JP2000125690A - アワビ養殖ユニット - Google Patents

アワビ養殖ユニット

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JP2000125690A
JP2000125690A JP10315364A JP31536498A JP2000125690A JP 2000125690 A JP2000125690 A JP 2000125690A JP 10315364 A JP10315364 A JP 10315364A JP 31536498 A JP31536498 A JP 31536498A JP 2000125690 A JP2000125690 A JP 2000125690A
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Yoshiaki Murakami
義昭 村上
Masahito Yamamoto
方人 山本
Hironori Kanda
弘徳 神田
Hiroshi Watanuki
啓 綿貫
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MURAKAMI KENSETSU KOGYO KK
Tetra Co Ltd
Original Assignee
MURAKAMI KENSETSU KOGYO KK
Tetra Co Ltd
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

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  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 給餌が容易で、管理にも手間がかからず、ア
ワビの運動を促進して品質の良好なアワビを大量に養殖
できるという利点を有するアワビ養殖ユニットを提供す
る。 【解決手段】 海底に沈設したコンクリート製の函状外
殻部2と、外殻部2内部に配設したピラミッド型の内部
構造体3と、下端部が外殻部2内に連通し、上端部が海
面上に達するように構成した給餌管6と、給餌管6内に
挿通させた給餌用ロープ45と、外殻部2の天端を被覆
する天井ネット5とによって構成されるアワビ養殖ユニ
ット1であって、内部構造体3は複数の段部によって構
成され、各段部は下段から上段にかけて次第にその平面
の面積が小さくなるよう寸法設定されることを特徴とし
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アワビの養殖に用
いられる設備に関し、特に、管理にも手間がかからず、
品質の良好なアワビを大量に養殖できるというアワビ養
殖ユニットに関する。
【従来の技術】アワビの漁獲量を向上させるために、従
来から、実海域にアワビの稚貝を放流し、数年後、成長
したアワビを再捕するという方法、或いは、陸上に施設
を構築してアワビを養殖するといった方法が実践されて
いる。
【0002】稚貝放流は、餌料となるアラメやカジメ等
の藻類が豊富な海域において行うことが理想であるが、
そもそも良好な藻場を確保すること自体が困難であるほ
か、アワビを補食するタコ、ヒトデ等による食害、或い
は密漁等により、生産効率が悪いという問題がある。ま
た、放流したアワビを回収するためには、漁師が海底に
潜って直接捕獲してくる必要があるが、近年の漁業就労
者の高齢化や就労者数の低下といった事情に鑑みると、
労働力不足という問題から漁獲量の向上はあまり期待で
きない。
【0003】一方、陸上養殖の場合は、施設の構築に莫
大な費用を要するほか、水の管理や設備のメンテナンス
に多大な労力を必要とするという問題がある。また、養
殖アワビの品質(肉質)を向上させるためには、養殖施
設によって再現されるアワビの生息環境を実海域におけ
るアワビの生息環境にできるだけ近づける必要がある
が、物理的・経済的に限界があり、実海域で成長したア
ワビと同等の肉質のものを陸上施設において養殖するこ
とは困難である。更に、陸上養殖の場合は、飼育してい
るアワビのうち一つでも病気に感染してしまうと、その
病気が全体に伝染してしまう可能性があり、養殖のリス
クが大きいという問題がある。
【0004】そこで最近では、内部にアワビの付着板を
配設した籠体にアワビの稚貝を収容し、実海域において
浮体を用いてかかる籠体を海水中に垂下させるという方
法(特開平2−46243号等)や、図8に示すような
アワビの生息礁101を海底に沈め、周囲をネット10
2で覆うことによって、アワビを外敵から保護するとい
うような養殖方法が、実用的なアワビの養殖方法として
実践されている。
【0005】これらの方法によれば、成長したすべての
アワビを回収することができるほか、補食動物による食
害といった問題も回避することができるので、生産効率
が良い。また、籠体を海中に垂下させる養殖方法の場
合、1つの小さな籠体内にできるだけ多くの個体を収容
することによって生産効率の更なる向上を図るべく、籠
体内に配設される付着板を波形に形成したり、付着板を
多段に配設する等の様々な工夫がなされており、一方、
図8に示すようなアワビの生息礁101を海底に沈める
養殖方法の場合も、同様の理由から生息礁101内部に
仕切板103や棚板104を設けて多数のセル105を
形成し、アワビの付着可能な面積を大きくするといった
工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の養殖方法には次のような問題がある。まず、籠
体を用いた従来の養殖方法の場合、給餌方法に問題があ
る。より具体的には、籠体を用いた従来の養殖方法を実
行する場合には、給餌のため定期的に籠体を海上に引き
上げて、籠体内に餌料を投入した後、再び海中に沈める
という作業が必要となるが、アワビを始めとする磯根生
物は、水深(水圧)の変動等、環境の変化に敏感である
ため、給餌のために籠体が頻繁に海面上に引き上げられ
ると、収容されているアワビにストレスが溜まってしま
う。このため病気の発生率が高くなり、生存率の低下や
品質の低下を招いてしまう。
【0007】また、天然のアワビは、潮流や波浪の強い
海域で育ったものほど品質が良好であると一般に言われ
ているが、前述したような籠体を用いる従来の養殖方法
は、潮流や波浪の強い海域には適していない。海中に垂
下させた籠体が潮流等に煽られると、籠体が大きく揺さ
ぶられ、収容されているアワビにストレスを与えてしま
うほか、籠体が破損したり、流されてしまうおそれがあ
るからである。このようなことから、籠体を用いる養殖
方法は、現在その殆どが内湾や防波堤の内側などの静穏
海域において実施されている。従って、天然アワビと同
等の品質を有するアワビを養殖することは困難である。
【0008】また、籠体を用いた従来の養殖方法におい
ては、前述の通り、1つの籠体内にどれだけ多くの個体
を効率良く収容できるか、ということが問題とされてお
り、収容されているアワビが十分に運動(移動)できる
ように配慮されているようなものはなかった。しかし、
天然のアワビは餌を求めて一晩で5m程度移動すること
が知られており、運動量の多いアワビほど品質が良好で
あると言われている。従って、従来の養殖方法のよう
に、アワビの運動量を無視して籠体内に大量のアワビを
投入すると、アワビが運動不足となってしまい、良好な
品質のものを期待できないばかりか、病気の発生率を高
めてしまうという問題がある。
【0009】一方、図8に示したような従来の養殖方法
においても、給餌の際には管理者が海底まで潜行してネ
ット102内に餌料を直接投入するといった重労働が必
要となる点で問題がある。また、図8に示したような生
息礁101は、アワビにとって移動が容易でないという
問題がある。例えば、アワビが最下段のセル105a内
に進入することは容易であるが、それより上段のセル1
05bや、これより上方のセルにアクセスし、或いはそ
の内部に進入することは困難である。アワビは歩行或い
は遊泳して移動するのではなく、岩や海底などの表面に
付着し、徐々にその付着面をずらしていくことによって
移動するため、アワビが移動するには移動路がある程度
の面(アワビの横幅寸法より大きな寸法の面)で構成さ
れている必要があるからである。
【0010】例えば図8に示すように、アワビ108が
生息礁101の側板106の表面を移動することは可能
であるが、側板106上から側板106の端面107
(アワビの横幅寸法よりも狭い)を越えてセル105c
に進入することはできず、また、いずれかのセルから仕
切板103や棚板104の端面を越えて他のセルに移動
することもできない。ここで、アワビの移動を容易なら
しめるために、側板106や棚板104、或いは仕切板
103の厚さ寸法がアワビの横幅寸法より大きくなるよ
うに設定して生息礁101を形成することも考えられる
が、側板等の厚さ寸法が増えた分だけ、アワビが付着す
る表面の総面積が減ってしまうばかりか、生息礁101
の重量が増大し、アワビ回収時における生息礁101の
引き上げ作業が困難となってしまうという問題を生じる
ことになる。
【0011】本発明のアワビ養殖ユニットは、上記のよ
うな従来技術の問題点を解決すべくなされたものであっ
て、管理に手間がかからず、アワビの運動を促進して品
質の良好なアワビを大量に養殖でき、しかも給餌が容易
であるという、様々な利点を有するアワビ養殖ユニット
の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のアワビ養殖ユニットは、底部とその周縁よ
り略垂直に立ち上げられた側部とによって構成されると
ともに天端が解放されたコンクリート製の函状外殻部
と、前記外殻部の内部に配設され、アワビを付着させる
ための内部構造体と、前記外殻部の天端を被覆する天井
ネットとからなるものであって、前記外殻部の側部には
切欠部が設けられるとともに、当該切欠部は、金網、鉄
格子、穿孔鋼板等の網体によって閉塞され、前記内部構
造体は、複数の段部によって構成され、各段部は、下段
から上段にかけて次第にその平面の面積が小さくなるよ
う寸法設定されていることを特徴としている。
【0013】尚、下端部が前記外殻部の内部へ通ずると
ともに、上端部が海面上に達するように構成した給餌管
と、前記給餌管内に挿通させ、両端部を連結することに
よって環状にした給餌用ロープとを設けることが好まし
く、また、前記内部構造体は、各段部が略水平な天板と
略垂直な側板とによって構成されていることが好まし
い。
【0014】また、前記天板と前記側板とによって形成
される各段部の内部空間に、前記天板と略平行な棚板
と、側板と略平行な仕切板を配設することによって、各
段部の内部空間に多数のセルが形成されるように構成す
れば、アワビが付着し得る内部構造体の表面積が大きく
なり、より多くのアワビを一度に養殖することが可能と
なる。
【0015】更に、天板と、当該天板の上段の段部を構
成する側板とが、それぞれの端面が一致しないように接
続することによって、当該天板上にアワビの移動路を形
成すれば、アワビの移動が容易になり、アワビの運動を
促進することになるので、アワビの品質の向上が期待で
きる。
【0016】また、側板と、当該側板によって構成され
る段部の内部空間に設けられた棚板とを、それぞれの端
面が一致しないように接続することによって、当該側板
上にアワビの移動路を形成しても良いし、仕切板と棚板
とを、それぞれの端面が一致しないように接続すること
によって、当該仕切板上又は当該棚板上にアワビの移動
路を形成するようにしても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明のアワビ養殖ユニットの実施形態を説明する。図1
は、アワビ養殖ユニット1の外観を示す斜視図であり、
図2は、図1に示したアワビ養殖ユニット1のAA線に
よる断面図、図3は、BB線による断面図である。これ
らの図において、2はアワビ養殖ユニット1を構成する
外殻部である。この外殻部2は、天端が解放された函形
の形状を呈しており、基本的には矩形状の底部(図示せ
ず)とその4辺を囲む側部9(9a〜9d)とによって
構成されている。そして、その内部は間仕切部7によっ
て2つの飼育室10a,10bに仕切られている。但
し、間仕切部7の中央部下方には、図2に示すような連
通溝7aが形成されており、各飼育室10a,10b間
で海水が交流し得るようになっている。また、アワビを
付着させ、海底におけるアワビの生活基盤となる鋼製の
内部構造体3が、各飼育室10a,10bにそれぞれ2
つずつ配設されている。
【0018】外殻部2の4つの側部9a〜9dのうち、
間仕切部7と直交する側部9a,9cには、飼育室の数
に対応してそれぞれ2つずつ、合計4つのの切欠部8
(8a〜8d)が設けられており、これらの切欠部8に
はそれぞれ金網4(4a〜4d)が張設されている。従
って、図1に示したCの方向からDの方向にかけて、ま
たは、反対にDの方向からCの方向にかけて潮通しが良
くなっている。
【0019】外殻部2の天端は、全面が天井ネット5に
よって覆われている。但し図1においては、内部を説明
するため、一部省略して示してある。尚、金網4及び天
井ネット5としては、いずれも外殻部2の内部に収容す
るアワビの稚貝の直径よりも小さな網目のものが用いら
れている。従って、内部に収容したアワビが外殻部2の
外へ逃げてしまうことを防止できるほか、アワビを補食
するタコやヒトデの侵入を防止でき、アワビを食害から
保護することができるようになっている。
【0020】6は、外殻部2の内部にアワビの餌料を供
給するための給餌管である。本実施形態においては、図
1及び図3に示されているように、給餌管6は2本設け
られているが、3本以上でも良いし、また、場合によっ
ては1本でも良い。この給餌管6は、下端部6aが外殻
部2内へ通ずるとともに、上端部6bが海面上に達する
よう構成されており、管理者が海上からこの給餌管6を
介して外殻部2内部へと餌料を供給することができるよ
うになっている。より詳細には、図3に示されているよ
うに、2本の給餌管6,6のいずれにも挿通させ、両端
部を連結することによって環状にした給餌用ロープ45
に、アワビの餌料となるアラメやカジメ等の海藻46
を、管理者が漁船44にて括り付け、給餌用ロープ45
を所定方向に引っ張ることにより、海藻46を給餌管6
内を通過させ、アワビを飼育する飼育室10内の内部構
造体3近傍へと送り込むことができるようになってい
る。尚、給餌管6の下端部6aの内周面には、適度な剛
性を有するブラシ47が設けられており、給餌用ロープ
45及び給餌用ロープ45に括り付けられた海藻46の
通過を許容する一方、アワビが給餌管6の内部へ進入す
ることを回避できるようになっている。尚、給餌は、1
〜2週間に一度程度行えば良い。
【0021】図4は、図1に示されている内部構造体3
の斜視図である。この図からも明らかなように、内部構
造体3は、外観がピラミッド形状を呈している。即ち、
内部構造体3は、複数の段部(本実施形態においては4
つの段部31〜34)によって構成され、各段部は、下
段から上段にかけて次第にその平面の面積が小さくなる
よう寸法設定されている。
【0022】より詳細に本実施形態における内部構造体
3の構造を説明すると、最下段の段部31は、矩形状の
略水平な底板38と、この底板38の端部に略垂直に接
続された略平行な2枚の側板39a,39bと、これら
の側板39a,39bに接続され、底板38と同一の大
きさ及び形状で、底板38と略平行な天板40aとによ
って構成されている。また、段部31の上段に位置する
段部32は、下段の段部31の天板40a上に略垂直に
接続された略平行な2枚の側板39c,39dと、これ
らの側板39c,39dに接続され、下段の段部31の
天板40aと略平行で、天板40aよりも面積の小さい
天板40bとによって構成され、段部32の上段に位置
する段部33は、下段の段部32の天板40b上に略垂
直に接続された略平行な2枚の側板39e,39fと、
これらの側板39e,39fに接続され、下段の段部3
2の天板40bと略平行で、天板40bよりも面積の小
さい天板40cとによって構成され、段部33の上段に
位置する段部34は、下段の段部33の天板40c上に
略垂直に接続された略平行な2枚の側板39g,39h
と、これらの側板39g,39hに接続され、下段の段
部33の天板40cと略平行で、天板40cよりも面積
の小さい天板40dとによって構成されている。
【0023】また、各段部31〜34の内部空間には、
各側板39a〜39hと略平行な仕切板35、及び、各
天板40a〜40dと略平行な棚板36が適宜設けられ
ており、これらの仕切板35及び棚板36によって、様
々な大きさに区画された多数のセル37が形成されてい
る。尚、天板40及び底板38には、所定の間隔をおい
て水抜き孔43が形成されている。この水抜き孔43
は、内部構造体3を海底から海面上へと引き上げる際の
水流抵抗を低減させるためのものであり、本実施形態に
おいては天板40と底板38にのみ形成されているが、
必要に応じて、側板39、棚板36、仕切板35等にも
形成することができる。尚、この水抜き孔43の直径
は、本実施形態においては5〜10cm程度に設定され
ており、従って、アワビが通過できるようになってい
る。
【0024】このように内部構造体3は、基本的には、
底板、天板、側板、棚板、仕切板によって構成されてお
り、側板は各段部につき2枚ずつで、この2枚の側板は
略平行となるように設定されるとともに、仕切板もこれ
らの側板と略平行となるように設定されているので、天
板の周囲4方向のうち、相対する2方向のみを閉塞する
もので、他の対面する2方向については解放されてい
る。従って、例えば、図4において示すEの方向から水
流が内部構造体3内に進入すると、反対側のFの方向に
水流が容易に抜けるようになっており、また、逆にFの
方向から進入した水流についても、容易にEの方向へ抜
けるようになっている。そして、内部構造体3を外殻部
2内に配設する際は、内部構造体3の側板39と外殻部
2の間仕切部7とが平行となるような方向に内部構造体
3を設置すれば、図1におけるC−D方向への潮通しが
良くなり、飼育室10内部におけるアワビの排泄物や砂
等の異物の滞留を防止することができる。
【0025】また、内部構造体3の内部空間を様々な大
きさのセル37に区画する棚板36は、図5に示すよう
に、端面36aが側板39dの端面139dとは一致し
ないように、即ち、棚板36は、段部32の内方へ若干
奥まったところに設けられることによって、アワビの横
幅寸法よりも大きな面を有するアワビの垂直移動路41
が確保されている。また、側板39dの端面139d
も、その下段の天板40aの端面140aとは一致しな
いように構成されており、これによって天板40a上に
アワビの水平移動路42が確保されている。尚、本実施
形態においては、棚板36の端面36aは、仕切板35
の端面35aと一致するように構成されているが、図6
に示すように仕切板35を段部32の内方へ更に奥まっ
たところに設けることによって棚板36上に水平移動路
42を形成しても良いし、また、図7に示すように棚板
36を仕切板35よりも段部32の内方へ更に奥まった
ところに設けることによって仕切板35の側面に垂直移
動路41を形成するようにしても良い。
【0026】以上に説明したように、内部構造体3は、
複数の段部によって構成されるとともに、各段部の内部
には仕切板及び棚板が設けられることによって多数のセ
ル37が形成され、アワビが付着することのできる表面
の総面積が大きくなっている。また、前述したように、
側板39の内側面に設けられた垂直移動路41や天板4
0上に設けられた水平移動路42によって、アワビの各
セル37へのアクセスが容易になっている。尚、本実施
形態においては、内部構造体3は鋼製であるが、樹脂な
どによって形成しても良い。
【0027】ここで、本実施形態におけるアワビ養殖ユ
ニット1の設置方法及びこのアワビ養殖ユニット1を用
いたアワビの養殖方法について簡単に説明する。まず、
外殻部2をアワビの生息に適正な水深で海水の清澄な海
域に運搬し、平坦な海底を選び、クレーンを用いて外殻
部2を沈設する。尚、アワビの品質向上のためにはアワ
ビ養殖ユニット1を潮流や波浪の強い海域に設置するこ
とが望ましいが、必要に応じて内湾や防波堤の内側など
の静穏海域に設置することもできる。
【0028】また、外殻部2は、本実施形態においては
コンクリートによって形成されているので、自重により
安定しており、潮流や波浪の強い海域に設置した場合で
も、ワイヤー等によってこれを海底に固定する必要はな
い。また、平坦な海底を選択できない場合であっても、
捨て石や均し工を適宜行えば、平坦でない海底において
も外殻部2を沈設することができる。尚、外殻部2は、
切欠部8の開口方向が潮流の方向と一致するような方向
にて海底に設置することが好ましく、これによって潮通
しが良くなり、飼育室10内部におけるアワビの排泄物
や砂等の異物の滞留を防止することができる。
【0029】外殻部2を海底に設置したら、内部構造体
3を外殻部2の各飼育室10a,10b内に配設する。
尚、この飼育室10内への内部構造体3の配設作業は、
外殻部2を海底に設置する前、即ち、予め陸上或いは船
上において行うようにしても良い。次に、給餌管6を各
飼育室10について1つずつ取り付け、給餌用ロープ4
5を、一方の給餌管6内を挿通させ、間仕切部7の連通
溝7aを通した後、もう一方の給餌管6内に挿通する。
そして、両端部を連結することにより給餌用ロープ45
を環状となるようにして、海面上にて括り付けた海藻4
6を簡単に飼育室10内へと送り込むことができるよう
にする。
【0030】最後に、各飼育室10内にアワビの稚貝を
入れ、外殻部2の天端を天井ネット5によって閉塞する
ことにより、アワビ養殖ユニット1の設置が完了する。
設置完了後は、1〜2週間に一度程度の割合で前述のよ
うな給餌作業を行うことにより、4年後には体長10〜
15cm程度までにアワビを成長させることができる。
【0031】アワビが成体にまで成長した場合は、ま
ず、天井ネット5を取り外し、船上よりウインチ等を用
いて内部構造体3を海面上に引き上げ、付着しているア
ワビの成体を内部構造体3から引き剥がして回収し、出
荷する。回収が完了したら、再び内部構造体3をウイン
チ等によって海底に降ろして外殻部2内へ配設し、新た
に稚貝を投入してこれを飼育する。
【0032】このように、本実施形態におけるアワビ養
殖ユニット1は、外殻部2がコンクリート製で、内部構
造体3は鋼製であるので、容易には劣化せず、繰り返し
何度でも使用することができる。また、アワビ養殖ユニ
ット1を設置した海域が、公害汚染等に起因して環境が
変化し、アワビの養殖に適しなくなった場合は、クレー
ン船等を用いて外殻部2をそのままの状態で吊り上げ、
移動し、適当な場所に再度沈めることによって、アワビ
養殖ユニット1を簡単に移設することができる。
【0033】また、本実施形態におけるアワビ養殖ユニ
ット1を用いて養殖されたアワビは、籠体を海水中に垂
下させて行う従来の養殖方法や、図8に示したようなア
ワビの生息礁101を海底に沈めて行う従来の養殖方法
によって養殖されたアワビに比べ、品質の良好なものが
期待できる。それは、飼育室10内部に収容されたアワ
ビは、飼育室10内部或いは内部構造体3の表面を自由
に動き回ることができ、従来の養殖方法におけるアワビ
のような運動不足による品質低下という問題を回避でき
るからである。
【0034】この点について、より詳細に説明する。ア
ワビは夜行性で、太陽光を嫌うという性質がある。天然
のアワビは、太陽光が海底まで届く昼間においては、太
陽光を避け、岩陰や窪みに隠れて大人しくしており、夜
になると餌を求めて活発に動き回る。本実施形態におい
ては、外殻部2の天端は解放され、天井ネット5で覆わ
れているだけなので、昼間は太陽光が飼育室10内部に
差し込むことになる。このため飼育室10に収容された
アワビは、昼間においては内部構造体3の天板40a〜
40d上の太陽光が届く場所には付着せず、セル37内
に隠れるていることになるから、夜になってアワビが餌
を求めて移動し始める際は、天板40a〜40d上にお
けるアワビの移動が、他の停滞するアワビの存在によっ
て妨げられるといった事態が回避される。
【0035】また、アワビが上方へ移動しようとすると
き、例えば図8に示したようなアワビの生息礁の場合、
側板106上を一度に長い距離を移動しなければならな
いが、本実施形態におけるアワビ養殖ユニット1の場合
には、内部構造体3が複数の段部31〜34によって構
成されているので、少しずつ登っていくことができ、上
方へのアクセスが容易になっている。
【0036】更に、天板40a〜40c上、或いは、側
板39a〜39hには、図5に示したような水平移動路
42や垂直移動路41が確保されているので、アワビの
水平方向への移動、及び垂直方向への移動が容易になっ
ており、アワビが内部構造体3の表面を自由に動き回る
ことができるようになっているので、運動不足によるア
ワビの品質低下を防止できるとともに、各段部の内部空
間に形成された多数のセル37の有効利用、乃至はセル
37の形成によって増大した内部構造体3の表面積の有
効利用が促され、その結果従来の養殖方法に比べ、より
大量のアワビを一度に養殖することが可能となってい
る。
【0037】
【発明の効果】本発明のアワビ養殖ユニットによれば、
内部構造体が複数の段部によって構成され、各段部は下
段から上段にかけて次第にその平面の面積が小さくなる
よう寸法設定されているので、アワビの移動が容易で、
アワビの運動促進につながり、従って、アワビの高品質
化に寄与することになる。また、各段部の内部空間に仕
切板及び棚板が配設されることによって、アワビの付着
可能な表面の総面積が増大し、限られた空間において大
量のアワビを養殖することができる。また、重量のある
コンクリート製の外殻部を海底に沈設するように構成し
てあるので、潮流や波浪の強い海域に設置した場合であ
っても安定しており、アワビにストレスを与えることが
なく、病気の発生率の低下、品質及び回収率の向上が期
待できる。
【0038】また、外殻部には切欠部が設けられてお
り、潮通しが良くなっているので、飼育室内における異
物の滞留を防止できるほか、アワビが強い潮流に晒され
ることによって、高品質なアワビの養殖が可能となる。
更に、外殻部は、切欠部や天端が網体及び天井ネットで
閉塞され、食害生物の侵入とアワビの逃散を防止できる
ようになっているので、回収率が向上するという効果が
ある。
【0039】更に、給餌管を介して船上から簡単に餌料
を供給することができ、管理に手間がかからないという
利点を有するほか、各段部の天板上、側板上、棚板上、
仕切板上にアワビの移動路を形成することによって、各
段部の内部空間に形成されたあらゆるセルへのアクセス
が容易になり、各段部の内部空間の有効利用とアワビの
更なる運動促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るアワビ養殖ユニット1の外観を
示す斜視図。
【図2】 図1に示したアワビ養殖ユニット1のAA線
による断面図。
【図3】 図1に示したアワビ養殖ユニット1のBB線
による断面図。
【図4】 図1に示した内部構造体3の斜視図。
【図5】 図1に示した内部構造体3の部分的拡大図。
【図6】 内部構造体3の他の一例を示す部分的拡大
図。
【図7】 内部構造体3の他の一例を示す部分的拡大
図。
【図8】 アワビの生息礁101を用いた従来のアワビ
養殖方法の説明図。
【符号の説明】
1:アワビ養殖ユニット、 2:外殻部、 3:内部構造体、 4:金網、 5:天井ネット、 6:給餌管、 7:間仕切部、 7a:連通溝、 8:切欠部、 9:側部、 10:飼育室、 31〜34:段部、 35:仕切板、 36:棚板、 37:セル、 38:底板、 39:側板、 40:天板、 41:垂直移動路、 42:水平移動路、 43:水抜き孔、 44:漁船、 45:給餌用ロープ、 46:海藻、 47:ブラシ、 101:生息礁、 102:ネット、 103:仕切板、 104:棚板、 105:セル、 106:側板、 107:端面、 108:アワビ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 方人 東京都新宿区西新宿6−3−1 株式会社 テトラ内 (72)発明者 神田 弘徳 東京都新宿区西新宿6−3−1 株式会社 テトラ内 (72)発明者 綿貫 啓 東京都新宿区西新宿6−3−1 株式会社 テトラ内 Fターム(参考) 2B104 AA27 DA03 DB13 DB19 DB23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底部とその周縁より略垂直に立ち上げら
    れた側部とによって構成されるとともに天端が解放され
    たコンクリート製の函状外殻部と、前記外殻部の内部に
    配設され、アワビを付着させるための内部構造体と、前
    記外殻部の天端を被覆する天井ネットとからなり、前記
    外殻部の側部には切欠部が設けられるとともに、当該切
    欠部は、網体によって閉塞され、前記内部構造体は、複
    数の段部によって構成され、各段部は、下段から上段に
    かけて次第にその平面の面積が小さくなるよう寸法設定
    されていることを特徴とするアワビ養殖ユニット。
  2. 【請求項2】 下端部が前記外殻部の内部へ通ずるとと
    もに上端部が海面上に達するように構成した給餌管と、
    前記給餌管内に挿通させ、両端部を連結することによっ
    て環状にした給餌用ロープとを設けたことを特徴とする
    請求項1に記載のアワビ養殖ユニット。
  3. 【請求項3】 前記内部構造体は、各段部が略水平な天
    板と略垂直な側板とによって構成され、少なくとも1つ
    の天板と、当該天板の上段の段部を構成する少なくとも
    1つの側板とが、それぞれの端面が一致しないように接
    続されることによって、当該天板上にアワビの移動路が
    形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2
    に記載のアワビ養殖ユニット。
  4. 【請求項4】 前記天板と前記側板とによって形成され
    る各段部の内部空間に、前記天板と略平行な棚板と、側
    板と略平行な仕切板を配設することによって、各段部の
    内部空間に多数のセルが形成されるように構成し、少な
    くとも1組の仕切板と棚板とが、それぞれの端面が一致
    しないように接続されることによって、当該仕切板上又
    は当該棚板上にアワビの移動路が形成されていることを
    特徴とする請求項3に記載のアワビ養殖ユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100401452B1 (ko) * 2001-07-12 2003-10-17 현명택 양식함과 다단식 패류 양식장치
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