JP2000125783A - 顆粒状食品及びその製造方法 - Google Patents

顆粒状食品及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解性が良く、風味に優れ、ザラツキ感のな
い食感を有し、しかも、近時の消費者の健康志向に適合
したローファットあるいはノンファットの各種スープ、
ソース等を作ることができる顆粒状食品及びその製造法
を提供する。 【解決手段】 主原料として澱粉を含み、油脂を0〜6
重量%の割合で含む食品原料に、水分原料が4〜12重
量%になるように加水した後、硬度が100〜2000
gfになるように加圧成形し、得られた成形物を粉砕整
粒する顆粒状食品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カレー、シチュ
ー、パスタソース、中華調理用ソース、トマトソース・
ブイヤベースのような洋風煮込みソース等のソース類、
おでん、うどん等の各種スープ・汁類、各種調味料等を
顆粒状にした顆粒状食品及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】顆粒状食品は、一般に湿式造粒法または
乾式造粒法により製造されているが、従来行われている
湿式造粒法、乾式造粒法について記載すると、次のとお
りである。 〔湿式造粒法〕一般に湿式造粒法は、加水した食品原料
(水分含量約15〜30重量%程度)を押し出し型の造
粒機により顆粒化した後、乾燥処理を施すため、特に上
記加水量が多い場合には、食品風味の飛散、変質が起こ
る、という問題が生じる。上記加水量の少ない湿式造粒
法としては、澱粉類および粉乳、食塩、砂糖、化学調味
料、香辛料などの適宜材料と、さらに食用油脂より成る
原料の水分含量を8〜13%に調整し、これを押し出し
型の造粒機にかけて造粒した後、熱風乾燥により5〜9
%の水分を蒸発させ、冷却、篩別する顆粒状食品の製造
法(特公昭53−45380号)が知られている。しか
し、水分含量の少ない食品原料を押し出し型の造粒機に
かけて造粒する場合には、食用油脂を用いなければ造粒
することができず、ローファットあるいはノンファット
の各種スープ、ソース等を作ることができない。
【0003】〔乾式造粒法〕一方、食品原料に加水を要
しない造粒法として、乾式造粒法がある。 例えば、特開平6−125717号には、被造粒物
に加水することなく上昇融点40〜55℃の油脂を混合
し、押し出し造粒する顆粒状食品の製造法が記載されて
いる。しかし、上記湿式造粒法における食品風味の飛
散、変質という問題は解消できるが、固形油脂を使用し
ているため、保存中の油脂の溶融により顆粒の崩壊が生
じる、得られたスープ、ソースにザラツキが感じられ
る、という問題が生じる。 また、特開昭59−45835号には、食品原料中
にショ糖脂肪酸エステルを混和し、これを板状に圧延成
形し、顆粒化する顆粒状食品の製造法が記載されてい
る。かかる製造法においても、食品原料に加水していな
いため、上記湿式造粒法における食品風味の飛散、変質
という問題は解消できる。しかし、食品原料が、例えば
小麦粉を主原料とするものである場合、かなりの高圧で
なければ圧延成形処理を行うことができず、得られた顆
粒状食品の溶解性が悪くなる、という問題が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術における問題の全てを解消し、溶解性が良く、風味
に優れ、ザラツキ感のない食感を有し、しかも、近時の
消費者の健康志向に適合したローファットあるいはノン
ファットの各種スープ、ソース等を作ることができる顆
粒状食品及びその製造法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため鋭意研究を重ねた結果、澱粉を主原料と
し、油脂原料を含まないかあるいは極めて少量含む食品
原料に、極めて少量の加水を行い、特定の硬度になるよ
うに加圧成形し、粉砕して造粒を行うことにより、上記
目的を達成することができることを知見し、本発明を完
成するに至ったのである。
【0006】すなわち、本発明は、加圧成形品を粉砕整
粒してなる顆粒状食品であって、主原料として澱粉を含
み、油脂を0〜6重量%、水分を4〜12重量%の割合
で含有することを特徴とする顆粒状食品であり、また、
この際、上記水分を3〜10重量%の割合で含有するこ
とを特徴とする顆粒状食品である。さらに、本発明は、
主原料として澱粉を含み、油脂を0〜6重量%の割合で
含む食品原料に、水分含量が4〜12重量%になるよう
に加水した後、硬度が100〜2000gfになるよう
に加圧成形し、得られた成形物を粉砕整粒することを特
徴とする顆粒状食品の製造方法であり、また、上記顆粒
状食品の製造方法において、成形物を粉砕整粒した後、
得られた顆粒状食品の水分含量が3〜10重量%になる
ように乾燥処理を施す顆粒状食品の製造方法である。
【0007】本発明が対象とする顆粒状食品は、湯に溶
かして用いるもので、例えば、カレー、シチュー、パス
タソース、中華調理用ソース、トマトソース・ブイヤベ
ースのような洋風煮込みソース等のソース類、おでん、
うどん等の各種スープ・汁類、各種調味料等を顆粒化し
た食品である。本発明においては、澱粉を主原料とする
ものであるが、澱粉としては、小麦粉、コーンスター
チ、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉等が用いられる。澱粉を主原
料とし、後記するその他の材料を用いるが、これら澱粉
を含む原料の使用量は10〜50重量%、好ましくは2
0〜40重量%である。この際、澱粉として湿熱処理小
麦粉、例えば、110〜120℃の水蒸気により加熱処
理した小麦粉を用いると、粘性を付与し、溶解性を向上
させるので好ましい。
【0008】油脂は含まないかあるいは極めて少量であ
ることが必要であって、0〜6重量%、好ましくは2〜
4重量%である。極めて少量ではあるが油脂を用いた場
合には、コク味付けができ、また、製造時における粉原
料の粉立ちを防止することができる。その他の原料とし
ては、砂糖、食塩、粉乳、その他調味料等が用いられ、
対象食品に応じて任意に配合する。デキストリン、酸処
理澱粉(分散剤)を用いると、溶解性を向上させるので
好ましい。デキストリン、酸処理澱粉を用いる場合は、
30重量%以下が好ましい。
【0009】上記食品原料に水分含量が4〜12重量
%、好ましくは5〜8重量%になるように加水する。加
水方法は特に限定されるものではなく、任意の方法で行
うことができるが、均一な加水が行われるようにするに
は、混合している原料中に、水を噴霧するのが好まし
い。上記のように加水すると、溶解性、風味の良好な顆
粒状食品が得られるのであるが、水分含量が4重量%未
満であると、高圧による加圧成形となり溶解性が低下す
る。また、水分含量が12重量%を超えると、高温、長
時間の乾燥処理が必要になり風味が低下する。
【0010】上記のように加水した食品原料は、硬度が
100〜2000gfになるように加圧成形する。この
際、硬度の測定方法の条件は、次のとおりである。 (a) 被測定物の大きさ:表面30〜50mm2 、厚さ
2.0〜3.0mm (b) プランジャー形状:W13mm×D30mm×H2
5mm三角柱、先端部角度300 、先端1mm幅 (c) 圧縮速度:0.5mm/sec (d) 硬度:最大荷重点(成形物の破断時にかかった最大
荷重) (e) 測定装置:被測定物に一定の速度で垂直方向から荷
重を加える機構を備えた圧縮試験装置。
【0011】加圧成形は加圧成形装置により行い、加圧
成形装置としては、打錠機、ロール圧縮機が用いられ
る。打錠機、ロール圧縮機を用いる場合の諸条件につい
て示すと、次のとおりである。 打錠機を用いる場合の条件 打錠圧(面圧):50〜300MPa(メガパスカ
ル)、好ましくは50〜150MPa (参照:50〜300MPa=500〜3000kgf
/cm2 ) 成形物の大きさ:φ5〜30mm、厚さ:1〜4m
【0012】ロール圧縮機を用いる場合の条件 ロール支持圧(線圧):5〜50MPa、好ましく
は10〜25MPa ロール間クリアランス:0.3〜1.0mm ロール回転数:3〜30rpm 原料処理量:1〜20kg/ロール幅1cm 成形物大きさ:厚さ0.5〜3mm
【0013】上記のように加圧成形して得られた成形物
は、次のような条件で粉砕整粒を行う。 使用装置:ロールグラニュレーター(たて溝式ロー
ル整粒機) 粒形:0.2〜3mm、好ましくは0.5〜2mm 条件例:1段目ピッチ0.5〜2.5mm、クリア
ランス1.2〜2.5mm 2段目ピッチ0.5〜2.5mm、クリアランス0.3
〜0.8mm (2段粉砕整粒は微粉の発生を防止する。)
【0014】上記のように粉砕整粒して得られた顆粒状
食品は、必要により、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、低温
乾燥、除湿エアー乾燥等により乾燥処理を施すのが好ま
しい。乾燥処理は水分含量が3〜10重量%、好ましく
は3〜5重量%になるように行う。このような水分含量
に乾燥するに当たって、上記乾燥方法が適宜に採用でき
るが、例えば、熱風乾燥の場合は、80℃、30秒程度
で行う。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を挙げて
説明する。なお、以下の実施例及び比較例に記載した硬
度は、前記硬度の測定方法の条件に基づき、測定装置と
して、株式会社山電クリープメータ(レオナー、RE−
3305型)プランジャーNO.49を使用して測定し
た値である。
【0016】
【実施例1】湿熱処理小麦粉40重量部、調味料(砂
糖、食塩、粉乳、チキンエキス、酵母エキス)50重量
部、デキストリン10重量部、水3重量部を混合した食
品原料(水分含量5重量%、油脂含量2重量%)を、打
錠機(菊水株式会社製No.6B−2型)を用いて、打
錠圧50MPaの条件で打錠処理し、直径7mm、厚さ
3mmの打錠品(硬度:500gf)を得た。次に、ロ
ールグラニュレータ(日本グラニュレーター株式会社製
GRN−1011型)を垂直方向に2機設置(1段目ロ
ールクリアランス1.5mm・ピッチ1.5mm、2段
目ロールクリアランス0.8mm・ピッチ1.0mm)
し、上記打錠品を粉砕整粒し、粒径0.5〜2.0mm
の即席シチューを得た。
【0017】
【実施例2】湿熱処理小麦粉40重量部、調味料(砂
糖、食塩、粉乳、チキンエキス、酵母エキス)50重量
部、デキストリン10重量部、水5重量部を混合した食
品原料(水分含量7重量%、油脂含量1.9重量%)
を、実施例1と同様の方法により、打錠処理した成形品
(硬度:1000gf)を粉砕整粒処理し、粒径0.5
〜2.0mmの顆粒状品を得た。次に、上記顆粒状品
を、流動層乾燥装置(グラッド株式会社製)を用いて熱
風乾燥(条件:80℃、30秒間)し、即席シチュー
(水分含量3重量%)を得た。
【0018】
【実施例3】湿熱処理小麦粉40重量部、調味料(砂
糖、食塩、粉乳、チキンエキス、酵母エキス)50重量
部、デキストリン10重量部、水3重量部を混合した食
品原料(水分含量5重量%、油脂含量2重量%)を、ロ
ール圧縮機(大塚鉄鋼株式会社製ローラーコンパクタ
ー:ロール幅50mm、ロール支持圧5MPa、ロール
クリアランス0.5mm、ロール径250mm、ロール
回転数6rpm、原料処理量10kg/ロール幅1c
m)を用いて、ロール処理し、加圧成形品(大きさ:約
50mm四方、硬度:500gf)を得た。次に、実施
例1と同様のロールグラニュレータにより、上記加圧成
形品を粉砕整粒し、粒径0.5〜2.0mmの即席シチ
ューを得た。
【0019】
【実施例4】湿熱処理小麦粉40重量部、調味料(砂
糖、食塩、ビーフエキス、チキンエキス、酵母エキス)
42重量部、デキストリン10重量部、カレーパウダー
8重量部、水3重量部を混合した食品原料(水分含量5
重量%、油脂含量2重量%)を、ロール圧縮機(大塚鉄
鋼株式会社製ローラーコンパクター:ロール幅50m
m、ロール支持圧5MPa、ロールクリアランス0.5
mm、ロール径250mm、ロール回転数6rpm、原
料処理量10kg/ロール幅1cm)を用いてロール処
理し、加圧成形品(大きさ:約50mm四方、硬度:5
00gf)を得た。次に、実施例1と同様のロールグラ
ニュレータにより、上記加圧成形品を粉砕整粒し、粒径
0.5〜2.0mmの即席カレーを得た。得られた即席
カレー40gを、95℃の熱湯300gに溶解させ、カ
レーを作ったところ、溶解性、風味に優れ、ザラツキ感
のない食感を有するものであった。
【0020】
【比較例1】押し出し型の造粒機による湿式造粒法(水
分含量:多いケース) 湿熱処理小麦粉40重量部、調味料(砂糖、食塩、粉
乳、チキンエキス、酵母エキス、バター)50重量部、
油脂10重量部、水10重量部を混合した食品原料(水
分含量15重量%、油脂含量15重量%)を、押し出し
造粒機(不二パウダル株式会社エックペレックESK−
1型)を用いて押出し造粒後、85℃、10分間乾燥
し、粒径1.0mmの即席シチュー(水分含量4重量
%)を得た。
【0021】
【比較例2】加水しないロール加圧による造粒法 加水することなく、湿熱処理小麦粉40重量部、調味料
(砂糖、食塩、粉乳、チキンエキス、酵母エキス)50
重量部、デキストリン10重量部を混合した食品原料
(水分含量3重量%、油脂含量2重量%)を、ロール圧
縮機(大塚鉄鋼株式会社製ローラーコンパクター:ロー
ル幅50mm、ロール支持圧60MPa、ロールクリア
ランス0.5mm、ロール径250mm、ロール回転数
6rpm、原料処理量10kg/ロール幅1cm)を用
いてロール処理し、加圧成形品(大きさ:約50mm四
方、硬度:10000gf)を得た。次に、実施例1と
同様のロールグラニュレータにより、上記加圧成形品を
粉砕整粒し、粒径0.5〜2.0mmの即席シチューを
得た。
【0022】
【比較例3】押し出し型の造粒機による乾式造粒法(油
脂含量:多いケース) 加水することなく、湿熱処理小麦粉40重量部、調味料
(砂糖、食塩、粉乳、チキンエキス、酵母エキス)40
重量部、食用硬化油20重量部を混合した食品原料(水
分含量2重量%、油脂含量18重量%)を、押し出し造
粒機(不二パウダル株式会社製DG−1型)を用いて押
し出し造粒後、60℃から25℃に冷却して、粒径1.
0mmの即席シチューを得た。
【0023】
【実験例】実施例1〜3、比較例1〜3により得られた
顆粒状の即席シチュー40gを、95℃の熱湯300g
に溶解させ、クリームシチューを作った。これを官能試
験により評価した結果を示すと表1のとおりである。な
お、表1には、パネル20名の平均値を示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】上記実験例における官能試験の評価結果
からも明らかなように、本発明によれば、溶解性が良
く、風味に優れ、ザラツキ感のない食感を有し、近時の
消費者の健康志向に適合したローファットあるいはノン
ファットの各種スープ、ソース等を作ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B035 LC07 LE01 LG12 LG21 LP24 LP36 LP55 4B036 LC07 LE01 LF01 LF03 LF05 LF06 LH12 LH13 LP05 LP09 LP14 LP21 4B047 LB09 LE06 LG10 LG27 LP07 LP08 LP09 4B048 PE02 PL08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加圧成形品を粉砕整粒してなる顆粒状食
    品であって、主原料として澱粉を含み、油脂を0〜6重
    量%、水分を4〜12重量%の割合で含有することを特
    徴とする顆粒状食品。
  2. 【請求項2】 上記水分を3〜10重量%の割合で含有
    することを特徴とする顆粒状食品。
  3. 【請求項3】 主原料として澱粉を含み、油脂を0〜6
    重量%の割合で含む食品原料に、水分含量が4〜12重
    量%になるように加水した後、硬度が100〜2000
    gfになるように加圧成形し、得られた成形物を粉砕整
    粒することを特徴とする顆粒状食品の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記成形物を粉砕整粒した後、得られた
    顆粒状食品の水分含量が3〜10重量%になるように乾
    燥処理を施す請求項3に記載の顆粒状食品の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020198856A (ja) * 2019-06-13 2020-12-17 ハウス食品株式会社 溶媒を添加して食品を調製するための組成物

Cited By (3)

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