JP2000119194A - サイトカイン産生促進剤 - Google Patents

サイトカイン産生促進剤

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JP2000119194A
JP2000119194A JP10295279A JP29527998A JP2000119194A JP 2000119194 A JP2000119194 A JP 2000119194A JP 10295279 A JP10295279 A JP 10295279A JP 29527998 A JP29527998 A JP 29527998A JP 2000119194 A JP2000119194 A JP 2000119194A
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fibrin
full
tgf
wound
cytokine production
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JP10295279A
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Inventor
Hiroko Yanaga
博子 矢永
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Sanofi Aventis UK Holdings Ltd
Original Assignee
Aventis Pharma Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイトカインの産生を促進し、生体に安全に
投与できる物質を提供することを目的とする。 【解決手段】 フィブリンからなるサイトカイン産生促
進剤によって上記目的が達成される。上記サイトカイン
産生促進剤は全層皮膚欠損創の治療剤として使用するこ
とができる。サイトカインの例としては、TGF−αま
たはTGF−βがあげられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィブリンからな
るサイトカイン産生剤促進剤に関する。さらに本発明
は、上記サイトカイン産生剤促進剤からなる全層皮膚欠
損創治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】サイトカインは、種々の細胞から分泌さ
れる生理活性をもつ高分子ペプタイドで、抗体のような
特異性をもたないものの総称である。サイトカインは、
生体内で免疫、炎症、造血機構に関与し、その多くは、
直接的あるいは間接的に感染や腫瘍に対する生体防衛機
構において重要な役割をもつことが明らかになっている
(サイトカイン94−基礎から最新情報まで−、1994
年、1〜9頁、株式会社日本医学館発行)。
【0003】他方、フィブリノゲンは凝固系列の末期に
存在する非常に重要な凝固因子である。フィブリノゲン
は例えば損傷後の凝固系の活性化においてトロンビンに
よりその可溶性形態から止血及び創傷治癒に主要な寄与
をする不溶性のフィブリンに変換される。このような生
理的な血液凝固機序の原理を利用した生理的組織接着剤
が市販され、特に組織の接着・閉鎖特に縫合あるいは接
合した組織から血液、体液または体内ガスの漏出をきた
す場合に使用されている。
【0004】商業的に入手できる前記生理的組織接着剤
としては、2成分接着剤がある。そのうち第一成分はフ
ィブリノゲン、第XIII因子およびアプロチニンを含有
し、そして第二成分はトロンビンおよびカルシウムイオ
ンを含有する。通常、第一成分及び第二成分を含む各溶
液を接着・閉鎖部位に重層または混合して適用してい
る。
【0005】この、生理的組織接着剤は外科系各領域で
使用され、熱傷においてその有用性が報告されている
(特開平1−99565公報)。この公報には、乾燥人
フィブリノゲンおよび局方トロンビン等からなるフィブ
リン糊がII度の熱傷に適用可能であり、熱傷面にフィブ
リン糊を塗布することにより熱傷創の上皮化が促進され
ることが記載されている。しかし、このフィブリン糊が
サイトカインの産生を促進する作用を有することについ
ては全く述べられていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】サイトカインは、全身
あるいは局所に投与することによって、臨床的に数多く
の治療効果が得られることが報告されている。一部のサ
イトカインは免疫療法剤あるいは造血剤として臨床上使
用されている。しかし、サイトカインを生体組織や臓器
から単離すること、あるいは遺伝子工学的に高純度で大
量に生産するには多くの困難が伴う。また、サイトカイ
ンはその投与部位に存在するあるいは誘導される別のサ
イトカインと相互に作用し合うなどして、期待する臨床
効果を得るに十分な濃度を維持できない問題が生じる。
そこで、サイトカインの産生を促進および誘導し、また
生体に安全に投与できる物質の探索が必要となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
鑑みて鋭意研究を重ねた結果、本発明のサイトカイン産
生促進剤を見出した。すなわち、上記目的は、 (1) フィブリノゲンおよびトロンビンおよび/または
トロンビン様活性化凝固因子から生成されるフィブリン
からなるサイトカイン産生促進剤により達成される。好
ましい実施態様として以下の(2)から(6)記載の態様を
挙げることができる。 (2) サイトカインがTGF−αおよび/またはTGF
−βである(1)記載のサイトカイン産生促進剤。 (3) (1)に記載のサイトカイン産生促進剤からなる全
層皮膚欠損創治療剤。 (4) 皮膚・軟部組織の悪性腫瘍の切除によってできた
全層皮膚欠損創に適用するための(3)に記載の全層皮膚
欠損創治療剤。 (5) 深部熱傷によってできた全層皮膚欠損創に適用す
るための(3)に記載の全層皮膚欠損創治療剤。 (6) 外傷によってできた全層皮膚欠損創に適用するた
めの(3)に記載の全層皮膚欠損創治療剤。
【0008】好ましい実施態様に記載された、サイトカ
インの一種であるαトランスフォーミング増殖因子(T
GF−α)は、ヒト上皮成長因子(EGF)と構造上、
相同のアミノ酸配列をもち、EGFレセプターに結合す
る成長因子群に含まれる。このTGF−αの生物作用は
各組織、細胞において多岐にわたる。TGF−αは、皮
膚において、角化、上皮細胞の増殖作用を示す。βトラ
ンスフォーミング増殖因子(TGF−β)は血小板に豊
富に存在し、血小板から最初に純化されたが、その後さ
まざまな組織や臓器で作られていることが知られてい
る。TGF−βを局所に投与すると、肉芽形成や血管新
生がみられ、組織の損傷修復が速やかに起こる。
【0009】本発明のサイトカイン産生促進剤は、例え
ば前述のTGF−αやTGF−αの産生を促進、誘導す
ることができサイトカインの薬理効果を示す。他方、筋
・腱・骨などの深部組織が露出した全層皮膚欠損創に対
しては、一時的緊急創被覆を目的とした治療を行った上
で各種の植皮術を追加している例が見られる。しかし、
外界からの刺激や細菌の進入を防御したり、体液等の漏
出を抑制して創面の環境を整える処置を施しているにも
かかわらず、安定した植皮の生着を示さない、あるいは
植皮後の拘縮が多いなどの問題が生じる。本発明のサイ
トカイン産生促進剤は、例えば前述の全層皮膚欠損創の
ような局所に投与しても創傷治癒効果を示す。
【0010】本発明のサイトカイン産生促進剤は、例え
ば、フィブリノゲンを含有する溶液に生理学的因子であ
るトロンビンを含有する溶液を作用させてフィブリンを
生成させることにより得られる。この糊状の組成物を全
層皮膚欠損創面あるいはメッシュ植皮した植皮面に塗布
または噴霧して使用できる。また、前記両溶液を別々に
創面に塗布または噴霧してもよい。より具体的には、本
発明のサイトカイン産生促進剤は、特開昭56−152
641号公報記載の装置によって欠損創面あるいは植皮
面に適用可能であるが、フィブリノゲンがトロンビンま
たはトロンビン様活性化凝固因子によって凝固反応が始
まった直後に適用することが肝要である。また、創によ
っては、欠損創表面で凝固反応が始まるように各成分を
別々に塗布あるいは噴霧してもよい。
【0011】前述のフィブリンへの変換は、フィビリノ
ゲンに2価のカルシウムイオンの存在下でトロンビンま
たはトロンビン様活性化凝固因子をフィブリノゲンに作
用させることにより行われるが、トロンビン様活性化凝
固因子としては、バトロキソビンが使用され得る。バト
ロキソビンはBothrops atrox蛇毒由来のセリンプロテア
ーゼで、分子量約36000の直鎖糖タンパクで、炭水
化物の含量は約5%であり、N−末端アミノ酸はバリン
で、その主要構成アミノ酸はアスパラギン酸である。バ
トロキソビンは、トロンビン様活性化凝固因子で、37
℃で、標準ヒトクエン酸加血漿にバトロキソビン溶液を
加えるとき、凝固させる活性を有する。
【0012】本発明のサイトカイン産生促進剤を生成す
る際には、所望によりフィブリノゲンにアプロチニンお
よび人血液凝固第XIII因子を加えてもよい。より具体的
には、繊維タンパク質である人フィブリノゲンを含有す
る液に、トロンビンおよび塩化カルシウムを含む液を加
えてフィブリノゲンをフィブリンに変換させる場合、5
0〜150mg/ml、より好ましくは70〜90mg/mlの
人フィブリノゲンを含有した溶液1mlに対し、0.1〜
500単位、好ましくは200〜400単位のトロンビ
ンおよび1〜50mg/mlの塩化カルシウムを溶解した2
価のカルシウムイオンを有する溶液1mlを添加すること
により容易にフィブリンが得られる。本発明のサイトカ
イン産生促進剤を、例えば全層皮膚欠損創に適用する際
の創面積当たりの使用量は、フィブリンの使用量として
1mg/cm2〜100mg/cm2、好ましくは5mg/cm2〜5
0mg/cm2である。
【0013】フィブリノゲンからフィブリンを生成させ
る際に、血液凝固第XIII因子および(または)アプロチ
ニンを存在させることにより、フィブリンの物理的強度
および生体内分解に対する抵抗性を強化することができ
サイトカイン産生の促進、誘導に好ましい。血液凝固第
XIII因子は、フィブリノリガーゼ、血漿トランスグルタ
ミナーゼとも呼ばれ、物理的に強固なフィブリン形成に
かかわるものであり、さらにα2プラスミンインヒビタ
ーやフィブロネクチンをフィブリンと架橋結合させるこ
とで、生体内の線溶系酵素からフィブリンの生分解を防
御し、サイトカインの産生、誘導に好ましい。アプロチ
ニンは、例えばフィブリンを80mg/ml含有したもの1
mlに対して20〜2000カリクレイン不活化単位(K
IE)、好ましくは500〜1500KIEを添加す
る。本発明のサイトカイン産生促進剤として用いられる
フィブリンを生成するためのフィブリノゲンとして、特
公平6−94419号公報に記載されている低温殺菌さ
れた人フィブリノゲンが好適に使用される。
【0014】
【実施例】実験例 培地中の表皮細胞および線維芽細胞に対するフィブリン
(フィブリノゲン製剤(商品名ベリプラストP、ヘキス
ト・マリオン・ルセル社製より)の作用を調べるため
に、フィブリンを添加した培地とフィブリン無添加の培
地について経時的にTGF−αおよびTGF−βの値を
測定した。その結果を図1および図2に示す。前記in v
ivoの試験により、TGF−αおよびTGF−βはいず
れもフィブリンを添加した培地の方が、フィブリンを添
加しなかった培地にくらべ多く産生されていることが明
らかである。
【0015】
【発明の効果】フィブリンを創傷に適用することにより
サイトカインの産生を促進し、全層皮膚欠損創を治療す
ることができる。サイトカインの例としてTGF−αお
よびTGF−βがあげられる。フィブリンに線溶阻止剤
および/または第XIII因子を追加的に含ませることによ
り全層皮膚欠損創の治療効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィブリン添加培地とフィブリン無添加培地と
におけるTGF−αの産生量の相違を示すグラフであ
る。
【図2】フィブリン添加培地とフィブリン無添加培地と
におけるTGF−βの産生量の相違を示すグラフであ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブリンからなるサイトカイン産生促
    進剤。
  2. 【請求項2】 サイトカインがTGF−αおよび/また
    はTGF−βである請求項1のサイトカイン産生促進
    剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のサイトカイン産生促進
    剤からなる全層皮膚欠損創治療剤。
  4. 【請求項4】 皮膚・軟部組織の悪性腫瘍の切除によっ
    てできた全層皮膚欠損創に適用するための請求項3に記
    載の全層皮膚欠損創治療剤。
  5. 【請求項5】 深部熱傷によってできた全層皮膚欠損創
    に適用するための請求項3に記載の全層皮膚欠損創治療
    剤。
  6. 【請求項6】 外傷によってできた全層皮膚欠損創に適
    用するための請求項3に記載の全層皮膚欠損創治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004037280A1 (ja) * 2002-10-23 2004-05-06 Creative Co., Ltd. 血管新生誘導剤

Cited By (2)

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