JP2000110402A - 浮体型免震構造物 - Google Patents

浮体型免震構造物

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JP2000110402A
JP2000110402A JP28545398A JP28545398A JP2000110402A JP 2000110402 A JP2000110402 A JP 2000110402A JP 28545398 A JP28545398 A JP 28545398A JP 28545398 A JP28545398 A JP 28545398A JP 2000110402 A JP2000110402 A JP 2000110402A
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air chamber
floating
seismic isolation
air
isolation structure
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Muneji Mizogami
宗二 溝上
Shinkichi Tanigaki
信吉 谷垣
Masami Matsuura
正己 松浦
Yoichi Yamaguchi
洋一 山口
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水平及び鉛直方向の地震動に対して十分な免震
効果を有する浮体型免震構造物を提供すること。 【解決手段】流体3中に浮揚することで免震性を有する
浮体型免震構造物において、当該構造物1の底部に空気
が注入された空気室11を設け、前記空気室11が水平
方向へ複数に分割されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体に浮揚される
ことで免震性を有するビルディング、倉庫などの浮体型
免震構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、構造物を流体に浮揚されることで
免震性を向上させる浮体型免震構造物が考えられてい
る。従来の浮体型免震構造物では、水平地震動に対する
免震性を有しているが、鉛直(上下)地震動に対する免
震性は有していなかった。その対策として、以下に示す
ように浮体底部に空気室を設置する構成が考えられてい
る。
【0003】図14は、従来例に係る浮体型免震構造物
の構成を示す側断面図である。図14において、貯槽2
には水等の流体3が貯められており、その流体3中に構
造物1が浮揚されている。構造物1底部における側壁1
5,15間には空気が注入された空気室11が設けられ
ている。
【0004】このような空気室11を設けた浮体型免震
構造物によれば、浮体のみでは得られない鉛直地震動に
対する免震性を、浮体底部の空気室11によるエアーク
ッション効果で得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら図14に
示した如き浮体型免震構造物では、風圧、偏荷重等に対
する静的安定性、復元性が十分でない。それを維持する
ために側壁15の厚みを厚くすると、空気室11の面積
が狭くなる。このため、空気室11を設置したことによ
る免震効果が減少してしまうという問題がある。
【0006】本発明の目的は、水平及び鉛直方向の地震
動に対して十分な免震効果を有する浮体型免震構造物を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の浮体型免震構造物は以下の如
く構成されている。 (1)本発明の浮体型免震構造物は、流体中に浮揚する
ことで免震性を有する浮体型免震構造物において、当該
構造物の底部に空気が注入された空気室を設け、前記空
気室が水平方向へ複数に分割されている。 (2)本発明の浮体型免震構造物は上記(1)に記載の
構造物であり、かつ前記空気室は当該構造物の一方向に
対して少なくとも四つに等分割されている。 (3)本発明の浮体型免震構造物は上記(1)または
(2)に記載の構造物であり、かつ前記空気室の水平方
向の面積を当該構造物の水平方向の全面積で割った値が
0.2以上である。 (4)本発明の浮体型免震構造物は上記(1)乃至
(3)のいずれかに記載の構造物であり、かつ分割され
た前記空気室の部屋の頂部から流体面までの距離を異な
るように構成した。 (5)本発明の浮体型免震構造物は上記(1)乃至
(4)のいずれかに記載の構造物であり、かつ前記空気
室を複数の隔壁により分割し、少なくとも一つの前記隔
壁の下部に流体面と平行をなすよう板状の部材を設け
た。
【0008】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)図1は、本
発明の第1の実施の形態に係る浮体型免震構造物の構成
を示す側断面図である。図1において、貯槽2には水等
の流体3が貯められており、その流体3中に構造物1が
浮揚されている。構造物1底部には空気が注入された空
気室11が設けられており、この空気室11は構造物1
の底面に対して垂直をなす複数の隔壁12により、水平
方向(構造物1の底面と平行な方向)へ複数の部屋13
に等分割されている。
【0009】図2は、図1に示す空気室11の平断面図
である。この空気室11は、幅方向(X方向)、奥方向
(Y方向)ともに、各々五つの隔壁12により4分割さ
れている。すなわち、空気室11は全体で16分割され
ている。
【0010】図3は、本第1の実施の形態による底部に
空気室を有した浮体型免震構造物(以下、浮体と称す)
の側断面図であり、浮体の底部に空気室を設けた場合の
静的安定性、復元力を説明するための図である。図3に
おいて、浮体(構造物)1の傾斜角θ、浮体1の重心位
置の上下変位Δz、及び浮体1が傾斜したとき空気室1
1の高さ(水面から室頂部までの距離)は分割された各
部屋13毎に異なるため、各部屋13における水面位置
までの深さを未知数として考える。したがって、空気室
11に隔壁を設け一方向n個の部屋に等分割した場合、
未知数の数は図3に示すようにz1 ,z2 ,z3 ,z4
,zL ,zR の(n+2)個となる。
【0011】これに対して、浮体1に作用する力のつり
合い式として、上下方向の力のつり合い式と、重心周り
のモーメントのつり合い式が得られる。また、空気室の
状態変化を断熱変化と考えると、気体の熱力学的考察か
ら各部屋においてつり合い式を得ることができる。空気
室11は一方向n個に分割されているので、各式の数は
(n+2)個ずつとなる。以下、これら各式について説
明する。
【0012】(1) 上下方向の力のつり合い 浮体1の底面に作用する空気室の静水圧の鉛直方向成分
をF1 , 側面に作用する静水圧の鉛直方向成分をF2 と
すると、その合計が浮体1の排水量Wとつりあう。この
つりあい式を表すと次式(1)となる。
【0013】 F1 −F2 = W …(1) ただし、
【数1】 である。ここで、Bは浮体1の幅、ρは水の密度を表
す。zi は空気室11における水面の位置(浮体1全体
が浮いている水面と各部屋の水面とのなす距離)を表
し、左端の部屋から順にi=1,2,…,nで示す。
【0014】(2) 重心周りのモーメントのつりあい 浮体1の右側面の静水圧による重心周りのモーメントを
M1 、左側面の静水圧による重心周りのモーメントをM
2 、底面に作用する空気室11の静水圧による重心周り
のモーメントをM3 とおくと、その合計が浮体1の復元
力Mと等しくなる。このつりあい式を表すと次式(4)
となる。
【0015】 −M1 + M2 +M3 =M …(4) ただし、
【数2】 である。ここで、zR ,zL は図1に示すように浮体1
の底面端部のz座標(浮体1の左側方の水面と左端底部
とのなす距離をzL で表し、浮体1の右側方の水面と右
端底部とのなす距離をzR で表す)、
【数3】 は重心高である。
【0016】(3) 空気室の気体の状態方程式 外力により空気室11内の水位が変化して、圧力がΔp
i 、体積がΔvi 増加したとすると、この変化を断熱変
化であると仮定すれば、次式(8)が成り立つ。
【0017】 pvγ =(p+Δpi )(v+Δvi )γ …(8) ここで、γは空気の比熱比(γ=1.4)、pとvはそ
れぞれ傾斜していない状態における空気室11の圧力と
体積を表す。Δvi の値は小さいので、上式(8)を二
項級数展開して1次の項をとると、
【数4】 となる。したがって、
【数5】 と表される。上式において、pi ,vi はそれぞれ、
【数6】 と表されるので、vi は未知数θ,Δz,zi による方
程式となる。
【0018】以上の検討結果から、浮体1がθ傾斜した
ときの復元力Mを求めることができる。浮体1は2次元
浮体であると考え、排水量などは浮体1の長さ(奥行
き)Lで除している。また、排水量が一定となるよう
に、吃水d0 と空気室11の高さh0 を調整してd0 +
h0 =5mとなるようにした。すなわち、排水量の何%
を空気室11で受け持つかを調整したことになる。
【0019】図4〜図6は、試算した復元力曲線を示し
ており、浮体の底部に空気室を設けた場合の復元力の消
失量を示している。横軸は傾斜角度(deg.)を示
し、縦軸は復元力(ton×m)を示している。図4は
排水量が一定で空気室11の高さが1mの場合、図5は
排水量が一定で空気室11の高さが2mの場合、図6は
排水量が一定で空気室11の高さが3mの場合を示して
いる。
【0020】これらの結果から、空気室に隔壁を設けな
ければ復元力を消失してしまうため、隔壁を設けて空気
室を分割する必要があることが分かる。図4〜図7によ
れば、例えば空気室を4個(n=4)の部屋に分ける
と、隔壁を多数設けたとき(n=∞)と同程度まで復元
力を回復させることができることが分かる。
【0021】図8は、空気室の高さの影響を表した復元
力曲線を示す図である。図8に示すように、空気室が高
くなるに従い復元力の消失も大きくなるが、排水量の6
0%を空気室で持つような場合、空気室の高さが3mで
あっても、復元力の消失は16%程である。以上の結果
から、空気室を設けた場合、隔壁と空気室の高さを適切
に設定することにより、十分な復元力を確保することが
可能になることが明らかになった。
【0022】以下、空気室の各部屋を気柱であるとみな
し、その気柱振動について説明する。一般に、両端閉の
管内の気柱振動数fN は次式(13)で示される。
【0023】 fn =Nc/2l(N=1,2,3,…) …(13) ここで、cは空気中の音速である。lは横方向の振動に
対しては空気室の幅B/nを用い、縦方向に対しては空
気室の高さh0 を用いる。いま、空気室内の温度を20
℃とすると、空気中の音速cは、 c=331.5+0.6t=343.5(m/s) …(14) になる。
【0024】まず、縦方向の気柱振動について、空気室
の部屋数nに対する気柱振動の第1次共振振動数f1 を
以下に示す。ここで、浮体1の幅Bは100mとした。
【0025】 n f1 (Hz) 2 3.435 3 5.153 4 6.870 5 8.588 6 10.305 以上のように、空気室の部屋数を増すと振動数も高くな
ることが分かる。地震の卓越周波数を1Hz程度と考え
ると、空気室において分割した部屋を数個設けていれ
ば、共振点から離れることが分かる。同様にして、横方
向の気柱振動について、空気室の高さに対する気柱振動
の第1次共振振動数f1 を以下に示す。
【0026】 h0 (m) f1 (Hz) 1 171.8 2 85.9 4 57.3 8 42.9 以上により、空気室の高さが数m程度であれば、地震の
卓越周期から十分離れていることが分かる。
【0027】以下、空気室におけるバネ定数について説
明する。空気室を浮体1の下部に設置した場合、空気は
圧縮しやすいためバネのように作用する。したがって、
空気と浮体1による共振が発生する。以下、静的につり
合った状態における圧力(絶対圧)がp0 、高さがh0
、面積がA0 である空気室のバネ定数kを考える。空
気室に外力が作用して高さがΔh縮み、圧力がΔp増加
したものとする。この変化は断熱変化であると仮定すれ
ば、 p0 h0 γ =(p0 +Δp)(h0 −Δh)γ …(15) が成り立つ。ここで、γは空気の比熱比(γ=1.4)
である。上式(15)の右辺を二項級数展開して1次の
近似式とすると、
【数7】 となる。ここで、Δhが微小であるとすれば、
【数8】 となり、バネ定数kは、
【数9】 となる。
【0028】このように、空気室と等価なバネのバネ定
数kは空気室の高さh0 に反比例する(空気室が高いと
バネ定数は低くなる)ため、その高さを変えることで共
振時における浮体1の応答を小さくすることができる。
【0029】図9の(a)〜(d)は、空気室の部屋の
高さを変更した浮体型免震構造物の構成を示す側断面図
である。図9の(a)では、浮体1の底部が平面をなし
ており、4個の部屋のうち内側の2部屋に外側の2部屋
より多くの空気を注入している。内側の2部屋内の水面
が外側の2部屋内の水面よりも加圧されるため、内側の
2部屋の高さは外側の2部屋の高さより高くなる。また
図9の(b)では、外側の2部屋内の水面が内側の2部
屋内の水面よりも加圧されるため、外側の2部屋の高さ
は内側の2部屋の高さより高くなる。このように、各部
屋内の水面(自由表面)を加圧することで各部屋の高さ
を調整することができる。
【0030】図9の(c)では、4個の部屋の水面は均
一であるが、内側の2部屋における浮体1の底部が外側
の2部屋における浮体1の底部より突出しているため、
内側の2部屋の高さが外側の2部屋の高さより低くな
る。また図9の(d)では、4個の部屋の水面は均一で
あるが、外側の2部屋における浮体1の底部が内側の2
部屋における浮体1の底部より突出しているため、外側
の2部屋の高さが内側の2部屋の高さより低くなる。こ
のように、各部屋における浮体1の底部の形状を変える
ことで各部屋の高さを調整することができる。
【0031】以下、浮体型免震構造物の地震に対する応
答特性を調べるためにモデル化を行なった結果を示す。
【0032】(1) 空気室の高さによる相違 次に、空気室において空気を流体とし、空気室の高さを
1mとしたモデルCについて計算した結果を示す。空気
室の高さを変更することにより異なる諸元を以下に示
す。
【0033】 モデルA モデルC 浮体密度(ton/m3 ) 2.33 1.24 空気室高さ(m) 3.0 1.0 空気室自由表面水深(m) 4.0 4.0 図10は、空気室の高さの異なるモデルA,Cにおける
計算結果に示す図である。図10から、共振周波数は空
気室の高さが高いほど低くなることが分かる。空気室の
高さは等価バネ定数と反比例することから、この共振は
空気室と浮体による固有振動により発生している。した
がって、空気室の高さを変えることで、共振周波数を地
震の卓越周波数から外すことができる。
【0034】(2) 浮体面積に対する空気室の面積比によ
る相違 固有振動を除いた浮体応答の重要なパラメータとして考
えられるものに、浮体底部の面積に対する空気室の面積
比があげられる。そこで、モデルAにおいて4個の部屋
全てを水で満たしたモデル(空気室の無いモデル)、4
個の部屋のうち内側の2個の部屋に水を満たし外側の2
個の部屋に空気を満たしたモデル(空気室2室のモデ
ル)、及び4個の部屋全てを空気で満たしたモデル(空
気室4室のモデル)における計算結果を比較した。その
場合の空気室の面積比を以下に示す。
【0035】 空気室無し 空気室2室 空気室4室 浮体面積に対する 0.0 0.4 0.8 空気室の面積比 図11は、浮体の面積に対する空気室の面積の比を変え
た場合の浮体の応答倍率の計算結果を示す図である。図
11では、空気室のないモデルでは、一般に知られてい
る通り応答倍率が1となっている。空気室を2室とした
モデルでは応答倍率は1以下であるが、空気室を4室と
したモデルの計算結果と比較すると応答倍率が大きい。
したがって、浮体の面積に対する空気室の面積の比が大
きいほど空気室による効果が高いといえる。
【0036】(第2の実施の形態)図12の(a)及び
(c)は、本発明の第2の実施の形態に係る浮体型免震
構造物の構成を示す側断面図であり、図12の(b)及
び(d)は、それぞれ図12の(a)及び(c)におけ
る付加重量の状態を示す図である。図12において図1
と同一な部分には同一符号を付し、重複する部分の詳細
説明を省略する。
【0037】図12の(a)に示すように浮体の底に板
14を付けると、図12の(b)に示すように付加重量
Ma1が増加し、固有周波数
【数10】 は下がる。また、図12の(c)に示すように板14を
水中に設置すると、浮体の重量が大きくなるので、図1
2の(d)に示すように付加重量Ma2がさらに増加し
(Ma1<Ma2)、共振点における加速度減少量が大きく
なり、その他の効果も大きくなる。
【0038】図13の(a),(b)は、図12の
(a),(c)に示すように隔壁12の下端に水平の板
14を取付けた模型における実験結果を示す図である。
図13の(a)は周波数と加速度応答倍率の関係、図1
3の(b)は周波数に対する加速度と振動の位相差の関
係を示す図である。縮小模型による実験であるため、図
10,図11の実物相当の計算結果と縦軸、横軸の数値
とが異なっている。
【0039】図13の(a)に示すa,bは、空気室の
高さが図12の(a)に示す状態における、水平の板1
4が無い場合と有る場合の実験結果である。図13の
(b)に示すc,dは、空気室の高さが図12の(c)
に示す状態における、水平の板14が無い場合と有る場
合の実験結果である。図13の(a),(b)から分か
るように、水平の板14を付けると、a→b、c→dの
ように共振周波数が下がり、共振点における加速度応答
倍率も低下している。
【0040】その理由は、図12の(a),(c)に示
すように水平の板14により付加重量が増加し、これが
周波数や加速度に影響を与えるためと考えられる。そし
て、水平の板14が水中にある方が、図12の(d)に
示すように付加重量が大きいため、加速度応答倍率の低
下も大きくなっている。(c→d>a→b) なお、本発明は上記各実施の形態のみに限定されず、要
旨を変更しない範囲で適時変形して実施できる。
【0041】(実施の形態のまとめ)実施の形態に示さ
れた構成及び作用効果をまとめると次の通りである。 [1]実施の形態に示された浮体型免震構造物は、流体
3中に浮揚することで免震性を有する浮体型免震構造物
において、当該構造物1の底部に空気が注入された空気
室11を設け、前記空気室11が水平方向へ複数に分割
されている。
【0042】したがって上記浮体型免震構造物によれ
ば、空気室11を分割することで浮体である構造物1の
静的安定性を維持し、かつ震動に対して復元力を有する
ことになり、かつ水平及び鉛直方向の地震動に対して十
分な免震効果を奏することができる。 [2]実施の形態に示された浮体型免震構造物は上記
[1]に記載の構造物であり、かつ前記空気室11は当
該構造物1の一方向に対して少なくとも四つに等分割さ
れている。
【0043】したがって上記浮体型免震構造物によれ
ば、空気室11を当該構造物1の一方向に対して少なく
とも四つに等分割することで、分割数∞のものに近い高
い復元力を得ることができ、かつ当該構造物1の中心に
対して点対称に分割することで、全ての方向に対し十分
な復元力を得ることができる。 [3]実施の形態に示された浮体型免震構造物は上記
[1]または[2]に記載の構造物であり、かつ前記空
気室11の水平方向の面積を当該構造物1の底部の面積
で割った値が0.2以上である。
【0044】したがって上記浮体型免震構造物によれ
ば、空気室11を分割する各隔壁12の厚さを薄くし、
浮体である構造物1底部の平面面積に対する前記空気室
11の平面面積を大きくすることで、前記浮体の没水部
が減り前記空気室11の平面面積を十分に広くすること
ができるため、浮体の免震効果が向上する。 [4]実施の形態に示された浮体型免震構造物は上記
[1]乃至[3]のいずれかに記載の構造物であり、か
つ分割された前記空気室11の各部屋13の頂部から流
体面までの距離を異なるように構成した。
【0045】したがって上記浮体型免震構造物によれ
ば、空気室11の全ての部屋13の高さを変えることで
構造物1と前記空気室11の共振周期を変えることがで
き、また部屋13毎に高さを変えることで前記空気室1
1が前記構造物1に与える力が相殺されることになり、
共振時の動揺が小さくなる。すなわち、部屋13の高さ
を高くすることで、共振周波数が下がる。 [5]実施の形態に示された浮体型免震構造物は上記
[1]乃至[4]のいずれかに記載の構造物であり、か
つ前記空気室11を複数の隔壁12により分割し、少な
くとも一つの前記隔壁12の下部に流体面と平行をなす
よう板状の部材14を設けた。
【0046】したがって上記浮体型免震構造物によれ
ば、空気圧を下向きにも作用させることにより、振動の
応答倍率を小さくすることができる。また、板状の部材
14を設けると、共振周波数が下がり、共振点における
加速度応答倍率も低下する。また、板状の部材14が流
体中にある程、付加重量が増加し、加速度応答倍率の低
下が大きくなる。
【0047】
【発明の効果】本発明の浮体型免震構造物によれば、空
気室を分割することで浮体である構造物の静的安定性を
維持し、かつ復元力を有することになり、水平及び鉛直
方向の地震動に対して十分な免震効果を奏することがで
きる。
【0048】本発明の浮体型免震構造物によれば、空気
室を当該構造物の一方向に対して少なくとも四つに等分
割し、かつ当該構造物の中心に対して点対称に分割する
ことで、十分な復元力を得ることができる。
【0049】本発明の浮体型免震構造物によれば、空気
室を分割する各隔壁の厚さを薄くし、浮体である構造物
底部の平面面積に対する前記空気室の平面面積を大きく
することで、前記浮体の没水部が減り前記空気室の平面
面積を十分に広くすることができるため、浮体の免震効
果が向上する。
【0050】本発明の浮体型免震構造物によれば、空気
室の全ての部屋の高さを変えることで構造物と前記空気
室の共振周期を変えることができ、また部屋毎に高さを
変えることで前記空気室が前記構造物に与える力が相殺
されることになり、共振時の動揺が小さくなる。
【0051】本発明の浮体型免震構造物によれば、空気
圧を下向きにも作用させることにより、振動の応答倍率
を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る浮体型免震構
造物の構成を示す側断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る浮体型免震構
造物における空気室の平断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る浮体の底部に
空気室を設けた場合の静的復元力を説明するための図。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る復元力曲線を
示す図。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る復元力曲線を
示す図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る復元力曲線を
示す図。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る空気室の分割
数に対する復元力を示す図。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る空気室の高さ
の影響を表した復元力曲線を示す図。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る空気室の部屋
の高さを変更した浮体型免震構造物の構成を示す側断面
図。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る空気室の高
さの異なるモデルA,Cにおける計算結果に示す図。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る浮体の面積
に対する空気室の面積の比を変えた場合の浮体の応答倍
率の計算結果を示す図。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る浮体型免震
構造物の構成を示す側断面図。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る隔壁の最下
部に板を取り付けた模型における実験結果を示す図
【図14】従来例に係る浮体型免震構造物の構成を示す
側断面図。
【符号の説明】
1…構造物 2…貯槽 3…流体 11…空気室 12…隔壁 13…部屋 14…板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松浦 正己 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 山口 洋一 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体中に浮揚することで免震性を有する浮
    体型免震構造物において、 当該構造物の底部に空気が注入された空気室を設け、前
    記空気室が水平方向へ複数に分割されたことを特徴とす
    る浮体型免震構造物。
  2. 【請求項2】前記空気室は当該構造物の一方向に対して
    少なくとも四つに等分割されたことを特徴とする請求項
    1に記載の浮体型免震構造物。
  3. 【請求項3】前記空気室の水平方向の面積を当該構造物
    の底部の面積で割った値が0.2以上であることを特徴
    とする請求項1または2に記載の浮体型免震構造物。
  4. 【請求項4】分割された前記空気室の部屋の頂部から流
    体面までの距離を異なるように構成したことを特徴とす
    る請求項1乃至3のいずれかに記載の浮体型免震構造
    物。
  5. 【請求項5】前記空気室を複数の隔壁により分割し、少
    なくとも一つの前記隔壁の下部に流体面と平行をなすよ
    う板状の部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至4
    のいずれかに記載の浮体型免震構造物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012102861A (ja) * 2010-11-12 2012-05-31 Yuichi Fujii 加圧液体による浮体式免震構造
EP2295661A3 (en) * 2009-08-11 2015-12-23 Ruentex Engineering & Construction Co. Ltd. Vibration damping construction system
CN108891546A (zh) * 2018-06-05 2018-11-27 东南大学 可蓄水排水的漂浮房屋

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