JP2000120361A - 衝撃装置、衝撃切削機、及びその制御方法 - Google Patents

衝撃装置、衝撃切削機、及びその制御方法

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JP2000120361A JP10290972A JP29097298A JP2000120361A JP 2000120361 A JP2000120361 A JP 2000120361A JP 10290972 A JP10290972 A JP 10290972A JP 29097298 A JP29097298 A JP 29097298A JP 2000120361 A JP2000120361 A JP 2000120361A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 さく孔時にビットを回転させることなくさく
孔でき、ロッドの発熱を防止し、ロッド、ビットの損傷
摩耗を少なくし、騒音を低減できる、超磁歪素子による
衝撃作用を利用した衝撃装置を提供する。 【解決手段】 先端にそれぞれチップ33を取付けた複
数本のロッド34を所定間隔で配設したビット部40
と、パルス電圧が印加される励磁コイル3の中央に超磁
歪材4を配置した超磁歪素子5を前記複数本のロッド3
4に対しそれぞれ衝撃を与えるよう複数個設けた衝撃発
生部20とを備える。各ロッド34は、ロッド11、中
間ロッド19を介してそれぞれ対応する各超磁歪素子5
によって独立に衝撃が与えられ、先端のチップ33がそ
れぞれ岩石等を破砕をすることで、ビット部40全面に
亙る破砕を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超磁歪素子による
衝撃作用を利用した衝撃装置、衝撃切削機、及びその制
御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】岩石等にさく孔を行うさく岩機には、油
圧や空圧により作動するピストン打撃機構でシャンクロ
ッドを打撃して衝撃波を発生させる油圧式や空圧式のさ
く岩機があった。発生した衝撃波はシャンクロッドから
ねじ継ぎ手で接続されるロッドを通してロッド先端に取
付けられたビットに伝達される。
【0003】ビットには、図10に示すように、先端に
刃状のチップ101を埋め込んだチゼルビット100
や、図11に示すように、ボタン111を植え込んだボ
タンビット110等があり、打撃により岩石にチップ1
01で刃形の溝102を刻むか、ボタン111の貫入で
クレータ112を発生させる。円形の孔をさく孔するに
は、チップ101やボタン111の位置が変わるように
回転機構によってロッドを回転させ、連続した溝や連続
したクレータを形成させて行く必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような打撃機構と
回転機構とを備えたさく岩機では、打撃によりビット全
体を岩石に貫入させるためピストンで強大を打撃を加え
るのでロッド、ビットの損傷が大きく、急速に往復動す
るピストン打撃機構自体の損傷と摩耗も大きい。ロッド
のねじは衝撃波の通過とロッドの回転により緩んだり締
まったりを繰り返し、このねじの部分で多くのエネルギ
ーの損失を生じて発熱を引き起こす。先端のチップやボ
タンが岩石に食い込んだビットを回転させるので、チッ
プやボタンの摩耗も避け難い。打撃によるロッドからの
騒音の発生も大きい。
【0005】本発明は、さく岩機におけるにおけるかか
る問題を解決するため、さく孔時にビットを回転させる
ことなくさく孔できるようにすることで、複雑な回転機
構とその制御を不要とし、打撃と回転を同時に伝達する
ために生ずるロッドのねじ部の激しい発熱を防止し、ビ
ット全体を岩石に貫入させるためピストンで強大を打撃
を加えることによるロッド、ビットの損傷、急速に往復
動するピストン打撃機構自体の損傷と摩耗をなくし、ビ
ットの摩耗を少なくし、騒音を低減することのできる、
超磁歪素子による衝撃作用を利用した衝撃装置を提供す
ることを目的とする。
【0006】また、本発明は、超磁歪素子による衝撃作
用を利用した衝撃装置を装着した切削機を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の衝撃装置は、先
端にそれぞれチップを取付けた複数本のロッドを所定間
隔で配設したビット部と、パルス電圧が印加される励磁
コイルの中央に超磁歪材を配置した超磁歪素子を前記複
数本のロッドに対しそれぞれ衝撃を与えるよう複数個設
けた衝撃発生部とを備えている。各ロッドは、それぞれ
対応する各超磁歪素子によって独立に衝撃が与えられ、
先端のチップがそれぞれ岩石等を破砕をすることで、ビ
ット部全面に亙る破砕を行う。
【0008】この衝撃装置は、ロッドにねじの部分がな
く相対的運動を生じないので、ねじの部分でのエネルギ
ーの損失を皆無にできる。ピストン打撃機構、回転機構
等の可動部分はなく、複雑な回転機構とその制御が不要
で、ビット全体を岩石に貫入させるためピストンで強大
を打撃を加えることによるロッド、ビットの損傷、急速
に往復動するピストン打撃機構自体の損傷と摩耗もなく
なる。ビットの激しい摩耗を避けることができ、騒音が
低く静粛である。
【0009】衝撃発生部は、複数個の超磁歪素子を仕切
り板を介して前後に配置した多層構造にすることによ
り、小径化することができ、ロッドを湾曲させる必要が
なくなる。
【0010】衝撃発生部とビット部との間に、複数本の
中間ロッドをリテーナによってロッドケーシング内に保
持する中間ロッド部を連結すると、さく岩機として任意
長のさく孔を行うことができるようになる。
【0011】少なくとも1本のロッドを、磁歪素子又は
超磁歪素子を検出手段とする力センサとすると、ビット
部先端の負荷を瞬時に検出でき、衝撃力や推力を制御し
て空打ちを防止することができる。
【0012】ビット部を横断面が細長い長方形となるよ
うに形成すると、細長い溝状にさく孔でき、硬岩のトン
ネル断面の輪郭に沿って自由面を設けて無発破掘削を行
うために利用できる。
【0013】複数個の超磁歪素子の励磁コイルへの励磁
電流の供給を制御することにより、複数本のロッドに所
定順序で衝撃を与えると、ビット部全面に亙り効果的に
破砕を行うことができる。
【0014】この衝撃装置を、ブームを備えた台車のブ
ーム先端部に装着すれば、衝撃切削機とすることができ
る。この衝撃切削機は、衝撃装置をブームによって岩盤
に押しつけて直接岩盤を掘削する自由断面掘削機や、あ
るいは、はつり機として使用される。
【0015】衝撃装置のロッドを複数のブロックに分割
し、各ブロック毎に少なくとも1本のロッドを力センサ
とすると、ブロック毎のビット部先端の負荷を瞬時に検
出できる。
【0016】力センサにより検出された荷重が所定値よ
り小さいとき、この力センサの属するブロックのロッド
に衝撃を与える超磁歪素子の励磁コイルへの励磁電流を
減少又は遮断すれば、ブロック毎に衝撃力を制御して空
打ちを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
る衝撃装置の構成を示す部分縦断面図、図2はリテーナ
の平面図、図3及び図4はビット部前面のチップ配置の
説明図、図5はビット部を断面が細長い長方形となるよ
うに形成した衝撃装置の斜視図、図6は衝撃切削機の側
面図、図7は本発明の他の実施の形態である衝撃発生部
を多層構造とした衝撃装置の縦断面図、図8は図7の衝
撃装置の超磁歪素子の配置の説明図、図9はビット部前
面のブロック区分と力センサの配置の説明図である。
【0018】図1に示す衝撃装置10は、前端にビット
部40、後端に衝撃発生部20を備えており、ビット部
40と衝撃発生部20との間には中間ロッド部30が連
結されている。
【0019】衝撃発生部20のシリンダ1には複数のコ
イル室2が穿設されている。各コイル室2にはパルス電
圧が印加される励磁コイル3が挿入され、この励磁コイ
ル3の中央に超磁歪材4が配置されて、衝撃波を発生す
る超磁歪素子5が構成されている。シリンダ1の前後端
にはフロントリング6と反力受板7とが設けられてい
る。フロントリング6の前方にはフロントヘッド8が固
定されており、フロントヘッド8の前端には、フロント
カバー9が嵌着されている。
【0020】フロントヘッド8内には、超磁歪素子5に
よって衝撃が与えられる複数本の小径のロッド11が収
容されている。ロッド11は、後端がフロントリング6
を貫通して超磁歪材4の前端に密接するように配置され
ており、前端がフロントカバー9から僅かに前方へ突出
した状態で保持されている。フロントカバー9は、硬質
ゴムの如き弾性を持ち、ロッド11よりヤング率が遙に
小さい材質のものが望ましい。
【0021】フロントヘッド8の前端外周にはユニオン
ナット12が設けられており、このユニオンナット12
に中間ロッド部30のロッドケーシング13の後端の雄
ねじ14が螺着される。ロッドケーシング13の前端の
雌ねじ15はビット部40のビットシェル31後端の雄
ねじ32と螺着される。
【0022】ロッドケーシング13の前後端には硬質ゴ
ム製のリテーナ17、18が回転及び前後摺動自在に挿
着されており、複数本の小径の中間ロッド19がリテー
ナ17、18でロッドケーシング13内に保持されてい
る。ロッドケーシング13の内面には、前後にストッパ
21、22が突設されている。前部のリテーナ17は、
後方からロッドケーシング13内に挿入するときストッ
パ22、21を通過できるようにするため、図2に示す
ように、外周部に切欠23が設けられている。後部のリ
テーナ18には切欠はなく、リテーナ18が後部のスト
ッパ22にあたるとそれ以上前進できないようになって
いる。
【0023】中間ロッド19を取付けたリテーナ17、
18の組立体をロッドケーシング13に挿着するときに
は、まず前部のリテーナ17の切欠23がストッパ2
1、22を通過できる位置に合わせてロッドケーシング
13の後方から挿入した後、回転させて、リテーナ17
の後方への抜出しがストッパ22で阻止されるようにす
る。
【0024】後部のリテーナ18には、ピン24が後方
に向けて突設されており、このピン24とフロントカバ
ー9に設けられているピン孔16とを係合し、複数本の
中間ロッド19とフロントヘッド8側のロッド11と
が、それぞれ1対1に対峙するよう位置決めする。
【0025】ビットシェル31内には、後部にゴム等の
弾性体製のブッシュ36が嵌着され、前部にはキャップ
35が螺着されている。このブッシュ36とキャップ3
5を貫通して、先端にチップ33を取付けた複数本の小
径のロッド34がビットシェル31内に所定間隔で配設
されている。キャップ35は、材質がロッド34よりヤ
ング率の小さいのものであることが好ましく、硬質ゴム
あるいは強度と耐摩耗性のあるプラスチックなどのよう
なものが望ましいが、耐摩耗鋳物などのような金属材料
であってもよい。
【0026】ブッシュ36には、ピン37が後方に向け
て突設されており、このピン37とリテーナ17に設け
られているピン孔25とを係合し、複数本の中間ロッド
19とビットシェル31側のロッド34とが、それぞれ
1対1に対峙するよう位置決めする。
【0027】ピン孔25とピン37の位置は、ロッドケ
ーシング13とビットシェル31とを完全に螺合連結し
た状態で、ピン37とピン孔25とを係合して位置決め
したとき、リテーナ17の後方への抜出しがストッパ2
2で阻止される位置となるように設定されている。
【0028】中間ロッド19を取付けたリテーナ17、
18の組立体が後方へ移動できるのは前部のリテーナ1
7がストッパ21に当接する位置までであり、ピン37
はこの位置でピン孔25から抜出さない長さとなってい
るので、中間ロッド19とロッド34との相対位置がず
れることはない。
【0029】中間ロッド19を取付けたリテーナ17、
18の組立体は、後部のリテーナ18の前端がストッパ
22に当たるまで前方へ移動させると、前部のリテーナ
17の前端がロッドケーシング13の前端より僅かに突
出するようになっており、ロッドケーシング13とビッ
トシェル31とを螺着するとき、ピン37とピン孔25
とを係合させる際の視認が容易である。
【0030】ビット部40と中間ロッド部30と衝撃発
生部20とを連結する場合には、先ずビットシェル31
とロッドケーシング13とを螺着し、その後ロッドケー
シング13とフロントヘッド8とを螺着するようにす
る。中間ロッド部30は必要に応じて複数連結すること
ができる。
【0031】最終的にユニオンナット12で十分締めつ
けられると、ロッド11、中間ロッド19、ロッド34
は端面が互いに密接して保持される。
【0032】フロントカバー9、リテーナ18、17、
ブッシュ34、キャップ35には、それぞれ、適切な数
のフラッシング用の孔41、42、43、44、45が
設けられており、空気や水等のフラッシング用の流体が
フロントヘッド8の流体供給口46から供給され、キャ
ップ35の先端から噴出されるようになっている。
【0033】この衝撃装置10をさく岩機として使用す
る場合、適切な推力装置によって岩盤にビット部40の
先端を押しつけると、ロッド11の後端面は超磁歪材4
と密接し、励磁コイル3にパルス電圧が印加されると、
励磁により発生する衝撃波が中間ロッド19、ロッド3
4を経て、チップ33から岩盤に伝えられる。
【0034】超磁歪素子5によって、各々独立に衝撃が
伝達される複数のチップ33の配列とその衝撃発生の順
序は、従来の打撃式さく岩機によるさく孔の際のビット
先端の挙動に準じて決定される。
【0035】例えば、図11に示すような9個のボタン
111を有するボタンビット110で径50mm程度の
さく孔を行う場合を考えると、最初の打撃で1個のボタ
ン111につき一つのクレータ112が発生する。次に
ビット110の回転によりボタン111の位置が距離M
だけ円周方向に移動し、次の打撃を受けると、前のクレ
ータ112に隣接して新たにクレータ113が形成され
るが、この時隣接する新旧クレータ112、113の中
間部も新クレータ113を形成させる時のボタン111
の貫入による剪断作用で岩盤から剥離ささる。
【0036】このように、従来の打撃式さく岩機のビッ
トでは、適切なボタンの配置と一打撃毎の回転角の設定
で、新たな打撃が行われる度に、チップ貫入の際孔底に
平面的に分布する旧いクレータを自由面として、このク
レータの隣接部分が剪断剥離され、さく孔が行われる。
従って、本発明の衝撃装置10における複数のチップ3
3の配置は、新たに打撃されるチップ33が周囲の隣接
するクレータを自由面として利用できるよう、円周方向
にも、径方向にも、互いに従来の打撃式さく岩機の一打
撃ごとのチップの移動量Mに近似した距離Dを隔てて配
置することが望ましく、例えば、図3、図4に示すよう
な配置のものが用いられる。
【0037】各チップ33への衝撃伝達順序は、岩質の
硬軟、励磁コイル3への供給電力の多寡に応じて、図3
に示す内周部I、外周部Oの各チップ33に図上時計回
り方向に順次一個づつ衝撃を与えて行くとか、あるい
は、図4に示すように隣接する数個のチップ33を一群
とするチップブロックB1 〜B6 を構成し、同一ブロッ
クに属していないチップ33を同時に打撃する等、最良
のさく孔性能が得られるものを選択する。
【0038】超磁歪素子5は、磁場のかかった状態で力
を受けると磁界が変化するので、力を検出する機能を持
つ。ビット部40の中央部は、必ずしもチップ33で叩
かなくても、外周部が削られると岩石のような脆い材質
では自然に破壊される。従って、ビット部40の中央に
配置したロッド34Cは、破壊用に使うのでなく、力セ
ンサ38として利用できる。このロッド34Cは、検出
専用であるから先端のチップ33は必ずしも必要ではな
く、ロッド径、超磁歪素子5の径、性能も衝撃発生用よ
りは小さいもので十分である。超磁歪素子5でなく磁歪
素子でもよい。
【0039】衝撃装置10に与えられる推力が弱いと、
チップ33の先端は空打ち状態となり、リテーナ17、
18、キャップ35等でこの衝撃を受けることになる
が、これは好ましいことではない。そこで、推力の低下
を検出し、励磁コイル3の電流を低下させて衝撃力を弱
めたり、推力を大きくしたり、場合によっては電源を停
止して空打ちを止めることが必要である。
【0040】推力低下を検出するのに、例えば、推力装
置に使われる油圧の変化などを利用すると、検出の応答
に遅れがあり急激なチップ33先端の荷重の変化には対
応できない。また、ストレンゲージを利用した荷重セン
サーでは耐火性に難点がある。ロッド34Cを力センサ
38とすると、耐久性が大きく、且つ瞬時にチップ33
先端の負荷の変化を検出し推力を制御できるので、空打
ちを容易に防止することができる。
【0041】この衝撃装置10では、衝撃発生部20と
中間ロッド部30とビット部40とをそれぞれ連結し、
超磁歪素子5からフロント8内のロッド11と中間ロッ
ド19とビット部のロッド34とを介してチップ33に
衝撃を伝達しているが、本発明の衝撃装置は継ぎ目のな
い1本のロッドを用いた一体型とすることができ、ま
た、2本のロッドを用いて衝撃発生部20と中間ロッド
部30との間だけ、または中間ロッド部30とビット部
40との間だけが分割されるようにすることもできる。
【0042】本発明の衝撃装置は無回転であるから、さ
く孔の断面は円形に限定されず、ビット部40の形状を
変えることで任意の形状の孔を掘削することができる。
例えば、図5の衝撃装置50のように、ビット部40を
横断面が細長い長方形となるように形成すると、断面長
方形の溝状の孔を掘削できるので、硬岩に無発破でトン
ネルを掘進するためのスロットドリルとしても使用でき
る。
【0043】シリンダ1は、従来の油圧で作動するさく
岩機のように機械的強度や高い加工精度を必要としな
い。制振合金とか防音、振動吸収能力のある高分子化合
物を使ってシリンダ1を作れば、ロッド11はフロント
ヘッド8で覆われているので、より静粛な衝撃装置が得
られる。
【0044】図6に示すように、中間ロッド部30を設
けず、衝撃発生部20とビット部40とを直結し、断面
形状を大きい円形や長方形等の任意形状とした衝撃装置
60を、ブーム61を備えた自走する台車62のブーム
61の先端部に装着すると衝撃切削機63が構成され
る。衝撃切削機63は、衝撃装置60をブーム61によ
って岩盤に押しつけて直接岩盤を掘削する自由断面掘削
機や、あるいは、はつり機として使用される。
【0045】この場合、シリンダ1は多数の超磁歪素子
5を収納しなければならないので、かなり大径となる。
ビット部40の径に対してシリンダ1の径が過大になる
と小径のロッド11をかなり湾曲させてビット部40へ
誘導しなければならず、ロッド11の強度上問題が生ず
る。また、トンネルの断面の隅角部を掘削するときは、
トンネルの側面に衝撃発生部20が干渉して掘削が困難
となる。
【0046】この場合には、衝撃発生部20を多層構造
とのが好ましい。図7に示す衝撃発生装置70では、衝
撃発生部20がシリンダ71、72、73、74を仕切
り板75、76、77を介して前後方向に連結した4層
構造となっており、前端のシリンダ71と2層目のシリ
ンダ72には、図8に示すように、外側の超磁歪素子5
1、52が円周に沿って交互に配置されている。また、
3層目のシリンダ73と後端のシリンダ74には内側の
超磁歪素子53、54とが交互に配置されている。この
ように配置することで、超磁歪素子51、52、53、
54同志が干渉することなく衝撃発生部20の径を小さ
くすることができる。
【0047】なお、前端のシリンダ71の中央には力の
検出手段である磁歪素子55が配置されている。
【0048】大径のビット部40で岩盤の掘削やはつり
を行うとき、岩盤の凹凸により前面が均一に当たること
は少なく、一部のみ当たっているときの方が多い。この
とき、岩盤に当たっていないところにも当たっていると
ころと同じように衝撃を与えると、当たっていないとこ
ろは空打ち状態となるので好ましくない。
【0049】図9に示すように、ビット部40の前面を
いくつかのブロックP1 〜P7 に分割し、各ブロックP
1 〜P7 に少なくとも1本のロッドを力センサ38とし
て配置し各部分P1 〜P7 毎の荷重を検出し、空打ちぎ
みの部分の電源を遮断するようにすれば、部分的な空打
ちを防止することができる。この力センサ38は、検出
専用であるから先端のチップ33は必ずしも必要ではな
く、ロッド径、検出手段である超磁歪素子5の径、性能
も衝撃発生用よりは小さいもので十分である。検出手段
は超磁歪素子5でなく磁歪素子55でよい。
【0050】横方向に切り広げる掘削に便利なようにビ
ット部40の前面を球面とする場合にも、力センサ38
は側方の部分にかかる側圧を検出して、必要な部分に対
応する超磁歪素子5の励磁コイル4にのみ電流を供給す
ることができる。
【0051】切削中の粉塵の発生を予防するための注水
は、図1のものと同様でもよいが、先端に噴射ノズル3
9の付いた小径の高圧パイプを直接ビット部40に挿入
し、直接ビット部40の前面に噴射ノズル39をチップ
33と干渉しない位置に配置して高圧水を噴出させれ
ば、粉塵の発生を抑制するだけでなく切削効率を向上さ
せることができる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の衝撃装置
は、ロッドにねじの部分がなく相対的運動を生じないの
で、ねじの部分でのエネルギーの損失を皆無にできる。
ピストン打撃機構、回転機構等の可動部分はなく、複雑
な回転機構とその制御が不要で、ビット全体を岩石に貫
入させるためピストンで強大を打撃を加えることによる
ロッド、ビットの損傷、急速に往復動するピストン打撃
機構自体の損傷と摩耗もなくなる。ビットの激しい摩耗
を避けることができ、騒音が低く静粛である。
【0053】衝撃発生部は、複数個の超磁歪素子を仕切
り板を介して前後に配置した多層構造にすることによ
り、小径化することができ、ロッドを湾曲させる必要が
なくなる。
【0054】衝撃発生部とビット部との間に、複数本の
中間ロッドをリテーナによってロッドケーシング内に保
持する中間ロッド部を連結すると、さく岩機として任意
長のさく孔を行うことができるようになる。
【0055】少なくとも1本のロッドを、磁歪素子又は
超磁歪素子を検出手段とする力センサとすると、ビット
部先端の負荷を瞬時に検出でき、衝撃力や推力を制御し
て空打ちを防止することができる。
【0056】ビット部を横断面が細長い長方形となるよ
うに形成すると、細長い溝状にさく孔でき、硬岩のトン
ネル断面の輪郭に沿って自由面を設けて無発破掘削を行
うために利用できる。
【0057】複数個の超磁歪素子の励磁コイルへの励磁
電流の供給を制御することにより、複数本のロッドに所
定順序で衝撃を与えると、ビット部全面に亙る効果的に
破砕を行うことができる。
【0058】この衝撃装置を、ブームを備えた台車のブ
ーム先端部に装着すれば、衝撃切削機とすることができ
る。この衝撃切削機は、衝撃装置をブームによって岩盤
に押しつけて直接岩盤を掘削する自由断面掘削機や、あ
るいは、はつり機として使用される。
【0059】衝撃装置のロッドを複数のブロックに分割
し、各ブロック毎に少なくとも1本のロッドを力センサ
とすると、ブロック毎のビット部先端の負荷を瞬時に検
出できる。
【0060】力センサにより検出された荷重が所定値よ
り小さいとき、この力センサの属するブロックのロッド
に衝撃を与える超磁歪素子の励磁コイルへの励磁電流を
減少又は遮断すれば、ブロック毎に衝撃力を制御して空
打ちを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である衝撃装置の構成を
示す部分縦断面図である。
【図2】リテーナの平面図である。
【図3】ビット部前面のチップ配置の説明図である。
【図4】ビット部前面のチップ配置の説明図である。
【図5】ビット部を断面が細長い長方形となるように形
成した衝撃装置の斜視図である。
【図6】衝撃切削機の側面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である衝撃発生部を多
層構造とした衝撃装置の縦断面図である。
【図8】図7の衝撃装置の超磁歪素子の配置の説明図で
ある。
【図9】ビット部前面のブロック区分と力センサの配置
の説明図である。
【図10】従来のさく岩機のビット配置の説明図であ
る。
【図11】従来のさく岩機のビット配置の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 シリンダ 2 コイル室 3 励磁コイル 4 超磁歪材 5 超磁歪素子 6 フロントリング 7 反力受板 8 フロントヘッド 9 フロントカバー 10 衝撃装置 11 ロッド 13 ロッドケーシング 17 リテーナ 18 リテーナ 19 中間ロッド 20 衝撃発生部 30 中間ロッド部 31 ビットシエル 33 チップ 34 ロッド 40 ビット部 50 衝撃装置 51 超磁歪素子 52 超磁歪素子 53 超磁歪素子 54 超磁歪素子 55 磁歪素子 60 衝撃装置 61 ブーム 62 台車 63 衝撃切削機 70 衝撃装置 71 シリンダ 72 シリンダ 73 シリンダ 74 シリンダ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先端にそれぞれチップを取付けた複数本
    のロッドを所定間隔で配設したビット部と、パルス電圧
    が印加される励磁コイルの中央に超磁歪材を配置した超
    磁歪素子を前記複数本のロッドに対しそれぞれ衝撃を与
    えるよう複数個設けた衝撃発生部とを備えてなる衝撃装
    置。
  2. 【請求項2】 衝撃発生部が、複数個の超磁歪素子を仕
    切り板を介して前後に配置した多層構造であることを特
    徴とする請求項1記載の衝撃装置。
  3. 【請求項3】 衝撃発生部とビット部との間に、複数本
    の中間ロッドをリテーナでロッドケーシング内に保持す
    る中間ロッド部を連結したことを特徴とする請求項1、
    又は2記載の衝撃装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも1本のロッドを、磁歪素子又
    は超磁歪素子を検出手段とする力センサとしたことを特
    徴とする請求項1、2、又は3記載の衝撃装置。
  5. 【請求項5】 ビット部を横断面が細長い長方形となる
    ように形成したことを特徴とする請求項1、2、3、又
    は4記載の衝撃装置。
  6. 【請求項6】 複数個の超磁歪素子の励磁コイルへの励
    磁電流の供給を制御することにより、複数本のロッドに
    所定順序で衝撃を与えることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、又は5記載の衝撃装置の制御方法。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2記載の衝撃装置を、ブー
    ムを備えた台車のブーム先端部に装着したことを特徴と
    する衝撃切削機。
  8. 【請求項8】 衝撃装置のロッドを複数のブロックに分
    割し、各ブロック毎に少なくとも1本のロッドを力セン
    サとしたことを特徴とする請求項7記載の衝撃切削機。
  9. 【請求項9】 力センサにより検出された荷重が所定値
    より小さいとき、その力センサの属するブロックのロッ
    ドに衝撃を与える超磁歪素子の励磁コイルへの励磁電流
    を減少又は遮断することを特徴とする衝撃切削機の制御
    方法。
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