JP2000143539A - 小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制剤 - Google Patents

小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制剤

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JP2000143539A
JP2000143539A JP10314529A JP31452998A JP2000143539A JP 2000143539 A JP2000143539 A JP 2000143539A JP 10314529 A JP10314529 A JP 10314529A JP 31452998 A JP31452998 A JP 31452998A JP 2000143539 A JP2000143539 A JP 2000143539A
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Tomohiro Kobayashi
知博 小林
Hideki Yanagi
秀樹 柳
Takashi Yura
隆 由良
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Abstract

(57)【要約】 【課題】癌、動脈硬化症または嚢胞性線維症の進展等と
密接に関連する小胞体シャペロンの発現抑制剤および小
胞体シャペロンの発現亢進または新生分泌蛋白質もしく
は膜蛋白質の分泌不全を伴う前記疾患の治療薬または予
防薬を提供すること。 【解決手段】ATP感受性カリウムチャンネルオープナ
ーを含有してなる小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制
剤、前記発現抑制剤を有効成分として含有する、小胞体
シャペロン遺伝子の発現亢進を伴う疾患の治療薬または
予防薬、ならびに前記発現抑制剤を有効成分として含有
する、新生分泌蛋白質もしくは膜蛋白質の分泌不全を伴
う疾患の治療薬または予防薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小胞体シャペロン
遺伝子の発現抑制剤に関する。さらに詳しくは、ATP
感受性カリウムチャンネルオープナー等を含有する小胞
体シャペロン遺伝子の発現抑制剤またはかかる発現抑制
剤を有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】小胞体内腔に局在する分子シャペロンに
はGRP78、GRP94、ORP150、カルレティ
キュリン等が知られており、いずれも分泌蛋白質や膜蛋
白質の小胞体内での折畳みに重要な役割を担っている。
さらに、これらの小胞体シャペロンは、細胞がグルコー
ス飢餓や低酸素に曝されたときのほか、新生蛋白質への
糖鎖付加を阻害したり、小胞体内のカルシウム貯蔵を低
下させたときに転写レベルで誘導されることが知られて
おり(Gething, M.-J. & Sambrook, J. (1992) Nature
355, 33-45) 、小胞体内に折畳みが異常になった蛋白質
が蓄積することが誘導の引き金になっていることが明ら
かにされている(Kozutsumi,Y. et al., (1988) Nature
332, 462-464 )。すなわち、小胞体シャペロンは、通常
時の小胞体内での蛋白質の折畳みを助ける機能に加え
て、ストレス条件下では量的に増加し細胞に保護的作用
を果たしていると考えられている。
【0003】癌細胞では小胞体シャペロンの発現レベル
が高く、例えば細胞内GRP78レベルと癌の大きさが
よく相関しているとの報告(Cai, J. -W. et al., (199
3) J. Cell. Physiol. 154, 229-237)や、アンチセンス
法によりGRP78の発現を抑制すると細胞障害性T細
胞(CTL)や腫瘍壊死因子(TNF)に対する感受性
が高まったり(Sugawara, S. et al., (1993) Cancer R
es. 53, 6001-6005)、マウスへの生着が悪く、生着して
もすぐに退縮する(Jamora, C. et al., (1996)Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 93, 7690-7694)との報告がある。
【0004】また、動脈硬化巣に浸潤しているマクロフ
ァージでORP150が強く誘導されていること、アン
チセンスオリゴヌクレオチドで処理してORP150の
発現を抑制していたマクロファージは低酸素、特に変性
LDL(低密度リポ蛋白質)存在下での低酸素暴露で生
存率が低下することが示されている(Tsukamoto, Y.et
al., (1996) J. Clin. Invest. 98, 1930-1941)。動脈
硬化巣のマクロファージは、腫瘍壊死因子(TNF)、
インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン
−6(IL−6)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血
小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング
増殖因子(TGF−β)などのサイトカインを遊離し、
動脈硬化巣における細胞間応答の中心に位置づけられ、
動脈硬化の進展に大きな役割を果たしていると考えられ
ている。
【0005】嚢胞性線維症は、嚢胞性線維症膜貫通調節
蛋白質(cystic fibrosis transmembrane conductance r
egulator; CFTR)遺伝子の変異に基づく遺伝性疾患
で、最も多くみられる変異は508番フェニルアラニン
の欠失(Δ508F)である(Welsh, M. J. & Smith,
A. E. (1993) Cell 73, 1251-1254)。CFTRΔ508
Fは、糖鎖付加が異常になり、小胞体からゴルジに輸送
されず分解されてしまう。しかし、低温では、小胞体か
ら漏れて細胞膜に局在し、Δ508F変異体でも活性を
示すことが報告されている(Denning, G. M. et al.,
(1992) Nature 358, 761-764)。小胞体での新生膜蛋白
質の品質管理の厳密性を適度に緩めることができれば、
CFTRΔ508Fを細胞膜に局在させ、機能させるこ
とが可能と考えられる。
【0006】このような観点から、小胞体シャペロンの
発現を抑制する活性を有する物質は、癌、動脈硬化症、
さらには嚢胞性線維症の治療薬または予防薬となり得る
ことが期待される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、癌、
動脈硬化症または嚢胞性線維症の進展等と密接に関連す
る小胞体シャペロンの発現抑制剤を提供することにあ
る。本発明のさらなる目的は、癌、動脈硬化症、嚢胞性
線維症等の小胞体シャペロンの発現亢進を伴う疾患また
は新生分泌蛋白質もしくは膜蛋白質の分泌不全を伴う疾
患の治療薬または予防薬を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】小胞体シャペロンを代表
するGRP78やORP150は、肝臓や膵臓で比較的
高レベルに発現している(Ikeda, J. et al., (1997) B
iochem. Biophys. Res. Commun. 230, 94-99) 。また、
膵臓ベータ細胞由来のMIN6細胞株(Miyazaki, J. e
t al. (1990) Endocrinology 127, 126-132)は、培地中
のグルコース濃度に依存してインスリンを分泌する。そ
こで、常時インスリン分泌が刺激されている状態にある
MIN6細胞中では、小胞体シャペロンの発現レベルが
高く保たれているのではないかと考え、種々の細胞株で
の発現レベルをウエスタンブロッティングで調べると、
予想どおりMIN6細胞株においては、他の繊維芽細胞
株やリンパ球系細胞株に比べてGRP78やORP15
0の発現レベルが高いことがわかった。
【0009】一方、グルコースによるインスリン分泌機
構については、その全容がほぼ明らかにされている(Coo
k, D. L. et al., (1988) Diabetes 37, 495-498; Raja
n, A. S. et al., (1990) Diabetes Care 13, 340-36
3)。すなわち、まずグルコーストランスポーターである
GLUT2を介して膵臓ベータ細胞内に取り込まれたグ
ルコースは、グルコキナーゼにより6位にリン酸化を受
けたのち解糖系に入り、TCAサイクルを経て、ミトコ
ンドリア内での酸化的リン酸化によりATPが産生され
る。このATP濃度またはATP/ADP比の上昇によ
りATP感受性カリウムチャンネルが閉鎖する。それに
より細胞膜のカリウムイオンの透過性が低下して脱分極
を生じ、電位依存性カルシウムチャンネルが活性化さ
れ、細胞内にカルシウムイオンが流入する。このように
して生じた細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が引金に
なって、エキソサイトーシスによりインスリンが分泌さ
れる。
【0010】本発明者らは、インスリン分泌経路を阻害
するATP感受性カリウムチャンネルオープナーでMI
N6細胞株を処理したときのORP150やGRP78
の発現レベルを検討したところ、ATP感受性カリウム
チャンネルオープナーは、ORP150とGRP78の
発現をいずれも低下させることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0011】すなわち、本発明の要旨は、(1) AT
P感受性カリウムチャンネルオープナーを含有してなる
小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制剤、(2) 前記
(1)記載の小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制剤を有
効成分として含有する、小胞体シャペロン遺伝子の発現
亢進を伴う疾患の治療薬または予防薬、および(3)
前記(1)記載の小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制剤
を有効成分として含有する、新生分泌蛋白質もしくは膜
蛋白質の分泌不全を伴う疾患の治療薬または予防薬、に
関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、ATP感受性カリウム
チャンネルオープナーを含有する小胞体シャペロン遺伝
子の発現抑制剤を提供する。
【0013】本発明においてATP感受性カリウムチャ
ンネルオープナーとは、細胞内のATP濃度に依存して
カリウムイオンの細胞膜通過機能を有するチャンネルを
開口させる物質をいう。
【0014】ATP感受性カリウムチャンネルオープナ
ーとしては、ミノキシジル、ジアゾキシド、クロマカリ
ム、ニコランジル、ピナシジル等の薬剤が挙げられる
が、小胞体シャペロン遺伝子の発現を抑制するという観
点から、ミノキシジル、ジアゾキシドまたはクロマカリ
ムが好ましく、これらを単独でまたは2種以上を併用し
てもよい。また、小胞体シャペロン遺伝子の発現を抑制
する作用を有する限り、前記薬剤の誘導体を用いてもよ
い。
【0015】式(I):
【0016】
【化1】
【0017】で表されるミノキシジル〔6−(1−ピペ
リジニル)−2,4−ピリミジンジアミン3−オキシ
ド〕は、ピリミジン核を有する化合物であり、降圧作用
を有する化合物としても知られている。ミノキシジルの
誘導体としては、ピリミジン核の6位のピペリジン基の
アミン、置換1級もしくは2級アミン、またはピペリジ
ンを除く窒素含有飽和複素環への置換、同2位のアミン
のメチル基への置換、同3位の酸素の硫酸化およびこれ
らの組合せによる誘導体等が挙げられる。
【0018】式(II):
【0019】
【化2】
【0020】で表されるジアゾキシド〔7−クロロ−3
−メチル−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン1,
1−ジオキシド〕は、ベンゾチアジアジン核を有する化
合物であり、降圧作用を有する化合物としても知られて
いる。ジアゾキシドの誘導体としては、ベンゾチアジア
ジン核の3位のメチル基のエチルまたはt−ブチル基へ
の置換、同7位の塩素原子の臭素原子、三フッ化炭素基
等の他の電子吸引基への置換、同6位への塩素原子、臭
素原子、三フッ化炭素基等の他の電子吸引基の付加およ
びこれらの組合せによる誘導体等が挙げられる。
【0021】式(III ):
【0022】
【化3】
【0023】で表されるクロマカリム〔3,4−ジヒド
ロ−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−4−(2−オ
キソ−1−ピロリジニル)−2H−1−ベンゾピラン−
6−カルボニトリル〕は、ベンゾピラン核を有する化合
物であり、降圧作用を有する化合物としても知られてい
る。クロマカリムの誘導体としては、ベンゾピラン核の
6位のシアノ基の三フッ化炭素等の他の電子吸引基への
置換、同4位の2−オキソ−ピロリジル基の他の環状ア
ミド基(但し、クロマカリムの2−オキソと等価な酸素
原子を含む)または脂肪族アミド基への置換およびこれ
らの組合せによる誘導体等が挙げられる。ベンゾピラン
核の3位と4位の炭素がキラルである場合は、トランス
体が好ましく、キラル誘導体を生じさせないために、3
位と4位間の結合は、二重結合であってもよい。また、
ベンゾピラン核のベンゾ環は、ピリジン環であってもよ
い。
【0024】前記ATP感受性カリウムチャンネルオー
プナーは、市販品、例えば、ミノキシジルは和光純薬工
業(株)製、ジアゾキシドは和光純薬工業(株)製、ク
ロマカリムはシグマ社製等を利用することができる。ま
た、前記誘導体は、通常の化学合成法により、容易に合
成することができる。なお、市販のクロマカリムは、ト
ランスエナンチオマーの混合物であり、より生理活性な
(−)−3S,4Rのトランス体のみからなるレマカリ
ム(スミスクラインビーチャム製)も本発明に用いるこ
とができる。
【0025】本発明において、小胞体シャペロン遺伝子
とは、小胞体内腔に局在し、分泌蛋白質や膜蛋白質の小
胞体内での折畳みに重要な役割を担っている分子シャペ
ロン遺伝子をいい、ORP150遺伝子(Ikeda, J. et
al. (1997) Biochem. Biophys. Res. Commun., 230, 9
4-99)、GRP94遺伝子(Maki, R. G. et al. (199
0) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 5658-5662)、G
RP78遺伝子(Ting,J. and Lee, A. S. (1988) DNA,
7, 275-286)、カルレティキュリン遺伝子(Rokeach,
L. A. et al. (1991) J. Immunol. 147, 3031-3039)等
が挙げられるが、癌細胞や動脈硬化の組織等で高発現し
ているORP150遺伝子、GRP94遺伝子またはG
RP78遺伝子が好ましい。
【0026】本発明の発現抑制剤の「発現抑制」とは、
通常の検出方法(例えば、ノーザンブロッティング、ウ
エスタンブロッティング等)において、発現抑制剤で処
理した細胞中の当該シャペロン遺伝子転写物または産物
の量が未処理の細胞中のものよりも減少することをい
う。
【0027】かかる発現抑制は、実施例1に記載のよう
に、当該発現抑制剤の除去により回復するので、可逆的
な作用である。
【0028】本発明の小胞体シャペロン遺伝子の発現抑
制剤に有効成分として含有される前記ATP感受性カリ
ウムチャンネルオープナーの含有量としては、小胞体シ
ャペロン遺伝子の発現を抑制する限りいかなる量でもよ
く、例えば、50〜100重量%が好ましい。
【0029】本発明の小胞体シャペロン遺伝子の発現抑
制剤は、前記ATP感受性カリウムチャンネルオープナ
ーを溶解させるために、製剤学上許容される溶媒を含ん
でもよい。
【0030】本発明の小胞体シャペロン遺伝子の発現抑
制剤は、小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制を介して、
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)やTNFによる細胞死
に対する感受性を高めたり、低酸素または低グルコース
等のストレスに対する感受性を高める効果を奏する。ま
た、小胞体での新生分泌蛋白質や膜蛋白質の品質管理の
厳密性を緩める効果を奏する。このように、本発明の小
胞体シャペロン遺伝子の発現抑制剤は、従来にない新し
い作用機序に基づき、癌、動脈硬化等の小胞体シャペロ
ン遺伝子の発現亢進を伴う疾患、さらには嚢胞性線維症
等の新生分泌蛋白質もしくは膜蛋白質の分泌不全を伴う
疾患の治療薬または予防薬として有用であると考えられ
る。また、本発明の小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制
剤は、細胞生物学、生化学、分子生物学分野における研
究用試薬としての用途も期待される。
【0031】また、本発明は、前記小胞体シャペロン遺
伝子発現抑制剤を有効成分として含有する、癌、動脈硬
化等の小胞体シャペロン遺伝子の発現亢進を伴う疾患、
ならびに嚢胞性線維症等の新生分泌蛋白質もしくは膜蛋
白質の分泌不全を伴う疾患の治療薬または予防薬を提供
する。
【0032】前記治療薬または予防薬は、必要に応じて
担体、安定化剤、吸収促進剤等を添加し、錠剤、散剤、
顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、外用
剤、点滴剤等の形状にすることができる。
【0033】前記治療薬または予防薬は、単独で投与し
てもよいし、他の医薬とともに投与してもよい。
【0034】本発明の治療薬または予防薬中のATP感
受性カリウムチャンネルオープナーの投与量は、治療ま
たは予防目的の疾患、患者の年齢、体重等により適宜調
整することができるが、通常、1回当たり0.1mg〜
1000mg、好ましくは、1mg〜500mgであ
り、目的に応じて投与回数を決定することが好ましい。
【0035】本発明の治療薬または予防薬は、ATP感
受性カリウムチャンネルオープナーを有効成分として含
有するので、降圧作用も有する。したがって、顕著な降
圧作用を生ぜず、かつ、小胞体シャペロン遺伝子の発現
抑制効果を奏するように、投与量および投与方法を定め
ることが特に好ましい。治療対象の部位に集中的に到達
させることがさらに好ましい。
【0036】このようにして、本発明の治療薬または予
防薬は、小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制を介して、
癌、動脈硬化症等の小胞体シャペロン遺伝子の発現亢進
を伴う疾患、または嚢胞性線維症等の新生分泌蛋白質も
しくは膜蛋白質の分泌不全を伴う疾患を治療または予防
することができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。特に明記しない限り、以下の実施例
は、Sambrook, J.ら著、Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory
Press, New York, 1989年発行、Ausubel, F. M.ら編、
Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley
and Sons, Inc. 等に記載の方法で行った。
【0038】実施例1 ミノキシジルのORP150に対する時間依存的な発現
抑制効果 55mM2−メルカプトエタノールおよび15%ウシ胎
仔血清を含むDMEM(ギブコ社製)中で通常の条件下
で培養したMIN6細胞株(Miyazaki, J. etal. (199
0) Endocrinology 127, 126-132)に、ジメチルスルホキ
シドに溶解したミノキシジル(和光純薬(株)製)を添
加し(最終濃度:100μM)、培養を続けた。次い
で、経時的(0〜21時間後)に前記細胞をTNE緩衝
液(10mMトリス、1%NP40、5mM EDT
A、1mM PMSF、pH7.5)を用いて溶解し、
細胞溶解液を調製した。前記溶解液中の蛋白質量をブラ
ッドフォード(Bradford)法(プロテインアッセイキッ
ト、バイオラッド社製)により定量し、試料緩衝液(6
2.5mMトリス、2%SDS、5%2−メルカプトエ
タノール、10%グリセロール、pH6.8)を用い
て、蛋白質濃度を0.5μg/mlとなるように調整し
た。100℃で5分間煮沸した後、各試料を5μgずつ
SDS−PAGEにより展開し、常法によりウエスタン
ブロッティングを行ない、PVDF膜(クリアブロット
膜、アトー製)に蛋白質を転写した。転写した膜を5%
スキムミルクにてブロッキングし、ウサギ抗ORP15
0抗体(Tsukamoto, Y. et al.(1998) Lab. Invest., 7
8, 699-706)、さらにヤギアルカリホスファターゼ標識
抗ウサギ抗体(バイソースインターナショナル社製)と
反応させ、当該膜を2〜3回PBS/0.1%Twee
TM20により洗浄した後、NBT/BCIPストック
溶液(ベーリンガーマンハイム社製)によりORP15
0量を可視化した。画像解析ソフトNIHImageに
より蛋白質量を定量し、ミノキシジル添加前を対照(1
00%)として、各ORP150の発現量をグラフ化し
た(図1)。
【0039】さらに、ミノキシジルが可逆的な効果を示
すかどうかについて、下記の実験を行なった。即ち、前
記ミノキシジル添加の21時間後、細胞を培地で洗浄
し、さらに3時間インキュベートして前記と同様に細胞
溶解液を調製して、ORP150の発現量をグラフ化し
た(図1)。
【0040】図1より、ミノキシジルは、時間依存的に
ORP150の発現を抑制することが示された。また、
ミノキシジルを培地から除去した場合、ORP150の
発現が回復することから、ミノキシジルのORP150
の発現抑制作用は、可逆的であることが示唆される。
【0041】実施例2 ミノキシジルのORP150に対する濃度依存的な発現
抑制効果 実施例1において、ミノキシジルを種々の濃度(最終濃
度:0、10または100μM)で添加して24時間イ
ンキュベーションを続けること以外は実施例1と同様に
して、ORP150の発現量を調べた(図2)。
【0042】図2より、ミノキシジルは、濃度依存的に
ORP150の発現を抑制することが示された。
【0043】実施例3 ジアゾキシドのORP150に対する濃度依存的な発現
抑制効果 ジアゾキシド(和光純薬(株)製)をジメチルスルホキ
シドに溶解し、種々の濃度(最終濃度:0〜300μ
M)でMIN6細胞株に添加して、実施例2と同様にO
RP150の発現量を調べた(図3)。
【0044】図3より、ジアゾキシドも、濃度依存的に
ORP150の発現を抑制することが示された。
【0045】実施例4 クロマカリムのORP150に対する濃度依存的な発現
抑制効果 クロマカリム(シグマ社製)をジメチルスルホキシドに
溶解し、種々の濃度(最終濃度:0〜300μM)でM
IN6細胞株に添加して、実施例2と同様にORP15
0の発現量を調べた(図4)。
【0046】図4より、クロマカリムも、濃度依存的に
ORP150の発現を抑制することが示された。
【0047】実施例5 ジアゾキシドおよびミノキシジルのGRP78に対する
濃度依存的な発現抑制効果 実施例1と同様に、種々の濃度(最終濃度:0〜300
μM)のジアゾキシドおよびミノキシジルをMIN6細
胞株に添加し、24時間後に細胞溶解液を調製して、ウ
エスタンブロッティングを行なった。一次抗体として、
ウサギ抗ORP150抗体の代わりにウサギ抗GRP7
8抗体(SPA−826、ストレスジェン社製)を使用
すること以外は実施例1と同様にして、各濃度における
GRP78の発現量を調べた(図5)。
【0048】図5より、ジアゾキシドおよびミノキシジ
ルは、濃度依存的にGRP78の発現を抑制することが
示された。
【0049】
【発明の効果】本発明により、小胞体シャペロン遺伝子
の発現抑制剤が提供され、癌、動脈硬化症または嚢胞性
線維症の進展等に関わる小胞体シャペロンの役割が解明
される。さらに、小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制剤
を有効成分として含有する医薬は、癌、動脈硬化症等の
小胞体シャペロン遺伝子の発現亢進を伴う疾患、さらに
は嚢胞性線維症等の新生分泌蛋白質もしくは膜蛋白質の
分泌不全を伴う疾患の有効な治療薬または予防薬となり
得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ミノキシジルのORP150に対する
発現抑制を経時的に調べたグラフである。グラフの右端
のカラムは、ミノキシジルを洗浄除去したときの結果を
示す。0時間におけるORP150の発現量を100%
として、各発現量を数値化した。
【図2】図2は、ミノキシジルのORP150に対する
濃度依存的な発現抑制を調べたグラフである。ミノキシ
ジル無添加時のORP150の発現量を100%とし
て、各発現量を数値化した。
【図3】図3は、ジアゾキシドのORP150に対する
濃度依存的な発現抑制を調べたグラフである。ジアゾキ
シド無添加時のORP150の発現量を100%とし
て、各発現量を数値化した。
【図4】図4は、クロマカリムのORP150に対する
濃度依存的な発現抑制を調べたグラフである。クロマカ
リム無添加時のORP150の発現量を100%とし
て、各発現量を数値化した。
【図5】図5は、ミノキシジルおよびジアゾキシドのG
RP78に対する濃度依存的な発現抑制を調べたグラフ
である。薬剤無添加時のGRP78の発現量を100%
として、各発現量を数値化した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 31/506 A61K 31/40 604 31/54 31/505 601 // C07D 239/50 31/54 285/24 C07D 239/50 405/04 207 285/24 405/04 207 Fターム(参考) 4C036 AD05 AD13 AD30 4C063 AA01 CC79 DD03 EE01 4C084 AA17 NA14 ZA451 ZA452 ZB211 ZB212 ZB261 ZB262 ZC411 ZC412 ZC801 ZC802 4C086 BC08 BC42 BC89 MA01 MA04 NA14 ZA45 ZB21 ZB26 ZC41 ZC80

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ATP感受性カリウムチャンネルオープ
    ナーを含有してなる小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制
    剤。
  2. 【請求項2】 ATP感受性カリウムチャンネルオープ
    ナーがミノキシジル、ジアゾキシドもしくはクロマカリ
    ムまたは小胞体シャペロン遺伝子の発現抑制作用を有す
    るそれらの誘導体である請求項1記載の発現抑制剤。
  3. 【請求項3】 小胞体シャペロン遺伝子がORP15
    0、GRP94またはGRP78遺伝子である請求項1
    または2記載の発現抑制剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれか記載の小胞体シャ
    ペロン遺伝子の発現抑制剤を有効成分として含有する、
    小胞体シャペロン遺伝子の発現亢進を伴う疾患の治療薬
    または予防薬。
  5. 【請求項5】 該疾患が癌または動脈硬化症である請求
    項4記載の治療薬または予防薬。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3いずれか記載の小胞体シャ
    ペロン遺伝子の発現抑制剤を有効成分として含有する、
    新生分泌蛋白質もしくは膜蛋白質の分泌不全を伴う疾患
    の治療薬または予防薬。
  7. 【請求項7】 該疾患が嚢胞性線維症である請求項6記
    載の治療薬または予防薬。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002000222A1 (en) * 2000-06-26 2002-01-03 Novo Nordisk A/S Use of potassium channel agonists for the treatment of cancer
US7767652B2 (en) 2004-07-21 2010-08-03 Medtronic, Inc. Medical devices and methods for reducing localized fibrosis
WO2012039197A1 (ja) * 2010-09-24 2012-03-29 学校法人日本大学 Trail感受性増強剤
JP2013064616A (ja) * 2011-09-15 2013-04-11 Osaka Univ 高度動脈硬化を発症している可能性を検出する方法およびその利用

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