JP2000154064A - 導電性窒化ケイ素系焼結体及びその製造方法 - Google Patents

導電性窒化ケイ素系焼結体及びその製造方法

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JP2000154064A
JP2000154064A JP10326233A JP32623398A JP2000154064A JP 2000154064 A JP2000154064 A JP 2000154064A JP 10326233 A JP10326233 A JP 10326233A JP 32623398 A JP32623398 A JP 32623398A JP 2000154064 A JP2000154064 A JP 2000154064A
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discharge machining
silicon nitride
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average particle
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Takashi Matsuura
尚 松浦
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電加工が可能であり、放電加工による強度
の低下を防ぐと共に、放電加工面での摩擦及び摩耗の少
ない導電性Si34系焼結体を提供する。 【解決手段】 平均粒径200nm以下のSi34粒子
からなる母相中に平均粒径200nm以下のTiN粒子
が分散し、電気伝導率が100S/cm以上である。放
電加工後の曲げ強度が1GPa以上、放電加工面の摩擦
係数が0.3以下で、比摩耗量が10-8mm2/N以下で
ある。かかるSi34系焼結体は、平均粒径が100n
m以下の原料粉末からなる成形体を、窒素雰囲気中にお
いて1400〜1600℃の温度で焼結することにより
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車部品や耐摩
工具等に使用される構造用セラミックス材料として有用
であり、優れた機械的性質を有すると共に、放電加工可
能な導電性を示す窒化ケイ素系焼結体、及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素は、強度、破壊靭性値、耐食
性、耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐酸化性等においてバラン
スの取れた材料であるため、切削工具やエンジン部品等
の広い範囲で利用されている。特に最近では、自動車エ
ンジンやガスタービン等の構造用材料として注目を集め
ている。
【0003】しかしながら、窒化ケイ素系セラミックス
は難加工性であるため、複雑形状の部材を作製する場合
には非常にコスト高となり、これが窒化ケイ素系セラミ
ックスの利用を拡大する上で大きな障害となっていた。
このため、窒化ケイ素系セラミックスを低コストで加工
する方法の研究が進められており、その一つの方法とし
て、主として金属の加工に用いられている放電加工法を
応用することが検討されている。
【0004】放電加工を行うには、その材料がある程度
の導電性を有することが必要であるが、窒化ケイ素系セ
ラミックスは絶縁材料である。そこで、窒化ケイ素系セ
ラミックスに対して、放電加工が可能な程度の導電性を
付与するための研究が鋭意行われている。例えば、特開
平10−95674号公報には、絶縁性の窒化ケイ素粒
子群と導電性の窒化チタン粒子群とからなる導電性の窒
化ケイ素系焼結体が記載されている。また、窒化ケイ素
粒子の表面を導電性粒子でコートし、これを焼結する方
法も知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の導電性
窒化ケイ素系焼結体は、窒化ケイ素等の粒子が粗大であ
るため、放電加工を施した場合に、放電加工面に数μm
〜数10μmの凹凸が生じ、この凹凸を起点としてセラ
ミックスが破壊するため、強度が著しく低下するという
欠点があった。また、このような凹凸が表面に存在する
ことにより、放電加工面での摩擦や摩耗が顕著になると
いう欠点があった。
【0006】このような放電加工によって生じる凹凸を
除去するためには、放電加工面を更に研削する方法が最
も簡便であるが、複雑な形状を有する部材の作製には適
用できない。また、特開昭62−36092号公報に記
載されるように、放電加工面をエッチング剤を用いた化
学処理により平滑化する方法も知られているが、プロセ
スが複雑になるためコスト高になるという問題があっ
た。
【0007】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであって、放電加工に伴う加工表面の凹凸
の発生を抑制し、強度の低下を防ぐと共に、放電加工面
での摩擦及び摩耗の少ない導電性窒化ケイ素系焼結体、
及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の窒化ケイ素系焼結体は、平均粒径200n
m以下の窒化ケイ素粒子からなる母相中に平均粒径20
0nm以下の窒化チタン粒子が分散し、電気伝導率が1
00S/cm以上であることを特徴とする。
【0009】本発明の導電性窒化ケイ素系焼結体におい
ては、窒化チタン粒子の分散量が50体積%以下である
ことが好ましい。また、本発明の導電性窒化ケイ素系焼
結体においては、放電加工後の曲げ強度が1GPa以
上、放電加工面の比摩耗量が10-8mm2/N以下、放
電加工面の摩擦係数が0.3以下であることが好まし
い。
【0010】また、本発明の導電性窒化ケイ素系焼結体
の製造方法は、平均粒径がいずれも100nm以下の窒
化ケイ素粉末、窒化チタン粉末及び焼結助剤粉末からな
る成形体を、窒素雰囲気中において1400〜1600
℃の温度で焼結することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の窒化ケイ素系焼結体は、
平均粒径が200nm以下の結晶粒で構成される窒化ケ
イ素(Si34)の母相中に平均粒径が200nm以下
の窒化チタン(TiN)粒子が分散し、これらのTiN
粒子がネットワーク化した構造を有することにより、放
電加工が可能となる100S/cm以上の電気伝導率を
有している。また同時に、このような導電性を有する微
細な組織が実現されることにより、放電加工時に生じる
表面の凹凸が減少し、その結果放電加工による強度の低
下が抑制され、放電加工面の摩擦係数が小さく、且つ摩
耗量を少なくすることが可能となる。
【0012】焼結体中の窒化チタン粒子の分散量として
は、上記の曲げ強度レベルを安定して得ると共に、摩擦
−摩耗特性を低下させないためには、50体積%以下と
することが望ましい。また、上記した電気伝導率レベル
が安定して得られ、放電加工の能率を下げないために
は、30体積%以上とすることが望ましい。
【0013】本発明の導電性窒化ケイ素系焼結体を製造
する場合、Si34粉末、TiN粉末、及び焼結助剤粉
末の平均粒径をいずれも100nm以下とし、これらの
粉末からなる成形体を1400〜1600℃の範囲の温
度で焼結する。焼結温度が1400℃未満では十分緻密
な焼結体が得られず、また焼結温度が1600℃を越え
ると粒成長が発生し、Si34等の平均粒径が200n
mを越えてしまう。焼結体中のSi34等の平均粒径が
200nmを越えると、放電加工後の強度低下が著し
く、また放電加工面の摩擦や摩耗が大きくなる。
【0014】尚、本発明方法で用いる平均粒径100n
m以下の粉末は、CVD法等で作製することができる。
また、その成形体の作製は、100nm以下のSi34
粉末とTiN粉末及び焼結助剤粉末を混合後、プレスに
より成形する方法が一般的であるが、公知のレーザーア
ブレーション法等によりチャンバー内で粉末の合成と成
形を同時に行うことも可能である。
【0015】
【実施例】実施例1 CVD法により、平均粒径10nmのSi34粉末、及
び平均粒径20nmのTiN粉末を作製した。また、市
販の平均粒径20nmのY23粉末と、平均粒径30n
mのAl23粉末を用意した。これらの各粉末を、Si
34粉末62体積%に対して、TiN粉末を31体積
%、Y23粉末を5体積%、及びAl23粉末を2体積
%の割合で添加し、樹脂性のポットとアルミナボールを
用いてアルコール中で24時間の混合を行った。得られ
た混合粉末を、200kg/mm2の圧力で45mm角
×10mm厚にプレス成形した後、ホットプレス法によ
り窒素雰囲気中において30MPaの機械的な加圧下
に、1600℃×2時間の条件で焼結した。
【0016】得られたSi34系焼結体を研磨した後、
Arイオンエッチングで薄膜試片を作製し、透過型電子
顕微鏡を用いて母相のSi34粒子及び分散粒子である
TiN粒子の平均粒径をそれぞれ評価したところ、Si
34粒子の平均粒径は100nm及びTiN粒子の平均
粒径は150nmと非常に微細であった。尚、粉末並び
に焼結体中のSi34粒子及びTiN粒子の平均粒径
は、5000倍の透過型電子顕微鏡写真の視野中にラン
ダムな直線を引き、その直線によって切られるそれぞれ
の粒子長さを全て計測し、これらを算術平均して求め
た。
【0017】上記Si34系焼結体からワイヤカット方
式の放電加工により、3×4×40mmの試験片を20
本切り出し、JIS R 1601に準拠して3点曲げ強
度を測定した。また、同様に放電加工後、その放電加工
面を#800のダイヤモンド砥石により研削加工仕上げ
した試験片20本についても、同様に3点曲げ強度を測
定した。その結果、放電加工した試験片の3点曲げ強度
は平均1.2GPaであり、放電加工後に研削加工仕上
げした試験片の3点曲げ強度は平均1.5GPaであっ
た。尚、放電加工によらず、通常の切削加工で作製した
試験片の3点曲げ強度は0.9GPaであった。
【0018】また、上記Si34系焼結体の電気伝導率
は、上記3点曲げ試験と同じ試験片を用い、JIS H
0505に準拠して体積抵抗率を測定し、ホットプレス
軸に直角方向の抵抗値の逆数として求めた。その結果、
得られたSi34系焼結体の電気伝導率は200S/c
mであった。
【0019】更に、Si34系焼結体の摺動特性を評価
するため、焼結体からワイヤーカット方式の放電加工に
より切り出した直径10mm×厚み3mmのディスク
と、同様に放電加工後、#800のダイヤモンド砥石に
より摺動面を研削加工仕上げを行った同じ寸法のディス
クを、それぞれ10枚作製した。摺動特性の評価は、上
記のディスクを180Hzの周期で回転させ、そのディ
スクの回転中心から2mmの位置に市販の直径6mmの
Si34ボールを2Nの荷重で押し付け、回転中の摩擦
荷重の計測を行うと共に、1時間摺動させた後のディス
クに生じた摩耗痕の体積を表面荒さ計を用いて測定する
ことにより、摩擦係数及び比摩耗量を算出した。
【0020】その結果、単に放電加工のみで作製したデ
ィスクの摩擦係数は0.25、比摩耗量は6×10-9
2/Nであった。一方、放電加工後に研削加工仕上げ
したディスクの摩擦係数は0.20、比摩耗量は4×1
-9mm2/Nであり、両試料の評価結果に殆ど違いは
無かった。また、放電加工で作製しただけのディスクの
表面粗さはRmaxで0.5μm、放電加工した後に研削加
工仕上したディスクの表面粗さはRmaxで0.3μmであ
った。
【0021】比較例として、上記と同様な条件で作製し
た成形体を、常圧の窒素雰囲気中において1700℃×
2時間の条件で焼結した。得られたSi34系焼結体中
のSi34粒子は平均粒径300nm、及びTiN粒子
は平均粒径400nmまで粒成長していた。
【0022】この比較例のSi34系焼結体について、
上記と同様に、ワイヤーカット方式の放電加工のみを行
った試験片と、放電加工後に研削加工した試験片とで3
点曲げ強度を評価した結果、放電加工のみの試験片の3
点曲げ強度は平均0.8GPaであり、放電加工後に研
削加工仕上げした試験片の3点曲げ強度は平均1.4G
Paであった。また、上記と同様に測定した焼結体の電
気伝導率は200S/cmであった。
【0023】また、この比較例の焼結体について、上記
と同様に摺動特性を評価した結果、放電加工のみのディ
スクの摩擦係数は0.40、比摩耗量は3×10-8mm2
/Nであるのに対し、放電加工後に研削加工仕上げした
ディスクの摩擦係数は0.20、比摩耗量は4×10-9
mm2/Nであった。尚、放電加工のみのディスクの表
面粗さはRmaxで8.5μm、放電加工後に研削加工仕上
したディスクの表面粗さはRmaxで0.3μmであった。
【0024】更に、別の比較例として、CVD法で作製
した平均粒径130nmのSi34粉末と平均粒径14
0nmのTiN粉末を用いた以外、焼結助剤のY23
末とAl23粉末並びに他の条件は上記実施例1と同様
にして、Si34系焼結体を製造した。
【0025】得られたSi34系焼結体について、上記
と同様に、母相のSi34粒子及び分散粒子のTiN粒
子の平均粒径をそれぞれ評価したところ、Si34粒子
は250nm、及びTiN粒子は300nmであった。
尚、この焼結体の電気伝導率は200S/cmであっ
た。また、このSi34系焼結体について、実施例1と
同様に3点曲げ強度を評価した結果、放電加工のみの試
験片の3点曲げ強度は平均0.8GPaであり、放電加
工後に研削加工仕上げした試料の3点曲げ強度は平均
1.5GPaであった。
【0026】更に、実施例1と同様な評価条件により摺
動特性を評価した結果、放電加工によるディスクの摩擦
係数は0.45、比摩耗量は4×10-8mm2/Nであっ
た。一方、放電加工後に研削加工仕上げしたディスクの
摩擦係数は0.20、比摩耗量は4×10-9mm2/Nで
あった。尚、放電加工のみのディスクの表面粗さはRma
xで1.5μm、放電加工後に研削加工仕上したディスク
の表面粗さはRmaxで0.3μmであった。
【0027】これらの結果から、本発明のSi34系焼
結体は、優れた導電性を有すると同時に、放電加工後の
3点曲げ強度が十分に高く、研削加工仕上げなしの放電
加工のみで平滑な加工表面が得られ、摩擦係数及び比摩
耗量も小さいことが分かる。一方、Si34粒子等の粒
径が大きな各比較例のSi34係焼結体は、放電加工の
みでは、強度の低下が著しく、且つ表面も粗面であっ
て、摩擦係数及び比摩耗量が大きい。
【0028】実施例2 実施例1と同様に作製した成形体(Si34粉末とTi
N粉末の割合は変化させた)を、下記表1に示す120
0〜1700℃の各温度でそれぞれ1時間焼結した。得
られた各Si34系焼結体について、実施例1と同様に
して、焼結体中のSi34粒子とTiN粒子の平均粒
径、焼結体の電気伝導率、及び相対密度を評価し、その
結果を下記表1に併せて示した。尚、表1には焼結体中
のTiN粒子の分散量も示したが、TiNは焼結中に分
解しないため、焼結体中のTiN分散量は添加量にほぼ
等しい。
【0029】
【表1】 焼結温度 平均粒径(nm) TiN分散量 電気伝導率 相対密度試料 (℃) Si3N4 TiN (vol%) (S/cm) (%) 1* 1200 40 70 45 60 80 2* 1300 50 100 50 90 95 3 1400 150 120 50 200 100 4 1500 170 140 47 180 100 5 1500 170 140 50 200 100 6 1600 190 160 50 200 100 7 1600 190 160 60 250 100 8* 1650 250 220 50 200 100 9* 1700 300 250 50 200 100 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0030】次に、上記各試料のSi34系焼結体を、
実施例1と同様に、放電加工により試験片及びディスク
を切り出し、放電加工面の最大表面粗さRmaxを測定す
ると共に、各試験片の3点曲げ強度、各ディスクの比摩
耗量及び摩擦係数を、それぞれ実施例1と同様に評価し
た。得られた結果を下記表2に示した。尚、3点曲げ強
度、比摩耗量、摩擦係数については、放電加工のみの場
合と、放電加工後に研削加工した場合の両方について評
価した。
【0031】
【表2】 Rmax 3点曲げ強度(GPa) 比摩耗量(×10-9mm2/N) 摩擦係数 試料 (μm) 放 電 放電+研削 放 電 放電+研削 放 電 放電+研削 1* − − − 放 電 加 工 不 可 能 − − 2* − − − 放 電 加 工 不 可 能 − − 3 0.4 1.3 1.5 5 4 0.20 0.18 4 0.8 1.2 1.4 6 4 0.22 0.20 5 0.8 1.2 1.4 6 4 0.22 0.20 6 0.5 1.1 1.3 7 5 0.25 0.23 7 1.0 1.0 1.3 10 7 0.30 0.25 8* 1.5 0.6 1.2 20 8 0.45 0.30 9* 15 0.6 1.2 70 20 0.45 0.30 (注)表中の*を付した思料は比較例である。
【0032】上記の結果から分かるように、比較例の試
料1と2は焼結温度が低いため緻密化が不十分であり、
比較例の試料8と9は焼結温度が高いためSi34やT
iNが大きく粒成長している。その結果、試料1と2で
は電気伝導率が低く、放電加工が不可能であり、また試
料8と9は放電加工面の表面粗さが大きくなり、放電加
工後の3点曲げ強度や摩擦−摩耗特性の低下が激しく、
最終的に研削加工しなければ満足すべき特性が得られな
い。
【0033】一方、本発明の試料3〜7は、焼結温度が
適切であるため粒成長がなく、優れた電気伝導率を有す
ると共に、放電加工のみで平滑な表面が得られ、しかも
放電加工後の3点曲げ強度や摩擦−摩耗特性にも優れて
いる。尚、試料7は本発明の他の試料に比べてTiN分
散量が多いため、電気導電率が高くなる反面、放電加工
後の3点曲げ強度や摩擦−摩耗特性の値が若干低くなっ
ている。また、試料7と同じ組成で1500℃、1時間
の条件で焼結したものでも、同様の傾向が見られた。
【0034】実施例3 この実施例では、レーザーアブレーション法により成形
体を作製した。即ち、平均粒径0.5μmのSi34
末50体積%に対して、TiN粉末を43体積%、Y2
3粉末を5体積%、及びAl23粉末を2体積%の割
合で添加し、直径10cm×厚さ20mmの円盤状に成
形した後、1気圧の窒素雰囲気中にて1700℃で焼結
した。得られた焼結体から、レーザーアブレーションの
ターゲットを作製した。
【0035】このターゲットを真空チャンバー内にセッ
トし、10-6Torrまで真空引きした後、窒素ガスを
充填し、エキシマーレーザーをターゲットに照射するこ
とにより、ターゲットより飛び出した粒子をSiO2
板上に堆積させて、成形体を作製した。尚、エキシマレ
ーザーの照射条件は、レーザー波長が248nm(Kr
F)、ネネルギー密度が10J/cm、照射周波数が1
0Hz、及び照射時間が1時間とした。
【0036】このようにレーザーアブレイション法によ
り作製した成形体について、成形体を構成する各粒子の
構成及び平均粒径を透過型電子顕微鏡で評価したとこ
ろ、平均粒径20nmのSi34粒子、平均粒径30n
mのTiN粒子、平均粒径10nmのY23粒子、及び
平均粒径20nmのAl23粒子が、ターゲットと同じ
割合で存在していた。次に、このようにして得られた成
形体を、ホットプレス法により、窒素雰囲気中において
30MPaの機械的な加圧下に、1600℃×2時間の
条件で焼結した。
【0037】得られたSi34系焼結体を研磨した後、
Arイオンエッチングで薄膜試片を作製し、透過型電子
顕微鏡を用いて、母相のSi34粒子及び分散粒子のT
iN粒子の平均粒径をそれぞれ評価したところ、Si3
4粒子の平均粒径は100nm、TiN粒子の平均粒
径は150nmと非常に微細であった。また、この焼結
体の電気伝導度は150S/cmであった。
【0038】更に、この焼結体を実施例1と同様な条件
で放電加工し、実施例1と同様に、放電加工面の表面粗
さ、放電加工後の3点曲げ強度、摩擦−摩耗特性を評価
したところ、表面粗さはRmaxで0.2μm、3点曲げ強
度は1.3GPa、摩擦係数は0.1、及び比摩耗量は3
×10-9mm2/Nの良好な特性を示した。
【0039】実施例4 実施例1と同様に作製したn=20の成形体(TiNの
分散量25〜50体積%)を、1500℃の温度で1時
間焼結した。得られた各Si34系焼結体について、実
施例1と同様にして、Si34粒子とTiN粒子の平均
粒径、焼結体の電気伝導率及び相対密度を評価し、その
結果を下記表3に併せて示した。これらの各Si34
焼結体について、実施例1と同様にワイヤカット方式の
放電加工を行ったところ、TiNの分散量が30体積%
未満の試料10は、試料11及び12に比べて放電加工
の速度が低下した。
【0040】
【表3】 焼結温度 平均粒径(nm) TiN分散量 電気伝導率 相対密度試料 (℃) Si3N4 TiN (vol%) (S/cm) (%) 10 1500 140 170 25 110 100 11 1500 140 170 30 120 100 12 1500 140 170 40 150 100
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、放電加工したとき、加
工表面の凹凸の発生を抑制して平滑な加工面を得ること
ができ、しかも放電加工後においても強度の低下を防ぐ
ことができるうえ、放電加工面での摩擦及び摩耗の少な
い導電性窒化ケイ素系焼結体を提供することができる。
【0042】従って、本発明の導電性窒化ケイ素系焼結
体は、量産性に優れ且つ複雑形状にも適応できる放電加
工により加工することが可能であり、強度が高く且つ摩
擦−摩耗特性に優れた窒化ケイ素系セラミックス材料と
して、高い信頼性が要求される自動車のエンジン部品を
はじめ、ガスタービンや耐摩工具等の広い用途において
極めて有用である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径200nm以下の窒化ケイ素粒
    子からなる母相中に平均粒径200nm以下の窒化チタ
    ン粒子が分散し、電気伝導率が100S/cm以上であ
    ることを特徴とする導電性窒化ケイ素系焼結体。
  2. 【請求項2】 窒化チタン粒子の分散量が50体積%以
    下であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性窒
    化ケイ素系焼結体。
  3. 【請求項3】 放電加工後の曲げ強度が1GPa以上で
    あることを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性
    窒化ケイ素系焼結体。
  4. 【請求項4】 放電加工面の比摩耗量が10-8mm2
    N以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の導電性窒化ケイ素系焼結体。
  5. 【請求項5】 放電加工面の摩擦係数が0.3以下であ
    ることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の
    導電性窒化ケイ素系焼結体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかの導電性窒化ケ
    イ素系焼結体の製造方法であって、平均粒径がいずれも
    100nm以下の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末及び
    焼結助剤粉末からなる成形体を、窒素雰囲気中において
    1400〜1600℃の温度で焼結することを特徴とす
    る導電性窒化ケイ素系焼結体の製造方法。
JP10326233A 1998-11-17 1998-11-17 導電性窒化ケイ素系焼結体及びその製造方法 Pending JP2000154064A (ja)

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