JP2000104140A - 酸素鋼 - Google Patents
酸素鋼Info
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- JP2000104140A JP2000104140A JP8389399A JP8389399A JP2000104140A JP 2000104140 A JP2000104140 A JP 2000104140A JP 8389399 A JP8389399 A JP 8389399A JP 8389399 A JP8389399 A JP 8389399A JP 2000104140 A JP2000104140 A JP 2000104140A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 合金元素をほとんど添加しないで、靱性、溶
接性に優れ、高強度な鋼材を提供する。 【解決手段】 直径0.2μm以下の酸化物が体積率で
0.5〜60%の割合で分散されていることを特徴とす
る。
接性に優れ、高強度な鋼材を提供する。 【解決手段】 直径0.2μm以下の酸化物が体積率で
0.5〜60%の割合で分散されていることを特徴とす
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、酸素鋼に
関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明
は、種々の添加元素を必要とすることのない、軽量で高
剛性の鋼に関するものである。
関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明
は、種々の添加元素を必要とすることのない、軽量で高
剛性の鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来、TS=590MPa以
上の高強度材を製造する場合にはC、Si、Mn、N
b、Cu、Ni等の添加元素をPcmで0.22mas
s%以上適宜添加し、焼入、焼き戻しあるいは制御圧延
制御冷却によって製造していた。しかし、このような方
法で得た鋼材は多種の希少な元素が必要であること、こ
れら元素を用いることでリサイクル性に欠けること、溶
接を行う場合には予熱処理が必要なこと、さらには溶接
により熱影響部が硬化する問題があった。また、鋼材断
面全体が均一な組織になりにくいため鋼材内部で材質の
分布があった。
上の高強度材を製造する場合にはC、Si、Mn、N
b、Cu、Ni等の添加元素をPcmで0.22mas
s%以上適宜添加し、焼入、焼き戻しあるいは制御圧延
制御冷却によって製造していた。しかし、このような方
法で得た鋼材は多種の希少な元素が必要であること、こ
れら元素を用いることでリサイクル性に欠けること、溶
接を行う場合には予熱処理が必要なこと、さらには溶接
により熱影響部が硬化する問題があった。また、鋼材断
面全体が均一な組織になりにくいため鋼材内部で材質の
分布があった。
【0003】そこで、この出願の発明は、以上のとおり
の従来の問題点を解消し、Si、Mn、Nb、Cu、N
i等の添加元素をほとんど添加しなくても、たとえば5
90MPA以上の強度、5%以上の均一伸びを有すると
ともに、優れた靱性を示し、予熱処理と熱影響部硬化の
問題を克服した優れた溶接性を示し、しかもリサイクル
性に優れた新しい鋼材を提供することを課題としてい
る。
の従来の問題点を解消し、Si、Mn、Nb、Cu、N
i等の添加元素をほとんど添加しなくても、たとえば5
90MPA以上の強度、5%以上の均一伸びを有すると
ともに、優れた靱性を示し、予熱処理と熱影響部硬化の
問題を克服した優れた溶接性を示し、しかもリサイクル
性に優れた新しい鋼材を提供することを課題としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1には、直径0.2μ
m以下の酸化物が体積率で0.5〜60%の割合で分散
されている鋼材であることを特徴とする酸素鋼を提供す
る。また、この出願の発明は、第2には、母相である平
均フェライト粒径が5μm以下である前記酸素鋼を、第
3には、酸素量が0.05mass%以上である前記い
ずれかの酸素鋼を、さらには第4として、引張強さ(M
Pa)×均一伸び(%)が4000(MPa・%)以上
で、かつ絞り(%)が50%以上である前記のいずれか
の酸素鋼をも提供する。
の課題を解決するものとして、第1には、直径0.2μ
m以下の酸化物が体積率で0.5〜60%の割合で分散
されている鋼材であることを特徴とする酸素鋼を提供す
る。また、この出願の発明は、第2には、母相である平
均フェライト粒径が5μm以下である前記酸素鋼を、第
3には、酸素量が0.05mass%以上である前記い
ずれかの酸素鋼を、さらには第4として、引張強さ(M
Pa)×均一伸び(%)が4000(MPa・%)以上
で、かつ絞り(%)が50%以上である前記のいずれか
の酸素鋼をも提供する。
【0005】そして、この出願の発明は、第5には、鉄
を主成分とする金属原料粉末をミリングし、次いで静水
圧加圧による塑性加工により固化させて直径0.2μm
以下の酸化物が体積率で0.5〜60%の割合で分散さ
れている鋼材を製造することを特徴とする酸素鋼の製造
方法を提供する。さらに第6には、塑性加工が、平ロー
ル、溝ロール、押し出し、およびスウェージのうちの少
くとも1種のものである前記製造方法を、第7には、金
属原料粉末の酸素量が0.05mass%以上である製
造方法を、第8には、500℃〜鉄の変態温度の範囲で
塑性加工する製造方法を、第9には、鉄を主成分とする
原料粉末で化学組成(mass%)として、 酸 素:0.05〜0.5 炭 素:0.01以下 クロム:0.1以下 シリコン:0.1以下 マンガン:0.5以下 含有している製造方法を提供する。
を主成分とする金属原料粉末をミリングし、次いで静水
圧加圧による塑性加工により固化させて直径0.2μm
以下の酸化物が体積率で0.5〜60%の割合で分散さ
れている鋼材を製造することを特徴とする酸素鋼の製造
方法を提供する。さらに第6には、塑性加工が、平ロー
ル、溝ロール、押し出し、およびスウェージのうちの少
くとも1種のものである前記製造方法を、第7には、金
属原料粉末の酸素量が0.05mass%以上である製
造方法を、第8には、500℃〜鉄の変態温度の範囲で
塑性加工する製造方法を、第9には、鉄を主成分とする
原料粉末で化学組成(mass%)として、 酸 素:0.05〜0.5 炭 素:0.01以下 クロム:0.1以下 シリコン:0.1以下 マンガン:0.5以下 含有している製造方法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】この出願の発明は以上のとおりの
特徴を有するものであるが、以下にその実施の形態につ
いて説明する。まず、この出願の発明の鋼においては、
直径0.2μm以下の酸化物粒子を体積率で0.5〜6
0%分散されたものである。この際の酸化物粒子は、鋼
の母相組織を微細化する作用を奏するものであって、酸
化物の直径が小さいほどその効果は大きく、直径が0.
2μmを超える場合には母相の結晶粒成長を抑制する効
果は小さくなる。また、酸化物の鋼組織における体積率
が0.5%以上でなければ母相組織を微細化する効果は
小さく、一方、逆に、体積率が60%以上になると鋼の
延性および靱性が劣化することになる。
特徴を有するものであるが、以下にその実施の形態につ
いて説明する。まず、この出願の発明の鋼においては、
直径0.2μm以下の酸化物粒子を体積率で0.5〜6
0%分散されたものである。この際の酸化物粒子は、鋼
の母相組織を微細化する作用を奏するものであって、酸
化物の直径が小さいほどその効果は大きく、直径が0.
2μmを超える場合には母相の結晶粒成長を抑制する効
果は小さくなる。また、酸化物の鋼組織における体積率
が0.5%以上でなければ母相組織を微細化する効果は
小さく、一方、逆に、体積率が60%以上になると鋼の
延性および靱性が劣化することになる。
【0007】このため、この発明の鋼においては、分散
させる酸化物粒子の大きさは、その直径が0.2μm以
下であって、鋼に占める分散酸化物の全体の体積率は
0.5〜60%とする。この酸化物の分散にともなっ
て、鋼の母相は、フェライト組織であって、平均フェラ
イト粒径が5μm以下とされていることが鋼の特性にお
いて望ましいものとなる。
させる酸化物粒子の大きさは、その直径が0.2μm以
下であって、鋼に占める分散酸化物の全体の体積率は
0.5〜60%とする。この酸化物の分散にともなっ
て、鋼の母相は、フェライト組織であって、平均フェラ
イト粒径が5μm以下とされていることが鋼の特性にお
いて望ましいものとなる。
【0008】以上のようなこの発明の酸素鋼において
は、従来のように、C、Si、Mn、Nb、Cu、Ni
等の添加元素を過大に添加する必要はなく、従来添加し
ていた元素のある種のものを全く添加することも必要と
していない。この発明の酸素鋼として、たとえば590
MPa以上、均一伸び5%以上の高強度鋼が得られるこ
とになる。
は、従来のように、C、Si、Mn、Nb、Cu、Ni
等の添加元素を過大に添加する必要はなく、従来添加し
ていた元素のある種のものを全く添加することも必要と
していない。この発明の酸素鋼として、たとえば590
MPa以上、均一伸び5%以上の高強度鋼が得られるこ
とになる。
【0009】分散した酸化物は窒化物あるいは炭化物と
比較して融点が高いため、溶接熱影響部で一部溶解せず
に残存し、熱影響部の母相組織の粗大化を防止する効果
がある。よって溶接熱影響部も優れた靱性を示す。な
お、十分な量の酸化物を析出させるためには酸素量は
0.05mass%以上必要である。酸化物の体積率の
増加にともない剛性率が上昇し、密度が低下することに
なる。このため、酸化物の体積率を大きくすることで、
より軽量の高強度鋼が提供されることになる。
比較して融点が高いため、溶接熱影響部で一部溶解せず
に残存し、熱影響部の母相組織の粗大化を防止する効果
がある。よって溶接熱影響部も優れた靱性を示す。な
お、十分な量の酸化物を析出させるためには酸素量は
0.05mass%以上必要である。酸化物の体積率の
増加にともない剛性率が上昇し、密度が低下することに
なる。このため、酸化物の体積率を大きくすることで、
より軽量の高強度鋼が提供されることになる。
【0010】一般的に引張強さと均一のびは相反する性
質であり、引張強さが上昇すると均一のびは低下する。
しかし、この発明の鋼においては、強度とともに均一の
びも大きいという特徴を有し、前記のように、引張強さ
(MPa)×均一のみ(%)が4000(MPa・%)
以上で、絞りが50%以上という極めて顕著な特性をも
つものとしてある。
質であり、引張強さが上昇すると均一のびは低下する。
しかし、この発明の鋼においては、強度とともに均一の
びも大きいという特徴を有し、前記のように、引張強さ
(MPa)×均一のみ(%)が4000(MPa・%)
以上で、絞りが50%以上という極めて顕著な特性をも
つものとしてある。
【0011】鋼組織に分散される酸化物粒子は、製造時
の塑性加工において析出させることができる。原材料の
粉末の組成については、鋼の基本成分としてのFe
(鉄)以外に、必要に応じて、わずかの他元素の添加で
よい。合金化元素はほとんど添加しなくてよい。たとえ
ば、この発明の鋼の組成元素については、mass
(%)として、O(酸素):0.5以下、C(炭素):
0.01以下、Cr(クロム):0.1以下、Si(シ
リコン):0.1以下、Mn(マンガン):0.5以
下、より具体的に例示すれば、O:0.2、C:0.0
02、Cr:0.05、Si:0.02、Mn:0.1
6(mass%)を目安とすることができる。
の塑性加工において析出させることができる。原材料の
粉末の組成については、鋼の基本成分としてのFe
(鉄)以外に、必要に応じて、わずかの他元素の添加で
よい。合金化元素はほとんど添加しなくてよい。たとえ
ば、この発明の鋼の組成元素については、mass
(%)として、O(酸素):0.5以下、C(炭素):
0.01以下、Cr(クロム):0.1以下、Si(シ
リコン):0.1以下、Mn(マンガン):0.5以
下、より具体的に例示すれば、O:0.2、C:0.0
02、Cr:0.05、Si:0.02、Mn:0.1
6(mass%)を目安とすることができる。
【0012】原料の鉄を主成分とする粉末は各種の方法
により得られるものであってよく、たとえばアトマイズ
法やKIP法(鋼の表面スケールを還元して粉末製造す
る方法)等により得られたものであってよい。析出分散
される酸化物は、その種類はたとえば鉄酸化物、Ti酸
化物、Cr酸化物、Si酸化物である。
により得られるものであってよく、たとえばアトマイズ
法やKIP法(鋼の表面スケールを還元して粉末製造す
る方法)等により得られたものであってよい。析出分散
される酸化物は、その種類はたとえば鉄酸化物、Ti酸
化物、Cr酸化物、Si酸化物である。
【0013】そして、この発明の酸化物分散鋼について
その製造法を代表的なものとして例示すれば次のとおり
のものである。まず、たとえば上記組成の鉄粉原料をプ
ラネタリーボールミル等で、たとえば10〜20時間ミ
リング(室温、アルゴン雰囲気中)を行う。次いでミリ
ングされた原料鉄粉を真空封缶し、その後、500〜8
00℃、たとえば好ましくは、700℃(1.5時間保
持)にて減面率80%以上の溝ロール圧延を施す。
その製造法を代表的なものとして例示すれば次のとおり
のものである。まず、たとえば上記組成の鉄粉原料をプ
ラネタリーボールミル等で、たとえば10〜20時間ミ
リング(室温、アルゴン雰囲気中)を行う。次いでミリ
ングされた原料鉄粉を真空封缶し、その後、500〜8
00℃、たとえば好ましくは、700℃(1.5時間保
持)にて減面率80%以上の溝ロール圧延を施す。
【0014】以上の代表例に限られることなしに、この
発明の製造法としては、鉄を主成分とする金属原料粉末
をミリングし、次いで静水圧加圧による塑性加工により
固化させて直径0.2μm以下の酸化物が体積率で0.
5〜60%の割合で分散されている鋼材を製造すること
でよく、この場合の塑性加工は、平ロール、溝ロール、
押し出し、およびスウェージのうちの少くとも1種のも
のでよい。なかでも溝ロール加工が好ましい。金属原料
粉末の酸素量は0.05mass%以上であることが好
ましく、また、酸化物の析出分散のためには、500℃
〜鉄の変態温度の範囲で塑性加工することが好ましい。
発明の製造法としては、鉄を主成分とする金属原料粉末
をミリングし、次いで静水圧加圧による塑性加工により
固化させて直径0.2μm以下の酸化物が体積率で0.
5〜60%の割合で分散されている鋼材を製造すること
でよく、この場合の塑性加工は、平ロール、溝ロール、
押し出し、およびスウェージのうちの少くとも1種のも
のでよい。なかでも溝ロール加工が好ましい。金属原料
粉末の酸素量は0.05mass%以上であることが好
ましく、また、酸化物の析出分散のためには、500℃
〜鉄の変態温度の範囲で塑性加工することが好ましい。
【0015】0.05mass%以上への酸素量のコン
トロールは、各種の手段で可能とされるが、好ましい範
囲としての0.05〜0.5mass%とするには、た
とえば原料粉末を還元処理して所要の酸素量レベルにま
で含有量を減少させること等が考慮される。この場合の
還元処理には、水素中での焼鈍等があり、焼鈍の時間、
温度により最終的な酸素量のコントロールが可能とな
る。
トロールは、各種の手段で可能とされるが、好ましい範
囲としての0.05〜0.5mass%とするには、た
とえば原料粉末を還元処理して所要の酸素量レベルにま
で含有量を減少させること等が考慮される。この場合の
還元処理には、水素中での焼鈍等があり、焼鈍の時間、
温度により最終的な酸素量のコントロールが可能とな
る。
【0016】また、静水圧下での塑性加工に先立っての
ミリング処理については、回転ボールミル、プラネタリ
ーボールミル(遊星ボールミル)等の手段が採用され
る。一般的には、この発明においては、回転ボールミル
の場合には50時間以上、プラネタリーボールミルの場
合には10時間以上の、室温での処理が適当なものとし
て示される。
ミリング処理については、回転ボールミル、プラネタリ
ーボールミル(遊星ボールミル)等の手段が採用され
る。一般的には、この発明においては、回転ボールミル
の場合には50時間以上、プラネタリーボールミルの場
合には10時間以上の、室温での処理が適当なものとし
て示される。
【0017】そこで以下実施例を示し、さらに詳しくこ
の発明について説明する。
の発明について説明する。
【0018】
【実施例】(実施例)鉄以外の成分としてC/0.00
2、Mn/0.16、O/0.2(各々、mass%)
を含有するKIP法により得られた鉄粉を20hプラネ
タリーミリングし、その後、S45C製の外径40φ内
径30φの管材内に充填し、480℃で15時間真空キ
ャンニングして炉冷した。700℃に再加熱して1.5
h保持後、89%の減面率で溝ロール圧下を行った。
2、Mn/0.16、O/0.2(各々、mass%)
を含有するKIP法により得られた鉄粉を20hプラネ
タリーミリングし、その後、S45C製の外径40φ内
径30φの管材内に充填し、480℃で15時間真空キ
ャンニングして炉冷した。700℃に再加熱して1.5
h保持後、89%の減面率で溝ロール圧下を行った。
【0019】表1は得られた鋼材(A鋼)についての引
張試験の結果を示したものである。合金元素をほとんど
添加していないにもかかわらず、比較例以上の大きな強
度を有し、かつ均一伸びが7%と優れていることがわか
る。 (比較例)C/0.055、Si/0.25、Mn/
1.5、Nb/0.010、Ni/0.10、Cu/
0.10mass%の成分鋼を1100℃×600s保
持後、300℃×1200s保持し空冷してベイナイト
鋼とした。この比較試料(B鋼)を引張試験し、その結
果も表1に示した。
張試験の結果を示したものである。合金元素をほとんど
添加していないにもかかわらず、比較例以上の大きな強
度を有し、かつ均一伸びが7%と優れていることがわか
る。 (比較例)C/0.055、Si/0.25、Mn/
1.5、Nb/0.010、Ni/0.10、Cu/
0.10mass%の成分鋼を1100℃×600s保
持後、300℃×1200s保持し空冷してベイナイト
鋼とした。この比較試料(B鋼)を引張試験し、その結
果も表1に示した。
【0020】
【表1】
【0021】図1には、実施例と比較例の各々の鋼材に
ついての応力−歪み曲線を示した。引張強さ(MPa)
×均一のび(%)の値を示すと、この発明の実施例のも
の(A鋼)においては5920(MPa・%)であり、
比較例のもの(B鋼)においては2924(MPa・
%)であることがわかる。実施例のものは比較例のもの
に対して、引張強さが120MPa高く、かつ、均一の
びが大きい。すなわち、実施例の鋼材は引張強さ、均一
のびバランスが比較例に対して明らかに優れていること
を示している。
ついての応力−歪み曲線を示した。引張強さ(MPa)
×均一のび(%)の値を示すと、この発明の実施例のも
の(A鋼)においては5920(MPa・%)であり、
比較例のもの(B鋼)においては2924(MPa・
%)であることがわかる。実施例のものは比較例のもの
に対して、引張強さが120MPa高く、かつ、均一の
びが大きい。すなわち、実施例の鋼材は引張強さ、均一
のびバランスが比較例に対して明らかに優れていること
を示している。
【0022】また、図2は、実施例のもののTEM写真
を示したものである。20hrプラネタリーミリング材
は酸化物が均一微細分散していることが確認された。ま
た、母相フェライト粒径は約0.5μmと非常に微細で
ある。この組織は最終径φ10全域にわたって均一に存
在した。なお、図3は、この発明の鋼材について、酸素
濃度に対して鋼全体の剛性率、平均密度および剛性率/
密度を示した図である。酸素濃度の増加にともないヤン
グ率はわずかに増加し、密度は減少する。これによりヤ
ング率/密度は増加する。ここで、ヤング率/密度は比
剛性を表している。すなわち、この値が大きければ軽い
材料で剛性が高いことを示す。剛性が高いということは
材料がたわみにくいことを意味している。このため鋼で
も軽くてたわみにくい材料を供給できる。なお、図3に
は比較としてAlおよびTiのヤング率/密度のデータ
を示している。これをみると、AlやTiよりもこの発
明の酸素鋼が優れていることがわかる。
を示したものである。20hrプラネタリーミリング材
は酸化物が均一微細分散していることが確認された。ま
た、母相フェライト粒径は約0.5μmと非常に微細で
ある。この組織は最終径φ10全域にわたって均一に存
在した。なお、図3は、この発明の鋼材について、酸素
濃度に対して鋼全体の剛性率、平均密度および剛性率/
密度を示した図である。酸素濃度の増加にともないヤン
グ率はわずかに増加し、密度は減少する。これによりヤ
ング率/密度は増加する。ここで、ヤング率/密度は比
剛性を表している。すなわち、この値が大きければ軽い
材料で剛性が高いことを示す。剛性が高いということは
材料がたわみにくいことを意味している。このため鋼で
も軽くてたわみにくい材料を供給できる。なお、図3に
は比較としてAlおよびTiのヤング率/密度のデータ
を示している。これをみると、AlやTiよりもこの発
明の酸素鋼が優れていることがわかる。
【0023】従来のように合金化元素をほとんど添加し
なくとも、靱性に優れ、かつ予熱処理と熱影響部硬化の
問題を克服した優れた溶接性を示し、しかも高強度な鋼
材が提供されることが確認された。
なくとも、靱性に優れ、かつ予熱処理と熱影響部硬化の
問題を克服した優れた溶接性を示し、しかも高強度な鋼
材が提供されることが確認された。
【0024】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、従来のように合金化元素をほとんど添加
しなくとも、靱性に優れ、かつ予熱処理と熱影響部硬化
の問題を克服した優れた溶接性を示し、しかも高強度な
鋼材が提供される。合金元素をほとんど添加していない
ため、資源の節約、コスト低減が図られる他、リサイク
ル性も良好となる。
発明によって、従来のように合金化元素をほとんど添加
しなくとも、靱性に優れ、かつ予熱処理と熱影響部硬化
の問題を克服した優れた溶接性を示し、しかも高強度な
鋼材が提供される。合金元素をほとんど添加していない
ため、資源の節約、コスト低減が図られる他、リサイク
ル性も良好となる。
【0025】また、この発明においては、より軽量の高
強度の鋼も提供されることになる。
強度の鋼も提供されることになる。
【図1】応力−歪み曲線図である。
【図2】図面に代わる透過型電子顕微鏡(TEM)写真
である。
である。
【図3】酸素濃度に対してのヤング率、密度およびヤン
グ率/密度の関係を示した図である。
グ率/密度の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鰐川 周治 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 村松 祐治 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 津崎 兼彰 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 長井 寿 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 (72)発明者 林 透 茨城県つくば市千現1丁目2番1号 科学 技術庁金属材料技術研究所内 Fターム(参考) 4K018 AA25 AB01 BC12 CA23 CA32 CA38
Claims (9)
- 【請求項1】 直径0.2μm以下の酸化物が体積率で
0.5〜60%の割合で分散されている鋼材であること
を特徴とする酸素鋼。 - 【請求項2】 母相である平均フェライト粒径が5μm
以下である請求項1の酸素鋼。 - 【請求項3】 酸素量が0.05mass%以上である
請求項1または2の酸素鋼。 - 【請求項4】 引張強さ(MPa)×均一延び(%)が
4000(MPa・%)以上で、かつ絞り(%)が50
%以上の請求項1ないし3のいずれかの酸素鋼。 - 【請求項5】 鉄を主成分とする金属原料粉末をミリン
グし、次いで静水圧加圧による塑性加工により固化させ
て直径0.2μm以下の酸化物が体積率で0.5〜60
%の割合で分散されている鋼材を製造することを特徴と
する酸素鋼の製造方法。 - 【請求項6】 塑性加工が、平ロール、溝ロール、押し
出しおよびスウェージのうちの少くとも1種のものであ
る請求項5の製造方法。 - 【請求項7】 金属原料粉末の酸素量が0.05mas
s%以上である請求項5または6の製造方法。 - 【請求項8】 500℃〜鉄の変態温度の範囲で塑性加
工する請求項5ないし7のいずれかの製造方法。 - 【請求項9】 鉄を主成分とする原料粉末で化学組成
(mass%)として、 酸 素:0.05〜0.5 炭 素:0.01以下 クロム:0.1以下 シリコン:0.1以下 マンガン:0.5以下 含有している請求項5ないし8のいずれかの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8389399A JP2000104140A (ja) | 1998-07-27 | 1999-03-26 | 酸素鋼 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21165798 | 1998-07-27 | ||
JP10-211657 | 1998-07-27 | ||
JP8389399A JP2000104140A (ja) | 1998-07-27 | 1999-03-26 | 酸素鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000104140A true JP2000104140A (ja) | 2000-04-11 |
Family
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1999
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