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよ
い。その他、必要に応じて、縮合触媒、促進剤、顔料等
の着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加
水分解防止剤などが使用できる。また、印刷インキ組成
物の製造において、必要であれば、ニトロセルロース、
ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポ
リアミド、アクリル酸エステル系ポリマー等を混合する
ことはさしつかえない。
【0156】重合体(II)含有組成物を床材用樹脂組
成物として用いる場合、この組成物中には、必要に応じ
て、床材用樹脂組成物に用いられる従来公知の化合物を
総て用いることができる。たとえば、溶剤などである。
溶剤としては、例えば、エタノール、イソプロパノール
などのアルコール類、アセトン、MEK、MIBK、シ
クロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素類、クロルベンゼン、トリクレン、パ
ークレン等のハロゲン化炭化水素、THF、ジオキサン
などのエーテル類、セロソルプアセテート、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル類等の1種もしくは2種
以上を用いることができる。その他、必要に応じて、縮
合触媒、促進剤、可塑剤、粘着性付与剤、顔料等の着色
剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、加水分解
防止剤、充填剤、消泡剤などを使用することができる。
【0157】上記床材用樹脂組成物の用途としては、特
に限定はされないが、例えば、船舶や建物の床材、塗膜
防水材、シート防水材、吹き付け防水材、シーリング
材、人工芝などの接着剤、道路舗装用アスファルト改質
材、テニスコート・陸上競技場の弾性舗装材、塗り床材
コンクリート保護膜などが挙げられる。
【0158】重合体(II)含有組成物を発泡組成物と
して用いる場合、重合体(II)の分子量(重量平均分
子量)は、1000〜1000000であることが好ま
しい。この場合、水、界面活性剤(例えば、シリコン
系、非イオン系、イオン系等)、添加剤(例えば、難燃
剤、抗微生物剤、着色剤、充填剤、安定剤等)、発泡剤
などが含まれていてもよい。
【0159】<<重合体(III)の製造方法>>次に
第三の本発明を説明する。第三の本発明においては、少
なくとも一つの末端にシラノール基を有するビニル系重
合体(I)に、一般式(3)で表わされるケイ素化合物
を反応させることにより、少なくとも一つの末端にアク
リル官能性基を有するビニル系重合体(III)が製造
される。 XSiR2 −G−O−C(O)C(L)=CH2 (3) (式中、Rは、炭素数1〜14の炭化水素基、又は炭素
数1〜10のハロゲン化炭化水素基であり、2つあるR
は同一でも異なっていてもよい。Xは加水分解性基であ
り、Gは炭素数1〜4のアルキレン基であり、Lは水素
原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
【0160】なお、本発明におけるアクリル官能性基と
は、−C(O)C(L)=CH2 (Lは上記に同じ)で
表される基を意味するものである。また、重合体(I)
は第一の本発明において詳述したものである。
【0161】一般式(3)において、限定はされない
が、Gは−CH2 −、−CH2 CH2 −、−CH2 CH
2 CH2 −又は−CH2 CH(CH3 )CH2 −で表さ
れる基であり、Lは水素原子又はメチル基である。
【0162】この反応において、Xは重合体(I)のシ
ラノール基と縮合してシロキサン(即ち、Si−O−S
i)結合を形成することができる、または加水分解して
SiOH基を形成することができる、ケイ素に結合した
加水分解性基であり、そして上記ケイ素化合物の方は次
に重合体(I)のシラノール基と縮合してシロキサン結
合を形成する。X基は、シラノール末端ビニル系重合体
(I)を製造するために使用された、好ましくは一般式
(17)で表されるケイ素原子に結合した加水分解性基
及びヒドロシリル基を併せ持つケイ素化合物に関連して
既に述べた、ケイ素原子に結合した加水分解性基のなか
から選択される。好ましくはXは塩素であり、そして特
に好ましいケイ素化合物は3−アクリルオキシプロピル
ジメチルクロロシランまたは3−メタクリルオキシプロ
ピルジメチルクロロシランかのいずれかである。
【0163】この反応は典型的に有機溶媒溶液(例え
ば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテ
ル、クロロホルム、トルエン、ヘキサン、またはそれら
の混合物)の中で行われる。熟練した技術者は理解する
ように、この縮合のため用いられる反応温度は個々のX
基に依存するであろう。何故ならばある種のX基は室温
で容易に反応するが、他の種のものは反応を完結するた
めに高い温度をあるいは縮合触媒をさえ必要とするから
である。その要求される特定な組み合わせは当業者の知
識の十分範囲内にあり、そして最適の組み合わせは型ど
おりの実験により容易に決定される。ある好ましい実施
態様において、Xは塩素でありかつその後の反応は副生
物として生じる塩酸を中和するために一般に酸受容体、
例えば、ピリジン、トリエチルアミンおよびジブチルア
ミンの存在で行われる。この実施態様において、反応温
度は好ましくは0〜100℃である。
【0164】また、第三の本発明は、以上のような製造
方法により得ることができる、少なくとも一つの末端に
アクリル官能性基を有するビニル系重合体(III)で
もある。この重合体はここに記載した方法により製造さ
れたものに限定されるものではない。
【0165】第三の本発明によるビニル系重合体(II
I)の分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)と
数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)については特
に制限はない。しかし、硬化性組成物とした際の粘度を
低く抑えて取扱いを容易にし、なおかつ十分な硬化物物
性を得るためには、分子量分布は狭いことが好ましい。
分子量分布の値としては1.8未満が好ましく、より好
ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、さ
らに好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.4以
下、さらに好ましくは1.3以下である。分子量分布の
測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)で測定するのが最も一般的である。移動相として
はクロロホルムやTHFを、カラムとしてはポリスチレ
ンゲルカラムを用い、数平均分子量等はポリスチレン換
算で求めることができる。
【0166】<<硬化性組成物>>第三の本発明による
少なくとも一つの末端にアクリル官能性基を有するビニ
ル系重合体は、硬化性組成物の主成分とすることができ
る。第三の本発明による硬化性組成物は、限定はされな
いが、加熱により、あるいは、光及び/又は電子線の照
射により硬化することができるものである。
【0167】<光及び/又は電子線硬化性組成物>以下
に光及び/又は電子線の照射により硬化する硬化性組成
物について説明する。この光及び/又は電子線硬化性組
成物は、好ましくは、光重合開始剤を含有する。本発明
に用いられる光重合開始剤としては特に制限はないが、
光ラジカル開始剤と光アニオン開始剤が好ましく、例え
ば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノ
ン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、
アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、
3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノ
ン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセト
フェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセト
フェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベン
ゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベ
ンゾフェノン、4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、
4−クロロ−4′−ベンジルベンゾフェノン、3−クロ
ロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−
クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス
(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメト
キシケタール、2−クロロチオキサントーン等が挙げら
れる。これらの開始剤は単独でも、他の化合物と組み合
わせても良い。具体的には、ジエタノールメチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン
などのアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨ
ードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせ
たもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合
わせたものが挙げられる。
【0168】また、近赤外光重合開始剤として、近赤外
光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。近赤外光
吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの
領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−11
1402号、特開平5−194619号公報等に開示さ
れている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオ
ン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併
用することがさらに好ましい。
【0169】光重合開始剤の添加量は系をわずかに光官
能化するだけでよいので、特に制限はないが、この組成
物の重合体100部に対して、0.001〜10重量部
が好ましい。
【0170】第三の本発明による硬化性組成物は、基本
的に上記成分を主成分とし、残存モノマーによる臭気問
題の解消のために他の重合性モノマーを含有しないこと
が好ましいが、その目的に応じて、重合性のモノマー及
び/又はオリゴマーや各種添加剤を併用しても構わな
い。重合性のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、
ラジカル重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマ
ー、あるいはアニオン重合性の基を持つモノマー及び/
又はオリゴマーが好ましい。ラジカル重合性の基として
は、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性基、スチレ
ン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビ
ニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、
ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかで
も、本発明の重合体と類似する(メタ)アクリル基を持
つものが好ましい。アニオン重合性の基としては、(メ
タ)アクリル基、スチレン基、アクリロニトリル基、N
−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン
基、ビニルケトン基、等が挙げられる。なかでも、本発
明の重合体と類似するアクリル官能性基を持つものが好
ましい。
【0171】上記のモノマーの具体例としては、(メ
タ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−
ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニト
リル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマ
ー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマーな
どが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーとし
ては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオク
チル、(メタ)アクリル酸イソノニルや下式の化合物な
どを挙げることができる。
【0172】
【化7】
【0173】
【化8】
【0174】
【化9】
【0175】
【化10】
【0176】
【化11】
【0177】スチレン系モノマーとしてはスチレン、α
−メチルスチレン等が、アクリルアミド系モノマーとし
てはアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド
等が、共役ジエン系モノマーとしてはブタジエン、イソ
プレン等が、ビニルケトン系モノマーとしてはメチルビ
ニルケトン等が挙げられる。
【0178】多官能モノマーとしては、ネオペンチルグ
リコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロー
ルプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノ
ールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールA
ポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトール
ポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキ
シエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアク
リレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレー
ト2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)
−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3
−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキ
シジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサ
ルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリ
コールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト等が挙げられる。
【0179】オリゴマーとしては、ビスフェノールA型
エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エ
ポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹
脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂、ポリ
オール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリ
コールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプ
ロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネー
トジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末
端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と
有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を水酸
基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート等}を反応させて得
られたウレタンアクリレート系樹脂、上記ポリオールに
エステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹
脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等が挙げられる。
【0180】これらのモノマー及びオリゴマーは、用い
られる開始剤及び硬化条件により選択される。また、ア
クリル官能性基を有するモノマー及び/又はオリゴマー
の数平均分子量は、2000以下であることが好まし
く、1000以下であることが、相溶性が良好であると
いう理由からさらに好ましい。
【0181】このような光及び/又は電子線硬化性組成
物を硬化させる方法は特に限定されないが、その光重合
開始剤開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀
灯、電子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオー
ド、半導体レーザー等による光及び/又は電子線の照射
が挙げられる。
【0182】第三の本発明によるビニル系重合体は、上
記の光及び/又は電子線硬化性組成物以外に、各種の硬
化性組成物に利用でき、また、マクロモノマーとしての
利用が可能である。本発明の硬化性組成物の性状として
は、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のもの
から樹脂状のものまで幅広く作成することができる。従
って、本発明の硬化性組成物の具体的な用途としては、
シーリング材、接着剤、粘着材、弾性接着剤、塗料、粉
体塗料、発泡体、電気電子用ポッティング材、フィル
ム、ガスケット、レジスト、各種成形材料、人工大理石
等を挙げることができる。
【0183】<熱硬化性組成物>以下に本発明の加熱に
より硬化する硬化性組成物について説明する。本発明の
熱硬化性組成物は、好ましくは、熱重合開始剤を含有す
る。本発明に用いられる熱重合開始剤としては特に制限
はないが、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸酸、及びレ
ドックス開始剤が含まれる。
【0184】適切なアゾ系開始剤としては、限定される
わけではないが、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−
2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
(VAZO 50)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2′−アゾビ
ス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2′−
アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、
1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリ
ル)(VAZO 88)(全てDuPont Chemic
alから入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロ
プロピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス
(メチルイソブチレ−ト)(V −601)(和光純薬よ
り入手可能)等が挙げられる。
【0185】適切な過酸化物開始剤としては、限定され
るわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチ
ル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパ
ーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘ
キシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox
16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ
(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t
−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 1
1)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trig
onox 21−C50)(Akzo Nobelから
入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。適切
な過硫酸塩開始剤としては、限定されるわけではない
が、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸ア
ンモニウムが挙げられる。
【0186】適切なレドックス(酸化還元)開始剤とし
ては、限定されるわけではないが、上記過硫酸塩開始剤
のメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム
のような還元剤との組み合わせ;有機過酸化物と第3級
アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチル
アニリンに基づく系;並びに有機ヒドロパーオキシドと
遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシド
とコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。他の
開始剤としては、限定されるわけではないが、テトラフ
ェニル1,1,2,2−エタンジオールのようなピナコ
ール等が挙げられる。
【0187】好ましい熱ラジカル開始剤としては、アゾ
系開始剤及び過酸化物系開始剤からなる群から選ばれ
る。更に好ましいものは、2,2′−アゾビス(メチル
イソブチレ−ト)、t−ブチルパーオキシピバレート、
及びジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジ
カーボネート、並びにこれらの混合物である。
【0188】第三の本発明に用いられる熱開始剤は触媒
的に有効な量で存在し、このような量は、限定はされな
いが、典型的には、本発明の少なくとも一つの末端にア
クリル官能性基を有する重合体及び他に添加されるモノ
マー及びオリゴマー混合物の合計量を100重量部とし
た場合に約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.
025〜2重量部である。開始剤の混合物が使用される
場合には、開始剤の混合物の合計量は、あたかもただ1
種の開始剤が使用されるかのような量である。
【0189】第三の本発明による硬化性組成物は、基本
的に上記成分を主成分とし、残存モノマーによる臭気問
題の解消のために他の重合性モノマーを含有しないこと
が好ましいが、その目的に応じて、重合性のモノマー及
び/又はオリゴマーや各種添加剤を併用しても構わな
い。重合性のモノマー及び/又はオリゴマーとしては、
ラジカル重合性の基を持つモノマー及び/又はオリゴマ
ー、あるいはアニオン重合性の基を持つモノマー及び/
又はオリゴマーが好ましい。ラジカル重合性の基として
は、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性基、スチレ
ン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N−ビ
ニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン基、
ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。なかで
も、本発明の重合体と類似する(メタ)アクリル基を持
つものが好ましい。アニオン重合性の基としては、(メ
タ)アクリル基、スチレン基、アクリロニトリル基、N
−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン
基、ビニルケトン基、等が挙げられる。なかでも、本発
明の重合体と類似するアクリル官能性基を持つものが好
ましい。
【0190】上記のモノマーの具体例としては、上述し
た光及び/又は電子線硬化性組成物についての説明の中
で述べた(メタ)アクリレート系モノマー、環状アクリ
レート、N−ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、
アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アクリルア
ミド系モノマー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン
系モノマーなどのモノマーを用いることができる。
【0191】これらのモノマー及びオリゴマーは、用い
られる開始剤及び硬化条件により選択される。また、ア
クリル官能性基を有するモノマー及び/又はオリゴマー
の数平均分子量は、2000以下であることが好まし
く、1000以下であることが、相溶性が良好であると
いう理由からさらに好ましい。
【0192】本発明の熱硬化性組成物を硬化させる方法
は特に限定されないが、その温度は、使用する熱開始
剤、本発明の少なくとも一つの末端にアクリル官能性基
を有する重合体及び添加される化合物等の種類により異
なるが、通常50℃〜200℃の範囲内が好ましく、7
0℃〜130℃の範囲内がより好ましい。硬化時間は、
使用する重合開始剤、単量体、溶媒、反応温度等により
異なるが、通常1分〜10時間の範囲内である。
【0193】第三の本発明による重合体は、熱硬化性組
成物以外に、各種の硬化性組成物に利用でき、また、マ
クロモノマーとしての利用が可能である。本発明の硬化
性組成物の性状としては、重合体の分子量と主鎖骨格に
応じて、ゴム状のものから樹脂状のものまで幅広く作成
することができる。従って、本発明の硬化性組成物の具
体的な用途としては、シーリング材、接着剤、粘着材、
弾性接着剤、塗料、粉体塗料、発泡体、電気電子用ポッ
ティング材、フィルム、ガスケット、レジスト、各種成
形材料、人工大理石等を挙げることができる。
【0194】<その他の硬化>さらに、本発明の少なく
とも一つの末端にアクリル官能性基を有する重合体はア
ミン橋かけ剤の添加により、すなわち、ミカエル付加反
応を経由して硬化されることができることもまたここに
おいて予期されている。
【0195】
【実施例】以下にこの発明を実施例に基づき説明する
が、この発明は、下記実施例に限定されるものではな
い。下記実施例および比較例中「部」および「%」は、
それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。下記実施
例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量平均
分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチ
レン換算法により算出した。ただし、GPCカラムとし
てポリスチレン架橋ゲルを充填したもの、GPC溶媒と
してクロロホルムを用いた。また、1 H−NMRは、V
arian Gemini−300MHzを用いてCD
Cl3 中で測定した。
【0196】(製造例1)アルケニル基末端ポリ(アク
リル酸ブチル)の合成 還流管および攪拌機付きの2Lのセパラブルフラスコ
に、CuBr(3.39g、0.059mol)を仕込
み、反応容器内を窒素置換した。アセトニトリル(11
1.9mL)を加え、オイルバス中70℃で40分間攪
拌した。これにアクリル酸ブチル(200g)、2、5
−ジブロモアジピン酸ジエチル(23.4g、0.06
5mol)、ペンタメチルジエチレントリアミン(0.
5mL)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を
開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチ
ル(800g)を連続的に滴下した。アクリル酸ブチル
の滴下途中にトリアミン(2.5mL)を追加した。反
応開始より380分経過後に1,7−オクタジエン(2
88mL、215g、1.95mol)、トリアミン
(4.0mL)を加え、引き続き70℃で8時間加熱攪
拌した。反応混合物をトルエンで希釈し、活性アルミナ
カラムを通した後、揮発分を減圧留去することにより重
合体[1]を得た。
【0197】還流管付2Lセパラブルフラスコに、上記
重合体[1](1000g)、安息香酸カリウム(3
4.8g)、N,N−ジメチルアセトアミド(1000
mL)を仕込み、窒素気流下100℃で15時間加熱攪
拌した。加熱減圧下でN,N−ジメチルアセトアミドを
除去した後、トルエンで希釈した。トルエンに不溶な固
体分(KBrおよび余剰な安息香酸カリウム)を活性ア
ルミナカラムで濾過した。ろ液の揮発分を減圧留去する
ことにより重合体[2]を得た。
【0198】還流管付2L丸底フラスコに、重合体
[2](1000g)、珪酸アルミ(200g、協和化
学製、キョーワード700PEL)、トルエン(5.0
L)を仕込み、窒素気流下100℃で6時間加熱攪拌し
た。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエ
ンを減圧留去することにより重合体[3]を得た。
【0199】(実施例1)シラノール末端ポリ(アクリ
ル酸ブチル)の合成 製造例1で合成された重合体[3](10g)を30m
Lの耐圧反応容器に仕込み、窒素置換した。クロロジメ
チルシラン(0.34mL、3.1mmol)、0価白
金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニル
ジシロキサン錯体(1.32×10-6mol/ml;キ
シレン溶液)0.079ml、トルエン(2.0mL)
を加え、100℃に加熱攪拌した。3時間後、0価白金
の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジ
シロキサン錯体(1.32×10-6mol/ml;キシ
レン溶液)0.071mLを追加し、更に6時間100
℃で加熱攪拌した。反応物の揮発分を80℃で加熱減圧
留去することによりクロロジメチル末端ポリ(アクリル
酸ブチル)(重合体[5])を得た。
【0200】重合体[5]をテトラヒドロフラン(10
mL)に溶解させ、50℃で加熱攪拌した。10%Na
HCO3 水溶液10mLを滴下し、更に1時間加熱攪拌
した。反応混合物を分液ろうとに移し、酢酸エチル(2
0mL)を加え、ブラインで有機層を洗浄した。有機層
をNa2 SO4 で乾燥し、ろ過してから溶媒を加熱減圧
留去することにより、シラノール基末端ポリ(アクリル
酸ブチル)(重合体[6])を得た。
【0201】(実施例2)硬化物の作成 実施例1で得られた重合体[6]100部、メチルトリ
イソプロペノキシシラン3部、錫系硬化触媒1部をよく
混合し、組成物とした。組成物を型枠に流し込み、室温
で硬化させたところ、ゴム弾性を有する硬化物が得られ
た。
【0202】(実施例3)メタクリロイル末端ポリ(ア
クリル酸ブチル)の合成 10mlフラスコに実施例1で得られた重合体[6]
1.00gを秤量し、窒素置換し、テトラヒドロフラン
(1.5mL)を加えた。トリエチルアミン(0.02
2mL、0.16mmol)を加えた後、3−メタクリ
ロキシプロピルジメチルクロロシラン(0.023m
L、0.10mmol)を加えた。混合物は白濁し、塩
の生成が確認できた。室温で数時間攪拌し、トルエンで
希釈し、濾過精製し、目的のメタクリロイル基(CH2
=C(CH3 )CO2 −)を末端に有するポリ(アクリ
ル酸ブチル)(重合体[7])を得た。1 H−NMRで
構造を確認した。
【0203】(実施例4)ジイソプロペノキシメチルシ
リル末端ポリ(アクリル酸ブチル)の合成 10mlフラスコに実施例1で得られた重合体[6]
1.00gを秤量し、窒素置換し、テトラヒドロフラン
(1.5mL)を加えた。メチルトリイソプロペノキシ
シラン(0.12mL、0.47mmol)を加え、5
0℃で攪拌した。エバポレーターで揮発分を留去した。
ゲル化は発生せず、油状の目的のジイソプロペノキシメ
チルシリル末端ポリ(アクリル酸ブチル)(重合体
[8])を得た。 1 H−NMRで構造を確認した。
【0204】
【発明の効果】本発明の、末端にシラノール基又は加水
分解性シリル基を有するビニル系重合体は、好ましくは
リビングラジカル重合、特に好ましくは原子移動ラジカ
ル重合を利用することにより製造されるので、官能化率
が高く、分子量分布が狭い等のように構造がよく制御さ
れる。従って通常のラジカル重合により製造される、同
等の分子量を有する重合体に比較して粘度が低く、硬化
性組成物として用いる際に、取扱いが容易であると期待
される。さらに、この重合体は硬化性の高い組成物を与
えることができる。本発明の、少なくとも一つの末端に
アクリル官能性基を有するビニル系重合体も同様に、好
ましくはリビングラジカル重合、更に好ましくは原子移
動ラジカル重合により製造されるため、官能基導入率、
分子量分布等がよく制御されており、この重合体を各種
硬化性組成物に用いた場合の物性の改善及び制御が可能
である。

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一つの末端にシラノール基を
    有することを特徴とするビニル系重合体。
  2. 【請求項2】 主鎖が、(メタ)アクリル系モノマー、
    アクリロニトリル系モノマー、芳香族ビニル系モノマ
    ー、フッ素含有ビニル系モノマー及びケイ素含有ビニル
    系モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のモ
    ノマーを重合してなる請求項1記載の重合体。
  3. 【請求項3】 シラノール基は一般式(1)で示される
    ものである請求項1又は2記載の重合体。 −[Si(R12-b (OH)b O]m −Si(R23-a (OH)a (1) (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、炭素数1
    〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
    くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
    iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
    って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
    もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
    1 又はR2 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
    ってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2又は
    3を示し、bは0、1又は2を示す。mは0〜19の整
    数である。ただし、a+mb≧1であることを満足する
    ものとする。)
  4. 【請求項4】 一般式(1)においてm=0である請求
    項3記載の重合体。
  5. 【請求項5】 ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
    ーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
    (Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である請求項
    1〜4のいずれか一項に記載の重合体。
  6. 【請求項6】 主鎖がリビングラジカル重合により製造
    される請求項1〜5のいずれか一項に記載の重合体。
  7. 【請求項7】 リビングラジカル重合は原子移動ラジカ
    ル重合である請求項6記載の重合体。
  8. 【請求項8】 原子移動ラジカル重合の触媒とする金属
    錯体が、銅、ニッケル、ルテニウム又は鉄の錯体である
    請求項7記載の重合体。
  9. 【請求項9】 原子移動ラジカル重合の触媒が銅錯体で
    ある請求項8記載の重合体。
  10. 【請求項10】 少なくとも一つの末端にアルケニル基
    を有するビニル系重合体と、ケイ素原子に結合した加水
    分解性基及びヒドロシリル基を併せ持つケイ素化合物と
    のヒドロシリル化反応を行い、続いて前記加水分解性基
    を加水分解し、シラノール基に変換することにより製造
    される請求項1〜9のいずれか一項に記載の重合体。
  11. 【請求項11】 ケイ素原子に結合した加水分解性基及
    びヒドロシリル基を併せ持つケイ素化合物は、クロロジ
    メチルシランである請求項10記載の重合体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれか一項に記載
    の少なくとも一つの末端にシラノール基を有するビニル
    系重合体を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  13. 【請求項13】 更に、ケイ素原子に結合した加水分解
    性基を2つ以上有するケイ素化合物を含有する請求項1
    2記載の硬化性組成物。
  14. 【請求項14】 ケイ素原子に結合した加水分解性基を
    2つ以上有するケイ素化合物は、下記一般式(2)で示
    されるものである請求項13記載の硬化性組成物。 Z−[Si(R32-b (Y′)b O]m −Si(R43-a (Y′)a (2) (式中、R3 及びR4 は、同一又は異なって、炭素数1
    〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
    くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
    iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
    って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
    もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
    3 又はR4 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
    ってもよく、異なっていてもよい。Y′は水酸基以外の
    加水分解性基を示す。Zは、炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数6〜20のアリール基若しくは炭素数7〜2
    0のアラルキル基、若しくは(R′)3 SiO−(R′
    は上記と同じ)、又は、水酸基以外の加水分解性基を示
    す。aは0、1、2又は3を示し、bは0、1又は2を
    示す。mは0〜19の整数である。ただし、Zが加水分
    解性基の場合、a+mb≧1であることを満足し、Zが
    加水分解性基でない場合、a+mb≧2であることを満
    足するものとする。)
  15. 【請求項15】 一般式(2)における加水分解性基
    (Y′及びZ)は、ケトオキシモ基、アシロキシ基、ア
    ルコキシ基、アミド基、アミノキシ基、アミノ基及びア
    ルケノキシ基からなる群より選ばれる基である請求項1
    4記載の硬化性組成物。
  16. 【請求項16】 更に、ケイ素原子に結合した加水分解
    性基を有しかつシラノール基を有さない重合体、を含有
    する請求項12〜15のいずれか一項に記載の硬化性組
    成物。
  17. 【請求項17】 ケイ素原子に結合した加水分解性基を
    有しかつシラノール基を有さない重合体の骨格が、ポリ
    シロキサン系重合体、ポリエーテル系重合体、炭化水素
    系重合体、及びビニル系重合体からなる群より選択され
    る少なくとも1種である請求項16記載の硬化性組成
    物。
  18. 【請求項18】 ケイ素原子に結合した加水分解性基を
    有しかつシラノール基を有さない重合体の骨格が、ポリ
    イソブチレン、(メタ)アクリル系重合体、及びスチレ
    ン系重合体からなる群より選択される少なくとも1種で
    ある請求項17記載の硬化性組成物。
  19. 【請求項19】 少なくとも一つの末端にシラノール基
    を有するビニル系重合体(I)に、ケイ素原子に結合し
    た加水分解性基を2つ以上有するケイ素化合物を反応さ
    せることを特徴とする、少なくとも一つの末端に加水分
    解性シリル基を有するビニル系重合体(II)の製造方
    法。
  20. 【請求項20】 ビニル系重合体(I)の主鎖が、(メ
    タ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマ
    ー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノ
    マー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選
    ばれる少なくとも1種のモノマーを重合して製造される
    ものである請求項19記載の製造方法。
  21. 【請求項21】 ビニル系重合体(I)のシラノール基
    は、一般式(1)で示されるものである請求項19又は
    20記載の製造方法。 −[Si(R12-b (OH)b O]m −Si(R23-a (OH)a (1) (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、炭素数1
    〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
    くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
    iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
    って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
    もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
    1 又はR2 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
    ってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2又は
    3を示し、bは0、1又は2を示す。mは0〜19の整
    数である。ただし、a+mb≧1であることを満足する
    ものとする。)
  22. 【請求項22】 一般式(1)においてm=0である請
    求項21記載の製造方法。
  23. 【請求項23】 ゲルパーミエーションクロマトグラフ
    ィーで測定した、ビニル系重合体(I)の重量平均分子
    量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)
    が1.8未満である請求項19〜22のいずれか一項に
    記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 ビニル系重合体(I)の主鎖が、リビ
    ングラジカル重合により製造されるものである請求項1
    9〜23のいずれか一項に記載の製造方法。
  25. 【請求項25】 リビングラジカル重合は原子移動ラジ
    カル重合である請求項24記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 原子移動ラジカル重合の触媒とする金
    属錯体が、銅、ニッケル、ルテニウム又は鉄の錯体であ
    る請求項25記載の製造方法。
  27. 【請求項27】 原子移動ラジカル重合の触媒が銅錯体
    である請求項26記載の製造方法。
  28. 【請求項28】 ビニル系重合体(I)は、少なくとも
    一つの末端にアルケニル基を有するビニル系重合体と、
    ケイ素原子に結合した加水分解性基及びヒドロシリル基
    を併せ持つケイ素化合物とのヒドロシリル化反応を行
    い、続いて前記加水分解性基を加水分解し、シラノール
    基に変換することにより製造されるものである請求項1
    9〜27のいずれか一項に記載の製造方法。
  29. 【請求項29】 ケイ素原子に結合した加水分解性基及
    びヒドロシリル基を併せ持つケイ素化合物は、クロロジ
    メチルシランである請求項28記載の製造方法。
  30. 【請求項30】 ケイ素原子に結合した加水分解性基を
    2つ以上有するケイ素化合物は、下記一般式(2)で示
    されるものである請求項19〜29のいずれか一項に記
    載の製造方法。 Z−[Si(R32-b (Y′)b O]m −Si(R43-a (Y′)a (2) (式中、R3 及びR4 は、同一又は異なって、炭素数1
    〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
    くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
    iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
    って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
    もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
    3 又はR4 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
    ってもよく、異なっていてもよい。Y′は水酸基以外の
    加水分解性基を示す。Zは、炭素数1〜20のアルキル
    基、炭素数6〜20のアリール基若しくは炭素数7〜2
    0のアラルキル基、若しくは(R′)3 SiO−(R′
    は上記と同じ)、又は、水酸基以外の加水分解性基を示
    す。aは0、1、2又は3を示し、bは0、1又は2を
    示す。mは0〜19の整数である。ただし、Zが加水分
    解性基の場合、a+mb≧1であることを満足し、Zが
    加水分解性基でない場合、a+mb≧2であることを満
    足するものとする。)
  31. 【請求項31】 一般式(2)における加水分解性基
    (Y′及びZ)は、ケトオキシモ基、アシロキシ基、ア
    ルコキシ基、アミド基、アミノキシ基、アミノ基及びア
    ルケノキシ基からなる群より選ばれる基である請求項3
    0記載の製造方法。
  32. 【請求項32】 一般式(2)においてm=0である請
    求項30又は31記載の製造方法。
  33. 【請求項33】 請求項19〜32のいずれか一項に記
    載の製造方法により得ることができる、少なくとも一つ
    の末端に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体。
  34. 【請求項34】 請求項33記載の少なくとも一つの末
    端に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体を含有
    することを特徴とする硬化性組成物。
  35. 【請求項35】 少なくとも一つの末端にシラノール基
    を有するビニル系重合体(I)に、一般式(3)で表わ
    されるケイ素化合物を反応させることを特徴とする、少
    なくとも一つの末端にアクリル官能性基を有するビニル
    系重合体(III)の製造方法。 XSiR2 −G−O−C(O)C(L)=CH2 (3) (式中、Rは、炭素数1〜14の炭化水素基、又は炭素
    数1〜10のハロゲン化炭化水素基であり、2つあるR
    は同一でも異なっていてもよい。Xは加水分解性基であ
    り、Gは炭素数1〜4のアルキレン基であり、Lは水素
    原子又は炭素数1〜20の炭化水素基である。)
  36. 【請求項36】 一般式(3)において、Gは、−CH
    2 −、−CH2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2 −、又
    は−CH2 CH(CH3 )CH2 −で表される基であ
    り、Lは、水素原子又はメチル基である請求項35記載
    の製造方法。
  37. 【請求項37】 ビニル系重合体(I)の主鎖が、(メ
    タ)アクリル系モノマー、アクリロニトリル系モノマ
    ー、芳香族ビニル系モノマー、フッ素含有ビニル系モノ
    マー及びケイ素含有ビニル系モノマーからなる群より選
    ばれる少なくとも1種のモノマーを重合して製造される
    ものである請求項35又は36記載の製造方法。
  38. 【請求項38】 ビニル系重合体(I)のシラノール基
    は一般式(1)で示されるものである請求項35〜37
    のいずれか一項に記載の製造方法。 −[Si(R12-b (OH)b O]m −Si(R23-a (OH)a (1) (式中、R1 及びR2 は、同一又は異なって、炭素数1
    〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基若し
    くは炭素数7〜20のアラルキル基、又は(R′)3
    iO−(R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
    って、3個のR′は同一であってもよく、異なっていて
    もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示す。R
    1 又はR2 が2個以上存在するとき、それらは同一であ
    ってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2又は
    3を示し、bは0、1又は2を示す。mは0〜19の整
    数である。ただし、a+mb≧1であることを満足する
    ものとする。)
  39. 【請求項39】 一般式(1)においてm=0である請
    求項38記載の製造方法。
  40. 【請求項40】 ビニル系重合体(I)の主鎖が、リビ
    ングラジカル重合により製造されるものである請求項3
    5〜39のいずれか一項に記載の製造方法。
  41. 【請求項41】 リビングラジカル重合は原子移動ラジ
    カル重合である請求項40記載の製造方法。
  42. 【請求項42】 原子移動ラジカル重合の触媒である金
    属錯体が、銅、ニッケル、ルテニウム又は鉄の錯体であ
    る請求項41記載の製造方法。
  43. 【請求項43】 原子移動ラジカル重合の触媒が銅錯体
    である請求項42記載の製造方法。
  44. 【請求項44】 ビニル系重合体(I)は、少なくとも
    一つの末端にアルケニル基を有するビニル系重合体と、
    ケイ素原子に結合した加水分解性基及びヒドロシリル基
    を併せ持つケイ素化合物とのヒドロシリル化反応を行
    い、続いて前記加水分解性基を加水分解し、シラノール
    基に変換することにより製造されるものである請求項3
    5〜43のいずれか一項に記載の製造方法。
  45. 【請求項45】 ケイ素原子に結合した加水分解性基及
    びヒドロシリル基を併せ持つケイ素化合物は、クロロジ
    メチルシランである請求項44記載の製造方法。
  46. 【請求項46】 請求項35〜45のいずれか一項に記
    載の製造方法により得ることができる、少なくとも一つ
    の末端にアクリル官能性基を有するビニル系重合体。
  47. 【請求項47】 ゲルパーミエーションクロマトグラフ
    ィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
    (Mn)の比(Mw/Mn)が1.8未満である請求項
    46記載の重合体。
  48. 【請求項48】 請求項46又は47記載の少なくとも
    一つの末端にアクリル官能性基を有するビニル系重合体
    を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  49. 【請求項49】 更に光重合開始剤を含有することで、
    光及び/又は電子線の照射により硬化する請求項48記
    載の硬化性組成物。
  50. 【請求項50】 光重合開始剤は光ラジカル開始剤であ
    る請求項49記載の硬化性組成物。
  51. 【請求項51】 光重合開始剤は光アニオン開始剤であ
    る請求項49記載の硬化性組成物。
  52. 【請求項52】 更に熱重合開始剤を含有することで、
    加熱により硬化する請求項48記載の硬化性組成物。
  53. 【請求項53】 更に、ラジカル重合性の基を持つモノ
    マー及び/又はオリゴマーを含有する請求項48〜52
    のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  54. 【請求項54】 更に、アニオン重合性の基を持つモノ
    マー及び/又はオリゴマーを含有する請求項48〜52
    のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  55. 【請求項55】 ラジカル重合性の基又はアニオン重合
    性の基は、アクリル官能性基である請求項53又は54
    記載の硬化性組成物。
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