JP2000111477A - 蛍光分析用基板及び蛍光分析装置 - Google Patents
蛍光分析用基板及び蛍光分析装置Info
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- JP2000111477A JP2000111477A JP27845398A JP27845398A JP2000111477A JP 2000111477 A JP2000111477 A JP 2000111477A JP 27845398 A JP27845398 A JP 27845398A JP 27845398 A JP27845398 A JP 27845398A JP 2000111477 A JP2000111477 A JP 2000111477A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 試料からの蛍光の蛍光寿命が長く、S/N比
が向上された蛍光分析を行うことが可能な蛍光分析用基
板及び蛍光分析装置を提供する。 【解決手段】 蛍光分析用基板1を、シリコン基板2
と、シリコン基板2の試料が付着される面側に形成され
た厚さ10nm以上2.5μm以下のシリコン酸化膜3と
から構成することによって、シリコン基板2による蛍光
の消光作用を抑制し、かつシリコン酸化膜3から生じる
ノイズ光の影響を低減して、効率的に蛍光分析を行うこ
とができる蛍光分析用基板を実現することができる。ま
た、シリコン酸化膜3を有する蛍光領域と、シリコン基
板2のみからなる消光領域とを有して蛍光分析用基板を
構成することにより、特に単一分子の場合など微量な試
料についての測定効率を大幅に高めることができる。
が向上された蛍光分析を行うことが可能な蛍光分析用基
板及び蛍光分析装置を提供する。 【解決手段】 蛍光分析用基板1を、シリコン基板2
と、シリコン基板2の試料が付着される面側に形成され
た厚さ10nm以上2.5μm以下のシリコン酸化膜3と
から構成することによって、シリコン基板2による蛍光
の消光作用を抑制し、かつシリコン酸化膜3から生じる
ノイズ光の影響を低減して、効率的に蛍光分析を行うこ
とができる蛍光分析用基板を実現することができる。ま
た、シリコン酸化膜3を有する蛍光領域と、シリコン基
板2のみからなる消光領域とを有して蛍光分析用基板を
構成することにより、特に単一分子の場合など微量な試
料についての測定効率を大幅に高めることができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光性分子を含む
試料を付着させて固定するための蛍光分析用基板、及び
そのような蛍光分析用基板を用いて構成された蛍光分析
装置に関するものである。
試料を付着させて固定するための蛍光分析用基板、及び
そのような蛍光分析用基板を用いて構成された蛍光分析
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光分析を行う対象である蛍光性分子を
含む試料を蛍光分析装置に対して配置または固定するた
めの方法として、溶媒中に配置する方法と、基板の表面
上に配置する方法とがあるが、このうち基板を用いた配
置方法は、溶媒を用いた配置方法に対して、(1)溶媒
のブラウン運動による影響がないので、試料の位置を局
在化できること、(2)溶媒または溶媒に溶けている酸
素などの他の物質による蛍光の消光や試料の光退色を避
けることができること、などの利点がある。このような
利点は、分析対象である試料の分子が少数、例えば1〜
10個程度、である場合に特に重要となる。
含む試料を蛍光分析装置に対して配置または固定するた
めの方法として、溶媒中に配置する方法と、基板の表面
上に配置する方法とがあるが、このうち基板を用いた配
置方法は、溶媒を用いた配置方法に対して、(1)溶媒
のブラウン運動による影響がないので、試料の位置を局
在化できること、(2)溶媒または溶媒に溶けている酸
素などの他の物質による蛍光の消光や試料の光退色を避
けることができること、などの利点がある。このような
利点は、分析対象である試料の分子が少数、例えば1〜
10個程度、である場合に特に重要となる。
【0003】このような蛍光分析用基板としては、従来
例えばガラス、石英、サファイア等の、通常励起光とし
て用いられる波長(λ>200nm)の光を充分透過する
透明基板が用いられている。しかし、試料が単一分子で
ある場合を含めて微量な場合には、励起光が基板を透過
するときに生じる(1)基板の材料自身またはそれに含
まれる不純物による発光、(2)基板表面に付着した外
来の汚染物質による発光、及び(3)基板材料に起因す
るレーリー散乱及びラマン散乱による光、によるノイズ
光(N、Noise)の影響が、試料からの測定したい蛍光
であるシグナル光(S、Signal)に対して大きくなっ
て、測定上の問題となる。特に、励起光として短波長で
ある紫外光を用いた場合に、その寄与は大きくなる。
例えばガラス、石英、サファイア等の、通常励起光とし
て用いられる波長(λ>200nm)の光を充分透過する
透明基板が用いられている。しかし、試料が単一分子で
ある場合を含めて微量な場合には、励起光が基板を透過
するときに生じる(1)基板の材料自身またはそれに含
まれる不純物による発光、(2)基板表面に付着した外
来の汚染物質による発光、及び(3)基板材料に起因す
るレーリー散乱及びラマン散乱による光、によるノイズ
光(N、Noise)の影響が、試料からの測定したい蛍光
であるシグナル光(S、Signal)に対して大きくなっ
て、測定上の問題となる。特に、励起光として短波長で
ある紫外光を用いた場合に、その寄与は大きくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ノイズ光を低減する方
法として、そのような透明基板を薄くすることが考えら
れるが、その場合には、薄い基板作成の技術的限界に加
えて、薄くしたことによって基板の機械的強度が低下
し、実用上その扱いが困難となる。
法として、そのような透明基板を薄くすることが考えら
れるが、その場合には、薄い基板作成の技術的限界に加
えて、薄くしたことによって基板の機械的強度が低下
し、実用上その扱いが困難となる。
【0005】一方、特開平6−148076号にシリコ
ン基板を蛍光分析用基板として用いることが記載されて
いる。このようなシリコン基板は鏡面を有して反射基板
を形成し、余分な励起光を反射することによって蛍光測
定の視野から効率良く取り除いて、ノイズ光の寄与を低
減することができる。
ン基板を蛍光分析用基板として用いることが記載されて
いる。このようなシリコン基板は鏡面を有して反射基板
を形成し、余分な励起光を反射することによって蛍光測
定の視野から効率良く取り除いて、ノイズ光の寄与を低
減することができる。
【0006】しかしながら、シリコン基板を蛍光分析用
基板として用いた場合、消光作用によってシグナル光で
ある試料からの蛍光の蛍光寿命が短くなり、蛍光強度が
減少する場合が見出された。この場合、ノイズ光に対す
るシグナル光の比であるS/N比が低下して蛍光の検出
・分析の効率が悪くなる。
基板として用いた場合、消光作用によってシグナル光で
ある試料からの蛍光の蛍光寿命が短くなり、蛍光強度が
減少する場合が見出された。この場合、ノイズ光に対す
るシグナル光の比であるS/N比が低下して蛍光の検出
・分析の効率が悪くなる。
【0007】本発明は、上記の問題に鑑みてなされたも
のであり、シグナル光の蛍光寿命を長くして、S/N比
が向上された蛍光分析が可能となる蛍光分析用基板、及
びそのような蛍光分析用基板を用いた蛍光分析装置を提
供することを目的とする。
のであり、シグナル光の蛍光寿命を長くして、S/N比
が向上された蛍光分析が可能となる蛍光分析用基板、及
びそのような蛍光分析用基板を用いた蛍光分析装置を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による蛍光分析用基板は、蛍光分析を
行う蛍光性分子を含む試料をシリコン基板の一方の面に
付着させる蛍光分析用基板であって、シリコン基板の一
方の面側に、厚さ10nm以上2.5μm以下のシリコン
酸化膜が形成されたことを特徴とする。
るために、本発明による蛍光分析用基板は、蛍光分析を
行う蛍光性分子を含む試料をシリコン基板の一方の面に
付着させる蛍光分析用基板であって、シリコン基板の一
方の面側に、厚さ10nm以上2.5μm以下のシリコン
酸化膜が形成されたことを特徴とする。
【0009】上記のように形成された蛍光分析用基板に
よれば、シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成し、そ
の表面に蛍光性分子を含む試料を付着させて試料の配置
・固定を行うことによって、シリコン基板による消光作
用を抑制し、シグナル光である試料からの蛍光の蛍光寿
命が短くなることを防ぎ、S/N比を向上させることが
できる。この場合、シリコン基板は反射基板、シリコン
酸化膜は透明基板の役割を果たすことによって、反射基
板であるシリコン基板によって励起光を反射させて取り
除くとともに、蛍光分析用基板全体の機械的強度を確保
し、かつ、透明基板であるシリコン酸化膜によってシリ
コン基板による消光作用を抑制して、好適な蛍光分析用
基板とすることができる。
よれば、シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成し、そ
の表面に蛍光性分子を含む試料を付着させて試料の配置
・固定を行うことによって、シリコン基板による消光作
用を抑制し、シグナル光である試料からの蛍光の蛍光寿
命が短くなることを防ぎ、S/N比を向上させることが
できる。この場合、シリコン基板は反射基板、シリコン
酸化膜は透明基板の役割を果たすことによって、反射基
板であるシリコン基板によって励起光を反射させて取り
除くとともに、蛍光分析用基板全体の機械的強度を確保
し、かつ、透明基板であるシリコン酸化膜によってシリ
コン基板による消光作用を抑制して、好適な蛍光分析用
基板とすることができる。
【0010】特に、そのシリコン酸化膜の厚さを10nm
以上とすることによって、シリコン基板による消光作用
の影響を低減して、実用上充分な長さの蛍光寿命と、そ
れによる蛍光強度の増加を実現することができる。ま
た、シリコン酸化膜の厚さを2.5μm以下とすること
によって、シリコン酸化膜を励起光が透過するときに発
生するノイズ光への寄与を抑制することができる。
以上とすることによって、シリコン基板による消光作用
の影響を低減して、実用上充分な長さの蛍光寿命と、そ
れによる蛍光強度の増加を実現することができる。ま
た、シリコン酸化膜の厚さを2.5μm以下とすること
によって、シリコン酸化膜を励起光が透過するときに発
生するノイズ光への寄与を抑制することができる。
【0011】さらに、蛍光分析を行う蛍光性分子を含む
試料をシリコン基板の一方の面に付着させる蛍光分析用
基板であって、シリコン基板の一方の面は、蛍光性分子
を含む試料を付着させる領域である蛍光領域と、蛍光の
発生が抑制される消光領域とに区分され、蛍光領域は、
シリコン基板の一方の面側に、厚さ10nm以上2.5μ
m以下のシリコン酸化膜が形成された部位上に形成さ
れ、消光領域は、シリコン基板が露出された部位上に形
成されていることを特徴とする。
試料をシリコン基板の一方の面に付着させる蛍光分析用
基板であって、シリコン基板の一方の面は、蛍光性分子
を含む試料を付着させる領域である蛍光領域と、蛍光の
発生が抑制される消光領域とに区分され、蛍光領域は、
シリコン基板の一方の面側に、厚さ10nm以上2.5μ
m以下のシリコン酸化膜が形成された部位上に形成さ
れ、消光領域は、シリコン基板が露出された部位上に形
成されていることを特徴とする。
【0012】蛍光分析用基板上に試料を付着・固定して
蛍光分析を行う場合に、基板上に付着した汚染物質(試
料の分子以外の不純物分子)からの蛍光がノイズ光とし
て生じ、S/N比を低下させる原因となる。これに対し
て、シリコン酸化膜を有する蛍光領域と、シリコン基板
のみからなる消光領域とによって蛍光分析用基板を構成
し、そのうち蛍光領域に試料を付着・固定することによ
って、シグナル光である試料からの蛍光についてのみ、
その蛍光寿命が短くなることを防ぎ蛍光強度を維持し、
一方、試料が付着されていない領域に付着している不純
物分子からのノイズ光である蛍光については、逆に消光
作用によってその蛍光寿命を短くして蛍光強度を減少さ
せて、高いS/N比によってより効率的に蛍光分析を行
うことが可能となる。
蛍光分析を行う場合に、基板上に付着した汚染物質(試
料の分子以外の不純物分子)からの蛍光がノイズ光とし
て生じ、S/N比を低下させる原因となる。これに対し
て、シリコン酸化膜を有する蛍光領域と、シリコン基板
のみからなる消光領域とによって蛍光分析用基板を構成
し、そのうち蛍光領域に試料を付着・固定することによ
って、シグナル光である試料からの蛍光についてのみ、
その蛍光寿命が短くなることを防ぎ蛍光強度を維持し、
一方、試料が付着されていない領域に付着している不純
物分子からのノイズ光である蛍光については、逆に消光
作用によってその蛍光寿命を短くして蛍光強度を減少さ
せて、高いS/N比によってより効率的に蛍光分析を行
うことが可能となる。
【0013】また、本発明による蛍光分析装置は、上記
した蛍光分析用基板を用いて構成され、蛍光性分子を含
む試料を一方の面に付着させた蛍光分析用基板の局所領
域に励起光を照射する励起光源と、局所領域内の蛍光性
分子を含む試料からの蛍光を検出し、蛍光の強度を測定
する蛍光検出手段とを有することを特徴とする。
した蛍光分析用基板を用いて構成され、蛍光性分子を含
む試料を一方の面に付着させた蛍光分析用基板の局所領
域に励起光を照射する励起光源と、局所領域内の蛍光性
分子を含む試料からの蛍光を検出し、蛍光の強度を測定
する蛍光検出手段とを有することを特徴とする。
【0014】上記したような蛍光分析用基板を用いて蛍
光分析装置を構成することによって、単一分子等の微量
の試料についての測定を含めて、蛍光の測定及び分析を
効率的に行うことができる蛍光分析装置とすることがで
きる。
光分析装置を構成することによって、単一分子等の微量
の試料についての測定を含めて、蛍光の測定及び分析を
効率的に行うことができる蛍光分析装置とすることがで
きる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による蛍
光分析用基板及び蛍光分析装置の好適な実施形態につい
て詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要
素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。ま
た、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致して
いない。
光分析用基板及び蛍光分析装置の好適な実施形態につい
て詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要
素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。ま
た、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致して
いない。
【0016】図1は、本発明に係る蛍光分析用基板の構
成及び機能を概略的に示す断面図である。蛍光分析用基
板1は、シリコン基板2と、シリコン基板2の試料が付
着される面側に形成されたシリコン酸化膜3とから構成
されている。
成及び機能を概略的に示す断面図である。蛍光分析用基
板1は、シリコン基板2と、シリコン基板2の試料が付
着される面側に形成されたシリコン酸化膜3とから構成
されている。
【0017】励起光は、蛍光分析用基板1に対して斜め
方向、例えば図中に示されている光路Linの方向、から
入射して、試料分子Aに照射される。これによって、試
料分子Aは励起され、例えば光路Lによって蛍光を放出
する。このとき、試料分子Aが付着している蛍光分析用
基板1の上面を形成しているシリコン酸化膜3は透明基
板として機能し、余分な励起光は、シリコン酸化膜3に
入射・透過される。一方、シリコン酸化膜3の下面にあ
るシリコン基板2は反射基板として機能し、シリコン酸
化膜3を透過した余分な励起光は、シリコン基板2の鏡
面によって反射されて、光路Loutによって反射光とし
て出射される。
方向、例えば図中に示されている光路Linの方向、から
入射して、試料分子Aに照射される。これによって、試
料分子Aは励起され、例えば光路Lによって蛍光を放出
する。このとき、試料分子Aが付着している蛍光分析用
基板1の上面を形成しているシリコン酸化膜3は透明基
板として機能し、余分な励起光は、シリコン酸化膜3に
入射・透過される。一方、シリコン酸化膜3の下面にあ
るシリコン基板2は反射基板として機能し、シリコン酸
化膜3を透過した余分な励起光は、シリコン基板2の鏡
面によって反射されて、光路Loutによって反射光とし
て出射される。
【0018】すなわち、上記のような構成による蛍光分
析用基板1とすることによって、反射基板であるシリコ
ン基板2についていえば、その試料分子Aが付着・固定
される面にシリコン酸化膜3が形成されていることによ
って、余分な励起光を反射して蛍光の視野から取り除く
機能と、シリコン基板2に起因した消光作用の抑制とを
両立させることができる。また、透明基板であるシリコ
ン酸化膜3についていえば、充分な機械的強度を有する
シリコン基板2上に薄い膜として形成されていることに
よって、余分な励起光を透過して蛍光から分離する機能
と、励起光がシリコン酸化膜3を透過するときに生じる
ノイズ光の抑制とを両立させることができる。
析用基板1とすることによって、反射基板であるシリコ
ン基板2についていえば、その試料分子Aが付着・固定
される面にシリコン酸化膜3が形成されていることによ
って、余分な励起光を反射して蛍光の視野から取り除く
機能と、シリコン基板2に起因した消光作用の抑制とを
両立させることができる。また、透明基板であるシリコ
ン酸化膜3についていえば、充分な機械的強度を有する
シリコン基板2上に薄い膜として形成されていることに
よって、余分な励起光を透過して蛍光から分離する機能
と、励起光がシリコン酸化膜3を透過するときに生じる
ノイズ光の抑制とを両立させることができる。
【0019】図1に示された蛍光分析用基板1によるこ
のような効果を充分に得るためには、シリコン酸化膜3
の好適な厚さの範囲を決定することが実用上極めて重要
である。発明者らは、その範囲の下限を決定するため
に、シリコン酸化膜3の厚さと、蛍光寿命との相関につ
いて測定を行った。なお、絶縁体膜と蛍光寿命との相関
については、アルミニウム基板に関して「J.Chem.Phys.
Vol.98, No.7, p.5276-5280 (1993)」に記載されてい
るが、アルミニウムとシリコンとでは、その性質が全く
異なる。したがって、シリコン基板におけるシリコン酸
化膜による蛍光寿命の変化と、それによる消光作用の抑
制効果とは、以下に示す発明者らによる測定結果によっ
てはじめて明らかになったものである。
のような効果を充分に得るためには、シリコン酸化膜3
の好適な厚さの範囲を決定することが実用上極めて重要
である。発明者らは、その範囲の下限を決定するため
に、シリコン酸化膜3の厚さと、蛍光寿命との相関につ
いて測定を行った。なお、絶縁体膜と蛍光寿命との相関
については、アルミニウム基板に関して「J.Chem.Phys.
Vol.98, No.7, p.5276-5280 (1993)」に記載されてい
るが、アルミニウムとシリコンとでは、その性質が全く
異なる。したがって、シリコン基板におけるシリコン酸
化膜による蛍光寿命の変化と、それによる消光作用の抑
制効果とは、以下に示す発明者らによる測定結果によっ
てはじめて明らかになったものである。
【0020】図2に、上述した測定によって求められ
た、酸化膜の厚さ及び蛍光寿命の相関を示す。また、実
線は、上記文献に示されたアルミニウムについての計算
に基づいて発明者らが検討し、必要な変更等を行った上
でシリコンについて行った計算の結果である。測定は、
1.1nm、2.0nm、4.3nm、6.2nm、9.8nm、
18.2nm、及び26.0nmの7種類の厚さのシリコン
酸化膜が形成された基板を用いて行われた。これらの基
板上の酸化膜の作成方法については、厚さ4.3nm以上
のものについては、はじめに厚さ26.0nmのものを熱
酸化法によって作成し、それを濃度1.6%のHF(フ
ッ酸)水溶液によって処理して作成した。厚さ2.0nm
のものについては、水素終端した<100>面をプラズ
マ酸化させて作成した。また、厚さ1.1nmのものにつ
いては、自然酸化膜が付いた<100>基板をそのまま
用いた。形成される酸化膜の厚さについては、HF処理
の時間によって制御し、その厚さはエリプソメータによ
って評価した。また、厚さが薄い自然酸化膜について
は、オージェ電子分光法によって厚さを評価した。
た、酸化膜の厚さ及び蛍光寿命の相関を示す。また、実
線は、上記文献に示されたアルミニウムについての計算
に基づいて発明者らが検討し、必要な変更等を行った上
でシリコンについて行った計算の結果である。測定は、
1.1nm、2.0nm、4.3nm、6.2nm、9.8nm、
18.2nm、及び26.0nmの7種類の厚さのシリコン
酸化膜が形成された基板を用いて行われた。これらの基
板上の酸化膜の作成方法については、厚さ4.3nm以上
のものについては、はじめに厚さ26.0nmのものを熱
酸化法によって作成し、それを濃度1.6%のHF(フ
ッ酸)水溶液によって処理して作成した。厚さ2.0nm
のものについては、水素終端した<100>面をプラズ
マ酸化させて作成した。また、厚さ1.1nmのものにつ
いては、自然酸化膜が付いた<100>基板をそのまま
用いた。形成される酸化膜の厚さについては、HF処理
の時間によって制御し、その厚さはエリプソメータによ
って評価した。また、厚さが薄い自然酸化膜について
は、オージェ電子分光法によって厚さを評価した。
【0021】上述した各々の基板上に、特開平10−1
85782号に記載されている方法によって、その蛍光
特性が良く知られているローダミンBのメタノール溶液
(10-4M)を用いてローダミンBのフィルムを形成
し、これを試料として蛍光寿命の測定を行った。測定系
の概要のブロック図を図3に示す。CWアルゴンイオン
レーザ91を励起光源(経路90a、波長488nm+5
14.5nm)としたフェムト秒モード同期チタンサファ
イアレーザ92の出力(経路90b、波長〜800nm、
繰り返し周波数〜76MHz、パルス幅〜100fs)の一
部をシード光とし、再生増幅器93によって増幅した後
(経路90c、波長〜800nm、繰り返し周波数〜20
0kHz、パルス幅〜200fs)、光パラメトリック増幅
器94を用いて、試料であるローダミンBの吸収帯の極
大付近に波長変換(経路90d、波長〜540nm、繰り
返し周波数〜200kHz、パルス幅〜200fs)を行っ
て、酸化膜が形成され、その上に試料が載せられている
蛍光分析用基板1にその光を励起光として入射した。励
起光の入射系には、適宜必要なレンズ系が設置された。
85782号に記載されている方法によって、その蛍光
特性が良く知られているローダミンBのメタノール溶液
(10-4M)を用いてローダミンBのフィルムを形成
し、これを試料として蛍光寿命の測定を行った。測定系
の概要のブロック図を図3に示す。CWアルゴンイオン
レーザ91を励起光源(経路90a、波長488nm+5
14.5nm)としたフェムト秒モード同期チタンサファ
イアレーザ92の出力(経路90b、波長〜800nm、
繰り返し周波数〜76MHz、パルス幅〜100fs)の一
部をシード光とし、再生増幅器93によって増幅した後
(経路90c、波長〜800nm、繰り返し周波数〜20
0kHz、パルス幅〜200fs)、光パラメトリック増幅
器94を用いて、試料であるローダミンBの吸収帯の極
大付近に波長変換(経路90d、波長〜540nm、繰り
返し周波数〜200kHz、パルス幅〜200fs)を行っ
て、酸化膜が形成され、その上に試料が載せられている
蛍光分析用基板1にその光を励起光として入射した。励
起光の入射系には、適宜必要なレンズ系が設置された。
【0022】試料から発生した蛍光は、レンズ95によ
って集光かつ平行化された後、レンズ96によってポリ
クロメータ97の入射スリット上に結像された。ポリク
ロメータ97によって分光されたスペクトル(蛍光像)
は、最終的にストリークカメラ98の光電面に結像さ
れ、波長及び時間が分解された蛍光の測定が行われた。
って集光かつ平行化された後、レンズ96によってポリ
クロメータ97の入射スリット上に結像された。ポリク
ロメータ97によって分光されたスペクトル(蛍光像)
は、最終的にストリークカメラ98の光電面に結像さ
れ、波長及び時間が分解された蛍光の測定が行われた。
【0023】以上のようにして得られた図2に示す測定
結果によれば、シリコン酸化膜3の厚さが15nm以下で
は、厚さの増加に伴って蛍光寿命が急激に増加している
ことがわかる。特にこの領域では、測定値が計算値をも
大幅に上回っている。また、厚さが15nm以上になる
と、蛍光寿命の増加の程度が減少し、次第にある値に漸
近し安定化している。この値は、石英基板上で得られた
蛍光寿命2.6nsと対応している。この結果より、シリ
コン酸化膜3の好適な厚さの範囲の下限は、その蛍光寿
命が漸近値の半分程度に達する厚さ10nmとすることが
望ましい。なお、このような蛍光寿命の酸化膜厚さへの
依存性は、前記の文献「J.Chem.Phys. Vol.98, No.7,
p.5276-5280 (1993)」に記載されているように、原理的
に蛍光物質の種類にはよらないものである。
結果によれば、シリコン酸化膜3の厚さが15nm以下で
は、厚さの増加に伴って蛍光寿命が急激に増加している
ことがわかる。特にこの領域では、測定値が計算値をも
大幅に上回っている。また、厚さが15nm以上になる
と、蛍光寿命の増加の程度が減少し、次第にある値に漸
近し安定化している。この値は、石英基板上で得られた
蛍光寿命2.6nsと対応している。この結果より、シリ
コン酸化膜3の好適な厚さの範囲の下限は、その蛍光寿
命が漸近値の半分程度に達する厚さ10nmとすることが
望ましい。なお、このような蛍光寿命の酸化膜厚さへの
依存性は、前記の文献「J.Chem.Phys. Vol.98, No.7,
p.5276-5280 (1993)」に記載されているように、原理的
に蛍光物質の種類にはよらないものである。
【0024】一方、厚さの上限については、例えばレー
リー散乱などによるノイズ光の影響の増加によって2.
5μmに制限される。厚さ2.5μm以下からのノイズ光
については、空間的分離手段を用いずに、例えば光学フ
ィルタのみで分離することが可能であるが、2.5μm
以上の厚さとなると、ノイズ光の強度の増加とともに、
空間的分離手段(例えばピンホールなど)をも併用する
ことが必要となる。特に、微量な試料についての蛍光分
析においては、しばしば蛍光を集光するためのレンズと
して開口数(NA)の大きいものが使用されることがあ
るが、このような場合、特にシリコン酸化膜の2.5μ
mを超える深い領域からのノイズ光が蛍光と合わせて集
光され測定されることになり、測定のS/N比を悪化さ
せる原因となる。したがって、シリコン酸化膜3の好適
な厚さの範囲の上限は、厚さ2.5μmとすることが望
ましい。
リー散乱などによるノイズ光の影響の増加によって2.
5μmに制限される。厚さ2.5μm以下からのノイズ光
については、空間的分離手段を用いずに、例えば光学フ
ィルタのみで分離することが可能であるが、2.5μm
以上の厚さとなると、ノイズ光の強度の増加とともに、
空間的分離手段(例えばピンホールなど)をも併用する
ことが必要となる。特に、微量な試料についての蛍光分
析においては、しばしば蛍光を集光するためのレンズと
して開口数(NA)の大きいものが使用されることがあ
るが、このような場合、特にシリコン酸化膜の2.5μ
mを超える深い領域からのノイズ光が蛍光と合わせて集
光され測定されることになり、測定のS/N比を悪化さ
せる原因となる。したがって、シリコン酸化膜3の好適
な厚さの範囲の上限は、厚さ2.5μmとすることが望
ましい。
【0025】以上から、本発明においては、シリコン酸
化膜3の好適な厚さの範囲を10nm以上2.5μm以下
としている。実用上は、測定を行うときに試料の量など
の測定の諸条件に応じて、上記範囲内において最も好適
な厚さを選択して使用すれば良い。
化膜3の好適な厚さの範囲を10nm以上2.5μm以下
としている。実用上は、測定を行うときに試料の量など
の測定の諸条件に応じて、上記範囲内において最も好適
な厚さを選択して使用すれば良い。
【0026】蛍光測定においては、蛍光分析用基板の表
面に試料分子とは別に外来の不純物分子が付着し、ノイ
ズ光の一因となる。特に、試料が単一分子など微量な試
料である場合、これらの不純物分子に起因するノイズ光
の影響を最小限に抑えるように基板を構成する必要があ
る。図4に、そのような基板の構成の一例を示す。ま
た、図5は、図4に示した蛍光分析用基板のI−I矢印
断面図である。なお、図5においては、説明のため試料
分子A及び不純物分子Bが図示されている。
面に試料分子とは別に外来の不純物分子が付着し、ノイ
ズ光の一因となる。特に、試料が単一分子など微量な試
料である場合、これらの不純物分子に起因するノイズ光
の影響を最小限に抑えるように基板を構成する必要があ
る。図4に、そのような基板の構成の一例を示す。ま
た、図5は、図4に示した蛍光分析用基板のI−I矢印
断面図である。なお、図5においては、説明のため試料
分子A及び不純物分子Bが図示されている。
【0027】この蛍光分析用基板1は、蛍光領域1a
(図中に円形で示された領域、符号はそのうちの1つに
付されている)と、消光領域1b(上述した円形以外の
領域)とを有して構成されている。測定に用いる場合に
は、このうちの蛍光領域1a上に試料分子が配置され
る。
(図中に円形で示された領域、符号はそのうちの1つに
付されている)と、消光領域1b(上述した円形以外の
領域)とを有して構成されている。測定に用いる場合に
は、このうちの蛍光領域1a上に試料分子が配置され
る。
【0028】蛍光領域1aは、シリコン基板2及びその
上に形成されたシリコン酸化膜3からなる領域であり、
蛍光領域1a上に配置された試料分子Aからの蛍光は、
シリコン基板2による消光作用を受けることなく、充分
な強度(充分な長さの蛍光寿命)の蛍光を発する。一
方、消光領域1bは、シリコン基板2のみからなる領域
であり、試料分子Aは配置されず、消光領域1b上の不
純物分子Bからの蛍光は、シリコン基板2による消光作
用によって極めて弱い強度に抑制される。このように、
必要な部位にのみシリコン酸化膜3を形成して蛍光領域
1aを構成し、それ以外の領域についてはシリコン基板
2のみの消光領域1bとして不純物分子からのノイズ光
を抑制することによって、特に微量な試料についての測
定においてその効率を大幅に高めることができる。
上に形成されたシリコン酸化膜3からなる領域であり、
蛍光領域1a上に配置された試料分子Aからの蛍光は、
シリコン基板2による消光作用を受けることなく、充分
な強度(充分な長さの蛍光寿命)の蛍光を発する。一
方、消光領域1bは、シリコン基板2のみからなる領域
であり、試料分子Aは配置されず、消光領域1b上の不
純物分子Bからの蛍光は、シリコン基板2による消光作
用によって極めて弱い強度に抑制される。このように、
必要な部位にのみシリコン酸化膜3を形成して蛍光領域
1aを構成し、それ以外の領域についてはシリコン基板
2のみの消光領域1bとして不純物分子からのノイズ光
を抑制することによって、特に微量な試料についての測
定においてその効率を大幅に高めることができる。
【0029】本発明による蛍光分析用基板は、例えば特
開平6−148076号に記載されているような蛍光分
析装置において適用することが可能である。図6に、そ
のような蛍光分析装置の一実施形態の構成図を示す。こ
の装置は、試料分子が表面に付着した本発明による蛍光
分析用基板1の表面に励起光を照射する励起光源10
と、励起光の照射位置で試料分子からの蛍光を検出する
蛍光検出手段であるフォトンカウンティングカメラシス
テム(カメラヘッド20、光学顕微鏡21、対物レンズ
22、カメラコントローラ24、コンピュータ25、モ
ニタ26、MOディスクユニット27)とを備えてい
る。蛍光分析用基板1は、クラス1000以下のクリー
ンブースに配置され、清澄な雰囲気におかれている。こ
の装置は、核酸の塩基や蛋白など、蛍光を発する様々な
ものを試料として用い得る。また、蛍光を発しないもの
であっても、蛍光性物質と結合させて同様にして用い得
る。
開平6−148076号に記載されているような蛍光分
析装置において適用することが可能である。図6に、そ
のような蛍光分析装置の一実施形態の構成図を示す。こ
の装置は、試料分子が表面に付着した本発明による蛍光
分析用基板1の表面に励起光を照射する励起光源10
と、励起光の照射位置で試料分子からの蛍光を検出する
蛍光検出手段であるフォトンカウンティングカメラシス
テム(カメラヘッド20、光学顕微鏡21、対物レンズ
22、カメラコントローラ24、コンピュータ25、モ
ニタ26、MOディスクユニット27)とを備えてい
る。蛍光分析用基板1は、クラス1000以下のクリー
ンブースに配置され、清澄な雰囲気におかれている。こ
の装置は、核酸の塩基や蛋白など、蛍光を発する様々な
ものを試料として用い得る。また、蛍光を発しないもの
であっても、蛍光性物質と結合させて同様にして用い得
る。
【0030】励起光源10としては例えば波長488nm
のアルゴンガスレーザが用いられ、レンズ11を介して
試料に励起光が照射される。また、励起光源10は、図
に示すように励起光が蛍光分析用基板1に対して斜め方
向から入射するように配置されている。
のアルゴンガスレーザが用いられ、レンズ11を介して
試料に励起光が照射される。また、励起光源10は、図
に示すように励起光が蛍光分析用基板1に対して斜め方
向から入射するように配置されている。
【0031】フォトンカウンティングカメラシステム
は、試料の位置を検出するもので、微弱な光を検出でき
るものを用いる。ここでは、光学顕微鏡21、22を装
着した浜松ホトニクスのイメージング・画像解析システ
ム(ARGUS 50 VIM 3)で構成し、光子を計数して2次元
的に微弱な光検出が可能になっている。光学顕微鏡2
1、22は、蛍光分析用基板1上の試料からの蛍光を集
めるためのもので、ここでは、40倍(0.55NA)或いは
100倍(0.75NA)の対物レンズ(NIKON)を有するも
のを用いて構成している。カメラヘッド20には、51
2×512画素で高感度のもの(VIM 3)が用いられ、
40倍の対物レンズでの1画素の幅0.3μmとしてい
る。蛍光分析用基板1からの蛍光がカメラヘッド20で
画像信号に変換され、カメラコントローラ24、パーソ
ナルコンピュータ25、モニタ26、及びMOディスク
ユニット27で信号の蓄積(蛍光のフォトンカウンティ
ング)、画像処理、画像の表示、及び記録の保存がなさ
れる。
は、試料の位置を検出するもので、微弱な光を検出でき
るものを用いる。ここでは、光学顕微鏡21、22を装
着した浜松ホトニクスのイメージング・画像解析システ
ム(ARGUS 50 VIM 3)で構成し、光子を計数して2次元
的に微弱な光検出が可能になっている。光学顕微鏡2
1、22は、蛍光分析用基板1上の試料からの蛍光を集
めるためのもので、ここでは、40倍(0.55NA)或いは
100倍(0.75NA)の対物レンズ(NIKON)を有するも
のを用いて構成している。カメラヘッド20には、51
2×512画素で高感度のもの(VIM 3)が用いられ、
40倍の対物レンズでの1画素の幅0.3μmとしてい
る。蛍光分析用基板1からの蛍光がカメラヘッド20で
画像信号に変換され、カメラコントローラ24、パーソ
ナルコンピュータ25、モニタ26、及びMOディスク
ユニット27で信号の蓄積(蛍光のフォトンカウンティ
ング)、画像処理、画像の表示、及び記録の保存がなさ
れる。
【0032】なお、これらのフォトンカウンティングカ
メラシステムは、蛍光分析用基板1に入射される励起光
の光路、及びその反射光の光路、以外の位置に配置され
ている。また、蛍光分析用基板1は、図示せぬ駆動装置
により位置及び回転が制御され、測定される視野に入る
ようにその位置が制御されるように構成されている。
メラシステムは、蛍光分析用基板1に入射される励起光
の光路、及びその反射光の光路、以外の位置に配置され
ている。また、蛍光分析用基板1は、図示せぬ駆動装置
により位置及び回転が制御され、測定される視野に入る
ようにその位置が制御されるように構成されている。
【0033】本発明による蛍光分析用基板は、上記した
実施形態のものに限られない。特に、図4に示したよう
な蛍光領域及び消光領域を有する蛍光分析用基板の場合
には、その蛍光領域形成のパターンは、用途に応じて様
々な形態・形状に設定することが可能である。また、蛍
光分析装置は、上記の構成に限るものではなく、様々な
構成による蛍光分析装置に本発明による蛍光分析用基板
を適用することができる。
実施形態のものに限られない。特に、図4に示したよう
な蛍光領域及び消光領域を有する蛍光分析用基板の場合
には、その蛍光領域形成のパターンは、用途に応じて様
々な形態・形状に設定することが可能である。また、蛍
光分析装置は、上記の構成に限るものではなく、様々な
構成による蛍光分析装置に本発明による蛍光分析用基板
を適用することができる。
【0034】
【発明の効果】本発明による蛍光分析用基板は、以上詳
細に説明したように、次のような効果を得る。すなわ
ち、シリコン基板及びシリコン酸化膜からなる基板を蛍
光分析用基板として適用することによって、シリコン基
板を反射基板、シリコン酸化膜を透明基板として機能さ
せて、消光作用を抑制して蛍光寿命を長くし、かつノイ
ズ光の寄与を抑えて測定のS/N比が改善された蛍光分
析用基板とすることができる。このとき、シリコン酸化
膜の厚さについては、10nm以上2.5μm以下に設定
することによって、好適な特性を有する蛍光分析用基板
を実現される。また、このような構成を、試料分子が付
着される領域のみに形成して蛍光領域とし、それ以外の
領域を消光領域として、蛍光分析用基板を構成すること
も可能である。これらによって、特に単一分子の場合な
ど微量な試料についての測定を行う場合に、その測定効
率を大幅に向上させることができる。
細に説明したように、次のような効果を得る。すなわ
ち、シリコン基板及びシリコン酸化膜からなる基板を蛍
光分析用基板として適用することによって、シリコン基
板を反射基板、シリコン酸化膜を透明基板として機能さ
せて、消光作用を抑制して蛍光寿命を長くし、かつノイ
ズ光の寄与を抑えて測定のS/N比が改善された蛍光分
析用基板とすることができる。このとき、シリコン酸化
膜の厚さについては、10nm以上2.5μm以下に設定
することによって、好適な特性を有する蛍光分析用基板
を実現される。また、このような構成を、試料分子が付
着される領域のみに形成して蛍光領域とし、それ以外の
領域を消光領域として、蛍光分析用基板を構成すること
も可能である。これらによって、特に単一分子の場合な
ど微量な試料についての測定を行う場合に、その測定効
率を大幅に向上させることができる。
【0035】また、上記のような蛍光分析用基板を用い
て蛍光分析装置を構成することによって、単一分子など
の微量な試料を測定対象とする場合を含めて、蛍光測定
の効率を高めた蛍光分析装置を実現することができる。
て蛍光分析装置を構成することによって、単一分子など
の微量な試料を測定対象とする場合を含めて、蛍光測定
の効率を高めた蛍光分析装置を実現することができる。
【図1】本発明に係る蛍光分析用基板の一実施形態の構
成を概略的に示す断面図である。
成を概略的に示す断面図である。
【図2】シリコン基板を用いた蛍光分析用基板における
シリコン酸化膜の厚さと蛍光寿命との相関を示すグラフ
である。
シリコン酸化膜の厚さと蛍光寿命との相関を示すグラフ
である。
【図3】図2に示した蛍光寿命の測定装置の概略を示す
ブロック図である。
ブロック図である。
【図4】本発明に係る蛍光分析用基板の他の実施形態の
構成を示す斜視図である。
構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示した蛍光分析用基板のI−I矢印断面
図である。
図である。
【図6】本発明に係る蛍光分析装置の一実施形態を示す
構成図である。
構成図である。
1…蛍光分析用基板、1a…蛍光領域、1b…消光領
域、2…シリコン基板、3…シリコン酸化膜、10…励
起光源、11…レンズ、20…カメラヘッド、21…光
学顕微鏡、22…対物レンズ、24…カメラコントロー
ラ、25…コンピュータ、26…モニタ、27…MOデ
ィスクユニット。
域、2…シリコン基板、3…シリコン酸化膜、10…励
起光源、11…レンズ、20…カメラヘッド、21…光
学顕微鏡、22…対物レンズ、24…カメラコントロー
ラ、25…コンピュータ、26…モニタ、27…MOデ
ィスクユニット。
フロントページの続き (72)発明者 安田 哲二 茨城県つくば市東1丁目1番4 工業技術 院 産業技術融合領域研究所内 Fターム(参考) 2G043 AA01 BA16 CA03 DA02 DA06 EA01 FA03 GA07 GB01 GB03 HA01 HA02 JA04 KA09 LA03 MA01 NA13 2G054 AA03 AB07 BA03 BB06 CD01 CD03 EA03 FA17 FB10 GA04 GA05 GB02 GE02 GE03 GE07 JA10
Claims (3)
- 【請求項1】 蛍光分析を行う蛍光性分子を含む試料を
シリコン基板の一方の面に付着させる蛍光分析用基板で
あって、 前記シリコン基板の前記一方の面側に、厚さ10nm以上
2.5μm以下のシリコン酸化膜が形成されたことを特
徴とする蛍光分析用基板。 - 【請求項2】 蛍光分析を行う蛍光性分子を含む試料を
シリコン基板の一方の面に付着させる蛍光分析用基板で
あって、 前記シリコン基板の前記一方の面は、前記蛍光性分子を
含む試料を付着させる領域である蛍光領域と、蛍光の発
生が抑制される消光領域とに区分され、 前記蛍光領域は、前記シリコン基板の前記一方の面側
に、厚さ10nm以上2.5μm以下のシリコン酸化膜が
形成された部位上に形成され、 前記消光領域は、前記シリコン基板が露出された部位上
に形成されていることを特徴とする蛍光分析用基板。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の蛍光分析用基
板を用いて構成され、 前記蛍光性分子を含む試料を前記一方の面に付着させた
前記蛍光分析用基板の局所領域に励起光を照射する励起
光源と、 前記局所領域内の前記蛍光性分子を含む試料からの蛍光
を検出し、前記蛍光の強度を測定する蛍光検出手段とを
有する蛍光分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27845398A JP2000111477A (ja) | 1998-09-30 | 1998-09-30 | 蛍光分析用基板及び蛍光分析装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27845398A JP2000111477A (ja) | 1998-09-30 | 1998-09-30 | 蛍光分析用基板及び蛍光分析装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000111477A true JP2000111477A (ja) | 2000-04-21 |
Family
ID=17597560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27845398A Pending JP2000111477A (ja) | 1998-09-30 | 1998-09-30 | 蛍光分析用基板及び蛍光分析装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000111477A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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US7588641B2 (en) | 2001-08-30 | 2009-09-15 | Hamamatsu Photonics K.K. | Method of forming liquid-drops of mixed liquid, and device for forming liquid-drops of mixed liquid |
US7607753B2 (en) | 2004-08-20 | 2009-10-27 | Hamamatsu Photonics K.K. | Liquid droplet forming method and liquid droplet forming device |
WO2013035408A1 (ja) * | 2011-09-09 | 2013-03-14 | シャープ株式会社 | 粒子検出装置 |
JP2015096854A (ja) * | 2008-06-06 | 2015-05-21 | バイオナノ ジェノミックス、インク. | 集積分析装置及び関連した製造方法及び分析技術 |
-
1998
- 1998-09-30 JP JP27845398A patent/JP2000111477A/ja active Pending
Cited By (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9533879B2 (en) | 2008-06-02 | 2017-01-03 | Bionano Genomics, Inc. | Integrated analysis devices and related fabrication methods and analysis techniques |
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US10654715B2 (en) | 2008-06-06 | 2020-05-19 | Bionano Genomics, Inc. | Integrated analysis devices and related fabrication methods and analysis techniques |
US11292713B2 (en) | 2008-06-06 | 2022-04-05 | Bionano Genomics, Inc. | Integrated analysis device analysis techniques |
US12071340B2 (en) | 2008-06-06 | 2024-08-27 | Bionano Genomics, Inc. | Integrated analysis devices and related fabrication methods and analysis techniques |
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US8901512B2 (en) | 2011-09-09 | 2014-12-02 | Sharp Kabushiki Kaisha | Particle detector |
EP2755020A4 (en) * | 2011-09-09 | 2015-04-22 | Sharp Kk | DEVICE FOR DETECTING PARTICLES |
JP2013057626A (ja) * | 2011-09-09 | 2013-03-28 | Sharp Corp | 粒子検出装置 |
WO2013035408A1 (ja) * | 2011-09-09 | 2013-03-14 | シャープ株式会社 | 粒子検出装置 |
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