JP2000137230A - 液晶表示装置用スペーサ及び液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置用スペーサ及び液晶表示装置

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JP2000137230A
JP2000137230A JP10313570A JP31357098A JP2000137230A JP 2000137230 A JP2000137230 A JP 2000137230A JP 10313570 A JP10313570 A JP 10313570A JP 31357098 A JP31357098 A JP 31357098A JP 2000137230 A JP2000137230 A JP 2000137230A
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English (en)
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Yoshiyuki Oguchi
善之 大口
Toru Takahashi
徹 高橋
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 配向膜上に散布されたスペーサが移動しにく
く、そのため製造された液晶表示装置がスペーサの移動
に起因する表示画質の低下のない液晶表示装置用スペー
サを提供する。 【解決手段】 配向膜が形成された2枚の基板の間に液
晶及びスペーサが狭持されてなる液晶表示装置用のスペ
ーサであって、前記液晶表示装置を製造する際、前記配
向膜上に乾式法により散布し、静置させた後に加熱した
とき、前記配向膜との接触部の周囲の表層が、前記接触
部の面積を拡大するように変形することを特徴とする液
晶表示装置用スペーサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置用ス
ペーサ及び該液晶表示装置用スペーサを用いてなる液晶
表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、現在、パソコン、携帯
電子機器等に広く用いられている。この液晶表示装置
は、一般に、図1に示したように、内側に透明電極3、
配向膜4等が形成され、外側に偏光板1が配置された2
枚の透明基板2が、これらの周囲に配設されたシール材
7を介して対向配置され、形成された空隙に液晶5が封
入されて構成されている。この液晶表示装置において、
2枚の透明基板2の間隔を規制し、適正な液晶層の厚み
(セルギャップ)を維持する目的で使用されているの
が、スペーサ6である。
【0003】このような目的で使用されるスペーサとし
て、例えば、特開昭60−200228号公報には、有
機材料からなるスペーサが開示されており、特開昭63
−73225号公報には、無機材料からなるスペーサが
開示されており、現在では、種々の材料からなるスペー
サが広く使用されている。
【0004】液晶表示装置を製造する際には、まず、配
向膜を表面に形成したガラス基板上にスペーサを散布
し、スペーサが散布されたガラス基板と他のガラス基板
とを周辺シール材を介して貼り合わせ、形成された空隙
に液晶を注入し、充填する。スペーサの散布方法として
は、有機溶媒等の分散媒に分散させたスペーサを分散媒
とともに散布する湿式散布法と、専用の散布装置を用
い、分散媒を介さずに粒子状のままのスペーサを散布す
る乾式散布法とがあるが、乾式散布法の場合の作業の簡
便性や、湿式法を用いる場合の作業環境の悪化等の問題
のため、乾式散布法が主流となりつつある。
【0005】乾式散布法に用いられるスペーサは、単粒
子化された状態で散布される必要があることから、従来
のスペーサは、粒子の凝集をなるべく少なくするように
表面の接着性が小さいものが使用されていた。
【0006】しかし、表面の接着性が小さいスペーサ
は、液晶表示装置の組み立て作業における切断作業の際
の衝撃や、液晶注入時の圧力等で移動し、散布直後にお
いては均一な散布状態にあったスペーサの位置が乱れ、
このスペーサの位置の乱れに起因して適正なセルギャッ
プが得られなくなり、表示画質に悪影響を及ぼすことが
あるという問題があった。
【0007】また、スペーサが注入時の外力等によって
移動すると、移動時のスペーサと配向膜との摩擦によっ
て配向膜の表面が損傷を受け、表示画質を低下させるこ
とがあるという問題もあった。さらに、近年では、車載
用テレビやナビゲーションシステム等の普及によって、
振動の激しい場所での液晶表示装置の利用機会が増えて
いるため、衝撃等によっても移動しにくいスペーサに対
する要求が一層高まってきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に鑑み、
配向膜上に散布されたスペーサが移動しにくく、そのた
め製造された液晶表示装置がスペーサの移動に起因する
表示画質の低下のない液晶表示装置用スペーサを提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、配向膜が形成
された2枚の基板の間に液晶及びスペーサが狭持されて
なる液晶表示装置用のスペーサであって、前記液晶表示
装置を製造する際、前記配向膜上に乾式法により散布
し、静置させた後に加熱したとき、前記配向膜との接触
部の周囲の表層が、前記接触部の面積を拡大するように
変形することを特徴とする液晶表示装置用スペーサであ
る。以下に本発明を詳述する。
【0010】本発明の液晶表示用装置スペーサは、配向
膜が形成された2枚の基板の間に液晶及びスペーサが狭
持されてなる液晶表示装置用のスペーサである。上記し
た本発明の液晶表示装置用のスペーサが対象とする液晶
表示装置は、配向膜が形成された2枚の基板の間に液晶
及びスペーサが狭持されてなる液晶表示装置であれば特
に限定されない。従って、従来より公知の種々の液晶表
示装置に本発明のスペーサを用いることができる。上記
基板としては特に限定されず、例えば、ガラス製の基板
であってもよく、樹脂製の基板であってもよい。また、
板状の基板であってもよく、フィルム状の基板であって
もよい。
【0011】また、上記配向膜としては特に限定され
ず、例えば、ポリイミドからなる配向膜等が挙げられ
る。上記配向膜の形成方法としては、例えば、基板上に
ポリイミドをコーティングする方法、基板上にポリイミ
ドの前駆体をコーティングした後、加熱処理してイミド
化する方法等が挙げられる。
【0012】上記構成の液晶表示装置は、通常、以下の
ような工程を経ることにより製造される。すなわち、少
なくとも配向膜が形成された第一の基板の表面に乾式法
を用いてスペーサを散布し、このスペーサが散布された
第一の基板の周辺にシール材を配置するとともに第二の
基板を対向配置する。この後、一般に、150℃以上の
加熱条件下で1分以上2つの基板を加圧、圧着させ、続
いて100℃以上の加熱条件下で10分以上加圧、圧着
を続行し、シール材を硬化させるとともに、シール材を
介した2つの基板の接着を行う。このシール材の硬化処
理工程の後、2つの基板の間に形成された空隙に液晶を
注入し、注入口を封止する工程を経ることにより液晶表
示装置が製造される。
【0013】図2は、スペーサを配向膜上に散布した後
のスペーサと配向膜との接触状態を模式的に示した説明
図であり、図中、Dはスペーサ6の直径、dはスペーサ
6と配向膜4との接触部6aの直径を表している。
【0014】本発明の液晶表示装置用のスペーサは、上
記方法により液晶表示装置を製造する際、配向膜上にス
ペーサを散布し静置させた後に加熱したとき、配向膜と
スペーサとの接触部(図2において、6aで示されてい
る部分)の周囲の表層が、接触部の面積を拡大するよう
に変形することを特徴とする。
【0015】接触部6aの面積(直径d)は、スペーサ
の表面が変形しやすい程大きくなる。また、接触部6a
の面積は、スペーサと配向膜との接着部の面積に相当す
るため、直径dが大きい程接着面積が大きく、外力が作
用した場合に、スペーサの移動に対抗する力も大きくな
る。接触部の直径dは、走査型電子顕微鏡で配向膜とス
ペーサとの接触状態を観察することにより測定すること
ができ、スペーサの粒子径も同様に走査型電子顕微鏡に
よる観察で測定することができるため、このような方法
をとることにより、基板及びスペーサを加熱した後、接
触部の直径dが大きくなっているか否かを判断すること
ができる。
【0016】本発明の液晶表示装置用スペーサは、配向
膜上に散布した後における、40℃の雰囲気下での、ス
ペーサの粒子径Dに対する配向膜とスペーサとの接触部
の直径dの比率(d/D)が0.1以下であり、かつ、
加熱処理した後の、スペーサの粒子径Dに対する配向膜
とスペーサとの接触部の直径dの比率(d/D)が0.
1を超えているものが好ましい。加熱処理前のd/D
は、0.05以下がより好ましく、加熱処理後のd/D
は、0.15以上がより好ましく、0.2以上が更に好
ましい。
【0017】加熱処理前のd/Dが0.1を超えると、
スペーサの粒子同士の合着(接着)が起こりやすくな
り、そのため乾式散布器のフィーダーの溝部から吸い上
げられにくくなり、一定の速度で散布することが困難と
なるばかりでなく、凝集した粒子があたかも大粒子のよ
うにふるまうのでセルギャップの精度が低下し、表示画
質の低下の原因となる。
【0018】上記工程で使用されるスペーサの乾式散布
器は、フィーダーによりスペーサを定量でスペーサ吹き
出し口に供給し、これにより吹き出し口からスペーサを
一定速度で散布するようになっている。また、このフィ
ーダーは、周囲に溝が形成されたディスクが回転すると
ともにし、ディスク表面に配置されたブレードが余分な
スペーサをかき落とし、溝中に残ったスペーサを吸引す
ることにより、スペーサ吹き出し口にスペーサを供給す
るようになっている。そのため、スペーサ粒子同士の合
着が起きると、上記した不都合が生ずる。
【0019】また、加熱処理後のd/Dが0.1以下で
は、実際の液晶表示装置の製造工程におけるシール材の
加熱工程以降、又は、液晶表示装置の完成後に、種々の
衝撃等の外力によってスペーサが移動しやすくなるた
め、表示画質の低下の原因となる。本発明では、上記シ
ール材の硬化工程で、スペーサを加熱、圧着する際、ス
ペーサを熱軟化させ、接触面積をさらに増大させようと
するものである。
【0020】加熱処理の温度は、200℃以下であるこ
とが好ましい。200℃を超える温度で加熱して初めて
充分な接触面積が得られる(例えば、d/Dが0.1を
超える)スペーサでは、実際の液晶表示装置製造時のシ
ール材の硬化条件に比べて加熱温度が高すぎるため、通
常の条件で製造した液晶表示装置においては、スペーサ
の移動が起こりやすくなり好ましくない。また、加熱処
理の温度は、2時間以内であることが好ましく、1時間
以内であることがより好ましい。2時間を超える時間で
加熱して初めて充分な接触面積が得られる(例えば、d
/Dが0.1を超える)スペーサでは、実際の液晶表示
装置製造時のシール材の硬化条件に比べて加熱時間が長
すぎるため、通常の条件で製造した液晶表示装置におい
ては、スペーサの移動が起こりやすくなり好ましくな
い。
【0021】このような特性を有するスペーサとして
は、特に限定されないが、少なくとも表層が熱可塑性樹
脂であるものが好ましい。従って、この場合のスペーサ
としては、全体が熱可塑性樹脂により構成されているも
のであってもよく、核となる部分は熱可塑性樹脂以外の
材料により構成され、表層部分が熱可塑性樹脂により構
成されているものであってもよい。
【0022】このような特性を有するスペーサとして
は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチ
レン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリフ
ェニレンオキサイド、ポリアセタール等の線状、又は、
架橋高分子重合体;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メ
ラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−
スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エス
テル共重合体、ジアリルフタレート重合体、トリアリル
イソシアヌレート重合体等の架橋構造を有する樹脂等の
有機系材料、これらの有機系材料であって顔料や染料に
より遮光性の付与されたもの、珪酸ガラス、硼珪酸ガラ
ス、鉛ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミナ、アルミナ
シリケート等の無機材料を構成材料とするものを核とす
る。これらの核となる材料が加熱によって極端に弾性率
の低下する熱可塑性樹脂である場合には、ガラス転移温
度(Tg)が200℃を超えるものであることが好まし
い。粒子の核となる構成材料のTgが200℃以下の場
合には、液晶表示装置の製造工程中の加熱工程で変形
し、セルギャップが変動し、表示画質が低下するので好
ましくない。
【0023】また、200℃を超えるTgを有する熱可
塑性樹脂や非熱可塑性樹脂からなる有機材料、及び/又
は、無機材料が構成材料となる場合は、スペーサの表面
がその接触面積を拡大するように変形する必要があるた
め、上記の核となる粒子の表面に、核を構成する材料よ
りも一定の温度条件下で変形しやすい材料からなる表面
層を形成することが好ましい。表面を構成する材料とし
ては、Tgが0〜150℃のものが好ましい。更に、好
ましくは、30〜100℃である。Tgが0℃未満で
は、粒子表面層が室温においても非常に変形しやすいた
め粒子同士が合着しやすく、乾式散布がしにくくなるの
で好ましくない。また、Tgが150℃を超えると、加
熱処理時にも粒子表面層の変形が起こりにくく、加熱処
理後の接着面積を充分に確保することができないことが
あり(d/Dが0.1を超えることが困難となり)、ス
ペーサの移動が起こりやすいので好ましくない。
【0024】また、表面層の厚みとしては、5〜500
nmであることが好ましい。更に好ましくは、100〜
300nmである。5nm未満では、表面の変形しやす
い層が薄すぎるため、加熱処理前及び加熱処理後に接着
面積を充分に確保することがしにくくなる(加熱処理後
のd/Dが、0.1以下になる)ので、好ましくない。
一方、500nmを超えると、粒子表面層の変形による
粒子径の変動が大きくセルギャップの不均一化に繋がる
ことがあるので好ましくない。
【0025】但し、配向膜とスペーサとの接触面積は、
スペーサ表面の熱軟化性樹脂層の厚みと、溶融温度、溶
融粘度等に影響される。すなわち、軟化性の樹脂層の厚
みが厚い程、溶融温度が低い程、溶融粘度が低い程、接
触面積は大きくなる傾向にある。従って、これらの最適
値は、3つの要因が影響し合うので、厳密には特定しに
くい。
【0026】表層に熱可塑性樹脂層を形成する方法とし
ては、例えば、特願平9−335828号に記載の、表
面に還元性基を有する微粒子に酸化剤を反応させ、粒子
表面にラジカルを発生させることで表面にグラフト重合
を行う方法や、微粒子表面に重合性の官能基を導入し、
不飽和結合を有する化合物の存在下に微粒子を分散させ
て、系に重合開始剤を投入することで表面グラフト重合
を行う方法等が挙げられる。上記スペーサの直径として
は特に限定されないが、0.1〜100μmが好まし
く、1〜30μmがさらに好ましい。
【0027】本発明の液晶表示装置用スペーサは、液晶
表示装置に用いることができる。この液晶表示装置は、
上記したように、例えば、ポリイミド配向膜を配置、ラ
ビング処理したガラス又はフィルム基板上に、上記液晶
表示装置用スペーサを乾式法により散布し、上記基板を
周辺シール材にて加熱圧着させ、できた空隙に液晶を充
填することにより得ることができる。上記液晶表示装置
もまた、本発明の一つである。
【0028】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0029】実施例1スペーサ用種粒子の製造 ポリビニルアルコールの3重量%水溶液800重量部に
ジビニルベンゼン100重量部と過酸化ベンゾイル2重
量部との混合液を加え、ホモジナイザーにて攪拌し、エ
マルジョンの粒度の調整を行った。続いて、攪拌しなが
ら、窒素気流下に80℃まで昇温し、15時間反応を行
い微粒子を製造した。得られた微粒子を熱イオン交換水
及びメタノールを用いて洗浄した後、分級操作を行い、
平均粒子径が6.0μm、CV値が5%の微粒子を得
た。
【0030】なお、上記CV値とは、下記の式(1); CV値(%)=(σ/Dn)×100・・・・(1) (式中、σは、粒子径の標準偏差を表し、Dnは、数平
均粒子径を表す)で表される値である。上記標準偏差及
び数平均粒子径は、微粒子300個を電子顕微鏡で観察
することにより得られる。次に、分級後の微粒子をスペ
ーサの種粒子とし、以下の反応を行った。
【0031】種粒子の被覆処理 まず、この種粒子の5重量部を、イオン交換水20重量
部とヒドロキシエチルメタクリレート10重量部との混
合液中に投入し、ソニケータにより分散させた後、均一
に攪拌を行った。続いて、系に窒素ガスを導入し、30
℃で2時間攪拌を続けた。次に、この液に、1Nの硝酸
水溶液で調整した0.1mol/Lの硝酸第二セリウム
アンモニウム溶液10重量部を添加し、5時間反応を続
行し、種粒子の表面にポリヒドロキシエチルメタクリレ
ートのグラフト鎖からなる被覆層を形成した。重合反応
終了後、反応粒子を含む反応液を取り出し、3μmのメ
ンブランフィルタにて粒子と反応液とを濾別した。次
に、この粒子をエタノール及びアセトンで充分に洗浄
し、真空乾燥器にて減圧乾燥を行った。
【0032】次に、上記反応により得られた粒子5重量
部を用い、上記被覆処理と同様の条件で被覆処理を行
い、ポリヒドロキシエチルメタクリレートの表面グラフ
ト鎖を延長し、その後、同様に濾過、洗浄を行った。更
に、この被覆処理反応及びその後の濾過、洗浄をさらに
もう一度行い、ポリヒドロキシエチルメタクリレートの
表面グラフト鎖を延長した。従って、種粒子に対し、ヒ
ドロキシエチルメタクリレートを用いた被覆処理反応を
合計3回行ったことになる。
【0033】このようにして得られた被覆粒子10重量
部をトルエン300重量部とトリエチルアミン2重量部
との混合液中に投入し、ソニケータにより充分分散させ
た後に、均一に攪拌を行った。ついで、ステアリン酸ク
ロライド4重量部をトルエン8重量部に溶かした溶液を
系に滴下し、その後系を23℃に保持しつつ1時間攪拌
を続行した後、60℃に昇温し、攪拌しながら2時間反
応を続行した。
【0034】反応終了後、反応液を取り出し、3μmの
メンブランフィルタにて粒子と反応液とを濾別した。こ
の粒子をトルエンとメタノールにて充分洗浄し、真空乾
燥器を用いて減圧乾燥を行い、使用するスペーサとし
た。
【0035】スペーサの乾式散布 ガラス基板上にポリイミドを含有する液(日産化学社
製、サンエバー150)をスピンコート法により塗布
し、乾燥した後、230℃で1時間焼成して硬化させ、
配向膜を形成した。次に、スペーサ散布装置として、日
清エンジニアリング社製の乾式散布装置を用い、上記方
法により配向膜が形成されたガラス基板上にスペーサを
散布し、以下のような方法を用いてスペーサの評価を行
った。評価結果を下記の表1に示した。
【0036】評価方法 (1)乾式散布性 スペーサを一定時間、一定速度で散布することができた
か否かを調べた。 (2)スペーサと配向膜との接触状態の観察 スペーサが散布されたガラス基板を、40℃の高温槽中
に1時間静置し、室温に戻した後に、走査型電子顕微鏡
(SEM)でスペーサと配向膜との接触状態を観察し
た。そして、スペーサの直径D及びスペーサと配向膜と
の接触部の直径dを測定し、d/Dを求めた。また、ス
ペーサが散布されたガラス基板を、150℃の高温槽中
に1時間静置し、室温に戻した後に、SEMでスペーサ
と配向膜との接触状態を観察した。そして、スペーサの
直径D及びスペーサと配向膜との接触部の直径dを測定
し、d/Dを求めた。
【0037】(3)エアーブロー残存率の測定(スペー
サの配向膜に対する接着性の測定) スペーサが散布されたガラス基板を150℃、1時間の
条件で加熱した後、エアーブロー試験を行った。このエ
アーブロー試験では、光学顕微鏡を用いて所定領域内の
スペーサの個数を計測した後、エアガン(3kg/cm
2 )を用い、ガラス基板の表面より10cm離れた距離
から空気を5秒間吹きつけ、所定領域内に残留したスペ
ーサの個数を再計測し、以下の式(2)による値をエア
ブロー残存率とした。 エアーブロー残存率=(エアーブロー後の粒子の個数)/(エアーブロー前の 粒子の個数)・・・・(2)
【0038】(4)液晶表示装置の表示画質の確認 上記試験とは別に上記方法によりスペーサを散布したガ
ラス基板を用意し、これを用いて基板サイズ150mm
×150mm、セルギャップ6.0μmのSTN型液晶
表示装置を製造し、目視により画面上のムラの有無を観
察した。
【0039】比較例1 実施例1と同様の条件で製造した種粒子5重量部を、イ
オン交換水20重量部とヒドロキシエチルメタクリレー
ト10重量部との混合液中に投入し、ソニケータにより
分散させた後、均一に攪拌を行った。続いて、系に窒素
ガスを導入し、30℃で2時間攪拌を続けた。次に、こ
の液に、1Nの硝酸水溶液で調整した0.1mol/L
の硝酸第二セリウムアンモニウム溶液10重量部を添加
し、5時間反応を続行し、種粒子の表面にポリヒドロキ
シエチルメタクリレートのグラフト鎖を形成した。重合
反応終了後、反応液を取り出し、3μmのメンブランフ
ィルタにて粒子と反応液とを濾別した。次に、この粒子
をエタノール及びアセトンで充分に洗浄し、真空乾燥器
にて減圧乾燥を行った。
【0040】このようにして得られた被覆粒子10重量
部をトルエン300重量部とトリエチルアミン1重量部
との混合液中に投入し、ソニケータにより充分分散させ
た後に、均一に攪拌を行った。ついで、ステアリン酸ク
ロライド2重量部をトルエン4重量部に溶かした溶液を
系に滴下し、その後系を23℃に保持しつつ1時間攪拌
を続行した後、60℃に昇温し、攪拌しながら2時間反
応を続行した。
【0041】反応終了後、反応液を取り出し、3μmの
メンブランフィルタにて粒子と反応液とを濾別した。こ
の粒子をトルエンとメタノールにて充分洗浄し、真空乾
燥器を用いて減圧乾燥を行い、使用するスペーサとし
た。その後、実施例1と同様にしてスペーサを配向膜が
形成されたガラス基板に散布し、実施例1と同様に評価
を行った。評価結果を下記の表1に示した。
【0042】比較例2 種粒子をそのままスペーサとして使用し、実施例1と同
様にしてこのスペーサを配向膜が形成されたガラス基板
に散布し、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を
下記の表1に示した。
【0043】比較例3 ヒドロキシエチルメタクリレートを用いた被覆処理を3
回行った種粒子を再処理する際に、トルエン300重量
部とトリエチルアミン2重量部との混合液を使用する代
わりに、トルエン300重量部とトリエチルアミン4重
量部との混合液を使用し、ステアリン酸クロライド4重
量部をトルエン8重量部に溶かした溶液を使用する代わ
りに、ラウリン酸クロライド8重量部をトルエン16重
量部に溶かした溶液を使用した以外は、実施例1と同様
にしてスペーサを製造した。その後、実施例1と同様に
してスペーサを配向膜が形成されたガラス基板に散布
し、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を下記の
表1に示した。
【0044】比較例4 ヒドロキシエチルメタクリレートを用いた被覆処理を3
回行った種粒子を再処理する際に、トルエン300重量
部とトリエチルアミン2重量部との混合液を使用する代
わりに、トルエン300重量部とトリエチルアミン1重
量部との混合液を使用し、ステアリン酸クロライド4重
量部をトルエン8重量部に溶かした溶液を使用する代わ
りに、ラウリン酸クロライド2重量部をトルエン4重量
部に溶かした溶液を使用した以外は、実施例1と同様に
してスペーサを製造した。その後、実施例1と同様にし
てスペーサを配向膜が形成されたガラス基板に散布し、
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を下記の表1
に示した。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の液晶表示装置用スペーサは、上
述の通りであるので、配向膜上に散布されたスペーサが
移動しにくく、そのため製造された液晶表示装置がスペ
ーサの移動に起因する表示画質の低下のない液晶表示装
置用スペーサを提供することができる。上記特性を有す
る液晶表示装置も本発明の一つである。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示装置を模式的に示した断面図である。
【図2】スペーサを配向膜上に散布した後のスペーサと
配向膜との接触状態を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
1 偏光板 2 透明基板 3 透明電極 4 配向膜 5 液晶 6 スペーサ 6a 接触部 7 シール部材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向膜が形成された2枚の基板の間に液
    晶及びスペーサが狭持されてなる液晶表示装置用のスペ
    ーサであって、前記液晶表示装置を製造する際、前記配
    向膜上に乾式法により散布し、静置させた後に加熱した
    とき、前記配向膜との接触部の周囲の表層が、前記接触
    部の面積を拡大するように変形することを特徴とする液
    晶表示装置用スペーサ。
  2. 【請求項2】 配向膜上に散布した後における、40℃
    の雰囲気下での、スペーサの粒子径Dに対する配向膜と
    スペーサとの接触部の直径dの比率(d/D)が0.1
    以下であり、かつ、加熱処理した後の、スペーサの粒子
    径Dに対する配向膜とスペーサとの接触部の直径dの比
    率(d/D)が0.1を超えていることを特徴とする請
    求項1記載の液晶表示装置用スペーサ。
  3. 【請求項3】 加熱処理の温度が200℃以下であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置用ス
    ペーサ。
  4. 【請求項4】 少なくとも表層が熱可塑性樹脂により構
    成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載
    の液晶表示装置用スペーサ。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の液晶表示
    装置用スペーサを用いてなることを特徴とする液晶表示
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003043495A (ja) * 2001-08-03 2003-02-13 Soken Chem & Eng Co Ltd 2次変形異方接着性スペーサー粒子、その製造方法及びその粒子を用いる表示デバイス。

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JP2003043495A (ja) * 2001-08-03 2003-02-13 Soken Chem & Eng Co Ltd 2次変形異方接着性スペーサー粒子、その製造方法及びその粒子を用いる表示デバイス。

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