JP2000094192A - 圧粉体の排出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パンチの上昇と連動して圧粉体を速やかに排
出し、原料粉の充填作業の迅速化を図る。 【解決手段】 型孔２に向かって昇降可能なラム４の左
右両側部に、水平をなす固定軸８に中間部が枢設された
１対の駆動レバー９の上端部をそれぞれ連結するととも
に、前記駆動レバー９の下端部に、前後方向を向く左右
１対のリンク１２、１３の後端を枢着し、かつこの各リ
ンク１２、１３の前端に、パンチが、ダイ１面上に脱型
されてくる圧粉体７の上面よりも下位に位置していると
きには型孔２の後方に位置し、同じく上限位置まで上昇
したとき型孔２の前方に位置するようにダイ１面上を摺
動する押出し部材１４を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、圧縮成型機により
成形された圧粉体を、ダイの前方に速やかに排出しうる
ようにした排出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】焼結金属製品は、原料粉を圧縮成型機に
より強圧して圧粉体を形成したのち、焼結炉により焼成
して製品化される。

【０００３】図５及び図６は、上記圧粉体成形用の圧縮
成型機の要部を略示するもので、ダイ（金型）(１)に形
成された型孔(２)内には、下パンチ(３)が摺動自在に嵌
合されている。ダイ(１)の上方に昇降可能として設けら
れたラム(４)の下端には、型孔(２)内に向かって昇降し
うる上パンチ(５)が設けられている。

【０００４】ダイ(１)の上面には、内部に原料粉が貯留
された給粉箱(６)が、前後方向（以下、図における左方
を前とする）に往復移動可能として載置され、これが１
往復する毎に、型孔(２)内に所要量の原料粉が充填され
る。

【０００５】型孔(２)内における下パンチ(３)の上部に
原料粉が充填されると、図５に示すように、ラム(４)と
共に上パンチ(５)が下降して、原料粉を下パンチ(３)と
の間で強圧し、圧粉体(７)が成形される。

【０００６】成形後の圧粉体(７)は、図６に示すよう
に、ダイ(１)全体が下降することにより、一旦型孔(２)
内よりダイ面上に脱型されたのち、上パンチ(５)が上昇
すると同時に前進してくる給粉箱(６)の先端により押圧
されて、前方に排出される。

【０００７】その後、ダイ(１)が上昇して原位置に復帰
し、かつ同時に、型孔(２)内には、給粉箱(６)により次
の新たな原料粉が充填される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記成形後の圧粉体
(７)を型孔(２)内より脱型する際、特に、圧粉体(７)が
薄肉である場合には、図６に示すように、その変形等を
防止するために、上下のパンチ(３)(５)により圧粉体
(７)を挾持しながら脱型されるのが一般的である。その
ため、上パンチ(５)の上昇に遅れが生じる。

【０００９】従って、上述した従来のように、脱型後の
圧粉体(７)を給粉箱(６)の前進により排出しようとする
と、給粉箱(６)が上パンチ(５)と干渉する恐れがあるた
め、上パンチ(５)が上限位置まで上昇するのを待ってか
ら給粉箱(６)を前進させなければならず、次の新たな原
料粉の充填作業に遅れが発生して、生産性の低下要因と
なっている。

【００１０】本発明は、上問題点に鑑みてなされたもの
で、上パンチの上昇と連動して圧粉体を速やかに排出す
ることにより、原料粉の充填作業を迅速に行い、生産性
を高めうるようにした圧粉体の排出装置を提供すること
を目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課
題は、ダイにおける型孔内で成形され、ダイ面上まで脱
型された圧粉体を、前記型孔の前方に排出する排出装置
であって、前記型孔に向かって昇降可能なラム又はパン
チの左右両側部に、水平をなす固定軸に中間部が枢設さ
れた１対の駆動レバーの上端部をそれぞれ連結するとと
もに、前記駆動レバーの下端部に、前後方向を向く左右
１対のリンクの後端を枢着し、かつこの各リンクの前端
に、前記パンチが、ダイ面上に脱型されてくる圧粉体の
上面よりも下位に位置しているときには型孔の後方に位
置し、同じく上限位置まで上昇したとき型孔の前方に位
置するようにダイ面上を摺動する押出し部材を設けるこ
とにより解決される。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面に
基づいて説明する。なお、前述した従来例と同様の部材
には、同じ符号を付すに止どめて、その詳細な説明を省
略する。

【００１３】図１及び図２において、ラム(４)の後方に
設けられた左右方向を向く固定軸(８)には、ほぼヘの字
形に折曲された上部アーム(9a)と下部アーム(9b)とから
なる左右１対の駆動レバー(９)の折曲部が、回動自在に
枢支されている。

【００１４】上記各駆動レバー(９)における上部アーム
(9a)の先端部は、その部分に形成された長孔(10)を、ラ
ム(４)の後端下部の両側面に突設したピン(11)に摺動可
能として係合させることにより、ラム(４)の昇降と連動
して回動しうるように連結されている。

【００１５】各下部アーム(9b)の下端には、前後方向を
向く左右１対の第１リンク(12)の後端が枢着され、また
両第１リンク(12)の前端には、同じく前後方向を向く左
右１対の第２リンク(13)の後端が枢着されている。

【００１６】各第２リンク(13)の前端には、ダイ(１)の
上面に摺動可能に載置された、後方に円弧状に湾曲する
ほぼ弓形の押出し板(14)の左右両側端が枢着されてい
る。押出し板(14)の曲率半径は、成形後の圧粉体(７)の
半径よりも大としてある。

【００１７】また、上記駆動レバー(９)の下部アーム(9
b)及び第１、第２リンク(12)(13)の寸法は、圧粉体(７)
が上下のパンチ(３)(５)に挾持されながらダイ面まで脱
型された状態(図１及び図２の状態)において、押出し板
(14)が圧粉体(７)のやや後方に位置する長さに設定して
ある。これは、押出し板(14)がパンチ(５)や圧粉体(７)
と干渉するのを防止するとともに、後述するように、ラ
ム(４)の上昇時において圧粉体(７)を速やかに前方に排
出するためである。

【００１８】なお、上記駆動レバー(９)、第１、第２リ
ンク(12)(13)及び押出し板(14)により、排出装置を構成
している。

【００１９】上記実施例の排出装置において、従来と同
様、型孔(２)内において成形された圧粉体(７)が、図１
に示すように、上下のパンチ(３)(５)により挾持されな
がら、ダイ(１)の上面まで押し上げられ、ついで、ラム
(４)と共に上パンチ(５)が予め定めた上限位置まで上昇
すると、図３及び図４に示すように、ラム(４)に連結さ
れている左右１対の駆動レバー(９)が、固定軸(８)を中
心として反時計回りに回動させられる。

【００２０】駆動レバー(９)の回動により、下部アーム
(9b)の下端に枢着されている左右の第１リンク(12)と、
この第１リンク(12)に枢着されている左右の第２リンク
(13)と、第２リンク(13)に通着されている押出し板(14)
とが、前方に移動させられ、圧粉体(７)は押出し板(14)
により型孔(２)の前方に排出される(図４参照)。

【００２１】押出し板(14)が前方に移動するのとほぼ同
時に、給粉箱(６)は、図３の想像線で示すように、次の
新たな原料粉を充填するべく、型孔(２)の直上まで前進
する。

【００２２】以上説明したように、上記実施例において
は、ラム(４)の昇降運動を、駆動レバー(９)と２つのリ
ンク(12)(13)とにより押出し板(14)に水平運動として伝
達し、圧粉体(７)をラム(４)の上昇と同時に即座に排出
するようにしているため、給粉箱(６)の前進により圧粉
体(７)を排出する従来のもののように、給粉箱(６)と上
パンチ(５)とが干渉する恐れはなくなる。従って、上パ
ンチ(５)が上昇するのとほぼ同時に給粉箱(６)を前進さ
せることが可能となり、原料粉の充填作業が迅速化す
る。

【００２３】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はない。上記実施例では、第１、第２リンク(12)(13)に
より押出しリンクを構成しているが、圧粉体(７)の大き
さに応じて、１個又は２個以上とすることもある。ま
た、駆動レバー(９)の上部アーム(9a)を上パンチ(５)に
連結することもある。 押出し板(14)の形状は、圧粉体
(７)の形状により適宜である。

【００２４】本発明は、圧粉体(７)が大型又は厚肉で、
上下のパンチ(３)(５)により挟持して脱型する必要のな
い圧縮成型機にも適用しうることは勿論である。

【００２５】

【発明の効果】本発明によれば、ラム又はパンチの上昇
と連動して、押出し部材が圧粉体を速やかに前方に排出
するので、給粉箱を前進させる際の待機時間が短縮さ
れ、原料粉の充填作業が迅速化して、生産性を高めるこ
とができる。

【００２６】また、ラム又はパンチの昇降力を利用して
排出するため、何ら動力を用いた駆動手段を必要とせ
ず、極めて安価に実施しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した圧縮成型機における圧粉体の
排出前の状態を示す要部の側面図である。

【図２】同じく、図１のII−II線の横断平面図である。

【図３】同じく、圧粉体の排出時を示す要部の側面図で
ある。

【図４】同じく、図３のIV−IV線の横断平面図である。

【図５】従来の圧粉体の成型工程を示す側面図である。

【図６】同じく、圧粉体の脱型及び排出工程を示す側面
図である。

【符号の説明】

(１)ダイ (２)型孔 (３)下パンチ (４)ラム (５)上パンチ (６)給粉箱 (７)圧粉体 (８)固定軸 (９)駆動レバー (9a)上部アーム (9b)下部アーム (10)長孔 (11)ピン (12)第１リンク (13)第２リンク (14)押出板（押出し部材）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダイにおける型孔内で成形され、ダイ面
   上まで脱型された圧粉体を、前記型孔の前方に排出する
   排出装置であって、 前記型孔に向かって昇降可能なラム又はパンチの左右両
   側部に、水平をなす固定軸に中間部が枢設された１対の
   駆動レバーの上端部をそれぞれ連結するとともに、前記
   駆動レバーの下端部に、前後方向を向く左右１対のリン
   クの後端を枢着し、かつこの各リンクの前端に、前記パ
   ンチが、ダイ面上に脱型されてくる圧粉体の上面よりも
   下位に位置しているときには型孔の後方に位置し、同じ
   く上限位置まで上昇したとき型孔の前方に位置するよう
   にダイ面上を摺動する押出し部材を設けたことを特徴と
   する圧粉体の排出装置。