JP2000129032A - 熱可塑性ポリエステル樹脂の解重合方法 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル樹脂の解重合方法

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JP2000129032A
JP2000129032A JP30884398A JP30884398A JP2000129032A JP 2000129032 A JP2000129032 A JP 2000129032A JP 30884398 A JP30884398 A JP 30884398A JP 30884398 A JP30884398 A JP 30884398A JP 2000129032 A JP2000129032 A JP 2000129032A
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water
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polyester resin
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Yoshito Kuroda
義人 黒田
Kazuhiro Matsubara
一博 松原
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性ポリエステル樹脂を加水分解して、
ポリマーの重合原料等に使用できる貴重な原料モノマー
を、工業的に効率よく、短時間の内に高収率で回収する
ための技術を提供する。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂を、溶融状態
で、250℃以上450℃以下の範囲の液体又は超臨界
状態の高温高圧水中に分散させて加水分解反応を行わせ
る解重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製造過程で排出さ
れた、または使用後に回収された熱可塑性ポリエステル
樹脂廃棄物を加水分解してその原料モノマーを回収する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】産業又は家庭からの廃棄物には多量の樹
脂が含まれているが、その大部分は再利用されることな
く廃棄されているのが現状である。これらの樹脂は貴重
な化学原料となり得るものであり、これらの樹脂を処理
して有効に利用することができる技術の開発が切望され
ている。樹脂の内、再資源化が最も期待されているもの
の一つにポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル
樹脂は、多価アルコールと多価カルボン酸がエステル結
合により縮合したものであり、ポリエチレンテレフタレ
ートやポリブチレンテレフタレートに代表される熱可塑
性樹脂と、熱硬化性の不飽和ポリエステル樹脂がある。
特に、熱可塑性のポリエステル樹脂は、繊維やボトル、
シート、及びエンジニアリング樹脂として、広く用いら
れている。
【0003】ポリエステル樹脂は、水、アルコール、グ
リコール類等と反応させることにより、原料モノマーに
戻すことが出来る特徴を持ち、従来より、解重合の技術
としては、酢酸亜鉛などの触媒存在下にメタノールを反
応させてメチルエステル体モノマーを回収するメタノリ
シス法、炭酸ナトリウムなどの触媒存在下にエチレング
リコールを反応させてオリゴマーを回収するグルコリシ
ス法などの技術が知られている。しかしながら、これら
の方法では引火性のあるアルコール類を大量に使用する
ことによる危険性、触媒を使用することによるコスト高
等の問題を有していた。
【0004】近年、熱可塑性ポリエステルの大部分を占
め、繊維やボトル等の用途に多量に用いられているポリ
エチレンテレフタレートや、優れた物性を持ち、エンジ
ニアリングプラスチックとして用途が拡大しているポリ
ブチレンテレフタレートなどの樹脂の重合方法は、プロ
セスの単純なテレフタル酸を原料とする方法が主流とな
ってきており、回収法としても、生成物としてテレフタ
ル酸等の多価カルボン酸を直接回収することができる、
加水分解による解重合法が望まれるようになった。
【0005】特に、1997年に容器包装リサイクル法
によりPETボトルのリサイクルが義務づけられる等、
廃ポリエステルを有用な資源として活用しようとする要
求が高まっており、工業的な効率の点から、短い反応時
間で、樹脂を構成する原料モノマーであるテレフタル酸
及びエチレングリコールを高収率で回収するという両目
的を満足する解重合技術が切望されている。
【0006】しかしながら、化学工学論文集、第23
巻、第4号(1997)、p505に「まず、ポリエチ
レンテレフタレートと超臨界水、又は亜臨界状態の高温
高圧水が接触することにより、主鎖のランダム加水分解
が生じ、低分子量体のオリゴマー及び原料モノマーが生
成する。引き続いて、該オリゴマーの加水分解が逐次的
に生じ、原料モノマーが生成することで全加水分解反応
が完結する。本反応において、全加水分解反応速度は温
度300℃から400℃の範囲内において高温ほど大き
い。しかし、いずれの反応温度においても、該樹脂を構
成する原料モノマーのテレフタル酸とエチレングリコー
ルの内、エチレングリコールは生成過程において著しく
分解し、該モノマーの回収率は低くなる。」と、記載さ
れているように、重縮合系樹脂の熱可塑性ポリエステル
樹脂を超臨界水又は亜臨界状態の高温高圧水中で加水分
解により解重合して、短い反応時間で、該樹脂を構成す
る、ジカルボン酸とジオールの両原料モノマーを高収率
で回収するという解重合技術は未だ確立されていないの
が実状である。
【0007】特開平5−31000号公報には、重縮合
反応により生成する熱可塑性樹脂を含む種々の合成樹脂
又は天然樹脂を超臨界又は亜臨界状態の高温高圧水と反
応させることにより、短時間で樹脂を分解する方法が開
示されているが、分解反応系における分散の手段につい
ての記載はない。また、具体的に記載されているのは天
然樹脂のセルロースだけであり、該樹脂の加水分解生成
物であるグルコース収率は十分といえるものではない。
【0008】特開平9−77905号公報には、筒状容
器内部にスクリュウを有する高温高圧反応容器内に、溶
融状態のポリエチレンテレフタレートと水を供給し、該
スクリュウの回転によりポリエチレンテレフタレート及
び水を連続的に撹拌すると共に移送しつつ反応させる方
法が開示されているが、得られる原料モノマーの収率に
ついての記載はない。このように、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂を液体又は超臨界状態の高温高圧水で解重合する
反応系は従来より知られているが、得られる原料モノマ
ーである、多価カルボン酸と多価アルコールの両者が共
に高収率で得られる回収法は未だ確立されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱可塑性ポ
リエステル樹脂を加水分解して、ポリマーの重合原料等
に使用できる貴重な原料モノマーを、工業的に効率よ
く、短時間の内に高収率で回収するための技術を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討を行った結果、溶融状態にある
重縮合系樹脂を、特定の温度範囲にある高温高圧水中に
分散させた状態で加水分解を行うことにより、極短時間
の内に完全にモノマーまで解重合し、驚くべきことに、
樹脂を構成する多価カルボン酸と多価アルコールの両原
料モノマーを高収率で回収可能となることを見出し、本
発明を完成させるに至った。
【0011】すなわち本発明は(1) 熱可塑性ポリエ
ステル樹脂を、溶融状態で、250℃以上450℃以下
の範囲の液体又は超臨界状態の高温高圧水中に分散させ
て加水分解反応を行わせることを特徴とする樹脂の解重
合方法、(2) 熱可塑性ポリエステル樹脂がポリエチ
レンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記
載の樹脂の解重合方法、(3) 高温高圧水が250℃
以上370℃以下の範囲の液体状態であり、分散させら
れた溶融樹脂の平均粒径が5mm以下、且つ加水分解時
間が20分以下であることを特徴とする請求項2記載の
樹脂の解重合方法、を提供するものである。
【0012】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
において用いられる熱可塑性ポリエステル樹脂として
は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート等を挙げる
ことができるが、ポリエチレンテレフタレートが特に好
ましく用いられる。これらの樹脂形状としては、例え
ば、粒状、糸状、或いは市販品をそのまま、又は圧縮、
切断等、取り扱いに適した任意の形状に加工したものが
使用可能である。
【0013】加水分解のための反応温度は、樹脂の種類
によって異なるが、通常250℃以上450℃以下、好
ましくは250℃以上370℃以下である。250℃未
満では製品収率を確保するために多大な反応時間が必要
となり、設備の大型化と生産性の低下を招く。また45
0℃を越えると、回収可能な原料モノマー収率が著しく
低下する。圧力は亜臨界状態では高温高圧水が液体状体
を保てる圧力、超臨界状態では溶解度を確保するために
水の密度が0.2g/cm3 以上となる圧力が必要であ
り、反応温度が高いほど高圧を要する。圧力の上限は反
応面での規制はないが、設備的な面で50MPa以下が
実用的である。
【0014】反応器に供給する高温高圧水の樹脂に対す
る重量比(以下、水比と略記する。)は、2〜10の範
囲、好ましくは3〜7の範囲である。熱可塑性ポリエス
テル樹脂の加水分解に必要な水の量は、生成する原料モ
ノマーを完全に溶解するのに十分な量が必要であり、例
えば、熱可塑性ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフ
タレートの場合、水比が2未満では、生成する原料モノ
マー、芳香族ジカルボン酸を加水分解条件下で完全に溶
解することができなくなる。一方、水比が10を越える
と、加水分解反応が速やかに生じる利点がある反面、反
応器や高温高圧水製造、水処理等の設備の大型化と、処
理に要するエネルギーの増大に繋がるため、好ましくな
い。
【0015】使用する反応器は、バッチ式でも連続式で
も良い。反応器の形状は、例えばパイプ型、円筒状の垂
直型又は水平型等を用いることができる。熱可塑性ポリ
エステル樹脂を溶融状態で高温高圧水中に分散させるこ
とを実現するための手段としては、特に限定しないが、
例えば、隔壁、静止混合機などの充填物による静的分散
手段、及び/又は撹拌機、ミキサー、往復動作や回転動
作を行う挿入物による強制的分散手段を、単独若しくは
単独で複数個、又は組み合わせて用いることができる。
また、微粉砕した熱可塑性ポリエステル樹脂を水スラリ
ーとして反応器に供給するのも好ましい様態である。更
に、反応を迅速に完結させるために、反応器の複数箇所
に強制的分散手段を用いること、及び/又は反応器内の
流れを過渡範囲から乱流範囲に保つことも好ましい。
【0016】該反応器を用いて熱可塑性ポリエステル樹
脂を加水分解により解重合する反応において、溶融状態
で高温高圧水へ分散した該樹脂の平均粒径(以下、平均
粒径と略記する。)は、5mm以下であることが好まし
い。平均粒径5mmを越える場合には、原料モノマーの
内、多価アルコール成分の回収率が低下するため好まし
くない。平均粒径は小さければ小さいほど、単位樹脂重
量当たりの高温高圧水との接触面積が大きくなり、加水
分解反応速度が高められるため好ましいが、0.000
1mm未満に分散させるには多大な労力がかかる上に、
多価アルコール成分の回収率には、ほとんど影響を与え
なくなることから、通常0.0001mm以上で行われ
る。
【0017】ここで、平均粒径の算出法について述べ
る。平均粒径は、画像解析により算出した。即ち、反応
器にサファイアガラス製のぞき窓と内部観察のための撮
影用ファイバースコープを設置し、混合条件下におい
て、高温高圧水中に強制的に分散させられた熱可塑性ポ
リエステル樹脂を観察する。分散状態にある該樹脂は、
球状に近い種々の構造を形成しているが、本発明におい
て平均粒径は、分散している該構造体のうち、10個を
無作為に抽出し、該構造体の断面積を該断面積と同等の
断面積を有する真円とし、該真円の直径と同等の直径を
有する球の粒径の相加平均値として算出した。
【0018】反応器内の滞留時間は、熱可塑性ポリエス
テル樹脂の種類と反応温度により最適値が決定される
が、滞留時間に比例して反応器が大型化するため、通常
20分以下、反応調節の設備上の困難性から1秒以上で
行われ、原料モノマーの収率の点から好ましくは10分
以下、10秒以上、より好ましくは5分以下、20秒以
上で行われる。本発明の方法により生成した原料モノマ
ーは、必要に応じて反応後の水溶液から固形物又は不溶
物を分離除去する固液分離部を経由した後、落圧し、晶
析、蒸留等の通常の分離精製操作を行うことにより、回
収することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。
【0020】
【実施例1】サファイアガラス製のぞき窓と内部観察の
ための撮影用ファイバースコープを有する内径8.2m
m、内容積6mlの反応管に、室温にて平均直径0.5
mmに粉砕したポリエチレンテレフタレート0.826
g、イオン交換水4.54g、SUS316製直径2m
m及び4mmのボールをそれぞれ1個づつ仕込み、反応
管内を窒素置換した。300℃に加熱された金属浴に該
反応管を管長方向を水平に入れると同時に反応管を毎秒
6回の速度で、水平方向に反応管の中心を原点として振
れ幅15cmで振とうしつつ、4分間反応させた。反応
終了後、直ちに反応管を氷冷水に入れて急冷し、反応を
停止させた。反応管内の内容物を分析した結果を表1に
示す。反応過程において、のぞき窓からポリエチレンテ
レフタレートの状態を観察した結果、溶融直後から加水
分解により形状が消失するまでの間、溶融樹脂は高温高
圧水中に分散した状態で存在しており、溶融直後の樹脂
の平均粒径は1.1mmであった。
【0021】
【実施例2】実施例1と同様の反応管に、室温にて平均
直径0.5mmに粉砕したポリエチレンテレフタレート
0.765g、イオン交換水4.23g、SUS316
製直径1/4インチのボールを1個仕込み、反応管内を
窒素置換した。300℃に加熱された金属浴に該反応管
を管長方向を水平に入れると同時に反応管を毎秒4回の
速度で、水平方向に反応管の中心を原点として振れ幅1
5cmで振とうしつつ、4分間反応させた。反応終了
後、直ちに反応管を氷冷水に入れて急冷し、反応を停止
させた。反応管内の内容物を分析した結果を表1に示
す。反応過程において、のぞき窓からポリエチレンテレ
フタレートの状態を観察した結果、溶融直後から加水分
解により形状が消失するまでの間、溶融樹脂は高温高圧
水に分散した状態で存在しており、溶融直後の樹脂の平
均粒径は1.5mmであった。
【0022】
【実施例3】実施例1と同様の反応管に、室温にて平均
直径0.5mmに粉砕したポリエチレンテレフタレート
0.831g、イオン交換水4.57g、SUS316
製直径2mmのボールを2個仕込み、反応管内を窒素置
換した。300℃に加熱された金属浴に該反応管を管長
方向を水平に入れると同時に反応管を毎秒3回の速度
で、水平方向に反応管の中心を原点として振れ幅15c
mで振とうしつつ、6分間反応させた。反応終了後、直
ちに反応管を氷冷水に入れて急冷し、反応を停止させ
た。反応管内の内容物を分析した結果を表1に示す。反
応過程において、のぞき窓からポリエチレンテレフタレ
ートの状態を観察した結果、溶融直後から加水分解によ
り形状が消失するまでの間、溶融樹脂は高温高圧水に分
散した状態で存在しており、溶融直後の樹脂の平均粒径
は4.4mmであった。
【0023】
【比較例1〜4】実施例1と同様の反応管に、室温にて
平均直径0.5mmに粉砕したポリエチレンテレフタレ
ート0.831g、イオン交換水4.57gを仕込み、
反応管を窒素置換した。同様にして4本の反応管を用意
した。300℃に加熱された金属浴に管長方向を垂直に
反応管を入れ、それぞれ4、15、60、120分間反
応させた後、反応管を氷冷水に入れて急冷し、反応を停
止させた。反応管内の内容物を分析した結果を表1に示
す。反応過程において、のぞき窓からポリエチレンテレ
フタレートの状態を観察した結果、溶融直後の樹脂は合
一沈積しており、高温高圧水に分散した状態ではなかっ
た。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、熱可塑性ポリエ
ステル樹脂廃棄物から、ポリマーの重合原料として利用
できる両モノマーを、コンパクトな設備により短時間の
内に、高収率で回収することができるため、環境に優し
いリサイクルプロセスとして極めて有効である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂を、溶融状態
    で、250℃以上450℃以下の範囲の液体又は超臨界
    状態の高温高圧水中に分散させて加水分解反応を行わせ
    ることを特徴とする樹脂の解重合方法。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリエステル樹脂がポリエチレ
    ンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載
    の樹脂の解重合方法。
  3. 【請求項3】 高温高圧水が250℃以上370℃以下
    の範囲の液体状態であり、分散させられた溶融樹脂の平
    均粒径が5mm以下、且つ加水分解時間が20分以下で
    あることを特徴とする請求項2記載の樹脂の解重合方
    法。
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