JP2000120475A - エンジンの排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
素保持量以内へと収める空燃比制御に戻ったときにエラ
ーが生じるのを防止する。 【解決手段】 排気通路に配設された触媒21は酸素保
持能力を有する。この触媒下流の排気空燃比がストイキ
からリーンに変化するときの触媒の酸素保持量を最大有
効酸素保持量として記憶手段22が記憶し、触媒下流の
排気空燃比がストイキの近傍であるとき、触媒に流入す
る所定時間当たりの過不足酸素量を積算した値を触媒酸
素保持量として演算手段23が演算する。所定の空燃比
制御条件の不成立時かつ前記排気空燃比がリーンである
とき、触媒にゆっくり吸収される所定時間当たりの遅反
応酸素吸収量を積算して最大有効酸素保持量を超える触
媒酸素保持量を演算手段24が演算する。空燃比制御条
件の成立時に、そのときの触媒酸素保持量が最大有効酸
素保持量以内となるように空燃比を制御手段25が制御
する。
Description
化装置に関する。
Oxを三元触媒(以下単に「触媒」という)により同時
に浄化するには触媒の雰囲気を理論空燃比(以下単に
「ストイキ」という)にしなければならないので、触媒
の雰囲気がストイキの酸素濃度状態となるように、不足
する酸素を吸収したり過剰な酸素を脱離する、いわゆる
酸素ストレージ能力を触媒に持たせている。この結果、
たとえば酸素を保持(吸収)していない状態の触媒に対
して、ストイキよりリーン(以下単に「リーン」とい
う)の排気を与えると、過剰分の酸素が瞬時に触媒内に
吸収されるため、触媒の酸素保持量が飽和するまでは触
媒雰囲気がストイキに保たれる。この逆に、酸素を保持
した状態の触媒に対して、ストイキよりリッチ(以下単
に「リッチ」という)の排気を与えると、触媒内の酸素
が瞬時に脱離されて、雰囲気中に不足していた酸素が補
われる。そのため、触媒に保持されていた酸素が全て脱
離するまでは触媒雰囲気がストイキに保たれる。
っているため、一時的な空燃比のずれから生じる酸素の
過不足を触媒が補って触媒雰囲気をストイキに保つこと
ができるのである。換言すると、触媒の酸素保持量が飽
和量に達したり、触媒が酸素を保持していない状態とな
ったりしてしまうと、HC、CO、NOxを浄化できな
くなり、排気エミッションが悪化する。
して排気エミッションの悪化を防止するため、所定時間
当たりに触媒へ流入する過不足酸素量を計算し、この所
定時間当たりの値を積算することで触媒酸素保持量を求
め、この触媒酸素保持量が、酸素保持量の目標値と一致
するようにフィードバック制御を行うようにしたものが
提案されている(特開平5−195842号公報、同7
−259602号公報参照)。
は、触媒下流の空燃比センサがリーンを示したタイミン
グでの触媒酸素保持量を最大酸素保持量としている。
によれば、触媒下流の空燃比がリーンとなった後も、触
媒に酸素が吸収されることを初めて見いだした。
3程度のリッチから16程度のリーンへと切換えたとき
の触媒前後の空燃比を測定した結果(実験結果)を図2
に示す。同図において、A区間では触媒の酸素を吸収す
る速度が速く、触媒上流の空燃比(図では「F−A/
F」で示す)がリーンであっても、触媒に流入する過剰
酸素がすべて触媒に吸収されるため、触媒下流の空燃比
(図では「R−F/A」で示す)はリーンを示していな
い(ストイキを示す)。これに対してB区間に移ると、
流入する過剰酸素のすべては触媒に吸収されないので、
触媒下流の空燃比がリーンになっている。つまり、触媒
下流の空燃比がリーンになっているB区間においても、
吸収の速度が遅いものの、酸素(もしくはNOなどの酸
化物)が触媒に吸収されている。したがって、図2にお
いて、触媒下流の空燃比がストイキからリーンに変化す
るときの酸素保持量を最大有効酸素保持量(速い速度で
吸収できる酸素の飽和量)とし、その後に吸収される酸
素吸収量を遅反応酸素吸収量とすれば、燃料カット時や
リーンクランプ時(以下燃料カット時で代表させる)に
触媒に吸収される酸素保持量は、最大有効酸素保持量に
遅反応酸素吸収量が加わったものになる。
での遅反応酸素吸収量を無視しているため、燃料カット
が解除され、触媒酸素保持量を最大有効酸素保持量以内
へと収める空燃比制御に戻ったときにエラーが生じる。
従来装置では燃料カットにより触媒下流の空燃比がリー
ンになったとき、最大有効酸素保持量を演算するだけ
で、遅反応酸素吸収量を計算しないため、この遅反応酸
素吸収量の分のエラーが生じてしまうのである。
媒下流の空燃比がリーンを示す期間において、触媒に吸
収される遅反応酸素吸収量をも含めて触媒酸素保持量を
演算することにより、燃料カット後に触媒酸素保持量を
最大有効酸素保持量以内へと収める空燃比制御に戻った
ときにエラーが生じるのを防止することを目的とする。
すように、エンジンの排気通路に配設された酸素保持能
力を有する触媒21と、この触媒21下流の排気空燃比
がストイキからリーンに変化するときの前記触媒21の
酸素保持量を最大有効酸素保持量OSCyとして記憶す
る手段22と、前記触媒21下流の排気空燃比がストイ
キの近傍であるとき、この触媒21に流入する所定時間
当たりの過不足酸素量を積算した値を触媒酸素保持量O
SCnとして演算する手段23と、所定の空燃比制御条
件の不成立時かつ前記触媒21下流の排気空燃比がリー
ンであるとき、前記触媒21にゆっくり吸収される所定
時間当たりの遅反応酸素吸収量を積算して前記最大有効
酸素保持量OSCyを超える触媒酸素保持量OSCnを
演算する手段24と、前記空燃比制御条件の成立時に、
そのときの前記触媒酸素保持量OSCnが前記最大有効
酸素保持量OSCy以内となるようにエンジンの空燃比
を制御する手段25とを有する。
空燃比制御条件の不成立時かつ前記触媒21下流の排気
空燃比がリーンである状態から前記空燃比制御条件の成
立時への移行時に、少なくとも前記触媒酸素保持量が前
記最大有効酸素保持量以内となるまでの間、前記空燃比
制御手段による空燃比のリッチ化度合いを通常時のリッ
チ化の度合いよりも大きくする。
触媒21下流の排気空燃比を検出する手段を有し、この
手段により検出される前記触媒21下流の排気空燃比が
ストイキからリーンに変化したときの前記触媒酸素保持
量で前記記憶手段に記憶されている最大有効酸素保持量
OSCyを更新する。
触媒21下流の排気空燃比を検出する手段を有し、この
手段により検出される前記触媒21下流の排気空燃比が
リッチであるとき前記触媒酸素保持量をゼロにリセット
する。
触媒21上流の排気空燃比を検出可能な広域空燃比セン
サを有し、このセンサにより検出される前記触媒21上
流の排気空燃比と排気流量とに基づいて所定時間当たり
の前記過不足酸素量を演算する。
触媒21上流の排気空燃比が前記センサの検出可能範囲
を超えるリーンであるとき、予め定められた酸素濃度
(たとえば大気の酸素濃度)と排気流量とに基づいて所
定時間当たりの前記過不足酸素量を演算する。
に酸素がゆっくり吸収されるときの反応速度を演算する
手段を有し、この手段により演算される反応速度と触媒
21に流入する過不足酸素量とに基づいて所定時間当た
りの前記遅反応酸素吸収量を演算する。
触媒21上流の空燃比と前記触媒21下流の空燃比とが
ストイキよりリーン側で略同一となるときの前記触媒2
1の酸素保持量を全酸素保持量OSCzとして記憶する
手段を有し、前記反応速度を、この全酸素保持量、前記
触媒21に流入する排気の過剰酸素濃度および現在の前
記触媒酸素保持量に基づいて演算する。
触媒21下流の空燃比を検出する手段を有し、この手段
により検出される前記触媒21下流の空燃比がストイキ
からリーンに変化したときの前記触媒酸素保持量で前記
記憶手段に記憶されている最大有効酸素保持量OSCy
を更新するとともに、この更新された最大有効酸素保持
量OSCyに基づいて前記全酸素保持量OSCzを推定
し、この推定された全酸素保持量OSCzで前記記憶手
段に記憶されている全酸素保持量を更新する。
不成立時かつ触媒下流の排気空燃比がリーンであると
き、触媒にゆっくりと吸収される遅反応酸素吸収量を演
算しないのでは、この遅反応酸素吸収量の分のエラーが
触媒酸素保持量に生じてしまうのであるが、第1の発明
によれば、触媒にゆっくり吸収される所定時間当たりの
遅反応酸素吸収量を積算して最大有効酸素保持量を超え
る触媒酸素保持量を演算するようにしたので、燃料カッ
ト後に触媒酸素保持量を最大有効酸素保持量以内へと収
める空燃比制御に戻ったときにエラーが生じるのを防止
できる。
媒に遅反応酸素が吸収された場合において、再び触媒酸
素保持量を最大有効酸素保持量以内へと収める空燃比制
御に戻すときに、触媒酸素保持量を素早く最大有効酸素
保持量以内へと収めることができる。
へと収める空燃比制御中に触媒下流の空燃比がリーンに
なる原因は、触媒の劣化による最大有効酸素保持量(空
燃比制御範囲の上限である)の低下に伴って、触媒酸素
保持量が空燃比制御範囲の上限を外れる制御エラーであ
る。第3の発明によれば、こうした触媒の劣化に伴う制
御エラーに対処できる。
へと収める空燃比制御中に触媒下流の空燃比がリッチに
なる原因は触媒酸素保持量の演算に伴うエラーである。
第4の発明によれば、こうした触媒酸素保持量の演算エ
ラーに対処できる。
素量は、所定時間当たりにエンジンが吸入した空気量と
その間に供給された燃料量とから計算によって推定する
ことも可能であるが、推定値には様々な外乱による誤差
が含まれる可能性がある。第5の発明によれば、実際に
触媒に流入する排気の空燃比を検出して過不足酸素量を
算出するので、正確な触媒酸素保持量を演算することが
できる。
出可能な空燃比の範囲が決まっており、この範囲を越え
て空燃比がリーンあるいはリッチになった場合に、正確
な空燃比の検出を行うことができない。しかしながら、
通常運転での検出に要求される空燃比の範囲をカバーす
るようにセンサの検出可能範囲を設定するのが一般的
で、この範囲を超える空燃比となるのは、燃料カット時
等の特別な運転状態に限られる。したがって、第6の発
明のように、広域空燃比センサが、検出可能範囲外の空
燃比を示したり、検出可能範囲外の空燃比となることが
予め予想される運転状態となったりしたときに、過不足
酸素濃度を所定値(たとえば、燃料カット時であれば大
気相当の値)とすることで、要求空燃比をカバーするだ
けの広域空燃比センサであっても、燃料カット時の過不
足酸素濃度を求めることができる。また、燃料カット時
の空燃比をも検出可能とするセンサを設けたのではセン
サが高価になり、コストの上昇を招くことになるが、第
6の発明の広域空燃比センサによれば、要求空燃比だけ
をカバーすれば足りるので、こうしたコストの上昇を招
くこともない。
りの遅反応酸素吸収量を演算する際に、触媒下流の空燃
比を知る必要がないので、触媒下流のセンサをO2セン
サにすることが可能となり、コスト的に有利になる。
量と全酸素保持量の間には一定の関係があることを実験
により見い出しており、第9の発明によれば、この関係
を用いることで、触媒の劣化に対応した全酸素保持量の
推定が可能となった。
で、その吸気通路8には吸気絞り弁5の下流に位置して
燃料噴射弁7が設けられ、コントロールユニット2から
の噴射信号により運転条件に応じて所定の空燃比となる
ように、吸気中に燃料を噴射供給する。コントロールユ
ニット2にはクランク角センサ4からの回転数信号、エ
アフローメータ6からの吸入空気量信号、水温センサ1
1からの冷却水温信号等が入力し、これらに基づいて運
転状態を判断しながら、基本空燃比の得られる燃料噴射
量Tpを決定し、これに各種の補正を行って燃料噴射量
Tiを演算し、これを噴射信号に変換することで、燃料
噴射量制御を行う。
の触媒10は、ストイキの運転時に最大の転換効率をも
って、排気中のNOxの還元とHC、COの酸化を行
う。その際、触媒10では、一時的な空燃比のずれから
生じる酸素の過不足を酸素ストレージ能力(酸素保持能
力)により補うことで、触媒雰囲気をストイキに保つ。
酸素濃度−触媒下流の過不足酸素濃度)} の式から求めることができる。
後述する図4で示すように、ストイキでの値を基準のゼ
ロとして、そのときの空燃比を酸素濃度に換算した値で
ある。たとえば、空燃比がリーンのときは、ストイキの
酸素濃度よりも過剰となるので、過不足酸素濃度はプラ
スの値となり、また空燃比がリッチのときはストイキの
酸素濃度よりも不足するので、マイナスの値となるわけ
である。
の空燃比センサ出力に基づき排気の平均空燃比がストイ
キと一致するように空燃比フィードバック制御(以下
「ラムダコントロール」という)が行われるため、触媒
下流の空燃比はほとんどストイキ(一定)であり、この
とき触媒下流の過不足酸素濃度はほぼゼロになる。
るあいだは、上記の数1式において触媒下流の過不足酸
素濃度をゼロとした
は、遅反応酸素吸収を考慮するために触媒下流の過不足
酸素濃度を測定して数1式の計算を行う必要があるの
で、触媒下流に広域空燃比センサが必要になる。
イキだけを検出可能ないわゆるO2センサより高価であ
るため、本実施形態では遅反応酸素吸収量を推定して酸
素保持量の計算を行う。
の制御を、図3のフローチャートにしたがって説明す
る。
の空燃比信号に基づき、コントロールユニット2では、
ラムダコントロール条件(所定の空燃比制御条件)のと
きラムダコントロールを行う。
触媒10上流の排気空燃比の平均値がストイキとなるよ
うに、空燃比フィードバック補正係数αを算出し、この
補正係数αで基本噴射量Tpを補正する制御のことであ
る。
比センサであることから、 比例分=比例ゲイン×ΔA/F 積分分=積分ゲイン×ΣΔA/F/T2 ただし、ΔA/F:空燃比偏差(=実空燃比−ストイ
キ) T2:積分区間(空燃比偏差の正負が反転してからの経
過時間) の式により比例分と積分分とを求め、これらの和をα
(=比例分+積分分)とする一般の比例積分制御を行
う。
なく一定時間毎(たとえば10msec毎)に実行する。
10が活性化しているかどうかをみる。触媒10が活性
化していなれば、触媒10の酸素ストレージ能力が働か
ないので、そのまま今回の処理を終了する。
み、触媒上流の広域空燃比センサ(図では「F−A/F
センサ」で略記)の出力から、排気中の過不足酸素濃度
FO2を図5のテーブルを検索することにより求めて、
これを読み込む。
は、図4に示すように、ストイキでの値を基準のゼロと
してそのときの空燃比を酸素濃度に換算した値である。
したがって、たとえば空燃比がリーンのときは、ストイ
キの酸素濃度よりも過剰となるので、FO2はプラスの
値となり、また空燃比がリッチのときはストイキの酸素
濃度よりも不足するので、マイナスの値となる。
比センサ(図では「A/Fセンサ」で略記)には測定可
能範囲がある。したがって、燃料カット時には測定範囲
外のリーンになってしまうため、燃料カット時の空燃比
(したがって燃料カット時の過不足酸素濃度)を求める
ことができない。しかしながら、混合気を燃焼させると
きの要求空燃比(以下単に要求空燃比という)は決まっ
ており、要求空燃比をカバーするだけの広域空燃比セン
サを用いれば、測定範囲外のリーンは必ず燃料カットの
場合であるので、要求空燃比をカバーするだけの広域空
燃比センサが測定範囲外のリーンを示したとき、そのと
きの過不足酸素濃度FO2を、図示のように大気に対す
る値(すなわち20.9%)とする。図4に示した関係
をテーブルにしたのが図5である。
だけの広域空燃比センサであっても、燃料カット時の過
不足酸素濃度FO2を求めることができることになっ
た。
サ(図では「R−O2センサ」で略記)の出力と所定値
を比較する。O2センサ出力が所定値以上(リッチ)で
あると判定した場合には、触媒酸素保持量がなくなり、
触媒10が触媒下流の空燃比をストイキに保てなくなっ
たと判断し、S4に進んで触媒酸素保持量OSCnをゼ
ロにリセットする。ここで、OSCに添えた「n」は今
回値を表す。これに対して、前回値には「n−1」を付
すことになる。
ときは、S5に進んで今度はO2センサ出力が所定値以
下(リーン)であるかどうかをみる。リーンでない(つ
まり触媒下流の空燃比はストイキ)ときは、触媒上流の
空燃比変動を触媒10が吸収していると判断し、S6に
進む。
ムダコントロールを行っているときと、ラムダコント
ロールを行っていないときの2つの場合があるが、いず
れも触媒下流の空燃比がストイキになっているときであ
る。
ル時間当たり(所定時間当たり)の過不足酸素量であ
り、これを前回値OSCn-1に加算することによって、
触媒下流の空燃比がストイキにある期間の有効酸素保持
量が求まるのである。
ときは、S7に進み、ラムダコントロール(図では「λ
コン」で略記)をしているかどうかをみる。ラムダコン
トロール条件は従来と同じで、触媒上流の広域空燃比セ
ンサ3が活性化していること等が成立したとき、ラムダ
コントロールが開始される。また、燃料カット時やエン
ジン高負荷時にはラムダコントロールがクランプ(停
止)される。
る触媒酸素保持量のフィードバック制御を行っているに
も拘わらず触媒下流の空燃比がリーンを示したとき、触
媒10が劣化して最大有効酸素保持量が減少したと考え
られるので、S5、S7よりS8に進み、前回値OSC
n-1を最大有効酸素保持量OSCyに移す。なお、劣化
の影響が小さいことが予めわかっている場合は、最大有
効酸素保持量OSCyを固定値としてもよい。このよう
な場合も含め、最大有効酸素保持量OSCyの初期値と
しては触媒10と同じ仕様の触媒による実験値を予め記
憶させておくことができる。
の計算の際に必要となる全酸素保持量を算出する。全酸
素保持量は、遅反応による酸素吸収も飽和してしまうと
きの酸素保持量であり、触媒10が保持可能な最大酸素
保持量である。換言すると、触媒10に酸素過剰な排気
を与え続けたときに触媒上流の酸素濃度と触媒下流の酸
素濃度とが同一となる(触媒が過剰酸素の吸収を全く行
わない)ときの酸素保持量が全酸素保持量である。この
全酸素保持量と最大有効酸素保持量OSCyの比が触媒
の劣化に応じてどうなるかを実験してみたところ、触媒
10が劣化しても両者の比が変わらない(つまり触媒1
0の劣化によりOSCyが小さくなれば、全酸素保持量
もそれに比例して小さくなる)ことを確認した。したが
って、
で決まる値である。また、最大有効酸素保持量OSCy
と全酸素保持量OSCzとはエンジン停止後もその値が
消失しないようにバックアップする。つまり、OSCy
およびOSCzは学習値として構成する。
ールをしていないときとは、燃料カットの場合である。
この場合には、触媒が反応の遅い酸素吸収を行っている
と判断し、S10で酸素吸収の反応速度を考慮して触媒
酸素保持量OSCnを更新する。
反応は過剰酸素濃度([O2])に比例し、酸素を吸収
する物質の量([R])すなわち全酸素保持量OSCz
と触媒酸素保持量との差に比例し、現在の触媒酸素保持
量([RO2])に反比例する。そのため、反応速度k
は
いて、
ル時間当たりの遅反応酸素吸収量である。この演算サイ
クル当たりの遅反応酸素吸収量をも触媒酸素保持量とし
て足し込むことで、触媒下流の空燃比がリーンを示す期
間も最大有効酸素保持量OSCyを超える触媒酸素保持
量を演算するのである。
かどうかを再びみる。ラムダコントロールをしていれ
ば、S12以降のPID制御に進み、ラムダコントロー
ルをしていないときは、S12以降を飛ばす。つまり、
触媒酸素保持量OSCnの演算は、触媒の活性後であれ
ば常時行い、演算した触媒酸素保持量OSCnを目標値
と一致させるフィードバック制御(触媒酸素保持量を最
大有効酸素保持量以内へと収める空燃比制御)は、ラム
ダコントロールを行っている場合に限っている。
媒酸素保持量の目標値(最大有効酸素保持量OSCyの
1/2)との差(偏差)OSCsnを
反転してからの経過時間) t:演算サイクル時間(10msec) の式よりフィードバック量の比例分Hp、積分分Hiお
よび微分分Hdをそれぞれ演算し、これらを合わせた値
をS16において燃料補正量H(フィードバック量)と
して今回の図3の処理を終了する。
い、図示しないフローにおいて、たとえば、
Iが計算される。そして、気筒毎にエンジン2回転に1
回、所定の噴射タイミングでTiの時間、燃料噴射弁7
が開かれ、燃料が吸気管内に噴射供給される。
α、Tsは従来と同じである。たとえば、燃料カット時
にα=1.0に、ラムダコントロール時にTFBYA=
1.0になる。Tsはバッテリ電圧に応じた噴射パルス
幅の補正分である。
すモデル図を用いて説明する。
かを示したものである。
として周期的に変動するラムダコントロール時に、触媒
酸素保持量OSCnが目標値(=OSCy/2)と一致
するようにフィードバック制御を行ったとき、上限値を
最大有効酸素保持量OSCy、下限値を0とするフィー
ドバック制御範囲内で触媒酸素保持量OSCnが図示の
ように目標値を中心にして変動する。
制御中であれば、触媒酸素保持量OSCnが上限の最大
有効酸素保持量OSCyを超えることはないのである
が、触媒10が劣化してくると、酸素ストレージ能力の
低下により最大有効酸素保持量OSCyが低下してくる
ため、触媒酸素保持量OSCnが最大有効酸素保持量O
SCyを超える(つまり触媒下流の空燃比がリーンにな
る)事態が生じる。これは、目標値を最大有効酸素保持
量OSCyの1/2に設定していることから、触媒劣化
に伴う最大有効酸素保持量OSCyの低下により、目標
値より上側のフィードバック制御範囲が実質的に狭くな
るためである。
算タイミングt1を今回の演算タイミングとすると、こ
のとき本実施形態によれば、前回の演算タイミングでの
触媒酸素保持量(これは今回の演算タイミングでの触媒
酸素保持量より小さい)がOSCyとして新たに学習さ
れるので、OSCyは図示のようにt1のタイミングで
学習前の値より小さくなる。この小さくなる側へのOS
Cyの更新により、触媒酸素保持量の目標値も小さくな
る(破線参照)。つまり、触媒の劣化により触媒下流の
空燃比がリーンを示すことになるタイミング毎に最大有
効酸素保持量OSCyの設定のし直しを行うことで、劣
化状態での触媒の最大有効酸素保持量OSCyの真ん中
に常に目標値があるようにしているわけで、これによっ
て、触媒が劣化したときの対応を可能としている。
ィードバック制御中に、触媒酸素保持量OSCnがマイ
ナスとなる(つまり触媒下流の空燃比がリッチになる)
事態が考えられる。このときは、触媒酸素保持量OSC
nがゼロにリセットされ、演算のやり直しが行われる。
量のフィードバック制御中に〈1〉S3よりS4に進む
場合、〈2〉S7よりS8に進む場合は、触媒酸素保持
量OSCnがフィードバック制御範囲を外れる場合であ
る。このうち、〈1〉は演算に誤りがあった場合である
のに対して、〈2〉は演算の誤りがあった場合ではなく
触媒の劣化に伴うものである。
持量のフィードバック制御の途中で燃料カットが行われ
たときにどうなるかを示したものである。
ットが行われたとすると、t2のタイミングからt4ま
での期間は、ラムダコントロールが行われていないけれ
ども触媒下流の空燃比がストイキに保たれる期間であ
り、この期間でも図3でいえば、S5よりS6に進むこ
とから、触媒酸素保持量OSCnが増加してゆく。
タイミングで最大有効酸素保持量OSCyとなった後
は、図3でいえばS7よりS10に進むため、全酸素保
持量OSCzに向かってさらに上昇する。t4からt3
までの期間では、触媒に吸収される遅反応酸素吸収量を
加えていっているわけである。
媒酸素保持量のフィードバック制御に復帰させるにして
も、触媒酸素保持量にエラーが生じることはない。
と判定している期間、触媒に吸収される遅反応酸素保持
量を演算しない従来装置では、この遅反応酸素保持量の
分のエラーが触媒酸素保持量に生じてしまう。
効酸素保持量を超える酸素を保持している状態から再び
触媒酸素保持量のフィードバック制御に復帰させるとき
には、触媒の酸素保持量を速やかに最大有効酸素保持量
以内に戻すことが望ましい。すなわち、触媒酸素保持量
のフィードバック制御が再開されれば通常の制御によっ
ても触媒酸素保持量が最大有効酸素保持量以下の目標値
に近づくよう空燃比がリッチ化されるのであるが、リッ
チ化の程度が小さい場合は、外乱等で一時的に空燃比が
リーンになることもあり、触媒酸素保持量が最大有効酸
素保持量以下に戻されるまでの間に酸素過剰な排気が触
媒に流入すると、この間の触媒は触媒雰囲気をストイキ
に保つことができず、排気エミッションが悪化する。
に限っては、通常時のフィードバックゲインに代えて、
空燃比を大きくリッチ化する特別なゲインを用いること
が考えられる。これによって、燃料カット後に、再び触
媒酸素保持量のフィードバック制御に復帰させるときに
おいても、通常時のゲインを用いる場合(図7のB参
照)に比べ、触媒酸素保持量を素早くフィードバック制
御範囲内に戻すことができることになる(図7のA参
照)。
トロールを行いつつ、触媒酸素保持量を目標値と一致さ
せるフィードバック制御を行う場合に、触媒下流の空燃
比がリーンを示すまでは、従来装置と同様に触媒上流の
空燃比に基づいて触媒酸素保持量を演算し、かつ触媒下
流の空燃比がリーンを示した後は、従来装置と相違し
て、酸素吸収の反応速度を考慮して所定時間当たりの遅
反応酸素吸収量を演算し、この遅反応酸素吸収量を触媒
酸素保持量に加えることにより、燃料カット時の触媒酸
素保持量を正確に演算することを可能として触媒酸素保
持量演算のエラーを減らし、その分排気エミッションを
改善することが可能となった。
媒酸素保持量を目標値と一致させるフィードバック制御
を行うとき、触媒下流の空燃比がストイキに保たれるは
ずであるが、触媒下流の空燃比がリッチになったり、リ
ーンになることがある。このうちリッチになる原因は触
媒酸素保持量の演算に伴うエラーである。このとき、本
実施形態では触媒酸素保持量をゼロにリセットするの
で、こうした触媒酸素保持量の演算エラーに対処でき
る。
よる最大有効酸素保持量(フィードバック制御範囲の上
限)の低下で、目標値から上のフィードバック制御範囲
が実質的に狭くなり、触媒酸素保持量がフィードバック
制御範囲の上限を外れる制御エラーである。本実施形態
ではこのときの触媒酸素保持量を最大有効酸素保持量O
SCyとして学習するので、こうした触媒の劣化に伴う
制御エラーにも対処できる。
きの反応速度と排気流量とに基づいて所定時間当たりの
遅反応酸素吸収量を演算するので、所定時間当たりの遅
反応酸素吸収量を演算する際に、触媒下流の空燃比を知
る必要がなく、これによって触媒下流のセンサをO2セ
ンサにすることが可能となり、コスト的に有利になる。
また、触媒の劣化に関係なく、最大有効酸素保持量と
全酸素保持量の間には一定の関係があることを実験によ
り見い出しており、この関係を用いることで、触媒の劣
化に対応した全酸素保持量の推定が可能となっている。
の空燃比は、所定の振幅で振れた方が転換効率がよいこ
とが知られている。ところが、触媒酸素保持量を目標値
と一致させるフィードバック制御を行ったとき、触媒雰
囲気の空燃比がストイキ(一定値)に保たれるので、却
って転換効率を低下させることになる。
ーメータ出力にバラツキがあることや制御系の遅れを避
けることができないため、触媒雰囲気の空燃比は所定の
振幅で振れるのであり、したがって実用上、問題はな
い。また、制御で触媒雰囲気の空燃比を振らすことはも
ちろん可能である。
ときの触媒前後の空燃比の測定結果を示す波形図。
ードバック制御を説明するためのフローチャート。
を示す特性図。
に劣化を生じたときのモデル図。
燃料カットが行われたときのモデル図。
Claims (9)
- 【請求項1】エンジンの排気通路に配設された酸素保持
能力を有する触媒と、 この触媒下流の排気空燃比がストイキからリーンに変化
するときの前記触媒の酸素保持量を最大有効酸素保持量
として記憶する手段と、 前記触媒下流の排気空燃比がストイキの近傍であると
き、この触媒に流入する所定時間当たりの過不足酸素量
を積算した値を触媒酸素保持量として演算する手段と、 所定の空燃比制御条件の不成立時かつ前記触媒下流の排
気空燃比がリーンであるとき、前記触媒にゆっくり吸収
される所定時間当たりの遅反応酸素吸収量を積算して前
記最大有効酸素保持量を超える触媒酸素保持量を演算す
る手段と、 前記空燃比制御条件の成立時に、そのときの前記触媒酸
素保持量が前記最大有効酸素保持量以内となるようにエ
ンジンの空燃比を制御する手段とを有することを特徴と
するエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項2】前記空燃比制御条件の不成立時かつ前記触
媒下流の排気空燃比がリーンである状態から前記空燃比
制御条件の成立時への移行時に、少なくとも前記触媒酸
素保持量が前記最大有効酸素保持量以内となるまでの
間、前記空燃比制御手段による空燃比のリッチ化度合い
を通常時のリッチ化の度合いよりも大きくすることを特
徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項3】前記触媒下流の排気空燃比を検出する手段
を有し、この手段により検出される前記触媒下流の排気
空燃比がストイキからリーンに変化したときの前記触媒
酸素保持量で前記記憶手段に記憶されている最大有効酸
素保持量を更新することを特徴とする請求項1に記載の
エンジンの排気浄化装置。 - 【請求項4】前記触媒下流の排気空燃比を検出する手段
を有し、この手段により検出される前記触媒下流の排気
空燃比がリッチであるとき前記触媒酸素保持量をゼロに
リセットすることを特徴とする請求項1に記載のエンジ
ンの排気浄化装置。 - 【請求項5】前記触媒上流の排気空燃比を検出可能な広
域空燃比センサを有し、このセンサにより検出される前
記触媒上流の排気空燃比と排気流量とに基づいて所定時
間当たりの前記過不足酸素量を演算することを特徴とす
る請求項1に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項6】前記触媒上流の排気空燃比が前記センサの
検出可能範囲を超えるリーンであるとき、予め定められ
た酸素濃度と排気流量とに基づいて所定時間当たりの前
記過不足酸素量を演算することを特徴とする請求項5に
記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項7】触媒に酸素がゆっくり吸収されるときの反
応速度を演算する手段を有し、この手段により演算され
る反応速度と触媒に流入する過不足酸素量とに基づいて
所定時間当たりの前記遅反応酸素吸収量を演算すること
を特徴とする請求項1に記載のエンジンの排気浄化装
置。 - 【請求項8】前記触媒上流の空燃比と前記触媒下流の空
燃比とがストイキよりリーン側で略同一となるときの前
記触媒の酸素保持量を全酸素保持量として記憶する手段
を有し、前記反応速度を、この全酸素保持量、前記触媒
に流入する排気の過剰酸素濃度および現在の前記触媒酸
素保持量に基づいて演算することを特徴とする請求項7
に記載のエンジンの排気浄化装置。 - 【請求項9】前記触媒下流の空燃比を検出する手段を有
し、この手段により検出される前記触媒下流の空燃比が
ストイキからリーンに変化したときの前記触媒酸素保持
量で前記記憶手段に記憶されている最大有効酸素保持量
を更新するとともに、この更新された最大有効酸素保持
量に基づいて前記全酸素保持量を推定し、この推定され
た全酸素保持量で前記記憶手段に記憶されている全酸素
保持量を更新することを特徴とする請求項7に記載のエ
ンジンの排気浄化装置。
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