JP2000154067A - 高温耐久性に優れたセラミックス基複合材料 - Google Patents

高温耐久性に優れたセラミックス基複合材料

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気中のように酸素及び水蒸気が存在する環
境下においても、高温での実使用時に機械的特性の低下
が少ないセラミックス基複合材料を提供すること。 【解決手段】 無機繊維からなる繊維部分、セラミック
スからなり該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部
分、及び上記繊維部分と上記マトリックス部分との間に
形成された高温耐久性を有する界面層を具備することを
特徴とする高温耐久性に優れたセラミックス基複合材
料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス基複
合材料に関し、更に詳しくは、高温耐久性に優れたセラ
ミックス基複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
宇宙・航空分野等に用いる材料として、耐熱性、機械的
特性に優れた材料が種々開発されており、その代表的な
ものとしてセラミックス基複合材料等が提案されてい
る。
【0003】特に近年においては、上記セラミックス基
複合材料に対して、力学的強度及び破壊靭性等に優れる
ことが要求されており、かかる物性を要求されているレ
ベルとするために、繊維とマトリックスとの結合強度、
熱物性及び弾性率等の違いを調整することを目的とし
て、繊維とマトリックスとの間に界面層を形成させるこ
とが必要であることが提言されている〔"Acta metall.,
Vol.34, No.12, p.2435(1986).","Ceramic Bulletin,
Vol.68, No.2, p.395 (1989).","Ceramic Bulletin, Vo
l.68, No.2, p.429 (1989).","J. Am. Ceram. Soc., Vo
l.73, No.6, p.1691 (1990).","Composites, Vol.21, N
o.4, p.305 (1990)."〕。
【0004】上記界面層としては、炭素界面層あるいは
窒化ホウ素界面層が提案されている。そして、化学気相
析出法により炭素あるいは窒化ホウ素を被覆したSi−
C繊維〔「ハイニカロン」登録商標、日本カーボン(株)
製〕、Si−C―O繊維〔「ニカロン」登録商標、日本
カーボン(株)製〕、SiC繊維〔「SCS繊維」登録商
標、米国テキストロン社製〕あるいは、繊維表面に炭素
層を持つSi−Ti−C−O繊維〔「チラノ繊維(TM
−S5,TY−F1)」登録商標、宇部興産(株)〕を無
機繊維として使用し、該無機繊維とマトリックスとの間
に上記界面層を形成させている。上記炭素界面層及び上
記窒化ホウ素界面層は、酸素及び水蒸気のない雰囲気中
では、高温での無機繊維とマトリックスとの反応を抑制
するので、該炭素界面層及び窒化ホウ素層を有する上記
複合材料は室温から比較的高温にいたるまでの温度範囲
で優れた機械特性を示すことが知られている〔"Ceram.E
ng. Sci., Proc., Vol.5, (7-8), p.513 (1984).","Gla
sses and Glass-Ceramics; M.H.Lewis, Ed.; Chapman a
nd Hall: London, 1989; p.336","Proc. 4th Int. Symp
o. Ultra-high Temp. Mater."94 in Tajimi, Nov.30-De
c.1, Tajimi (1994), p.86"〕。
【0005】しかしながら、上記炭素界面層を形成する
炭素は600℃以上で酸素と反応し〔理化学辞典、岩波
書店発行〕、また、上記窒化ホウ素界面層を形成する窒
化ホウ素は900℃以上で酸素と反応し〔アドバンスト
・セラミックスの新展開、東レリサーチセンター発
行〕、更に水蒸気の存在下ではこれら以下の温度でそれ
ぞれ容易に分解する〔化学大辞典、共立出版発行〕。そ
のため、大気のような酸素及び水蒸気が存在する環境で
は、高温での実使用時に炭素又は窒化ホウ素の酸化ある
いは分解により、炭素界面層あるいは窒化ホウ素界面層
が破壊され、その結果、複合材料の機械的特性が損なわ
れる(経時的に劣化する)という問題点を有してい
る〔"Glasses and Glass-Ceramics; M.H. Lewis, Ed.;
Chapman and Hall: London, 1989; p.336", "Proc. 4th
Int. Sympo. Ultra-high Temp. Mater."94 in Tajimi,
Nov.30-Dec.1, Tajimi (1994), p.86", Proc. 1993 Po
wder Metallurgy World Congress; Y.Bando and K.Kosu
ge, Eds.; July, 12-15, Kyoto (1993), p.86.", "Scri
pta Metallurgica et Materialia, Vol.31, No.8, p.95
9 (1994)."〕。
【0006】従って、本発明の目的は、大気中のように
酸素及び水蒸気が存在する環境下においても、高温での
実使用時に機械的特性の低下が少ないセラミックス基複
合材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために種々研究した結果、繊維とマトリッ
クスの間に特定の界面層を形成してなるセラミックス基
複合材料が、上記目的を達成しうることを知見した。
【0008】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、無機繊維からなる繊維部分、セラミックスか
らなり該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部分、
及び上記繊維部分と上記マトリックス部分との間に形成
された高温耐久性を有する界面層を具備することを特徴
とする高温耐久性に優れたセラミックス基複合材料を提
供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のセラミックス基複
合材料について詳細に説明する。本発明のセラミックス
基複合材料は、無機繊維、セラミックス及び該繊維と該
セラミックスとの間の界面層により形成されており、上
記無機繊維からなる繊維部分、上記セラミックスからな
り該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部分及び上
記繊維部分と上記マトリックス部分との間に形成された
高温耐久性を有する上記界面層により形成されている。
【0010】本発明に用いられる上記無機繊維の種類に
特に制限はなく、炭化ケイ素系繊維、窒化ケイ素系繊
維、アルミナ系繊維、炭素系繊維等が用いられ、好まし
くはS−C系繊維、Si−C−O系繊維、Si−Ti又
はZr−C−O系繊維等の炭化ケイ素系繊維が用いられ
る。特に好ましくは強度、弾性率、耐熱性、耐酸化性、
耐クリープ性等の特性の点から、下記構造(1)を有する
繊維、下記構造(2)を有する繊維又は下記構造(3)を有す
る繊維が用いられる。
【0011】構造(1); (a)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、Cと、O
とからなる非晶質、(b)上記(a)の非晶質並びに1000
nm以下、特に10〜500nmのβ−SiCと、Ti
C及び/又はZrCとの結晶質の集合体、または(c)上
記(b)の結晶質並びにその近傍に存在するSiOxと、
TiOx及び/又はZrOx(0<x≦2)とからなる
非晶質の混合系であり、且つ上記(a)、(b)及び(c)の平
均の元素組成が、Siが30〜80重量%、Cが15〜
69重量%、Oが0.01〜20重量%である構造。
【0012】構造(2); (d)実質的にSiとCとOとからなる非晶質、(e)100
0nm以下、特に10〜500nmのβ−SiC結晶質
の集合体と、非晶質SiO2及び/又は上記(d)の非晶質
との集合体、または(f)上記(e)の結晶質及び/又は上記
(e)の集合体と、炭素の凝集体との混合物であり、且つ
上記(d)、(e)及び(f)の平均の元素組成が、Siが30
〜80重量%、Cが10〜65重量%、Oが0.01〜
25重量%である構造。
【0013】構造(3); (g)実質的にSiと、B及び/又はAlと、Cと、Oと
からなる非晶質、(h)実質的に0.1〜10000nm
の大きさのβ−SiC結晶の集合体で、β−SiC結晶
の粒界にAl及び/又はBが存在する及び/又はβ−S
iC結晶の粒界近傍にB及び/又はAlが固溶したも
の、(i)上記(g)の非晶質、並びに10000nm以下、
特に1〜5000nmのβ−SiCと、B4C及び/又
はAl43及び/又はAl26及び/又はAl4SiC4
及び/又はAl4Si25及び/又はAl847との結
晶質の集合体、または(j)上記(i)の結晶質、並びにその
近傍に存在するSiO2と、B23及び/又はAl23
とからなる非晶質の混合系であり、且つ上記(g)、(h)、
(i)及び(j)の平均の元素組成が、Siが30〜80重量
%、Cが15〜69重量%、Oが0.001〜25重量
%である構造。
【0014】上記構造(1)、(2)及び(3)について詳述す
ると、上記構造(1)の上記(b)における「結晶の集合体」
とは、0.1〜1000nmの大きさをもった結晶が複
数個集合してなるものを意味する。上記(c)における
「その近傍」とは、好ましくは上記結晶質の粒子からの
距離が100nm以下の領域である。上記(a)〜(c)の何
れの場合においても、Si、C及びOの平均の元素組成
は上述した通りであることが強度、弾性率、耐熱性、耐
酸化性、耐クリープ性等の特性の点から好ましい。更に
好ましい範囲はSiが40〜70重量%、Cが20〜4
0重量%、Oが0.01〜20重量%である。
【0015】上記構造(2)の上記(e)における「結晶質の
集合体」は上記構造(1)の上記(b)におけるそれと同様の
意味である。また、上記(e)における「結晶質の集合体
と、非晶質SiO2及び/又は上記(d)の非晶質との集合
体」とは、0.1〜1000nmの大きさをもった結晶
の集合体の近傍(上記の「その近傍」に同義)に、非晶
質SiO2 及び/又は上記(d)の非晶質粒子が複数個集
合してなるものが、更に複数個集合してなるものを意味
する。上記(f)における炭素の凝集体とは、1000Å
以下の大きさをもった結晶質及び/又は非晶質からなる
炭素の粒子が複数個存在することを意味する。上記(d)
〜(f)の何れの場合においても、Si、C及びOの平均
の元素組成は上述した通りであることが強度、弾性率、
耐熱性、耐酸化性、耐クリープ性等の特性の点から好ま
しい。更に好ましい範囲はSiが40〜70重量%、C
が20〜40重量%、Oが0.01〜20重量%であ
る。
【0016】上記構造(3)の上記(h)における「粒界近
傍」とは、好ましくは上記粒界からの距離が結晶の大き
さの1/3以下の領域である。上記(i)における「結晶
質の集合体」とは、上記構造(1)の上記(b)におけるそれ
と同様の意味である。また、上記(j)における「その近
傍」とは、上記構造(1)の上記(c)におけるそれと同様の
意味である。上記(g)〜(j)の何れの場合においても、S
i、C及びOの平均の元素組成は上述した通りであるこ
とが、強度、弾性率、耐熱性、耐酸化性、耐クリープ性
等の点から好ましい。更に好ましい範囲は、Siが50
〜75重量%、Cが25〜35重量%、Oが0.001
〜15重量%である。
【0017】上記無機繊維としては、宇部興産(株)から
「チラノ繊維」(登録商標)として市販されているSi
−Ti又はZr−C−Oからなる無機繊維、Si−Al
−Cからなる無機繊維、あるいは日本カーボン(株)から
「ニカロン」(登録商標)又は「ハイニカロン」(登録
商標)として市販されているSi−C−Oからなる無機
繊維等を用いることもできる。
【0018】上記無機繊維の繊維径は、本発明のセラミ
ックス基複合材料に要求される特性や用途等に応じて適
宜選択されるが、一般に1〜200μm、特に5〜30
μmであることが好ましい。また、上記無機繊維は長繊
維連続フィラメントでもよく或いは短繊維でもよい。上
記無機繊維を短繊維の形態で用いる場合、その繊維長
は、上記繊維径の場合と同様に本発明のセラミックス基
複合材料に要求される特性や用途等に応じて適宜選択さ
れるが、一般に1〜200mm、特に5〜30mmであ
ることが好ましい。
【0019】上記界面層は、実質的にZrとSiとOと
からなる非晶質及び/又はZrSiO4を主成分とする
結晶質からなることが好ましい。或いは、上記界面層は
該非晶質及び/又は該結晶質からなる粒子の集合体から
なることも好ましい。何れの場合にしても上記界面層の
厚さは3nm以上であることが好ましく、更に好ましく
は10nm以上、一層好ましくは10〜5000nmで
ある。上記界面層の厚さが3nmに満たないと、界面層
としての役割が発現せず、セラミックス基複合材料の物
性が低下する場合がある。ここで、「実質的には」とは
原料及び/又は製造工程により不可避的に混入する不純
物元素を除いた成分を意味する。また「主成分」とは原
料組成の化学量論比からのずれ及び/又は生成相の不均
一性に起因したZrO2、SiO2等を除いた成分を意味
する。更に「結晶質からなる粒子の集合体」とは、0.
1〜10000nmの大きさの結晶が複数個集合してな
るものを意味する。
【0020】特に、上記界面層は、ZrSiO4を主成
分とする結晶質または該結晶質からなる粒子の集合体で
あることが、無機繊維との熱的特性の適合性、無機繊維
及びマトリックス或いは酸化後の無機繊維及びマトリッ
クスとの反応性の点から好ましい。
【0021】上記界面層の厚さは破断面のSEM観察等
によって測定される。また、上記界面層が非晶質である
か結晶質であるかは界面層の電子線回折等によって測定
される。更に上記界面層にZrSiO4が含まれている
か否かは分析電子顕微鏡、オージェ分光等によって測定
される。
【0022】上記界面層は、下記の方法(イ)〜(ニ)
により上記無機繊維を表面処理する等して容易に得るこ
とができる。勿論これらの方法以外の方法でも得ること
ができる。
【0023】方法(イ);公知の化学気相析出法(化学
蒸着法、以下「CVD法」という)により、上記無機繊
維の表面に上記界面層を形成する方法。この際に使用す
る原料ガスとしては、Zr源として、ZrCl4、Zr
OCl2、Zr(OCm2m+1)4(m=1〜4)等が好ま
しく用いられ、Si源として、Si(OCm2m+1)4(m
=1〜4)、Si(Cm2m+1)nCl4-n(n=0〜4、
m=1〜6)、SiHnCl4-n(n=0〜4)等が好ま
しく用いられる。原料ガスは、上記Zr源及びSi源の
ガス又は蒸気と、NO2ガス及び/又はO2ガス及び/又
はH2Oガスとの混合物等からなり、これはCVD法の
原料ガスとしてそれ自体公知のものである。
【0024】方法(ロ);公知の物理蒸着法(以下「P
VD法」という)により、上記無機繊維の表面に上記界
面層を形成する方法。この際に使用するターゲットは、
上記界面層と同じ組成に調整した非晶質物質、結晶質物
質又はそれらの混合物が好ましい。スパッタリングガス
に特に制限はないが、Arガス等の不活性ガスや、O 2
ガス等が好ましく使用される。また、金属Zr及び金属
Siの合金又は金属Zrと金属Siとを目的組成となる
ように組み合わせたターゲットも用いることができる。
この場合のスパッタリングガスとしては、O2ガス等の
酸素源を含んだガスに、必要に応じてArガス等の不活
性ガスを加えた混合ガスが好ましく用いられる。
【0025】方法(ハ);公知のゾル−ゲル法により、
上記無機繊維の表面に上記界面層を形成する方法。この
場合に用いられるゾル−ゲル液としては、公知の物を使
用することができる。ゾル−ゲル液のZr源としてはZ
rCl4、ZrOCl2、Zr(OCm2m+1)4(m=1〜
4)等が、またSi源としてはSi(OCm 2m+1)
4(m=1〜4)等が好ましく用いられる。
【0026】方法(ニ);実質的にZrとSiとOとか
らなる非晶質及び/又はZrSiO 4を主成分とする結
晶相からなる粉末を、上記無機繊維の表面に付着させ上
記界面層を形成する方法。上記無機繊維の表面に上記粉
末を付着させる方法は、公知の方法でよく、例えば上記
粉末のスラリー溶液中に上記無機繊維を浸漬後乾燥させ
る方法あるいは該スラリー溶液浸漬時に電気泳動電着法
により上記無機繊維の表面に強固に上記粉末を付着させ
る方法等を用いることができる。
【0027】上記方法(イ)〜(ニ)を用いて上記無機
繊維の表面に上記界面層を形成させる場合には、該無機
繊維の製造と該界面層の形成とを連続して行ってもよ
い。
【0028】本発明に用いられる上記セラミックスとし
ては、結晶質又は非晶質である酸化物、炭化物、窒化
物、ホウ化物及びケイ化物からなる群より選択される1
種類以上のセラミックス、並びにこれらの粒子分散強化
したセラミックス材料を例示することができる。
【0029】上記酸化物の具体例としては、アルミニウ
ム、マグネシウム、ケイ素、イットリウム、カルシウ
ム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、鉄、銅、バリウ
ム、亜鉛、ストロンチウム、ベリリウム、インジウム、
ウラン、タンタル、ネジウム、スカンジウム、ルテニウ
ム、ロジウム、錫、ニッケル、コバルト、モリブデン、
マンガン、ゲルマニウム、鉛、ハフニウム等の元素の酸
化物及びこれらの複合酸化物が挙げられる。また、上記
酸化物の非晶質以外に、非晶質の酸化物としてケイ酸塩
ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスを用いること
もできる。更に、結晶質と非晶質との混合物以外に、結
晶化ガラス(ガラスセラミックス)を用いることもでき
る。結晶化ガラスの具体例としては、主結晶相がβ−Sp
odumeneであるLiO2−Al23−MgO−SiO2
結晶化ガラス及びLiO2−Al23−MgO−SiO2
−Nb25系結晶化ガラス、主結晶相がCordieriteであ
るMgO−Al23−SiO2系結晶化ガラス、主結晶
相がMullite又はCelsianであるBaO−Al23−Si
2系結晶化ガラス、主結晶相がAnorthiteであるCaO
−Al23−SiO2系結晶化ガラス等が挙げられる。
【0030】上記炭化物の具体例としては、ケイ素、チ
タン、ジルコニウム、アルミニウム、ウラン、タングス
テン、タンタル、ハフニウム、ホウ素、鉄、マンガン、
モリブデン等の元素の炭化物及びこれらの複合炭化物が
挙げられる。
【0031】上記窒化物の具体例としては、ケイ素、チ
タン、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ハ
フニウム、ホウ素、モリブデン等の元素の窒化物及びこ
れらの複合窒化物、サイアロンが挙げられる。
【0032】上記ホウ化物の具体例としては、チタン、
イットリウム、ランタン等の元素のホウ化物、CeCo
32、CeCo44、ErRh44等のホウ化白金属ラ
ンタノイドが挙げられる。
【0033】上記ケイ化物の具体例としては、モリブデ
ン、ニッケル、ニオブ等の元素のケイ化物等がげられ
る。
【0034】上記セラミックスとしては、上記の具体例
に例示した各種セラミックスの固溶体を用いることもで
きる。
【0035】上記セラミックスの具体例としては、窒化
ケイ素、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシ
ウム、酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、ホウ酸マ
グネシウム、酸化亜鉛、ホウ化チタン及びムライトから
選択される1種類以上の無機物の粒状粒子、多面体粒
子、板状粒子及び/又は棒状粒子を、上記酸化物等のセ
ラミックスに、0.1〜60Vol%均一分散したセラ
ミックス材料が挙げられる。粒状粒子及び多面体粒子の
粒径は、0.1μm〜1mm、板状粒子及び棒状粒子の
アスペクト比は1.5〜1000であることが好まし
い。
【0036】上述の通り、本発明のセラミックス基複合
材料は、上記無機繊維からなる繊維部分、上記セラミッ
クスからなり該繊維部分の周囲に位置するマトリックス
部分、及び該繊維部分と該マトリックス部分との間に形
成された高温耐久性を有する上記界面層を具備する。
【0037】上記繊維部分は、上記無機繊維により形成
されてなる部分である。そして、この繊維部分の形状
は、上記無機繊維を配した形状に対応する。例えば上記
無機繊維からなる織物、シート又は不織布等を所定の間
隔をあけて複数層配置した場合には、複数の層状の繊維
部分が形成される。また、上記無機繊維を短く切断した
物等の集合体を用いた場合には、一体物の繊維部分が形
成される。上記繊維部分の存在量は、セラミックス基複
合材料全体に対して5〜85vol%、特に20〜60
vol%とすることが、セラミックス基複合材料の特性
の発現の点から好ましい。
【0038】上記マトリックス部分は、例えば上記繊維
部分が平織状シートであり複数配されている場合には、
各繊維部分の周囲及び各シート間に位置し、セラミック
ス基複合材料の外形を形成する部分である。上記マトリ
ックス部分の存在量は、セラミックス基複合材料全体に
対して14.5〜94.5vol%、特に40〜80v
ol%とすることが、セラミックス基複合材料の特性の
発現の点から好ましい。
【0039】上記界面層は高温耐久性を有している。従
って、本発明のセラミックス基複合材料の使用中に、例
えば酸化反応によって上記無機繊維の表面や上記マトリ
ックス中に酸化ケイ素が生成した場合においても、これ
と上記界面層との反応は見られない。その結果、上記無
機繊維と上記マトリックスとの一体化による複合材料の
機械的特性が損なわれることがない。従って、本発明の
セラミックス基複合材料は、高温耐久性に優れたセラミ
ックス基複合材料となる。
【0040】上記界面層が、上記無機繊維の表面や上記
マトリックス中に生成した酸化ケイ素と反応しない理由
は定かでないが、例えば上記界面層が実質的にZrとS
iとOとからなる非晶質及び/又はZrSiO4を主成
分とする結晶質からなる場合には、ZrO2−SiO2
の固溶体はZrSiO4結晶相の1種類しかないこと、
更にZrSiO4結晶は約1680℃でZrO2とSiO
2とに相分離すること等によるものと考えられる。
【0041】上記界面層の存在量は、セラミックス基複
合材料全体に対して、0.05〜20vol%、特に
0.05〜5vol%とすることが、セラミックス基複
合材料の特性の発現の点から好ましい。
【0042】上記界面層を上記無機繊維の表面に形成さ
せる具体的な方法は上述した方法(イ)〜(ニ)の通り
であるが、その際には、上記無機繊維の繊維束に上記界
面層を形成させた後に該無機繊維の織物、シート若しく
は不織布又は短く切断した物等の集合体を形成させても
よい。或いは該無機繊維の織物、シート若しくは不織布
又は短く切断した物等の集合体を形成させた後に上記界
面層を形成させてもよい。
【0043】本発明のセラミックス基複合材料は、上記
界面層で表面が被覆された上記無機繊維と上記セラミッ
クスとを用いて、下記方法(ホ)〜(チ)により容易に
製造することができる。勿論これらの方法以外の方法で
も製造することができる。
【0044】方法(ホ);上記無機繊維と上記セラミッ
クスの原料粉末とを配合して加熱処理あるいは高温加圧
処理する方法。
【0045】方法(ヘ);上記無機繊維の表面にマトリ
ックス部分となる上記セラミックスをPVD法あるいは
CVD法により付着させたものの集合体を加熱処理ある
いは高温加圧処理する方法。
【0046】方法(ト);上記無機繊維の織物、シート
若しくは不織布又は短く切断した物等の集合体の内部に
化学気相含浸法(化学気相浸透法、化学気相浸漬法、C
VI法)によりマトリックス部分となる上記セラミック
スを析出させる方法。
【0047】方法(チ);上記無機繊維の織物、シート
若しくは不織布又は短く切断した物等の集合体にマトリ
ックス部分となる上記セラミックスの前駆重合体、例え
ばポリカルボシラン、ポリジルコノカルボシラン、ポリ
チタノカルボノシラン、ペルヒドロポリシラザン、ポリ
シラスチレン、ポリカルボシラザン、ポリシラザン、ポ
リボラジン等を含浸させた後、真空中又はArガス、N
2ガス、H2ガス、NH 3ガス若しくはSi(Cm2m+1)n
4-n(n=0〜4、m=1〜6)ガス等の各種の雰囲
気中で加熱処理する方法。
【0048】上記方法(ホ)〜(チ)について詳述す
る。上記方法(ホ)においては、上記無機繊維が短繊維
であるときは、短繊維状の無機繊維と上記セラミックス
の原料粉末とを混合して混合物となす。上記無機繊維が
長繊維、織物、不織布又はシート状物であるときは、こ
れらの繊維層と上記セラミックスの原料粉末とを交互に
積層した積層物、あるいは上記繊維表面に上記セラミッ
クスの原料粉末が付着した長繊維繊維束を織物、不織布
又はシート状に加工した物の積層物となす。そして、該
混合物又は該積層物を所望の形状に成形した後に、ある
いは成形と同時に加熱処理して上記セラミックスの原料
粉末を焼結することによって、本発明のセラミックス基
複合材料を得ることができる。
【0049】上記方法(ヘ)においては、上記無機繊維
の表面に公知のCVD法あるいはPVD法によりマトリ
ックス部分となる上記セラミックスを付着させる。
【0050】CVDを利用する場合に用いられるガス
は、それ自体公知のCVD法の原料ガスである。例え
ば、マトリックス部分の上記セラミックスが炭化物の場
合には、上記セラミックスを構成する金属のハロゲン化
物、水素化物、有機金属化合物の少なくとも1種類以上
のガス又は蒸気(以下このガス又は蒸気を総称して「金
属含有ガス」という)と、Cn2n+2(n=1以上)ガ
ス及び/又はH2ガスとの混合物が用いられる。マトリ
ックス部分のセラミックスが窒化物の場合は、上記金属
含有ガスと、NH3ガス及び/又はN2ガス及び/又はH
2ガスとの混合物が用いられる。マトリックス部分の上
記セラミックスが酸化物の場合は、上記金属含有ガス
と、NO2ガス及び/又はO2ガス及び/又はH2Oガス
との混合物が用いられる。マトリックス部分の上記セラ
ミックスがホウ化物の場合は、上記金属含有ガスと、ハ
ロゲン化ホウ素及び/又はH2ガスとの混合物が用いら
れる。マトリックス部分の上記セラミックスがケイ化物
の場合は、上記金属含有ガスと、Si(Cm2m+1)n
4-n(n=0〜4、m=1〜6)及び/又はSiHnCl
4-n(n=0〜4)及び/又はH2ガスとの混合物が用い
られる。
【0051】PVDを利用する場合は、目的とするセラ
ミックスの組成と同じか若しくはそれに非常に近い組成
となるように調整した化合物若しくは混合物をターゲッ
トとして使用するか、又は該化合物若しくは該混合物の
複数のターゲットをそれぞれ交互に使用する等して目的
とするセラミックスと同組成となるようにPVD処理し
た後に、必要なら熱処理を行って、上記無機繊維の表面
に上記セラミックスを付着させることができる。
【0052】上記方法(ト)においては、それ自体公知
のCVD法の原料ガスを使用し、上記無機繊維が短繊維
であるときは、該短繊維の集合体の内部に、上記無機繊
維が長繊維、織物、不織布又はシート状物であるとき
は、これらの繊維層の積層物の内部に、それ自体公知の
CVI法によってマトリックス部分となる上記セラミッ
クスを析出させる。上記原料ガスとしては、マトリック
ス部分のセラミックスの種類に応じて上記方法(ヘ)で
用いられる原料ガスと同様のものを用いることができ
る。
【0053】CVI法を行う場合、必要ならば上記短繊
維状の無機繊維の集合体あるいは上記の繊維層の積層物
に温度勾配及び/又は原料ガスの圧力勾配を設けてもよ
い。また、原料ガスの供給と反応生成ガスの排気を交互
に繰り返すことによってCVI処理を行ってもよい。
【0054】上記方法(チ)においては、セラミックス
の前駆重合体を、該前駆重合体に対して良溶媒となる有
機溶媒、例えばトルエン、キシレン、テトラヒドロフラ
ン等に溶解した溶液を、上記無機繊維、短繊維状の上記
無機繊維の集合体又は上記繊維層の積層物に含浸し、含
浸物から溶媒を除去した後に加熱処理することによっ
て、本発明のセラミックス基複合材料が調整される。こ
の方法においては、内部の空孔のない複合材料を得るた
めに、上記前駆重合体の含浸、溶媒の除去及び加熱処理
の一連の作業を複数回繰り返すことが好ましい。この方
法においては、上記前駆重合体の無機化と焼結とが同時
に進行する。
【0055】上記方法(ホ)〜(チ)における加熱処理
温度は通常800℃〜2000℃である。加熱処理は、
2ガス若しくはArガス中のような不活性雰囲気中、
真空中又はH2ガス若しくはCOガス中のような還元性
雰囲気中で行われる。
【0056】本発明のセラミックス基複合材料は、高温
下で且つ酸素及び水蒸気が存在する環境下で使用して
も、上記無機繊維と上記マトリックスとの一体化による
複合材料の機械的特性が損なわれず、高温耐久性に優れ
たものとなる。従って、本発明のセラミックス基複合材
料は、極めて過酷な使用環境下である航空・宇宙分野に
おける各種成形物等の材料として特に有用である。
【0057】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるもので
はない。尚、以下、「部」及び「%」は、特別の断りの
ないかぎり、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示
す。
【0058】製造例1(マトリックス材料の製造) 5リットルの三口フラスコに無水キシレン2.5リット
ルとナトリウム400gを投入し、N2ガス気流下でキ
シレンの沸点まで加熱した後、ジメチルジクロロシラン
1リットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10
時間加熱還流して沈殿物を生成させた。この沈殿物を濾
過し、該沈殿物をまずメタノールで洗浄した後、水で洗
浄して、白色粉末のポリジメチルシラン410gを得
た。これとは別に、ジフェニルジクロロシラン750g
及びホウ酸124gをN2ガス気流下にn−ブチルエー
テル中、100〜120℃で加熱し、生成した白色樹脂
状物を更に真空中400℃で1時間加熱処理することに
よってポリボロジフェニルシロキサン515g得た。こ
のポリボロジフェニルシロキサン8.2gと、上記で得
られたポリジメチルシラン250gとを混合し、還流管
を備えた石英管中、N2ガス気流下で350℃に加熱
し、350℃で攪拌しながら6時間保持し、シロキサン
結合を一部含むポリカルボシラン138gを得た。この
ポリカルボシラン40gとチタンテトラブトキシド7.
3gとをキシレン0.3リットルに溶解した後、N2
ス気流中120℃で30分間、攪拌しながら還流した。
その後、キシレンを蒸発させ、さらにN2ガス気流下3
00℃で1時間加熱後、放冷し、室温で固体状のポリチ
タノカルボシランを得た。
【0059】製造例2(マトリックス材料の製造) BaO、MgO、Al23、SiO2粉末を配合比Ba
O:MgO:Al23:SiO2=14:8:28:5
0で合計1000gを混合し、ガラス用混合粉末を得
た。この混合粉末を白金製坩堝に充填し、1600℃以
上に加熱・溶解した後、急冷した。得られたガラスを平
均粒径で10μm以下になるように粉砕し、ガラスセラ
ミックス粉末を得た。この粉末を以降、BMASガラス
セラミックス粉末という。
【0060】製造例3(界面層材料の製造) ジルコニウムテトラエトキシド〔Zr(OCH2CH2
3)4〕、テトラエトキシシラン〔Si(OC25)4〕を
69.2%、30.8%の割合で混合したもの100部
をイソプロピルアルコール100部に加熱還流させ、溶
解させた。この溶液を以降、ZrSiO4ゾル−ゲル溶
液という。
【0061】製造例4(繊維材料の製造) 市販の「チラノ繊維TM」〔商品名、宇部興産(株)製〕
を開繊し、市販のZrSiO4粉末〔和光純薬工業(株)
製〕20%及び水80%のスラリー中に浸漬後乾燥し
て、ZrSiO4粉末付着繊維TMを得た。
【0062】製造例5(繊維材料の製造) 市販の「チラノ繊維ZMI」〔商品名、宇部興産(株)
製〕に、製造例3で得られたZrSiO4ゾル−ゲル溶
液に浸漬後、乾燥した。次に電気炉にて、空気流通下で
50℃/時間の昇温速度で500℃まで昇温し、500
℃で1時間保持した後、室温まで放冷して、浸漬物の無
機化を行った。この浸漬と無機化を5回繰り返すことに
よりZrSiO4コート繊維を得た。ZrSiO4コート
繊維ZMIのSEM観察の結果より、ZrSiO4膜の
厚さは約0.5μmであった。
【0063】製造例6(繊維材料の製造) 市販の「チラノ繊維SA」〔商品名、宇部興産(株)製〕
を用いた以外は、製造例5と同様の方法でZrSiO4
コート繊維SAを得た。ZrSiO4コート繊維SAの
SEM観察の結果より、ZrSiO4膜の厚さは約0.
8μmであった。
【0064】実施例1 製造例4で得られたZrSiO4粉末付着繊維TMを開
繊し、製造例1で得られたポリチタノカルボシラン10
0部及びキシレン100部の混合溶液に浸漬し、500
Torrの減圧下で脱気した後に、4気圧のアルゴンガ
ス雰囲気中で繊維束に含浸させた。含浸後の繊維束をア
ルゴンガス気流下に100℃に加熱してキシレンを蒸発
除去した。次に電気炉にて、窒素ガス気流下で50℃/
時間の昇温速度で1300℃まで昇温し、1300℃で
1時間保持した後、1000℃まで100℃/時間の降
温速度で降温し、その後室温まで放冷して、含浸物の焼
成を行った。この含浸と焼成を5回繰り返すことによ
り、無機繊維からなる繊維部分、セラミックスからなり
該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部分、及び上
記繊維部分と上記マトリックス部分との間に形成された
界面層を具備する本発明のセラミックス基複合材料を得
た。得られた複合材料の引張強度試験を「石油産業活性
化センター」材料試験法規格の「長繊維強化セラミック
ス基複合材料の室温及び高温引張応力−ひずみ挙動試験
方法(PEC−TS CMC 01−1997)」に準
拠して大気中で行った。その結果を表1に示す。
【0065】比較例1 製造例4における「チラノ繊維TM」をそのまま用いた
以外は、実施例1と同様の方法で複合材料を得、得られ
た複合材料の引張強度試験を大気中で行った。その結果
を表1に示す。
【0066】実施例2 製造例5で得られたZrSiO4コート繊維ZMIを用
いた以外は、実施例1と同様の方法で、無機繊維からな
る繊維部分、セラミックスからなり該繊維部分の周囲に
位置するマトリックス部分、及び上記繊維部分と上記マ
トリックス部分との間に形成された界面層を具備する本
発明のセラミックス基複合材料を得、得られた複合材料
の引張強度試験を大気中で行った。その結果を表1に示
す。
【0067】比較例2 製造例5における「チラノ繊維ZMI」をそのまま用い
た以外は、実施例1と同様の方法で複合材料を得、得ら
れた複合材料の引張強度試験を大気中で行った。その結
果を表1に示す。
【0068】実施例3 製造例4で得られたZrSiO4粉末付着繊維TMを開
繊し、製造例2で得られたBMASガラスセラミックス
粉末20%及び水80%からなるスラリーに含浸し、巻
き取り、乾燥することによって1方向プリプレグシート
を製造した。得られたプリプレグシートを積層して積層
板を得た。尚、各プリプレグシートにおける繊維配向方
向は同一方向として積層した。得られた積層板を、10
00℃で1時間、10MPaでホットプレスし、更に1
300℃で1時間熱処理を行うことにより、無機繊維か
らなる繊維部分、セラミックスからなり該繊維部分の周
囲に位置するマトリックス部分、及び上記繊維部分と上
記マトリックス部分との間に形成された界面層を具備す
る本発明の複合材料を製造した。JIS−R1601に
準拠して、得られた複合材料から試験片を切り出し、3
点曲げ試験を大気中で行った。その結果を表2に示す。
【0069】比較例3 製造例4における「チラノ繊維TM」をそのまま用いた
以外は、実施例3と同様の方法で複合材料を得、得られ
た複合材料の3点曲げ試験を大気中で行った。その結果
を表2に示す。
【0070】実施例4 製造例6で得られたZrSiO4コート繊維SAを用い
た以外は、実施例1と同様の方法で、無機繊維からなる
繊維部分、セラミックスからなり該繊維部分の周囲に位
置するマトリックス部分、及び上記繊維部分と上記マト
リックス部分との間に形成された界面層を具備する本発
明のセラミックス基複合材料を得、得られた複合材料の
引張強度試験を大気中で行った。その結果を表3に示
す。
【0071】比較例4 製造例6における「チラノ繊維SA」をそのまま用いた
以外は、実施例1と同様の方法で複合材料を得、得られ
た複合材料の引張強度試験を大気中で行った。その結果
を表3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、高温下で且つ酸素及び
水蒸気が存在する環境下で使用しても機械的特性の劣化
が少ないセラミックス基複合材料が提供される。本発明
のセラミックス基複合材料は、特に航空・宇宙分野にお
ける各種成形物等の材料として有用である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機繊維からなる繊維部分、セラミック
    スからなり該繊維部分の周囲に位置するマトリックス部
    分、及び上記繊維部分と上記マトリックス部分との間に
    形成された高温耐久性を有する界面層を具備することを
    特徴とする高温耐久性に優れたセラミックス基複合材
    料。
  2. 【請求項2】 上記界面層は、その厚さが3nm以上で
    あり、i)実質的にZrとSiとOとからなる非晶質及び
    /又はZrSiO4を主成分とする結晶質からなるか、
    或いはii)該非晶質及び/又は該結晶質からなる粒子の
    集合体からなることを特徴とする請求項1記載の高温耐
    久性に優れたセラミックス基複合材料。
  3. 【請求項3】 上記無機繊維の構造が、下記構造(1)で
    あることを特徴とする請求項1記載の高温耐久性に優れ
    たセラミックス基複合材料。 構造(1); (a)実質的にSiと、Ti及び/又はZrと、Cと、O
    とからなる非晶質、(b)上記(a)の非晶質並びに1000
    nm以下のβ−SiCと、TiC及び/又はZrCとの
    結晶質の集合体、または(c)上記(b)の結晶質並びにその
    近傍に存在するSiOxと、TiOx及び/又はZrO
    x(0<x≦2)とからなる非晶質の混合系であり、且
    つ上記(a)、(b)及び(c)の平均の元素組成が、Siが3
    0〜80重量%、Cが15〜69重量%、Oが0.01
    〜20重量%である構造。
  4. 【請求項4】 上記無機繊維の構造が、下記構造(2)で
    あることを特徴とする請求項1記載の高温耐久性に優れ
    たセラミックス基複合材料。 構造(2); (d)実質的にSiとCとOとからなる非晶質、(e)100
    0nm以下のβ−SiC結晶質の集合体と、非晶質Si
    2及び/又は上記(d)の非晶質との集合体、または(f)
    上記(e)の結晶質及び/又は上記(e)の集合体と、炭素の
    凝集体との混合物であり、且つ上記(d)、(e)及び(f)の
    平均の元素組成が、Siが30〜80重量%、Cが10
    〜65重量%、Oが0.01〜25重量%である構造。
  5. 【請求項5】 上記無機繊維の構造が、下記構造(3)で
    あることを特徴とする請求項1記載の高温耐久性に優れ
    たセラミックス基複合材料。 構造(3); (g)実質的にSiと、B及び/又はAlと、Cと、Oと
    からなる非晶質、(h)実質的に0.1〜10000nm
    の大きさのβ−SiC結晶の集合体で、β−SiC結晶
    の粒界にAl及び/又はBが存在する及び/又はβ−S
    iC結晶の粒界近傍にB及び/又はAlが固溶したもの
    (i)上記(g)の非晶質、並びに10000nm以下、特に
    1〜5000nmのβ−SiCと、B4C及び/又はA
    43及び/又はAl26及び/又はAl4SiC4及び
    /又はAl4Si25及び/又はAl847との結晶質
    の集合体、または(j)上記(i)の結晶質、並びにその近傍
    に存在するSiO2と、B23及び/又はAl23とか
    らなる非晶質の混合系であり、且つ上記(g)、(h)、(i)
    及び(j)の平均の元素組成が、Siが30〜80重量
    %、Cが15〜69重量%、Oが0.001〜25重量
    %である構造。
  6. 【請求項6】 上記セラミックスが、炭化物、窒化物、
    ホウ化物、ケイ化物及び酸化物からなる群より選択され
    る1種類以上であることを特徴とする請求項1記載の高
    温耐久性に優れたセラミックス基複合材料。
  7. 【請求項7】 上記界面層が、ZrSiO4を主成分と
    する結晶質または該結晶質からなる粒子の集合体である
    請求項1記載の高温耐久性に優れたセラミックス基複合
    材料。
  8. 【請求項8】 上記界面層の存在量が、セラミックス基
    複合材料全体に対して、0.05〜20vol%である
    請求項1記載の高温耐久性に優れたセラミックス基複合
    材料。
  9. 【請求項9】 上記界面層の厚さが10〜5000nm
    である請求項2記載の高温耐久性に優れたセラミックス
    基複合材料。
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