JP2000121795A - 放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法 - Google Patents

放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法

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JP2000121795A
JP2000121795A JP10365052A JP36505298A JP2000121795A JP 2000121795 A JP2000121795 A JP 2000121795A JP 10365052 A JP10365052 A JP 10365052A JP 36505298 A JP36505298 A JP 36505298A JP 2000121795 A JP2000121795 A JP 2000121795A
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radioactive
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Yoichi Karita
陽一 刈田
Shunji Inoue
俊二 井上
Masamichi Obata
政道 小畑
Akimitsu Hiraki
昭光 平木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】放射性黒鉛廃棄物に含まれるC-14 を優先的に
酸化したのち固定化することにより、C-14 の環境への
放出を削減することが可能となる。 【解決手段】放射性黒鉛廃棄物を破砕し粒状化し、これ
を低酸化ポテンシャル領域にて酸化処理し、この段階で
C-14 を優先的にガス化して得た排ガスを炭酸ガス吸収
処理して、C-14 は吸収剤に固定し、固化処理にうえ処
分される。一方C-14 を除去した排ガスは通常の排ガス
処理の後、環境に放出することができる。さらに、前記
低酸化ポテンシャル領域の酸化処理で残留したC-14 の
濃度の低い黒鉛は、高酸化ポテンシャル領域にて酸化処
理し、排ガスは通常の排ガス処理の後、環境に放出さ
れ、また焼却灰は固化処理にうえ処分される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研究用原子炉、発
電用原子炉、照射実験など原子炉施設で使われた、放射
化した放射性黒鉛廃棄物中の放射性炭素C-14 (以下、
単にC-14 と記す)を除去する改良された方法ならびに
焼却処理する改良された方法に関する。
【0002】
【従来の技術】放射化した黒鉛廃棄物の処理方法として
は、切断あるいはさらに破砕した後、セメントモルタル
等で固化処理して処分する方法と焼却処理する方法(図
4)が代表的である。前者の方法は、設備が簡単で経費
がかからないため、処理自体は経済的であるが、容積は
むしろ増量し輸送や処分のコストが高くなる。しかも放
射化したC-14 が高い場合は、安価な地表埋設処分が困
難で深い地層などへの費用の高い処分方法をとる必要が
ある。
【0003】一方、後者は、焼却により残るのはわずか
の焼却灰(一般には1%以下)であり、極めて減容性の
高い方法である。この灰を固化処理して処分すれば、処
分費は大幅に低減できる。しかしながら、C-14 が高い
場合は、それをCO2 ガスとして放出すれば環境公害の
おそれなしとはいえず、自ずと焼却可能な黒鉛中のC-1
4 濃度の制限がある。
【0004】焼却して、そのC-14 を含むCO2 (大部
分は放射性でないCO2 であるが)を水酸化カルシウム
や水酸化バリウム等の吸収剤で固定し、更にセメント等
で固化処理した後に処分することになるが、元の黒鉛の
量の数倍の増量になり、処分コストの増大は避けられな
い。
【0005】本発明は、放射性黒鉛廃棄物中の放射性炭
素C-14 の大部分を予め除去することができれば、固
化処理した黒鉛廃棄物を安価な処分場にて処分すること
が可能になる。更に、ついで焼却すれば、環境公害発
生のおそれがなく、大幅な減容が可能で処分コストの大
幅な低減が可能となる点に着目したものである。
【0006】従来、放射性施設で発生する放射性黒鉛廃
棄物を焼却し減容するには、図4に示すように、黒鉛廃
棄物を破砕した後焼却して減容した際、焼却灰は固化処
理されるが、焼却時にC-14 はCO2 ガスとして排ガス
中に移行する。この焼却処理には、通常の焼却炉、微粉
炭バーナ炉による方法、または超臨界水中酸化による方
法などが応用できる。
【0007】このような焼却処理によって発生した排ガ
スは、フィルタ装置で濾過され、ダスト状のCo-60 、
Cs-137など各種の放射性核種を除去する。なお、放射
性核種によっては、例えば放射性ルテニウムにはシリカ
ゲル、あるいは放射性よう素には銀ゼオライトによる処
理、または湿式スクラバなどが適用される。このように
C-14 を含む排ガスは、いわゆる排ガス処理されるが、
C-14 はCO2 ガスのまま環境に放出されるので、C-1
4 濃度の高い黒鉛廃棄物を処理するのには困難があっ
た。
【0008】また、排ガス中のCO2 ガスをカルシウム
塩、バリウム塩などの不溶性金属塩として固定する方法
もあるが、通常の放射性黒鉛廃棄物を焼却したときに発
生するC-14 に基づくCO2 ガスは、発生した全CO2
ガスに対して僅か10ppm以下であるので、上記固定
用薬品の大部分は、非放射性CO2 ガスの固定のため
に、いわば無駄に消費されることになり、運転コスト面
および増量(元の黒鉛よりも量が多くなる)という点に
おいて問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、放射性黒鉛廃
棄物に含まれるC-14 を優先的選択して酸化した後、C
2 を固定化し、残った黒鉛を固化処理し簡易な処分を
可能とする、もしくは焼却処理することにより、C-14
の環境への放出を削減することが可能となる放射性黒鉛
廃棄物の焼却処理方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、放射性黒鉛の
組織内のC-14 の分布を研究した結果、黒鉛には20〜
30%の内部空隙(pore)があり、大部分はope
n poreであり、そのporeの表面に、C-14 は
比較的集中して存在しているという知見に基づいて完成
したものであり、本発明の放射性黒鉛廃棄物の焼却処理
方法は、放射性黒鉛廃棄物を低酸化ポテンシャル領域に
て酸化処理し、C-14 を優先的にガス化して除去するこ
とを特徴とするものである。しかる後に固化処理する
か、更に高酸化ポテンシャルで焼却処理するものであ
る。
【0011】さらに、本発明は、ガス化したC-14 を不
溶性金属塩として、特に炭酸マグネシウムとして固定化
する形態の前記射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法に具体化
でき、この場合、放射性廃棄物から得られるMg廃材に
直接、またはそれを酸化マグネシウムまたは水酸化マグ
ネシウムとし、C-14 を反応させるよう具体化できる。
さらにガス化したC-14 を一旦、リチウムジルコネイト
と反応させ、炭酸リチウムとして固定化して、迅速に系
外に抜き出したり、あるいは還元処理して固体炭素とし
て固定化する方法としても具体化できる。また、前記低
酸化ポテンシャル領域にて酸化処理した後、残留した廃
棄物を高酸化ポテンシャル領域にて酸化処理する形態の
放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法として、具体化するこ
ともできる。
【0012】なお、前記低酸化ポテンシャル領域の酸化
処理に際して、放射性黒鉛廃棄物を破砕して内部空隙を
露出するようにした方がC-14 を優先的にガス化する点
で効果的であるが、破砕は必ずしも必須要件ではない。
さらに、高酸化ポテンシャル領域の酸化処理において
は、被処理物を破砕し、粒状化すると極めて効果的であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】次に,本発明の放射性黒鉛廃棄物
の焼却処理方法に係る実施形態について、図1の工程図
を参照しながら説明する。この実施形態では、次のよう
に2段階の酸化処理方式が採用されている。先ず、放射
性黒鉛廃棄物を破砕し粒状化し、これを低酸化ポテンシ
ャル領域にて酸化処理し、この段階でC-14 を優先的に
ガス化して得た排ガスを炭酸ガス吸収処理して、C-14
は吸収剤に固定し、固化処理にうえ処分される。一方C
-14 を除去した排ガスは通常の排ガス処理の後、環境に
放出することができる。
【0014】さらに、前記低酸化ポテンシャル領域の酸
化処理で残留したC-14 の濃度の低い黒鉛は、高酸化ポ
テンシャル領域にて酸化処理し、排ガスは通常の排ガス
処理の後、環境に放出され、また焼却灰は固化処理のう
え処分される。以下にその詳細を説明する。
【0015】(1)黒鉛廃棄物の破砕 原子力施設から廃棄物として発生する放射性黒鉛廃棄物
を適宜破砕機で破砕する。これは、放射性黒鉛であるC
-14 は黒鉛一次粒子の粒子境界および粒界表面近傍に比
較的集中して存在しているという知見に基づく。この黒
鉛廃棄物に存在するC-14 は、元来窒素に由来するもの
で、元の黒鉛の空隙内に窒素が侵入あるいは吸着してお
り放射化してC-14 となったものであるから、黒鉛粒子
内部には殆ど存在せず、その表面や粒子間空隙の表面に
集中しているのである。したがって、この工程は、処理
対象である黒鉛廃棄物中のC-14 をできるだけ処理時の
形態の表面に露出させて、反応を早くするため、焼
却処理し易くするため、適宜サイズの粒子に破砕する工
程であるから、黒鉛廃棄物がすでにC-14 が露出した形
態であれば、破砕の必要がない。また、次の低酸化ポテ
ンシャル酸化処理では、内部空隙が優先的に酸化しやす
い傾向があるので、破砕工程は必須のものではない
【0016】(2)低酸化ポテンシャル酸化処理 破砕して得た粒状放射性黒鉛廃棄物を低酸化ポテンシャ
ル領域にて酸化処理する。ここでいう低酸化ポテンシャ
ル領域の酸化とは、黒鉛のような被酸化物と酸素との結
合反応を、酸素の活性を低く抑えた状態で行わせる概念
であり、化学的酸化が支配的な領域であり表面積が反応
を律速する。酸素リッチな雰囲気における加速度的に反
応速度が高まる燃焼反応のような,いわゆる高酸化ポテ
ンシャル領域の酸化と対になる概念である。最初から高
酸化ポテンシャルで酸化すると、粒子の外表面からの酸
化が著しく、焼却は早く行うことができるが、C-14 を
選択的に除去することができない。
【0017】この酸化処理工程では、粒状放射性黒鉛廃
棄物は、比較的低濃度に調整された酸素雰囲気下で、緩
慢な酸化速度に制御して酸化処理されるので、黒鉛粒子
の表面から徐々に酸化されることになり、その表面近傍
に大部分が存在しているC-14 が優先的にCO2 に変化
するから、この酸化処理で発生する排ガスにはC-14が
比較的高い濃度で含まれることになる。一方、酸化を免
れた残留する粒状黒鉛は、C-14 の含有量が少ないもの
となる。
【0018】そして、本発明の特徴とするところの第1
は、粒状放射性黒鉛廃棄物を低酸化ポテンシャル領域に
て酸化処理するところにある。さらに説明すると、低酸
化ポテンシャル領域の酸化処理は、酸素との結合活性を
低く抑える環境下で酸化を行わせる方法であり、次の
〔表1〕に例示するように、低酸素濃度、低温度、ある
いは水蒸気雰囲気で行う気体燃焼法、亜臨界または超臨
界状態の高圧水中に少量の酸素の共存下で酸化処理する
水中燃焼法、また、各種酸化性の強い酸液中で行う濃酸
中酸化法、あるいは金属塩の溶融塩中酸化法などによっ
て、温度、濃度を制御しながら酸化させる方法が適用可
能である。
【0019】
【表1】
【0020】(3)炭酸ガス吸収工程およびその後の処
理工程 前記低酸化ポテンシャル領域に酸化処理で発生した、C
-14 を高濃度に含む排ガスは、炭酸ガス吸収工程でカル
シウムまたはバリウムなどの水酸化物からなり吸収剤に
反応させ、C-14 からなる炭酸ガスを不溶性金属塩であ
る炭酸カルシウムまたは炭酸バリウムとして固定、除去
する。かくして、C-14 が除去された排ガスは通常の排
ガス処理を行い、その後大気中に放出される。一方、C
-14 を固定した吸収剤は、放射性廃棄物として、セメン
ト固化などの固化処理を受け、最終的に処分用廃棄体と
されるのである。
【0021】このようにC-14 からなる炭酸ガスを不溶
性金属塩として固定する場合、マグネシウムと反応させ
て炭酸マグネシウムとして固定化すると、先のカルシウ
ムまたはバリウムの場合に較べて減容率が大きくできる
という利点が得られるので好ましい。そして、C-14 を
固定化した炭酸マグネシウムは、同様に固体として容器
に収納したり、他の廃棄物と混合したり、あるいはセメ
ントで固化するなどして処分され得る。なお、減容性は
若干劣るが炭酸カルシウムや炭酸バリウムを含む炭酸マ
グネシウムとしてもよい。
【0022】さらに、このマグネシウムを利用するに当
たって、放射性廃棄物中に含まれるMg廃材を素材とし
て活用するのがよい。例えば、炭酸ガス冷却黒鉛減速炉
では構造材としてマグノックスなどのMg合金材が使用
されており、これらが放射性雑固体として廃棄処分され
るので、このMg分に直接C-14 からなる炭酸ガスを反
応させたり、このMg分を酸化マグネシウムまたは水酸
化マグネシウムとしてから反応させれば、廃棄物自体を
素材として利用できるので減容効果が大きくなる。
【0023】この炭酸マグネシウム固定法によると、放
射性黒鉛廃棄物1tonは約0.6m3 に相当するが、
この低酸化ポテンシャル領域の酸化処理で全体の5〜1
0%をガス化するだけで90%のC-14 を除くことがで
き、このとき生じる炭酸マグネシウムは約0.12〜
0.23m3 と見込まれるから、この場合の減容率とし
ては約1/6〜1/3の高率が期待できることになる。
(この場合、低酸化ポテンシャル領域の酸化処理で残留
する分は、低放射性であるので減容率の計算から除外で
きる。)
【0024】このように炭酸ガスとマグネシウム分を直
接に反応させる場合は、その反応速度が比較的遅いの
で、反応時間を大きく見込むため処理装置が大型化する
不具合があったが、この点を解消するのに、リチウムジ
ルコネイトを利用できることが分かった。すなわち、C
-14 を炭酸マグネシウムとして固定化するに際し、ガス
化したC-14 を予めリチウムジルコネイトと反応させ、
炭酸リチウムとして固定化した後、それを分解して得た
C-14 を炭酸マグネシウムとして固定化する方法であ
る。
【0025】リチウムジルコネイトは、400〜700
tの温度範囲で、自らの体積の400倍に及ぶ炭酸ガス
を迅速に吸収して炭酸リチウムとして固定することがで
きるので、前記の低酸化ポテンシャル領域の酸化処理で
得られる高温のC-14 からなるガスを有効に処理するこ
とができる。さらに、この炭酸ガスを吸収したリチウム
ジルコネイト吸収材は、熱処理によって、炭酸ガスを放
出し、リチウムジルコネイトは復元でき、吸収能が再生
するので、吸収材のリサイクルが可能になり、運転コス
ト上有利になるという利点もある。
【0026】さらに、高放射性C-14 の減容率の高い固
定化方法としては、ガス化したC-14 を還元処理して固
体炭素として固定化する方法がある。この方法は、炭酸
ガスを水素と反応させ、水と固体炭素に分解させるもの
であり、触媒を用いると分解反応を効果的に行うことが
できる。触媒としてはコバルト・ニッケル系を使用する
とさらに分解反応を効果的に行うことができる。この方
法によれば、その減容率は、先の炭酸マグネシウムの場
合と同様な試算を行うと、約1/10以下になることが
期待できる。
【0027】(4)残留黒鉛の高酸化ポテンシャル酸化
処理 一方、前記低酸化ポテンシャル領域において、主として
黒鉛のporeを中心として酸化処理し、そこに存在す
るのC-14 の大部分をガス化した残留物である粒状黒鉛
については、高酸化ポテンシャル領域にて酸化処理し、
可燃成分を完全にガス化する。ここでいう高酸化ポテン
シャル領域の酸化とは、先の〔表1〕に例示した各種の
方法が採用され得るが、気体燃焼法によって空気雰囲気
下、高温度でいわゆる燃焼させる方法によるのが低コス
ト、管理が容易であるなどから好ましい。また、低酸化
ポテンシャル領域で酸化処理した後の黒鉛廃棄物は、C
-14 濃度は低くなっているのでセメントと混合して放射
性廃棄物固化用充填材として処理する方法や、セメント
などの固化処理による安価な方法、例えば、浅層処分
(いわゆる埋設処分)が可能となる。
【0028】(5)排ガス処理、固化処理などの後工程 前記残留黒鉛を高酸化ポテンシャル酸化処理では、多量
の排ガスが発生することになるが、すでに高濃度のC-1
4 を含まないので、通常の排ガス処理を行うのみで、そ
の後大気中に放出することができる。また、この段階で
なおガス化できない、いわゆる焼却残渣灰については、
先の吸収剤の場合に同じく放射性廃棄物として、固化処
理のうえ処分されることになる。
【0029】次に、本発明のような2段階酸化処理の場
合と従来の空気中の燃焼による酸化処理の場合における
黒鉛廃棄物およびC-14 のガス化の挙動の相違について
説明する。図2は、この比較実験に用いた装置のフロー
であり、電気炉にて放射性黒鉛を酸化し、発生した排ガ
スは次の空気を添加したアフターバーナにおいて酸化処
理し、COを吸収処理に適したCO2 に変化させ、これ
を次の水酸化バリウム溶液を用いたCO2 吸収器に導い
て吸収させ、これを液体シンチレーションカウンタによ
りC-14 量を測定した。なお、HEPA(高性能粒子除
去フィルタ)は放射性物質を除去し外部へ漏洩するのを
防止するためのものである。
【0030】この装置の電気炉を用いて、先ず、黒鉛試
料の全量を空気雰囲気の通常燃焼である高酸化ポテンシ
ャル領域で酸化させた場合と、最初に水蒸気雰囲気で温
度800℃の低酸化ポテンシャル領域で酸化させ、つい
で高酸化ポテンシャル領域で酸化させた2段階処理をし
た場合とについて、処理時間の経過と発生したCO2
濃度から黒鉛のガス化率を計測した結果を図3のグラフ
に模式的に示す。
【0031】黒鉛試料を空気雰囲気中で通常燃焼させ高
酸化ポテンシャル領域で酸化させた場合の、黒鉛試料全
体を基準にしたガス化率A(%)の変化、および含まれ
るC-14 を基準にしたガス化率B(%)の変化は、図3
中の1本の曲線1で代表される。ここで処理開始0点か
らガス化率A、Bとも曲線1で示されるようにガス化が
進み、f点に至って燃焼が終了し、黒鉛試料の全量がガ
ス化するとともに、当然C-14 のガス化も完了すること
が示されている。
【0032】一方、図3中の曲線3は、前記の2段階処
理を行った場合の黒鉛試料を100としたガス化率A
(%)を示すものであり、処理開始0点からb1点まで
が前段の低酸化ポテンシャル領域での酸化であり、b1
点からc点までが後段の高酸化ポテンシャル領域での酸
化である。これによれば、低酸化ポテンシャル領域では
黒鉛試料のガス化は余り進行せず、全体の10%前後が
ガス化するに過ぎないが、高酸化ポテンシャル領域では
ガス化が急速に進み、短時間のうちに全体がガス化する
ことが分かる。
【0033】また、図3中の曲線2は、曲線3の場合と
同じ2段階処理を行った場合、含まれるC-14 を100
としたときのガス化率B(%)を示すものであり。これ
によれば、処理開始0点からb2点までが前段の低酸化
ポテンシャル領域に相当し、この段階でC-14 のガス化
は約90%ほどまで進行し、C-14 の大部分がガス化す
ることが理解できる。そして、b2点からc点までが後
段の高酸化ポテンシャル領域であるが、ここでは残余の
僅か10%程度がガス化することで、C-14 全量がガス
化することになる。なお、前段の低酸化ポテンシャル領
域の条件によっては、ガス化が一旦飽和状態になること
を示すa1点、a2点が見られる場合がある。
【0034】以上説明したように、本発明の放射性黒鉛
廃棄物の焼却処理方法で採用しているような、前記の2
段階処理を行うことにより、前段の低酸化ポテンシャル
領域の酸化処理において、全黒鉛の10%程度がガス化
する間にC-14 の90%程度がガス化することになるの
で、C-14 を優先的に排ガス中に集中させて排出するこ
とができることが分かる。また、この段階の排ガス量
は、全黒鉛の10%程度から発生するものであるから、
比較的少ない量の排ガスを対象として、C-14 の大部分
を処理できる利点が得られる。
【0035】かくして、C-14 の大部分を排出した後
に、残留した黒鉛をガス化すれば、排ガス中のC-14 の
含有量はもはやごく少ないものとなるから、後処理も容
易になるのである。この比較実験の場合には、後段のC
-14 の濃度は、前段の場合に約1/100程度に減少す
ることが確かめられた。
【0036】
【発明の効果】本発明の放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方
法は、以上に説明したように構成されているので、放射
性黒鉛廃棄物を前記した低酸化ポテンシャル領域の酸化
処理により、あるいは前記2段階方式の酸化処理によ
り、放射性黒鉛廃棄物に含まれるC-14 を優先的に酸化
したのち固定化することにより、C-14 の環境への放出
を削減することが可能となるとともに、発生する排ガス
量が少ないので、C-14 を固定化するための炭酸ガス吸
収装置などを比較的小型にすることができる。また、従
来は焼却処理ができなかったようなC-14 を比較的多量
に含む放射性黒鉛廃棄物を効果的に焼却処理し、併せて
高い減容率でC-14 を固定化することができるようにな
るという優れた効果がある。さらには、C-14 濃度を低
減した後、固化処理し安価な処分方法を選択することも
可能である。よって本発明は従来の問題点を解消した放
射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法として、その工業的価値
は極めて大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための工程フロー
図。
【図2】比較実験の工程フロー図。
【図3】比較実験の結果を示すグラフ。
【図4】従来の焼却処理を示す工程フロー図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小畑 政道 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 平木 昭光 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射性黒鉛廃棄物を低酸化ポテンシャル領
    域にて酸化処理し、C-14 を優先的にガス化して除去す
    ることを特徴とする放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法。
  2. 【請求項2】ガス化したC-14 を不溶性金属塩として固
    定化する請求項1に記載の放射性黒鉛廃棄物の焼却処理
    方法。
  3. 【請求項3】ガス化したC-14 を炭酸マグネシウムまた
    は炭酸マグネシウムを主成分とする炭酸塩として固定化
    する請求項2に記載の放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方
    法。
  4. 【請求項4】放射性廃棄物から得られるMg廃材に直
    接、またはそれを酸化マグネシウムまたは水酸化マグネ
    シウムとし、C-14 を反応させる請求項3に記載の放射
    性黒鉛廃棄物の焼却処理方法。
  5. 【請求項5】C-14 を炭酸マグネシウムとして固定化す
    るに際し、ガス化したC-14 を予めリチウムジルコネイ
    トと反応させ、炭酸リチウムとして固定化した後、それ
    を分解して得たC-14 を炭酸マグネシウムとして固定化
    する請求項3または4に記載の放射性黒鉛廃棄物の焼却
    処理方法。
  6. 【請求項6】ガス化したC-14 を還元処理して固体炭素
    として固定化する請求項1に記載の放射性黒鉛廃棄物の
    焼却処理方法。
  7. 【請求項7】前記低酸化ポテンシャル領域にて酸化処理
    した後、残留した廃棄物を高酸化ポテンシャル領域にて
    酸化処理する請求項1または2に記載の放射性黒鉛廃棄
    物の焼却処理方法。
  8. 【請求項8】前記前記低酸化ポテンシャル領域にて酸化
    処理した後、残留した廃棄物をセメントと混合して放射
    性廃棄物固化用充填材として処理する請求項1または2
    に記載の放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法。
JP10365052A 1998-08-14 1998-12-22 放射性黒鉛廃棄物の焼却処理方法 Abandoned JP2000121795A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012520452A (ja) * 2009-03-11 2012-09-06 エレクトリシテ・ドゥ・フランス 炭素質放射性廃棄物処理
CN107610801A (zh) * 2017-09-15 2018-01-19 中国工程物理研究院材料研究所 一种放射性污染石墨的减容方法

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