JP2000113847A - 2次イオン質量分析装置及び2次イオン質量分析方法 - Google Patents

2次イオン質量分析装置及び2次イオン質量分析方法

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JP2000113847A
JP2000113847A JP10283881A JP28388198A JP2000113847A JP 2000113847 A JP2000113847 A JP 2000113847A JP 10283881 A JP10283881 A JP 10283881A JP 28388198 A JP28388198 A JP 28388198A JP 2000113847 A JP2000113847 A JP 2000113847A
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secondary ion
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Noriyuki Kodama
紀行 児玉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2次イオン質量分析時に測定試料間でのイオ
ン透過率を一定にし、高確度で高スループット分析が可
能な2次イオン質量分析装置を提供すること。 【解決手段】 この分析装置では、2次光学系装置の引
き出し電極7と試料4の表面との間の試料4と等電位に
なる位置に取り付けられたフィールドプレート22中央
の開口部分周囲の3箇所に試料4の表面に接触する位置
決め用の所定の構造体としての試料位置決め用ロッド2
3を設けると共に、試料保持台3の試料4が載置される
側の反対側に試料保持台3を可動にするスプリング24
を設けており、これらが協働して試料4の表面の同一直
線上以外に存在する3点の位置で引き出し電極7との間
隔をそれぞれ試料4毎に同じ値になるように試料4の表
面の位置を可変設定し、試料4の傾斜角度と試料4の表
面の分析領域及び引き出し電極7の距離とを試料4毎に
同じ値とする試料位置調整機構を成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として試料物質
中の微量不純物元素の深さ分布を測定する分析装置とし
ての2次イオン質量分析装置に関し、詳しくは試料の表
面の同一直線上以外の複数位置で試料の傾斜角度と試料
の表面の分析領域及び2次光学系装置の距離とを試料毎
に同じ値に調整する2次イオン質量分析装置及び2次イ
オン質量分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の2次イオン質量分析装置
(SIMS)は、様々な分野で幅広く用いられている
が、特に半導体デバイスの開発分野では、シリコン基板
中への不純物拡散の深さ方向分布の測定,イオン注入装
置の不純物注入分布の測定,ドーズ量の合わせ込み測定
等の様々な用途に用いられており、欠くことができない
ものとなっている。
【0003】一般に、2次イオン質量分析装置は、試料
の表面に収束させたイオンを照射して試料からスパッタ
リング現象により放出されたイオンを質量分析するもの
で、そのタイプとして四重極型のレンズを用いてその間
に高周波電圧を印加して特定の質量を持ったイオンのみ
を通過させる四重極型のものと、静電型エネルギー分析
器及び磁場型質量分析器を組み合わせたセクタ型のもの
とが知られている。
【0004】図6は、従来のセクタ型2次イオン質量分
析装置の概略構成を示したもので、同図(a)は全体構
成の側面図に関するもの,同図(b)は同図(a)の要
部の一形態における詳細な拡大側面図に関するもの,同
図(c)は同図(a)の要部の他の形態における詳細な
拡大側面図に関するものである。
【0005】このセクタ型2次イオン質量分析装置は、
1次光学系装置として分析装置本体の局所に配備された
試料保持台3上に保持された試料4の表面に対し、ディ
ユオプラスマトロン等のイオン源1より発生した1次イ
オンをレンズ2を通して収束した上で照射するようにな
っている。このとき、1次イオンはイマジネーションレ
ンズ6の近傍に配備された引き出し電極で加速され、数
段のレンズ2で収束された後、試料4の表面に照射され
る。試料4上ではイオンビームの口径φが数μm〜数百
μm程度の大きさとなるが、試料4のスパッタされる深
さを均一にするため、イオンビームの口径φよりも広い
範囲をラスタ照射する。
【0006】試料4の表面には、数kVの電圧が印加さ
れており、図6(b)に示されるように、試料保持台3
の表面プレート5により保持された試料4の表面から数
mmの距離にあるグランド電位の引き出し電極7(尚、
ここではイマジネーションレンズ6を拡大したものとし
て3段構造のイマジネーションレンズ8を示している)
との間で強い電界が生じている。
【0007】後述するように、この電界の強度が試料保
持台3や試料4の端部(周辺形状)で影響を受けてしま
うため、その影響を抑制するため、最近では図6(c)
に示されるように、試料4の表面の極近傍に試料4と同
電位とするフィールドプレート22を設置し、周辺形状
が電界の強度に与える影響を低減する構成を採用してい
る。
【0008】分析装置本体においては、図6(a)に示
されるように、試料4の表面及び引き出し電極7間の空
間でイオンが加速されて質量分析系側(引き出し電極7
を含む2次光学系装置)へ入射する。ラスタ領域のそれ
ぞれの位置で放出された2次イオンは、イマージョンレ
ンズ6を通過した後、トランスファレンズ9でコントラ
ストダイアフラム10の位置で収束されてフィールドア
パーチャ11で再び結像する。そこで、ラスタ領域の中
心部分のみが次の空間に通過するようにフィールドアパ
ーチャ11の大きさを設定する。引き続いて2次イオン
は、再び収束されて静電型エネルギー分析器12に入射
し、ここでエネルギー分散した像がエネルギースリット
13の位置に形成され、更に再びスペクトロメータレン
ズ14を通して収束されて磁場型質量分析器15に入射
する。これらの静電型エネルギー分析器12及び磁場型
質量分析器15の収差を同じ値としておき、静電型エネ
ルギー分析器12の収差を磁場型質量分析器15の収差
で打ち消すような構成とすることで、高い質量分解能が
得られる。磁場型質量分析器15内では、静磁場が発生
しており、その中を運動する荷電粒子はローレンツ力を
受け、特定の質量/電荷を持った粒子がそれに応じた軌
道半径を持つ。従って、磁場の値を変化させることで、
特定の質量(正確に言えば、特定の質量/電荷)を持っ
た粒子のみを通過させることができる。通過した粒子は
スリット16及びプロジェクタレンズ17を通して収束
されて別の静電型エネルギー分析器18に入射する際、
静電型エネルギー分析器12近傍に配備されたファラデ
ーカップ19又は光電子増倍管20でその数が計測され
る。静電型エネルギー分析器18におけるイオン像は、
スクリーン21上で観察できる。
【0009】2次イオン質量分析装置では、測定される
値が2次イオンのカウント数であり、これを濃度に変換
するためには、既知の不純物濃度を持った試料(標準試
料)に基づいて相対感度係数(RSF/Relativ
e SensitivityFactor)をRSF=
CXトリックスイオンのカウント/不純物イオンのカウ
ントなる式に従って計算し、測定する試料4の濃度変換
(定量)の際には不純物濃度=RSFX不純物イオンの
カウント/マトリックスイオンのカウントなる式に従っ
て計算するため、測定精度の観点では標準試料の濃度の
精度が大きく影響することになる。
【0010】しかしながら、実用面を考慮すれば、例え
ばイオン注入装置の複数台間のドーズ量の比較や、その
他の実験の水準間の比較等の用途では、必ずしも値の精
度が要求されるわけではなく、測定の再現性が良好で、
これらの値の比較が高い精度で行えることが重要である
ので、実用上問題にならない。尚、以下はここでの測定
の再現性を測定確度と呼ぶ。
【0011】ところで、図7は上述したセクタ型2次イ
オン質量分析装置における試料4の表面と2次光学系装
置との配置関係を示した局部の側面図であり、同図
(a)は一状態に関するもの,同図(b)は他の状態に
関するものである。
【0012】通常、試料4の表面及び等電位面ψと2次
光学系装置の引き出し電極7との角度は、図7(a)に
示されるように、平行に近いように設定されており、試
料保持台3で保持された試料(ホルダ)4を位置決めす
ることにより、測定する試料4毎に全く同じ位置に分析
領域が設定されるべきものであるが、実際には後文でそ
の理由を説明するように、様々な要因で試料4の取り付
けの位置や分析領域の位置が試料4毎に異なってしま
う。
【0013】そこで、図7(b)に示されるように、試
料4表面の分析領域から引き出し電極7までの距離△L
を一定にし、1次イオン入射方向Mに対して試料保持台
3上に保持された試料4をスプリング等で位置決めする
ことにより、試料保持台3の傾きθを極僅かに変化させ
てイオンカウントの変化量を測定するようにする。
【0014】図8は、こうした場合のX軸方向の傾斜角
度θ[mdeg]に対するイオンカウントの変化率
[%]の関係を示したものである。図8からは、イオン
カウントが試料4の傾斜角度θに非常に敏感であり、測
定イオンが28Si,28Si2の場合でその変化量が
異なっていることが判る。
【0015】試料4の傾斜角度θが変わる場合、1次イ
オンの試料4の表面に対する入射角度(1次イオン入射
方向M)も変化するので、試料4のスパッタレートが変
化することになり、それがイオンカウントにも反映され
る。しかも、スパッタレートが異なれば試料4の表面の
組成が僅かながら変化し、感度係数自体が異なることも
考えられる。それ以上に図7(a)及び図7(b)との
対比で示したように、試料4の傾斜角度θの差により2
次イオンの2次光学系装置を通過する際の軌道が異なる
ことが要因とされている。
【0016】即ち、イオン軌道の差により2次光学系装
置中のコントラストダイアフラム10やエネルギースリ
ット13等の特定の軌道を通過するイオンのみを通過さ
せるような構造になっている部分では、イオンの透過す
る割合(イオンの透過率)が決まっており、軌道に差が
大きい程、これに伴ってイオンカウントが変化すること
になる。
【0017】濃度を計算する場合、こうした軌道ずれを
補正できるように、イオンカウントの比に基づいた計算
を行うが、軌道やその広がり方が測定するイオンにより
異なるため、非常に厳密な意味ではマトリックスイオ
ン,不純物イオンのカウントに変化が生じる。この僅か
な差が相対感度係数の試料間の差となり、定量誤差の原
因となっている。因みに、感度係数のばらつきは、相対
感度偏差(Relative Sensitivity
Deviation)と呼ばれる。
【0018】尚、この試料4の表面の傾斜角度θの影響
だけでなく、それと垂直な方向に関しても同様にイオン
の透過率に影響を与える。
【0019】一方、試料4表面の分析領域から引き出し
電極7までの距離△Lも測定確度に影響する。1次イオ
ンは通常試料4の斜め方向(1次イオン入射方向M)か
ら入射する(この方向をX方向とした場合のその傾斜を
X方向の傾斜とする)ので、距離△Lが変わると1次イ
オンが照射される領域が入射方向に移動する。この場
合、1次イオンの試料4に対する入射角度が変化するこ
とでビームの位置が変動するため、実質的にビームの位
置が移動することになる。このため、ビームの形状が変
化することがあり、イオンカウントだけでなく、試料4
のスパッタリングレートが異なるようになる。
【0020】又、試料4を支持している試料保持台3の
加工精度や表面プレート5の精度もイオンの透過率に大
きく影響する。
【0021】図9は、試料4の分析領域の位置[mm]
に対するイオンカウントの変化率[%]の関係を示した
ものである。但し、ここでは試料保持台3の開口部分
(試料4の表面が露呈している部分)は縦4mm×横4
mmの形状であり、図中の±2000mmの位置が試料
4の端の位置になるものとする。図9からは、表面プレ
ート5の板厚が厚く(即ち、板厚=100μmよりも2
00μmのものの方を示す)、しかも試料4の端に近い
程、イオンカウントの変化量が大きくなっていることが
判る。これは試料4の表面の傾斜角度θだけではなく、
図7(a)及び図7(b)の対比で明らかなように、試
料保持台3の段差等の影響で等電位面ψがその段差部分
で変化していることに起因している。
【0022】以上、測定確度に影響する要因を説明した
が、以下では実際的な測定で如何なる程度の確度で測定
が可能であるかを説明する。
【0023】2次イオン質量分析装置の測定の確度に影
響を与える要因としては、上述したイオンの透過率の変
動の他、1次イオンの電流量の安定性や2次イオンのカ
ウント数(統計誤差)が挙げられる。
【0024】1次イオンの電流量は、イオン源1の状態
が良好で、且つ1次光学系装置の調整が十分良好な場合
には0.5[%]/数時間程度の安定性を得ることがで
きる。2次イオンのカウント数は、不純物イオンが測定
する試料4の濃度に依存し、例えば1x10cou
ntであれば統計誤差が3×10countである
ので、これを誤差σとの関係で定義すれば3σとして表
わされるため、誤差σは1%程度になる。
【0025】測定する試料4の濃度が十分高い場合、そ
のときのイオンカウントの影響は無視できる。実際、不
純物イオンのイオンカウントは、ドーズ量測定の精度を
向上させるため、積算カウントを高くすることが必要な
場合が多い。マトリックスイオンの測定は、不純物イオ
ンのカウントをできるだけ多くするため、不純物イオン
の測定が終了した後に行うことが多いが、このときカウ
ントの測定精度を上げるため、積算時間(或いは平均化
する時間)を十分長くすることができる。即ち、イオン
の透過率が変化しない場合、1次イオンの安定性や2次
イオンの安定性、或いは再現性やその読み取り誤差が測
定の確度を決めている。これらは測定の計算時間等にも
依存するが、精度を高くとった測定条件下ではおおよそ
0.5%以内になるように設定することが可能である。
【0026】要するに、測定の確度を装置の限界(0.
5%程度)にまで高くするためには、イオンの透過率の
変動の観点からその変動量を0.5%以内程度に収めて
いれば良いことになる。
【0027】そこで、測定装置の構造の精度、並びに試
料4間の位置の再現性に関して、それがどの程度影響し
ているか、或いはどの程度まで向上できるかを説明す
る。例えば試料保持台3の表面プレート5の広さは数十
cm程度であり、その表面プレート5の平坦性を良
好にするためには、板厚を厚くすれば良いが、図9で説
明したように、板厚が厚いとその段差の影響を受けて逆
に1次イオン及び2次イオンの軌道が変化してしまうた
め、厚いプレートは使用できない。従って、表面プレー
ト5の表面の平坦性は例えば板厚200μmの場合には
数μm程度、板厚100μmの場合には10μmにする
ことが機械工作上の加工精度の限界となっている。
【0028】こうした平坦性では、試料4間の傾きの差
は±50mdeg〜±25mdeg程度になるので、図
8で説明した傾斜角度θに対するイオンカウントの変化
率の関係を参照すれば、イオンカウントの変化率が2%
〜0.5%の範囲で変化することが判る。この値は、装
置の電圧調整等にも依存し、更にイオンカウントが大き
く変化する場合もある。
【0029】又、試料4の表面の分析領域の位置設定の
精度の点からもイオンの透過率の分析位置依存性の小さ
い領域を分析するほうが望ましいので、200μm以上
の厚いプレートは使用できない。従って、高い確度を実
現するためには、測定に供される試料4間での試料4の
傾き(傾斜角度θ)や高さ等の位置を非常に高い精度で
揃える必要がある。
【0030】しかしながら、試料4の位置を決める試料
保持台3の表面プレート5の加工精度は数μmが限界で
あり、この精度では測定条件にも依るが、イオンの透過
率の差を0.5%〜2%の範囲に抑制することが限界で
あり、これを0.5%以内にするためには20mdeg
程度の傾斜角度θの差以内に収まるように、更なる試料
4の位置設定の精度向上が必要となる。
【0031】以上の点から特に高い確度の測定が要求さ
れる場合には、同一な試料保持台3上における同一な試
料4の表面の分析領域で全ての試料4毎に測定すること
が行われている。この方法では、イオンカウントの差を
イオンカウントの読み取り誤差0.5%(±0.25
%)以内に十分押さえることが可能となっているが、試
料4の交換したときに試料4毎に行わなければならない
ため、分析のスループットが著しく低下し、しかも1次
イオンの電流量等の他の要因によるイオンの透過率の変
動が測定の確度に影響するため、多数の試料4を高い精
度で分析することができない。
【0032】セクタ型2次イオン質量分析装置では、例
えば周知文献「1th International
Conference on Secondary I
onMass Spectroscopy」のabst
ract:198Pageに記載されているように、試
料4間の傾斜角度θの差を調整する方法として、試料4
を取り付けた後にレーザ光を試料4の表面に照射してそ
の反射光の位置の差から試料4間の傾斜角度θの差を計
算し、分析時にその差に基づいて試料4の表面の分析領
域及び引き出し電極7間の距離△Lの差を補正する方法
が採用されている。
【0033】因みに、上述した2次イオン質量分析装置
並びにそれにおける試料の測定位置調整に関連するその
他の周知技術としては、例えば特開平7−57679号
公報や特開平8−227689号公報に開示されたに開
示された二次イオン質量分析装置等が挙げられる。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】上述したセクタ型2次
イオン質量分析装置を含む特殊な試料の測定位置調整方
法の場合、非常に煩雑な手順が必要であるため、通常の
測定者では十分な分析のスループット並びに測定確度を
持った測定を行うことが実際上困難となっている上、発
散角がその傾斜角度の測定精度を決定しており、傾斜角
度の差が数十mdegの差を判別できる程の精度が得ら
れないという問題がある上、実際的な問題として試料の
表面にパーティクル等の異物が付着すると、異物がフロ
ントプレートとの間に挟まれて試料の位置が変わってし
まったり、或いは試料保持台の交換等で試料保持台の取
り付け位置自体の再現性が測定の確度に影響を与えてし
まうといった問題がある。
【0035】具体的に言えば、半導体デバイスの開発分
野においては、注入装置における注入分布測定,ドーズ
量の合わせ込み測定等が必須であるが、これらの分布は
0.5%〜1%程度の範囲の精度(確度)で制御されて
おり、装置間の比較や管理の点,或いはトランジスタ特
性や不純物分布の対応の評価等には0.5%程度以内の
確度が要求されているものの、実際の2次イオン質量分
析装置による測定の確度は通常数%程度とされている。
これは上述したように、試料の位置が試料間で極僅かで
あっても差があるため、2次光学系装置を通過するイオ
ンの透過率(イオンのカウント)やスパッタリングレー
トが変化することが原因し、測定に供される試料間で感
度係数が要求される確度に比較べて無視できない程度の
差を生じるためである。
【0036】測定の確度を非常に高くするためには、試
料を分析装置内に取り付けた際、試料の傾斜角度と試料
の表面の分析領域及び及び2次光学系装置の距離とを非
常に高い精度で、試料間で一致させることが必要である
が、試料保持台(その表面プレート)等の機械加工の精
度には限界がある他、試料交換時の試料保持台や試料
(ウエハ)の取り付けの再現性も装置の状態によって十
分ではない場合が多かったり、更には試料の取り付け時
の取り付け精度や試料交換時の取り付けミス等による人
為的な誤差の発生要因があるため、測定の確度低下を回
避し難いという問題がある。
【0037】因みに、こうした試料の表面の分析領域に
関する位置精度が測定の確度に影響するという問題はセ
クタ型のもの以外の四重極型のものでも同様に抱えてい
る。このような人為的な誤差の発生要因を含めた測定確
度を低下させる要因は、基本的に測定装置の試料取り付
けの精度を向上することで改善すべき問題である。
【0038】本発明は、このような問題点を解決すべく
なされたもので、その技術的課題は、測定試料間でのイ
オンの透過率を一定にして高確度で高スループット分析
が可能であると共に、人為的な誤差の発生要因を排除し
得る取り扱い易い2次イオン質量分析装置を提供するこ
とにある。
【0039】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、試料保
持台上に保持された試料の表面に対してイオン源から発
生した1次イオンをレンズを通して収束した上で照射す
る1次光学系装置と、1次イオンにより試料の表面から
放出された2次イオンの特定の質量を持った粒子の通過
数を計測する2次光学系装置とを備えた2次イオン質量
分析装置において、試料の表面の同一直線上以外に存在
する3点以上の位置で2次光学系装置との間隔をそれぞ
れ該試料毎に同じ値になるように、該試料の表面の位置
を可変設定可能であると共に、該試料の傾斜角度と該試
料の表面の分析領域及び該2次光学系装置の距離とを該
試料毎に同じ値とする試料測定位置調整を行う試料位置
調整機構を備えた2次イオン質量分析装置が得られる。
【0040】この2次イオン質量分析装置において、試
料位置調整機構では、接触式変位測定装置を用いて試料
の表面の分析領域及び2次光学系装置の距離を測定した
結果が同じ値となるように試料測定位置調整を行うこ
と、或いは試料位置調整機構では、レーザを備えたレー
ザ変位測定装置を用いて測定した基準点部からの変位量
に基づいて試料の表面の分析領域及び2次光学系装置の
距離が同じ値となるように試料測定位置調整を行うこと
は好ましい。
【0041】又、上記2次イオン質量分析装置におい
て、試料調整機構では、2次光学系装置に取り付けられ
た位置決め用の所定の構造体に試料の表面が接触するよ
うに試料測定位置調整を行って該試料の表面の位置を設
定することは好ましい。
【0042】この2次イオン質量分析装置において、所
定の構造体は試料の表面の分析領域を全て包囲するよう
な板状体であること、或いは所定の構造体は針状体であ
ることは好ましい。
【0043】一方、本発明によれば、1次光学系装置に
より試料の表面に対して1次イオンを収束した上で照射
し、2次光学系装置によって該1次イオンにより該試料
の表面から放出された2次イオンの特定の質量を持った
粒子の通過数を計測する際、該試料の表面の同一直線上
以外に存在する3点以上の位置で該2次光学系装置との
間隔をそれぞれ該試料毎に同じ値になるように、該試料
の表面の位置を可変設定しながら該試料の傾斜角度と該
試料の表面の分析領域及び該2次光学系装置の距離とを
該試料毎に同じ値とする試料測定位置調整を行う試料位
置調整段階を有する2次イオン質量分析方法が得られ
る。
【0044】
【作用】本発明の2次イオン質量分析装置では、試料の
表面の同一直線上以外に存在する3点以上の位置で2次
光学系装置との間隔をそれぞれ試料毎に同じ値になるよ
うに、試料の表面の位置を可変設定し、試料の傾斜角度
と試料の表面の分析領域及び2次光学系装置の距離とを
試料毎に同じ値とする試料測定位置調整を行う試料位置
調整機構を備えているため、試料の表面が同一直線上に
無い3点の位置で決められ、試料毎,測定毎で位置関係
が微妙に変化する場合でも、高精度に位置決めを行うこ
とができる。例えば測定の再現性が1μmの測定器でそ
の測定の間隔を1cmとすると、位置決めの精度は5m
deg以内に収まるようになる。
【0045】又、この試料調整機構では、2次光学系装
置の引き出し電極等に取り付けられた位置決め用の所定
の構造体に試料の表面が接触するように試料測定位置調
整を行って試料の表面の位置を設定するため、試料の位
置決め設定を容易に行うことができる。例えば所定の構
造体として針状体の棒を使用した場合、その先端部分が
鋭利になっており、試料方向に向かって取り付けられ
る。試料位置調整機構により試料保持台や試料を可動に
することで、試料を針先に接近させて試料の3つ以上の
針先端部分に試料の表面を接触させ、試料の表面の傾斜
角度と試料の表面の分析領域及び2次光学系装置の引き
出し電極の距離とを規定でき、試料毎に数mdeg以内
の精度で同一の位置に設定できる。
【0046】こうした手順により、試料の表面の位置が
高い精度で試料毎に同じ位置に機械的に固定されるた
め、高い精度でイオンの透過率を一定にできる。この場
合、試料の位置設定の精度は試料保持台への試料の取り
付け精度,試料保持台の表面プレートの加工精度,試料
を試料保持台へ取り付ける際の人為的な取り付け誤差等
の影響を殆ど受けない。この針先端の位置は、予め設計
上、高い精度で試料の表面と引き出し電極とが平行にな
るように加工しておく。変位測定法,距離測定法では、
平行な位置を0点として設定しておく。但し、ここでの
試料の表面は、引き出し電極と平行になることが理想で
あるが、試料毎にその関係が変わらないように設定して
おけば、測定の確度の点からは何ら問題は無い。
【0047】
【発明の実施の形態】以下に幾つかの実施例を挙げ、本
発明の2次イオン質量分析装置及び2次イオン質量分析
方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0048】図1は、本発明の実施例1に係る2次イオ
ン質量分析装置の要部構成を示したもので、同図(a)
は要部の局部を抜粋した平面図に関するもの,同図
(b)は同図(a)のA−A´方向の縦断面を含む一状
態における要部側面断面図に関するもの,同図(c)は
同図(a)のA−A´方向の縦断面を含む他の状態にお
ける要部側面断面図に関するものである。
【0049】この2次イオン質量分析装置は、1次光学
系装置の試料保持台3の周辺部分以外の構成は、図6で
説明した従来装置と同様なセクタ型の構成となっている
ため、同じ構成部分は説明を省略し、相違する構成部分
を説明する(尚、これは以下の実施例2以降も同様とす
る)。
【0050】この2次イオン質量分析装置では、2次光
学系装置の引き出し電極7と試料4の表面との間であっ
て、従来の試料保持台3の場合と同様に試料4と等電位
になる試料4の表面から500μmの位置(2次光学系
装置の所定箇所)に取り付けられて配備されたフィール
ドプレート22に対してその中央の開口した開口部分周
囲の3箇所に試料4の表面に接触する位置決め用の所定
の構造体としての試料位置決め用ロッド23を設けると
共に、試料保持台3の試料4が載置される側の反対側の
面に試料保持台3を可動にするためのスプリング24を
設けており、これらの試料位置決め用ロッド23を含む
フィールドプレート22及びスプリング24が協働して
試料4の表面の同一直線上以外に存在する3点の位置で
2次光学系装置の引き出し電極7との間隔をそれぞれ試
料4毎に同じ値になるように、試料4の表面の位置を可
変設定可能であると共に、試料4の傾斜角度θと試料4
の表面の分析領域及び2次光学系装置の引き出し電極7
の距離とを試料4毎に同じ値とする試料測定位置調整を
行う試料位置調整機構を成している。
【0051】尚、ここでのフィールドプレート22にお
ける開口部分は、口径φが500μmとなっており、1
次イオンが照射されると共に、2次イオンが通過する領
域となっている。
【0052】この2次イオン質量分析装置の場合、フィ
ールドプレート22の開口部分領域に1次イオンが照射
されるが、フィールドプレート22は試料4と等電位で
あるため、試料4の表面の分析領域の電界強度が試料4
の端部等の周辺形状による影響を受け難くなっている。
フィールドプレート22に設けられた試料位置決め用ロ
ッド23は、タングステン製で先端が鋭利に鋭くなった
針状体になっており、その先端が試料4に向かうように
なっている。試料保持台3には、図示しない表面プレー
ト5として板厚100μm以下の薄いものを用いること
が可能になっている。この場合、試料保持台3はスプリ
ング24で固定されているため、試料4が表面プレート
5に極僅かな力で押し付けられる。
【0053】この2次イオン質量分析装置では、試料4
を保持する試料保持台3自体がスプリング24で固定さ
れて可動であるため、図1(b)に示されるように、初
期的に試料4が地面に対して水平でない状態(即ち、試
料4が地面に対して傾いた状態)で試料保持台3上に保
持される場合であっても、試料4をフィールドプレート
22の試料位置決め用ロッド23とは離間された状態の
試料保持台3に載せた上、試料4の測定位置調整を行う
ことができる。
【0054】この状態から測定分析時には、図1(c)
に示されるように、試料保持台3が2次光学系装置の方
向に極僅かに進入し、フィールドプレート22の試料位
置決め用ロッド23に試料4の表面が接触し、3点の試
料位置決め用ロッド23の全部に接触するまで進入した
状態で試料4の表面の位置は常に一律な平面上に規定さ
れることになる。
【0055】即ち、このような2次イオン質量分析装置
の場合、試料保持台3の表面プレート5の撓み,試料4
の取り付けの精度,試料保持台3の取り付け精度等に影
響されること無く、全ての試料4を全く同じ傾斜角度で
同じ位置(試料4の表面の分析領域及び2次光学系装置
の引き出し電極7の距離が同じであることを示す)に設
定できることになる。又、フィールドプレート22の試
料位置決め用ロッド23における先端を針状体にするこ
とで、接触面積を小さくでき、試料4の表面に付着する
異物により試料4の位置が変わることを防止することが
できる。更に、試料保持台3の表面プレート5の板厚を
薄くできるので、その段差の影響を低減でき、イオンの
透過率が0.5%以内の変動になっている分析領域を広
く取ることができる。
【0056】図2は、この2次イオン質量分析装置によ
る2次イオン質量分析測定結果を測定回数に対するイオ
ンカウント[count/sec]の関係で従来装置の
場合と比べて示したものである。
【0057】図2からは、点線で示される従来装置の測
定結果が測定試料4間で5%程度のイオンカウントの差
が生じているのに対し、実線で示される実施例1の測定
結果の場合、イオンカウントの差を0.5%以内に抑制
できており、試料4の取り付けに起因する誤差要因を十
分に排除できることが判る。従って、この2次イオン質
量分析装置は確度の高い分析測定を行うことできる。
【0058】尚、この実施例1でもセクタ型の構成であ
る場合を説明したが、ここでの試料測定位置調整は四重
極型の構成のものでも同様に適用できる。又、実施例1
では、フィールドプレート22に設けられた3点の試料
位置決め用ロッド23によって試料4の表面を規定する
場合を説明したが、試料位置決め用ロッド23は4点以
上設けられても良い。
【0059】図3は、本発明の実施例2に係る2次イオ
ン質量分析装置の要部構成を示したもので、同図(a)
は要部の局部を抜粋した平面図に関するもの,同図
(b)は同図(a)のA−A´方向の縦断面を含む一状
態における要部側面断面図に関するもの,同図(c)は
同図(a)のA−A´方向の縦断面を含む他の状態にお
ける要部側面断面図に関するものである。
【0060】この2次イオン質量分析装置の場合、先の
実施例1の装置と比べ、試料4の表面に接触する位置決
め用の所定の構造体としての試料位置決め用ロッド23
を開口部分周囲の3箇所に設けて成るフィールドプレー
ト22に代え、試料4の表面に接触する位置決め用の所
定の構造体として試料4側の開口部分周縁に先尖り凸部
が環状体として一体的に設けらた試料位置決め用先尖り
凸部付きフィールドプレート22´を用いている点が相
違している。
【0061】ここでも、試料位置決め用先尖り凸部付き
フィールドプレート22´における開口部分は、口径φ
が500μmとなっており、1次イオンが照射されると
共に、2次イオンが通過する領域となっている。
【0062】この試料位置決め用先尖り凸部付きフィー
ルドプレート22´は、開口部分周縁が先尖り凸部とな
っているため、試料4の試料保持台3への取り付け等が
試料4毎に異なっていても、図3(b)に示されるよう
に、試料4を試料位置決め用先尖り凸部付きフィールド
プレート22´の先尖り凸部とは離間された状態の試料
保持台3に載せた上、測定分析時には図3(c)に示さ
れるように、試料保持台3が2次光学系装置の方向に極
僅かに進入し、試料位置決め用先尖り凸部付きフィール
ドプレート22´の先尖り凸部に試料4の表面が接触
し、試料4の表面の位置は常に一律な平面上に規定され
ることになる。従って、この2次イオン質量分析装置の
場合も実施例1の装置と同様に確度の高い分析測定を行
うことできる。
【0063】尚、上述した各実施例では、2次光学系装
置に取り付けられた位置決め用の所定の構造体として、
フィールドプレート22に設けられた針状体である3点
の試料位置決め用ロッド23や試料位置決め用先尖り凸
部付きフィールドプレート22´の先尖り凸部を説明し
たが、これに代えて試料4の表面の分析領域を全て包囲
するような板状体を用いるようにしても良い。
【0064】図4は、本発明の実施例3に係る2次イオ
ン質量分析装置の要部構成を示したもので、同図(a)
は要部の局部を抜粋した平面図に関するもの,同図
(b)は同図(a)のA−A´方向の縦断面を含む一状
態における要部側面断面図に関するものである。
【0065】この2次イオン質量分析装置は、実施例1
の装置の構成を応用し、試料4としてシリコンウエハ4
´を分析対象とした場合にそのまま適用できるように別
途にシリコンウエハ4´を保持した試料保持台3を載置
するための試料台3´を有する構成となっている。
【0066】即ち、この2次イオン質量分析装置では、
試料位置決め用ロッド23を開口部分周囲の3箇所に設
けて成るフィールドプレート22に代え、2次光学系装
置側の開口部分周囲から隔てられた辺縁の3箇所にシリ
コンウエハ4´の表面の分析領域及び2次光学系装置の
距離を測定する接触式変位測定装置としての接触式間隔
測定器25を配備すると共に、接触式間隔測定器25の
内側に引き出し電極7を固定し、且つ試料保持台3側に
おける接触式間隔測定器25の真下部分に絶縁性試料位
置決め用ロッド23´をそれぞれ設けて成る測定器支持
台26を用い、一辺縁に変位測定用基準点部30及びそ
の内側にスクリュー29を設けた試料台3´上に一端側
がスクリュー29に接触し、他端側が試料台3´に直接
接触するように試料保持台3を配備することにより、互
いに平行な試料台3´及び測定器支持台26の主面に対
してシリコンウエハ4´の表面を傾斜角度θとなるよう
に構成した上、接触式間隔測定器25によりシリコンウ
エハ4´の表面の分析領域及び2次光学系装置の引き出
し電極7の距離を測定した結果が同じ値となるように測
定器支持台26及び試料台3´による試料位置調整機構
で試料測定位置調整を行うようになっている。
【0067】ここでは、試料保持台3や引き出し電極7
等の平衡性に現れる取り付け精度,シリコンウエハ4´
自体の反り,シリコンウエハ4´の試料保持台3への取
り付け精度等の様々な要因でシリコンウエハ4´の表面
の分析領域の位置やシリコンウエハ4´の傾斜角度θが
影響を受け、シリコンウエハ4´の端から端まで、或い
はシリコンウエハ4´を交換した場合にその表面の分析
領域の位置やその傾斜角度の再現性を十分に取ることは
困難であるので、位置精度を向上させるために以下のよ
うな要件を導入している。
【0068】即ち、試料保持台3は2次光学系装置に対
して平行な平面(X−Y面)に移動し、試料台3´はス
クリュー30でシリコンウエハ4´の表面の分析領域及
び引き出し電極7の距離△Lだけではなく、シリコンウ
エハ4´及び試料保持台3の傾斜角度θ並びに1次イオ
ンのビームの口径φをmdegのオーダで調整できるよ
うにしてある。尚、スクリュー30の機能は、これ以外
にもピエゾ素子等を用いても同等なものを得ることがで
きる。引き出し電極7に固定された測定器支持台26に
おいては、針状体の3本の絶縁性試料位置決めロッド2
3´が試料保持台3の方向に向かって設置され、この絶
縁性試料位置決めロッド23´はマグネットやスプリン
グを介して接触式距離測定器25に取り付けられ、距離
測定器25は針絶縁性試料位置決めロッド23´の移動
距離を測定できるようになっている。尚、ここでの試料
台3´の一辺縁に設けられたミラー等の変位測定用基準
点部29は、所定の傾きで入射されたレーザ光を反射し
て試料台3´のX方向における変位量を測定するために
設けられている。
【0069】この2次イオン質量分析装置の場合、試料
保持台3が引き出し電極7側に接近すると、各絶縁性試
料位置決めロッド23´に接触し、その針状体の先端が
押されて一定の距離だけ押し上げられると、接触式距離
測定器25がその距離を測定することによって、シリコ
ンウエハ4´の表面の分析領域及び引き出し電極7の距
離を測定できる。接触式距離測定器25は、1μm程度
の分解能であり、再現性を十分有するため、これらを1
cmの間隔で配備したと仮定すると、シリコンウエハ4
´の傾斜角度θに換算した場合、5mdeg程度の分解
能が得られることになる。これにより、シリコンウエハ
4´の交換や、或いはシリコンウエハ4´上で分析領域
を移動させてもその都度、試料位置調整機構で試料測定
位置調整を行うことで、シリコンウエハ4´の表面の分
析領域の位置を5mdeg程度の誤差で一致できること
になるため、イオンの透過率の変化を十分に0.5%以
内に抑制することができる。
【0070】図5は、本発明の実施例4に係る2次イオ
ン質量分析装置の要部構成を示したもので、同図(a)
は要部の局部を抜粋した平面図に関するもの,同図
(b)は同図(a)のA−A´方向の縦断面を含む一状
態における要部側面断面図に関するものである。
【0071】この2次イオン質量分析装置は、先の実施
例3の装置と比べ、測定器支持台26の3箇所に配備さ
れた接触式距離測定器25に代え、レーザ光28の反射
を利用してミラー等の変位測定用基準点部29からの変
位量を検出するレーザ変位測定装置としてのレーザ変位
顕微鏡27を用い、この検出結果である変位量に基づい
てシリコンウエハ4´の表面の分析領域及び2次光学系
装置の引き出し電極7の距離が同じ値(予め定められた
変位量)となるように測定器支持台26及び試料台3´
による試料位置調整機構で試料測定位置調整を行うこと
により、シリコンウエハ4´をそのまま分析できる分析
室及び試料台3´を持った構成となっている。
【0072】即ち、この2次イオン質量分析装置では、
スクリュー30で試料保持台3の位置を移動させると共
に、シリコンウエハ4´の表面の分析領域を囲んだ3箇
所のレーザ変位顕微鏡27により変位測定用基準点部2
9からの変位量を測定しておき、この値を基準としてシ
リコンウエハ4´の表面の分析領域となる位置に試料保
持台3を移動させる。この変位量の値は予め決めておく
もので、シリコンウエハ4´の表面の分析領域を移動さ
せても、或いはシリコンウエハ4´を交換した場合にも
同じ変位量となるようにすれば良く、こうしてシリコン
ウエハ4´の表面の分析領域の位置を高い精度で決定で
きる。レーザ変位顕微鏡27は、1μm程度の分解能で
あり、再現性を十分有するため、これらを1cmの間隔
で配備すれば実施例3の場合と同様にイオンの透過率の
変化を十分に0.5%以内に抑制することができる。
【0073】以上の内容を2次イオン質量分析方法とし
て換言すれば、1次光学系装置により試料4の表面に対
して1次イオンを収束した上で照射し、2次光学系装置
によって1次イオンにより試料4の表面から放出された
2次イオンの特定の質量を持った粒子の通過数(イオン
の透過率)を計測する際、試料4の表面の同一直線上以
外に存在する3点以上の位置で2次光学系装置との間隔
をそれぞれ試料4毎に同じ値になるように、試料4の表
面の位置を可変設定しながら試料4の傾斜角度θと試料
4の表面の分析領域及び2次光学系装置の距離とを試料
4毎に同じ値とする試料測定位置調整を行う試料位置調
整段階を実行すれば良いことになる。
【0074】以上、セクタ型の2次イオン質量分析装置
を例にして説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば四重極型の2次イオン質量分析装置であっても、
イオンの透過率を試料毎に変化しないように、その2次
光学系装置及び試料の位置調整を上述した試料測定位置
調整を適用して行えば、高精度な測定を行うことができ
る。
【0075】
【発明の効果】以上の述べた通り、本発明によれば、試
料の傾斜角度と試料の表面の分析領域及び2次光学系装
置の距離とによる試料位置の調整設定を試料毎に高い精
度で簡単に一致させることができるので、2次イオン質
量分析に際して測定試料間でのイオンの透過率を一定に
して高確度で高スループット分析が可能になると共に、
人為的な誤差の発生要因を排除し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る2次イオン質量分析装
置の要部構成を示したもので、(a)は要部の局部を抜
粋した平面図に関するもの,(b)は(a)のA−A´
方向の縦断面を含む一状態における要部側面断面図に関
するもの,(c)は(a)のA−A´方向の縦断面を含
む他の状態における要部側面断面図に関するものであ
る。
【図2】図1で説明した2次イオン質量分析装置による
2次イオン質量分析測定結果を測定回数に対するイオン
カウントの関係で従来装置の場合と比べて示したもので
ある。
【図3】本発明の実施例2に係る2次イオン質量分析装
置の要部構成を示したもので、(a)は要部の局部を抜
粋した平面図に関するもの,(b)は(a)のA−A´
方向の縦断面を含む一状態における要部側面断面図に関
するもの,(c)は(a)のA−A´方向の縦断面を含
む他の状態における要部側面断面図に関するものであ
る。
【図4】本発明の実施例3に係る2次イオン質量分析装
置の要部構成を示したもので、(a)は要部の局部を抜
粋した平面図に関するもの,(b)は(a)のA−A´
方向の縦断面を含む一状態における要部側面断面図に関
するものである。
【図5】本発明の実施例4に係る2次イオン質量分析装
置の要部構成を示したもので、(a)は要部の局部を抜
粋した平面図に関するもの,(b)は(a)のA−A´
方向の縦断面を含む一状態における要部側面断面図に関
するものである。
【図6】従来のセクタ型2次イオン質量分析装置の概略
構成を示したもので、(a)は全体構成の側面図に関す
るもの,(b)は(a)の要部の一形態における詳細な
拡大側面図に関するもの,(c)は(a)の要部の他の
形態における詳細な拡大側面図に関するものである。
【図7】図6に示すセクタ型2次イオン質量分析装置に
おける試料の表面と2次光学系装置との配置関係を示し
た局部の側面図であり、(a)は一状態に関するもの,
(b)は他の状態に関するものである。
【図8】図7(b)に示した条件下でのセクタ型2次イ
オン質量分析装置におけるX軸方向の傾斜角度に対する
イオンカウントの変化率の関係を示したものである。
【図9】図6に示すセクタ型2次イオン質量分析装置に
おける試料の分析領域の位置に対するイオンカウントの
変化率の関係を示したものである。
【符号の説明】
1 イオン源 2 レンズ 3 試料保持台 3´ 試料台 4 試料 4´ シリコンウエハ 5 表面プレート 6,8 イマージョンレンズ 7 引き出し電極 9 トランスファレンズ 10 コントラストダイアフラム 11 フィールドアパーチャー 12,18 静電型エネルギー分析器 13 エネルギースリット 14 スペクトロメータレンズ 15 質量分析器 16 スリット 17 プロジェクタレンズ 19 ファラデーカップ 20 光電子増倍官 21 スクリーン 22 フィールドプレート 22´ 試料位置決め用先尖り凸部付きフィールドプレ
ート 23 試料位置決め用ロッド 23´ 絶縁性試料位置決め用ロッド 24 スプリング 25 接触式間隔測定器 26 測定器支持台 27 レーザ変位顕微鏡 28 レーザ光 29 変位測定用基準点部 30 スクリュー M 1次イオン入射方向 ψ 等電位面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料保持台上に保持された試料の表面に
    対してイオン源から発生した1次イオンをレンズを通し
    て収束した上で照射する1次光学系装置と、前記1次イ
    オンにより前記試料の表面から放出された2次イオンの
    特定の質量を持った粒子の通過数を計測する2次光学系
    装置とを備えた2次イオン質量分析装置において、前記
    試料の表面の同一直線上以外に存在する3点以上の位置
    で前記2次光学系装置との間隔をそれぞれ該試料毎に同
    じ値になるように、該試料の表面の位置を可変設定可能
    であると共に、該試料の傾斜角度と該試料の表面の分析
    領域及び該2次光学系装置の距離とを該試料毎に同じ値
    とする試料測定位置調整を行う試料位置調整機構を備え
    たことを特徴とする2次イオン質量分析装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の2次イオン質量分析装置
    において、前記試料位置調整機構では、接触式変位測定
    装置を用いて前記試料の表面の分析領域及び前記2次光
    学系装置の距離を測定した結果が同じ値となるように前
    記試料測定位置調整を行うことを特徴とする2次イオン
    質量分析装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の2次イオン質量分析装置
    において、前記試料位置調整機構では、レーザを備えた
    レーザ変位測定装置を用いて測定した基準点部からの変
    位量に基づいて前記試料の表面の分析領域及び前記2次
    光学系装置の距離が同じ値となるように前記試料測定位
    置調整を行うことを特徴とする2次イオン質量分析装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の2次イオン質量分析装置
    において、前記試料調整機構では、前記2次光学系装置
    に取り付けられた位置決め用の所定の構造体に前記試料
    の表面が接触するように前記試料測定位置調整を行って
    該試料の表面の位置を設定することを特徴とする2次イ
    オン質量分析装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の2次イオン質量分析装置
    において、前記所定の構造体は、前記試料の表面の分析
    領域を全て包囲するような板状体であることを特徴とす
    る2次イオン質量分析装置。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の2次イオン質量分析装置
    において、前記所定の構造体は、針状体であることを特
    徴とする2次イオン質量分析装置。
  7. 【請求項7】 1次光学系装置により試料の表面に対し
    て1次イオンをレンズを通して収束した上で照射し、2
    次光学系装置によって該1次イオンにより該試料の表面
    から放出された2次イオンの特定の質量を持った粒子の
    通過数を計測する際、該試料の表面の同一直線上以外に
    存在する3点以上の位置で該2次光学系装置との間隔を
    それぞれ該試料毎に同じ値になるように、該試料の表面
    の位置を可変設定しながら該試料の傾斜角度と該試料の
    表面の分析領域及び該2次光学系装置の距離とを該試料
    毎に同じ値とする試料測定位置調整を行う試料位置調整
    段階を有することを特徴とする2次イオン質量分析方
    法。
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