JP2000149340A - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体およびその製造方法

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JP2000149340A
JP2000149340A JP10356480A JP35648098A JP2000149340A JP 2000149340 A JP2000149340 A JP 2000149340A JP 10356480 A JP10356480 A JP 10356480A JP 35648098 A JP35648098 A JP 35648098A JP 2000149340 A JP2000149340 A JP 2000149340A
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Shoichi Kawai
川井  正一
Hironari Kuno
裕也 久野
Yukihiro Sano
幸浩 佐野
Taiji Kawachi
泰司 河内
Toru Tanaka
亨 田中
Yuji Yato
裕二 矢頭
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Denso Corp
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Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 融点を有する材料を用いて基板上に記録膜を
真空蒸着させる光情報記録媒体の製造方法において、記
録膜の膜厚を均一化する。 【解決手段】 少なくとも一以上の開口穴7aを有する
密閉された坩堝7に記録層(記録膜)3の原料Wを入
れ、チャンバ8内にて、坩堝7の開口穴7aと基板2と
を対向させ、続いて、坩堝7をヒータ9で加熱して記録
層3の原料Wを蒸発させ、蒸発した原料を開口穴7aか
ら噴出させて基板2に真空蒸着させる。ここで、記録層
3の原料Wにおける蒸着温度をTe、融点をTm、分解
温度をTsとしたとき、真空蒸着する際の坩堝7内の圧
力雰囲気にてTm<Te<Tsの関係とし、坩堝7とし
て、開口穴7aの長さが坩堝7中で蒸発した原料分子の
平均自由工程と同じかそれよりも長いものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明な基板上に記
録膜および反射膜が形成され、記録レーザ光の照射によ
り記録膜に情報を記録する光情報記録媒体およびその製
造方法に関し、特に、基板上に記録膜を蒸着させる製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンパクトディスク(以下CDと
略記する)規格に対応して追記ないし記録を行うことが
できる高反射率を有する単板型の光情報ディスク(CD
−R、CD−E)が提案されているが、この光記録ディ
スクの一例としてCD−Rに付いて説明する。このディ
スクはトラッキング用のグルーブを有する樹脂等の透明
な基板上に記録膜としての色素層、Au等による反射膜
および保護膜を順次積層して形成される。
【0003】記録ピットは記録膜のグルーブ部で形成さ
れる。即ち、記録前のグルーブにおける反射率は例えば
70%以上であるが、レーザ光(記録光)によってピッ
トが形成されて反射率が下がり記録が行われる。ところ
で、上記CD−Rにおける従来の技術では、記録膜は、
色素を溶解させた溶剤をスピンコート法で基板上に塗布
する事によって形成される。ここで、グルーブ部におい
て、グルーブ形状やスピンコート条件等により、基板上
に形成される記録膜の膜厚が不均一となるという不具合
が生じる。
【0004】このようなスピンコート法における問題を
解決するものとしては、特開平9−81958号公報に
記載のものが提案されている。これは、昇華性を有する
記録膜材料(色素)を真空蒸着で成膜し、記録膜を製造
する方法である。それによって、記録膜の膜厚の均一化
が達成できるとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来公報においては、記録膜材料は昇華性を有するものに
限られてしまい、融点を有する材料を用いることができ
ず、記録膜として適用される材料に制約が生じる。例え
ば、上記従来公報において、融点を有するアントラキノ
ン系色素を用いた場合には、記録膜の膜厚が不均一化と
なり、基板のグルーブ部が埋まってしまうとされてい
る。
【0006】また、本発明者等の検討によれば、光情報
記録媒体において、真空蒸着法により記録膜を形成する
方法、さらにはスパッタ法により記録膜を形成する方法
において、以下のような問題が生じることを見出した。
記録は記録膜にボイド(気泡)ができることにより、反
射膜を変化させ、反射率が変化することを利用してい
る。上記各形成方法により形成される記録膜の膜厚は、
一般に例えば100nm程度と薄いため、ボイドが出来
ると同時に、記録膜と反射膜との密着性が悪く剥がれが
生じ、時間と共に、徐々にボイドの大きさが減少してい
くことによると推測される。
【0007】即ち、このような形成方法により形成され
た記録膜においては、記録再生特性は非常に良いものが
できたとしても、記録部の保存性能(記録部保存性)が
劣化してくる問題点がある。本発明は上記問題点に鑑み
て、融点を有する材料を用いて基板上に記録膜を蒸着さ
せる光情報記録媒体の製造方法において、記録膜の膜厚
を均一化することを目的とする。
【0008】また、本発明は、真空蒸着法またはスパッ
タ法により記録膜を形成する場合において、記録部保存
性が高い記録膜をもった光情報記録媒体光記録媒体を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、坩堝等の耐熱
性の容器を用いて真空蒸着する方法に着目し、実験検討
を行なった結果に基づいてなされたものである。この方
法は、少なくとも一以上の開口穴を有する密閉された容
器に記録膜の原料を入れ、該容器を加熱して記録膜の原
料を蒸発させ、蒸発した原料を開口穴から噴出させて透
明な基板に真空蒸着させる方法である。
【0010】即ち、請求項1記載の発明では、上記容器
を用いた真空蒸着において、記録膜(3、31〜36)
の原料における蒸着温度をTe、融点をTm、分解温度
をTsとしたとき、真空蒸着する際の容器(7)内の圧
力雰囲気にて、Tm<Te<Tsの関係とし、且つ、容
器(7)として、開口穴(7a)の長さが容器(7)中
で蒸発した原料分子の平均自由工程と同じかそれよりも
長いものを用いることを特徴としている。
【0011】なお、平均自由工程は、次のように定義さ
れる。気体分子、金属や半導体の自由電子のように、ほ
かの分子、原子などと衝突しながら進む粒子の運動に対
し、あい次ぐ衝突の間に進む道の長さ、またはある任意
の時刻から次におこる最初の衝突までに進む道の長さを
自由工程または自由行路といい、その平均を平均自由工
程という。(出典:岩波理化学辞典(第5版)) まず、本発明では、記録膜(3、31〜36)の原料と
して、真空蒸着する際の容器(7)内の圧力雰囲気にて
Tm<Tsの関係を持つものを用い、真空蒸着する際、
Tm<Te<Tsの関係とすることにより、記録膜
(3、31〜36)の原料物質が分解して変質(異物発
生等)するのを防止しながら、該原料を融点Tm以上で
蒸発させることができ、できあがった記録膜(3、31
〜36)中に不純物が混入するのを防止できる。
【0012】そして、本発明では、蒸着工程において、
蒸着温度Teに加熱された記録膜(3、31〜36)の
原料は蒸発し、容器(7)の開口穴(7a)から噴出す
るが、開口穴(7a)の長さが蒸発した原料分子の平均
自由工程と同じかそれよりも長いので、指向性の悪い原
料粒子は開口穴(7a)の内面に当たって開口穴(7
a)を通過せず、指向性の良いものだけが通過できる。
【0013】このように、原料の噴出方向の指向性が良
くなり、基板(2、21〜24)の蒸着面に対して噴出
した原料が同方向から当たる確度を高めることができ
る。ちなみに、指向性が悪く基板(2、21〜24)の
一面に対して原料が斜めに当たると、原料の均一な蒸着
が実現できない。よって本発明によれば、融点を有する
材料を用いて記録膜を蒸着させる製造方法において、記
録膜の膜厚を均一化することができる。
【0014】なお、本発明者等は、開口穴(7a)の長
さが上記原料分子の平均自由工程よりも小さいと、噴出
する原料の噴出方向は指向性が悪く、膜厚均一化ができ
ないこと、及び膜表面が荒れてがさがさとなってしまう
ことのため、基板のグルーブ部が埋まってしまう等、記
録特性上の不具合が発生することを実験的に確認してい
る。
【0015】また、本発明者等の検討によれば、容器
(7)の開口穴(7a)が小さすぎると容器(7)中で
蒸発した原料分子が開口穴(7a)を通過しにくくなる
ため、請求項2記載の発明のように、容器(7)とし
て、開口穴(7a)の径が容器(7)中で蒸発した原料
分子の平均自由工程よりも大きいものを用いることが好
ましい。
【0016】ところで、開口穴(7a)は、容器(7)
において基板蒸着面に対向する対向部位に配置される。
ここで、開口穴(7a)の数について、本発明者等が検
討したところ、以下のようなことがわかった。即ち、こ
の対向面に設けられる開口穴(7a)の数が多過ぎる
と、数多くの開口穴(7a)から原料分子が噴出するた
め、全体として、原料の指向性がばらつきやすくなると
考えられる。
【0017】一方、開口穴(7a)の数が少なすぎる
と、蒸着速度が遅くなり、ゆっくりと基板上に付くた
め、基板上において局所的に原料粒子が固まり易くな
り、膜厚の均一性を下げると考えられる。また、蒸着速
度を速めるために、蒸着温度を上げると分解温度に近く
なり、上記した記録膜の原料物質の変質が起こりやすく
なると考えられる。
【0018】これらの考えに基づき、開口穴(7a)の
数の多少について、記録膜(3、31〜36)の膜厚の
均一性に関連した記録特性であるC/N(キャリアとノ
イズの比)を指標として、調べたところ、図3に示す様
に、実用的なC/Nを得るためには、容器(7)とし
て、開口穴(7a)の数が4〜6個であるものを用いる
ことが好ましい(請求項3)ことを見出した。
【0019】また、請求項4記載の発明は、用いる容器
(7)の開口穴(7a)の具体的手段、請求項5記載の
発明は、記録膜(3、31〜36)の原料の具体的手段
を提供するものである。また、請求項6記載の発明は、
記録膜(3、31〜36)の原料として、種々の材料を
検討していく過程において、見出したものであり、記録
膜(3、31〜36)の原料としてアントラキノン系色
素を用いることを特徴としている。
【0020】即ち、本発明者等は、アントラキノン系色
素の場合、記録膜(3、31〜36)として成膜する前
は、図6に示す様に、光吸収に波長依存性があるが、記
録膜(3、31〜36)として成膜した後は、図7に示
す様に、光吸収が比較的平坦な波長特性を示すことを見
出した。そして、薄膜化したアントラキノン系色素を記
録膜(3、31〜36)として用いることにより、記録
レーザの波長が限定されず、広い波長範囲(例えば40
0nm〜900nm)で、記録可能な光情報記録媒体を
提供できる。
【0021】また、請求項7〜請求項10記載の光情報
記録媒体は、真空蒸着法により記録膜を形成する方法、
さらにはスパッタ法により記録膜を形成する方法におい
て、記録部の保存性能(記録部保存性)が劣化してくる
問題を解決すべくなされたものである。即ち、請求項7
及び請求項8記載の発明においては、請求項1ないし請
求項6の製造方法あるいは、通常の真空蒸着もしくはス
パッタにより形成された記録膜(3、31〜36)と反
射膜(4、41〜46)との間に、これら両膜(3、
4、31〜36、41〜46)との密着性に優れた密着
膜(301)を設けたことを特徴としており、この密着
膜(301)により、記録膜と反射膜との密着性が高ま
って剥がれが生じにくくなるため、ボイドの大きさが変
化しないようにでき、記録部保存性が高い記録膜をもっ
た光情報記録媒体を提供することができる。
【0022】ここで、密着膜(301)としては、請求
項9及び請求項10記載の発明のように、SiC、Si
N、SiO2 及びAlNから選択された物質を用いた
り、C、H、F、S、Oのいずれか1つを含む重合膜を
用いることができる。なお、上記した括弧内の符号は、
後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す
一例である。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本第1実施形態
は、基板上に記録層、反射層、保護層を積層した光情報
記録媒体(以下、単に媒体という)であり、例えばCD
に適用される。図1は本実施形態の媒体1の部分断面図
である。
【0024】媒体1は円盤形状をなし、基板2の一面2
a側に記録層(記録膜)3、反射層(反射膜)4、保護
層(保護膜)5が、順次積層されてなる。そして、基板
2の他面2b側からレーザ光を入射することにより、記
録、再生が行なわれるようになっている。基板2は、記
録光及び再生光(例えば600nm〜800nm)に対
して80%以上の透過率を有し、成型性の良い材料から
選ばれる。一例として、ポリカーボネート樹脂、アクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げら
れる。基板2の一面(記録層形成面)2aには、トラッ
キング用としてグルーブ(案内溝)6が形成されてい
る。
【0025】グルーブ6はスパイラル状の溝であり、例
えば幅0.5μm程度、深さ200nm程度に形成され
ている。このグルーブ6は、基板成型時に一括して形成
するのが望ましいが、基板成型後に公知の2P工法等で
別に形成しても良い。基板2の一面2a上に形成された
記録層3は、坩堝を用いた真空蒸着により成膜されたも
ので、融点をTm、分解温度(物質が化学変化する温
度)をTsとしたとき、真空蒸着する際の坩堝内の圧力
雰囲気(例えば0.1〜1Torr)にて、Tm<Ts
の関係を有する原料からなる。望ましくは真空蒸着の通
常の圧力雰囲気(例えば1×10-3Torr)以下の低
圧においても、Tm<Tsの関係を有する原料が好まし
い。
【0026】ちなみに、上記の圧力雰囲気における融点
Tm及び分解温度Tsは、公知の測定方法から実験的に
求めたり、原料の常圧(大気圧)における融点及び分解
温度から、理論式(例えば、クラウジウス−クラペイロ
ンの式)を用いて、計算により推定することができる。
このようにして、Tm<Tsの関係を有する記録層3の
原料を選択することができる。
【0027】このようなTmとTsとの関係を有する材
料を用いることにより、記録層3を真空蒸着する際、そ
の蒸着温度をTeとしたとき、真空蒸着する際の坩堝内
の圧力雰囲気にて、Tm<Te<Tsの関係とする。そ
れによって、記録層3の原料物質が分解して変質(異物
発生等)するのを防止しながら、該原料を融点Tm以上
で蒸発させることができ、できあがった記録層3中に不
純物が混入するのを防止できる。
【0028】本発明者等の検討によれば、融点Tmと分
解温度Tsの温度の差が狭いと、蒸着材料である記録層
3の原料の温度制御が難しく、真空蒸着時の異物発生が
顕著となり記録膜材料中での不純物が増大し、エラーレ
ートが悪化するため、融点Tmと分解温度Tsの温度の
差が100℃以上あるのが望ましい。このような記録層
3の原料として、上記条件にて分解せずに蒸発する材料
であれば無機材料でも、有機材料でもよい。好ましく
は、常圧(大気圧)における融点が100℃〜400℃
である色素材料を用いることが望ましい。
【0029】記録層3の原料が有機材料で色素を含有す
る場合、色素材料としては例えばキノン系色素、アミニ
ウム系色素、ポリメチン系色素、ジイモニウム系色素、
シアニン系色素、カチオン系色素、インドフェノール系
色素、アゾ系色素、金属錯体系色素、ポリフィリン系色
素などの中から上記条件で蒸発するものを選択すればよ
い。このとき、記録層3の厚みは特に規定しないが、通
常30nm〜500nmの範囲であればよい。
【0030】反射層4としては、記録及び再生光の波長
において高い反射率を示す材料、例えばAu、Ag、A
l、Cu、Cr、Pr、Ni、Ti等の金属及びそれら
を用いた合金が適用される。またその形成方法としては
真空蒸着、スパッタ等で、形成膜厚は通常40〜300
nmの範囲が望ましい。そして反射層4の上には、保護
層5が2〜20μm程度の厚さで形成され、材料として
は高分子材料からなる紫外線硬化樹脂(UV樹脂)が適
している。
【0031】なお、基板2と記録層3との間や、記録層
3と反射層4との間には中間層が設けられていてもよ
い。本発明者の検討によれば、例えば、記録層3と反射
層4との間に設ける中間層として、SiC(炭化シリコ
ン)やSiN(窒化シリコン)等を介在させると、レー
ザ光によって記録する際の安定性が向上することが確認
されている。
【0032】次に、かかる構成を有する媒体1の製造方
法について、図2を参照して述べる。図2は、同製造方
法における記録層3の成膜方法の説明図である。成膜方
法として、真空蒸着で、坩堝(容器)7を使用する。図
2に示す様に、内部を真空にすることが可能なチャンバ
(真空容器)8内において、基板2の一面(蒸着面)2
aと内部に記録層3の原料Wが入れられた坩堝7とを所
定間隔をあけて対向配置する(容器設置工程)。
【0033】ここで、坩堝7は、本体容器と蓋等により
密閉容器とした構成であり、材質はカーボングラファイ
ト、アルミナ等の熱伝導率の小さいものから構成されて
いる。また、坩堝7の容積は、坩堝7内の圧力を十分高
めるために、蒸着材料である記録層3の原料Wの材料充
填量よりも十分大きいものとする。また、基板2の一面
2aと対向する部位において、図2では1個のみ示され
ているが、坩堝7内外を連通する数個の開口穴7aが形
成されている。
【0034】次に、蒸着工程では、真空ポンプ等を用い
てチャンバ8内を真空雰囲気原料(蒸着材料)Wを入れ
た坩堝7を、抵抗加熱または電子ビーム法で蒸着温度T
eまで加熱する。図示例では、坩堝7の外周に配設した
ヒータ(蒸着温度制御手段)9を用いて、上記加熱を行
なう。すると、原料Wは蒸発し、坩堝7内の圧力が大き
くなり、各開口穴7aから原料Wが高速でチャンバ8内
に噴出する。
【0035】ここで、各開口穴7aは原料Wの噴出方向
に軸を有する略円筒形状であり、円筒長さ即ち穴の長さ
(図2の上下方向の長さ)を、真空蒸着時に坩堝7中で
蒸発した原料Wの分子の平均自由工程と同じかそれより
も長いものとし、円筒直径即ち穴の径(図2の左右方向
の長さ)を、上記分子の平均自由工程よりも大きいもの
としている。また、効率の良い原料Wの噴出を実現する
には、穴の長さは穴の径と同じかそれよりも小さいこと
が好ましい。
【0036】例えば、通常の真空ポンプを用いると、蒸
着時のチャンバ8内の圧力雰囲気は、10-7〜10-6
orr程度となるが、このとき、原料Wを坩堝7内から
効率よく噴出させるには、坩堝7内の蒸気圧を0.5〜
数Torrとすることが好ましい。このような坩堝7内
の蒸気圧において、原料Wの分子の平均自由工程は、1
-2cm/Torr程度となる。このとき、開口穴7a
の長さは10-2cm以上とでき、開口穴7aの径は0.
5〜2.0mm程度とすることが好ましい。
【0037】このように開口穴7aの構成は、真空蒸着
時における坩堝7内の圧力雰囲気に応じて設定されてい
る。そして、開口穴7aの長さが、蒸発した原料Wの分
子の平均自由工程と同じかそれよりも長く、且つ、開口
穴7aの径が上記平均自由工程よりも大きいので、指向
性の悪い蒸発原料は開口穴7aの内面に当たって開口穴
7aを通過せず、指向性の良いものだけが効率良く通過
し、チャンバ8内に噴出する。
【0038】よって、チャンバ8内に噴出した原料Wの
粒子は指向性が良く、基板2の一面(蒸着面)2aに対
して同方向から当たりやすくなる。そのため、基板2に
飛着する原料Wの粒子は、基板2上に均一に積層(蒸
着)されていき、結果として均一な膜厚を有する記録膜
3が真空蒸着により形成される。また、開口穴7aの数
は数個としているが、これは、開口穴7aの数の多少に
ついて、記録膜3の膜厚の均一性に関連した媒体1の記
録特性であるC/N(キャリアとノイズの比)を指標と
して、調べた結果(図3参照)に基づくものである。
【0039】図3に示す様に、実用的なC/N(約50
dB以上)を得るためには、開口穴7aの数が例えば4
〜6個である坩堝を用いることが好ましい。この結果
は、穴の径及び穴の長さが共に1mmの場合の結果であ
る。ここで、開口穴7aの数が多過ぎると、数多くの開
口穴7aから原料粒子が噴出するため、全体として原料
の指向性がばらつきやすくなり、好ましくない。
【0040】一方、開口穴7aの数が少なすぎると、蒸
着速度が遅くなり、ゆっくりと基板2上に付くため、局
所的に原料粒子が固まり易くなり、膜厚の均一性を下げ
るため好ましくない。また、蒸着速度を速めるために、
蒸着温度を上げると分解温度に近くなり、上記した記録
膜の原料物質の変質が起こりやすくなるため、好ましく
ない。従って、本実施形態では、開口穴7aの数は4〜
6個程度とし、記録膜3の膜厚の均一性をより高めるよ
うにしている。
【0041】こうして、噴出する原料Wの指向性を高め
ることで、膜厚が均一な記録膜3を形成した後、真空蒸
着法やスパッタ法等を用いて、反射層4を成膜する(反
射膜形成工程)。続いて、その上に、スピンコート法等
により保護層5を構成する紫外線硬化樹脂を塗布し、紫
外線硬化を行い、保護層5を成膜する(保護膜形成工
程)。こうして、本実施形態の媒体1が出来上がる。
【0042】次に、本実施形態を、以下の具体例によ
り、更に述べる。本例では、記録層3は、真空蒸着によ
り成膜されたアントラキノン系色素としている。記録層
3の成膜は、上記製造方法に基づいて行なった。即ち、
記録層3の原料であるアントラキノン系色素(常圧の融
点Tmが194℃、分解温度Tsが350℃)を、穴の
径及び穴の長さが同じ1mmである5個の開口穴7aを
有する坩堝7に入れ、基板2の一面2aと対向させた。
【0043】そして、坩堝7内の原料をヒータ9にて、
蒸着温度Te(194℃と350℃との間)に加熱する
とともに、チャンバ8内を10-7〜10-6Torr、坩
堝7内を0.5〜数Torrの圧力雰囲気とし、上記平
均自由工程を10-2cm/Torr程度とした。そし
て、膜厚をモニタしながら、100nmの記録層3を形
成した。その上の反射層4は、Auのスパッタにより1
00nm成膜した。
【0044】出来上がった本例の媒体1の電気的評価は
光ディスク評価装置で行なった。その結果を図4に示
す。これは、反射率(三角マーク、単位%)、11T信
号(200kHz)の振幅変調度(×マーク、単位
%)、C/N(ひし形マーク、単位dB)、各々の記録
レーザパワー(単位mW)依存性の測定結果である。こ
のときの線速2.8m/sで、光学ヘッドの波長は78
0nm、対物レンズの開口数(NA)は0.5である。
【0045】ここで、CDの実用規格(CD−WO規
格)は、反射率(未記録状態の反射率)が65%以上、
振幅変調度が60%以上、C/Nが47dB以上であ
る。図4に示す様に、本例の媒体1は、反射率は上記実
用規格を満足し、また、4mW〜11mWの実用パワー
レベルにおいて、振幅変調度及びC/Nも、おおよそ上
記実用規格を満足し、良好な記録特性が得られた。
【0046】また、上記特開平9−81958号公報で
は、アントラキノン系色素は蒸着すると基板のグルーブ
(案内溝)に埋もれてしまって、記録膜面は平坦になっ
てしまうと記述されている。しかし、本例では、図5に
示す様に、記録層3の膜厚均一化によって、明瞭にグル
ーブ6の溝形状が見えていることを、SEM観察により
確認できている。
【0047】また、図6はアントラキノン系色素の成膜
前、図7はアントラキノン系色素の記録層3として成膜
後の光吸収率(任意単位)の波長依存性を示すグラフで
ある。アントラキノン系色素は、図6に示す様に、記録
層3として成膜する前においては、730nmで光吸収
のピークがあり、500nmで光吸収がない特性となっ
ている。これを、真空蒸着により薄膜化した記録層3と
すると、図7に示す様に、比較的平坦な波長特性とな
る。
【0048】この光吸収特性から、400nm〜900
nmの光において、記録層3と保護層5の間に設けられ
た金属等の反射層4により、高い反射率を得ることがで
きる。また記録はヒートモードによる色素の熱分解で行
われるため、上記範囲の波長であれば記録が可能で、ま
た十分な振幅も得られることを確認している。このよう
に、アントラキノン系色素を記録層3として用いた本例
によれば、記録層3の膜厚を均一化することができると
共に、記録レーザの波長が限定されず、広い波長範囲
(例えば400nm〜900nm)で、記録可能な光情
報記録媒体を提供できる。
【0049】(第2実施形態)ところで、上記第1実施
形態の媒体1をスペーサを介して2枚貼り合わせた形と
した媒体(以下、2層ディスクという)とすることもで
きる。本第2実施形態は、本発明をこの2層ディスクに
適用したものである。このような2層ディスクの一例と
しては、DVD(デジタルビデオディスク)におけるD
ual Layer/Single Sided Di
skがある。
【0050】このディスクは、両方の基板に信号層(記
録層)を設けて片方の面から2つの層の信号を読み出す
片面2層方式であり、記憶容量がSingle Lay
er/Single Sided Diskの約倍にな
る。本発明の記録膜はこの構造の媒体にも適応でき、図
8にその部分断面構造を示す。媒体100は、グルーブ
(案内溝)61をもった基板21の内面に記録層(記録
膜)31、反射層(反射膜)41を順次形成し、もう一
方のグルーブ62をもった基板22の内面に記録層(記
録膜)32、反射層(反射膜)42を順次形成し、両基
板21、22がUV樹脂等からなるスペーサ10で張り
合わされた形となっている。スペーサ10の厚さは、例
えば30〜80nmである。なお、図8に示す様に、グ
ルーブ62は、グルーブ61の凹凸に対応し且つグルー
ブ61とは凹凸が逆な形状となっている。
【0051】媒体100において、記録・再生はどちら
かの記録層31、32に記録・再生レーザの焦点を合わ
せることにより行う。この場合、レーザ入射側の記録層
及び反射層は半透明とするが、図示例では、記録・再生
レーザRは基板21の外面側から入射するため、記録層
31及び反射層41を半透明とする。記録層はもともと
半透明な材質であるが、反射層41はAuを薄く形成し
たり、シリコン又はシリコンナイトライド等を用いるこ
とで、半透明とできる。
【0052】また、基板21、22、記録層31、3
2、及び反射層41、42は、各々、上記第1実施形態
の基板、記録層、反射層と同様の構成、製造方法を適用
できる。従って、本実施形態においても、記録層31、
32の膜厚を均一化でき、記録層31、32は各グルー
ブ61、62による凹凸形状を継承した形とできる。次
に、媒体100の具体例を以下に示す。
【0053】グルーブ61を有する厚さ0.6mmの基
板21に、アントラキノン系色素からなる半透明の記録
層31を膜厚100nmにて形成し、その上にAuから
なる反射層41を膜厚80nmにて形成した。このと
き、基板21の外面から記録層31までの透過率は70
%であった。もう一方のグルーブ62を有する厚さ0.
6mmの基板22に、アントラキノン系色素からなる記
録層32、Auからなる反射層42を、各々100n
m、80nmの膜厚にて形成した。
【0054】ここで、各記録層31、32は、上記第1
実施形態にて述べたアントラキノン系色素の例と同様
に、真空蒸着法を用いて行なった。そして、記録層及び
反射層が形成された2つの基板21、22を液体状のU
V樹脂で張り合わせ、スピンナーで、樹脂を振り切り、
UV樹脂の厚さを55μmにした。次にUV照射(紫外
線照射)して樹脂を硬化させスペーサ10を形成し、媒
体100を形成した。
【0055】このとき、基板21を通した記録層31の
反射率は26%であり、基板21を通した記録層32の
反射率は24%であった。線速3.84m/sにおいて
波長635nmのレーザによって、DVD信号を記録し
た結果、記録層31は9mWで記録でき、このときのジ
ッターは7nmであった。同様に記録した結果、記録層
32の記録パワーは7mWであり、このときのジッター
は8nmであった。媒体100においても、記録層3
1、32の膜厚均一化により、上記第1実施形態と同様
に、DVDとして良好な記録特性が得られた。
【0056】また、2層ディスクの他の例としては、D
VDにおけるDual Layer/Double S
ided Diskがある。このディスクは2層の信号
面の基板を張り合わせた構造の媒体であり、記録容量は
Single Layer/Single Sided
Diskの約4倍になる。本発明の記録膜はこの構造
の媒体にも適応でき、図9にその部分断面構造を示す。
【0057】媒体200は、同じ構造のディスクを2枚
張り合わせた構成としている。即ち、内面に、記録層3
3、反射層43、スペーサ11、記録層34、反射層4
4、保護層53が、順次積層された基板23と、内面
に、記録層35、反射層45、スペーサ12、記録層3
6、反射層46、保護層54が、順次積層された基板2
4とが、互いの外面にて、接着剤13を介して貼り合わ
されている。
【0058】ここで、図9に示す様に、基板23の内
面、スペーサ11、基板24の内面、及びスペーサ12
には、それぞれグルーブ(案内溝)63〜66が形成さ
れている。スペーサ11のグルーブ64は、基板23の
グルーブ63を継承した形状であり、スペーサ12のグ
ルーブ65は、基板24のグルーブ64を継承した形状
である。なお、各スペーサ11、12は、上記スペーサ
10と同様にUV樹脂等から構成でき、その厚さは30
〜80nmとできる。
【0059】また、基板23、24、記録層(記録膜)
33〜36、反射層(反射膜)43〜46及び保護層
(保護膜)53、54は、各々、上記第1実施形態の基
板、記録層、反射層及び保護層と同様の構成、製造方法
を適用できる。従って、本実施形態においても、記録層
33〜36の膜厚を均一化でき、記録層33〜36は各
グルーブ63〜66による凹凸形状を継承した形とでき
る。
【0060】また、図9に示す様に、媒体200におい
て、記録・再生は、基板23又は基板24の外面から、
各面においてどちらかの記録層33〜36に、記録・再
生レーザRの焦点を合わせることにより行う。この場
合、レーザ入射側となる記録層33、35及び反射層4
3、45を半透明とするが、その構成は、上記媒体10
0の例と同様にできる。
【0061】次に、媒体200の具体例を以下に示す。
グルーブ63を有する厚さ0.6mmの基板23に、ア
ントラキノン系色素からなる半透明の記録膜33を膜厚
100nm形成し、その上にAuからなる反射層43を
膜厚80nmにて形成した。このとき、基板23の外面
から記録層33までの透過率は70%であった。この反
射層43上にUV樹脂を付け、グルーブ63に対応した
形状を有するスタンパーを押しつけ、スピン回転により
スペーサ11の厚さを55nmとした。次にUV照射に
より、硬化させ、スタンパーを剥離させた。
【0062】更に、スペーサ11の上に、アントラキノ
ン系色素からなる記録層34(膜厚100nm)及びA
uからなる反射層44(膜厚80nm)を形成し、反射
層44の上にUV樹脂を用いて保護層53を形成した。
ここで、各記録層33、34は、上記第1実施形態にて
述べたアントラキノン系色素の例と同様に、真空蒸着法
を用いて行なった。
【0063】基板24(厚さ0.6mm)についても、
基板23と同様の製法、膜厚にて、記録層35、反射層
45、スペーサ12、記録層36、反射層46、保護層
54を形成した。次に、両基板23、24の各保護層5
3、54を、ホットメルト材からなる接着剤13を塗布
し張り合わせ、媒体200を形成した。このとき、基板
23を通した記録層33及び記録層34の反射率は、各
々、26%及び24%であり、基板24を通した記録層
35及び記録層36の反射率も、各々、26%及び24
%であった。
【0064】また、媒体200において、線速3.84
m/sにおいて波長635nmのレーザによって、DV
D信号を記録した結果、記録層33、35は9mWで記
録でき、このときのジッターは7nmであった。同様に
記録した結果、記録層34、36の記録パワーは7mW
であり、このときのジッターは8nmであった。媒体2
00においても、記録層33〜36の膜厚均一化によ
り、上記第1実施形態と同様に、DVDとして良好な記
録特性が得られた。
【0065】ところで、上述のように、アントラキノン
系色素を記録層(記録膜)に用いると、上記図7に示す
様な平坦な光吸収の波長特性となり、広い波長範囲で記
録・再生ができる。このことは、同じアントラキノン系
色素を記録層とした各媒体1、100、200におい
て、CDの使用域である波長780nm、DVDの使用
域である波長635nmのレーザ光により、各々、実用
的な記録・再生が可能となっていることに示される。
【0066】また、アントラキノン系色素は、有機溶剤
に対して難溶性であるため、本実施形態のように、スペ
ーサ形成の際に行なわれるUV樹脂塗布によって、記録
層が流れだすことはなく、2層記録膜を有する光情報記
録媒体を実現できる。 (第3実施形態)本第3実施形態は、透明な基板上に記
録層、密着層、反射層、保護層を積層した媒体であり、
上記各実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、記
録部保存性が高い記録膜をもった光情報記録媒体を提供
することを目的としたものである。図10に、本実施形
態の媒体300の部分断面図を示すが、これは、上記第
1実施形態の媒体1を変形したものであり、以下、主と
して媒体1と異なるところについて述べ、同一部分には
図中同一符号を付して説明を省略することとする。
【0067】媒体300は、上記第1実施形態と同様
に、円盤形状をなす。そして、基板2の一面2a側に記
録層(記録膜)3、密着層(密着膜)301、反射層
(反射膜)4、保護層(保護膜)5が、順次積層されて
なり、基板2の他面2b側からレーザ光を入射すること
により、記録、再生が行なわれるようになっている。記
録層3は、上記第1実施形態と同様の構成、製法を採用
できるが、例えば、蒸着により薄膜したときに比較的平
坦な波長特性となるアントラキノン系色素を用いること
ができる。また、その他の記録材料として、上記第1実
施形態と同様に、記録及び再生光に対して20%未満の
吸収があり、常圧での分解または発熱温度が500℃以
下(400℃以下が特に望ましい)で、蒸発するもので
あれば、無機材料でも、有機材料でもよい。
【0068】密着層301は、記録層3と反射層4のそ
れぞれに密着しなければならないのであるが、例えばS
iをターゲットにCH4 とArガスの混合ガスで反応性
DCスパッタで成膜されたSiC(炭化珪素)膜を採用
することができる。他に、SiN(窒化珪素)、SiO
2 (二酸化珪素)、AlN(窒化アルミニウム)等の無
機材料、または有機材料(CH4 、C2 4 、C4 8
等の重合膜)でもよい。また、膜厚は、薄すぎると密着
性が悪く、厚すぎると記録特性に悪影響を与えるので、
例えば5〜200nm程度が好ましい。
【0069】かかる構成を有する本実施形態の媒体30
0によれば、記録時には、基板2の他面2b側からレー
ザ光が入射され、記録層3が熱分解して、反射層4との
間にボイドが発生し、反射層4が変形することで反射率
変化が起こり記録がなされる。ここにおいて、記録層3
及び反射層4との密着性に優れた密着膜301を設けた
ことによって、記録層3と反射層4との密着性が高まっ
て剥がれが生じにくくなるため、ボイドの大きさが変化
しないようにでき、記録部保存性が高い記録膜をもった
光記録媒体を提供することができる。
【0070】次に、本実施形態の密着層301による効
果の具体例を示す。上記第1実施形態にて述べた具体例
(以下、具体例1という)と同様の成膜方法にて、ポリ
カーボネイト製の基板2上にアントラキノン系色素から
なる記録層3を100nm成膜した。密着層301とし
て、反応性DCスパッタによりSiC膜を10nm成膜
した。反射層4として、Auを100nmスパッタし
た。電気的評価は、具体例1と同様、光ディスク評価装
置でおこなった。その結果を図11に示す。
【0071】反射率(Rmin 、黒丸マーク)、11T信
号の振幅変調度(Mod、黒四角マーク)、C/N(黒
三角マーク)の記録レーザパワー存在性の測定結果であ
る。このときの線速は1.4m/sで、光学ヘッドの波
長は780nm、対物レンズのNAは0.5である。比
較的低パワーから記録できていて、CDの実用規格(C
D−WO規格)を十分満足する。
【0072】次に、図12に、本第3実施形態の上記具
体例(図中、第3実施形態と図示)と、密着層301の
無い媒体(つまり、上記媒体1と同一構造である。図
中、密着膜無しと図示)との記録部保存性を比較した耐
久性試験の結果を示す。環境条件は、70℃、95%R
Hである。密着膜無しの媒体に比べて、本実施形態の媒
体300は、時間と共に、振幅変調度の低下がなく、従
ってC/Nの低下もない記録部保存性が高い記録膜をも
った光記録媒体を提供できることがわかる。
【0073】なお、本実施形態においても、上記第2実
施形態と同様に、媒体300をスペーサを介して2枚貼
り合わせた形とした2層ディスクとすることもできる。
図13に、Dual Layer/Single Si
ded Diskの例、図14に、Dual Laye
r/Double Sided Diskの例を示す。
【0074】図13に示す媒体400は上記図8に示す
媒体100の変形、図14に示す媒体500は上記図9
に示す媒体200の変形であり、同一部分には同一符号
を付してある。両媒体400、500は、上記第2実施
形態に示した媒体において、各々の記録層31〜36と
反射層41〜46との間に、密着層301を挿入したも
ので、この密着層301によって、記録部保存性が高い
記録膜を実現することができる。
【0075】以上のように、本第3実施形態によれば、
記録層と反射層の間に密着層301を挿入することで、
記録信号の保持の耐久性(記録部保存性)が向上する。
なお、本実施形態は、上記第1及び第2実施形態に示さ
れた製法によって製造された記録膜を有する光情報記録
媒体以外にも、通常の真空蒸着法により記録膜を形成し
たもの、さらにはスパッタ法により記録膜を形成したも
のに対しても、適用可能である。
【0076】以上、各(第1〜第3)実施形態について
述べてきたが、上記記録膜の成膜方法によれば、記録膜
の膜厚を均一化して平坦なものとでき、ノイズレベルが
極めて低くなり、記録エラーの少ない光情報記録媒体を
実現できる。特に、アントラキノン系色素を原料として
記録膜を形成すると、もとの色素の光吸収特性とは異な
った波長特性を示し、真空蒸着された記録膜は光吸収の
波長存在性が400〜900nmで平坦になり、400
〜900nmのどの波長でも記録再生でき、高密度記録
再生が可能である。
【0077】また、上記記録膜の成膜方法によれば、記
録膜の原料を気体状態により基板上に直接飛着させるた
め、グルーブ内、ランド(基板上のグルーブ以外の部
分)上の膜厚をほぼ均一に制御するのが容易である。更
に、成膜時に、例えば光学的な反射や干渉を利用した方
法にて、膜厚をモニターしながら成膜できるので、基板
間の膜厚バラツキを低くできる。
【0078】また、上記各実施形態において、記録膜及
び反射膜がグルーブ形状を継承した形となるため、トラ
ッキングエラー信号やラジアルコントラスト信号を最適
化でき、適切なトラッキングサーボが実現する。さら
に、上記各実施形態において、記録膜の膜厚を均一化で
きるが故に、従来よりもグルーブ深さを浅くできるた
め、基板の樹脂成型における成型速度を早くすることが
でき、より低コストな光情報記録媒体を提供することが
できる。また、グルーブ深さが浅いのでトラックピッチ
(グルーブのピッチ)を狭くしたとしても、容易に基板
成型ができるため、高密度化に対応することも容易とな
る。
【0079】なお、本発明の要部は光情報記録媒体にお
ける記録膜及び密着膜にあるから、その他の反射膜等の
構成、製造方法等は適宜変更してよいことは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の光情報記録媒体の断面
構成を示す説明図である。
【図2】本発明の光情報記録媒体の製造方法を示す説明
図である。
【図3】坩堝の開口穴の数とC/Nとの関係を示す図で
ある。
【図4】上記第1実施形態の光情報記録媒体の特性評価
結果を示す図である。
【図5】記録層の成膜状態を模式的に示す説明図であ
る。
【図6】アントラキノン系色素を記録層として成膜する
前の光吸収率の波長依存性を示すグラフである。
【図7】アントラキノン系色素を記録層として成膜した
後の光吸収率の波長依存性を示すグラフである。
【図8】本発明の第2実施形態の一例を示す説明図であ
る。
【図9】上記第2実施形態の他の例を示す説明図であ
る。
【図10】本発明の第3実施形態の光情報記録媒体の断
面構成を示す説明図である。
【図11】上記第3実施形態の光情報記録媒体の特性評
価結果を示す図である。
【図12】本発明の密着膜による記録部保存性に対する
効果を示す図である。
【図13】上記第3実施形態の他の例を示す説明図であ
る。
【図14】上記第3実施形態のもう一つの他の例を示す
説明図である。
【符号の説明】
2…基板、3、31〜36…記録層、4、41〜46…
反射層、7…坩堝、7a…開口穴、301…密着層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐野 幸浩 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 河内 泰司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 田中 亨 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 矢頭 裕二 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 5D029 NA11 NA13 NA14 5D121 AA01 AA03 AA05 EE02 EE03 EE12 EE16 EE19 EE27

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な基板(2、21〜24)上に記録
    膜(3、31〜36)および反射膜(4、41〜46)
    が形成され、記録レーザ光の照射により前記記録膜に情
    報を記録する光情報記録媒体において、前記基板上に前
    記記録膜を蒸着させてなる光情報記録媒体の製造方法で
    あって、 少なくとも一以上の開口穴(7a)を有する密閉された
    容器(7)に前記記録膜の原料を入れ、この容器の前記
    開口穴と前記基板を対向させる容器設置工程と、 前記容器を加熱して前記記録膜の原料を蒸発させ、蒸発
    した原料を前記開口穴から噴出させて前記基板に真空蒸
    着させる蒸着工程とを備え、 前記記録膜の原料における蒸着温度をTe、融点をT
    m、分解温度をTsとしたとき、前記真空蒸着する際の
    前記容器内の圧力雰囲気にて、Tm<Te<Tsの関係
    とし、 前記容器として、前記開口穴の長さが前記容器中で蒸発
    した原料分子の平均自由工程と同じかそれよりも長いも
    のを用いることを特徴とする光情報記録媒体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記容器(7)として、前記開口穴(7
    a)の径が前記容器中で蒸発した原料分子の平均自由工
    程よりも大きいものを用いることを特徴とする請求項1
    に記載の光情報記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記容器(7)として、前記開口穴(7
    a)の数が、4〜6個であるものを用いることを特徴と
    する請求項1または2に記載の光情報記録媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記容器(7)として、前記開口穴(7
    a)の径と長さが同じであるものを用いることを特徴と
    する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光情報記
    録媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記記録膜(3、31〜36)の原料と
    して、常圧における融点が100〜400℃である色素
    材料を用いることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れか1つに記載の光情報記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記記録膜(3、31〜36)の原料と
    して、アントラキノン系色素を用いることを特徴とする
    請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光情報記録媒
    体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1つに記載
    の製造方法を用いて製造された光情報記録媒体におい
    て、 前記記録膜(3、31〜36)と前記反射膜(4、41
    〜46)との間に、これら両膜(3、4、31〜36、
    41〜46)との密着性に優れた密着膜(301)が設
    けられていることを特徴とする光情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 透明な基板(2、21〜24)と、この
    基板上に真空蒸着法もしくはスパッタ法により形成され
    た記録膜(3、31〜36)と、この記録膜上に形成さ
    れた反射膜(4、41〜46)とを有し、記録レーザ光
    の照射により前記記録膜に情報を記録する光情報記録媒
    体において、 前記記録膜と前記反射膜との間に、これら両膜との密着
    性に優れた密着膜(301)が設けられていることを特
    徴とする光情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記密着膜(301)は、SiC、Si
    N、SiO2 及びAlNから選択された物質からなるこ
    とを特徴とする請求項7または8に記載の光情報記録媒
    体。
  10. 【請求項10】 前記密着膜(301)は、C、H、
    F、S、Oのいずれか1つを含む重合膜からなることを
    特徴とする請求項7または8に記載の光情報記録媒体。
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