JP2000140102A - 2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与方法 - Google Patents
2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与方法Info
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- JP2000140102A JP2000140102A JP10323903A JP32390398A JP2000140102A JP 2000140102 A JP2000140102 A JP 2000140102A JP 10323903 A JP10323903 A JP 10323903A JP 32390398 A JP32390398 A JP 32390398A JP 2000140102 A JP2000140102 A JP 2000140102A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、外槽液と内槽液をそれぞれ混合しな
いで人体に注入することができ、しかも注射器全体がプ
ラスチックで形成されるため、ガラス製注射器と異な
り、焼却廃棄処分が可能となると共に、薬液を長時間に
亘って安定に維持でき、しかも薬液の投与操作を大幅に
簡略化できる2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防
止方法および薬液の投与方法を提供すること。 【解決手段】注射器外筒と、該注射器外筒の内部に固設
された注射器内筒とから構成され、前記注射器外筒と前
記注射器内筒との間隙を外槽とし、前記注射器内筒内を
内槽とすることを特徴とする2槽式注射器。また、注射
器外筒と、該注射器外筒の内部に固設された注射器内筒
とから構成され、前記注射器外筒と前記注射器内筒との
間隙に還元剤を充填した外槽と、前記注射器内筒内に薬
液を充填した内槽とから構成されることを特徴とする薬
液充填済み2槽式注射器。
いで人体に注入することができ、しかも注射器全体がプ
ラスチックで形成されるため、ガラス製注射器と異な
り、焼却廃棄処分が可能となると共に、薬液を長時間に
亘って安定に維持でき、しかも薬液の投与操作を大幅に
簡略化できる2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防
止方法および薬液の投与方法を提供すること。 【解決手段】注射器外筒と、該注射器外筒の内部に固設
された注射器内筒とから構成され、前記注射器外筒と前
記注射器内筒との間隙を外槽とし、前記注射器内筒内を
内槽とすることを特徴とする2槽式注射器。また、注射
器外筒と、該注射器外筒の内部に固設された注射器内筒
とから構成され、前記注射器外筒と前記注射器内筒との
間隙に還元剤を充填した外槽と、前記注射器内筒内に薬
液を充填した内槽とから構成されることを特徴とする薬
液充填済み2槽式注射器。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2槽式注射器、これを
用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与方法に関
し、特に薬液を長時間に亘って安定に維持できると共
に、薬液の投与操作を大幅に簡略化できる2槽式注射
器、これを用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与
方法に関するものである。
用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与方法に関
し、特に薬液を長時間に亘って安定に維持できると共
に、薬液の投与操作を大幅に簡略化できる2槽式注射
器、これを用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与
方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来から、薬液や栄養剤などを予め注射器
に充填し、保管し、簡単な操作で容器そのものが注射器
となり得る薬液充填済み注射器が数多く提案されている
(特表昭60−501193号、特表昭61−5020
99号、特表平1−502086号、特公昭62−25
389号公報等)。
に充填し、保管し、簡単な操作で容器そのものが注射器
となり得る薬液充填済み注射器が数多く提案されている
(特表昭60−501193号、特表昭61−5020
99号、特表平1−502086号、特公昭62−25
389号公報等)。
【0003】また、一つの注射器兼容器内に二種類の薬
剤、例えば薬剤と溶剤又は薬液と薬液等を保存し、薬剤
の投与に際して両者を混合又は溶解して投与できるよう
にした注射器が数多く提案されている(特開平3−82
476号、特開平4−96762号公報等)。
剤、例えば薬剤と溶剤又は薬液と薬液等を保存し、薬剤
の投与に際して両者を混合又は溶解して投与できるよう
にした注射器が数多く提案されている(特開平3−82
476号、特開平4−96762号公報等)。
【0004】しかしながら、上記した従来の注射器は、
いずれも注射器中の二種の薬剤の混合手段の改良を目的
としているに止まり、単槽式容器内の薬液の保存上の問
題に関しては、全く考慮されていない。
いずれも注射器中の二種の薬剤の混合手段の改良を目的
としているに止まり、単槽式容器内の薬液の保存上の問
題に関しては、全く考慮されていない。
【0005】この問題を解決することを目的として微生
物や異物を無菌濾過により除去した薬液を無菌的に充填
し、薬液の長期安定化を図ることのできるプラスチック
製注射器(特開平7−231936号公報)、微生物や
ウイルスの混入を防止して2種の薬液を1個の注射器に
よる1回の注射操作で連続して注射できる2室式容器兼
用注射器(特開平7−39582号公報)、2または3
容器を結合して一つの注射器兼容器からなり、各容器の
結合が容易かつ強固で密封性が高く薬液の長期安定化を
図れる多室式注射器(特開平9−154955号公報)
が提案されている。
物や異物を無菌濾過により除去した薬液を無菌的に充填
し、薬液の長期安定化を図ることのできるプラスチック
製注射器(特開平7−231936号公報)、微生物や
ウイルスの混入を防止して2種の薬液を1個の注射器に
よる1回の注射操作で連続して注射できる2室式容器兼
用注射器(特開平7−39582号公報)、2または3
容器を結合して一つの注射器兼容器からなり、各容器の
結合が容易かつ強固で密封性が高く薬液の長期安定化を
図れる多室式注射器(特開平9−154955号公報)
が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記注
射器は、加熱滅菌や混合することで劣化する薬液の安定
性の向上を目的としているに過ぎず、いずれもプラスチ
ックで成形されてなるにもかかわらず、酸素透過性に伴
う薬液の劣化については、全く考慮されていない。
射器は、加熱滅菌や混合することで劣化する薬液の安定
性の向上を目的としているに過ぎず、いずれもプラスチ
ックで成形されてなるにもかかわらず、酸素透過性に伴
う薬液の劣化については、全く考慮されていない。
【0007】酸素透過性に伴う薬液の劣化を防止する手
段としては、一般に最も確実でしかも簡単な方法として
ガラス製の注射器を用いたり、アルミパックで被覆した
り、真空パックする方法が取られているのが実状であ
る。
段としては、一般に最も確実でしかも簡単な方法として
ガラス製の注射器を用いたり、アルミパックで被覆した
り、真空パックする方法が取られているのが実状であ
る。
【0008】しかしながら、ガラス製の注射器を用いた
場合には、焼却廃棄処理ができないため、プラスチック
製注射器の利点が失われる。一方、アルミパックや真空
パックを用いた場合には、薬液、特に造影剤を投与する
際に必ず行われる静脈の確保や投与後のフラッシングを
一度に行うことができず、煩雑な操作を必要としてい
た。
場合には、焼却廃棄処理ができないため、プラスチック
製注射器の利点が失われる。一方、アルミパックや真空
パックを用いた場合には、薬液、特に造影剤を投与する
際に必ず行われる静脈の確保や投与後のフラッシングを
一度に行うことができず、煩雑な操作を必要としてい
た。
【0009】従って本発明は、このような従来の課題に
着目してなされたものであって、酸素透過性に伴う薬液
の酸化を防止できるため、薬液を長時間に亘って安定に
維持できると共に、静脈の確保や投与後のフラッシング
を一本の注射器で一度に行うことができるので、薬液の
投与操作を大幅に簡略化できる焼却廃棄可能なプラスチ
ック製の2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防止方
法および薬液の投与方法を提供することを目的とする。
着目してなされたものであって、酸素透過性に伴う薬液
の酸化を防止できるため、薬液を長時間に亘って安定に
維持できると共に、静脈の確保や投与後のフラッシング
を一本の注射器で一度に行うことができるので、薬液の
投与操作を大幅に簡略化できる焼却廃棄可能なプラスチ
ック製の2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防止方
法および薬液の投与方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究した結果、注射器内の内槽に薬液
を充填し、注射器内の外槽に薬液の酸化を防止する還元
剤を充填することにより、焼却廃棄可能なプラスチック
製注射器の利点を維持しつつ、薬液を長時間に亘って安
定に維持できると共に、薬液の投与操作を大幅に簡略化
できることを見い出し、本発明に到達した。
を解決すべく鋭意研究した結果、注射器内の内槽に薬液
を充填し、注射器内の外槽に薬液の酸化を防止する還元
剤を充填することにより、焼却廃棄可能なプラスチック
製注射器の利点を維持しつつ、薬液を長時間に亘って安
定に維持できると共に、薬液の投与操作を大幅に簡略化
できることを見い出し、本発明に到達した。
【0011】本発明の2槽式注射器は、注射器外筒と、
該注射器外筒の内部に固設された注射器内筒とから構成
され、前記注射器外筒と前記注射器内筒との間隙を外槽
とし、前記注射器内筒内を内槽とすることを特徴とす
る。
該注射器外筒の内部に固設された注射器内筒とから構成
され、前記注射器外筒と前記注射器内筒との間隙を外槽
とし、前記注射器内筒内を内槽とすることを特徴とす
る。
【0012】また、本発明の薬液充填済み2槽式注射器
は、注射器外筒と、該注射器外筒の内部に固設された注
射器内筒とから構成され、前記注射器外筒と前記注射器
内筒との間隙に還元剤を充填した外槽と、前記注射器内
筒内に薬液を充填した内槽とから構成されることを特徴
とする。
は、注射器外筒と、該注射器外筒の内部に固設された注
射器内筒とから構成され、前記注射器外筒と前記注射器
内筒との間隙に還元剤を充填した外槽と、前記注射器内
筒内に薬液を充填した内槽とから構成されることを特徴
とする。
【0013】更に、本発明の薬液の酸化防止方法は、注
射器内の内槽に薬液を充填し、該注射器内の外槽に該薬
液の酸化を防止する還元剤を充填することを特徴とす
る。
射器内の内槽に薬液を充填し、該注射器内の外槽に該薬
液の酸化を防止する還元剤を充填することを特徴とす
る。
【0014】加えて、本発明の薬液の投与方法は、注射
器内の外槽に充填された還元剤および必要に応じて生理
食塩水で薬液を投与する前に静脈を確保し、次いで前記
注射器内の内槽に充填された前記薬液を前記静脈に投与
し、更に前記注射器内の前記外槽に充填された前記還元
剤および必要に応じて生理食塩水で内槽バイパスに残存
する前記薬液をフラッシングすることを特徴とする。
器内の外槽に充填された還元剤および必要に応じて生理
食塩水で薬液を投与する前に静脈を確保し、次いで前記
注射器内の内槽に充填された前記薬液を前記静脈に投与
し、更に前記注射器内の前記外槽に充填された前記還元
剤および必要に応じて生理食塩水で内槽バイパスに残存
する前記薬液をフラッシングすることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の2槽式注射器は、注射器
外筒と注射器内筒との間隙を外層とし、注射器内筒内を
内槽としてそれぞれ構成されている。このような本発明
の2槽式注射器によれば、外槽液と内槽液が混合するこ
となく、別々に人体に投与することができる。
外筒と注射器内筒との間隙を外層とし、注射器内筒内を
内槽としてそれぞれ構成されている。このような本発明
の2槽式注射器によれば、外槽液と内槽液が混合するこ
となく、別々に人体に投与することができる。
【0016】本発明の薬液充填済み2槽式注射器は、薬
液を充填した内槽と、薬液の酸化を防止する還元剤を充
填した外層とから構成される。本発明の構成によれば、
酸素不透過性のガラス製注射器やアンプルと略同等の酸
化防止効果が得られ、しかも注射器全体がプラスチック
で形成されるため、ガラス製注射器と異なり、焼却廃棄
処分が可能となる。
液を充填した内槽と、薬液の酸化を防止する還元剤を充
填した外層とから構成される。本発明の構成によれば、
酸素不透過性のガラス製注射器やアンプルと略同等の酸
化防止効果が得られ、しかも注射器全体がプラスチック
で形成されるため、ガラス製注射器と異なり、焼却廃棄
処分が可能となる。
【0017】本発明の薬液の投与方法によれば、静脈の
確保、薬液の投与および投与後のフラッシングを一本の
注射器で一度に行うことができるので、従来のアルミパ
ックや真空パックを用いた方法と異なり、薬液の投与操
作を大幅に簡略化することができる。
確保、薬液の投与および投与後のフラッシングを一本の
注射器で一度に行うことができるので、従来のアルミパ
ックや真空パックを用いた方法と異なり、薬液の投与操
作を大幅に簡略化することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
るが、本発明はこれによって限定されるものではない。
るが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0019】図1は、本発明の2槽式注射器の一実施例
を示す概略図である。図1において、1は2槽式注射
器、2は注射器外筒、3は注射器内筒、4は外槽、5は
内槽、6はプランジャ−、7は外槽液(還元剤)注出用
ロッド、8は内槽液(薬液)注出用ロッド、9は外層バ
イパス、10は内槽バイパス、11は三方コック、12
は注出口を示す。
を示す概略図である。図1において、1は2槽式注射
器、2は注射器外筒、3は注射器内筒、4は外槽、5は
内槽、6はプランジャ−、7は外槽液(還元剤)注出用
ロッド、8は内槽液(薬液)注出用ロッド、9は外層バ
イパス、10は内槽バイパス、11は三方コック、12
は注出口を示す。
【0020】本発明の2槽式注射器1は、略円筒状に成
形した形状を有し、その材質は焼却廃棄可能な限り特に
限定されないが、この種の技術分野で一般的に使用され
ている素材を用いることが好ましい。その具体例として
は、環状オレフィン系化合物、架橋多環式炭化水素系化
合物を重合体成分とする樹脂を含有する樹脂、またはオ
レフィン系化合物を重合体成分とする樹脂を挙げること
ができる。
形した形状を有し、その材質は焼却廃棄可能な限り特に
限定されないが、この種の技術分野で一般的に使用され
ている素材を用いることが好ましい。その具体例として
は、環状オレフィン系化合物、架橋多環式炭化水素系化
合物を重合体成分とする樹脂を含有する樹脂、またはオ
レフィン系化合物を重合体成分とする樹脂を挙げること
ができる。
【0021】このような樹脂としては、オレフィン系樹
脂および/または合成ゴム類との混合物であることがで
き、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール、エチ
レン−ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ナイロン等が挙げられる。
脂および/または合成ゴム類との混合物であることがで
き、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール、エチ
レン−ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、ナイロン等が挙げられる。
【0022】まず、本発明の2槽式注射器の形態につい
て説明する。この2槽式注射器1は、注射器外筒2とそ
の内部に固設された注射器内筒3とから構成されてい
る。本発明においては、注射器外筒2と注射器内筒3と
の間隙を外槽4とし、注射器内筒3内を内槽5としてそ
れぞれ形成されている。
て説明する。この2槽式注射器1は、注射器外筒2とそ
の内部に固設された注射器内筒3とから構成されてい
る。本発明においては、注射器外筒2と注射器内筒3と
の間隙を外槽4とし、注射器内筒3内を内槽5としてそ
れぞれ形成されている。
【0023】プランジャー6は、外槽液を押進できるよ
うに外槽液(還元剤)注出用ロッド7と、内槽液を押進
できるように内槽液(薬液)注出用ロッド8とから形成
されている。また、注射注出口9は、外槽液を通過させ
る外槽バイパス10と、内槽液を通過させる内槽バイパ
ス11とが互いに接触しないように形成されている。こ
のように注射注出口9は、内槽液と外槽液が互いに接触
しないように形成されている限り、特に制限されない
が、三方コック12などが好ましいものとして使用しう
る。
うに外槽液(還元剤)注出用ロッド7と、内槽液を押進
できるように内槽液(薬液)注出用ロッド8とから形成
されている。また、注射注出口9は、外槽液を通過させ
る外槽バイパス10と、内槽液を通過させる内槽バイパ
ス11とが互いに接触しないように形成されている。こ
のように注射注出口9は、内槽液と外槽液が互いに接触
しないように形成されている限り、特に制限されない
が、三方コック12などが好ましいものとして使用しう
る。
【0024】次に、本発明の薬液充填済み2槽式注射器
において、外槽に還元剤を充填し、内槽に薬液を充填し
た場合の形態について説明する。外槽4には、内槽5に
充填された薬液の酸化を防止する還元剤が充填されてい
る。本発明に係る還元剤は、公知の還元剤の中から適宜
選択して使用することができる。その具体例としては、
例えばアスコルビン酸、グルコース、カロチン、トコフ
ェノール、チオ−グリコール酸、チオ−マレート、シス
テイン、N−アセチルシステイン、ヒドロキシルアミ
ン、2−メルカプトエタノール、還元型グルタチオン、
ジチオトレイトール、ジチオエルトリオール、臭化2−
アミノエチルイソチオウロニウムおよびチオグリセロー
ル、または薬学上許容し得るそれらの塩類もしくはそれ
らのエステル類からなる群から選択される少なくとも1
種が挙げられる。
において、外槽に還元剤を充填し、内槽に薬液を充填し
た場合の形態について説明する。外槽4には、内槽5に
充填された薬液の酸化を防止する還元剤が充填されてい
る。本発明に係る還元剤は、公知の還元剤の中から適宜
選択して使用することができる。その具体例としては、
例えばアスコルビン酸、グルコース、カロチン、トコフ
ェノール、チオ−グリコール酸、チオ−マレート、シス
テイン、N−アセチルシステイン、ヒドロキシルアミ
ン、2−メルカプトエタノール、還元型グルタチオン、
ジチオトレイトール、ジチオエルトリオール、臭化2−
アミノエチルイソチオウロニウムおよびチオグリセロー
ル、または薬学上許容し得るそれらの塩類もしくはそれ
らのエステル類からなる群から選択される少なくとも1
種が挙げられる。
【0025】還元剤の濃度は、薬液の酸化を防止し得る
限り特に制限されないが、2〜30w/v%の範囲であ
ることが好ましい。還元剤の濃度が2w/v%未満にな
ると、十分な薬液の酸化防止効果が得られず、逆に30
w/v%を超えると、人体に投与する際に不都合を生ず
る。
限り特に制限されないが、2〜30w/v%の範囲であ
ることが好ましい。還元剤の濃度が2w/v%未満にな
ると、十分な薬液の酸化防止効果が得られず、逆に30
w/v%を超えると、人体に投与する際に不都合を生ず
る。
【0026】本発明においては、還元剤が充填された外
槽4に更に必要に応じて生理食塩水を充填しても良い。
この生理食塩水は、薬液の酸化防止効果は得られない
が、後述する静脈の確保や残存する薬液のフラッシング
に効果的な作用を有する。生理食塩水の量は、還元剤の
還元作用を低下させない範囲で適宜勘案して選択すれば
良い。
槽4に更に必要に応じて生理食塩水を充填しても良い。
この生理食塩水は、薬液の酸化防止効果は得られない
が、後述する静脈の確保や残存する薬液のフラッシング
に効果的な作用を有する。生理食塩水の量は、還元剤の
還元作用を低下させない範囲で適宜勘案して選択すれば
良い。
【0027】本発明の薬液充填済み2槽式注射器の内槽
5に充填された薬液も、空気酸化されやすい薬液であれ
ば特に制限なく使用することができるが、中でも造影
剤、栄養剤またはリンゲル液が好ましい。
5に充填された薬液も、空気酸化されやすい薬液であれ
ば特に制限なく使用することができるが、中でも造影
剤、栄養剤またはリンゲル液が好ましい。
【0028】更に、本発明の投与方法について説明す
る。まず、注射器1内の外槽4に充填された還元剤およ
び必要に応じて生理食塩水を注出口9を通して静脈に注
入することによって薬液を投与する前に静脈を確保す
る。この際、内槽5に充填された薬液が混入しないよう
に、注出口9は外槽4に充填された還元剤と内槽5に充
填された薬液とが互いに接触しないように形成されてい
る。注出口9の構成は、外槽4に充填された還元剤と内
槽5に充填された薬液とが互いに接触しないように形成
されている限り、公知の手段を取り得るが、特に三方コ
ック12が好ましい。
る。まず、注射器1内の外槽4に充填された還元剤およ
び必要に応じて生理食塩水を注出口9を通して静脈に注
入することによって薬液を投与する前に静脈を確保す
る。この際、内槽5に充填された薬液が混入しないよう
に、注出口9は外槽4に充填された還元剤と内槽5に充
填された薬液とが互いに接触しないように形成されてい
る。注出口9の構成は、外槽4に充填された還元剤と内
槽5に充填された薬液とが互いに接触しないように形成
されている限り、公知の手段を取り得るが、特に三方コ
ック12が好ましい。
【0029】この三方コック12を操作して外槽液(還
元剤)注出用ロッド8を押進させて外槽バイパス9を通
して外槽4に充填された還元剤および必要に応じて生理
食塩水を静脈内に注入する。
元剤)注出用ロッド8を押進させて外槽バイパス9を通
して外槽4に充填された還元剤および必要に応じて生理
食塩水を静脈内に注入する。
【0030】次いで、三方コック7を操作して内槽液
(薬液)注出用ロッド10を押進させて外層バイパス1
1を通して内槽5に充填された薬液のみを静脈内に投与
する。薬液投与後、再度三方コック12を操作して外槽
液(還元剤)注出用ロッド8を押進させて外槽バイパス
9を通して外槽4に充填された還元剤および必要に応じ
て生理食塩水をフラッシングして外槽バイパス11に残
存する薬液を静脈内に注入する。
(薬液)注出用ロッド10を押進させて外層バイパス1
1を通して内槽5に充填された薬液のみを静脈内に投与
する。薬液投与後、再度三方コック12を操作して外槽
液(還元剤)注出用ロッド8を押進させて外槽バイパス
9を通して外槽4に充填された還元剤および必要に応じ
て生理食塩水をフラッシングして外槽バイパス11に残
存する薬液を静脈内に注入する。
【0031】実施例1 本発明の薬液充填済み2槽式注
射器を用いた酸化防止効果 「商品名:CZシリンジ(材質:ポリプロピレン)」を
用いて図1に示すような本発明の2槽式注射器1を作成
した。内槽5には、造影剤{リンパ節造影用MRI造影
剤EK−5908(商品名:フェリデックス)}を充填
し、外槽4には、10%のアスコルビン酸、生理食塩水
および蒸留水をそれぞれ充填した。比較対照として溶液
を充填しない空のものも作成した。
射器を用いた酸化防止効果 「商品名:CZシリンジ(材質:ポリプロピレン)」を
用いて図1に示すような本発明の2槽式注射器1を作成
した。内槽5には、造影剤{リンパ節造影用MRI造影
剤EK−5908(商品名:フェリデックス)}を充填
し、外槽4には、10%のアスコルビン酸、生理食塩水
および蒸留水をそれぞれ充填した。比較対照として溶液
を充填しない空のものも作成した。
【0032】このようにして作成した2槽式注射器1を
60℃のインキュベーション内で7日間、14日間保存
し、内槽5に充填した造影剤の2価鉄含量を、超常磁性
酸化鉄結晶を硫酸で溶解し、2,2’−ビピリジルと混
合した後、分光光度計{島津製作所(株)製:UV-220
0}を用いて波長522nmで測定した。
60℃のインキュベーション内で7日間、14日間保存
し、内槽5に充填した造影剤の2価鉄含量を、超常磁性
酸化鉄結晶を硫酸で溶解し、2,2’−ビピリジルと混
合した後、分光光度計{島津製作所(株)製:UV-220
0}を用いて波長522nmで測定した。
【0033】その結果を図2に示す。図2に示すよう
に、外槽にアスコルビン酸を充填したものでは、14日
間略100%近く酸化防止効果が得られたことが判る。
これに対し、生理食塩水、蒸留水および溶液を充填しな
い空のものでは、著しく酸化防止効果が低下することが
判る。このことは、本発明の外槽液としてアスコルビン
酸を充填した場合にのみ所定の効果が見られることか
ら、内槽に充填した造影剤に対する酸素分子の接近を単
に物理的に阻害するのではなく、酸素分子を化学的に不
活性化していることを示唆している。
に、外槽にアスコルビン酸を充填したものでは、14日
間略100%近く酸化防止効果が得られたことが判る。
これに対し、生理食塩水、蒸留水および溶液を充填しな
い空のものでは、著しく酸化防止効果が低下することが
判る。このことは、本発明の外槽液としてアスコルビン
酸を充填した場合にのみ所定の効果が見られることか
ら、内槽に充填した造影剤に対する酸素分子の接近を単
に物理的に阻害するのではなく、酸素分子を化学的に不
活性化していることを示唆している。
【0034】実施例2 本発明の薬液充填済み2槽式注
射器を用いた酸化防止効果 比較対象として造影剤(商品名:フェリデックス)を封
入したアンプルを用いた以外は、実施例1と全く同様に
して造影剤のpHの変化を調べた。その結果を図3に示
す。図3に示すように、外層4にアスコルビン酸を充填
したものでは、比較対照としてアンプルを用いた場合と
略同等の酸化防止効果が得られたことが判る。これに対
し、生理食塩水、蒸留水および溶液を充填しない空のも
のでは、著しく酸化防止効果が低下することが判る。
射器を用いた酸化防止効果 比較対象として造影剤(商品名:フェリデックス)を封
入したアンプルを用いた以外は、実施例1と全く同様に
して造影剤のpHの変化を調べた。その結果を図3に示
す。図3に示すように、外層4にアスコルビン酸を充填
したものでは、比較対照としてアンプルを用いた場合と
略同等の酸化防止効果が得られたことが判る。これに対
し、生理食塩水、蒸留水および溶液を充填しない空のも
のでは、著しく酸化防止効果が低下することが判る。
【0035】
【発明の効果】本発明は、外槽液を充填した外槽と、内
槽液を充填した内槽とから構成される2槽式注射器を提
供することができる。従って本発明の2槽式注射器によ
れば、外槽液と内槽液をそれぞれ混合しないで人体に注
入することができる。
槽液を充填した内槽とから構成される2槽式注射器を提
供することができる。従って本発明の2槽式注射器によ
れば、外槽液と内槽液をそれぞれ混合しないで人体に注
入することができる。
【0036】本発明は、薬液を充填した内槽と、薬液の
酸化を防止する還元剤を充填した外槽とから構成される
薬液充填済み2槽式注射器を提供することができる。従
って本発明の薬液充填済み2槽式注射器によれば、ガラ
ス製の注射器やアンプルと略同等の酸化防止効果が得ら
れると共に、しかも注射器全体がプラスチックで形成さ
れるため、ガラス製注射器と異なり、焼却廃棄処分が可
能となる。
酸化を防止する還元剤を充填した外槽とから構成される
薬液充填済み2槽式注射器を提供することができる。従
って本発明の薬液充填済み2槽式注射器によれば、ガラ
ス製の注射器やアンプルと略同等の酸化防止効果が得ら
れると共に、しかも注射器全体がプラスチックで形成さ
れるため、ガラス製注射器と異なり、焼却廃棄処分が可
能となる。
【0037】本発明の薬液の投与方法によれば、静脈の
確保、薬液の投与および投与後のフラッシングを一本の
注射器で一度に行うことができるので、従来のアルミパ
ックや真空パックを用いた方法と異なり、薬液の投与操
作を大幅に簡略化することができる。
確保、薬液の投与および投与後のフラッシングを一本の
注射器で一度に行うことができるので、従来のアルミパ
ックや真空パックを用いた方法と異なり、薬液の投与操
作を大幅に簡略化することができる。
【図1】本発明の2槽式注射器の概略図である。
【図2】本発明の2槽式注射器を用いた酸化防止効果
(2価鉄の減少)を示すグラフである。
(2価鉄の減少)を示すグラフである。
【図3】本発明の2槽式注射器を用いた酸化防止効果
(pHの低下)を示すグラフである。
(pHの低下)を示すグラフである。
1 2槽式注射器 2 注射器外筒 3 注射器内筒 4 外槽 5 内槽 6 プランジャ− 7 外層液(還元剤)注出用ロッド 8 内槽液(薬液)注出用ロッド 9 注出口 10 外槽バイパス 11 内槽バイパス 12 三方コック
Claims (16)
- 【請求項1】注射器外筒と、該注射器外筒の内部に固設
した注射器内筒とから構成され、前記注射器外筒と前記
注射器内筒との間隙を外槽とし、前記注射器内筒内を内
槽とすることを特徴とする2槽式注射器。 - 【請求項2】プランジャーが外槽液注出用ロッドと、内
槽液注出用ロッドとから構成されている請求項1記載の
2槽式注射器。 - 【請求項3】注射器注出口が外槽液を通過させる外槽バ
イパスと、内槽液を通過させる内槽バイパスとが互いに
接触しないように形成されてなる請求項1または2記載
の2槽式注射器。 - 【請求項4】注射器注出口に三方コックが設けられてい
る請求項3記載の2槽式注射器。 - 【請求項5】注射器が焼却廃棄可能なプラスチックで形
成されてなる請求項1乃至4記載の2槽式注射器。 - 【請求項6】注射器外筒と、該注射器外筒の内部に固設
した注射器内筒とから構成され、前記注射器外筒と前記
注射器内筒との間隙に還元剤を充填した外槽と、前記注
射器内筒内に薬液を充填した内槽とから構成されること
を特徴とする薬液充填済み2槽式注射器。 - 【請求項7】プランジャーが外槽に充填された還元剤を
押進させる外槽注出用ロッドと、内槽に充填された薬液
を押進させる内槽注出用ロッドとから構成されている請
求項6記載の薬液充填済み2槽式注射器。 - 【請求項8】注射器注出口が外槽に充填された還元剤と
内槽に充填された薬液とが互いに接触しないように形成
されてなる請求項6または7記載の薬液充填済み2槽式
注射器。 - 【請求項9】注射器注出口に三方コックが設けられてい
る請求項8記載の薬液充填済み2槽式注射器。 - 【請求項10】注射器が焼却廃棄可能なプラスチックで
形成されてなる請求項6乃至9記載の薬液充填済み2槽
式注射器。 - 【請求項11】還元剤が充填された外槽に更に生理食塩
水を充填した請求項6乃至10記載の薬液充填済み2槽
式注射器。 - 【請求項12】還元剤がアスコルビン酸、グルコース、
カロチン、トコフェノール、チオ−グリコール酸、チオ
−マレート、システイン、N−アセチルシステイン、ヒ
ドロキシルアミン、2−メルカプトエタノール、還元型
グルタチオン、ジチオトレイトール、ジチオエルトリオ
ール、臭化2−アミノエチルイソチオウロニウムおよび
チオグリセロール、または薬学上許容し得るそれらの塩
類もしくはそれらのエステル類からなる群から選択され
る少なくとも1種である請求項6乃至11記載の薬液充
填済み2槽式注射器。 - 【請求項13】薬液が造影剤、栄養剤またはリンゲル液
である請求項6乃至12記載の薬液充填済み2槽式注射
器。 - 【請求項14】注射器内の内槽に薬液を充填し、該注射
器内の外槽に該薬液の酸化を防止する還元剤を充填する
ことを特徴とする薬液の酸化防止方法。 - 【請求項15】還元剤の濃度が2〜30w/v%の範囲
である請求項14記載の薬液の酸化防止方法。 - 【請求項16】注射器内の外槽に充填された還元剤およ
び必要に応じて生理食塩水で薬液を投与する前に静脈を
確保し、次いで前記注射器内の内槽に充填された前記薬
液を前記静脈に投与し、更に前記注射器内の前記外槽に
充填された前記還元および必要に応じて生理食塩水で内
槽バイパスに残存する前記薬液をフラッシングすること
を特徴とする薬液の投与方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10323903A JP2000140102A (ja) | 1998-11-13 | 1998-11-13 | 2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10323903A JP2000140102A (ja) | 1998-11-13 | 1998-11-13 | 2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000140102A true JP2000140102A (ja) | 2000-05-23 |
Family
ID=18159908
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10323903A Pending JP2000140102A (ja) | 1998-11-13 | 1998-11-13 | 2槽式注射器、これを用いた薬液の酸化防止方法および薬液の投与方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000140102A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007082634A (ja) * | 2005-09-20 | 2007-04-05 | En Otsuka Pharmaceutical Co Ltd | 栄養組成物の投与装置 |
WO2007129445A1 (ja) * | 2006-04-19 | 2007-11-15 | Nemoto Kyorindo Co., Ltd. | シリンジ、薬液注入装置 |
-
1998
- 1998-11-13 JP JP10323903A patent/JP2000140102A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007082634A (ja) * | 2005-09-20 | 2007-04-05 | En Otsuka Pharmaceutical Co Ltd | 栄養組成物の投与装置 |
WO2007129445A1 (ja) * | 2006-04-19 | 2007-11-15 | Nemoto Kyorindo Co., Ltd. | シリンジ、薬液注入装置 |
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