JP2000145298A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 断熱障子
【特許請求の範囲】
【請求項1】 障子框が金属框と、その金属框の屋内側に露出する部分を覆う樹脂框とからなる断熱障子において、
内召合せ框の金属框を、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とするとともに、ガラス嵌合溝の内外両側壁を構成する端縁を設け、
前記内召合せ框の樹脂框を、前記内召合せ框の金属框の屋内側端面形状に沿った一重構造の断面L字形の平板状に形成して、その樹脂框の一端部に前記内召合せ框の金属框の戸尻側面と屋外側面との接続部に設けられた係止溝に係合される係止部を形成するとともに、前記内召合せ框の樹脂框の他端部に前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁を前記ガラス嵌合溝の内側まで覆う状態で前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合される係合部を一体に形成し、前記内召合せ框の樹脂框の前記係止部を前記係止溝に係合すると同時に前記係合部を前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合して、前記内召合せ框の樹脂框により前記内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経て前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆し、さらに樹脂框の屋内側背面部にリブを設けるとともに、金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間に前記リブにより仕切られた断熱空気層を形成し、
前記金属框の戸尻側面の前記中間壁との接続部よりも屋外側部分に前記樹脂框を密着させたことを特徴とする断熱障子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合サッシにおける断熱障子に関し、とくに断熱障子の内召合せ框の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
窓枠が金属枠とその金属枠の屋内側に露出する部分を覆う樹脂枠とからなり、障子框が金属框とその金属框の屋内側に露出する部分を覆う樹脂框とからなる複合サッシが、一例として、実公昭63−49481号公報に記載されている。
このような複合サッシは、金属枠及び金属框が有する耐候性及び機械的強度と、樹脂枠及び樹脂框が有する高い断熱性及び意匠性とを併せ備えているので、とくに寒冷地向けに好評である。
【0003】
とくに寒冷地用仕様で作られ、また、樹脂枠及び樹脂框にも金属枠及び金属框と同様の機械的強度を備えることが要望されていたため、窓枠のみならず障子框にも、とくに屋内側端部に、断熱性向上と強度増大のため中空部を備えた樹脂枠及び樹脂框が用いられていた。
従って、複合サッシ全体の見込み幅が、全金属製の通常サッシの見込み幅よりも、引違いサッシの場合で、例えば40〜50mm程度は大きくならざるを得なかった。
【0004】
これを図面に基づいて、具体的に説明する。図4は引違い窓用の複合サッシの縦断面図、図5は同じく横断面図、図6は内召合せ框部分の詳細図である。
窓枠Fの上枠H及び下枠Sは、それぞれ金属枠Hm,Sm、その金属枠の屋内側に露出される部分を覆う樹脂枠Hp,Spとをスライド嵌合又はこれにビスによる結合を加えて構成され、また、窓枠の左右両縦枠J1 ,J2 は、いずれも同様に、屋外側に露出される金属枠Jm1 ,Jm2 と、その金属枠の屋内側露出部分を覆う樹脂枠Jp1 ,Jp2 とをスライド嵌合又はこれにビスによる結合を加えて構成されている。
そして、樹脂枠Hp,Sp,Jp1 ,Jp2 は、いずれも少なくとも屋内側端部に中空部tfを有しているため、窓枠の見込み幅が従来の全金属製の窓枠又は金属枠の外面を樹脂で被覆した窓枠よりも大きい見込み幅を有している。
【0005】
また、引違い窓の内障子Di,及び外障子Doの上框h、下框s及び縦框j1,j2 のいずれも、屋外側に露出される金属框hm,sm,jm1 ,jm2 と、その金属框の屋内側露出部分を覆う樹脂框hp,sp,jp1 ,jp2 とをスライド嵌合により又はこれにビスによる結合を加えて構成されていて、樹脂框hp,sp,jp1 ,jp2 はいずれも屋内側部分に断熱性向上と強度増大のために中空部tdを有しているため、障子の見込み幅も従来の全金属製又は金属枠の外面を樹脂で被覆した框を用いる障子の見込み幅よりも大きい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、例えば、非寒冷地において、樹脂の意匠性を買って既設の全金属製サッシに代えて複合サッシを取付ける場合は、開口木枠wh,ws,wj1 ,wj2 や化粧枠体DFなど建物躯体に固定される窓回り部材まで、すべて施工し直す必要があり、また、複合サッシを新設する場合も、従来の全金属製サッシに合わせた規格の窓回り部材が使えないので、施工費が嵩むという問題があった。
複合サッシの見込み幅を単に縮小するだけならば、見込み幅増大の原因である中空部を除去すればよいが、単純に中空部を除去するだけでは、サッシの強度不足を招くばかりで、実用に適しない。
【0007】
特に、内召合せ框j2には、暴風時等に強大な風圧(正圧と負圧)が加わることがあるが、従来の召合せ框j2は、図6に内召合せ框の場合について詳細に示すように、ガラス板の周縁を挿入するガラス嵌合溝gが、屋外側壁は金属框jm2の端縁woにより、屋内側壁は樹脂框JP2の端部wiにより形成されていて、ガラス板Gの周縁を保持する、通常合成ゴム製のグレージングチャネル(俗称グレチャン)gcは、一側端が金属框の端縁woに、他側端が樹脂框の端部wiにそれぞれ係合して止められている。
【0008】
しかしながら、ガラス板Gに強大な風圧(正圧)が加わった時は、ガラス板の屋内側面を単独で支持している樹脂框jp2の、とくに端部wiが弾性変形して、ガラス嵌合溝gの幅が僅かに拡大するため、グレチャンgcが樹脂框の端部wiからガラス嵌合溝g内に外れる恐れがある。グレチャンの外れは、その後のグレチャンの破断、ごみや結露水の侵入などの原因になる。
【0009】
ガラス嵌合溝gの幅の拡大を防止するには、ガラス嵌合溝の内外両側壁を金属框で形成すれば良いが、このようにした場合は、金属製の屋内側壁が屋内に露出するため、今度は、召合せ框の断熱性が損なわれるという問題が生じる。上述のように、従来は、断熱障子において、見込み幅を大きくせずに内召合せ框全体の強度及びガラス板支持部の強度を確保し、なおかつ断熱性を維持することは容易でなかった。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その課題は、内召合せ框全体の強度及びガラス板支持部の強度の不足を招くことなく、見込み幅の縮小を可能にし、しかも、断熱性も確保されるようにした断熱障子の内召合せ框を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、障子框が金属框と、その金属框の屋内側に露出する部分を覆う樹脂框とからなる断熱障子において、
内召合せ框の金属框を、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とするとともに、ガラス嵌合溝の内外両側壁を構成する端縁を設け、
前記内召合せ框の樹脂框を、前記内召合せ框の金属框の屋内側端面形状に沿った一重構造の断面L字形の平板状に形成して、その樹脂框の一端部に前記内召合せ框の金属框の戸尻側面と屋外側面との接続部に設けられた係止溝に係合される係止部を形成するとともに、前記内召合せ框の樹脂框の他端部に前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁を前記ガラス嵌合溝の内側まで覆う状態で前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合される係合部を一体に形成し、前記内召合せ框の樹脂框の前記係止部を前記係止溝に係合すると同時に前記係合部を前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合して、前記内召合せ框の樹脂框により前記内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経て前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆し、さらに樹脂框の屋内側背面部にリブを設けるとともに、金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間に前記リブにより仕切られた断熱空気層を形成し、
前記金属框の戸尻側面の前記中間壁との接続部よりも屋外側部分に前記樹脂框を密着させたことを特徴としている。
【0012】
上記構成により、内召合せ框の金属框は、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とされているので、金属框の強度が格段に増大される。また、内召合せ框の樹脂框は断面L字形の平板状に形成されているので、召合せ框の見込み幅の縮小が可能である。その樹脂框は、内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経てガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆しているので、金属框は室内側に全く露出しないため、結露防止効果が大きく、かつ、内召合せ框の内観が顕著に向上する。また、グレチャンは両側端が金属框に一体に形成されている内外両端縁に支持されるので、ガラス板支持強度が大きい。従って、ガラス板に強大な風圧がかかっても、樹脂框のグレチャンを係止する部分は、金属框により弾性変形が防止されるので、グレチャンがガラス嵌合溝内に外れることがない。
また、樹脂框の屋内側背面部にはリブを設けたので、樹脂框は強度が増し、一重の断面L字状に形成された樹脂框をより薄肉にしても安定支持することができ、さらに、前記リブにより金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間にほぼ等しい断熱空気層が形成されるので、高い断熱性が得られる。さらに、金属框の戸尻側面の前記中間壁との接続部よりも屋外側部分に前記樹脂框を密着させてある。従って、その密着部分において内召合せ框の戸尻側面にクレセント錠を取り付ければ、樹脂の変形もないから、従来よりも格段に堅固に取り付けることができる。好ましい実施の形態においては、図3に明示されているように、金属框の戸尻側面の中間壁との接続部よりも屋外側部分が、他の部分よりも厚肉に形成されている。この場合は、内召合せ框の戸尻側部分の強度がさらに増大されるので、大型引き違いサッシにクレセント錠を取り付ける場合に有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図示の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る複合サッシの縦断面図、図2は同じく横断面図である。
Hmは、耐候性及び機械的強度に優れている金属、例えば、アルミニウム等で成形され、窓枠Fの上枠Hの屋外側に露出される部分を構成する金属枠であり、上枠を上下2か所で建物躯体に固定するための取付縁1,2を有し、また、外障子Doの上框hを案内するレールroの屋外側部分を構成する垂下縁3を有している。Hpは、断熱性と意匠性に優れた、例えば、塩化ビニルやアクリル等の樹脂で成形され、金属枠Hmの屋内側に露出される部分を覆う樹脂枠であり、上枠Hの見込み幅増大の原因にならない上部には中空部4を有し、また、内障子Diの制約された厚みの範囲内で可及的に大きな強度を得るため、外レールroと同様の断面形状を有する中空状の内レールriを有するほかは、外障子Do用上レールroの屋内側部分を構成する垂下縁5及び屋内側端部の垂下縁6は、一重の厚みに形成されて、上枠Hの見込み幅を可及的に小さくされている。そして、上枠Hの外レールroは、金属枠Hmの垂下縁3と樹脂枠Hpの垂下縁5とで、内レールriと等しい断面形状を有している。
【0014】
Smは、下枠Sの屋外側に露出される部分を構成する金属枠であり、下枠を上下2か所で建物躯体に固定するための取付縁7,8を有し、内外の障子Di,Doの下框sを案内する内外のレールri,roを有している。下枠Sは、窓枠自体の荷重及び障子の全荷重を支持するため、窓枠の中では最も大きな強度が要求されるので、金属枠Smは、従来の下枠の金属枠とほぼ同様の形状を備えており、屋内側端部に窓台や膳板に係止される逆L字形の雨返し壁9を有している。そして、雨返し壁9と内レールriとの間の溝10及び金属枠Smの雨返し壁9の上面を覆う樹脂枠Spが溝10に嵌合して装着されている。
【0015】
Jmは、窓枠の縦枠J1 ,J2 の金属枠であり、所要の強度を備えるため、縦枠の屋外側端部から屋内側端部まで連続しており、その金属枠の内障子Diに対応する内側面に樹脂枠Jpが内外2か所での嵌合及び金属枠Jmと樹脂枠Jpを重ね合わせた部分におけるねじ12により結合されている。図4と対比しても明らかなように、縦枠の樹脂枠Jpは、中空部を備えておらず、一重構造であるので、縦枠の見込み幅が縮小されている。
【0016】
次に、上記窓枠Fに建て付けられた引違い障子Di,Doは、上框h及び下框sのいずれにおいても、それぞれ金属框hm,smと、金属框の屋内側露出部分を覆う樹脂框hp,spとを有し、金属框は従来と同様に薄肉に成形され、樹脂框は従来の複合サッシにおける障子よりも可及的に薄肉に形成されて、屋内側に中空部を備えていない。縦框j1 ,j2 は、障子の開閉時に戸当たり部材11を介して窓枠の縦枠J1 ,J2 から強い衝突力を受ける場合があったり、閉鎖状態で強い風圧を受ける場合があるので、それらの衝突力や風圧に耐え得る所要の強度を備えるため、戸先側の縦框j1 の樹脂框jp1 には最小限の厚みを有する中空部tdが形成されている。
【0017】
引違い障子の内召合わせ框j2 は、図3に明示するように、本発明に従い、金属框jm2 に中間壁woを設けて、中空部を屋外側中空部hoと屋内側中空部hiとに面内方向に2分割した構成とされている。また、金属框jm2にガラス嵌合溝gの屋内側壁と屋外側壁を構成する端縁wi,woが設けてある。
そして、金属框jm2の屋内側露出部分を覆う樹脂框jp2は、金属框jm2の戸尻側壁12と屋内側壁13とを覆う断面L字形に形成され、かつ、中空部を有しない一重構造である。樹脂框jm2の屋外側端部には、金属框jm2の屋外側面から屋外方向に突出するフィン状のタイト材14が一体に形成してあり、その樹脂框jp2の屋外側端部には、金属框jm2の戸尻側面の屋外側端部に設けられた係止溝15に係合する係止部16が形成され、さらに、樹脂框jp2の金属框jm2の屋内側壁13を覆う部分の先端に、金属框jp2の屋内側壁をガラス嵌合溝gの内側まで被覆する係合部17が一体に形成してあり、樹脂框は係合部17で金属框の屋内側端縁wiを被覆し、かつ、係止部16を係止溝15に嵌合することにより、金属框jm2に、その屋内側面を覆った状態で結合される。
【0018】
そして、この内召合せ框j2のガラス嵌合溝gにガラスGの周縁に装着されたグレチャンgcが押入され、その屋外側端部は金属框の屋外端縁woに、屋内側端部は金属框の屋内端縁wiを被覆している係合部17に、それぞれ係止されるが、屋内外の端縁wi,woは強度の大きい金属框に一体に形成されているため、端縁wi,wo間の距離がガラス板から加わることがある大きな力により拡大することはないので、グレチャンgcが屋外端縁wo又は係合部17から外れる恐れがない。
さらに、金属框jm2の屋内端縁wiは、樹脂框の係合部17に被覆されて、屋内側に露出しないので、内召合せ框の断熱性が損なわれることもない。
【0019】
引違い障子の内召合わせ框j2 の見込み幅を小さくするために、樹脂框jp2を一重構造(平板状)に形成した場合、所要の断熱性を維持するには、樹脂框の背面側にリブを設けて金属框の平面との間に断熱空気層を形成することが考えられる。このようなリブを樹脂框に設けた場合は、樹脂框の成形時の残留応力により、樹脂框の屋内側面にリブに沿って延長する細い凹溝(引け)が発生して内召合わせ框の内観を損うことがありうる。
【0020】
この点を考慮して、他の発明においては、図3に明示されているように、金属框jm2 の屋内側中空部hiの屋内側面からガラス嵌合溝gの屋内側端面にかけて、金属框の長手方向に延長する複数条のリブ18が形成され、そのリブで樹脂框jp2を背面から支持している。
これにより、樹脂框jp2 にリブを設ける場合の引けの問題が解決され、また、金属框jm2 に複数条のリブ18を設けたため、金属框、ひいては、召合せ框全体の自体の強度が増大されるとともに、樹脂框と金属框との間にほぼ等しい大きさの断熱空気層19を形成することができるので、内召合わせ框j2 に均質な断熱性が確保され、さらに、樹脂框に中空部を有しないので、框の見込み幅が小さくなる。
【0021】
上記実施の形態による効果を列挙すると、(a)内召合せ框の樹脂框が内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経てガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆するので、金属框は室内側に全く露出しないため、内召合せ框の断熱性が高く、結露が有効に防止され、かつ、内召合せ框の内観が顕著に向上する。また、(b)ガラス嵌合溝の内外両側壁は金属框により形成されているので、金属框と樹脂框からなる断熱障子において召合せ框全体の強度及びガラス板支持強度が確保され、とくにガラス嵌合溝の幅が風圧などにより拡大することが有効に防止されるので、グレチャンが外れる恐れがない。(c)内召合せ框の金属框は、屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とされているので金属框の強度が格段に増大され、内召合せ框の樹脂框は断面L字形の平板状に形成されているので、召合せ框の見込み幅の縮小が可能である。(d)その樹脂框は、内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経てガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆しているので、金属框は室内側に全く露出しないため、結露防止効果が大きく、かつ、内召合せ框の内観が顕著に向上する。(d)グレチャンは両側端が金属框に一体に形成されている内外両端縁に支持されるので、ガラス板支持強度が大きい。従って、ガラス板に強大な風圧がかかっても、樹脂框のグレチャンを係止する部分は、金属框により弾性変形が防止されるので、グレチャンがガラス嵌合溝内に外れることがない。(e)また、樹脂框には、その長手方向に延長するリブを設けたので、樹脂框は一重の断面L字状に形成された樹脂框をより薄肉にしても安定支持することができ、さらに、前記リブにより金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間にほぼ等しい断熱空気層が形成されるので、高い断熱性が得られる。(f)さらに、樹脂框のリブで金属框の平板状部分を支持するので、樹脂框の取付け安定性が良く、強度も安定する。また、前記リブにより断熱空気層をほぼ等しい大きさとすることができ、断熱効果の平均化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、内召合せ框の金属框は、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とされているので、金属框の強度が格段に増大される。また、樹脂框には、長手方向に延長するリブを設けたので、樹脂框は一重の断面L字状に形成された樹脂框をより薄肉にしても安定支持することができ、さらに、前記リブにより金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間にほぼ等しい断熱空気層が形成されるので、高い断熱性が得られる。さらに、図5に示されている従来技術では、樹脂框が中空部を有するため、内召合せ框の戸尻側部分にクレセント錠(図5に図示されているが、符号は付されていない。)を取付ける場合に、取付け強度に劣る難点があった。しかし、本発明では、金属框の戸尻側面の中間壁との接続部よりも屋外側部分において樹脂框を密着させてあるので、その密着部分において内召合せ框の戸尻側面にクレセント錠を取り付ければ、樹脂の変形もないから、従来よりも格段に堅固に取り付けることができる。一方、金属框の戸尻側面の中間壁との接続部よりも屋内側部分には樹脂框との間に断熱空気層が形成されるので、内召合せ框の断熱性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
断熱障子を建て付けた複合サッシの縦断面図である。
【図2】
同じく横断面図である。
【図3】
内召合わせ框の横断面図である。
【図4】
従来の断熱障子を建て付けた複合サッシの縦断面図である。
【図5】
同じく横断面図である。
【図6】
従来の断熱障子の内召合わせ框の横断面図である。
【符号の説明】
F 窓枠
Di,Do 障子
h 上框
hm 金属框
hp 樹脂框
s 下框
sm 金属框
sp 樹脂框
j1 縦框
j2 召合わせ框
jm1 ,jm2 金属框
jp1 ,jp2 樹脂框
g ガラス嵌合溝
wi,wo ガラス嵌合溝を形成する端縁
gc グレチャン
G ガラス板
17 係合部
18 リブ
19 断熱空気層
【発明の名称】 断熱障子
【特許請求の範囲】
【請求項1】 障子框が金属框と、その金属框の屋内側に露出する部分を覆う樹脂框とからなる断熱障子において、
内召合せ框の金属框を、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とするとともに、ガラス嵌合溝の内外両側壁を構成する端縁を設け、
前記内召合せ框の樹脂框を、前記内召合せ框の金属框の屋内側端面形状に沿った一重構造の断面L字形の平板状に形成して、その樹脂框の一端部に前記内召合せ框の金属框の戸尻側面と屋外側面との接続部に設けられた係止溝に係合される係止部を形成するとともに、前記内召合せ框の樹脂框の他端部に前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁を前記ガラス嵌合溝の内側まで覆う状態で前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合される係合部を一体に形成し、前記内召合せ框の樹脂框の前記係止部を前記係止溝に係合すると同時に前記係合部を前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合して、前記内召合せ框の樹脂框により前記内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経て前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆し、さらに樹脂框の屋内側背面部にリブを設けるとともに、金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間に前記リブにより仕切られた断熱空気層を形成し、
前記金属框の戸尻側面の前記中間壁との接続部よりも屋外側部分に前記樹脂框を密着させたことを特徴とする断熱障子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合サッシにおける断熱障子に関し、とくに断熱障子の内召合せ框の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
窓枠が金属枠とその金属枠の屋内側に露出する部分を覆う樹脂枠とからなり、障子框が金属框とその金属框の屋内側に露出する部分を覆う樹脂框とからなる複合サッシが、一例として、実公昭63−49481号公報に記載されている。
このような複合サッシは、金属枠及び金属框が有する耐候性及び機械的強度と、樹脂枠及び樹脂框が有する高い断熱性及び意匠性とを併せ備えているので、とくに寒冷地向けに好評である。
【0003】
とくに寒冷地用仕様で作られ、また、樹脂枠及び樹脂框にも金属枠及び金属框と同様の機械的強度を備えることが要望されていたため、窓枠のみならず障子框にも、とくに屋内側端部に、断熱性向上と強度増大のため中空部を備えた樹脂枠及び樹脂框が用いられていた。
従って、複合サッシ全体の見込み幅が、全金属製の通常サッシの見込み幅よりも、引違いサッシの場合で、例えば40〜50mm程度は大きくならざるを得なかった。
【0004】
これを図面に基づいて、具体的に説明する。図4は引違い窓用の複合サッシの縦断面図、図5は同じく横断面図、図6は内召合せ框部分の詳細図である。
窓枠Fの上枠H及び下枠Sは、それぞれ金属枠Hm,Sm、その金属枠の屋内側に露出される部分を覆う樹脂枠Hp,Spとをスライド嵌合又はこれにビスによる結合を加えて構成され、また、窓枠の左右両縦枠J1 ,J2 は、いずれも同様に、屋外側に露出される金属枠Jm1 ,Jm2 と、その金属枠の屋内側露出部分を覆う樹脂枠Jp1 ,Jp2 とをスライド嵌合又はこれにビスによる結合を加えて構成されている。
そして、樹脂枠Hp,Sp,Jp1 ,Jp2 は、いずれも少なくとも屋内側端部に中空部tfを有しているため、窓枠の見込み幅が従来の全金属製の窓枠又は金属枠の外面を樹脂で被覆した窓枠よりも大きい見込み幅を有している。
【0005】
また、引違い窓の内障子Di,及び外障子Doの上框h、下框s及び縦框j1,j2 のいずれも、屋外側に露出される金属框hm,sm,jm1 ,jm2 と、その金属框の屋内側露出部分を覆う樹脂框hp,sp,jp1 ,jp2 とをスライド嵌合により又はこれにビスによる結合を加えて構成されていて、樹脂框hp,sp,jp1 ,jp2 はいずれも屋内側部分に断熱性向上と強度増大のために中空部tdを有しているため、障子の見込み幅も従来の全金属製又は金属枠の外面を樹脂で被覆した框を用いる障子の見込み幅よりも大きい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、例えば、非寒冷地において、樹脂の意匠性を買って既設の全金属製サッシに代えて複合サッシを取付ける場合は、開口木枠wh,ws,wj1 ,wj2 や化粧枠体DFなど建物躯体に固定される窓回り部材まで、すべて施工し直す必要があり、また、複合サッシを新設する場合も、従来の全金属製サッシに合わせた規格の窓回り部材が使えないので、施工費が嵩むという問題があった。
複合サッシの見込み幅を単に縮小するだけならば、見込み幅増大の原因である中空部を除去すればよいが、単純に中空部を除去するだけでは、サッシの強度不足を招くばかりで、実用に適しない。
【0007】
特に、内召合せ框j2には、暴風時等に強大な風圧(正圧と負圧)が加わることがあるが、従来の召合せ框j2は、図6に内召合せ框の場合について詳細に示すように、ガラス板の周縁を挿入するガラス嵌合溝gが、屋外側壁は金属框jm2の端縁woにより、屋内側壁は樹脂框JP2の端部wiにより形成されていて、ガラス板Gの周縁を保持する、通常合成ゴム製のグレージングチャネル(俗称グレチャン)gcは、一側端が金属框の端縁woに、他側端が樹脂框の端部wiにそれぞれ係合して止められている。
【0008】
しかしながら、ガラス板Gに強大な風圧(正圧)が加わった時は、ガラス板の屋内側面を単独で支持している樹脂框jp2の、とくに端部wiが弾性変形して、ガラス嵌合溝gの幅が僅かに拡大するため、グレチャンgcが樹脂框の端部wiからガラス嵌合溝g内に外れる恐れがある。グレチャンの外れは、その後のグレチャンの破断、ごみや結露水の侵入などの原因になる。
【0009】
ガラス嵌合溝gの幅の拡大を防止するには、ガラス嵌合溝の内外両側壁を金属框で形成すれば良いが、このようにした場合は、金属製の屋内側壁が屋内に露出するため、今度は、召合せ框の断熱性が損なわれるという問題が生じる。上述のように、従来は、断熱障子において、見込み幅を大きくせずに内召合せ框全体の強度及びガラス板支持部の強度を確保し、なおかつ断熱性を維持することは容易でなかった。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その課題は、内召合せ框全体の強度及びガラス板支持部の強度の不足を招くことなく、見込み幅の縮小を可能にし、しかも、断熱性も確保されるようにした断熱障子の内召合せ框を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、障子框が金属框と、その金属框の屋内側に露出する部分を覆う樹脂框とからなる断熱障子において、
内召合せ框の金属框を、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とするとともに、ガラス嵌合溝の内外両側壁を構成する端縁を設け、
前記内召合せ框の樹脂框を、前記内召合せ框の金属框の屋内側端面形状に沿った一重構造の断面L字形の平板状に形成して、その樹脂框の一端部に前記内召合せ框の金属框の戸尻側面と屋外側面との接続部に設けられた係止溝に係合される係止部を形成するとともに、前記内召合せ框の樹脂框の他端部に前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁を前記ガラス嵌合溝の内側まで覆う状態で前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合される係合部を一体に形成し、前記内召合せ框の樹脂框の前記係止部を前記係止溝に係合すると同時に前記係合部を前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁に係合して、前記内召合せ框の樹脂框により前記内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経て前記ガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆し、さらに樹脂框の屋内側背面部にリブを設けるとともに、金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間に前記リブにより仕切られた断熱空気層を形成し、
前記金属框の戸尻側面の前記中間壁との接続部よりも屋外側部分に前記樹脂框を密着させたことを特徴としている。
【0012】
上記構成により、内召合せ框の金属框は、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とされているので、金属框の強度が格段に増大される。また、内召合せ框の樹脂框は断面L字形の平板状に形成されているので、召合せ框の見込み幅の縮小が可能である。その樹脂框は、内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経てガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆しているので、金属框は室内側に全く露出しないため、結露防止効果が大きく、かつ、内召合せ框の内観が顕著に向上する。また、グレチャンは両側端が金属框に一体に形成されている内外両端縁に支持されるので、ガラス板支持強度が大きい。従って、ガラス板に強大な風圧がかかっても、樹脂框のグレチャンを係止する部分は、金属框により弾性変形が防止されるので、グレチャンがガラス嵌合溝内に外れることがない。
また、樹脂框の屋内側背面部にはリブを設けたので、樹脂框は強度が増し、一重の断面L字状に形成された樹脂框をより薄肉にしても安定支持することができ、さらに、前記リブにより金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間にほぼ等しい断熱空気層が形成されるので、高い断熱性が得られる。さらに、金属框の戸尻側面の前記中間壁との接続部よりも屋外側部分に前記樹脂框を密着させてある。従って、その密着部分において内召合せ框の戸尻側面にクレセント錠を取り付ければ、樹脂の変形もないから、従来よりも格段に堅固に取り付けることができる。好ましい実施の形態においては、図3に明示されているように、金属框の戸尻側面の中間壁との接続部よりも屋外側部分が、他の部分よりも厚肉に形成されている。この場合は、内召合せ框の戸尻側部分の強度がさらに増大されるので、大型引き違いサッシにクレセント錠を取り付ける場合に有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、図示の実施例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る複合サッシの縦断面図、図2は同じく横断面図である。
Hmは、耐候性及び機械的強度に優れている金属、例えば、アルミニウム等で成形され、窓枠Fの上枠Hの屋外側に露出される部分を構成する金属枠であり、上枠を上下2か所で建物躯体に固定するための取付縁1,2を有し、また、外障子Doの上框hを案内するレールroの屋外側部分を構成する垂下縁3を有している。Hpは、断熱性と意匠性に優れた、例えば、塩化ビニルやアクリル等の樹脂で成形され、金属枠Hmの屋内側に露出される部分を覆う樹脂枠であり、上枠Hの見込み幅増大の原因にならない上部には中空部4を有し、また、内障子Diの制約された厚みの範囲内で可及的に大きな強度を得るため、外レールroと同様の断面形状を有する中空状の内レールriを有するほかは、外障子Do用上レールroの屋内側部分を構成する垂下縁5及び屋内側端部の垂下縁6は、一重の厚みに形成されて、上枠Hの見込み幅を可及的に小さくされている。そして、上枠Hの外レールroは、金属枠Hmの垂下縁3と樹脂枠Hpの垂下縁5とで、内レールriと等しい断面形状を有している。
【0014】
Smは、下枠Sの屋外側に露出される部分を構成する金属枠であり、下枠を上下2か所で建物躯体に固定するための取付縁7,8を有し、内外の障子Di,Doの下框sを案内する内外のレールri,roを有している。下枠Sは、窓枠自体の荷重及び障子の全荷重を支持するため、窓枠の中では最も大きな強度が要求されるので、金属枠Smは、従来の下枠の金属枠とほぼ同様の形状を備えており、屋内側端部に窓台や膳板に係止される逆L字形の雨返し壁9を有している。そして、雨返し壁9と内レールriとの間の溝10及び金属枠Smの雨返し壁9の上面を覆う樹脂枠Spが溝10に嵌合して装着されている。
【0015】
Jmは、窓枠の縦枠J1 ,J2 の金属枠であり、所要の強度を備えるため、縦枠の屋外側端部から屋内側端部まで連続しており、その金属枠の内障子Diに対応する内側面に樹脂枠Jpが内外2か所での嵌合及び金属枠Jmと樹脂枠Jpを重ね合わせた部分におけるねじ12により結合されている。図4と対比しても明らかなように、縦枠の樹脂枠Jpは、中空部を備えておらず、一重構造であるので、縦枠の見込み幅が縮小されている。
【0016】
次に、上記窓枠Fに建て付けられた引違い障子Di,Doは、上框h及び下框sのいずれにおいても、それぞれ金属框hm,smと、金属框の屋内側露出部分を覆う樹脂框hp,spとを有し、金属框は従来と同様に薄肉に成形され、樹脂框は従来の複合サッシにおける障子よりも可及的に薄肉に形成されて、屋内側に中空部を備えていない。縦框j1 ,j2 は、障子の開閉時に戸当たり部材11を介して窓枠の縦枠J1 ,J2 から強い衝突力を受ける場合があったり、閉鎖状態で強い風圧を受ける場合があるので、それらの衝突力や風圧に耐え得る所要の強度を備えるため、戸先側の縦框j1 の樹脂框jp1 には最小限の厚みを有する中空部tdが形成されている。
【0017】
引違い障子の内召合わせ框j2 は、図3に明示するように、本発明に従い、金属框jm2 に中間壁woを設けて、中空部を屋外側中空部hoと屋内側中空部hiとに面内方向に2分割した構成とされている。また、金属框jm2にガラス嵌合溝gの屋内側壁と屋外側壁を構成する端縁wi,woが設けてある。
そして、金属框jm2の屋内側露出部分を覆う樹脂框jp2は、金属框jm2の戸尻側壁12と屋内側壁13とを覆う断面L字形に形成され、かつ、中空部を有しない一重構造である。樹脂框jm2の屋外側端部には、金属框jm2の屋外側面から屋外方向に突出するフィン状のタイト材14が一体に形成してあり、その樹脂框jp2の屋外側端部には、金属框jm2の戸尻側面の屋外側端部に設けられた係止溝15に係合する係止部16が形成され、さらに、樹脂框jp2の金属框jm2の屋内側壁13を覆う部分の先端に、金属框jp2の屋内側壁をガラス嵌合溝gの内側まで被覆する係合部17が一体に形成してあり、樹脂框は係合部17で金属框の屋内側端縁wiを被覆し、かつ、係止部16を係止溝15に嵌合することにより、金属框jm2に、その屋内側面を覆った状態で結合される。
【0018】
そして、この内召合せ框j2のガラス嵌合溝gにガラスGの周縁に装着されたグレチャンgcが押入され、その屋外側端部は金属框の屋外端縁woに、屋内側端部は金属框の屋内端縁wiを被覆している係合部17に、それぞれ係止されるが、屋内外の端縁wi,woは強度の大きい金属框に一体に形成されているため、端縁wi,wo間の距離がガラス板から加わることがある大きな力により拡大することはないので、グレチャンgcが屋外端縁wo又は係合部17から外れる恐れがない。
さらに、金属框jm2の屋内端縁wiは、樹脂框の係合部17に被覆されて、屋内側に露出しないので、内召合せ框の断熱性が損なわれることもない。
【0019】
引違い障子の内召合わせ框j2 の見込み幅を小さくするために、樹脂框jp2を一重構造(平板状)に形成した場合、所要の断熱性を維持するには、樹脂框の背面側にリブを設けて金属框の平面との間に断熱空気層を形成することが考えられる。このようなリブを樹脂框に設けた場合は、樹脂框の成形時の残留応力により、樹脂框の屋内側面にリブに沿って延長する細い凹溝(引け)が発生して内召合わせ框の内観を損うことがありうる。
【0020】
この点を考慮して、他の発明においては、図3に明示されているように、金属框jm2 の屋内側中空部hiの屋内側面からガラス嵌合溝gの屋内側端面にかけて、金属框の長手方向に延長する複数条のリブ18が形成され、そのリブで樹脂框jp2を背面から支持している。
これにより、樹脂框jp2 にリブを設ける場合の引けの問題が解決され、また、金属框jm2 に複数条のリブ18を設けたため、金属框、ひいては、召合せ框全体の自体の強度が増大されるとともに、樹脂框と金属框との間にほぼ等しい大きさの断熱空気層19を形成することができるので、内召合わせ框j2 に均質な断熱性が確保され、さらに、樹脂框に中空部を有しないので、框の見込み幅が小さくなる。
【0021】
上記実施の形態による効果を列挙すると、(a)内召合せ框の樹脂框が内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経てガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆するので、金属框は室内側に全く露出しないため、内召合せ框の断熱性が高く、結露が有効に防止され、かつ、内召合せ框の内観が顕著に向上する。また、(b)ガラス嵌合溝の内外両側壁は金属框により形成されているので、金属框と樹脂框からなる断熱障子において召合せ框全体の強度及びガラス板支持強度が確保され、とくにガラス嵌合溝の幅が風圧などにより拡大することが有効に防止されるので、グレチャンが外れる恐れがない。(c)内召合せ框の金属框は、屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とされているので金属框の強度が格段に増大され、内召合せ框の樹脂框は断面L字形の平板状に形成されているので、召合せ框の見込み幅の縮小が可能である。(d)その樹脂框は、内召合せ框の金属框の屋外側面の一部から戸尻側面及び屋内側面を経てガラス嵌合溝の屋内側端縁までを被覆しているので、金属框は室内側に全く露出しないため、結露防止効果が大きく、かつ、内召合せ框の内観が顕著に向上する。(d)グレチャンは両側端が金属框に一体に形成されている内外両端縁に支持されるので、ガラス板支持強度が大きい。従って、ガラス板に強大な風圧がかかっても、樹脂框のグレチャンを係止する部分は、金属框により弾性変形が防止されるので、グレチャンがガラス嵌合溝内に外れることがない。(e)また、樹脂框には、その長手方向に延長するリブを設けたので、樹脂框は一重の断面L字状に形成された樹脂框をより薄肉にしても安定支持することができ、さらに、前記リブにより金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間にほぼ等しい断熱空気層が形成されるので、高い断熱性が得られる。(f)さらに、樹脂框のリブで金属框の平板状部分を支持するので、樹脂框の取付け安定性が良く、強度も安定する。また、前記リブにより断熱空気層をほぼ等しい大きさとすることができ、断熱効果の平均化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
上述のように、本発明によれば、内召合せ框の金属框は、これに中間壁を設けて中空部を屋外側中空部と屋内側中空部とに面内方向に二分割した構成とされているので、金属框の強度が格段に増大される。また、樹脂框には、長手方向に延長するリブを設けたので、樹脂框は一重の断面L字状に形成された樹脂框をより薄肉にしても安定支持することができ、さらに、前記リブにより金属框の屋内側壁と樹脂框の屋内側壁との間にほぼ等しい断熱空気層が形成されるので、高い断熱性が得られる。さらに、図5に示されている従来技術では、樹脂框が中空部を有するため、内召合せ框の戸尻側部分にクレセント錠(図5に図示されているが、符号は付されていない。)を取付ける場合に、取付け強度に劣る難点があった。しかし、本発明では、金属框の戸尻側面の中間壁との接続部よりも屋外側部分において樹脂框を密着させてあるので、その密着部分において内召合せ框の戸尻側面にクレセント錠を取り付ければ、樹脂の変形もないから、従来よりも格段に堅固に取り付けることができる。一方、金属框の戸尻側面の中間壁との接続部よりも屋内側部分には樹脂框との間に断熱空気層が形成されるので、内召合せ框の断熱性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
断熱障子を建て付けた複合サッシの縦断面図である。
【図2】
同じく横断面図である。
【図3】
内召合わせ框の横断面図である。
【図4】
従来の断熱障子を建て付けた複合サッシの縦断面図である。
【図5】
同じく横断面図である。
【図6】
従来の断熱障子の内召合わせ框の横断面図である。
【符号の説明】
F 窓枠
Di,Do 障子
h 上框
hm 金属框
hp 樹脂框
s 下框
sm 金属框
sp 樹脂框
j1 縦框
j2 召合わせ框
jm1 ,jm2 金属框
jp1 ,jp2 樹脂框
g ガラス嵌合溝
wi,wo ガラス嵌合溝を形成する端縁
gc グレチャン
G ガラス板
17 係合部
18 リブ
19 断熱空気層
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