JP3952834B2 - アルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤 - Google Patents

アルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば土木建築現場にて発生するアルカリ性泥土を中性化するための処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
セメントを注入しながら土壌を掘削する工法(例えば、地下連壁工法、SMW工法、RJG工法など)では、アルカリ性の泥土が発生する。また、浚渫、シールド掘削などの工事現場においても、含水率の高い浚渫土や掘削土を改良するために、例えば、セメントやセメント系固化剤を添加・混合することで、浚渫土や掘削土を固化させる場合があり、この場合にもアルカリ性の泥土が発生する。
従来、このアルカリ性泥土は、産業廃棄物として埋立処分されていた。しかし、近年、埋立処分場の残余年数は逼迫しており、廃棄場所の確保も困難になっているとともに、埋立処分費も高騰し、泥土の埋立ては困難な状況になっている。一方、国土交通省より建設資材リサイクル法が施行され、建設発生土は埋立処分するのではなく、リサイクルすることが推奨されている。
【0003】
このようなことから、アルカリ性泥土も他の建設泥土と同様にリサイクルが進められているが、コーン指数で表される強度が200kN/m2以上でないと、リサイクルのために十分な強度を有しないと判断され、アルカリ性泥土は廃棄物として取り扱われる。したがって、リサイクルする場合には、アルカリ性泥土に種々の固化剤を添加することにより適切な強度まで固化することとしている。
【0004】
しかし、アルカリ性泥土をそのまま固化すると、pHが高いために、植物の生育には適さず、リサイクルの用途が限定されてしまう。また、雨水の浸透によりアルカリ成分が地下に溶出する懸念もある。
そこで、このような問題を解消すべく、硫酸バンド、PAC、希硫酸などの酸性物質を添加して、アルカリ性泥土を中性化することが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この場合、添加する酸性物質の量が少ないとアルカリ成分を十分に中和することができないことは勿論であるが、アルカリ性泥土の固形分中に、水に溶解したり水と反応することで泥土をアルカリ性にする物質が含まれていると、アルカリ性泥土を一時的に中性化しても、そのような物質が水に溶解したり、水と反応することで、再びpHが上昇して泥土がアルカリ性になってしまい、リサイクル用途の拡大の障害となっていた。一方、経時後のpH上昇を抑制するためには、更に酸性物質を添加することも考えられるが、これでは多量の酸性物質を取り扱わなければならず、作業性が悪かった。
【0006】
本発明の課題は、添加する酸性物質が少量であってもアルカリ性泥土のpHを低下させることができるとともに、そのpHを安定して維持することができ、作業性の向上とリサイクル用途の拡大を図ることができるアルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する処理方法において、
前記アルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合した後、前記アルカリ性泥土を固化させることを特徴としている。
【0008】
セメントは、水と接触すると、カルシウムを溶出するため、液相中のカルシウム濃度が増加して、アルカリ性を示すようになり、その後、カルシウム成分の水和が進行し、硬化する。
ここで、凝結遅延剤を添加すると、セメントから溶出されたカルシウムイオン等の金属イオンを封鎖(錯塩化)したり、セメント粒子に水和防止膜を形成してカルシウムを不活性化させる。カルシウムが不活性化されると、水和の進行が止まるとともに、pHの上昇も抑制される。カルシウムが不活性化された状態では、添加する酸性物質は、存在するアルカリ成分を中性化するに十分な量を添加すればよい。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、酸性物質によりアルカリ性泥土の中性化を行う際に、凝結遅延剤が泥土の固形分からアルカリ性の物質が溶出するような状態となるのを抑制し、中性化するのに必要な酸性物質の量を減らすことができるとともに、再び、泥土のpHが上昇するのを抑制することができる。
【0009】
このように、アルカリ性泥土を長期的に中性化することができるので、処理物は、一般残土として利用できるようになり、例えば盛り土、埋戻し材料等の建築資材としてのリサイクルが可能となる。
【0011】
また、請求項記載の発明によれば、セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合した後、アルカリ性泥土を固化させるので、リサイクルに必要な強度とすることができる。なお、アルカリ性泥土がもともとセメント粒子を含むことにより固化するものであれば、このセメント粒子によりリサイクルに必要な強度で固化させても良いし、一方、アルカリ性泥土がセメント粒子を含まず、またセメント系以外の固化剤も含まない場合には、セメント系もしくはセメント系以外の固化剤を添加することにより固化させても良い。
【0012】
また、セメント系の固化剤等のように添加によって泥土のpHを上昇させる固化剤を添加する場合には、酸性物質による中性化を行う前に固化剤を添加することが好ましい。セメントの凝結に基づく固化は、凝結遅延剤により遅延させられることになるが、最終的に凝結遅延剤を入れなかった場合よりも時間がかかるものの泥土は固化される。
【0013】
請求項記載の発明は、
セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する処理方法において、
前記アルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを添加して混合した後、前記アルカリ性泥土を固化させることを特徴としている。
【0014】
請求項記載の発明によれば、セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合する点では、請求項1記載の発明と同様の作用、効果を得ることができ、さらに高分子凝集剤をアルカリ性泥土に加えることで、泥土中の土砂粒子等を団粒化することができる。この団粒化により、アルカリ性泥土に細かい間隙が生じ、アルカリ性泥土と空気との接触面積が増大する。これにより、微量ではあるものの、空気中に存在する二酸化炭素が泥土の水分に溶け込みやすい状態となる。二酸化炭素を泥土中により多く溶かすことにより、二酸化炭素(水に解けた炭酸)とアルカリ性泥土中のアルカリ性物質との反応が促進され、さらにpHの上昇を抑制することができる。
【0016】
また、請求項記載の発明によれば、アルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを添加して混合した後、アルカリ性泥土を固化させるので、請求項記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0017】
請求項記載の発明は、
請求項1または2に記載のアルカリ性泥土の処理方法において、
酸性物質はリン酸であることを特徴としている。
【0018】
請求項記載の発明によれば、酸性物質として酸強度が高いリン酸を用いているので、リン酸の添加量が少なくともアルカリ性泥土の中性化を確実に行うことができる。また、リン酸は、泥土中に重金属が含まれる場合に、これを不溶化することができる。
【0019】
請求項記載の発明は、
請求項1〜のいずれか一項に記載のアルカリ性泥土の処理方法において、
凝結遅延剤はショ糖であることを特徴としている。
【0020】
請求項記載の発明によれば、凝結遅延剤として水和反応の遅延効果が高いショ糖を用いているので、アルカリ性泥土のpHの上昇速度をより効率的に遅らせることができる。
【0021】
請求項記載の発明は、
セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する改質剤であって、
酸性物質と凝結遅延剤とを含有することを特徴としている。
【0022】
請求項記載の発明によれば、この改質剤をセメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請求項1記載の発明と同様の作用、効果を得ることができる。
【0023】
請求項記載の発明は、
セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する改質剤であって、
酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを含有することを特徴としている。
【0024】
請求項記載の発明によれば、この改質剤をセメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請求項記載の発明と同様の作用、効果を得ることができる。
【0025】
請求項記載の発明は、
請求項または記載のアルカリ性泥土の改質剤であって、
酸性物質はリン酸であることを特徴としている。
【0026】
請求項記載の発明によれば、この改質剤をアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請求項記載の発明と同様の作用、効果を得ることができる。
【0027】
請求項記載の発明は、
請求項のいずれか一項に記載のアルカリ性泥土の改質剤であって、
凝結遅延剤はショ糖であることを特徴としている。
【0028】
請求項記載の発明によれば、この改質剤をアルカリ性泥土に添加して混合することにより、請求項記載の発明と同様の作用、効果を得ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のアルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤の実施の形態を詳細に説明する。
この実施の形態におけるアルカリ性泥土の処理方法は、セメント粒子を含み、主にセメント粒子の水和反応に伴ってアルカリ性となる泥土の中性化処理と固化処理であるが、本発明は、かかる処理に限定されるものではなく、他のアルカリ性泥土の処理にも応用可能である。また、泥土とは、主に土砂からなり、乾燥しておらず、水分を含むものである。
【0030】
ここで、セメントとは、例えばポルトランドセメントである。ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、ケイ石、鉄原料などから製造され、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄などをクリンカー成分として含んでおり、これらに、石膏の添加による三酸化硫黄を加えたものがポルトランドセメントの主な化学成分となっている。なお、アルカリ性泥土に含まれるセメントは、周知の各種ポルトランドセメント以外に、周知の各種混合セメント、周知の各種特殊セメント等であっても良い。
【0031】
本実施形態のアルカリ性泥土の改質剤は、セメント粒子を含むアルカリ性泥土に添加・混合されてアルカリ性泥土を中性化するものであり、少なくとも酸性物質と凝結遅延剤とを含有している。
【0032】
酸性物質は、セメント粒子を含むアルカリ性泥土に添加した場合に中性化する作用を発揮するものであればよく、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、酸性硫酸ナトリウム、スルファミン酸、ポリアクリル酸、硫酸アンモニウム、ミョウバン、仮焼ミョウバン塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸ガスなどが挙げられる。これらの酸性物質は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0033】
凝結遅延剤は、アルカリ性泥土に添加した場合に、アルカリ性泥土中のセメントもしくはセメント系固化剤の凝結を遅延させるものであり、アルカリ性泥土中のカルシウムイオンなどの金属イオンを封鎖したり、セメント粒子に水和防止膜を形成して、水との反応を抑えるものであれば如何なるものでもよく、例えば、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、糖類、糖アルコール類、2ケトカルボン酸及びその塩、グルタミン酸及びその塩、リグニンスルホン酸及びその塩、フミン酸及びその塩、タンニン酸及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩などが挙げられる。これらの凝結遅延剤は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0034】
また、この実施の形態の改質剤としては、上述の酸性物質及び凝結遅延剤に加えて、高分子凝集剤を含有しても良い。
高分子凝集剤としては、泥土を団粒化できるもの、すなわち、泥土に含まれる土砂粒子等の固形粒子を凝集させて粒状にできるものならば良く、周知の高分子凝集剤を用いることができる。
【0035】
アルカリ性泥土の処理にあたり、上述の改質剤として、予め、酸性物質及び凝結遅延剤を混合したもの、または酸性物質、凝結遅延剤及び高分子凝集剤を混合したものを用いても良いが、酸性物質と凝結遅延剤とをそれぞれ別々にアルカリ性泥土に添加して良いし、さらに、これらとは別に高分子凝集剤をアルカリ性泥土に添加するものとしても良い。また、酸性物質及び凝結遅延剤、または酸性物質、凝結遅延剤及び高分子凝集剤を別々にアルカリ性泥土に添加する場合には、同時に添加しても良いし、それぞれ時間をずらして添加しても良い。さらに、時間をずらして添加するとき、添加の順番は特に限定されない。
【0036】
混合に際しては、各種のミキサ、混合槽等の攪拌装置を用いることができる。攪拌装置としては、泥土を自重や攪拌装置の攪拌力により搬送しながら攪拌し、添加される酸性物質及び凝結遅延剤を泥土に混合して連続的に泥土を搬出する構造となっている連続式の攪拌装置を用いても良いし、バッチ式の攪拌装置を用いても良い。また、攪拌装置に泥土を搬入する際、もしくはその前の段階で、メッシュ状のフィルタとなる部材で、アルカリ性泥土に含まれる石、礫等を取り除き、石、礫等を泥土とは別に有効利用しても良い。
【0037】
また、アルカリ性泥土を貯めるための槽や集積場のような場所で、ショベル系の重機や、アーム先端に攪拌装置が取り付けられた重機等により攪拌して、酸性物質及び凝結遅延剤と混合しても良い。
【0038】
泥土状の地盤を現場で改良をするために、地盤にセメントやセメント系固化剤を混合するような場合には、セメント粒子によりアルカリ性となる地盤にセメント等に加えて、地盤改良の現場において、酸性物質及び凝結遅延剤を混合しても良い。
【0039】
上述のような泥土の攪拌による混合処理において、酸性物質及び凝結遅延剤に加えて、さらに高分子凝集剤をアルカリ性泥土に混合しても良く、または酸性物質、凝結遅延剤及び高分子凝集剤を含む改質剤をアルカリ性泥土に混合しても良い。
【0040】
なお、この実施の形態におけるアルカリ性泥土は、各種土木工事によりセメントやセメント系固化剤が含まれた状態で発生するものであっても良いし、発生もしくは採取された時点では、必ずしもアルカリ性でなくとも、固化処理するためにセメントやセメント系固化剤が添加されることで、アルカリ性となるものも含まれる。
【0041】
酸性物質及び凝結遅延剤またはこれらに加えて高分子凝集剤を上述のように泥土に混合する際に、セメントやセメント系固化剤もしくはセメント系以外の固化剤を一緒に混合しても良い。また、上述の混合処理に際し、固化剤以外の周知の土砂の各種改良剤(改良材)を添加して混合しても良い。
【0042】
また、泥土に酸性物質、凝結遅延剤、高分子凝集剤を添加する際に、これらの物質が、それぞれ、粉状や粒状、液状でもあっても良いし、水等の溶媒に溶解もしくは分散した状態であっても良い。
【0043】
そして、上述のように酸性物質と凝結遅延剤とをアルカリ性泥土に混合した際に、酸性物質がアルカリ成分を中和するとともに、アルカリ性泥土の固形分に、水に溶解したり、水と反応することで、アルカリ性となる物質が含まれる場合に、凝結遅延剤がアルカリ性泥土の固形分からの前記物質の溶出や前記物質と水との反応を抑制する。
例えば、固形分がセメント粒子の場合に、セメント粒子の水和反応が抑制され、水和反応により生じる泥土のpHの上昇が抑えられる。
【0044】
これにより、泥土の水分に含まれるアルカリ性物質の濃度の上昇が抑えられ、アルカリ性泥土の中性化に必要な酸性物質の量を低減することができる。酸性物質の取扱量が減少することにより、中性化処理における作業性が向上する。
また、泥土の固形分により泥土の水分がアルカリ性となるのを凝結遅延剤が抑制するので、酸性物質で中性化した後に泥土のpHが上昇し、再び泥土がアルカリ性となるのを抑制することができる。
【0045】
また、アルカリ性泥土にさらに高分子凝集剤を添加した場合には、高分子凝集剤が土砂粒子等のアルカリ性泥土の固形粒子を凝集することにより、固形粒子が団粒化され、これによりアルカリ性泥土に細かい間隙が生じ、アルカリ性泥土と空気との接触面積が増大する。
このため、空気中の二酸化炭素がアルカリ性泥土の水分中に溶けて炭酸となる量が増加し、炭酸によりアルカリ性泥土が継続的に中性化される。
【0046】
特に、アルカリ性泥土にセメント粒子が含まれ、セメント粒子に基づく水酸化カルシウムがアルカリ性泥土の水分中にある場合に、水分中の水酸化カルシウム(カルシウムイオン)と、炭酸とが反応し、水に対する溶解度が低い炭酸カルシウムを生成して、水から析出させ安定した状態となり、アルカリ性泥土のpHを僅かではあるが、継続的に低下させる。
【0047】
したがって、高分子凝集剤をアルカリ性泥土に混合することにより、アルカリ性泥土のpHの上昇をより確実に抑制することができる。また、炭酸が炭酸カルシウムとなって水から析出することにより、空気中に排出される二酸化炭素の低減を図ることができる。
【0048】
そして、上述のように酸性物質及び凝結遅延剤もしくはこれらに加えて高分子凝集剤が添加されたアルカリ性泥土は、中性化され、固化剤等により固化されて必要な強度を発現する材料として、各種建築土木工事等に利用されることになる。なお、セメント粒子が既に充分に含まれるアルカリ性泥土は、セメント粒子により固化される。
【0049】
また、セメント粒子を含まず、セメント粒子が添加されることもないアルカリ性泥土を、本実施形態のアルカリ性泥土の処理方法やアルカリ性泥土の改質剤により、中性化するものとしても良いし、固化するものとしても良い。
【0050】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
この実施例で用いられるアルカリ性泥土の処理方法について説明する。
まず、浚渫泥土(含水率50.13%、比重1.516)に、体積当たり200kg/m3となるようにセメントを添加し、pHが12.44のアルカリ性泥土を作製した。そして、このアルカリ性泥土に対して、各種添加剤を所定量添加し攪拌した。その後、攪拌されたアルカリ性泥土を30g採取して水を50g加え、30分間攪拌しアルカリ成分を十分溶解させてからpHを測定した。また、アルカリ性泥土をそのままの状態で72時間放置し、再び上述の方法でpHを測定した。
【0051】
比較例及び実施例におけるpHの測定結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0003952834
【0052】
[比較例1] 比較例1では、アルカリ性泥土に、添加剤を添加せずに上記した処理を行い、pHを測定した。pHの測定結果は、処理直後が12.44で、72時間後が12.63である(参考:24時間後12.58)。
[比較例2] 比較例2では、アルカリ性泥土に、添加剤として凝結遅延剤(ショ糖10kg/m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が12.41で、72時間後が12.53である。
[比較例3] 比較例3では、アルカリ性泥土に、添加剤として凝結遅延剤(ショ糖20kg/m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が12.35で、72時間後が12.44である。
[比較例4] 比較例4では、アルカリ性泥土に、添加剤として凝結遅延剤(ショ糖30kg/m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が12.29で、72時間後が12.31である。
[比較例5] 比較例5では、アルカリ性泥土に、添加剤として凝結遅延剤(ショ糖60kg/m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が12.13で、72時間後が12.12である。
【0053】
[比較例6] 比較例6では、アルカリ性泥土に、添加剤として酸性物質(リン酸30kg/m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が11.03で、72時間後が11.36である。
[比較例7] 比較例7では、アルカリ性泥土に、添加剤として酸性物質(リン酸50kg/m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が9.06で、72時間後が10.41である。
[比較例8] 比較例8では、アルカリ性泥土に、添加剤として酸性物質(リン酸100kg/m3)を添加し、上記した処理を行い、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が6.32で、72時間後が7.80である。
【0054】
[実施例1] 実施例1では、アルカリ性泥土に、添加剤としてアルカリ性泥土の改質剤となる、リン酸(酸性物質)30kg/m3とショ糖(凝結遅延剤)50kg/m3を添加し、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が10.68で、72時間後が10.70である。
[実施例2] 実施例2では、アルカリ性泥土に、添加剤としてアルカリ性泥土の改質剤となるリン酸50kg/m3とショ糖50kg/m3を添加し、pHを測定している。pHの測定結果は、処理直後が9.56で、72時間後が9.80である。
【0055】
比較例1では、表1に示すように、処理直後のpHは12.44であるのに対して72時間後には12.63と増加している。これに対して、添加剤として凝結遅延剤を用いた比較例2〜5では、いずれもセメントの凝結を遅延させて、カルシウムの水和を阻害するために、比較例1よりも時間経過に伴うpHの増加を防止していることが分かる。また、凝結遅延剤の添加量が多ければ、処理後のpHを僅かであるが低下させる傾向が認められる。
【0056】
一方、添加剤として酸性物質を用いた比較例6〜8では、添加剤の添加量が多ければ多いほど、処理後のpHを低く抑えることが分かる。特に、リン酸の添加量が50kg/m3以上であると添加直後は中性付近までpHが低下している。しかし、時間の経過に伴ってアルカリ成分が溶出するので、72時間後には比較例6〜8のいずれにおいてもpHが上昇することが分かる。
【0057】
これに対し、本発明を適応した実施例1及び2では、時間経過に伴うpHの増加を凝結遅延剤が抑えているので、酸性物質により一旦低下したpHが再び増加することを防止している。
このことから、酸性物質のみでアルカリ性泥土を中性化する場合よりも、酸性物質及び凝結遅延剤を添加、混合した方が、酸性物質の添加量が少量であっても、アルカリ性泥土のpHを低減して泥土をリサイクル可能な性状に改質することができる。
【0058】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、酸性物質の添加量が少量であっても、アルカリ性泥土のpHを低減してリサイクル可能な性状に改質することができる。また、酸性物質の添加量を抑えることができるので、作業性を向上させることができる。
また、請求項記載の発明によれば、中性化した泥土をリサイクルに必要な強度に固化することができる。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができ、なおかつ、高分子凝集剤が空気中の二酸化炭素とアルカリ性泥土中の水酸化カルシウムとの反応を促し、pHの上昇をより一層抑制することができる。したがって、より酸性物質の添加量を低減することができる。
また、請求項記載の発明によれば、酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを添加した場合においても請求項記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項記載の発明によれば、添加量が極めて少なくともアルカリ性泥土の中性化を促すことができる。
請求項記載の発明によれば、より効率的にアルカリ性泥土のpHの増加を抑制することができる。
請求項記載の発明によれば、アルカリ性泥土に改質剤を添加して混合することにより、請求項1記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項記載の発明によれば、アルカリ性泥土に改質剤を添加して混合することにより、請求項記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項記載の発明によれば、請求項4記載の発明と同等の効果を得ることができる。

Claims (8)

  1. セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する処理方法において、
    前記アルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤とを添加して混合した後、前記アルカリ性泥土を固化させることを特徴とするアルカリ性泥土の処理方法。
  2. セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する処理方法において、
    前記アルカリ性泥土に、酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを添加して混合した後、前記アルカリ性泥土を固化させることを特徴とするアルカリ性泥土の処理方法。
  3. 請求項1または2に記載のアルカリ性泥土の処理方法において、
    前記酸性物質はリン酸であることを特徴とするアルカリ性泥土の処理方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のアルカリ性泥土の処理方法において、
    前記凝結遅延剤はショ糖であることを特徴とするアルカリ性泥土の処理方法。
  5. セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する改質剤であって、
    酸性物質と凝結遅延剤とを含有することを特徴とするアルカリ性泥土の改質剤。
  6. セメント又はセメント系固化剤を含むアルカリ性泥土を中性化する改質剤であって、
    酸性物質と凝結遅延剤と高分子凝集剤とを含有することを特徴とするアルカリ性泥土の改質剤。
  7. 請求項または記載のアルカリ性泥土の改質剤であって、
    前記酸性物質はリン酸であることを特徴とするアルカリ性泥土の改質剤。
  8. 請求項のいずれか一項に記載のアルカリ性泥土の改質剤であって、
    前記凝結遅延剤はショ糖であることを特徴とするアルカリ性泥土の改質剤。
JP2002115933A 2002-04-18 2002-04-18 アルカリ性泥土の処理方法及びアルカリ性泥土の改質剤 Expired - Fee Related JP3952834B2 (ja)

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