JP2000138055A5 - - Google Patents
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Description
【書類名】 明細書
【発明の名称】 非水電解質電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、
当該端子の接続用雌ねじ部に当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製のヘリサートが装着されたことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項2】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、
当該端子の接続用雌ねじ部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブの外周に形成された雄ねじを螺着したことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項3】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用穴部が形成されると共に、
当該端子の接続用穴部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブを嵌入固着したことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項4】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雄ねじ部又は接続用突出部が形成されると共に、
当該端子の接続用雄ねじ部又は接続用突出部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、外周に雄ねじ部が形成された貫通筒状又は蓋付き筒状のスリーブの内周に形成された雌ねじを螺着又はこのスリーブを外嵌固着したことを特徴とする非水電解質電池。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極端子にアルミニウム材等を用いた非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車等に用いる大型大容量の長円筒形巻回型の発電要素1を備えた非水電解質二次電池の構造例を説明する。この発電要素1は、図7に示すように、帯状の正極1aと負極1bを帯状のセパレータ1cを介して長円筒形に巻回して構成したものである。正極1aは、アルミニウム箔の下端部を除く表面にリチウムコバルト複合酸化物等の正極活物質を塗布したものであり、負極1bは、銅箔の上端部を除く表面にグラファイト等の負極活物質を塗布したものである。これらの正極1aと負極1bは、それぞれ上下に少しずつずらして巻回することにより、下方には正極1aのアルミニウム箔が露出した下端部を突出させると共に、上方には負極1bの銅箔が露出した上端部を突出させている。
【0003】
上記発電要素1には、図7及び図8に示すように、負極集電体2と正極集電体4とが接続固定される。負極集電体2は、銅板をプレス加工して一端部に集電部2aを形成したものであり、他端部には銅材の負極端子3がかしめ等により接続固定されている。また、正極集電体4は、アルミニウム板をプレス加工して下方の一端部に集電部4aを形成したものであり、そこから上方に引き出した他端部にアルミニウム材の正極端子5がかしめにより接続固定されている。これらの負極端子3や正極端子5は、負極集電体2や正極集電体4の板面の上部に円筒形の本体を突設したものであり、この円筒形の本体の途中に予めそれぞれセラミックスリング7を介してアルミニウムリング8を外嵌固定しセラミックス・ハーメチック・シールを施している。なお、負極集電体2や正極集電体4の円筒形の本体とセラミックスリング7の間、及び、このセラミックスリング7とアルミニウムリング8との間は、金属ロウ材等による封止材により封止固定される。負極端子3は、集電部2aに発電要素1の上方に突出する負極1bの上端部の銅箔をそれぞれ挟み込んで超音波溶接やレーザ溶接等により接続固定される。また、正極集電体4も、集電部4aに発電要素1の下方に突出する正極1aの下端部のアルミニウム箔をそれぞれ挟み込んで超音波溶接やレーザ溶接等により接続固定される。
【0004】
上記負極集電体2と正極集電体4を接続固定した発電要素1は、図9に示すような長円筒形の電池ケース6に収納されて密閉される。電池ケース6は、長円筒形容器状のケース本体部6aの上端開口部に、長円形板状の蓋部6bを嵌め込んでTIG溶接やレーザ溶接等により封止固着したものである。この際、蓋部6bには、予め2箇所の開口孔に下方から負極端子3と正極端子5の円筒形の本体の上端部を挿入すると共に、セラミックスリング7を介したアルミニウムリング8を嵌合させてTIG溶接やレーザ溶接等により封止固着する。従って、例えば正極端子5の場合には、図10に示すように、下端部のかしめ用突起5cが正極集電体4にかしめられて接続固定されると共に、円筒形の本体の上端部が蓋部6bの開口孔から上方に突出し、この開口孔に嵌合させたアルミニウムリング8の内周部のセラミックスリング7により絶縁封口される。また、負極端子3も同様にして負極集電体2に接続固定されると共に蓋部6bの開口孔に絶縁封口される。
【0005】
上記正極端子5には、円筒形の本体に上端面に開口する接続用雌ねじ部5aが形成されている。そして、ここに圧着端子9を通してボルト10を螺着することにより、この圧着端子9に圧着された外部のケーブル14を電池ケース6内部の発電要素1の正極1aに接続することができる。また、負極端子3にも同様の接続用雌ねじ部が形成されて、外部のケーブルが接続できるようになっている。
【0006】
ここで、非水電解質二次電池では、上記のように正極端子5に純アルミニウム材を用い、負極端子3に純銅材を用いるのが一般的である。即ち、正極端子5は、正極1aや正極集電体4と同様に非水電解液中で正の電位を持つので、これによる耐腐食性を考慮すると共に、正極1aのアルミニウム箔との溶接性も考慮して、同種のアルミニウム材を用いる。また、負極端子3は、負極1bや負極集電体2と同様に非水電解液中で負の電位を持つので、これによる耐腐食性を考慮すると共に、負極1bの銅箔との溶接性も考慮して、同種の銅材を用いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、アルミニウムは金属材料としては強度が弱いため、これを正極端子5に用いると、ケーブル14を接続するためのボルト10を強く締め付けすぎた場合や何度もボルト10の着脱を繰り返したような場合に、接続用雌ねじ部5aのねじ山が破損し電池の接続ができなくなるおそれがあるという問題があった。
【0008】
また、この問題を解消するために、図11に示すように、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雌ねじ部5aに予め鉄鋼やステンレス鋼等の強度の高い金属製の接続金具11の下端部に突設した雄ねじを螺着しておき、この接続金具11の本体に形成した雌ねじにボルト10等を螺着するようにした場合もあった。しかし、このような接続金具11を用いると、正極端子5の蓋部6bからの突出量が大きくなり、電池の設置スペースに無駄が多くなるという新たな問題が生じる。
【0009】
なお、上記問題は、正極端子5に接続用雌ねじ部5aが穿設された場合に限らず、接続用雄ねじ部が突設された場合にも同様に発生する。また、アルミニウム材の正極端子5に限らず、ステンレス鋼等に比べて強度の弱い銅材を用いた負極端子3にも同様に発生する。
【0010】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、アルミニウムや銅等の端子に鉄鋼やステンレス鋼等の強度の高い金属製のねじを装着することにより、ねじ山が破損するおそれのない非水電解質電池を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、当該端子の接続用雌ねじ部に当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製のヘリサートが装着されたことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、端子の接続用雌ねじ部にボルト等をねじ込むとヘリサートに螺着されることになるので、このボルト等を強く締め付けたり着脱を繰り返しても接続用雌ねじ部やヘリサートのねじ山が破損するようなことがなくなる。
【0013】
請求項2の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、当該端子の接続用雌ねじ部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブの外周に形成された雄ねじを螺着したことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、端子の金属材料よりも強度の高い金属製のスリーブの内周の雌ねじ部にボルト等が螺着されるので、このボルト等を強く締め付けたり着脱を繰り返しても接続用雌ねじ部やスリーブのねじ山が破損するようなことがなくなる。
【0015】
請求項3の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用穴部が形成されると共に、当該端子の接続用穴部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブを嵌入固着したことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、端子の金属材料よりも強度の高い金属製のスリーブの内周の雌ねじ部にボルト等が螺着されるので、このボルト等を強く締め付けたり着脱を繰り返してもスリーブのねじ山が破損するようなことがなくなる。
【0017】
請求項4の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雄ねじ部又は接続用突出部が形成されると共に、当該端子の接続用雄ねじ部又は接続用突出部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、外周に雄ねじ部が形成された貫通筒状又は蓋付き筒状のスリーブの内周に形成された雌ねじを螺着又はこのスリーブを外嵌固着したことを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明によれば、端子の金属材料よりも強度の高い金属製のスリーブの外周の雄ねじ部にナット等が螺着されるので、このナット等を強く締め付けたり着脱を繰り返してもスリーブ等のねじ山が破損するようなことがなくなる。スリーブは、端子の接続用雄ねじ部に螺着し、又は、接続用突出部に確実に外嵌されて固着される。
【0019】
上記各請求項の端子は、強度の弱いアルミニウム又はアルミニウム合金を用いた正極端子である場合に限らず、ステンレス鋼等に比べれば比較的強度の弱い銅又は銅合金を用いた負極端子の場合でも、同様にヘリサートやスリーブを取り付けることにより、ねじ山の破損を防止することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1〜図2は本発明の第1実施形態を示すものであって、図1は正極端子にヘリサートを装着する際の縦断面図、図2はヘリサートを装着した正極端子にボルトを取り付ける際の縦断面図である。なお、図7〜図11に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0022】
本実施形態は、図7〜図9に示した従来例と同様の非水電解質二次電池について説明する。この非水電解質二次電池の正極端子5は、アルミニウム材からなり、図1に示すように、円筒形の本体に上端面に開口する接続用雌ねじ部5aが形成されている。ただし、図10の従来例で示した接続用雌ねじ部5aがM8の大きさであるとすれば、本実施形態の接続用雌ねじ部5aは、M10の大きさの雌ねじとする。この正極端子5は、下端部にフランジ部5bが形成されると共に、フランジ部5bの下端面からかしめ用突起5cが突設されている。そして、このかしめ用突起5cを正極集電体4の開口孔に挿入してかしめることにより、正極端子5を接続固定している。また、この正極端子5は、予め円筒形の本体の途中にロウ付けによりセラミックスリング7を介してアルミニウムリング8を外嵌固定しセラミックス・ハーメチック・シールを施しておき、蓋部6bの開口孔に下方からこの円筒形の本体の上端部を挿入すると共に、セラミックスリング7を介したアルミニウムリング8を嵌合させてTIG溶接やレーザ溶接等により封止固着する。
【0023】
なお、正極端子5と正極集電体4の接続固定は、溶接等の他の手段を用いることもでき、正極集電体4ではなくリード材等を介して正極端子5を正極1aに接続することもできる。また、この正極端子5の絶縁封口も、このようなセラミックス・ハーメチック・シールに限らず、ガラス・ハーメチック・シールやOリング等の樹脂シール材等による任意のシール手段を用いることができる。
【0024】
上記正極端子5の接続用雌ねじ部5aには、ヘリサート12が装着される。ヘリサート12は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン合金、ニッケル合金又はアルミニウム合金、その他の純アルミニウム材よりも強度が高く、かつ、弾性を有する金属材料をコイル状に密に巻回したものであり、このコイル状の外周面が雄ねじ状を成すと共に、内周面が雌ねじ状を成すものである。このヘリサート12は、挿入工具を用いて接続用雌ねじ部5aに装着される。すると、ヘリサート12の外周面がM10の接続用雌ねじ部5aに螺着した状態となり、内周面がM8の雌ねじ状となる。
【0025】
上記正極端子5には、図2に示すように、M8のボルト10を圧着端子9に通して螺着することにより、この圧着端子9に圧着された外部のケーブル14が接続される。この際、ボルト10の雄ねじは、ヘリサート12の内周面の雌ねじ状の部分に螺着されるので、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雌ねじ部5aは、強度の高いヘリサート12によって保護されて、ボルト10を強く締め付けすぎた場合や何度も着脱を繰り返した場合にも、ねじ山が破損するようなおそれがなくなる。
【0026】
図3〜図4は本発明の第2実施形態を示すものであって、図3は接続用雌ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図、図4は接続用穴部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。なお、図1〜図2に示した第1実施形態と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記して説明を省略する。
【0027】
本実施形態も、第1実施形態と同様の構成の非水電解質二次電池の正極端子5について説明する。ただし、この正極端子5は、図3に示すように、円筒形の本体の径を大きくして、ここにM12の接続用雌ねじ部5aを形成している。また、この接続用雌ねじ部5aには、スリーブ13が螺着されている。スリーブ13は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン合金、ニッケル合金又はアルミニウム合金、その他の純アルミニウム材よりも強度の高い金属材料からなる筒体であり、外周面にM12の雄ねじが形成されると共に、内周面にM8の雌ねじが形成されている。
【0028】
上記正極端子5にも、第1実施形態の図2に示したように、M8のボルト10を圧着端子9に通して螺着することにより外部のケーブル14を接続することができる。この際、ボルト10の雄ねじは、スリーブ13の内周面の雌ねじに螺着されるので、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雌ねじ部5aは、強度の高いスリーブ13によって保護されて、ボルト10を強く締め付けすぎた場合や何度も着脱を繰り返した場合にも、ねじ山が破損するようなおそれがなくなる。
【0029】
なお、上記実施形態では、正極端子5に接続用雌ねじ部5aを設けると共に、スリーブ13の外周面に雄ねじを設ける場合について説明したが、正極端子5には、図4に示すように、ねじ切りをしない接続用穴部5dを設けておき、ここに外周面がねじ切りをしない円筒周面状となったスリーブ13を嵌入して固着するようにしてもよい。このスリーブ13は、圧入、かしめ、ロウ付け又は接着剤等により接続用穴部5dに確実に固着する。ただし、正極端子5の接続用穴部5dとスリーブ13の外周面の形状を多角形状としておけば、このスリーブ13の抜け落ちを防止する措置を行うだけでも確実に固着することができる。
【0030】
また、上記実施形態では、スリーブ13が底のない貫通筒状である場合について説明したが、底付きの筒状であってもよい。
【0031】
図5〜図6は本発明の第3実施形態を示すものであって、図5は接続用雄ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図、図4は接続用突出部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。なお、図1〜図4に示した第1と第2の実施形態と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記して説明を省略する。
【0032】
本実施形態も、第1実施形態と同様の構成の非水電解質二次電池について説明する。ただし、この非水電解質二次電池の正極端子5は、図5に示すように、円筒形の本体の蓋部6bよりも上方に突出する部分に接続用雄ねじ部5eが突設されている。また、この接続用雄ねじ部5eには、スリーブ13が螺着されている。スリーブ13は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン合金、ニッケル合金又はアルミニウム合金、その他の純アルミニウム材よりも強度の高い金属材料からなる蓋付きの筒体であり、外周面に雄ねじが形成されると共に、内周面に雌ねじが形成されている。
【0033】
上記正極端子5には、図示しないナットを圧着端子9を介して螺着することにより外部のケーブル14を接続することができる。この際、ナットの雌ねじは、スリーブ13の外周面の雄ねじに螺着されるので、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雄ねじ部5eは、強度の高いスリーブ13によって保護されて、ナットを強く締め付けすぎた場合や何度も着脱を繰り返した場合にも、ねじ山が破損するようなおそれがなくなる。
【0034】
なお、上記実施形態では、正極端子5に接続用雄ねじ部5eを設けると共に、スリーブ13の内周面に雌ねじを設ける場合について説明したが、正極端子5には、図6に示すように、ねじ切りをしない接続用突出部5fを設けておき、ここに内周面がねじ切りをしない円筒内周面状となったスリーブ13を嵌入して固着するようにしてもよい。このスリーブ13は、圧入、かしめ、ロウ付け又は接着剤等により接続用穴部5dに確実に固着する。ただし、正極端子5の接続用突出部5fとスリーブ13の内周面の形状を多角形状としておけば、このスリーブ13の抜け落ちを防止する措置を行うだけでも確実に固着することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、スリーブ13が蓋のある筒状である場合について説明したが、蓋のない貫通筒状であってもよい。
【0036】
さらに、上記第1〜第3の実施形態では、正極端子5に純アルミニウム材を用いる場合について説明したが、アルミニウム合金を用いることもできる。また、上記第1〜第3の実施形態では、正極端子5にヘリサート12やスリーブ13を装着する場合について説明したが、銅又は銅合金を用いた負極端子3にも同様に実施可能である。この場合、ヘリサート12やスリーブ13には、負極端子3の金属材料である銅又は銅合金よりも強度の高い別の銅合金や鉄鋼又はステンレス鋼等を用いる。
【0037】
さらに、上記第1〜第3の実施形態では、非水電解質二次電池について説明したが、一次電池の非水電解質電池にも同様に実施可能である。また、電池ケース6の形状や構成も、長円筒形やケース本体部6aと蓋部6bの組み合わせには限定されず、発電要素1も長円筒形巻回型に限定されない。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の非水電解質電池によれば、正極端子や負極端子にヘリサートやスリーブを装着することにより、接続具の締め付けすぎや着脱を繰り返した場合にも、ねじ山の破損を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1実施形態を示すものであって、正極端子にヘリサートを装着する際の縦断面図である。
【図2】
本発明の第1実施形態を示すものであって、ヘリサートを装着した正極端子にボルトを取り付ける際の縦断面図である。
【図3】
本発明の第2実施形態を示すものであって、接続用雌ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図4】
本発明の第2実施形態を示すものであって、接続用穴部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図5】
本発明の第3実施形態を示すものであって、接続用雄ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図6】
本発明の第3実施形態を示すものであって、接続用突出部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図7】
非水電解質二次電池の構成例を示すものであって、発電要素と負極集電体と正極集電体の構造を示す組み立て斜視図である。
【図8】
非水電解質二次電池の構成例を示すものであって、発電要素に負極集電体と正極集電体を接続した場合の構造を示す組み立て斜視図である。
【図9】
非水電解質二次電池の構成例を示すものであって、電池ケースの構造を示す斜視図である。
【図10】
従来例を示すものであって、正極端子にケーブルを接続した状態を示す縦断面図である。
【図11】
他の従来例を示すものであって、正極端子に接続金具を螺着した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
5 正極端子
5a 接続用雌ねじ部
5d 接続用穴部
5e 接続用雄ねじ部
5f 接続用突出部
12 ヘリサート
13 スリーブ
【発明の名称】 非水電解質電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、
当該端子の接続用雌ねじ部に当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製のヘリサートが装着されたことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項2】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、
当該端子の接続用雌ねじ部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブの外周に形成された雄ねじを螺着したことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項3】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用穴部が形成されると共に、
当該端子の接続用穴部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブを嵌入固着したことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項4】 アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雄ねじ部又は接続用突出部が形成されると共に、
当該端子の接続用雄ねじ部又は接続用突出部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、外周に雄ねじ部が形成された貫通筒状又は蓋付き筒状のスリーブの内周に形成された雌ねじを螺着又はこのスリーブを外嵌固着したことを特徴とする非水電解質電池。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極端子にアルミニウム材等を用いた非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車等に用いる大型大容量の長円筒形巻回型の発電要素1を備えた非水電解質二次電池の構造例を説明する。この発電要素1は、図7に示すように、帯状の正極1aと負極1bを帯状のセパレータ1cを介して長円筒形に巻回して構成したものである。正極1aは、アルミニウム箔の下端部を除く表面にリチウムコバルト複合酸化物等の正極活物質を塗布したものであり、負極1bは、銅箔の上端部を除く表面にグラファイト等の負極活物質を塗布したものである。これらの正極1aと負極1bは、それぞれ上下に少しずつずらして巻回することにより、下方には正極1aのアルミニウム箔が露出した下端部を突出させると共に、上方には負極1bの銅箔が露出した上端部を突出させている。
【0003】
上記発電要素1には、図7及び図8に示すように、負極集電体2と正極集電体4とが接続固定される。負極集電体2は、銅板をプレス加工して一端部に集電部2aを形成したものであり、他端部には銅材の負極端子3がかしめ等により接続固定されている。また、正極集電体4は、アルミニウム板をプレス加工して下方の一端部に集電部4aを形成したものであり、そこから上方に引き出した他端部にアルミニウム材の正極端子5がかしめにより接続固定されている。これらの負極端子3や正極端子5は、負極集電体2や正極集電体4の板面の上部に円筒形の本体を突設したものであり、この円筒形の本体の途中に予めそれぞれセラミックスリング7を介してアルミニウムリング8を外嵌固定しセラミックス・ハーメチック・シールを施している。なお、負極集電体2や正極集電体4の円筒形の本体とセラミックスリング7の間、及び、このセラミックスリング7とアルミニウムリング8との間は、金属ロウ材等による封止材により封止固定される。負極端子3は、集電部2aに発電要素1の上方に突出する負極1bの上端部の銅箔をそれぞれ挟み込んで超音波溶接やレーザ溶接等により接続固定される。また、正極集電体4も、集電部4aに発電要素1の下方に突出する正極1aの下端部のアルミニウム箔をそれぞれ挟み込んで超音波溶接やレーザ溶接等により接続固定される。
【0004】
上記負極集電体2と正極集電体4を接続固定した発電要素1は、図9に示すような長円筒形の電池ケース6に収納されて密閉される。電池ケース6は、長円筒形容器状のケース本体部6aの上端開口部に、長円形板状の蓋部6bを嵌め込んでTIG溶接やレーザ溶接等により封止固着したものである。この際、蓋部6bには、予め2箇所の開口孔に下方から負極端子3と正極端子5の円筒形の本体の上端部を挿入すると共に、セラミックスリング7を介したアルミニウムリング8を嵌合させてTIG溶接やレーザ溶接等により封止固着する。従って、例えば正極端子5の場合には、図10に示すように、下端部のかしめ用突起5cが正極集電体4にかしめられて接続固定されると共に、円筒形の本体の上端部が蓋部6bの開口孔から上方に突出し、この開口孔に嵌合させたアルミニウムリング8の内周部のセラミックスリング7により絶縁封口される。また、負極端子3も同様にして負極集電体2に接続固定されると共に蓋部6bの開口孔に絶縁封口される。
【0005】
上記正極端子5には、円筒形の本体に上端面に開口する接続用雌ねじ部5aが形成されている。そして、ここに圧着端子9を通してボルト10を螺着することにより、この圧着端子9に圧着された外部のケーブル14を電池ケース6内部の発電要素1の正極1aに接続することができる。また、負極端子3にも同様の接続用雌ねじ部が形成されて、外部のケーブルが接続できるようになっている。
【0006】
ここで、非水電解質二次電池では、上記のように正極端子5に純アルミニウム材を用い、負極端子3に純銅材を用いるのが一般的である。即ち、正極端子5は、正極1aや正極集電体4と同様に非水電解液中で正の電位を持つので、これによる耐腐食性を考慮すると共に、正極1aのアルミニウム箔との溶接性も考慮して、同種のアルミニウム材を用いる。また、負極端子3は、負極1bや負極集電体2と同様に非水電解液中で負の電位を持つので、これによる耐腐食性を考慮すると共に、負極1bの銅箔との溶接性も考慮して、同種の銅材を用いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、アルミニウムは金属材料としては強度が弱いため、これを正極端子5に用いると、ケーブル14を接続するためのボルト10を強く締め付けすぎた場合や何度もボルト10の着脱を繰り返したような場合に、接続用雌ねじ部5aのねじ山が破損し電池の接続ができなくなるおそれがあるという問題があった。
【0008】
また、この問題を解消するために、図11に示すように、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雌ねじ部5aに予め鉄鋼やステンレス鋼等の強度の高い金属製の接続金具11の下端部に突設した雄ねじを螺着しておき、この接続金具11の本体に形成した雌ねじにボルト10等を螺着するようにした場合もあった。しかし、このような接続金具11を用いると、正極端子5の蓋部6bからの突出量が大きくなり、電池の設置スペースに無駄が多くなるという新たな問題が生じる。
【0009】
なお、上記問題は、正極端子5に接続用雌ねじ部5aが穿設された場合に限らず、接続用雄ねじ部が突設された場合にも同様に発生する。また、アルミニウム材の正極端子5に限らず、ステンレス鋼等に比べて強度の弱い銅材を用いた負極端子3にも同様に発生する。
【0010】
本発明は、かかる事情に対処するためになされたものであり、アルミニウムや銅等の端子に鉄鋼やステンレス鋼等の強度の高い金属製のねじを装着することにより、ねじ山が破損するおそれのない非水電解質電池を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、当該端子の接続用雌ねじ部に当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製のヘリサートが装着されたことを特徴とする。
【0012】
請求項1の発明によれば、端子の接続用雌ねじ部にボルト等をねじ込むとヘリサートに螺着されることになるので、このボルト等を強く締め付けたり着脱を繰り返しても接続用雌ねじ部やヘリサートのねじ山が破損するようなことがなくなる。
【0013】
請求項2の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雌ねじ部が形成されると共に、当該端子の接続用雌ねじ部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブの外周に形成された雄ねじを螺着したことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明によれば、端子の金属材料よりも強度の高い金属製のスリーブの内周の雌ねじ部にボルト等が螺着されるので、このボルト等を強く締め付けたり着脱を繰り返しても接続用雌ねじ部やスリーブのねじ山が破損するようなことがなくなる。
【0015】
請求項3の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用穴部が形成されると共に、当該端子の接続用穴部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、内周に雌ねじ部が形成された貫通筒状又は底付き筒状のスリーブを嵌入固着したことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明によれば、端子の金属材料よりも強度の高い金属製のスリーブの内周の雌ねじ部にボルト等が螺着されるので、このボルト等を強く締め付けたり着脱を繰り返してもスリーブのねじ山が破損するようなことがなくなる。
【0017】
請求項4の非水電解質電池は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金を用いた正極端子及び/又は銅若しくは銅合金を用いた負極端子に接続用雄ねじ部又は接続用突出部が形成されると共に、当該端子の接続用雄ねじ部又は接続用突出部に、当該端子の金属材料よりも強度の高い金属製であって、外周に雄ねじ部が形成された貫通筒状又は蓋付き筒状のスリーブの内周に形成された雌ねじを螺着又はこのスリーブを外嵌固着したことを特徴とする。
【0018】
請求項4の発明によれば、端子の金属材料よりも強度の高い金属製のスリーブの外周の雄ねじ部にナット等が螺着されるので、このナット等を強く締め付けたり着脱を繰り返してもスリーブ等のねじ山が破損するようなことがなくなる。スリーブは、端子の接続用雄ねじ部に螺着し、又は、接続用突出部に確実に外嵌されて固着される。
【0019】
上記各請求項の端子は、強度の弱いアルミニウム又はアルミニウム合金を用いた正極端子である場合に限らず、ステンレス鋼等に比べれば比較的強度の弱い銅又は銅合金を用いた負極端子の場合でも、同様にヘリサートやスリーブを取り付けることにより、ねじ山の破損を防止することができるようになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1〜図2は本発明の第1実施形態を示すものであって、図1は正極端子にヘリサートを装着する際の縦断面図、図2はヘリサートを装着した正極端子にボルトを取り付ける際の縦断面図である。なお、図7〜図11に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0022】
本実施形態は、図7〜図9に示した従来例と同様の非水電解質二次電池について説明する。この非水電解質二次電池の正極端子5は、アルミニウム材からなり、図1に示すように、円筒形の本体に上端面に開口する接続用雌ねじ部5aが形成されている。ただし、図10の従来例で示した接続用雌ねじ部5aがM8の大きさであるとすれば、本実施形態の接続用雌ねじ部5aは、M10の大きさの雌ねじとする。この正極端子5は、下端部にフランジ部5bが形成されると共に、フランジ部5bの下端面からかしめ用突起5cが突設されている。そして、このかしめ用突起5cを正極集電体4の開口孔に挿入してかしめることにより、正極端子5を接続固定している。また、この正極端子5は、予め円筒形の本体の途中にロウ付けによりセラミックスリング7を介してアルミニウムリング8を外嵌固定しセラミックス・ハーメチック・シールを施しておき、蓋部6bの開口孔に下方からこの円筒形の本体の上端部を挿入すると共に、セラミックスリング7を介したアルミニウムリング8を嵌合させてTIG溶接やレーザ溶接等により封止固着する。
【0023】
なお、正極端子5と正極集電体4の接続固定は、溶接等の他の手段を用いることもでき、正極集電体4ではなくリード材等を介して正極端子5を正極1aに接続することもできる。また、この正極端子5の絶縁封口も、このようなセラミックス・ハーメチック・シールに限らず、ガラス・ハーメチック・シールやOリング等の樹脂シール材等による任意のシール手段を用いることができる。
【0024】
上記正極端子5の接続用雌ねじ部5aには、ヘリサート12が装着される。ヘリサート12は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン合金、ニッケル合金又はアルミニウム合金、その他の純アルミニウム材よりも強度が高く、かつ、弾性を有する金属材料をコイル状に密に巻回したものであり、このコイル状の外周面が雄ねじ状を成すと共に、内周面が雌ねじ状を成すものである。このヘリサート12は、挿入工具を用いて接続用雌ねじ部5aに装着される。すると、ヘリサート12の外周面がM10の接続用雌ねじ部5aに螺着した状態となり、内周面がM8の雌ねじ状となる。
【0025】
上記正極端子5には、図2に示すように、M8のボルト10を圧着端子9に通して螺着することにより、この圧着端子9に圧着された外部のケーブル14が接続される。この際、ボルト10の雄ねじは、ヘリサート12の内周面の雌ねじ状の部分に螺着されるので、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雌ねじ部5aは、強度の高いヘリサート12によって保護されて、ボルト10を強く締め付けすぎた場合や何度も着脱を繰り返した場合にも、ねじ山が破損するようなおそれがなくなる。
【0026】
図3〜図4は本発明の第2実施形態を示すものであって、図3は接続用雌ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図、図4は接続用穴部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。なお、図1〜図2に示した第1実施形態と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記して説明を省略する。
【0027】
本実施形態も、第1実施形態と同様の構成の非水電解質二次電池の正極端子5について説明する。ただし、この正極端子5は、図3に示すように、円筒形の本体の径を大きくして、ここにM12の接続用雌ねじ部5aを形成している。また、この接続用雌ねじ部5aには、スリーブ13が螺着されている。スリーブ13は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン合金、ニッケル合金又はアルミニウム合金、その他の純アルミニウム材よりも強度の高い金属材料からなる筒体であり、外周面にM12の雄ねじが形成されると共に、内周面にM8の雌ねじが形成されている。
【0028】
上記正極端子5にも、第1実施形態の図2に示したように、M8のボルト10を圧着端子9に通して螺着することにより外部のケーブル14を接続することができる。この際、ボルト10の雄ねじは、スリーブ13の内周面の雌ねじに螺着されるので、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雌ねじ部5aは、強度の高いスリーブ13によって保護されて、ボルト10を強く締め付けすぎた場合や何度も着脱を繰り返した場合にも、ねじ山が破損するようなおそれがなくなる。
【0029】
なお、上記実施形態では、正極端子5に接続用雌ねじ部5aを設けると共に、スリーブ13の外周面に雄ねじを設ける場合について説明したが、正極端子5には、図4に示すように、ねじ切りをしない接続用穴部5dを設けておき、ここに外周面がねじ切りをしない円筒周面状となったスリーブ13を嵌入して固着するようにしてもよい。このスリーブ13は、圧入、かしめ、ロウ付け又は接着剤等により接続用穴部5dに確実に固着する。ただし、正極端子5の接続用穴部5dとスリーブ13の外周面の形状を多角形状としておけば、このスリーブ13の抜け落ちを防止する措置を行うだけでも確実に固着することができる。
【0030】
また、上記実施形態では、スリーブ13が底のない貫通筒状である場合について説明したが、底付きの筒状であってもよい。
【0031】
図5〜図6は本発明の第3実施形態を示すものであって、図5は接続用雄ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図、図4は接続用突出部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。なお、図1〜図4に示した第1と第2の実施形態と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記して説明を省略する。
【0032】
本実施形態も、第1実施形態と同様の構成の非水電解質二次電池について説明する。ただし、この非水電解質二次電池の正極端子5は、図5に示すように、円筒形の本体の蓋部6bよりも上方に突出する部分に接続用雄ねじ部5eが突設されている。また、この接続用雄ねじ部5eには、スリーブ13が螺着されている。スリーブ13は、鉄鋼、ステンレス鋼、銅合金、チタン合金、ニッケル合金又はアルミニウム合金、その他の純アルミニウム材よりも強度の高い金属材料からなる蓋付きの筒体であり、外周面に雄ねじが形成されると共に、内周面に雌ねじが形成されている。
【0033】
上記正極端子5には、図示しないナットを圧着端子9を介して螺着することにより外部のケーブル14を接続することができる。この際、ナットの雌ねじは、スリーブ13の外周面の雄ねじに螺着されるので、アルミニウム材からなる正極端子5の接続用雄ねじ部5eは、強度の高いスリーブ13によって保護されて、ナットを強く締め付けすぎた場合や何度も着脱を繰り返した場合にも、ねじ山が破損するようなおそれがなくなる。
【0034】
なお、上記実施形態では、正極端子5に接続用雄ねじ部5eを設けると共に、スリーブ13の内周面に雌ねじを設ける場合について説明したが、正極端子5には、図6に示すように、ねじ切りをしない接続用突出部5fを設けておき、ここに内周面がねじ切りをしない円筒内周面状となったスリーブ13を嵌入して固着するようにしてもよい。このスリーブ13は、圧入、かしめ、ロウ付け又は接着剤等により接続用穴部5dに確実に固着する。ただし、正極端子5の接続用突出部5fとスリーブ13の内周面の形状を多角形状としておけば、このスリーブ13の抜け落ちを防止する措置を行うだけでも確実に固着することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、スリーブ13が蓋のある筒状である場合について説明したが、蓋のない貫通筒状であってもよい。
【0036】
さらに、上記第1〜第3の実施形態では、正極端子5に純アルミニウム材を用いる場合について説明したが、アルミニウム合金を用いることもできる。また、上記第1〜第3の実施形態では、正極端子5にヘリサート12やスリーブ13を装着する場合について説明したが、銅又は銅合金を用いた負極端子3にも同様に実施可能である。この場合、ヘリサート12やスリーブ13には、負極端子3の金属材料である銅又は銅合金よりも強度の高い別の銅合金や鉄鋼又はステンレス鋼等を用いる。
【0037】
さらに、上記第1〜第3の実施形態では、非水電解質二次電池について説明したが、一次電池の非水電解質電池にも同様に実施可能である。また、電池ケース6の形状や構成も、長円筒形やケース本体部6aと蓋部6bの組み合わせには限定されず、発電要素1も長円筒形巻回型に限定されない。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の非水電解質電池によれば、正極端子や負極端子にヘリサートやスリーブを装着することにより、接続具の締め付けすぎや着脱を繰り返した場合にも、ねじ山の破損を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1実施形態を示すものであって、正極端子にヘリサートを装着する際の縦断面図である。
【図2】
本発明の第1実施形態を示すものであって、ヘリサートを装着した正極端子にボルトを取り付ける際の縦断面図である。
【図3】
本発明の第2実施形態を示すものであって、接続用雌ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図4】
本発明の第2実施形態を示すものであって、接続用穴部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図5】
本発明の第3実施形態を示すものであって、接続用雄ねじ部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図6】
本発明の第3実施形態を示すものであって、接続用突出部にスリーブを装着した正極端子の縦断面図である。
【図7】
非水電解質二次電池の構成例を示すものであって、発電要素と負極集電体と正極集電体の構造を示す組み立て斜視図である。
【図8】
非水電解質二次電池の構成例を示すものであって、発電要素に負極集電体と正極集電体を接続した場合の構造を示す組み立て斜視図である。
【図9】
非水電解質二次電池の構成例を示すものであって、電池ケースの構造を示す斜視図である。
【図10】
従来例を示すものであって、正極端子にケーブルを接続した状態を示す縦断面図である。
【図11】
他の従来例を示すものであって、正極端子に接続金具を螺着した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
5 正極端子
5a 接続用雌ねじ部
5d 接続用穴部
5e 接続用雄ねじ部
5f 接続用突出部
12 ヘリサート
13 スリーブ
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