JP2000153211A - スピンコーティング法、スピンコーティング装置、陰極線管の製造方法 - Google Patents

スピンコーティング法、スピンコーティング装置、陰極線管の製造方法

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JP2000153211A
JP2000153211A JP33065098A JP33065098A JP2000153211A JP 2000153211 A JP2000153211 A JP 2000153211A JP 33065098 A JP33065098 A JP 33065098A JP 33065098 A JP33065098 A JP 33065098A JP 2000153211 A JP2000153211 A JP 2000153211A
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spin coating
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paint
airflow
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JP33065098A
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Masahiro Yamamura
昌大 山村
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Matsushita Electronics Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極線管のフェースパネルのような、四角形
またはそれに類似した形状の基板上に、基板全体にわた
って均一な膜を形成する。 【解決手段】 陰極線管1を回転させてフェースパネル
2上に塗料を塗布するスピンコーティング法において、
陰極線管1を回転させるとともに、フェースパネル2に
その中央部から外側に向かう気流12を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、四角形またはそれ
に類似した形状の基板上にスピンコーティング法により
膜を形成する方法に関し、特に陰極線管や液晶ディスプ
レイ、PDPなどの画像表示装置の膜形成方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】陰極線管等の画像表示装置において、フ
ェースパネル表面の帯電を防止したり、フェースパネル
表面での外光の反射を低減させたりする目的で、フェー
スパネル表面にスピンコーティング法により、帯電防止
膜や反射防止膜を形成することが一般的に行われてい
る。
【0003】このような膜をフェースパネル表面に形成
するには、図7に示すようなスピンコーティング装置が
用いられる。以下、膜の形成方法について説明する。
【0004】帯電防止膜の場合には、回転支持台9に設
置した陰極線管1を回転させながら、ATO(アンチモ
ンをドープした酸化錫)やITO(錫をドープした酸化
インジウム)などの導電性微粒子とバインダーとなるア
ルキルシリケートの加水分解重合体(シリカゾル)をア
ルコールなどの有機溶剤に分散させた塗料を、塗料供給
装置10よりフェースパネル2の表面に供給し、遠心力
によりフェースパネル2全面に行き渡らせる。塗料は所
望の特性が得られるよう、あらかじめ固形分や溶剤の組
成を調整しておく必要がある。こうして形成した膜を、
その後所定の温度にて焼成することで、所望の特性をも
つ帯電防止膜が得られる。表示画像のコントラストを高
める目的で、前記塗料中に染料や顔料を混合分散させる
こともある。
【0005】反射防止膜の場合も同様に、回転支持台9
に設置した陰極線管1を回転させながら、ATO(アン
チモンをドープした酸化錫)やITO(錫をドープした
酸化インジウム)などの導電性微粒子とバインダーとな
るアルキルシリケートの加水分解重合体(シリカゾル)
をアルコールなどの有機溶剤に分散させた塗料を、塗料
供給装置10よりフェースパネル2の表面に供給して塗
布する。塗料中にシリカゾルを混合しない場合もある。
こうして形成した第一の層を乾燥させた後、さらに陰極
線管1を回転させながら、シリカゾルをアルコールなど
の有機溶剤に分散させた塗料を、塗料供給装置10より
フェースパネル2の表面に塗布して、第二の層を形成す
る。その後所定の温度にて焼成を行うが、焼成した後に
導電性を持つ第一の層がフェースパネル2よりも屈折率
が高く、シリカよりなる第二の層がフェースパネル2よ
りも屈折率が低く、なおかつ、それぞれの層の光学膜厚
が、反射を低減したい光の波長(通常は560〔n
m〕)の1/4になるように、あらかじめ塗料中の固形
分や溶剤の組成を調整したり、スピンコーティング条件
や焼成条件を調整することが必要である。このようにす
れば、所望の特性をもつ帯電防止機能付き反射防止膜が
得られる。また、表示画像のコントラストを高める目的
で、前記塗料中に染料や顔料を混合分散させることもあ
る。
【0006】さらに第二の層の上に、外観品位を改良し
たり強度を向上させたりする目的で、シリカゾルをアル
コールなどの有機溶剤に分散させた塗料を用いて、スプ
レーコーティング法により第三の層を形成することもあ
る。
【0007】また、場合によってはCVD法やスパッタ
リング法によってITOやATOからなる導電性を持つ
第一の層を形成した後、スピンコーティング法により第
二の層を形成するなど、さまざまな方法が実施されてい
る。
【0008】いずれにしてもスピンコーティング法は装
置も簡単であり、安価に製造が可能なので、陰極線管等
の画像表示装置に対して広く使用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】陰極線管等の画像表示
装置のフェースパネル表面にスピンコーティング法によ
り、帯電防止膜や反射防止膜を形成する場合には、通常
画像表示装置のフェースパネルは四角形またはそれに類
似した形状をしているため、以下のような問題が発生す
る。
【0010】図8に示すように、フェースパネル2の四
隅部(コーナー部)はスピンコーティング中に他の部分
よりも大きな空気抵抗7を受けるため、その部分の膜厚
が厚くなり、コーナームラ5が発生する。コーナームラ
5は正常部と反射色が異なるため、目視においても容易
に識別できる。これは外観品位を著しく損なうばかりで
なく、この部分においては所望の帯電防止効果や反射防
止効果が得られないなど、特性面においても正常な部分
よりも劣ることがあるため、望ましいものではない。
【0011】この問題を解決する目的で、図9および図
10で示すように、フェースパネル2のコーナー部を風
よけ板4で保護して、フェースパネル2のコーナー部が
受ける空気抵抗7を小さくする方法が提案されている。
このような方法はコーナームラ5の発生を抑えることに
関しては効果的ではあるが、風よけ板4に当たってはね
返った塗料が再びフェースパネル2に付着して、シミ状
の欠点が発生したり、風よけ板4に塗料が付着し、これ
が乾燥すると粉塵の発生源となり、生産性低下の原因と
なったりするという問題がある。
【0012】このため、特開平7−240147号公報
では、風よけ板4を上下に駆動させ、塗料供給時には風
よけ板4をフェースパネル2の表面よりも下部に設置
し、塗料供給後に風よけ板4を上昇させ所望の効果の得
られる位置に設置し、なおかつ風よけ板4の駆動時にス
ポンジ(図示せず)により塗料を拭き取ることにより、
風よけ板4に塗料が付着しにくいという方法が提案され
ている。
【0013】しかしながら、この方法においては、塗料
のはね返りに起因するシミ状の欠点を防ぐことには効果
が得られるが、風よけ板4に塗料が付着することを完全
に防ぐことは不可能であり、スポンジで拭き取った塗料
がやがて乾燥して、そこから粉塵が発生するという同様
の問題がある。また、フェースパネル2の近傍に駆動部
分があると、それが粉塵等の発生原因となりやすいの
で、生産性を考慮した場合、必ずしも有効な方法ではな
い。
【0014】本発明は上記の課題を解決するためになさ
れたものであり、スピンコーティング法により、生産性
を低下させることなく、フェースパネル表面全体にわた
って均一な膜を形成する方法、および製造装置を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のスピンコーティ
ング法は、基板を回転させて前記基板上に塗料を塗布す
るスピンコーティング法において、前記基板を回転させ
るとともに、前記基板の塗料塗布面にその中央部から外
側に向かう気流を発生させるものである(請求項1)。
この方法によれば、基板の回転による気流と、基板の中
央部から外側に向かう気流との合成された気流が基板の
角部に生じるので、基板角部に塗布ムラが生じにくい。
また、風よけ板を設置する必要もない。
【0016】また、請求項1に記載のスピンコーティン
グ法において、前記基板を外囲器で囲み、前記外囲器
の、前記基板の塗料塗布面と対向する側以外の壁面に設
けた排気用開口から前記外囲器の内部を排気することに
より、前記外囲器の前記基板と対向する側から風を取り
入れ、前記塗料塗布面にその中央部から外側に向かう気
流を発生させるものである(請求項2)。この方法によ
れば、基板の塗料塗布面にその中央部から外側に向かう
気流を容易に発生させることができる。
【0017】また、請求項1に記載のスピンコーティン
グ法において、前記基板を外囲器で囲むとともに、前記
外囲器の、前記塗料塗布面側を蓋で覆い、前記蓋に設け
た送風用開口から前記外囲器の内部に風を送り込むこと
により、前記塗料塗布面にその中央部から外側に向かう
気流を発生させるものである(請求項3)。この方法に
よれば、基板の塗料塗布面にその中央部から外側に向か
う気流を容易に発生させることができる。
【0018】また、請求項1に記載のスピンコーティン
グ法において、前記基板は四角形であり、前記基板の角
部における中央から外側に向かう気流の速度をVaと
し、前記基板角部の回転速度をVbとしたときに、 Va/Vb≧C (ただし、Cは定数) の関係を満たすものである(請求項4)。この方法によ
れば、基板の回転数等を変えても、好ましい気流の速度
を容易に決定することができる。
【0019】また、請求項4に記載のスピンコーティン
グ法において、前記基板の長辺と短辺の比が4:3であ
り、 Va/Vb≧0.7 の関係を満たすことが好ましい(請求項5)。
【0020】また、請求項4に記載のスピンコーティン
グ法において、前記基板の長辺と短辺の比が16:9で
あり、 Va/Vb≧0.9 の関係を満たすことが好ましい(請求項6)。
【0021】また、請求項4に記載のスピンコーティン
グ法において、前記基板は長辺の長さがA、短辺の長さ
がBの四角形であり、前記基板の角部における中央から
外側に向かう気流の速度をVaとし、前記基板角部の回
転速度をVbとしたときに、 Va/Vb≧0.5×A/B の関係を満たすものである(請求項7)。この方法によ
れば、基板の形が変わっても、好ましい気流の速度Va
を容易に決定することができる。
【0022】また、本発明のスピンコーティング装置
は、基板を支持・回転させる回転支持台と、前記基板上
に塗料を供給する塗料供給装置と、前記基板上にその中
央部から外側に向かう気流を発生させる気流発生装置と
を備えることを特徴とする(請求項8)。この装置によ
れば、基板の塗料塗布面にその中央部から外側に向かう
気流を容易に発生させることができる。
【0023】また、請求項8に記載のスピンコーティン
グ装置において、前記基板を囲む外囲器と、前記外囲器
の前記基板の塗料塗布面と対向する側以外の壁面に設け
られた排気用開口から前記外囲器の内部を排気する排気
装置とを備え、前記外囲器の前記塗料塗布面と対向する
側から風を取り入れ、前記基板上にその中央部から外側
に向かう気流を発生させるものである(請求項9)。こ
の装置によれば、基板の塗料塗布面にその中央部から外
側に向かう気流を容易に発生させることができる。
【0024】また、請求項9に記載のスピンコーティン
グ装置において、前記排気用開口が、前記塗料塗布面の
裏面側の壁面に設けられることが好ましい(請求項1
0)。この装置によれば、基板の塗料塗布面にその中央
部から外側に向かう気流を容易に発生させることができ
る。
【0025】また、請求項9に記載のスピンコーティン
グ装置において、前記排気用開口が、前記塗料塗布面の
側面側で、かつ、前記塗料塗布面よりも裏面寄りに設け
られることが好ましい(請求項11)。この装置によれ
ば、基板の塗料塗布面にその中央部から外側に向かう気
流を容易に発生させることができる。
【0026】また、請求項8に記載のスピンコーティン
グ装置において、前記基板を囲む外囲器と、前記外囲器
の前記塗料塗布面に対向する側を覆う蓋と、前記蓋に設
けた送風用開口から前記外囲器の内部に風を送り込む送
風装置とを備え、前記塗料塗布面にその中央部から外側
に向かう気流を発生させることが好ましい(請求項1
2)。この装置によれば、基板の塗料塗布面にその中央
部から外側に向かう気流を容易に発生させることができ
る。
【0027】また、請求項12に記載のスピンコーティ
ング装置において、前記送風用開口は、前記塗料塗布面
の最大径よりも小さい径を有し、かつ、前記塗料塗布面
のほぼ中央部に配置されているものである(請求項1
3)。この装置によれば、フェースパネルの表面に発生
する中央から外側へと向かう気流の速度が大きくなるの
で、より小さい排気能力の排気装置を使用することが可
能になる。
【0028】また、本発明の陰極線管の製造方法は、前
面パネルの外表面に帯電防止膜や反射防止膜等の膜が形
成された陰極線管の製造方法であって、前記フェースパ
ネルを回転させて前記フェースパネル外表面に塗料を塗
布する際に、前記フェースパネルを回転させるととも
に、前記フェースパネルの塗料塗布面にその中央部から
外側に向かう気流を発生させるものである(請求項1
4)。この方法により、陰極線管の表面処理膜を容易に
塗布ムラなく形成することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1および図2
は、本発明のスピンコーティング装置を示したものであ
る。スピンコーティング装置は、円筒状の壁8(外囲器
に相当)と、陰極線管1を支持しこれを回転させる回転
支持台9と、陰極線管1のフェースパネル2の上部に設
置された塗料供給装置10からなる。またこの装置の底
面部には排気用開口11が設けられており、これは送風
ファン等の排気装置(図示せず)に接続されている。排
気用開口11は、底面に同心円状に設けられるか、また
は所定の間隔を置いて複数個が設けられる。
【0030】スピンコーティング装置の回転支持台9に
陰極線管1を設置し、排気装置を稼動させると、円筒壁
8内に上から下に向かう気流12が発生する。この気流
12は陰極線管1によって直進することを妨げられるの
で、陰極線管1の周囲ではこれに沿った向きの気流とな
る。したがって、図2に示すようにフェースパネル2の
表面(塗料塗布面)には、自ずと中央から外側へと向か
う気流12が発生する。ここで、フェースパネル2のコ
ーナー部におけるこの気流12の速度をVaと表わすこ
ととする。
【0031】回転支持台9を回転させると陰極線管1が
回転するが、このときのフェースパネル2のコーナー部
の回転速度をVbとする。フェースパネル2のコーナー
部は、この回転に伴う空気抵抗7を受ける。当然のこと
ながら、この空気抵抗7は回転速度Vbの大きさに依存
する。
【0032】このような状態で、ATO(アンチモンを
ドープした酸化錫)の微粒子とバインダーとなるアルキ
ルシリケートの加水分解重合体(シリカゾル)をエタノ
ールを主成分とする有機溶剤に分散させた塗料を、塗料
供給装置10よりフェースパネル2の表面に供給する。
こうして形成した第一の層を乾燥させた後、さらに陰極
線管1を回転させながら、シリカゾルをアルコールなど
の有機溶剤に分散させた塗料を、塗料供給装置10より
フェースパネル2の表面に塗布して、第二の層を形成す
る。その後焼成を行うと、帯電防止機能付き反射防止膜
が得られる。
【0033】なお、所望の特性が得られるように、塗料
の組成や焼成条件などを調整する。また、塗料の乾燥を
速めるために、あらかじめフェースパネル2の表面を加
熱しておいてもよい。
【0034】このような方法および装置を用いて、4:
3型陰極線管(長辺長:短辺長=4:3)のフェースパ
ネル2表面に、二層からなる帯電防止機能付き反射防止
膜を形成する際に、スピンコーティング装置の下部から
の排気の強さと、陰極線管1の回転数(回転速度)を幾
通りにも変化させて、このとき発生するコーナームラの
発生具合を調べた。その結果、気流12の速度Vaおよ
びフェースパネル2のコーナー部の回転速度Vbとコー
ナームラの発生との間に、一定の関係があることがわか
った。
【0035】図3は、回転速度Vbを横軸に、気流12
の風速Vaを縦軸にとり、それぞれの回転速度Vbにお
けるコーナームラが発生しない最小の風速を示したもの
である。図3中の直線aよりも左上の領域では、コーナ
ームラが発生せず、直線aよりも右下の領域ではコーナ
ームラが発生することを示している。すなわち、フェー
スパネル2のコーナー部における中央部から外側部へと
向かう気流12の速度Vaが、スピンコーティング時に
おけるフェースパネル2のコーナー部における回転速度
Vbの0.7倍以上であれば、コーナームラが発生しな
い。
【0036】同様の実験を16:9型陰極線管(長辺
長:短辺長=16:9)を用いて実施したところ、図3
中の直線bで示すように、フェースパネルのコーナー部
における中央部から外側部へと向かう気流12の速度V
aが、スピンコーティング時におけるフェースパネル2
のコーナー部における回転速度Vbの0.9倍以上であ
れば、コーナームラが発生しないことが明らかになっ
た。
【0037】したがって、4:3型陰極線管の場合にお
いてコーナームラが発生しない条件は、 Va/Vb≧0.7 で表わされ、16:9型陰極線管の場合では、 Va/Vb≧0.9 の条件を満たすとき、コーナームラは発生しない。
【0038】4:3型陰極線管と16:9型陰極線管
で、上記条件式が異なるのは、これらの間で長辺長と短
辺長の比が異なるからである。すなわち、長辺の長さを
A、短辺の長さをBとしとき、4:3型陰極線管では、 A/B≒1.3 となるのに対して、16:9型陰極線管では、 A/B≒1.8 となる。4:3型陰極線管と16:9型陰極線管におけ
る、コーナームラが発生しない上記条件式の右辺の値の
差違は、上記A/Bの差違にほかならない。
【0039】このことを考慮して実験より導かれた条件
式をまとめると、コーナームラが発生しない条件は、い
ずれの場合においても Va/Vb≧0.5×A/B で表わすことができる。
【0040】このような関係が成り立つのは、以下の理
由によるものと考えられる。図4(a)に示すように、
中央から外部への気流を発生させないとき、スピンコー
ティング中にフェースパネル2のコーナー部は回転に伴
う空気抵抗7を受ける。このときスピンコーティング時
の塗料の流れ方や乾燥の仕方が、この空気抵抗7の影響
を受けることにより、この部分が厚膜化しコーナームラ
が発生する。
【0041】図4(b)に示すように、スピンコーティ
ング時に中央から外側に向かう気流12を発生させる
と、フェースパネル2のコーナー部が受ける気流13
は、中央から外側に向かう気流12と、回転に伴う空気
抵抗7のベクトル和で表わすことができる。図4(c)
に示すように、中央から外側に向かう気流12の大きさ
が大きくなるか、あるいは空気抵抗7の大きさが小さく
なるほど、フェースパネル2のコーナー部が受ける気流
13は、フェースパネル2の回転の法線方向へと向いて
いく。このような気流は塗料の流れの妨げにはならない
ので、コーナームラの発生要因にはならない。
【0042】図4(b)のように気流13の向きがフェ
ースパネル2の辺と平行となる条件を考察してみると、
図4(b)において空気抵抗7を表わすベクトルと、気
流12を表わすベクトルを、それぞれ四角形の短辺、長
辺とみなしたとき、その四角形がフェースパネル2と相
似形となる場合である。
【0043】このようなことから、本発明の関係式が、
気流の大きさ、基板の回転速度、基板の寸法の関係式に
なっていることが説明できるものと考える。
【0044】本発明を、対角寸法44〔cm〕の4:3
型陰極線管に適用する場合の一例を示す。排気能力が8
〔m3/min〕の排気装置を使う場合において、排気
用開口11の開口面積は500〔cm2〕程度が好まし
い。また、フェースパネルの回転数は100〔rpm〕
程度が好ましく、このときコーナー部の回転速度Vbが
約2.3〔m/sec〕、気流の速度Vaが約1.8
〔m/sec〕になる。
【0045】(実施の形態2)実施の形態1ではスピン
コーティング装置の底面部に排気装置に接続された排気
用開口を設けたが、本実施の形態では図5に示すよう
に、フェースパネル2とほぼ同じ高さの位置の壁面に排
気用開口11を設けている。この排気用開口11から排
気装置(図示せず)によって壁面内部を排気することに
より、フェースパネル2の表面に中央から外側へと向か
う気流12を発生させることができる。
【0046】排気用開口11は、側面に帯状に設けられ
るか、または所定の間隔を置いて複数個が設けられる。
対角寸法40〔cm〕の16:9型陰極線管に適用する
場合の一例を示す。排気用開口の位置は、フェースパネ
ル2のコーナー部を基準として5〔cm〕下の位置に、
幅3〔cm〕、開口面積500〔cm2〕で設けるのが
好ましい。また、排気装置の排気能力は8〔m3/mi
n〕、フェースパネルの回転数は100〔rpm〕であ
り、このときコーナー部の回転速度Vbが約2.1〔m
/sec〕、気流の速度Vaが約2.0〔m/sec〕
になる。
【0047】なお、排気用開口11は、上記実施例より
もさらに下側の壁面に設けてもよい。また、回転支持台
9に排気用開口11を設けてもよい。
【0048】(実施の形態3)図6で示すようにスピン
コーティング装置の円筒壁8上に、中央部分に送風用開
口15を設けた上蓋14を設置した。このような装置を
用いると、実施の形態1と同じ排気量であっても、フェ
ースパネル2の表面に発生する中央から外側へと向かう
気流の速度Vaは、実施の形態1の場合よりも速くな
る。したがって本発明の効果をより効率よく得ることが
できる。
【0049】対角寸法44〔cm〕の4:3型陰極線管
に適用する場合の一例を示す。送風用開口は直径30
〔cm〕の円とする。また、排気装置の排気能力は4
〔m3/min〕、フェースパネルの回転数は120
〔rpm〕であり、このときコーナー部の回転速度Vb
が約2.8〔m/sec〕、気流の速度Vaが約2.2
〔m/sec〕になる。
【0050】なお、実施の形態2に対しても、中央部分
に送風用開口15を設けた上蓋14を設置すれば同様の
効果が得られる。
【0051】以上、本発明について陰極線管を例にとっ
て説明したが、陰極線管以外の液晶ディスプレイやPD
Pなどの画像表示装置、あるいはまた、スピンコーティ
ング法により、四角形またはそれに類似した形状の基板
上に膜を形成するもの全てについて幅広く適用できるこ
とを付け加えておく。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のスピンコ
ーティング法およびスピンコーティング装置によれば、
陰極線管のフェースパネルのような、四角形またはそれ
に類似した形状の基板上に、基板全体にわたって均一な
膜を形成することができる。また、本発明のスピンコー
ティング装置内には粉塵の発生源が存在しないので、生
産性を低下させることもなく、工業的にも有効な手段を
提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピンコーティング装置の側面図
【図2】同じく本発明のスピンコーティング装置の平面
【図3】コーナームラが発生しない基板の回転速度と風
速との関係を示す図
【図4】コーナームラの発生原理を説明する図
【図5】本発明のスピンコーティング装置の第2の実施
形態を示す側面図
【図6】本発明のスピンコーティング装置の第3の実施
形態を示す側面図
【図7】従来のスピンコーティング装置の側面図
【図8】コーナームラの説明図
【図9】従来の風よけ板を備えるスピンコーティング装
置の側面図
【図10】同じく風よけ板を備えるスピンコーティング
装置の上面図
【符号の説明】
1 陰極線管 2 フェースパネル 5 コーナームラ 6 基板の回転方向 7 空気抵抗 8 円筒状壁(外囲器) 9 回転支持台 10 塗料供給装置 11 排気用開口 12 気流 13 気流 14 上蓋 15 送風用開口

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板を回転させて前記基板上に塗料を塗
    布するスピンコーティング法において、前記基板を回転
    させるとともに、前記基板の塗料塗布面にその中央部か
    ら外側に向かう気流を発生させることを特徴とするスピ
    ンコーティング法。
  2. 【請求項2】 前記基板を外囲器で囲み、前記外囲器
    の、前記基板の塗料塗布面と対向する側以外の壁面に設
    けた排気用開口から前記外囲器の内部を排気することに
    より、前記外囲器の前記基板と対向する側から風を取り
    入れ、前記塗料塗布面にその中央部から外側に向かう気
    流を発生させるものである、請求項1に記載のスピンコ
    ーティング法。
  3. 【請求項3】 前記基板を外囲器で囲むとともに、前記
    外囲器の、前記塗料塗布面側を蓋で覆い、前記蓋に設け
    た送風用開口から前記外囲器の内部に風を送り込むこと
    により、前記塗料塗布面にその中央部から外側に向かう
    気流を発生させるものである、請求項1に記載のスピン
    コーティング法。
  4. 【請求項4】 前記基板は四角形であり、前記基板の角
    部における中央から外側に向かう気流の速度をVaと
    し、前記基板角部の回転速度をVbとしたときに、Va
    /Vb≧C (ただし、Cは定数)の関係を満たす、請
    求項1に記載のスピンコーティング法。
  5. 【請求項5】 前記基板の長辺と短辺の比が4:3であ
    り、 Va/Vb≧0.7 の関係を満たす、請求項4に記載のスピンコーティング
    法。
  6. 【請求項6】 前記基板の長辺と短辺の比が16:9で
    あり、 Va/Vb≧0.9 の関係を満たす、請求項4に記載のスピンコーティング
    法。
  7. 【請求項7】 前記基板は長辺の長さがA、短辺の長さ
    がBの四角形であり、前記基板の角部における中央から
    外側に向かう気流の速度をVaとし、前記基板角部の回
    転速度をVbとしたときに、 Va/Vb≧0.5×A/B の関係を満たす、請求項4に記載のスピンコーティング
    法。
  8. 【請求項8】 基板を支持・回転させる回転支持台と、
    前記基板上に塗料を供給する塗料供給装置と、前記基板
    上にその中央部から外側に向かう気流を発生させる気流
    発生装置とを備えることを特徴とするスピンコーティン
    グ装置。
  9. 【請求項9】 前記基板を囲む外囲器と、前記外囲器の
    前記基板の塗料塗布面と対向する側以外の壁面に設けら
    れた排気用開口から前記外囲器の内部を排気する排気装
    置とを備え、前記外囲器の前記塗料塗布面と対向する側
    から風を取り入れ、前記基板上にその中央部から外側に
    向かう気流を発生させるものである、請求項8に記載の
    スピンコーティング装置。
  10. 【請求項10】 前記排気用開口が、前記塗料塗布面の
    裏面側の壁面に設けられたものである、請求項9に記載
    のスピンコーティング装置。
  11. 【請求項11】 前記排気用開口が、前記塗料塗布面の
    側面側で、かつ、前記塗料塗布面よりも裏面寄りに設け
    られたものである、請求項9に記載のスピンコーティン
    グ装置。
  12. 【請求項12】 前記基板を囲む外囲器と、前記外囲器
    の前記塗料塗布面に対向する側を覆う蓋と、前記蓋に設
    けた送風用開口から前記外囲器の内部に風を送り込む送
    風装置とを備え、前記塗料塗布面にその中央部から外側
    に向かう気流を発生させるものである、請求項8に記載
    のスピンコーティング装置。
  13. 【請求項13】 前記送風用開口は、前記塗料塗布面の
    最大径よりも小さい径を有し、かつ、前記塗料塗布面の
    ほぼ中央部に配置されているものである、請求項12に
    記載のスピンコーティング装置。
  14. 【請求項14】 フェースパネルの外表面に帯電防止膜
    や反射防止膜等の膜が形成された陰極線管の製造方法で
    あって、 前記フェースパネルを回転させて前記フェースパネル外
    表面に塗料を塗布する際に、前記フェースパネルを回転
    させるとともに、前記フェースパネルの塗料塗布面にそ
    の中央部から外側に向かう気流を発生させることを特徴
    とする陰極線管の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011036847A (ja) * 2009-07-13 2011-02-24 Mitsubishi Rayon Co Ltd 塗膜形成法およびスピンコータ
CN102310029A (zh) * 2010-06-30 2012-01-11 国立成功大学 气压旋转式圆形工作件表面薄膜涂布方法、设备及喷头

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