JP2000102776A - 重金属汚染土壌用固化処理材及びその製造方法 - Google Patents

重金属汚染土壌用固化処理材及びその製造方法

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JP2000102776A JP10275623A JP27562398A JP2000102776A JP 2000102776 A JP2000102776 A JP 2000102776A JP 10275623 A JP10275623 A JP 10275623A JP 27562398 A JP27562398 A JP 27562398A JP 2000102776 A JP2000102776 A JP 2000102776A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、汚染土壌からの可
溶性6価クロムの溶出量を、環境庁告示46号「土壌の
汚染に係わる環境基準について」に定める基準値(0.
05mg/l以下)以下に抑制するための処理材及び該
処理材の製造方法の提供を目的とするものである。 【解決手段】 本発明者等は、セメントと特
定種の無機還元剤の特定量との混合物に熱処理を加えて
調製した処理材が、重金属汚染土壌の安定化処理に極め
て有効であることを見出し本発明を完成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害重金属を含有
する産業廃棄物、排水、汚泥等で汚染された土壌に添加
し、土壌に含まれる有害重金属を溶出し難い形態に変え
ると共に土壌に良好なハンドリング性を付与するために
使用される固化処理材及び該処理材の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】有害重金属を含む産業廃棄物又は有害重
金属で汚染された土壌から、可溶性重金属、特に毒性が
高く溶解度も高い6価クロムの溶出を防止する方法とし
て、種々の還元剤を添加して溶出し難い化合物形態にす
る方法、固化材を使用して固化する方法及びこれ等を併
用する方法が知られている。例えば、クロム含有鉱滓に
水溶性第一鉄塩とセメントを加えて凝結・固化する方法
(特公昭52−1414号公報)、6価クロムを含有す
る廃棄物に水硬性セメントと高炉スラグ及び硫酸第一鉄
もしくは塩化第一鉄を添加して固化させる方法(特開昭
53−133578号公報)、重金属を含有する産業廃
棄物に転炉滓及びせっこうを添加して固形化させる方法
(特公昭53−27700号公報)、6価クロムを含む
地盤内に還元剤溶液と中和剤及びセメント系固化材を高
圧噴射し、汚染土壌を密封する方法(特公昭53−15
990号公報)、焼却灰集塵ダストに第一鉄塩を添加す
る方法(特開平7−60219号公報)、有害重金属含
有廃棄物に硫黄、珪酸ソーダ、硫化ソーダ等を添加し、
120〜150℃で加熱溶融した後、冷却固化させて得
られる土木建築材料(特開平7−290024号公報)
等が知られている。
【0003】しかし、処理材そのものが粉体の混合物で
あることに加え、土壌処理に当っては、処理材は更に土
壌と混合されることから、大量の硫黄を添加して加熱溶
融する方法を除き、処理材による処理効果が十分に発生
しない欠点を有する。例えば、非親水性の硫黄粉末を還
元剤として含む処理材をスラリー状態で被汚染土壌と混
合した場合には、スラリー中で硫黄が浮上分離するた
め、十分な有害金属溶出抑制効果が発現しないのであ
る。また、6価クロムは溶解度が高く、また、その溶出
特性が土壌環境特性によってかなり変化するため、すな
わち、土壌中では、含まれる種々の粘土鉱物や有機物に
クロムイオンが吸着され、見掛上、溶出が抑制された
り、一時的に隠蔽されるなどの複雑な挙動を示すため、
表面的に発現している現象だけでは判断出来ず、この面
における改良が要求されているものであった。一方、多
量の硫黄を添加して溶融固化する方法は確かに効果が在
るが、作業環境が劣悪になることに加え、処理コストが
かなり高くなるの問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、汚染土壌か
らの可溶性6価クロムの溶出量を、環境庁告示46号
「土壌の汚染に係わる環境基準について」に定める基準
値(0.05mg/l以下)以下に抑制するための処理
材及び該処理材の製造方法の提供を目的とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、セメント
と特定種の無機還元剤の特定量との混合物に熱処理を加
えて調製した処理材が、重金属汚染土壌の安定化処理に
極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。す
なわち本発明は、内割で0.2〜5重量%の、水溶性第
一鉄塩、硫黄、亜硫酸ソーダから選ばれる1種又は2種
以上の還元剤とセメントとの混合物に、50〜150℃
の温度で熱処理を施こすことを特徴とする重金属汚染土
壌用固化処理材の製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】水溶性第一鉄塩としては、各種含
水量の塩化第一鉄、硫酸第一鉄が使用可能であるが、特
に硫酸第一鉄(7水塩)がコスト並びに入手の容易さか
ら最も好ましいものである。硫黄は各種形態のものが存
在するが、その形態に特に限定されるものではなく、コ
ロイド硫黄、昇華硫黄、沈降硫黄、硫黄華等が問題無く
使用できる。また、亜硫酸ソーダは無水あるいは7水塩
の何れもが使用できる。これらの還元剤は、夫々を単独
で使用する方法及び複数種の混合物として使用する方法
の何れでも使用できる。
【0007】還元剤は、量が少な過ぎると十分な添加効
果が発現しない。一方、多過ぎても期待する添加効果は
頭打ちとなるだけでなく、セメントの固化が阻害される
マイナスの効果が発現する。従って、その添加量は、全
体の0.2〜5重量%となるようにする。
【0008】本発明の処理材における主成分であるセメ
ントは、普通、早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩等の各種
ポルトランドセメント、及び、フライアッシュ、高炉セ
メント等の混合セメントが使用できる。また、精錬スラ
グ等の重金属を多量に含有する産業廃棄物を使用して製
造された環境対応型特殊セメントも使用できる。尚、上
記セメント及び還元剤の混合物に対する、更に内割で5
〜20重量%の2水、半水あるいは無水せっこうの添加
は、被汚染土壌の固化強度の向上に好ましい結果を与え
る。
【0009】本発明の被汚染土壌処理材は、セメント
に、硫酸第一鉄等の水溶性第一鉄塩、硫黄、亜硫酸ソー
ダから選ばれる一種以上の還元剤の所定量を添加混合し
たものまたは、該混合物に更にせっこうを添加したもの
に対して、少なくとも一度は熱処理が施されて調製され
ることを特徴としているが、この熱処理において結晶水
を有する還元剤では結晶水の部分脱水が、また硫黄にお
いては部分的溶融が起こり、還元剤がセメント粒子表面
に均一且つ強固に付着した状態にする事ができ、結果と
して、被汚染土壌中の重金属溶出抑制効果の高い処理材
を得ることが出来る。
【0010】熱処理の温度は、50℃以上であれば所望
の効果を得る事が出来るが、余り高い温度はエネルギー
コスト的に不利であることと、後述するように、50〜
150℃温度域が、還元剤の添加時期を選択すれば追加
加熱する事なく達成可能であることから、この範囲に設
定するのが好ましい、また、熱処理を加える時間は、例
えば、外部加熱なしに内部発熱又はセメント自らが有す
る畜熱を利用する場合に、セメントと還元剤混合との十
分な混合に要する最低時間である30分以上であれば十
分である。
【0011】熱処理を加える時期、方法としては様々な
方法が存在するが、最も好ましいのは、セメントクリン
カーの粉砕時に還元剤を添加・混合することである。す
なわち、セメントは、一般的に、セメントクリンカーに
せっこうを数パーセント添加し、ボールミルで粉砕され
て製造されるが、この時、摩擦熱の発生により、砕料の
温度は80〜150℃と上昇する。従って、この時点に
還元剤を添加すれば還元剤そのものも微粉化されること
に加え、外部から熱を加えることなく、被汚染土壌中の
重金属溶出抑制効果の高い処理材を得ることが出来る。
【0012】また、セメントは、大量に輸送あるいは貯
蔵されるケースが多いため、製造時の粉砕工程で上昇し
た粉体温度が長時間維持されることが多い。50℃以上
の温度が未だ維持されているセメントに対しては、セメ
ントと本願の還元剤を混合するだけでも、被汚染土壌中
の重金属溶出抑制効果の高い処理材を得ることが出来
る。この具体的な例としては、セメントクリンカー粉砕
工程のボールミル出口以降の輸送工程あるいは配送基地
のセメントサイロあるいはタンクからセメントを抜出し
て、還元剤と混合する方法を挙げることが出来る。
【0013】本発明の処理材は、一般の固化材と全く同
様に使用することが出来る。すなわち、処理対象となる
被汚染土壌に処理材を所定量散布し、スタビライザーや
特殊バックホウ等の混合機械によって混合処理する粉体
混合方式の他、処理材を予め水と混合して、攪拌機械に
より被汚染土壌と混合するスラリー混合方式によって混
合処理が可能である。尚、これ等粉体及びスラリーの混
合方法には、施工現場で混合する原位置混合方式の他、
事前にプラントで混合する事前混合方式がある。
【0014】本発明の6価クロムの溶出抑制可能な濃度
範囲(上限)は、処理材の種類、添加量、被汚染土壌を
構成する土粒子の性状や含水比、更には、固化改良後の
経過時間によって異なるが、概ね被汚染土壌1m3 当た
り20g程度である。また、本発明の処理材は、6価ク
ロムの他に、カドミウム、鉛、砒素等の溶出防止にも効
果を発揮する。
【0015】
【実施例】実施例1〜27及び比較例1〜4 (1)処理材調製 還元剤として、硫酸第一鉄(7水塩)、硫黄(コロイド
硫黄)、亜硫酸ソーダ(7水塩)を使用した。所定量の
普通ポルトランドセメントと還元剤を、温度維持可能な
機能を有する円筒容器(掻き揚げ用リフター付き)に入
れ、105℃に維持しながら容器を1時間回転させ混合
し、処理材を調製した。
【0016】(2)土壌の固化処理及び被処理土壌特性
測定 ここで処理対象としたのは、環境庁告示46号による6
価クロム溶出量が0.32mg/l、総クロム溶出量が
0.38mg/l、含水比61.1%の粘性土である。
該土壌に1m3 当たり120kgの割合で処理材を添加
し、ホバート型ミキサーで5分間混練した。混練物は、
セメント協会標準試験方法JCAS−L01−1990
「セメント系固化材による安定処理土の試験方法」に従
い、締め固めた後ラップで覆って7日間密封養生して供
試体を調製した。該供試体については、環境庁告示46
号に規定の方法で粉砕、篩分け、浸透、ろ過を行った
後、抽出液中に含まれる6価クロムの量を定量した。溶
出6価クロムの検出限界は、0.02mg/lである。
また、一部試料については、上記のセメント協会標準試
験方法JCAS−L01−1990「セメント系固化材
による安定処理土の試験方法」に準じて供試体を作成
し、材令7日の一軸圧縮強度を測定した。処理材組成及
び被処理土特性を表1に示すが、本発明の範囲に含まれ
る組成を有する処理材が、6価クロム溶出量についての
環境庁基準である0.05mg/l以下をクリアする被
処理土壌を与えることが分かる。また、代表的な組成に
ついて実施された一軸圧縮強度測定値も十分な大きさを
示している。
【0017】
【表1】
【0018】実施例28〜32 ここでは、処理材成分として更にせっこうを加えた場合
の例を示す。II型無水せっこうを10重量%添加し処理
材を調製したことと、処理対象土壌として、砂質土(含
水比:20.3%、6価クロム溶出量:1.23mg/
l、総クロム溶出量:1.62mg/l)を使用した以
外は、前述した実施例と同様の方法で土壌処理を行い、
被処理土壌の特性を評価した。結果を表2に示す。表1
の結果と比べて、せっこうの添加で一軸圧縮強度が更に
向上することが分かる。
【0019】
【表2】
【0020】実施例33〜36 ここではセメント種を変えた例を示す。普通ポルトラン
ドセメントに加え高炉B及び早強セメントを使用して前
述の実施例と同様の方法で処理材を調製し、砂質土(含
水比:20.3%、6価クロム溶出量:1.23mg/
l、総クロム溶出量:1.62mg/l)に対する効果
を調べた。結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】実施例37〜46及び比較例5 ここでは、処理材に加える熱処理温度及び熱処理を加え
る時期を変えた時の結果を示す。実施例1〜27におけ
る処理材調製時の回転円筒容器温度を変化させた(実施
例37〜39、混合法はラボと表示)、セメントクリン
カー粉砕時に還元剤を添加し、実機ボールミルで粉砕し
て調製した処理材(実施例40〜42、混合法は実機ミ
ルと表示)及びセメント流通の中継基地サイロから抜出
したセメントに還元剤を添加し、二軸パドルミキサーで
混合して調製した処理材(実施例43〜46、混合法は
現地混合と表示)を使用し、砂質土(含水比:20.3
%、6価クロム溶出量:1.23mg/l、総クロム溶
出量:1.62mg/l)の処理を行った。結果を表4
に示す。50℃以上の温度における熱処理の有効が有効
であることが分かる。
【0023】
【表4】
【0024】実施例47〜49及び比較例6 ここでは、重金属を大量に含む産業廃棄物を原料として
製造された環境対応型特殊セメントを使用した例を示
す。精錬スラグ、石灰石、粘土及び珪石を、C3S54
%、C2S 24%、C3A 10%、C4AF 10%の組
成になるように調合した後、ロータリーキルンで145
0℃で焼成した。生成クリンカーにせっこうを3.5%
添加した後粉砕し、ブレーン比表面積3220cm2
の特殊セメントを得た。該特殊セメント中の6価クロム
及び鉛の含有量は夫々、129ppm及び1040pp
mであった。尚、還元剤の添加は、クリンカー粉砕時
の、97〜113℃の材料温度の時に行ったので、クリ
ンカー粉砕と同時に処理材を得たことになる。砂質土
(含水比16.5%、6価クロムの溶出はなし)1m3
たり65kgの処理材を添加し、固化処理を行い、材令
3日目の試料について、環境庁告示46号による溶出試
験を行った。結果を表5に示す。多量の重金属を含有す
る環境対応型特殊セメントを使用した処理土からの重金
属溶出も抑制されることを示している。
【0025】
【表5】
【0026】
【発明の効果】本発明の土壌処理材は、重金属含有土壌
からの6価クロムの溶出抑制に優れていることは勿論、
セメントと安価で入手の容易な無機還元剤との混合物に
熱処理を加える簡単な方法で製造することが出来る。ま
た、無機還元剤の添加時期を選択することにより、外部
加熱による熱供給なしに熱処理を加えることも可能であ
り、極めて実用性に優れたものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内割で0.2〜5重量%の、水溶性第一鉄
    塩、硫黄、亜硫酸ソーダから選ばれる1種又は2種以上
    の還元剤とセメントとの混合物に、50〜150℃の温
    度で熱処理を施こすことを特徴とする重金属汚染土壌用
    固化処理材の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の還元剤とセメントとの混
    合物に、更に内割で5〜20重量部のせっこうを添加す
    ることを特徴とする、重金属汚染土壌用固化処理材の製
    造方法。
  3. 【請求項3】内割で0.2〜5重量%の、硫酸第一鉄、
    硫黄、亜硫酸ソーダから選ばれる1種又は2種以上の還
    元剤とセメントとの混合物に、50〜150℃の温度で
    熱処理を施して製造した、重金属汚染土壌用固化処理
    材。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の還元剤とセメントとの混
    合物に、更に内割で5〜20重量部のせっこうを添加し
    たことを特徴とする重金属汚染土壌用固化処理材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003071425A (ja) * 2001-09-05 2003-03-11 Japan Organo Co Ltd 化学汚染物質の処理方法
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JP2015091911A (ja) * 2013-11-08 2015-05-14 株式会社デイ・シイ 地盤改良材
JP2015160155A (ja) * 2014-02-26 2015-09-07 石坂産業株式会社 土砂系混合廃棄物から抽出された精選土の再資源化処理方法

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