JP2000087176A - 高温強度と溶接性に優れた高耐食性低合金耐熱鋼及びその製造方法 - Google Patents

高温強度と溶接性に優れた高耐食性低合金耐熱鋼及びその製造方法

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JP2000087176A
JP2000087176A JP10257888A JP25788898A JP2000087176A JP 2000087176 A JP2000087176 A JP 2000087176A JP 10257888 A JP10257888 A JP 10257888A JP 25788898 A JP25788898 A JP 25788898A JP 2000087176 A JP2000087176 A JP 2000087176A
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creep rupture
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Akira Toyama
晃 遠山
Yusuke Minami
雄介 南
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Crを5%含有し耐酸化性を保持しつつ蒸気条件
の高温・高圧化に対応可能な高温強度に優れ、かつ溶接
性にも優れた高耐食性低合金耐熱鋼及びその製造方法を
提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.02〜0.10%、Si: 0.05〜
0.40%、Mn: 0.1〜1.0%、Cr: 4.5〜5.5%、Mo: 0.1〜1.0
%、W: 0.5〜2.0%、V: 0.2〜0.5%、Ti: 0.02〜0.12%、B:
0.0010〜0.0060%を含み、MoとWの合計:0.6〜2.5%であ
る高温強度と溶接性に優れた高耐食性低合金耐熱鋼。こ
の鋼を、1000℃〜1150℃で焼準し、700℃以上Ac1点以下
の温度で焼き戻す、あるいは、1000℃以上で加熱し、10
00℃〜800℃で30%以上の加工を加え、200℃以下まで冷
却したのち、700℃以上Ac1点以下で焼き戻す製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温強度と溶接性
に優れた高耐食性低合金耐熱鋼及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高温用鋼としては、使用温度、応力、環
境に応じて炭素鋼からオーステナイトステンレス鋼まで
種々の鋼が使用されている。その中でも使用条件とし
て、厳しい環境にボイラ用鋼がある。使用温度が600℃
以下の場合は、現在2.25Cr-1Mo鋼が主に使用されている。
【0003】今後の蒸気温度及び圧力の高温高圧化を考
えた場合、現用の2.25Cr-1Mo鋼の管肉厚を厚くして対処
することは、鋼管自体の重量増加とともに、プラント全
体の大幅な重量増加を招く。その結果、プラントの大幅
な設計変更を余儀なくされ、設備コストも増加する。
【0004】現在の蒸気圧力246kgf/cm2を350kgf/cm2
で高圧にする場合、同じ管肉厚で設計するためには約1.3
倍の強度が必要となる。すなわち、現用の2.25Cr-1Mo鋼の
600℃の許容応力2.8 kgf/mm2の1.3倍の許容応力3.6 kgf
/mm2を有する必要がある。
【0005】低合金鋼のクリープ破断強度は、高温長時
間側で急激に低下する傾向がある。この低合金鋼におけ
る高温長時間側でのクリープ破断強度の低下の一因に、
酸化による減肉がある。そこで、より高強度で耐酸化性
も有する材料として、STBA28(9Cr-1Mo-Nb-V)鋼が火力技
術基準に規格化されている。しかし、この材料は、Crを
多量添加することから高価になり、経済性に難がある。
【0006】このような高Cr鋼に対して、耐酸化性を持
たせるためにCr量を適正量としたSTBA25(5Cr-0.5Mo)鋼
は、耐酸化性は有するが、クリープ破断強度は、2.25Cr
-1Mo鋼よりも劣っている。そこで、その欠点を改善する
ため、種々の高強度の5%Cr系耐熱鋼が開発されている。
【0007】例えば、特開平3-20440号公報には、Cr,Mo
の他に、Niおよびクリープ破断強度に有効なVあるいは
さらにNbを添加した高温強度に優れた5%Cr系耐熱鋼が提
案されている。同様に、特開平6-49601号公報にも、Ni
およびVあるいはさらにNbを添加した5%Cr系耐熱鋼が提
案されている。
【0008】また、特開平4-165043号公報には、Ni,V,N
bに加えてCuおよびMgを添加し、さらにMoかWの1種また
は双方を含有する高強度フェライト系耐食鋼が提案され
ている。また、特開平6-88167号公報には、MoとWを含有
するとともに、VあるいはさらにNbを添加した高温強度
に優れた5%Cr系耐熱鋼が提案されている。
【0009】これらの元素を複合添加した鋼としては、
特開平7-286248号公報に、Ni,Cr,Mo,Cuあるいはさらに
V,Nbを添加した5%Cr系耐熱鋼が提案されている。特開平
8-134584号公報には、Cr,Mo,W,V,Nbを含有し、Ti,Zrの1
種または双方を添加したフェライト系耐食鋼が提案され
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】近年、ボイラは、蒸気
条件の高温、高圧化が計画されており、従来材よりも高
強度の材料が要求されている。低合金鋼のクリープ破断
強度について、高温長時間側での急激な低下に対して、
許容応力を満たすためには、600℃×1万時間のクリープ
破断強度として、12 kgf/mm2以上好ましくは14kgf/mm2
上が要求される。
【0011】しかし、上記したV,Nb,W等の添加を特徴の
一つとした高強度の5%Cr系耐熱鋼は、前期の蒸気条件の
高温・高圧化に対応可能なクリープ破断強度を十分に満
足していない。例えば、600℃×1万時間のクリープ破断
強度のデータが記載されている前述の特開平4-165043号
公報でもその第2表によれば、この条件におけるクリー
プ破断強度は、11.3〜13.8kgf/mm2程度に止まってい
る。
【0012】また、ボイラ用鋼は溶接して用いられるた
め、高温で高強度であるばかりでなく溶接性も要求され
る。特に、高強度化に伴い溶接時の割れが発生し易くな
り、溶接部を予め十分に加熱しておくこと(溶接部予
熱)が必要となる。そのため、溶接作業の作業環境が悪
化し、作業効率が低下する。
【0013】前述の従来技術を見ると、溶接部について
検討されているものは、特開平8-134584号公報等一部に
過ぎない。またその技術においても、HAZ軟化特性ある
いは溶接部のクリープ特性が扱われているだけであり、
溶接時の割れについてはいずれの技術においても検討さ
れていない。
【0014】本発明の目的は、Crを5%含有することによ
り耐酸化性を保持しながら、同時に蒸気条件の高温・高
圧化に対応可能な高温強度に優れ、かつ溶接性にも優れ
た高耐食性低合金耐熱鋼及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】前期課題を解決し、目的
を達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。
【0016】第1の発明は、重量%で、C:0.02〜0.10
%、Si: 0.05〜0.40%、Mn: 0.1〜1.0%、Cr: 4.5〜5.5%、
Mo: 0.1〜1.0%、W: 0.5〜2.0%、V: 0.2〜0.5%、Ti: 0.0
2〜0.12%、B: 0.0010〜0.0060%を含み、MoとWの合計:0.
6〜2.5%であることを特徴とする高温強度と溶接性に優
れた高耐食性低合金耐熱鋼である。
【0017】本発明は、従来鋼(2.25Cr-1Mo)に比べて耐
酸化性を向上させることを目的として、Crを重量%で5%
程度含有させた鋼について研究する過程でなされたもの
である。特に、高温長時間において従来より高いクリー
プ破断強度を有し、蒸気条件の高温高圧化に対応し得る
鋼について、クリープ破断強度に有効な固溶強化元素M
o,Wとともに、析出強化元素Ti,V,Nbの効果に着目して鋭
意研究が行われた。
【0018】その結果、5%Cr鋼では、固溶強化元素とし
てのMo,Wはクリープ破断強度を改善するが、重量比で、
2%以上添加してもその効果は飽和し、靭性を低下させ
る。さらに、Nbは、Ti,Vと複合添加すると、著しく靭性
を低下させるため、Ti,Vとは複合添加しない方がよいと
いう知見が得られた。また、Bは、Ti,Vの析出強化作用
を補助する役割があり、積極的に複合添加しなくてはな
らないという知見を得た。
【0019】さらに、1000℃以上の高温で十分炭化物析
出元素を固溶させた後、焼き戻すことで、引張およびク
リープ破断強度が著しく向上することを見出した。さら
に、C量を0.1%以下にし、固溶強化および析出強化元素
の添加量を最適化することにより、クリープ破断強度を
損なわず良好な溶接性を示すことを突止めた。
【0020】これらの知見に基づき、本発明者は、Ti,
V,Bを複合添加することが必要であるとともに、これら
の添加元素の比率を制限することにより、適正な耐酸化
性を有するCrを含有し、蒸気条件の高温・高圧化に対応
できる鋼及びその製造方法を見出した。そこで、鋼組成
及び製造条件を下記範囲に限定することにより、ボイラ
鋼管として必要な加工性を保持しつつ、蒸気条件の高温
・高圧化に対応できる高温強度と溶接性に優れた高耐食
性低合金鋼を得ることができる。以下に本発明の成分添
加理由、成分範囲限定理由について説明する。
【0021】C:Ti,VとMC型炭化物、CrとM23C6型炭化
物、また、Mo,Wとも炭化物を形成し、引張・クリープ破
断強度を向上させる元素である。その添加量が、0.02%
未満では炭化物の析出量が少なく十分な強度が得られな
い。一方、添加量が0.10%を超えると、靭性が低下する
とともに、溶接による高温割れが生じるため、0.02〜0.
10%の範囲に限定する。
【0022】Si:脱酸剤として添加されるが、0.05%未
満の添加では脱酸が十分でなく靭性を低下させる。耐酸
化性の観点からは有効な元素であるが、0.40%を超える
と炭化物の凝集・粗大化を促進する。その結果、クリー
プ破断強度を低下させ、焼戻し後の靭性も低下させるこ
とから、0.05〜0.40%の範囲にする。
【0023】Mn:脱酸、脱硫剤として添加されるが、0.
1%未満では十分な脱酸、脱硫効果が得られないこと、1.
0%を超えるとSiと同様に靭性を低下させるため、0.1〜
1.0%の範囲にする。
【0024】Cr:耐酸化性に有効であり、M23C6型炭化
物を形成し、高温強度を向上させる元素であるが、4.5%
未満では耐酸化性が十分でない。一方、5.5%を超えると
却ってMC炭化物の生成量を減少させ、クリープ破断強度
を低下させるため、その範囲を4.5〜5.5%にする。
【0025】Mo,W:固溶強化元素、炭化物形成元素とし
て高温強度に有効である。そのためには、Mo:0.1%以上
およびW:0.5%以上の添加が必要である。一方、これらの
元素は、高価な元素であるため過剰な添加は経済性を損
なう。また、凝固時に偏析しやすい元素であり、材質の
不均一さを生じ靭性等を低下させるため、その添加量を
それぞれ単独で、Mo:1.0%以下およびW:2.0%以下とす
る。以上より、Mo:0.1〜1.0%,W:0.5〜2.0%にし、かつそ
の合計含有量を0.6〜2.5%に限定する。
【0026】V:VCを形成して、高温強度、特に高温側
のクリープ破断強度の向上に有効な元素であるが、0.2%
未満では、VCとしての析出量が少ないため、目標とする
クリープ破断強度が得られない。一方、0.5%を超えると
1000℃以上の高温加熱を実施しても未固溶の粗大なVCと
して残存し、クリープ破断強度低下の原因になる。ま
た、靭性も低下させるため、その範囲を0.2〜0.5%にす
る。
【0027】Ti:Vと同様にMC炭化物形成元素であり、T
iCとして析出しクリープ破断強度を向上させるが、0.02
%未満ではその効果が現れない。一方、0.12%を超える
と、Vと同様に、高温加熱時に未固溶のTiCとして残存
し、クリープ破断強度を低下させるため、その範囲を0.
02〜0.12%にする。
【0028】B:クリープ破断強度の改善に有効な元素
であるが、0.0010%未満では、その効果が認められな
い。一方、0.0060%を超えると熱間加工性を低下させ、
キズ等の発生原因になるため、その添加量を0.0010〜0.
0060%とする。
【0029】以上の合金元素の他、残部はFe及び不可避
的不純物である。ここで、不可避的不純物というのは、
上記の添加元素以外の全ての元素であり、通常の鋼の製
造において不可避的に混入する元素である。例えば、溶
銑やスクラップ等の原料から混入する元素、あるいは脱
酸剤や塵埃等製造工程で混入する元素等である。これら
の不可避的不純物は、発明の目的を損なわない限り含ま
れていてもよいことは言うまでもない。
【0030】上記の成分範囲に調整することにより、蒸
気条件の高温・高圧化に対応可能な高温強度と溶接性に
優れた高耐食性低合金鋼を得ることが可能となる。ま
た、この発明の鋼は、以下の製造方法で製造することに
より、その特性をさらに十分に発揮させることが可能と
なる。
【0031】第2の発明は、第1の発明の鋼を、1000℃
〜1150℃で焼準し、700℃以上Ac1点以下の温度で焼き戻
すことを特徴とする高温強度と溶接性に優れた高耐食性
低合金耐熱鋼の製造方法である。
【0032】この発明では、焼準により炭化物として析
出している合金元素を十分に固溶させている。その結
果、鋼の強度、靭性バランスを向上させることができ
る。ここで、1150℃を超えて焼準した場合、結晶粒が粗
大化するため靭性が低下する。このため、焼準温度の上
限を1150℃とする必要がある。また、1000℃未満では、
炭化物析出元素が十分に固溶せず、強度、靭性バランス
が劣化するため、焼準温度の下限を1000℃とする必要が
ある。
【0033】焼戻し処理は、厳しい使用環境において
は、鋼の靭性改善とともに、溶接あるいは応力除去処理
等による軟化を防止するため必須である。しかし、その
温度がAc1点を超えると、オーステナイト相へのCの再固
溶が生じ強度が低下するため、焼戻し温度の上限をAc1
点とする必要がある。また、700℃未満では、強度が高
くなり過ぎることにより、靭性を劣化させるため、焼戻
し温度の下限を700℃とする必要がある。
【0034】第3の発明は、第1の発明の鋼を、1000℃
以上の温度に加熱し、1000℃〜800℃で30%以上の加工を
加え、200℃以下まで冷却したのち、700℃以上Ac1点以
下で焼き戻すことを特徴とする高温強度と溶接性に優れ
た高耐食性低合金耐熱鋼の製造方法である。
【0035】この発明では、上記の好適成分に調整した
鋼を1000℃以上で加熱して、十分炭化物析出元素を固溶
させる。ここで、加熱温度を1000℃未満にすると、炭化
物析出元素が十分に固溶せず、クリープ破断強度が劣化
するため、下限を1000℃とする必要がある。
【0036】加熱後の加工については、圧延等の熱間加
工の加工量が30%未満の場合、結晶粒の細粒化が十分に
なされず、靭性が劣化する。従って、加工量の下限を30
%とする必要がある。加工量の上限については特に制限
はなく、必要に応じて加工を行うことができる。
【0037】加工後は、ベイナイト変態を促進するため
冷却を行う。この場合、冷却を200℃より高い温度で停
止すると、ベイナイト変態が未完了になり強度が低下す
るため、200℃以下まで冷却する必要がある。
【0038】この発明でも前述の発明と同様、焼戻し処
理は、鋼の靭性改善と溶接、応力除去処理等による軟化
を防止するために必須である。焼戻し温度についても、
Ac1点を超えると、オーステナイト相へのCの再固溶が生じ強度
が低下するため、上限をAc1点とする必要がある。ま
た、700℃未満では、強度が高くなり過ぎることによ
り、靭性を劣化させるため、焼戻し温度の下限を700℃
とする必要がある。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について
実施例に基づき説明する。
【0040】
【実施例】表1に示す化学組成の鋼(本発明鋼No.1〜N
o.8、比較鋼No.9〜No.16)を、真空溶解して鋼塊とした
のち、1000℃〜1200℃に加熱し、熱間圧延で12mmtの板
にした。熱間での加工率は85%である。
【0041】
【表1】
【0042】比較鋼のNo.9は、規格化されている現用の
STBA24(2.25Cr-1Mo)鋼である。また比較鋼のNo.10も、
規格化されており、耐酸化性は有するが高温強度が不足
しているSTBA25(5Cr-0.5Mo)鋼である。No.11は本発明鋼
にNbを添加した鋼、No.12,13,14は、Mo,W,Cを過剰に添
加した鋼、No.15はVを、No.16はTiをそれぞれ過剰に添
加した鋼である。
【0043】熱処理については、No.9,10鋼は、通常の9
30℃のオーステナイト化後、徐冷し690℃で保持する恒
温焼鈍を施し、No.9,10鋼以外は、1050℃×1h空冷のち7
80℃×1hの焼戻し処理を施した。各鋼の熱処理材から試
験片を採取し、常温の引張り試験、クリープ破断試験、
シャルピー衝撃試験および水蒸気酸化試験を実施した。
【0044】クリープ破断試験は、600℃および650℃で
実施し、600℃×1万時間の破断強度を求めた。また、水
蒸気酸化試験は、600℃×1000hで実施し、生成した酸化
スケールの全厚さを測定した。さらに、溶接性の試験と
して、JIS規格による斜めy字拘束溶接割れ試験(JIS Z3
158)を行い、割れを防止できる予熱温度をもって評価し
た。これらの結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】本発明鋼はいずれも12kgf/mm2以上のクリ
ープ破断強度、良好な衝撃特性および耐酸化性を有して
いる。溶接性も良好であり、y割れ防止予熱温度は、い
ずれも100℃以下と良好である。
【0047】これに対して、比較鋼No.9の現用2.25Cr-1
Mo鋼は、クリープ破断強度が12kgf/mm2以下である。ま
た、水蒸気酸化スケール生成量も発明鋼の4倍前後と多
く、耐酸化性も劣る。比較鋼No.10の規格5Cr-0.5Mo鋼
は、耐酸化性は良好ながらも、クリープ破断強度は、2.
25Cr-1Mo鋼よりもさらに低い。
【0048】比較鋼No.11〜13は、クリープ破断強度は1
2kgf/mm2以上であるが、衝撃特性がいずれも10kgf・m
以下になり、靭性が劣る。特にNb添加の比較鋼No.11
は、1kgf・m程度の著しく低い吸収エネルギーしか示さ
ない。比較鋼No.14は、C量が高いため、y割れ防止予
熱温度は200℃以上になった。比較鋼No.15,16は、衝撃
特性は比較的良好であるが、クリープ破断強度の低下が
顕著であり、いずれも12kgf/mm2以下になる。
【0049】表3に、本発明鋼を用いて、熱処理条件を
変化させた場合の結果を示す。素材には本発明鋼のNo.2
を用いて、加熱、圧延条件は1150℃加熱で85%加工し、
圧延仕上がり温度は970℃である。焼準温度が高い場
合、クリープ破断強度は向上するが、1150℃以上で焼準
した場合、結晶粒が粗大化するため、衝撃特性が低下す
る。反対に、1000℃以下の場合は、クリープ破断強度が
明らかに低下し、12kgf/mm2以下となっている。
【0050】
【表3】
【0051】焼準温度と600℃×1万時間クリープ破断強
度の関係を図1に示す。1000℃以上の焼準温度でクリー
プ破断強度が12kgf/mm2以上に向上する。なお、y割れ
防止予熱温度は、いずれも100℃以下と良好であった。
【0052】表4に、本発明鋼のNo.2を用いて、加熱温
度、圧延仕上がり温度(仕上温度)、加工率を変化させ
た場合の結果を示す。加熱温度が低い比較鋼2Eは、クリ
ープ破断強度が12kgf/mm2以下になる。加熱温度を1000
℃以上にしても、圧延時の加工量が少ない場合、比較鋼
2Dに示すようにクリープ破断強度は高いが衝撃特性が低
下する。なお、y割れ防止予熱温度は、いずれも100℃
以下と良好であった。
【0053】
【表4】
【0054】なお、圧延はこの実施例のような板に限ら
れるものではなく、鋼管、条鋼等、目的により種々の圧
延形態を選択することができる。また、圧延の代りに鍛
造等の加工を行ってもよいことは言うまでもない。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、鋼組成さらには製造条
件を特定することにより、Crを大量に添加せず耐酸化性
を有する適性量の添加で蒸気条件の高温・高圧化に対応
可能な高温強度と溶接性に優れた耐熱鋼を製造すること
ができる。
【0056】この鋼は、高温強度と溶接性に優れるとと
もに、靭性、加工性にも優れていることから、ボイラ用
鋼管として、蒸気条件を高温高圧にした火力発電設備の
実現を可能にする。また、石油精製プラント用配管とし
ても、その優れた高温強度により、設計肉厚の許容範囲
が広がることから、プラント全体の低コスト化に寄与し
うるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明鋼における、焼準温度と、600℃×1万時間
クリープ破断強度の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K032 AA02 AA04 AA12 AA16 AA19 AA31 AA35 AA36 AA37 BA01 CA02 CB01 CB02 CC04 CF02 CF03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.02〜0.10%、Si: 0.05〜
    0.40%、Mn: 0.1〜1.0%、Cr: 4.5〜5.5%、Mo: 0.1〜1.0
    %、W: 0.5〜2.0%、V: 0.2〜0.5%、Ti: 0.02〜0.12%、B:
    0.0010〜0.0060%を含み、MoとWの合計:0.6〜2.5%であ
    ることを特徴とする高温強度と溶接性に優れた高耐食性
    低合金耐熱鋼。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋼を、1000℃〜1150℃で
    焼準し、700℃以上Ac1点以下の温度で焼き戻すことを特
    徴とする高温強度と溶接性に優れた高耐食性低合金耐熱
    鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の鋼を、1000℃以上の温度
    に加熱し、1000℃〜800℃で30%以上の加工を加え、200
    ℃以下まで冷却したのち、700℃以上Ac1点以下で焼き戻
    すことを特徴とする高温強度と溶接性に優れた高耐食性
    低合金耐熱鋼の製造方法。
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