JP2000101548A - スペクトル拡散通信波の受信装置 - Google Patents

スペクトル拡散通信波の受信装置

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JP2000101548A
JP2000101548A JP26417498A JP26417498A JP2000101548A JP 2000101548 A JP2000101548 A JP 2000101548A JP 26417498 A JP26417498 A JP 26417498A JP 26417498 A JP26417498 A JP 26417498A JP 2000101548 A JP2000101548 A JP 2000101548A
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signal
correlation
cross
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circuit
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JP26417498A
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Atsushi Fujimoto
敦 藤本
Masaru Shinohara
勝 篠原
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Iwatsu Electric Co Ltd
Original Assignee
Iwatsu Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】符号多重により生じる相互相関を低減すること
により高品質な高速伝送を実現可能とするスペクトル拡
散通信波の受信装置を提供する。 【解決手段】時間シフト多重されたスペクトル拡散信号
を受信するスペクトル拡散通信波の受信のために、検波
信号を一定期間だけ記憶し、記憶された検波信号と過去
の復号データとから相互相関の推定値を求めて、検波信
号から相互相関の推定値を差し引いた信号を復号する
か、又は逆拡散信号を一定期間だけ記憶し、記憶された
逆拡散信号と過去の復号データとから相互相関の推定値
を求めて、逆拡散信号から相互相関の推定値を差し引い
た信号を差動復調する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同一の拡散符号で
拡散された複数のスペクトル拡散信号を拡散符号の位相
が互いに異なるように時間的にずらして多重し伝送する
スペクトル拡散通信波の受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、2.4GHz帯スペクトル拡散通
信による無線LANが実用化されているが、その伝送速
度は2Mbps 以下のものが大部分である。しかし、端末
のCPU性能の向上もあり、今後は画像やグラフィック
等のイメージ情報を含むアプリケーションの使用も増加
していくものと予想され、伝送速度のさらなる高速化が
求められている。国内においては、電波法により2.4
GHz帯スペクトル拡散通信の占有帯域幅は26MHz
以下、また拡散率は10以上と定められている。このた
め、符号多重を行わない場合の伝送速度は、原理的に4
値変調を用いた場合で5.2Mbps 以下、16値変調を
用いた場合で10.4Mbps 以下となる。これらの伝送
速度の上限は理想フィルタで帯域制限した場合での値で
あり、実際の伝送速度は、帯域制限に用いるフィルタの
性能,ベースバンド部のリニアリティ等により制限さ
れ、現状では4値変調を用いた場合で約2Mbps 、16
値変調を用いた場合で約4Mbps が上限である。
【0003】変調の多数値を増大すると伝送速度も増大
するが、フェージングに対する性能が劣化するため、フ
ェージング環境下においては変調の多値数を16からさ
らに増大することは現実的ではない。従って、伝送速度
を4Mbps 以上に高速化するためには符号多重を行う必
要がある。符号多重にはいくつかの方式があるが、その
一つに同一の拡散符号で拡散された複数の拡散信号を拡
散符号の位相が互いに異なるように時間的にずらして多
重化する方式(以下では、時間シフト多重方式と称す
る)がある。この方式によると、4値変調を用いた場合
においても、符号多重数が5の場合で10Mbps 程度、
符号多重数が10の場合には20Mbps 程度の高速伝送
を実現することができる。
【0004】図14は、符号多重数が11の場合の時間
シフト多重方式の伝送信号の構成を示す概念図である。
図14において、Aは符号長11の拡散符号を表すベク
トルであり、Dk (k=…−10,−9,…0,1,
2,…25)はk番目の送信シンボルによる情報変調信
号表す。伝送信号は無線周波数帯の信号であるが、以下
では等価低域系の信号を用いて説明する。等価低域系に
おいては、Dk はk番目の送信シンボルによる変調信号
を表す複素数となる。簡単のため情報変調をBPSK
(Binary Phase-Shift Keying )とすると、Dk はk番
目の送信データと等しくなる。この場合には、送信デー
タDk が+1のシンボルの拡散信号はAであり、Dk
−1のシンボルの拡散信号はバーAとなる。ただし、バ
ーAは拡散符号Aの各成分の符号を反転したものであ
る。拡散符号としてバーカー符号を用いる場合には、A
=〔1−111−1111−1−1−1〕である。この
とき、バーA=〔−11−1−11−1−1−111
1〕となる。
【0005】拡散信号1〜11はすべて拡散符号Aで拡
散された拡散信号であり、かつその拡散符号の位相は互
いに異なっている。時間シフト多重方式の伝送信号は、
これらの11個の拡散信号をすべて加算した信号であ
る。なお、図14における伝送データはD1 ,D2 ,…
であり、D0〜D-10 は伝送データに依らない初期値で
ある。
【0006】従来のスペクトル拡散通信波の受信機を用
いて時間シフト多重方式のスペクトル拡散信号の復調を
行う場合の復調動作について図15を用いて説明する。
図15は従来のスペクトル拡散通信波の受信機のブロッ
ク構成図である。受信アンテナ1で受信された時間シフ
ト多重されたスペクトル拡散信号50はダウンコンバー
タ2において送信周波数とほぼ等しい周波数でダウンコ
ンバートされ、ベースバンドI(In-Phase)信号51,
ベースバンドQ(Quadrature)信号52(以下信号I信
号とQ信号をまとめてIQ信号という)に周波数変換さ
れる。ベースバンドIQ信号51,52はAD変換回路
3においてAD変換され、ディジタルIQ信号53,5
4となる。ディジタルIQ信号53,54はマッチドフ
ィルタ4において逆拡散され、マッチドフィルタ4から
は逆拡散IQ信号55,56が出力される。逆拡散IQ
信号55,56には1シンボル長の期間に符号多重数と
同じ個数の相関ピークが現れる。検波回路5において各
々の相関ピークの検波を行って検波信号I成分57,検
波信号Q成分58をとり出し、復号回路6において検波
された各相関ピークの復号を行って復調データI成分5
9,復調データQ成分60をとり出し、これらからパラ
レル/シリアル変換器7により受信データ61を得る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】時間シフト多重方式に
おいては、通常、偶相関サイドローブと奇相関サイドロ
ーブの両方が十分に小さな拡散符号が用いられる。これ
は、拡散符号の自己相関サイドローブが0でない場合に
は、相関ピークに他の相関ピークのサイドローブが重畳
され、相互相関により通信品質が劣化するためである。
時間シフト多重方式における相互相関による通信品質の
劣化について、図12を用いて説明する。図14に図示
した信号は時間シフト多重方式の伝送信号であるが、こ
こでは受信機において伝送信号をベースバンド帯域に周
波数変換した信号、すなわちディジタルIQ信号を表す
ものとする。このとき、Dk はk番目の送信シンボルに
対する複素変調信号と伝送路特性を表す複素包絡線の積
である。以下では簡単のため情報変調はBPSKとし、
また伝送路特性が1である場合について考える。この場
合には、Dk はk番目の送信データと等しくなる。以下
においては、図14における拡散信号(11)の最初の
シンボル、すなわちD11の相関ピークにおける相互相関
について調べる。
【0008】受信機のマッチドフィルタにおいて、ディ
ジタルIQ信号と拡散符号との1シンボル期間での内積
が計算され出力されるが、D11のシンボルの相関ピーク
は、時刻tA から時刻tB までの1シンボル期間のディ
ジタルIQ信号と拡散符号との内積である。時刻tA
ら時刻tB までの1シンボル期間の拡散信号i(i=
1,2,…11)をSi と表記するものとすると、D11
のシンボルの相関ピークPeak11は次式(1)で表現され
る。
【数1】 ただし、上式において・印はベクトル間の内積を表すも
のとする。
【0009】(1)式の右辺の11個の項のうち拡散信
号(11)に関する項は、S11=D 11・Aであるから、
11・A=D11・A・A=11・D11となる。この項は
11に応じて+11または−11の値をとる。(1)式
の右辺の残りの項により、D11のシンボルに対する相互
相関が発生する。拡散信号(1)に関する項S1 ・A
は、図14よりD1 とD12の両方で決まることが分か
る。特にバーカー符号を用いる場合には、S1 =〔−D
121212−D12121212−D12−D12−D
121 〕であるから、S1 ・A=−D1 となる。この場
合には、S1 ・AはD1 だけで決定されD12には依らな
い。拡散信号(2)に関する項S2 ・Aは、図14より
2 とD13の両方で決まることが分かる。特にバーカー
符号を用いる場合には、S2 =〔D1313−D13 13
1313−D13−D132 −D2 〕であるから、S2 ・A
=−D13となる。この場合には、S2 ・AはD13だけで
決定されD2 には依らない。
【0010】拡散信号(3)〜(10)に関する項につ
いても同様であり、結局、次式(2)が得られる。
【数2】 ここで、fi (D11+i)はDi に起因する相互相関を表
す。特に、バーカー符号を用いる場合には、Peak11は次
式(3)で与えられる。
【数3】
【0011】以上においては、D11のシンボルの相関ピ
ークにおける相互相関に着目したが、同様の議論は任意
のDN (N≧11)に対して成り立つことから、次式
(4),(5)が得られる。
【数4】
【0012】(4)式において第2項以降の項がすべて
0であるような拡散符号、すなわち偶相関サイドローブ
および奇相関サイドローブがすべて0であるような拡散
符号があれば、相互相関による劣化を受けることなく時
間シフト多重を行うことができる。ところが、実際には
このような符号は知られておらず、実用的には、偶相関
サイドローブと奇相関サイドローブの両方が0ではない
が小さな値をとるバーカー符号が用いられている。バー
カー符号の偶相関および奇相関サイドローブの振幅はす
べて1であるので、バーカー符号は2値符号の中では最
も時間シフト多重に適した符号といえる。ところが、こ
の時間シフト多重に最適なバーカー符号を用いる場合に
おいても、多重数を拡散率と同程度にまで大きくする
と、相互相関による劣化が非常に大きくなってしまう。
【0013】符号長11のバーカー符号を用いる場合の
最大多重数は11であるが、このときの相関ピーク振幅
は伝送データに応じて1以上21以下となる。バーカー
符号を用いて時間シフト11多重を行ったときの信号点
間距離の劣化の様子を図16に示す。ただし、図16で
は情報変調としてQPSK(Quadrature Phase-ShiftKe
ying )変調を用いる場合について示してある。図16
(a)に多重を行わない場合の信号点配置を、図16
(b)に11多重したときの信号点の位置を示してい
る。図16(b)において黒丸で示した4つの信号点は
無歪みの信号点であり、それ以外の白丸で示した信号点
はすべて相互相関の影響を受けた信号点である。相互相
関によりI軸およびQ軸を越える信号点は存在しない
が、最悪の信号点では多重を行わない場合と比較して信
号点距離が1/11に劣化している。これは、S/Nに
換算すると20.8dBの劣化に相当する。また、11
多重することにより、1信号当たりの信号電力は1/1
1となるが、これはS/Nに換算すると10.4dBの
劣化に相当する。
【0014】すなわち、図15に示した構成のスペクト
ル拡散通信波の受信機を用いて符号長11のバーカー符
号を時間シフト11多重したスペクトル拡散信号の復調
を行う場合には、最悪の信号点における誤り率特性が多
重を行わない場合と比較してS/N換算で31.2dB
だけ劣化してしまう。このように、時間シフト多重され
たスペクトル拡散信号を伝送するシステムにおいて、図
15に示した従来のスペクトル拡散通信波の受信機で復
調を行う場合には、符号多重を行うと誤り率特性が大き
く劣化するため、符号多重数を大きくできないという問
題点があった。
【0015】本発明は、上記事情に鑑みて、符号多重に
より生じる相互相関を低減することにより高品質な高速
伝送を実現可能とするスペクトル拡散通信波の受信装置
を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の請求項1による本発明のスペクトル拡散通信波の受信
装置は、伝送信号を受信する受信アンテナと、前記受信
アンテナで受信した受信信号を送信周波数とほぼ等しい
周波数でダウンコンバートしてベースバンドIQ信号に
周波数変換するダウンコンバート手段と、前記ベースバ
ンドIQ信号をAD変換するAD変換手段と、前記AD
変換手段から出力されるディジタルIQ信号の逆拡散信
号を得るためのマッチドフィルタ手段と、前記マッチド
フィルタ手段から出力される逆拡散信号を検波するため
の検波手段と、前記検波手段から出力される検波信号お
よび復号データを一定期間だけ記憶し、過去のある時点
の検波信号における相互相関の推定値を、その時点より
後の記憶された検波信号および記憶された復号データと
から求めて該当する検波信号から差し引く検波信号相互
相関抑圧手段と、前記検波信号相互相関抑圧手段から出
力される相互相関抑圧検波信号を復号して得られる復号
出力を前記復号データとして前記検波信号相互相関抑圧
手段に供給するための復号手段を備えた構成を有する。
【0017】上記目的を達成するための請求項2による
本発明のスペクトル拡散通信波の受信装置は、伝送信号
を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナで受信し
た受信信号を送信周波数とほぼ等しい周波数でダウンコ
ンバートしてベースバンドIQ信号に周波数変換するダ
ウンコンバート手段と、前記ベースバンドIQ信号をA
D変換するAD変換手段と、前記AD変換手段から出力
するディジタルIQ信号の逆拡散信号を得るためのマッ
チドフィルタ手段と、前記マッチドフィルタ手段から出
力される逆拡散信号および復号データを一定期間だけ記
憶し、過去のある時点の逆拡散信号における相互相関の
推定値を、その時点より後の記憶された逆拡散信号およ
び記憶された復号データとから求めて該当する逆拡散信
号から差し引く逆拡散信号相互相関抑圧手段と、前記逆
拡散信号相互相関抑圧手段から出力される相互相関抑圧
逆拡散信号を差動復調するための差動復調手段と、前記
差動復調手段から出力される差動復調信号を復号して得
られる復号出力を前記復号データとして前記逆拡散信号
相互相関抑圧手段に供給するための復号手段を備えた構
成を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】上記請求項1による本発明の時間
シフト多重されたスペクトル拡散信号を受信するスペク
トル拡散通信波の受信装置は、検波信号を一定期間だけ
記憶し、記憶された検波信号と過去の復号データとから
相互相関の推定値を求めて、検波信号から相互相関の推
定値を差し引いた信号を復号するので、符号多重により
生じる相互相関が低減され、高品質な高速伝送が実現さ
れる。上記請求項2による本発明の時間シフト多重され
たスペクトル拡散信号を受信するスペクトル拡散通信波
の受信装置は、逆拡散信号を一定期間だけ記憶し、記憶
された逆拡散信号と過去の復号データとから相互相関の
推定値を求めて、逆拡散信号から相互相関の推定値を差
し引いた信号を差動復調するので、符号多重により生じ
る相互相関が低減され、高品質な高速伝送が実現され
る。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、請求項1による本発明の実施例におけるスペクト
ル拡散通信波の受信装置のブロック構成図である。図1
において、受信アンテナ1で受信された時間シフト多重
されたスペクトル拡散信号50はダウンコンバータ2に
おいて送信周波数とほぼ等しい周波数でダウンコンバー
トされ、ベースバンドIQ信号51,52に周波数変換
される。ベースバンドIQ信号51,52はAD変換回
路3においてAD変換され、ディジタルIQ信号53,
54となる。ディジタルIQ信号53,54はマッチド
フィルタ4において逆拡散され、マッチドフィルタ4か
らは逆拡散IQ信号55,56が出力される。逆拡散I
Q信号55,56には1シンボル長の期間に符号多重数
と同じ個数の相関ピークが現れる。検波回路5において
は各々の相関ピークの検波が行われ、検波信号のI成分
57とQ成分58が出力される。検波信号相互相関抑圧
回路8には検波信号のI成分57とQ成分58および復
調データのI成分59とQ成分60が印加されており、
過去の一定期間分の検波信号のI成分57とQ成分58
および復調データのI成分59とQ成分60とが記憶さ
れる。検波信号相互相関抑圧回路8では、記憶された検
波信号と過去の復調データから時間τだけ前の検波信号
に対する相互相関の推定値を求めて、時間τだけ前の検
波信号から差し引き、相互相関抑圧検波信号のI成分6
2とQ成分63として出力する。相互相関抑圧検波信号
のI成分62とQ成分63は復号回路6において復号さ
れ、復調データのI成分59とQ成分60とが出力され
パラレル/シリアル変換回路7により受信データ61と
なる。
【0020】以下では、検波信号における相互相関の抑
圧動作についてさらに詳細に説明する。(4)式より、
相互相関MCN は次式(6)で表現される。
【数5】 (6)式において、fN-10〜fN+10は拡散符号により定
まる既知の関数である。DN-10〜DN-1 については、そ
れらの復号は既に完了しているので、その復調データで
あるハットDN-10〜ハットDN-1 をその推定値として用
いることができる。DN+1 〜DN+10については、その復
号はまだ行われていないので、相互相関抑圧前の検波信
号Peakk (k=N+1,…,N+10)を仮判定復号し
たバーD N+1 〜バーDN+10をその推定値として用いる。
【0021】すなわち、検波信号相互相関抑圧回路8に
おいては、ハットDN-10〜ハットD N-1 およびバーD
N+1 〜バーDN+10を用いて次式により検波信号における
相互相関の推定値MCN ’を求める。
【数6】 検波信号相互相関抑圧回路8においては、さらに検波信
号PeakN から検波信号における相互相関の推定値M
N ’を差し引き、相互相関抑圧検波信号PeakN ’を出
力する。
【数7】 復号回路6においては、相互相関抑圧検波信号PeakN
が復号され、復調データとしてハットDN が出力され
る。
【0022】次に、拡散符号として符号長11のバーカ
ー符号を用いる場合に、上述の方法で相互相関が十分に
抑圧可能であることを示す。(5)式より、バーカー符
号を用いる場合の相互相関の推定値MCN ’は次式
(9)で与えられることが分かる。
【数8】 伝送信号にガウス雑音が重畳している場合について考
え、相互相関を抑圧しないで復号したときの平均ビット
誤り率をp、上述の方法で相互相関を抑圧した後に復号
したときの平均ビット誤り率をp’とする。また、相関
ピークの振幅がkのときのビット誤り率をpk とする。
【0023】既に述べたように、相互相関を抑圧しない
場合の相関ピーク振幅は伝送データに応じて1以上21
以下となるので、平均ビット誤り率の率pの定義より次
式(10)が成り立つ。
【数9】 ここで、gi は相互相関を抑圧しない場合において、相
関ピークの振幅がiとなる確率である。一方、(9)式
より平均ビット誤り率p’について次式(11)が成り
立つ。
【数10】
【0024】(11)式において、1番目の項はハット
N-10〜ハットDN-2 およびバーD N+2 〜バーDN+10
すべて誤らない場合のビット誤り率であり、2番目の項
はいずれか1ビットを誤った場合の誤り率、3番目の項
はいずれか2ビットを誤った場合の誤り率である。p,
p’は1よりも十分に小さいので、p,p’に関する2
以上の項を無視すると、(11)式は次式(12)で近
似される。
【数11】
【0025】(12)式において、右辺のp’に関する
項を左辺に移項し、さらにp9 ,p 11,p13がすべて1
よりも十分に小さいことを用いると、次式(13)が得
られる。
【数12】
【0026】相互相関が0である場合のビット誤り率が
11であるから、(13)式より相互相関抑圧の処理を
施した後の平均ビット誤り率p’は理想的に相互相関が
抑圧された場合のビット誤り率よりも(5/2)p(p
9 −2p11+p13)だけ大きくなることが分かる。pi
=(i=1,3,…,21)が求まれば、(10),
(13)式を用いて相互相関抑圧後の平均ビット誤り率
p’を計算することができる。
【0027】理想的に相互相関が抑圧された場合の平均
ビット誤り率特性p11、(10)式より求めた相互相関
の抑圧処理をしない場合の平均ビット誤り率特性pおよ
び(10),(13)式を用いて求めた相互相関抑圧の
処理を施した後の平均ビット誤り率特性p’を図2に示
す。(9)式に基づく相互相関の推定および(8)式に
よる相互相関の抑圧処理をした場合の平均ビット誤り率
特性p’は、理想的に相互相関が抑圧された場合の平均
ビット誤り率特性p”とほぼ同等の特性であることが分
かる。
【0028】図1に示した請求項1による本発明の一実
施例におけるスペクトル拡散通信波の受信装置において
は、以上で説明した相互相関の抑圧処理を検波信号相互
相関抑圧回路8で行っている。検波信号相互相関抑圧回
路8には、検波信号I成分57,検波信号Q成分58,
復調データI成分59および復調データQ成分60が印
加され、相互相関抑圧検波信号I成分52および相互相
関抑圧検波信号Q成分53が出力される。相互相関の抑
圧処理はI成分とQ成分で独立であり、同一構成の回路
で実現できるので、検波信号相互相関抑圧回路8のうち
I成分の相互相関を抑圧する部分のブロック構成例を図
3に示す。
【0029】検波信号相互相関抑圧回路8に入力された
検波信号I成分57はmビット×11シフトレジスタ回
路19に印加される。mビット×11シフトレジスタ回
路19にはチップクロックも供給されており、過去11
チップ期間における11個の検波信号I成分の値が記憶
される。ここで、mは検波信号I成分57の量子化ビッ
ト数である。mビット×11シフトレジスタ回路19か
らは記憶された検波信号I成分PeakN+1 ,PeakN+2
…,PeakN+10が出力され、各々仮判定回路14,15,
…,16において仮判定復号される。仮判定復号データ
であるバーDN+1,バーDN+2 ,…,バーDN+10は、検
波信号相互相関推定回路12に印加される。
【0030】一方、復調データI成分59は1ビット×
10シフトレジスタ回路11に印加される。1ビット×
10シフトレジスタ回路11にもチップクロックが供給
されており、過去10チップ期間における10個の復調
データI成分の値が記憶される。1ビット×10シフト
レジスタ回路11からは、記憶された復調データI成分
であるハットDN-1 ,ハットDN-2 ,…,ハットDN-10
が出力され、検波信号相互相関推定回路12に印加され
る。検波信号相互相関推定回路12は、バーDN+1 ,バ
ーDN+2 ,…,バーDN+10およびハットDN-1 ,ハット
N-2 ,…,ハットDN-10を受けて、(7)式に基づき
相互相関の推定値MCN ’を求めて、検波信号相互相関
推定信号100として出力する。
【0031】ところで、(7)式で求まる相互相関の推
定値MCN ’は、相互相関のない状態での相関ピーク振
幅を11としたときの相互相関の値である。検波信号に
おける相互相関を相殺するためには、相互相関の推定値
を、相互相関のない状態での相関ピーク振幅の1/11
と掛け合わせた後に検波信号から差し引かなければなら
ない。検波ピーク値記憶回路13は、相互相関のない状
態での検波信号における相関ピーク振幅を記憶し、その
1/11を相関推定値規格化信号101として出力する
ための回路であり、検波信号I成分57が印加されてい
る。
【0032】相互相関のない状態での相関ピーク振幅を
知る方法としては、複数の方法を用いることができる。
例えば、送信側において、送信データの伝送に先立ち、
符号多重を行わないスペクトル拡散信号を送信するか、
あるいは符号多重による相互相関の発生しない特定パタ
ーンのデータを送信し、受信側ではこの期間の相関ピー
ク振幅の平均値を求めて記憶する方法がある。
【0033】乗算回路17においては、検波信号相互相
関推定信号100と相関推定値規格化信号101の積が
計算され、規格化された相互相関推定信号102として
出力される。減算器18においては、検波信号I成分Pe
akN から規格化された相互相関推定信号102が差し引
かれて、相互相関抑圧検波信号I成分62として出力さ
れる。
【0034】図3における検波信号相互相関推定回路1
2の回路構成は使用する拡散符号に依存する。拡散符号
としてバーカー符号を用いる場合には、相互相関の推定
値MCN ’が(9)式で与えられるため、検波信号相互
相関推定回路12は図4に示した簡単な回路で実現する
ことができる。ここで、20は加算器、21は(−1)
の定数乗算器である。
【0035】図3における仮判定回路14,15,…,
16としては、通常の検波信号の判定回路が用いられ
る。一例として、検波信号I成分57が2の補数等の符
号ビット付きの表現である場合には、mビット×11シ
フトレジスタ回路19における符号ビットをバーDN+1
〜バーDN+10として直接に検波信号相互相関推定回路1
2に出力することができる。この場合には、仮判定回路
14,15,…,16は不要となる。
【0036】図3における検波ピーク値記憶回路13の
一具体例を図5に示す。検波信号I成分57が2の補数
等の符号ビット付きの表現である場合には、絶対値回路
22においてその絶対値が求められ、さらに平均回路2
3においてその平均値が求められる。平均回路23は、
例えば所定の回数だけ相互相関の発生していない相関ピ
ークに対応した絶対値回路22の出力を加算し、加算結
果を加算の回数で除する回路で実現される。平均回路2
3から出力される相互相関の発生していない相関ピーク
の振幅の平均値は、1/11回路24において1/11
倍され、相関推定値規格化信号101として出力され
る。
【0037】次に、請求項2による本発明の実施例につ
いて、図6を用いて説明する。図6は請求項2による本
発明の一実施例におけるスペクトル拡散通信波の受信装
置のブロック構成図である。図6において、受信アンテ
ナ1で受信された時間シフト多重されたスペクトル拡散
信号50はダウンコンバータ2において送信周波数とほ
ぼ等しい周波数でダウンコンバートされ、ベースバンド
IQ信号51,52に周波数変換される。ベースバンド
IQ信号51,52はAD変換回路3においてAD変換
され、ディジタルIQ信号53,54となる。ディジタ
ルIQ信号53,54はマッチドフィルタ4において逆
拡散され、マッチドフィルタ4からは逆拡散IQ信号5
5,56が出力される。逆拡散IQ信号55,56には
1シンボル長の期間に符号多重数と同じ個数の相関ピー
クが現れる。逆拡散信号相互相関抑圧回路9には、逆拡
散IQ信号55,56および復調データのI成分59と
Q成分60とが印加されており、過去の一定期間分の逆
拡散IQ信号55,56および復調データのI成分59
とQ成分60とが記憶される。逆拡散信号相互相関抑圧
回路9では、記憶された逆拡散信号と過去の復調データ
から時間τだけ前の逆拡散信号に対する相互相関の推定
値を求めて、時間τだけ前の逆拡散信号から差し引き、
相互相関抑圧逆拡散信号のI成分64およびQ成分65
として出力する。差動復調回路10において相互相関抑
圧逆拡散信号のI成分64とQ成分65の差動復調が行
われ、差動復調信号のI成分66とQ成分67が出力さ
れる。差動復調信号のI成分66とQ成分67は復号回
路6において復号され、復調データのI成分59とQ成
分60が出力される。
【0038】図6に示した逆拡散信号相互相関抑圧回路
9のブロック構成を図7に示す。逆拡散信号相互相関抑
圧回路9に入力された逆拡散信号のI成分55とQ成分
56は、複素nビット×21シフトレジスタ回路26に
印加される。複素nビット×21シフトレジスタ回路2
6は二つのnビット×21シフトレジスタ回路で構成さ
れ、一方には過去21チップ期間における21個の逆拡
散信号I成分の値が記憶され、他方には同じくQ成分の
値が記憶される。ここで、nは逆拡散信号のI成分55
とQ成分56の量子化ビット数である。複素nビット×
21シフトレジスタ回路26からは記憶され複素逆拡散
信号MFout N+1 ,MFout N+2 ,…,MFout N+10
よびMFout N-1 ,MFout N-2 ,…,MFout N-10
出力され、前者は各々複素仮判定回路29,30,…,
31において仮判定復号される。後者は基準位相推定回
路28に印加される。ここで、複素逆拡散信号MFout
kとは、逆拡散信号I成分55に逆拡散信号Q成分56
とjの積を加えた複素数である。ただし、jはj2 =1
となる純虚数である。
【0039】逆拡散信号相互相関抑圧回路9に入力され
た復調データのI成分59およびQ成分60は、複素1
ビット×10シフトレジスタ回路27に印加される。複
素1ビット×10シフトレジスタ回路27は二つの1ビ
ット×10シフトレジスタ回路で構成され、一方には過
去10チップ期間における10個の復調データI成分の
値が記憶され、他方には復調データQ成分の値が記憶さ
れる。複素1ビット×10シフトレジスタ回路27から
は、記憶された複素復調データであるハットD N-1 ,ハ
ットDN-2 ,…,ハットDN-10が出力され、逆拡散信号
相互相関推定回路25および基準位相推定回路28に印
加される。ここで、複素復調データであるハットDk
は、復調データI成分59に復調データQ成分60とj
の積を加えた複素数である。
【0040】基準位相推定回路28には、記憶された複
素逆拡散信号MFout N-1 ,MFout N-2 ,…,MFou
t N-10および記憶された複素復調データであるハットD
N-1,ハットDN-2 ,…,ハットDN-10が印加され、相
互相関抑圧の際の位相の基準となる基準位相ejdが求め
られて、基準位相信号103として出力される。基準位
相信号103は、複素仮判定回路29,30,…,31
および逆拡散信号相互相関推定回路25に印加される。
【0041】複素仮判定回路29,30,…,31にお
いては、基準位相信号103を用いて複素逆拡散信号M
Fout N+1 ,MFout N+2 ,…,MFout N+10の仮判定
が行われ、仮判定復号データであるバーDN+1 ,バーD
N+2 ,…,バーDN+10が出力される。仮判定復号データ
であるバーDN+1 ,バーDN+2 ,…,バーDN+10は、逆
拡散信号相互相関推定回路25に印加される。
【0042】逆拡散信号相互相関推定回路25には、バ
ーDN+1 ,バーDN+2 ,…,バーD N+10およびハットD
N-1 ,ハットDN-2 ,…,ハットDN-10と基準位相信号
103が印加されており、まず(7)式に基づいて相互
相関の推定値MCN ’が求められる。ところで、M
N ’は検波信号における相互相関であり、逆拡散信号
MC”は、次式(14)で与えられる。
【数13】 逆拡散信号相互相関推定回路25においては、(7)式
から求めたMCN ’と基準位相信号ejdの積が求められ
て、逆拡散信号における相互相関の推定値MC”104
として出力される。
【0043】ところで、(7)式で求まる相互相関の推
定値MCN ’は、相互相関のない状態での相関ピーク振
幅を11としたときの相互相関の値であるから、逆拡散
信号における相互相関を相殺するためには、相互相関の
推定値を、相互相関のない状態での逆拡散信号における
相関ピーク振幅の1/11と掛け合わせた後に逆拡散信
号から差し引かなければならない。相関ピーク値記憶回
路32は、相互相関のない状態での逆拡散信号における
相関ピーク振幅を記憶し、その1/11を相関推定値規
格化信号105として出力するための回路であり、逆拡
散信号のI成分55とQ成分56が印加されている。
【0044】スカラー倍回路33においては、逆拡散信
号における相互相関の推定値(ejd)103と相関推定
値規格化信号105の積が計算され、規格化された複素
相互相関推定信号106として出力される。逆拡散信号
における相互相関の推定値MC”104は複素数であ
り、相関推定値規格化信号105は実数であるから、ス
カラー倍回路33においては複素数スカラー倍に相当す
る演算が行われる。
【0045】複素減算器34においては、複素逆拡散信
号MFout N から規格化された複素相互相関推定信号1
06が差し引かれて、演算結果の実部および虚部が各々
相互相関抑圧逆拡散信号のI成分64とQ成分65とし
て出力される。
【0046】図7における逆拡散信号相互相関推定回路
25の回路構成は使用する拡散符号に依存する。拡散符
号としてバーカー符号を用いる場合には、相互相関の推
定値MC’が(9)式で与えられるため、逆拡散信号相
互相関推定回路25は図8に示した簡単な回路で実現で
きる。
【0047】図8の複素加算器35において、複素復調
データであるハットDN-1 ,ハットDN-2 ,…,ハット
N-10と複素数の仮判定復号データであるバーDN+1
バーDN+2 ,…,バーDN+10が足し合わされる。符号反
転器36においては、加算結果の実部および虚部の符号
がともに反転される。符号反転器36の出力は、(9)
式をI成分およびQ成分について計算した結果を複素数
で表現したものであり、複素乗算器37においては、符
号反転器36の出力に位相基準信号103、すなわち、
jdが掛け合わされ、複素相互相関推定信号104が出
力される。
【0048】図7における複素仮判定回路29,30,
…,31の構成の具体例を図9に示す。図9の複素乗算
器38において、複素逆拡散信号MFout k (k=N+
1,N+2,…,N+10)と位相基準信号(ejd)1
03が掛け合わされる。複素乗算器38の出力は複素判
定回路39においてその実部および虚部がそれぞれ復号
され、仮判定復号データであるバーDk が出力される。
ここで、仮判定復号データであるバーDk は、実部の仮
判定復号データに虚部の仮判定復号データとjの積を加
えた複素数である。複素逆拡散信号の実部および虚部が
2の補数等の符号ビット付きの表現である場合には、複
素乗算器38の出力における実部および虚部の符号ビッ
トが各々実部および虚部の仮判定復号データとなる。
【0049】図7における基準位相推定回路28の構成
の具体例を図10に示す。図10において、複素復調デ
ータであるハットDN-1 ,ハットDN-2 ,…,ハットD
N-10は、各々複素共役回路40,41,…,42におい
て複素共役データに変換される。複素共役回路40,4
1,…,42は、実部は入力信号をそのまま出力し、虚
部は入力信号の符号を反転した信号を出力する回路であ
る。複素逆拡散信号MFout N-1 ,MFout N-2 ,…,
MFout N-10と複素共役回路40,41,…,42の出
力信号は、各々複素乗算回路43,44,…,45にお
いて掛け合わされ、その積はすべて位相平均回路46に
印加される。位相平均回路46では、複素乗算回路4
3,44,…,45の各出力信号の平均値を求めて、位
相基準信号103として出力する。なお、判定誤りを生
じた複素復調データに起因する位相基準信号の推定誤差
を小さく抑えるために、複素乗算回路43,44,…,
45の各出力信号の中で他と極端に異なるデータは除外
し、残りのデータの平均値として位相基準信号103を
求めることも可能である。
【0050】図7における相関ピーク値記憶回路32の
構成の具体例を図11に示す。すでに述べたとおり、相
関ピーク値記憶回路32は、相互相関のない状態での逆
拡散信号における相関ピーク振幅の1/11となる値を
求めるための回路である。相互相関のない状態での相関
ピーク振幅を知るための方法として、例えば、送信側に
おいて、送信データの伝送に先立ち、符号多重を行わな
いスペクトル拡散信号を送信するか、あるいは符号多重
による相互相関の発生しない特定パターンのデータを送
信し、受信側ではこの期間の相関ピークの平均値を求め
て、その振幅を記憶する方法がある。図11は、送信デ
ータの伝送に先立ち、符号多重を行わないスペクトル拡
散信号で、かつ例えば(1,1)のような固定データを
送信する場合の相関ピーク値記憶回路32の構成の具体
例である。
【0051】図11の平均回路47においては、逆拡散
信号のI成分55とQ成分56の平均値が各々求められ
る。座標変換回路48においては、求まったI成分の平
均値R0 およびQ成分の平均値I0 より、A0 =(R0 2
+I0 21/2 で定まる振幅A 0 を求めて、相互相関の発
生していない相関ピーク振幅の推定値として出力する。
座標変換回路48から出力される相互相関の発生してい
ない相関ピーク振幅の推定値は、1/11回路24にお
いて1/11倍され、相関推定値規格化信号105とし
て出力される。
【0052】図12は、本発明の請求項1によるスペク
トル拡散通信の受信機を用いた場合のビット誤り率特性
の改善に関する計算機シミュレーション結果である。た
だし、計算機シミュレーションにおいては拡散符号とし
て符号長11のバーカー符号を用いており、符号多重は
1チップ単位で時間シフトした11個のスペクトル拡散
信号を足し合わせることにより実現している。図16に
示した従来のスペクトル拡散通信波の受信機を用いて復
調を行った場合には、ビット誤り率が10-3となるC
NRは、符号多重を行わない場合と比較して約16.
5dBだけ劣化している。11符号多重による1信号当
たりの信号電力の減少は10.4dBであるので、約6
dBだけ余計に劣化している。この余分の劣化は、多重
された符号間での相互相関に起因している。一方、本発
明の請求項1によるスペクトル拡散通信波の受信装置を
用いて復調を行った場合には、ビット誤り率が10-3
となるCNRは、符号多重を行わない場合と比較して
約10.5dBだけ劣化している。これは、11符号多
重による1信号当たりの信号電力の減少分とほぼ等し
い。すなわち、ビット誤り率が10-3程度の領域では、
本発明の請求項1によるスペクトル拡散通信波の受信装
置を用いることにより、符号多重時の相互相関に起因す
る劣化をほぼ0とすることができる。
【0053】図13は、本発明の請求項2によるスペク
トル拡散通信波の受信装置を用いた場合のビット誤り率
特性の改善に関する計算機シミュレーション結果であ
る。ただし、この場合も計算機シミュレーションにおい
ては拡散符号として符号長11のバーカー符号を用いて
おり、符号多重は1チップ単位で時間シフトした11個
のスペクトル拡散信号を足し合わせることにより実現し
ている。遅延検波等の差動復調信号における相互相関の
大きさは同期検波信号における位相相関の大きさの約2
倍であり、差動復調を用いる場合には相互相関の抑圧な
しにはデータ伝送を行うことができない。図13による
と、本発明の請求項2によるスペクトル拡散通信波の受
信装置により相互相関を抑圧後に復調を行った場合に
は、ビット誤り率が10-3となるCNRは符号多重を行
わない場合と比較して約10dBだけ劣化する。この
劣化分は、11符号多重による1信号当たりの信号電力
の減少分とほぼ等しい。すなわち、ビット誤り率が10
-3程度の領域では、本発明の請求項2によるスペクトル
拡散通信波の受信装置を用いることにより、差動復調を
用いる場合における符号多重時の相互相関に起因する劣
化をほぼ0とすることができる。
【0054】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、同一の拡散
符号で拡散された複数のスペクトル拡散信号を拡散符号
の位相が互いに異なるように時間的にずらして多重し伝
送するスペクトル拡散通信において、本発明の請求項1
によるスペクトル拡散通信波の受信装置を用いると、符
号多重により生じる相互相関を低減した後に復調を行う
ので、相互相関に起因する品質劣化をほとんど生じるこ
となく符号多重数を大きくでき、高品質の高速伝送が実
現できる。また、本発明の請求項2によるスペクトル拡
散通信波の受信装置によると、移動通信に適した復調方
式である差動復調を行う場合においても、符号多重によ
り生じる相互相関を低減した後に復調を行うことができ
るので、相互相関に起因する品質劣化をほとんど生じる
ことなく符号多重数を大きくでき、高品質の高速伝送が
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した場合と適用しない場合の平均
ビット誤り率を示す特性例図である。
【図3】図1の実施例に用いられる検波信号相互相関抑
圧回路例を示すブロック図である。
【図4】図3の回路に用いられる検波信号相互相関推定
回路の具体例を示すブロック図である。
【図5】図3の回路に用いられる検波ピーク値記憶回路
の具体例を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施例を示すブロック図である。
【図7】図6の実施例に用いられる逆拡散信号相互相関
抑圧回路の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の構成例に用いられる逆拡散信号相互相関
推定回路のI成分処理部分の具体例を示すブロック図で
ある。
【図9】図7の構成例に用いられる複素仮判定回路の具
体例を示すブロック図である。
【図10】図7の構成例に用いられる基準位相推定回路
の構成例を示すブロック図である。
【図11】図7の構成例に用いられる相関ピーク値記憶
回路の構成例を示すブロック図である。
【図12】本発明装置の第1の実施例によるビット誤り
率の改善度を示すシミュレーション結果特性図である。
【図13】本発明装置の第2の実施例によるビット誤り
率の改善度を示すシミュレーション結果特性図である。
【図14】本発明を適用する時間シフト多重方式の伝送
信号例を示す図である。
【図15】従来のスペクトル拡散通信の受信機例を示す
ブロック図である。
【図16】時間シフト11多重を行わないとき(a)と
行ったとき(b)の信号点間距離の劣化の様子を示す図
である。
【符号の説明】
1 アンテナ 2 ダウンコンバータ 3 AD変換回路 4 マッチドフィルタ 5 検波回路 6 復号回路 7 シリアル/パラレル変換回路 8 検波信号相互相関抑圧回路 9 逆拡散信号相互相関抑圧回路 10 差動復調回路 11 1ビット×10シフトレジスタ回路 12 検波信号相互相関推定回路 13 検波ピーク値記憶回路 14,15,16 仮判定回路 17 乗算器 18 減算器 19 mビット×10シフトレジスタ回路 20 加算器 21 (−1)乗算器 22 絶対値回路 23 平均回路 24 (1/11)回路 25 逆拡散信号相互相関推定回路 26 複素nビット×21シフトレジスタ回路 27 複素1ビット×10シフトレジスタ回路 28 基準位相推定回路 29,30,31 複素仮判定回路 32 相関ピーク値記憶回路 33 乗算器(スカーラー倍回路) 34 複素減算器 35 複素加算器 36 符号反転器 37,38 複素乗算器 39 複素判定回路 40,41,42 複素共役回路 43,44,45 複素乗算器 46 位相平均回路 47 平均回路 48 座標変換回路 49 (1/11)回路 50 受信信号 51 ベースバンドI信号 52 ベースバンドQ信号 53 ディジタルI信号 54 ディジタルQ信号 55 逆拡散信号I成分 56 逆拡散信号Q成分 57 検波信号I成分 58 検波信号Q成分 59 復調データI成分 60 復調データQ成分 61 受信データ 62 相互相関抑圧検波信号I成分 63 相互相関抑圧検波信号Q成分 64 相互相関抑圧逆拡散信号I成分 65 相互相関抑圧逆拡散信号Q成分 66 差動復調信号I成分 67 差動復調信号Q成分 100 検波信号相互相関推定信号 101 相関推定値規格化信号 102 相互相関推定信号 103 基準位相信号 104 複素相互相関推定信号(MC”) 105 相関推定値規格化信号 106 複素相互相関推定信号

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 同一の拡散符号で拡散された複数のスペ
    クトル拡散信号を拡散符号の位相が互いに異なるように
    時間的にずらして多重し伝送するスペクトル拡散通信波
    の受信装置において、 伝送信号を受信する受信アンテナと、 前記受信アンテナで受信した受信信号を送信周波数とほ
    ぼ等しい周波数でダウンコンバートしてベースバンドI
    Q信号に周波数変換するダウンコンバート手段と、 前記ベースバンドIQ信号をAD変換するAD変換手段
    と、 前記AD変換手段から出力されるディジタルIQ信号の
    逆拡散信号を得るためのマッチドフィルタ手段と、 前記マッチドフィルタ手段から出力される逆拡散信号を
    検波するための検波手段と、 前記検波手段から出力される検波信号および復号データ
    を一定期間だけ記憶し、過去のある時点の検波信号にお
    ける相互相関の推定値を、その時点より後の記憶された
    検波信号および記憶された復号データとから求めて該当
    する検波信号から差し引く検波信号相互相関抑圧手段
    と、 前記検波信号相互相関抑圧手段から出力される相互相関
    抑圧検波信号を復号して得られる復号出力を前記復号デ
    ータとして前記検波信号相互相関抑圧手段に供給するた
    めの復号手段とを備えたスペクトル拡散通信波の受信装
    置。
  2. 【請求項2】 同一の拡散符号で拡散された複数のスペ
    クトル拡散信号を拡散符号の位相が互いに異なるように
    時間的にずらして多重し伝送するスペクトル拡散通信波
    の受信装置において、 伝送信号を受信する受信アンテナと、前記受信アンテナ
    で受信した受信信号を送信周波数とほぼ等しい周波数で
    ダウンコンバートしてベースバンドIQ信号に周波数変
    換するダウンコンバート手段と、 前記ベースバンドIQ信号をAD変換するAD変換手段
    と、 前記AD変換手段から出力されるディジタルIQ信号の
    逆拡散信号を得るためのマッチドフィルタ手段と、 前記マッチドフィルタ手段から出力される逆拡散信号お
    よび復号データを一定期間だけ記憶し、過去のある時点
    の逆拡散信号における相互相関の推定値を、その時点よ
    り後の記憶された逆拡散信号および記憶された復号デー
    タとから求めて該当する逆拡散信号から差し引く逆拡散
    信号相互相関抑圧手段と、 前記逆拡散信号相互相関抑圧手段から出力される相互相
    関抑圧逆拡散信号を差動復調するための差動復調手段
    と、 前記差動復調手段から出力される差動復調信号を復号し
    て得られる復号出力を前記復号データとして前記逆拡散
    信号相互相関抑圧手段に供給するための復号手段とを備
    えたスペクトル拡散通信波の受信装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006270936A (ja) * 2005-02-22 2006-10-05 Tadashi Asahina 符号型送信装置及び符号型受信装置

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