JP2000123725A - 酸化物カソード及びその製造方法 - Google Patents

酸化物カソード及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000123725A
JP2000123725A JP29159398A JP29159398A JP2000123725A JP 2000123725 A JP2000123725 A JP 2000123725A JP 29159398 A JP29159398 A JP 29159398A JP 29159398 A JP29159398 A JP 29159398A JP 2000123725 A JP2000123725 A JP 2000123725A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbonate
particles
coating layer
cathode
polymethyl methacrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29159398A
Other languages
English (en)
Inventor
Riichi Kondo
利一 近藤
Hiroshi Yamaguchi
博 山口
Takashi Shinjo
孝 新庄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP29159398A priority Critical patent/JP2000123725A/ja
Publication of JP2000123725A publication Critical patent/JP2000123725A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid Thermionic Cathode (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 十分な電子放射がカソード表面から均一に得
られ、モアレ発生が抑制できる酸化物カソード及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】 炭酸塩粒子懸濁液に、炭酸塩粒子2より
低温で熱分解するポリメチルメタアクリレート粒子3
を、炭酸塩粒子2に対し10%以上150%以下の体積
比で混合し十分に撹拌する。次に、炭酸塩粒子懸濁液を
スプレー法によりカソードの基体金属1表面に塗布し、
炭酸塩塗布層を形成する。なお、ポリメチルメタアクリ
レート粒子は、体積平均径1μm以上10μm以下、最
大粒子径20μm以下とすることにより、加熱処理後の
炭酸塩塗布層中に適当な大きさの空隙が形成され、炭酸
塩粒子が酸化物となる際に発生する炭酸ガスがスムーズ
に放出され、且つ炭酸塩塗布層表面の平坦度が10μm
以下となるため、モアレ発生を抑制でき、十分な電子放
射が均一に得られる酸化物カソードを製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビ用ブラウン
管等に使用される電子銃の電子管用酸化物カソードに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ブラウン管の電子銃等に用いられ
る熱電子放出用のカソードにおいては、熱電子を放出す
るカソード表面に熱電子の放出性能の高いBa、Sr等
の酸化物塗布層が形成されており、カソード表面からの
電子の放出分布が出来るだけ均一となるように、酸化物
塗布層の形成方法が種々検討されている。酸化物塗布層
の形成方法としては、アルカリ土類金属炭酸塩粒子を分
散させた炭酸塩粒子懸濁液をカソード表面に塗布して炭
酸塩塗布層を形成し、この炭酸塩塗布層に加熱処理を行
い炭酸塩粒子を酸化させることにより、カソード表面に
酸化物塗布層を形成する方法が用いられている。カソー
ド表面からの電子の放出分布を均一にするためには、酸
化物塗布層の表面をできるだけ平坦にすることが望まし
いが、一方、酸化物塗布層表面を平坦に形成するために
は、炭酸塩塗布層の嵩密度を高くする必要がある。炭酸
塩塗布層の嵩密度が高くなると、炭酸塩粒子の熱分解が
正常に行われないために十分な量の酸化物が形成され
ず、カソードの寿命が短くなる。
【0003】上記のような問題を解決する方法として、
例えば特開平9−213218号公報では、炭酸塩粒子
懸濁液中に、炭酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇華
する粒子を混合したものをカソード表面に塗布し、炭酸
塩塗布層を形成する方法が記載されている。この方法で
は、加熱処理により炭酸塩粒子が酸化物となる前に、炭
酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子が熱分
解あるいは昇華することにより、炭酸塩塗布層中に空隙
が形成され、炭酸塩粒子が酸化物となる際に発生する炭
酸ガスがスムーズに放出されるため、十分な量の酸化物
が生成され、従来より寿命の長い酸化物カソードを製造
することが可能となる。なお、この先行例では、炭酸塩
粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子として、炭
酸塩粒子と同等あるいはそれ以下の粒子径のものが使用
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法で製造された従来の酸化物カソードは、炭酸
塩粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子の体積比
が炭酸塩粒子に対して大きすぎると、炭酸塩塗布層中に
必要以上の空隙が形成され、炭酸塩粒子相互の被着強度
が弱くなり、剥離して管内放電を誘発し、極度の初期エ
ミッションの劣化を起こすという問題があった。一方、
炭酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子の体
積比が小さすぎると、炭酸塩塗布層中に形成される空隙
の数が少ないために、炭酸塩粒子が酸化物となる際に発
生する炭酸ガスがスムーズに放出されず、酸化物生成が
十分に行われないため、十分な電子放射を得ることがで
きないという問題があった。
【0005】また、炭酸塩粒子より低温で熱分解あるい
は昇華する粒子の体積平均径が1μm以下である場合、
炭酸塩粒子の隙間に埋もれてしまい、形成される空隙が
小さすぎるため、炭酸ガスがスムーズに放出されず、十
分な電子放射を得ることができなかった。一方、10μ
m以上の場合、加熱処理による熱分解(あるいは昇華)
の際に、表面の粒子によって形成された空隙がカソード
表面の平坦度を悪化してしまうために、電子の放出分布
が不均一となり、モアレ発生の原因になるという問題が
あった。さらに、最大粒子径が20μmより大きい場
合、熱分解の際に発生するガスによって炭酸塩塗布層表
面に20μm以上の大きな噴火口状の穴が空いてしま
い、カソード表面の平坦度が局部的に悪化するため、電
子の放出分布が不均一となり、モアレ発生の原因になる
という問題があった。
【0006】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、十分な電子放射がカソード表面
から均一に得られ、モアレ発生が抑制できる酸化物カソ
ード及びその製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる酸化物カ
ソードの製造方法は、少なくともBaを含むアルカリ土
類金属の炭酸塩粒子を分散させた炭酸塩粒子懸濁液に、
炭酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子を、
炭酸塩粒子に対し10%以上150%以下の体積比で混
合し十分に撹拌する工程と、炭酸塩粒子懸濁液をカソー
ド表面に塗布し、炭酸塩塗布層を形成する工程と、炭酸
塩塗布層に加熱処理を行い、炭酸塩粒子より低温で熱分
解あるいは昇華する粒子を熱分解あるいは昇華させた
後、さらに加熱処理を行い炭酸塩粒子を酸化させ、カソ
ード表面に酸化物塗布層を形成する工程を含んで製造す
るようにしたものである。
【0008】また、炭酸塩粒子より低温で熱分解あるい
は昇華する粒子として、体積平均径1μm以上10μm
以下のものを用いたものである。また、炭酸塩粒子より
低温で熱分解あるいは昇華する粒子として、最大粒子径
20μm以下のものを用いたものである。さらに、炭酸
塩粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子として、
ポリメチルメタアクリレートまたはポリビニルアルコー
ルを用いたものである。
【0009】また、本発明に係わる酸化物カソードは、
上記のいずれかに記載の製造方法によってカソード表面
に炭酸塩塗布層が形成された酸化物カソードであって、
加熱処理前の炭酸塩塗布層中に、炭酸塩粒子より低温で
熱分解あるいは昇華する粒子を、炭酸塩粒子に対し10
%以上150%以下の体積比で分散させたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下に、本発明の
実施の形態を図について説明する。図1は、本発明の実
施の形態1において作成された酸化物カソードの炭酸塩
塗布層の加熱処理前の状態を示す概略図である。図にお
いて、1は少量のSi、Mgを含有するNiよりなるカ
ソードの基体金属、2は基体金属1表面に形成された炭
酸塩塗布層中の炭酸塩粒子であり、少なくともBaを含
み、他にSr及びCaを含むアルカリ土類金属炭酸塩を
主成分とする短辺約2μm、長辺約10μmの針状結晶
である。3は、炭酸塩塗布層中に所定の割合で分散され
た高分子材料であるポリメチルメタアクリレート粒子で
あり、炭酸塩粒子2より低温で熱分解するものである。
【0011】本実施の形態による酸化物カソードの製造
方法について説明する。まず、3元炭酸塩粉末、酢酸ブ
チル及びニトロセルロースを100:10:0. 5の重
量比で混合し、十分に撹拌することにより炭酸塩粒子2
を分散させた炭酸塩粒子懸濁液を作成する。さらに、こ
の炭酸塩粒子懸濁液に、炭酸塩粒子2より低温で熱分解
あるいは昇華する粒子として、本実施の形態ではポリメ
チルメタアクリレート粒子3を炭酸塩粒子2に対し80
%の体積比で混合し、十分に撹拌する。なお、ここで
は、ポリメチルメタアクリレート粒子3として、体積平
均径が約5μm、最大粒子径が10μmのものを用い
た。次に、上記の炭酸塩粒子懸濁液を、スプレーガンに
より2.5kg/cm3 の圧縮空気で噴霧して、あらか
じめ約60℃に加熱しておいたカソードの基体金属1表
面に塗布し、厚さ約80μmとなったところで噴霧を終
了し、炭酸塩塗布層を形成する。この時、炭酸塩塗布層
中には、図1に示すように、所定量のポリメチルメタア
クリレート粒子3が分散している状態となっている。
【0012】その後、炭酸塩塗布層が形成されたカソー
ドを電子銃に組み込み、CRT製造工程において真空中
で加熱処理が行われる。まず、約400℃の加熱処理を
行い、炭酸塩塗布層中に分散しているポリメチルメタア
クリレート粒子3をほぼ完全に熱分解させる。これによ
り、ポリメチルメタアクリレート粒子3が存在していた
空間には、図2に示すような適当な数及び大きさの空隙
が形成される。さらに、約900℃の加熱処理を行い、
炭酸塩塗布層中の炭酸塩粒子3を酸化させ、カソードの
基体金属1表面に酸化物塗布層を形成する。ここで、炭
酸塩粒子2が酸化物となる際に発生する炭酸ガスは、ポ
リメチルメタアクリレート粒子3の熱分解後に形成され
た空隙によってスムーズに放出され、十分な量の酸化物
が生成されるため、十分な電子放射が得られる酸化物カ
ソードを製造することが可能である。
【0013】次に、炭酸塩塗布層中に分散させるポリメ
チルメタアクリレート粒子の体積比について検討した結
果を記載する。体積平均径が5μmのポリメチルメタア
クリレート粒子を炭酸塩粒子に対し125%、150
%、175%、200%の体積比で混合した炭酸塩粒子
懸濁液を用い、上記と同様の方法で炭酸塩塗布層を形成
したカソードをCRTに組み込み、初期エミッションの
測定を行った。その結果、体積比200%のものは、初
期エミッションの劣化したものが約20%発生し、体積
比175%以下では初期エミッションの劣化は認められ
なかった。次に、CRTを分解し、カソード表面を実体
顕微鏡で観察すると、体積比200%の初期エミッショ
ンが劣化したカソード表面は、カソードと対向電極間で
放電が起きた放電跡が確認された。また、体積比200
%で初期エミッション劣化を起こしていないカソード表
面では、放電跡は認められなかったが、炭酸塩塗布層の
一部が欠落しているものがあった。また、体積比175
%のカソード表面も放電跡は認められなかったが、炭酸
塩塗布層の一部が欠落しているものが約10%の割合で
発生した。また、体積比125%、150%のカソード
表面は、上記のような異常は全く認められなかった。従
って、ポリメチルメタアクリレート粒子を炭酸塩粒子に
対し150%以下の体積比で混合することによって、炭
酸塩塗布層の剥離を防止でき、管内放電を無くすことが
できる。
【0014】図3(a) は、体積平均径が5μmのポリメ
チルメタアクリレート粒子3を炭酸塩粒子2に対し20
0%の体積比で分散させた炭酸塩塗布層を示す概略図で
あり、図3(b) は、図3(a) に加熱処理を行い、ポリメ
チルメタアクリレート粒子3が熱分解した後の炭酸塩塗
布層を示す概略図である。体積平均径が5μmのポリメ
チルメタアクリレート粒子3を炭酸塩粒子2に対し80
%の体積比で分散させた炭酸塩塗布層(図1(a) )で
は、ポリメチルメタアクリレート粒子3が炭酸塩粒子2
間の隙間を埋めるような状態で分散し、加熱処理による
熱分解により炭酸塩粒子2相互間に適当な空隙を形成し
(図1(b) )、炭酸塩粒子2が酸化物となる際に発生す
る炭酸ガスの放出をスムーズにする役割を果たしてい
る。これに対し、体積比200%の場合は、ポリメチル
メタアクリレート粒子3の量が多く、炭酸塩粒子2相互
間の結合を引き離すように分散しており(図3(a) )、
ポリメチルメタアクリレート粒子3が熱分解した後に
は、炭酸塩粒子2相互間の結合部分が少なくなり、加熱
処理前に存在していた炭酸塩粒子2の一部が欠落してい
る(図3(b) )。
【0015】一方、体積平均径が5μmのポリメチルメ
タアクリレート粒子を炭酸塩粒子に対し5%、7%、1
0%、15%の体積比で混合した炭酸塩粒子懸濁液を用
い、上記と同様の方法で炭酸塩塗布層を形成したカソー
ドを、約400℃で加熱処理し、炭酸塩塗布層中に分散
しているポリメチルメタアクリレート粒子が熱分解した
後の炭酸塩塗布層の嵩密度を測定した。なお、炭酸塩粒
子が酸化物となる際に発生する炭酸ガスがスムーズに放
出され、十分な電子放射を得るためには、カソードの炭
酸塩塗布層の嵩密度を1g/cm3 以下にする必要があ
る(参考文献:特開平9−213218号公報)。測定
の結果、ポリメチルメタアクリレート粒子の体積比が5
%と7%の炭酸塩塗布層の嵩密度は1g/cm3 よりも
大きくなった。それに対し、体積比10%と15%の炭
酸塩塗布層の嵩密度は1g/cm3 以下となった。
【0016】以上の検討結果より、加熱処理前の炭酸塩
塗布層中に、ポリメチルメタアクリレート粒子を炭酸塩
粒子に対し10%以上150%以下の体積比で分散させ
ることにより、加熱処理後の炭酸塩塗布層に十分な数の
空隙が形成され、炭酸塩粒子が酸化物となる際に発生す
る炭酸ガスがスムーズに放出されると共に、炭酸塩粒子
相互間の結合力も保たれるため、炭酸塩塗布層の剥離に
よる管内放電等が発生せず、十分な電子放射が得られる
酸化物カソードを製造することができる。
【0017】次に、炭酸塩塗布層に分散させるポリメチ
ルメタアクリレート粒子の体積平均径について検討した
結果を記載する。体積平均径が7μm、10μm、13
μmのポリメチルメタアクリレート粒子を、炭酸塩粒子
に対し80%の体積比で混合した炭酸塩粒子懸濁液を用
い、上記と同様の方法で炭酸塩塗布層を形成したカソー
ドを、約400℃で加熱処理し、炭酸塩塗布層中に分散
しているポリメチルメタアクリレート粒子が熱分解した
後の炭酸塩塗布層の平坦度を測定した。なお、モアレ発
生を抑制するためには、カソード表面の平坦度は10μ
m以下とする必要がある(参考文献:特開平9−213
218号公報)。測定の結果、体積平均径が7μm、1
0μm、13μmの時の炭酸塩塗布層表面の平坦度はそ
れぞれ6μm、8μm、11μmであった。すなわち、
ポリメチルメタアクリレート粒子の体積平均径を10μ
m以下とすることにより、モアレ発生を抑制することが
可能である。
【0018】図4(a) は、体積平均径が10μm以上の
ポリメチルメタアクリレート粒子3を炭酸塩粒子2に対
し80%の体積比で分散させた炭酸塩塗布層を示す概略
図であり、図4(b) は、図4(a) に加熱処理を行い、ポ
リメチルメタアクリレート粒子3が熱分解した後の炭酸
塩塗布層を示す概略図である。体積平均径が10μm以
上のポリメチルメタアクリレート粒子3を用いた場合、
図4(b) に示すように、熱分解後に形成される空隙が大
きく、炭酸塩塗布層表面の平坦度が悪化してしまうた
め、カソード表面から放出される電子の放出分布が不均
一となり、モアレ発生の原因となり、CRTの品位が劣
化する。
【0019】さらに、図5(a) は、体積平均径が7μ
m、最大粒子径が20μmより大きいポリメチルメタア
クリレート粒子3を炭酸塩粒子2に対し80%の体積比
で分散させた炭酸塩塗布層を示す概略図であり、図5
(b) は、図5(a) に加熱処理を行い、ポリメチルメタア
クリレート粒子3が熱分解した後の炭酸塩塗布層を示す
概略図である。平均体積径が7μm、最大粒子径が20
μmより大きいポリメチルメタアクリレート粒子3を用
いた場合、ポリメチルメタアクリレート粒子3が熱分解
する際の放出ガスが多く、一気に放出されたために、図
5(b) に示すように、炭酸塩塗布層の一部が吹き飛ばさ
れ、表面に大きな噴火口状の穴が形成される。このよう
な穴は局部的に炭酸塩塗布層の平坦度を悪化させるた
め、例えばこの穴の上にG1電極の電子通過孔が配置さ
れた場合、カソード表面から放出される電子の放出分布
が不均一となり、モアレ発生の原因となり、CRTの品
位が著しく劣化する。また、体積平均径が7μmで、最
大粒子径が20μm及び16μmのポリメチルメタアク
リレート粒子をそれぞれ炭酸塩粒子に対し80%の体積
比で分散させた炭酸塩塗布層に同様な加熱処理を行った
結果、噴火口状の穴は発生しなかった。従って、ポリメ
チルメタアクリレート粒子の最大粒子径を20μm以下
とすることにより、突発的なモアレ発生を抑制すること
ができる。
【0020】一方、図6(a) は、体積平均径が1μm以
下のポリメチルメタアクリレート粒子3を炭酸塩粒子2
に対し80%の体積比で分散させた炭酸塩塗布層を示す
概略図であり、図4(b) は、図4(a) に加熱処理を行
い、ポリメチルメタアクリレート粒子3が熱分解した後
の炭酸塩塗布層を示す概略図である。体積平均径が1μ
m以下のポリメチルメタアクリレート粒子3を用いた場
合、図6(b) に示すように、ポリメチルメタアクリレー
ト粒子3による空隙がほとんど形成されていない。これ
は、炭酸塩粒子2が短辺約2μm、長辺約10μmの針
状結晶をしているために、ポリメチルメタアクリレート
粒子3を分散させなくても1μm程度の空隙は既に空い
ており、1μm以下のポリメチルメタアクリレート粒子
3を分散させても、十分な大きさの空隙は形成されない
ためである。
【0021】以上の検討結果より、加熱処理前の炭酸塩
塗布層中に分散させるポリメチルメタアクリレート粒子
の体積平均径を1μm以上10μm以下とすることによ
り、加熱処理後の炭酸塩塗布層に適当な大きさの空隙が
形成され、且つ炭酸塩塗布層表面の平坦度が10μm以
下となるため、十分な電子放射がカソード表面から均一
に得られ、モアレ発生を抑制することができる。さら
に、ポリメチルメタアクリレート粒子の最大粒子径を2
0μm以下とすることにより、炭酸塩塗布層表面の平坦
度の局部的な悪化を防ぐことができ、突発的なモアレ発
生を抑制することができる。
【0022】なお、本実施の形態では、炭酸塩粒子より
も低温で熱分解または昇華する粒子としてポリメチルメ
タアクリレート粒子を用いたが、これに限定されるもの
ではなく、例えばポリビニルアルコール等でも良く、同
様の効果が得られる。また、カソード表面に炭酸塩塗布
層を形成する方法としてスプレー法を用いたが、スクリ
ーン印刷法、静電電着法等、他の方法を用いて塗布して
も良い。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、炭酸塩
粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子を、炭酸塩
粒子に対し10%以上150%以下の体積比で混合した
炭酸塩粒子懸濁液をカソード表面に塗布し、炭酸塩塗布
層を形成することにより、加熱処理後の炭酸塩塗布層に
十分な数の空隙が形成され、嵩密度が1g/cm3 以下
となるため、炭酸塩粒子が酸化物となる際に発生する炭
酸ガスをスムーズに放出することができると共に、炭酸
塩粒子相互間の結合力も保たれるため、炭酸塩塗布層の
剥離によって誘発される管内放電による極度の初期エミ
ッションの劣化等を防ぎ、十分な電子放射が得られる酸
化物カソードを製造することができる。
【0024】また、炭酸塩粒子より低温で熱分解あるい
は昇華する粒子として、体積平均径1μm以上10μm
以下のものを用いることにより、加熱処理後の炭酸塩塗
布層に適当な大きさの空隙が形成されるため、炭酸塩粒
子が酸化物となる際に発生する炭酸ガスをスムーズに放
出することができると共に、炭酸塩塗布層表面の平坦度
が10μm以下となるため、モアレ発生を抑制すること
ができる。
【0025】さらに、炭酸塩粒子より低温で熱分解ある
いは昇華する粒子として、最大粒子径20μm以下のも
のを用いることにより、炭酸塩塗布層表面の平坦度の局
部的な悪化を防ぐことができ、突発的なモアレ発生を抑
制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1において作成された酸
化物カソードの炭酸塩塗布層の加熱処理前の状態を示す
概略図である。
【図2】 本発明の実施の形態1において作成された酸
化物カソードの炭酸塩塗布層の加熱処理後の状態を示す
概略図である。
【図3】 体積平均径5μmのポリメチルメタアクリレ
ート粒子を炭酸塩粒子に対し200%の体積比で分散さ
せた炭酸塩塗布層を示す概略図である。
【図4】 体積平均径10μm以上のポリメチルメタア
クリレート粒子を炭酸塩粒子に対し80%の体積比で分
散させた炭酸塩塗布層を示す概略図である。
【図5】 体積平均径7μm、最大粒子径が20μmよ
り大きいポリメチルメタアクリレート粒子を炭酸塩粒子
に対し80%の体積比で分散させた炭酸塩塗布層を示す
概略図である。
【図6】 体積平均径1μm以下のポリメチルメタアク
リレート粒子を炭酸塩粒子に対し80%の体積比で分散
させた炭酸塩塗布層を示す概略図である。
【符号の説明】
1 基体金属、2 炭酸塩粒子、3 ポリメチルメタア
クリレート粒子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新庄 孝 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5C027 CC03 CC11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともBaを含むアルカリ土類金属
    の炭酸塩粒子を分散させた炭酸塩粒子懸濁液に、上記炭
    酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇華する粒子を、上
    記炭酸塩粒子に対し10%以上150%以下の体積比で
    混合し十分に撹拌する工程、 上記炭酸塩粒子懸濁液をカソード表面に塗布し、炭酸塩
    塗布層を形成する工程、 上記炭酸塩塗布層に加熱処理を行い、上記炭酸塩粒子よ
    り低温で熱分解あるいは昇華する粒子を熱分解あるいは
    昇華させた後、さらに加熱処理を行い上記炭酸塩粒子を
    酸化させ、上記カソード表面に酸化物塗布層を形成する
    工程を備えたことを特徴とする酸化物カソードの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 炭酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇
    華する粒子として、体積平均径1μm以上10μm以下
    のものを用いたことを特徴とする請求項1記載の酸化物
    カソードの製造方法。
  3. 【請求項3】 炭酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇
    華する粒子として、最大粒子径20μm以下のものを用
    いたことを特徴とする請求項2記載の酸化物カソードの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 炭酸塩粒子より低温で熱分解あるいは昇
    華する粒子として、ポリメチルメタアクリレートまたは
    ポリビニルアルコールを用いたことを特徴とする請求項
    1〜請求項3のいずれか一項に記載の酸化物カソードの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記
    載の製造方法によってカソード表面に炭酸塩塗布層が形
    成された酸化物カソードであって、 加熱処理前の上記炭酸塩塗布層中に、上記炭酸塩粒子よ
    り低温で熱分解あるいは昇華する粒子を、上記炭酸塩粒
    子に対し10%以上150%以下の体積比で分散させた
    ことを特徴とする酸化物カソード。
JP29159398A 1998-10-14 1998-10-14 酸化物カソード及びその製造方法 Pending JP2000123725A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29159398A JP2000123725A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 酸化物カソード及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29159398A JP2000123725A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 酸化物カソード及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000123725A true JP2000123725A (ja) 2000-04-28

Family

ID=17770961

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29159398A Pending JP2000123725A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 酸化物カソード及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000123725A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2826505A1 (fr) * 2001-06-22 2002-12-27 Samsung Sdi Co Ltd Cathode pour tube electronique et procede de preparation de la cathode

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2826505A1 (fr) * 2001-06-22 2002-12-27 Samsung Sdi Co Ltd Cathode pour tube electronique et procede de preparation de la cathode

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR930011964B1 (ko) 전자관용 음극
EP0204477B1 (en) Cathode for electron tube and manufacturing method thereof
US4980603A (en) Cathode for an electron tube
US7026749B2 (en) Cathode for electron tube and method of preparing the same
JPH0690907B2 (ja) 電子管用陰極
JP2000123725A (ja) 酸化物カソード及びその製造方法
JPH0318287B2 (ja)
JP2001176375A (ja) 酸化物カソード、及びその製造方法
JPS61269828A (ja) 電子管陰極の製造方法
JPH0275128A (ja) 電子管陰極
JP3395213B2 (ja) 電子管陰極
JPH04220924A (ja) 電子管用陰極
KR100246293B1 (ko) 전자방출용 음극 및 그 제조방법
JPH02247934A (ja) 電子管用陰極
JPH01102829A (ja) 電子管陰極及びその製造方法
JPH0690906B2 (ja) 電子管陰極
JPH0997561A (ja) 電子管用陰極の製造方法
JP3010155B2 (ja) 電子管用陰極の製造方法
JP2619106B2 (ja) 酸化物陰極
JPH0821308B2 (ja) 電子管陰極
JPH11283485A (ja) 電子管用陰極およびその製造方法
JPH04220925A (ja) 電子管用陰極
JPH01311531A (ja) 電子管陰極
JPH09320448A (ja) 電子管用酸化物陰極及びその製造方法
JPH01311530A (ja) 電子管陰極およびその製造方法