図6に従来の大型の非水電解質二次電池の端子の取り付け構造を示す(例えば、特許文献1の第6図〜第8図参照。)。この非水電解質二次電池は、電池容器1内に長円筒形の巻回型の発電要素2を収納し、電池容器1の上端開口部を蓋板3で塞いで密閉したものである。発電要素2には、左右の端部に電極の金属箔2a、2aが巻回された巻き束状のままはみ出していて、これらの金属箔2a、2aには集電接続体5、5が接続されている。また、蓋板3には、左右の端部に外部端子4、4が取り付けられている。
外部端子4は、高さの低い円柱状の台座部4aの上面からボルト部4bが上方に突設されると共に、この台座部4aの下面からかしめ筒4cが下方に突設されたものである。そして、正極側と負極側の外部端子4、4のかしめ筒4c、4cは、蓋板3の左右端部の上面に配置された外部絶縁封止材6、6の貫通孔と、蓋板3の左右端部の端子引出貫通孔3a、3aと、蓋板3の左右端部の下面に配置された内部絶縁封止材7、7の貫通孔を通して、この蓋板3の上方から電池容器1内に嵌入すると共に、集電接続体5、5の上部の水平に折り曲がった接続部5a、5aに形成された貫通孔にも通して下方からかしめられる。従って、外部端子4は、かしめ筒4cがかしめによって集電接続体5に接続され、発電要素2の電極の金属箔2aにも接続されると共に、絶縁封止材6、7を介して蓋板3を挟持するので、この蓋板3に絶縁封止された状態で固着されることになる。
ところが、このような外部端子4の取り付け構造では、非水電解質二次電池を外部機器と接続するためにリード線の圧着端子等を外部端子4のボルト部4bに嵌めてナット等で締め付けた場合、特にこのようなナット等の着脱を繰り返した場合に、締め付けトルクがかしめ筒4cのかしめ部に直接加わり、集電接続体5の接続部5aとのかしめが緩んで外部端子4だけが空転するおそれがある。そして、外部端子4が空転すると、集電接続体5との接触電気抵抗が大きくなって電池性能が低下するだけでなく、絶縁封止材6、7との間にも隙間が生じて電池容器1内の密閉が不完全になるという問題が生じる。
しかも、非水電解質二次電池の場合、正極側の外部端子4にアルミニウム合金が用いられることが多いので、ボルト部4bをナット等で強く締め付けたり、このようなナット等の着脱を繰り返すと、このボルト部4bのねじ山が破損するという問題もあった。
そこで、従来は、外部端子4の台座部4aを横断面が四角形や六角形等の多角柱状とし、外部絶縁封止材6にも同様の形状の外部端子凹部を設け、この外部絶縁封止材6の外部端子凹部に台座部4aを嵌合させて外部端子4の回り止めを行わせようという提案もあった(例えば、特許文献1の第1図〜第5図参照。)。
しかしながら、このような外部端子4の取り付け構造でも、台座部4aと外部絶縁封止材6の外部端子凹部との嵌合の若干の隙間によって外部端子4が僅かな角度だけ空転するおそれがあり、かしめ筒4cと集電接続体5の接続部5aとのかしめが緩むのを完全に防ぐことはできないという問題がある。しかも、ボルト部4bをナット等で締め付けたときの締め付けトルクは、外部絶縁封止材6にも直接加わることになり、この外部絶縁封止材6に大きなストレスがかかって気密性が損なわれるおそれがあるという問題も生じる。
このため、従来は図7に示すような外部端子4の取り付け構造も提案されていた(例えば、特許文献2参照。)。この場合の外部端子4は、台座部4aが六角柱状に形成されると共に、この台座部4aの上面からはボルト部4bが突設されるが、下面にはかしめ筒が突設されない。また、外部絶縁封止材6の上面にも同様の六角形の外部端子凹部6aを設け、この外部端子凹部6aに台座部4aを嵌合させて外部端子4の回り止めを行わせようにしている。
上記外部絶縁封止材6の上面には、補助端子凹部6bも設けられ、この補助端子凹部6bには、補助端子8の台座部8aが嵌合するようになっている。補助端子8は、台座部8aの下面から第1かしめ筒8bが下方に突設されると共に、この台座部8aの上面から第2かしめ筒8cが上方に突設されたものである。そして、正極側と負極側の補助端子8、8の第1かしめ筒8b、8bは、外部絶縁封止材6、6の補助端子凹部6b、6bの底面に形成された貫通孔と、蓋板3の左右端部の端子引出貫通孔3a、3aと、内部絶縁封止材7、7の貫通孔を通して、この蓋板3の上方から電池容器1内に嵌入すると共に、集電接続体5、5の接続部5a、5aに形成された貫通孔にも通して下方からかしめられる。従って、補助端子8は、第1かしめ筒8bと集電接続体5の接続部5aとのかしめによる接続部を介して発電要素2の金属箔2aに接続されると共に、絶縁封止材6、7を介して蓋板3を挟持するので、この蓋板3に対して絶縁封止された状態で固着されることになる。
また、上記補助端子8の第2かしめ筒8cと外部端子4のボルト部4bには、接続導体9が取り付けられる。接続導体9は、ほぼ長方形状の板材であり、一端部にはかしめ孔9aが形成されると共に、他端部には端子貫通孔9bが形成されている。そして、この接続導体9は、端子貫通孔9bに外部端子4のボルト部4bが下方から挿入されると共に、かしめ孔9aに補助端子8の第2かしめ筒8cが下方から挿入されて上方からかしめられる。従って、外部端子4は、外部機器との接続のためにボルト部4bをナット等で締め付けると、接続導体9を介して補助端子8に接続固定され、これによって発電要素2の電極の金属箔2aにも接続されることになる。
このような外部端子4の取り付け構造を用いれば、ボルト部4bをナット等で締め付けても、締め付けトルクは補助端子8には直接加わらないので、集電接続体5の接続部5aとのかしめが緩むようなおそれはなくなる。しかも、非水電解質二次電池の場合であっても、正極側の補助端子8だけにアルミニウム合金を用い、外部端子4には鉄やステンレス等の綱、その他の強度の高い金属材を用いることができるので、ナット等の締め付けによってボルト部4bのねじ山が破損するようなこともなくなる。
なお、外部端子の台座部に凸部を設け、この凸部を樹脂製の蓋板の凹穴に挿入して外部端子の回り止めを行う発明も従来から提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、外部端子に締め付けトルクが加わると、凸部と凹穴との係合のみによって回り止めを行うので、この係合の若干の隙間によって外部端子が僅かな角度だけ空転するおそがあり、発電要素の電極との間の接続が損なわれるのを十分に防ぐことはできない。
特開2001−357833号公報
特開2003−346774号公報(第2頁、第3図)
特開平10−125291号公報
ところが、発明者らがさらに検討を重ねたところ、上述したような外部端子4の取り付け構造であっても、ボルト部4bをナット等で締め付けると、締め付けトルクは外部絶縁封止材6の外部端子凹部6aに直接加わるので、補助端子8の第1かしめ筒8bをかしめることにより蓋板3との間の封止を行う外部絶縁封止材6に大きなストレスがかかって高いレベルでの気密性が損なわれるのを確実に避けることができないという問題があることを見いだした。即ち、外部絶縁封止材6は、蓋板3の上面に強く圧迫される他に、ねじれ方向の大きな力を受けるので、素材の僅かな変形によって蓋板3との界面に微小な隙間を生じて密閉が不完全になるおそれが生じるのである。また、この外部絶縁封止材6が蓋板3に対して回り止めがなされていても、この回り止めとの間の若干の隙間によって外部絶縁封止材6自体が僅かに位置ずれするおそれがあり、これによって蓋板3との界面に微小な隙間を生じて密閉が不完全になるおそれが生じるのである。
このため、補助端子の封止のための外部絶縁封止材とは分離された回り止め部材によって外部端子の回り止めを行うことにより、この外部端子の締め付けトルクが気密性や導電性を損なうようなおそれのない電池を提供しようとされている。
一方、本発明は、ボルト部4bをナットで締め付けた際に、補助端子8に取り付けられた接続導体9を回転させるような力が抑制された電池を提供するものである。
本願の第1の発明は、発電要素を収納した電池容器の上端開口部を蓋板で塞いだ電池において、前記蓋板の端子引出貫通孔を通して下部が前記電池容器内部に貫入し前記発電要素の電極に接続されると共に、前記蓋板に封止材を介して封止固着された補助端子と、前記補助端子の上部に一部が接続固定されると共に、他の部位に端子接続部が形成された接続導体と、台座部と前記台座部の上方に突出するボルト部とを備え、前記接続導体の前記端子接続部に前記ボルト部を接続させた外部端子と、前記ボルト部に螺着されたナットと、を備え、前記接続導体の表面は、ニッケルメッキが施されていることを特徴とする。
本願の第2の発明は、発電要素を収納した電池容器の上端開口部を蓋板で塞いだ電池において、蓋板の端子引出貫通孔を通して下部が電池容器内部に貫入し発電要素の電極に接続されると共に、この蓋板に封止材を介して封止固着された補助端子と、補助端子の上部に一部が接続固定されると共に、他の部位に端子接続部が形成された接続導体と、台座部とこの台座部の上方に突出するボルト部とを備え、接続導体の端子接続部にこのボルト部を接続させた外部端子と、蓋板上で外部端子の台座部を係止する回り止め部材とを備えたことを特徴とする。
本願の第3の発明は、前記電池において、接続導体に代えて、補助端子に、この補助端子の上部から引き出され、この引き出された部分に端子接続部が形成された接続導体部が設けられたことを特徴とする。
本願の第4の発明は、前記外部端子の台座部が、底面に上方に向けて、ボルト部の軸線に対して回転体でない形状の凹部が形成されたものであり、前記回り止め部材が、底面を蓋板上に固着された上方に突出する樹脂製の柱体であって、台座部の凹部に嵌合する横断面形状を有するものであり、この横断面形状の柱体を台座部の凹部に嵌合させることにより、ボルト部の軸線を中心とした外部端子の回転を制限するものであることを特徴とする。
本願の第5の発明は、前記外部端子の台座部が、ボルト部の軸線に対して回転体でない横断面形状の柱体からなり、前記回り止め部材が、底面を蓋板上に固着され、上面に下方に向けて、台座部に嵌合する形状の凹部が形成された樹脂製の部材であり、この凹部に台座部を嵌合させることにより、ボルト部の軸線を中心とした外部端子の回転を制限するものであることを特徴とする。
本願の第6の発明は、前記電池において、外部端子が、ボルト部に代えて、台座部から上方に突出し、この突出上端面に下方を向くねじ穴が穿設された突出部を有することを特徴とする。
本願の第7の発明は、前記電池が非水電解質二次電池であり、正極端子側の前記補助端子がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、負極端子側の前記補助端子が銅又は銅合金からなり、外部端子が鉄又は鋼からなることを特徴とする。
本願の第1の発明によれば、ボルト部をナットで締め付けた際に、補助端子に取り付けられた接続導体を回転させるような力が抑制された電池を提供することができる。
本願の第2の発明によれば、外部機器に接続される外部端子と電池容器の内部で発電要素の電極に接続される補助端子とが接続導体を介して間接的に接続されることにより、部品としては分離されているので、外部端子のボルト部に加わる締め付けトルクが補助端子にも加わるということがなくなり、補助端子と蓋板との間の封止材による封止が損なわれるおそれが生じないだけでなく、この補助端子と発電要素の電極との間の接続が損なわれるおそれも生じない。また、補助端子と蓋板との間の封止材と外部端子の回り止めを行う回り止め部材とが部品として分離されているので、外部端子の空転は回り止め部材によって制限され、しかも、外部端子のボルト部に加わった締め付けトルクが補助端子と蓋板との間の封止を損なうおそれも生じない。
なお、接続導体の端子接続部は、外部端子のボルト部が下方から貫通するような端子貫通孔であることが好ましい。また、回り止め部材は、蓋板上に固着されたものであることが好ましい。
本願の第3の発明によれば、接続導体の一部をかしめ等により補助端子に接続固定する作業工数と部品点数を削減することができる。
本願の第4の発明によれば、外部端子の台座部の凹部に回転体でない横断面形状の回り止め部材が嵌合するので、外部端子の回り止めを確実に行うことができる。
本願の第5の発明によれば、回転体でない横断面形状の外部端子の台座部が回り止め部材の凹部に嵌合するので、外部端子の回り止めを確実に行うことができる。
本願の第6の発明によれば、ボルト部に代えてねじ穴が穿設された外部端子の場合にも同様の効果を得ることができる。
本願の第7の発明によれば、外部機器との接続のためのナット等による締め付けが、強度の弱いアルミニウム等からなる補助端子ではなく、強度の強い鉄等からなる外部端子で行われるので、この外部端子のボルト部やねじ穴のねじ山が破損するのを防止することができる。
以下、本発明の最良の実施形態について図1〜図5を参照して説明する。なお、これらの図においても、図6〜図7に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
本実施形態は、図6〜図7に示した従来例と同様に、大型の非水電解質二次電池について説明する。この非水電解質二次電池は、図1及び図2に示すように、電池容器1内に長円筒形の巻回型の発電要素2を収納し、電池容器1の上端開口部を蓋板3で塞いで密閉したものである。
発電要素2は、帯状の電極である正極と負極をセパレータを介し左右の異なる方向にずらして、左右方向の回転軸を中心に上下に長円となる長円筒形に巻回したものである。正極は、アルミニウム箔の表面に正極活物質を担持させたものであり、負極は、銅箔の表面に負極活物質を担持させたものであるが、それぞれ左右のずらす方向の端縁部を活物質の未塗工部とすることによりアルミニウム箔や銅箔が露出するようになっている。従って、発電要素2の左右の端部には、これら電極の金属箔2a、2aが巻回された巻き束状のままはみ出している。
上記発電要素2の左右の端部にはみ出した金属箔2a、2aには、それぞれ集電接続体5、5が接続されている。集電接続体5は、正極側ではアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、負極側では銅又は銅合金からなる上下に長い導電金属板であり、上部は水平に折り曲げられると共に貫通孔が形成されて接続部5aとなり、この接続部5aより下方の部分は前後に二股に分けられて下方に突出している。そして、この集電接続体5の下方の二股に分けられた部分が発電要素2の金属箔2aと共に挟持板に挟まれて超音波溶接等により接続固定される。
電池容器1と蓋板3は、アルミニウム合金や鋼等からなり、電池容器1は左右方向に長い方形の金属容器であり、蓋板3は、左右に細長い方形の金属板である。そして、この蓋板3は、後に電池容器1の上端開口部に嵌め込まれてレーザ溶接等により内部を密閉することになる。
上記蓋板3には、左右の端部に端子引出貫通孔3a、3a(左側の端子引出貫通孔3aは部品の陰になって見えない)が開口され、ここに外部絶縁封止材6、6と内部絶縁封止材7、7を介して補助端子8、8が取り付けられる。補助端子8は、正極側ではアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、負極側では銅又は銅合金からなる導電金属部品である。この補助端子8は、高さが低い八角柱状の台座部8aの下面から第1かしめ筒8bが下方に突設されると共に、この台座部8aの上面から第2かしめ筒8cが上方に突設されている。
外部絶縁封止材6と内部絶縁封止材7は、絶縁性と封止性を備えた合成樹脂からなる。外部絶縁封止材6は、補助端子8の台座部8aよりは一回り大きい八角柱体からなり、上面にこの台座部8aが嵌合する形状の補助端子凹部6bが設けられている。また、この外部絶縁封止材6には、補助端子凹部6bの底面に貫通孔が形成されると共に、この貫通孔の下面開口部はスリーブ状に下方に突出している(図2参照)。内部絶縁封止材7は、貫通孔が形成された板材である。
上記外部絶縁封止材6は、蓋板3の上面に配置され、スリーブ状に突出した部分が端子引出貫通孔3aに嵌入される。また、内部絶縁封止材7は、蓋板3の下面に配置され、端子引出貫通孔3aから下方に突出する外部絶縁封止材6のスリーブ状に突出した部分が貫通孔に嵌入される。そして、補助端子8は、台座部8aを外部絶縁封止材6の補助端子凹部6bに嵌め込むと共に、第1かしめ筒8bをこの補助端子凹部6bの底面の貫通孔と蓋板3の端子引出貫通孔3aと内部絶縁封止材7の貫通孔とを介して、集電接続体5の接続部5aの貫通孔に通し、この接続部5aの貫通孔から下方に突出する部分を下方からかしめることにより蓋板3に取り付けられる。従って、この補助端子8は、第1かしめ筒8bと集電接続体5の接続部5aとのかしめによる接続部を介して発電要素2の金属箔2aに接続されると共に、絶縁封止材6、7を介して蓋板3を挟持するので、この蓋板3に対して絶縁封止された状態で固着されることになる。
上記蓋板3には、上面における端子引出貫通孔3a、3aの左右の外側にそれぞれ回り止め部材10、10(左側の回り止め部材10は部品の陰になって見えない)が固着されている。回り止め部材10は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂製の高さの低い四角柱状のブロックであり、蓋板3の上面におけるこの回り止め部材10の固着位置の金属面が微細な凹凸面となるように加工した後に、この上方を囲むように金型を配置して溶融した樹脂を流し込み固化させて成形したものである。なお、この回り止め部材10は、ブロック状に成形したものを接着剤や熱溶着により蓋板3の上面に固着させてもよいが、蓋板3の表面を処理して直接射出成形したものの方がより強固に固着させることができる。
上記回り止め部材10の上には外部端子4が配置される。外部端子4は、非水電解質二次電池を外部機器と接続するためのものであり、鉄やステンレス鋼、クロムモリブデン鋼等の鋼、その他の強度の高い導電金属材からなる。この外部端子4は、高さの低い四角柱ではあるが、回り止め部材10よりは一回り大きい台座部4aの上面からボルト部4bを上方に突設したものである。また、この台座部4aの下面には上方に向けて、回り止め部材10が嵌合する形状の回り止め凹部4dが設けられている。そして、外部端子4は、台座部4aの回り止め凹部4dを回り止め部材10に被せるようにして、この回り止め部材10の上に載置される。ただし、外部端子4の台座部4aの回り止め凹部4dの深さは、回り止め部材10の高さより少し浅いので、この台座部4aの下面は、蓋板3の上面よりも上方に浮いた状態となる。
上記補助端子8の第2かしめ筒8cと外部端子4のボルト部4bには、接続導体9が取り付けられる。接続導体9は、銅合金等の導電金属材からなるほぼ長方形状の板材であり、表面には防錆等の他、滑りを良くするためにニッケルメッキが施されている。この接続導体9は、一端部にかしめ孔9aが形成されると共に、他端部に端子貫通孔9bが形成されている。そして、この接続導体9は、端子貫通孔9bに外部端子4のボルト部4bが下方から挿入されると共に、かしめ孔9aに補助端子8の第2かしめ筒8cが下方から挿入されて上方からかしめられる。従って、接続導体9は、補助端子8には接続固定されるが、外部端子4はボルト部4bが端子貫通孔9bに嵌入しているだけとなる。なお、平板状の接続導体9を補助端子8にかしめによって確実に固定するためには、補助端子8の台座部8aの上面と回り止め部材10の上に載置した外部端子4の台座部4aの上面は、面一か外部端子4の台座部4aの上面の方が僅かに低いことが好ましい。もっとも、外部端子4が持ち上がり台座部4aの上面が接続導体9の下面に当接した際に、回り止め凹部4dと回り止め部材10との嵌合が外れるようでは、この回り止め部材10が外部端子4の回り止めを行うことができないので、台座部4aの上面は低すぎてはいけない。
上記構成の非水電解質二次電池の外部端子4は、例えば図示しない外部機器のリード線の圧着端子をボルト部4bに嵌めてナットを螺着する。すると、外部端子4は、通常は僅かに持ち上がって、台座部4aの上面を接続導体9の下面に押し付け、ナットとの間でリード線の圧着端子と共にこの接続導体9を挟持圧迫するので、これら圧着端子と外部端子4と接続導体9とが接続される。従って、リード線の圧着端子は、接続導体9と補助端子8と集電接続体5とを介して発電要素2の電極(金属箔2a)に接続され、これによって外部機器が非水電解質二次電池と接続される。
しかも、ナットをボルト部4bに締め付ける際に回転しようとする外部端子4は、回り止め凹部4dに嵌合した回り止め部材10によって確実に回り止めされる。なお、この際、回り止め部材10と回り止め凹部4dとの嵌合による多少の隙間によって外部端子4がある程度の角度だけ空転したとしても、接続や封止に支障が生じるおそれは全くない。
また、このときボルト部4bに加わった締め付けトルクは、外部端子4とは分離された補助端子8にトルクとして伝わることはないので、この補助端子8が空転して集電接続体5の接続部5aとのかしめが緩み接続が損なわれたり、絶縁封止材6、7と蓋板3との間の封止が損なわれるようなおそれも生じない。なお、ナットによる締め付けトルクは、ボルト部4bの軸線を中心として接続導体9を回転させるような力も生じるが、このような力は補助端子8にとっては第2かしめ筒8cを前後方向に押す方向の力となるので、これによって接続や封止が損なわれる心配はない。特に、本実施形態では、接続導体9の表面に滑りを良くするためのニッケルメッキが施されているので、ナットによる締め付けが行われても、接続導体9を回転させるような力がほとんど生じない。
さらに、回り止め部材10は、ナットによる締め付けの際に、外部端子4の回り止めを行うので、大きな締め付けトルクを受けることになる。しかし、この回り止め部材10は、蓋板3上で外部絶縁封止材6とは分離されているので、補助端子8の封止を行う外部絶縁封止材6に締め付けトルクが加わることはなく、このため外部絶縁封止材6による封止が損なわれるおそれも生じない。
さらに、ナットによる締め付けトルクは、鉄や鋼等の強度の高い導電金属材からなる外部端子4にのみ加わり、強度が弱いアルミニウム又はアルミニウム合金からなる正極側の補助端子8や強度が比較的弱い銅又は銅合金からなる負極側の補助端子8には加わらないので、ナットを強く締め付けたり、このようなナットの着脱を繰り返しても、ボルト部4bのねじ山が破損するようなおそれがなくなる。
なお、上記実施形態では、四角柱状の回り止め部材10を台座部4aの回り止め凹部4dに嵌合させることにより外部端子4の回り止めを行う場合を示したが、台座部4aを回り止め部材10に係止することによりボルト部4bの軸線を中心とした外部端子4の回転を制限することができるものであれば、これら台座部4aと回り止め部材10の形状は任意である。
例えば、図3には、外部端子4の台座部4aを四角柱状とし、回り止め部材10をこの台座部4aよりも一回り大きい四角柱状とすると共に、上面にこの台座部4aが嵌合する形状の回り止め凹部10aを形成した場合を示す。この場合も、台座部4aが回り止め部材10の回り止め凹部10aに嵌まり込むことにより、外部端子4の回り止めを行うことができる。図1や図3に示すように回り止め部材10と台座部4aが柱体を凹部に嵌合させて回り止めを行う場合には、この柱体や凹部の横断面形状がボルト部4bの軸線を中心とした回転体ではない形状であれば、どのような形状であってもよく、四角柱状以外の任意の多角柱状を用いてもよい。
また、例えば図4には、図3に示した回り止め部材10の回り止め凹部10aが四角形に窪んだ凹部ではなく、溝状の凹部である場合を示す。この場合も、台座部4aがこの溝状の回り止め凹部10aに嵌まり込んで溝の縁部によって回転を制限されることにより、外部端子4の回り止めを行うことができる。さらに、例えば図5には、台座部4aの下面と回り止め部材10の上面に畝状の凹凸を形成することにより、これらの凹凸が互いに噛み合って外部端子4の回り止めを行う場合を示す。
また、上記実施形態では、合成樹脂製の回り止め部材10を用いる場合を示したが、絶縁性を有しある程度以上の強度を有するものであれば、例えばセラミックス等の任意の材料を用いることができる。さらに、蓋板3が外部端子4と導通してもよい場合や蓋板3が絶縁性の材料からなる場合等のように、外部端子4の絶縁を考慮しなくてもよい事情がある場合には、絶縁性がなくても、ある程度以上の強度を有するものであれば、例えば金属等の任意の材料を用いることができる。さらに、この回り止め部材10の蓋板3上への固着も、回り止め部材10の材料に応じた、例えば金属材料同士であれば溶接等の任意の手段を用いることができる。さらに、この回り止め部材10は、蓋板3上に固着されたものに限らず、この蓋板3上にこの蓋板3と一体化して配置されたものであればよく、例えばこの蓋板3の一部を加工したものであってもよい。
また、上記実施形態では、集電接続体5と補助端子8が正極側ではアルミニウム又はアルミニウム合金からなり負極側では銅又は銅合金からなる場合を示したが、電池の種類に応じた導電金属材料であれば、これらの材料は任意である。さらに、上記実施形態では、外部端子4と接続導体9の材料についても例示したが、強度や導電性等の特性が適合する導電金属材料であれば、これらの材料も任意である。
また、上記実施形態では、外部端子4の台座部4aの上面からボルト部4bが突設される場合を示したが、このボルト部4bの代わりに、円筒形や多角形の筒状等の適宜形状の突出部が突設され、この突出部の上端面にねじ穴が穿設されているような場合であっても、同様に実施可能である。
また、上記実施形態では、補助端子8の第2かしめ筒8cを接続導体9のかしめ孔9aに通してかしめることにより接続固定する場合を示したが、補助端子8と接続導体9の接続固定手段は任意であり、例えば補助端子8の台座部8aの上面に接続導体9の一端部を溶接等により固着して接続固定することもできる。
また、接続導体9の他端部に形成されるのは、下方から外部端子4のボルト部を貫通させて接続するようにした端子貫通孔9bに限らず、このボルト部4bが接続されるようになった端子接続部であればどのようなものでもよく、例えば切欠き溝のようなものであってもよい。さらに、この接続導体9は、他端部に端子接続部が形成されていれば、必ずしも板状である必要はない。さらに、接続導体9が補助端子8に接続固定されるのは一端部に限らず、接続導体9の一部であればどの部位でもよく、端子接続部も、この補助端子8に接続固定される部位以外の他の部位であればどこに形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、接続導体9を用いる場合を示したが、この接続導体9に代えて、補助端子8の上部から引き出され、この引き出された部分に端子接続部が形成された接続導体部を用いるようにしてもよい。この場合、接続導体部は、補助端子8と一体のものであるため、接続導体9が不要となり部品点数を削減できると共に、この接続導体9とのかしめ作業が不要となるので、組み立て作業工数も削減できる。
また、上記実施形態では、補助端子8と発電要素2の電極との間の接続を集電接続体5を介して行う場合を示したが、この補助端子8と電極との間の接続構造は任意であり、上記実施形態とは異なる集電接続体を用いてもよいし、他の手段によって接続を行うようにしてもよい。さらに、発電要素2も、長円筒形の巻回型のものには限定されず、他の形状のものでもよく、積層型のものであってもよい。
また、上記実施形態では、補助端子8の台座部8aや外部絶縁封止材6が八角柱状である場合を示したが、これら台座部8aや外部絶縁封止材6の形状は任意であり、外部絶縁封止材6にも、必ずしも補助端子凹部6bを設ける必要はない。さらに、上記実施形態では、補助端子8が台座部8aの下面から第1かしめ筒8bを突設したものである場合を示したが、上部が蓋板3上に配置され、下部が端子引出貫通孔3aを通して電池容器1内部に嵌入していれば、必ずしも台座部8aや第1かしめ筒8bを有する必要はなく、特に第1かしめ筒8bは、上記補助端子8と電極との間の接続構造に応じて任意の構成のものに変更することができる。
また、上記実施形態では、封止材として外部絶縁封止材6と内部絶縁封止材7を用いる場合を示したが、補助端子8と蓋板3との間の封止するものであれば任意の封止材を用いることができる。例えば、補助端子8には締め付けトルクが加わらないので、ハーメチックシールによって蓋板3に封止固着してもよいし、シート状や接着剤状の封止材を用いることもできる。
また、上記実施形態では、電池容器1や蓋板3がアルミニウム合金や鋼等からなる場合を示したが、これら電池容器1や蓋板3の材質は任意であり、金属以外の例えば絶縁性の材質のものを用いることもできる。さらに、これら電池容器1と蓋板3の形状や構造も、上記実施形態に限定されず任意である。
また、上記実施形態では、大型の非水電解質二次電池について説明したが、電池の種類や大きさ(容量)も任意である。本発明は、これらの電池の中で、高い気密性が求められる密閉形電池に特に好適に適用できる。