JP2000085263A5 - - Google Patents

Download PDF

Info

Publication number
JP2000085263A5
JP2000085263A5 JP1998269035A JP26903598A JP2000085263A5 JP 2000085263 A5 JP2000085263 A5 JP 2000085263A5 JP 1998269035 A JP1998269035 A JP 1998269035A JP 26903598 A JP26903598 A JP 26903598A JP 2000085263 A5 JP2000085263 A5 JP 2000085263A5
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film layer
resin
book cloth
back surface
book
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP1998269035A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4088374B2 (ja
JP2000085263A (ja
Filing date
Publication date
Application filed filed Critical
Priority to JP26903598A priority Critical patent/JP4088374B2/ja
Priority claimed from JP26903598A external-priority patent/JP4088374B2/ja
Publication of JP2000085263A publication Critical patent/JP2000085263A/ja
Publication of JP2000085263A5 publication Critical patent/JP2000085263A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4088374B2 publication Critical patent/JP4088374B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【書類名】明細書
【発明の名称】くるみ表紙用ブッククロス
【特許請求の範囲】
【請求項1】オレフィン系樹脂をベースとする3層のフィルム層からなり、オレフィン系樹脂に顔料を添加して形成された着色フィルム層と、該着色フィルム層の表面に層着され表面抵抗値1×1013Ω・cm以下の帯電防止性を有する表面フィルム層と、該着色フィルム層の裏面に層着される裏面フィルム層とを有してなり、その表面側および裏面側はいずれもコロナ処理されて微小凹凸面とされることによりぬれ指数(JIS−K6768)が表面において40以上、裏面において54以上であることを特徴とするくるみ表紙用ブッククロス。
【請求項2】全体厚が80〜200μ、より好ましくは100〜130μであることを特徴とする請求項1のくるみ表紙用ブッククロス。
【請求項3】表面フィルム層、着色フィルム層および裏面フィルム層の厚さが全体厚に対してそれぞれ5〜30%、40〜90%および5〜30%であることを特徴とする請求項1のくるみ表紙用ブッククロス。
【請求項4】表面フィルム層には界面活性剤系の帯電防止剤が0.1〜2.0重量部配合されていることを特徴とする請求項1のくるみ表紙用ブッククロス。
【請求項5】裏面フィルム層のベースとなるオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンとポリエチレンを90:10〜70:30の割合で配合されたものであることを特徴とする請求項1のくるみ表紙用ブッククロス。
【請求項6】表面フィルム層のベースとなるオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンとHSBRを95:5〜80:20の割合で配合されたものであることを特徴とする請求項1のくるみ表紙用ブッククロス。
【請求項7】着色フィルム層のベースとなるオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンとポリエチレンを90:10〜70:30の割合で配合されたもの、または、ポリプロピレンとHSBRを95:5〜80:20の割合で配合されたものであることを特徴とする請求項1のくるみ表紙用ブッククロス。
【請求項8】剛軟度ガーレ法で20〜90mg、より好ましくは30〜60mgの硬さを有することを特徴とする請求項1のくるみ表紙用ブッククロス。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、書籍、ファイル、バインダー、ダイアリー、ノート等の装丁に用いられるくるみ表紙用ブッククロスに関する。
【0002】
【従来の技術】
書籍、ファイル、バインダー、ダイアリー、ノート等の装丁に用いられるブッククロスの中にくるみ表紙と呼ばれるものがある。これは、台紙より若干大きな寸法のものを台紙の表面を被覆し且つその周縁から裏面の一部にかけて巻き込むように貼着して使用されるものである。このようにしてブッククロスを台紙に貼着した後、ブッククロスの折り返し部を含めたくるみ表紙の内側面と書籍等の中身の表裏面とに亘って見返し紙を貼着して製本される。
【0003】従来のくるみ表紙用ブッククロスには、一般に、PVC(ポリ塩化ビニル)と紙をカレンダートッピングして製造されたビニルペーパーや、PP(ポリプロピレン)と紙のTダイラミネートにより製造されたオレフィンペーパーが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ビニルペーパーは燃焼時に発生する有毒ガスによる環境汚染および健康衛生上の問題があり、オレフィンペーパーはPPと紙の収縮差によって生ずるカールがくるみ加工時のネックとなっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような従来技術の課題を解決するためには、紙を用いずに、合成樹脂フィルム単体でくるみ表紙用ブッククロスを製造することが好ましい。合成樹脂フィルム単体であれば紙との収縮差によるカールは発生せず、樹脂層を厚くできることでヒートシール適性および物性を向上させることができ、さらに、紙とのラミネートによる加工費を抑えてコストダウンを図ることができる。また、この合成樹脂フィルムとしてPVC以外の樹脂を用いれば焼却時に有毒ガスを発生することもない。
【0006】
ところで、くるみ表紙用ブッククロスには、装丁後の意匠性を専らこのブッククロスに依存するために十分な隠蔽性が要求されると共に、表面には耐摩耗性および帯電防止性が、また裏面には台紙に対する接着性が要求される。中でも裏面における接着性は重要であり、これが不十分であるとくるみ加工時(製本時)や製本後の使用中に台紙からブッククロスが剥がれてしまう。PVCに代わる合成樹脂としてはオレフィン系樹脂、とりわけ強度に優れたPPが好適であると考えられるが、PPは一般に接着性が十分ではなく、PPを主体としつつ台紙に対する接着性を向上させるための手段を講ずる必要がある。また、PPは成型時の熱履歴による結晶化や残留応力による動きが大きいため、樹脂や充填剤の種類および配合量、加工時の熱条件等によってその物性が変動し、くるみ表紙用ブッククロスに求められる隠蔽性、耐摩耗性、帯電防止性、接着性等の各種物性を単層のPPフィルムですべて満足させることは実際上きわめて困難である。
【0007】
本発明は以上の認識および知見に基づいてさらに実験と検討を重ねて完成に至ったものであり、くるみ表紙用ブッククロスに求められる各種物性に対応して各々異なる配合のオレフィン系樹脂フィルムを3層積層して構成することによる上記目的を達成する。
【0008】
すなわち、本発明によるくるみ表紙用ブッククロスは、オレフィン系樹脂をベースとする3層のフィルム層からなり、オレフィン系樹脂に顔料を添加して形成された着色フィルム層と、該着色フィルム層の表面に層着され表面抵抗値1×1013Ω・cm以下の帯電防止性を有する表面フィルム層と、該着色フィルム層の裏面に層着される裏面フィルム層とを有してなり、その表面側および裏面側はいずれもコロナ処理されて微小凹凸面とされることによりぬれ指数(JIS−K6768)が表面において40以上、裏面において54以上であることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
請求項2は、請求項1のくるみ表紙用ブッククロスにおいて、全体厚が80〜200μ、より好ましくは100〜130μであることを特徴とする。
【0010】
請求項3は、請求項1のくるみ表紙用ブッククロスにおいて、表面フィルム層、着色フィルム層および裏面フィルム層の厚さが全体厚に対してそれぞれ5〜30%、40〜90%および5〜30%であることを特徴とする。
【0011】
請求項4は、請求項1のくるみ表紙用ブッククロスにおいて、表面フィルム層に界面活性剤系の帯電防止剤が0.1〜2.0重量部配合されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5は、請求項1のくるみ表紙用ブッククロスにおいて、裏面フィルム層のベースとなるオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンとポリエチレンを90:10〜70:30の割合で配合されたものであることを特徴とする。
【0013】
請求項6は、請求項1のくるみ表紙用ブッククロスにおいて、表面フィルム層のベースとなるオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンとHSBRを95:5〜80:20の割合で配合されたものであることを特徴とする。
【0014】
請求項7は、請求項1のくるみ表紙用ブッククロスにおいて、着色フィルム層のベースとなるオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンとポリエチレンを90:10〜70:30の割合で配合されたもの、または、ポリプロピレンとHSBRを95:5〜80:20の割合で配合されたものであることを特徴とする。
【0015】
請求項8は、請求項1のくるみ表紙用ブッククロスにおいて、剛軟度ガーレ法で20〜90mg、より好ましくは30〜60mgの硬さを有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態としてのくるみ表紙用ブッククロス1を示し、表面側より表面フィルム層2、着色フィルム層3および裏面フィルム層4が積層されてなる。
【0017】
図2は図1のくるみ表紙用ブッククロス1を製造するための装置構成を示し、第1の押出成型機10aは表面フィルム層1を形成するための第1の樹脂材料をフィルム状に押出成型し、第2の押出成型機10bは着色フィルム層2を形成するための第2の樹脂材料をフィルム状に押出成型し、第3の押出成型機10cは裏面フィルム層3を形成するための第3の樹脂材料をフィルム状に押出成型するものである。これらの押出成型機10a〜10cから吐出された樹脂フィルムは3層Tダイ11によって積層樹脂フィルムとされる。押出成型機10a〜10cおよび3層Tダイ11は樹脂の組成等によっても異なるがたとえば約270℃の温度で運転される。
【0018】
3層Tダイ11から吐出された積層樹脂フィルムは、表面冷却されたゴムロール12とキャストロール13との間を通過することにより圧締されると共に冷却される。その後、アニール部14でフィルムに熱を加えることで歪みを修正し、カッタ15で不要な耳部をカットし、コロナ処理部16で両面にコロナ処理を施す。さらに必要に応じて再度アニール処理して巻取ロール17に巻き取る。図1のくるみ表紙用ブッククロスは表面にエンボス処理が施されているが、これは図1のライン中の任意の箇所でエンボス処理を行い、あるいは巻き取り後にアフターエンボスすることによってなされる。
【0019】
図3は、図1に示す本発明のくるみ表紙用ブッククロス1を用いてくるみ製本した装丁状態を示し、公知のくるみ機により台紙5の表面から端部で折り返して裏面の一部にまで達するように接着されると共に、台紙5の裏面側にはその折り返し部を含めて見返し紙6が接着される。台紙5との接着にはニカワ7が用いられ、見返し紙6との接着にはエマルジョン系の接着剤8が用いられる。また、台紙5に接着されたブッククロス1の表面側中央部には背貼りフィルムがヒートシールされる。
【0020】
本発明のくるみ表紙用ブッククロス1は表面フィルム層2、着色フィルム層3および裏面フィルム層4の3層構造であり、これらフィルム層2〜4はいずれもオレフィン系樹脂を主体として形成される。PVCを用いないことにより焼却時の有毒ガスの発生が防止され、環境汚染や健康衛生を害しない安全な製品として提供することができる。オレフィン系樹脂としては強度特性に優れたPPが一般に好適であると考えられるが、くるみ表紙としての用途を考慮すると、表面フィルム層2、着色フィルム層3および裏面フィルム層4において要求される物性が各々異なるため、これらに適合した樹脂および添加剤を選択する必要がある。
【表1】
Figure 2000085263
【0021】
表1はくるみ表紙用ブッククロスに要求される物性について、表面フィルム層2、着色フィルム層3および裏面フィルム層4ごとにその重要性を評価した結果を示す。
【0022】
「表面強度」および「帯電防止性」はくるみ表紙用ブッククロスの表面側において要求される物性であるから、特に表面フィルム層2に重要であり、着色フィルム層3についてもある程度は要求されるが、裏面フィルム層4には要求されない。
【0023】
くるみ表紙用ブッククロスはその表面側に背貼りフィルム(図示せず)がヒートシールされが、本発明による3層構造のくるみ表紙用ブッククロス1の場合にはヒートシール時に表面フィルム層2から着色シート層3にかけて溶融して背貼りフィルムとの溶着がなされるため、これらについて「ヒートシール性」が良好であることが要求される。
【0024】
「見返し紙との接着性」はエマルジョン系接着剤8による見返し紙6との接着性が良好なことであり、専ら表面フィルム層2に要求される(図3参照)。
【0025】
「エンボス適性」については、図1からも明らかなように表面フィルム層2および着色フィルム層3の表面側2層において特に重要であるが、エンボスの柄によっては裏面フィルム層4まで影響する可能性があるため、裏面フィルム層4についても若干のエンボス適性を有することが好ましい。
【0026】
「台紙とのニカワ接着性」はニカワ7による台紙5との接着性が良好なことであり、裏面フィルム層4において特に重要である(図3参照)が、着色フィルム層3にニカワ接着性を阻害する物質が添加されているとこれが裏面フィルム層4を通り抜けて台紙5との接着性を悪化させることが懸念されるので、着色フィルム層3のニカワ接着性が極端に劣ることのないように考慮すべきである。
【0027】
「くるみ機での走行性」とは前述のくるみ機での加工においてブッククロスが折れ曲がらず且つ位置ずれを起こさずに走行することを意味しており、また、「くるみ製本時の作業性」とはくるみ機によりブッククロスを台紙5の端部で折り曲げてくるみ製本するに際してブッククロスが折れやすく作業性が良好であることを意味しており、反発弾性が小さいことにより達成される。これらについては各層において優れていることが好ましいが、特に本発明のくるみ表紙用ブッククロス1の層構成の大半を占める着色フィルム層3において重要である
【0028】
また、「屈曲部の非白化性」とはくるみ製本時に折り曲げられたブッククロスの屈曲部が白く見えないことの要求性能であり、特に表面側フィルム2において重要であるが、着色フィルム層3において白化が生ずるとそれが表面側フィルム2を介して表面に露見されてしまうので、着色フィルム層3においてもある程度の非白化性を有することが必要である。
【表2】
Figure 2000085263
【0029】
表2は異なる樹脂材料で成型したフィルムについて表1に挙げたくるみ表紙用ブッククロスに求められる各物性を評価した結果を示す。PP単独の樹脂フィルムは「台紙とのニカワ接着性」が不十分であり、また反撥弾性が大きく非常に折れにくいため「くるみ製本時の作業性」に劣るものであった。PE、EPRおよびHSBRについても各々単独の樹脂フィルムを成型して諸物性を評価したが、表2に示されるように、特に「表面強度」、「ヒートシール性」、「くるみ機での走行性」等がいずれも不満足なものであった。
【0030】
PPとPE(具体的には線状低密度ポリエチレン=LLDPEを用いた)を80:20の割合で配合した混合樹脂材料によるフィルムは、反撥弾性が減少してくるみ製本適性が改善され、さらに台紙とのニカワ接着性も向上することが判明した。
【0031】
なお、表2より明らかなように、PPにPEを配合した混合樹脂材料によるフィルムはPP単独のフィルムよりもくるみ製本適性は良くなるが屈曲部が白化しやすいものとなる。しかしながら、表1に関連して既述したように、屈曲部の非白化性は意匠性に関連するものであって表面フィルム層2においてはきわめて重要であるが、裏面フィルム層4においては要求されない。たとえくるみ製本時に裏面フィルム層4が白化したとしても、それは着色フィルム層3によって隠蔽されるため、表面からは見えない。表1より、裏面フィルム層4においては特に「台紙とのニカワ接着性」が重要であり、その他ある程度の「くるみ機での走行性」および「くるみ製本時の作業性」が要求されるが、PPとPEを80:20で配合したフィルムはこれらがすべて良好であった。
【0032】
そして、表2には示されていないが、PPとPEの配合割合を種々変えて実験したところ、PPの配合比が90%を超えるとPP単独の樹脂フィルムと同様の物性を示し、PEを加えることによる上記効果が得られず、一方PEの配合比を30%以上とすると背貼りフィルム(一般に強度を考慮してPP系のものが用いられる)との「ヒートシール性」が悪化し、フィルムの腰がなくなって「くるみ加工機での走行性」にも支障を来すことが分かった(PPとPEの配合割合が50:50である試験例の物性評価を参照のこと)。したがって、裏面フィルム層4については、PPとPEの配合割合が90:10〜70:30である樹脂をベースとすることが好ましい。
【0033】
表面フィルム層2については、表1より、特に「表面強度」、「帯電防止性」、「ヒートシール性」、「見返し紙との接着性」、「エンボス適性」、「屈曲部の非白化性」が重要であり、その他ある程度の「くるみ機での走行性」および「くるみ製本時の作業性」が必要であるが、このうち「帯電防止性」についてはいずれの樹脂フィルムにおいても不十分であったため、ベース樹脂に帯電防止剤を添加することの必要性が認識された。この点については後述する。
【0034】
表面フィルム層2のベース樹脂としては、裏面フィルム層4のベース樹脂として好適であるPP/PEを用いてもよいが、くるみ時に折り曲げたときの「屈曲部の非白化性」に劣ることが難点となり得るので、この点を改善できるベース樹脂を用いることが好ましい。PPにHSBR(水添スチレンブタジエンラバー)を90:10の割合で配合して得た樹脂フィルムは、PP単独フィルムの持つ良好な「屈曲部の非白化性」を保持したまま、その欠点であった「くるみ製本時の作業性」を十分に改善できるものであった。なお、この樹脂フィルムは「台紙とのニカワ接着性」が若干劣るものであったが、この物性は表面フィルム層2には要求されない(表1参照)ので、全く問題にはならない。
【0035】
そして、表2には示されていないが、PPとHSBRの配合割合を種々変えて実験したところ、HSBRの配合比を5〜20%とすることによって「くるみ製本時の作業性」が良好となるが、20%を超えるとフィルムが柔らかすぎて腰のないものとなり、かえって作業性が悪化することが分かった。したがって、表面フィルム層2については、PPとHSBRの配合割合が80:20〜95:5である樹脂をベースとすることが好ましい。
【0036】
着色フィルム層3はベース樹脂に少なくとも顔料を添加してフィルム成型されるものであるが、くるみ製本時に折り曲げ白化が生ずると表面フィルム層2を介して表面に露呈してしまうので好ましくない。また、製本適性としてくるみ時に折れ曲げやすい性質も必要である。これらの観点より、着色フィルム層3については、PPとPEの配合割合が90:10〜70:30である樹脂、あるいは、PPとHSBRの配合割合が80:20〜95:5である樹脂をベースとすることが好ましい。
【表3】
Figure 2000085263
【0037】
表3は、表2で検討したベース樹脂に各種添加剤を添加して成型したフィルムについて諸物性を評価した結果を示す。サンプル1は表2のPP単独樹脂フィルムに相当し、サンプル2は表2のPP80:PE20の混合樹脂フィルムに相当する。なお、サンプル2と同じ配合割合のPP/PEフィルムであっても滑剤入りのPPを用いたサンプル13は「台紙とのニカワ接着性」および「ヒートシール性」に劣り、また、ホモPPを用いたサンプル15は「ヒートシール性」に劣りまた屈曲部が白化しやすいものであった。このことから、PP/PEフィルムにおけるPPとしては滑剤が極力添加されていないランダムPPを選択することが好ましい。滑剤の添加は「台紙とのニカワ接着性」を大きく阻害するため、特に裏面フィルム層4にとっては致命的な不利となる。
【0038】
また、さらに顔料添加の有無の相違はあるものの、ベース樹脂としては同じ配合割合のPP/PEフィルムであるサンプル2、サンプル8およびサンプル10の物性を比較すると、PEにHDPE(高密度ポリエチレン)を用いたサンプル8は外観や硬さが大きく劣るものであった。このことから、PP/PEフィルムにおけるPEの種類としてはLLDPEまたはVLDPE(超低密度ポリエチレン)を用いることが好ましいが、コスト面からLLDPEの使用が実際的である。
【0039】
サンプル3はサンプル2と同じベース樹脂100重量部に対して帯電防止剤を0.5重量部添加して成型したものであるが、これにより十分な帯電防止性が付与されることが判明した。ここに十分な帯電防止性とは表面抵抗率(JIS−K6911)が1×1013Ω・cm以下であることを意味する。表2に示されるようにオレフィン系樹脂は帯電防止性に劣り、その表面に静電気を帯びやすく、空気中の微細な埃等を吸着して汚れやすいという問題を有している。これはくるみ表紙として用いられるブッククロスの外観を損ねることになるので、表面フィルム層2については、ベース樹脂に帯電防止剤を添加して帯電防止性を高め、表面抵抗率を1×1013Ω・cm以下とする必要がある。
【0040】
添加する帯電防止剤としては界面活性剤系の帯電防止剤が有効である。界面活性剤系の帯電防止剤は、ベース樹脂に所定量添加されることにより、フィルム表面にブリードして空気中の水分を介して静電気を逃がす作用を果たす。後述するように本発明のくるみ表紙用ブッククロスの表面側(および裏面側)はコロナ処理されており、これが帯電防止剤のブリードを促進するため、帯電防止効果を高める作用を果たしている。ただし、過度のブリードは表面がべたつき、見返し紙との接着不良の原因となったり、帯電防止効果の長期持続性が損なわれる等の問題が生ずるため、帯電防止剤の添加量はベース樹脂100重量部に対して0.1〜2.0重量部とすることが好ましい。
【0041】
上記のように帯電防止剤は表面にブリードしてその効果を発現するものであり、サンプル2とサンプル3の物性比較から明らかなように、帯電防止性は向上するが、ブリードした帯電防止剤が他の被着体との接着性を阻害する要因となる。したがって、台紙に対するニカワ接着性が要求される裏面フィルム層4については帯電防止剤の添加は行わない。着色フィルム層3については必要に応じて帯電防止剤を添加することができ、これにより表面フィルム層2の帯電防止性を補完することができる。
【0042】
炭酸カルシウムやタルク等の充填剤の添加は、隠蔽性を高める効果があり、さらにはくるみ加工時の折れやすさを向上させ、フィルムに形状安定性を与えてカールを防止する効果があるので、特に着色フィルム層3に添加することが好ましい。反面、多量の添加は折り曲げ時の白化が目立つようになるので、ベース樹脂100重量部に対して0〜30重量部の範囲で添加することが好ましい。充填剤は裏面フィルム層4に同様の範囲で添加しても良いが、表面フィルム層2には折り曲げ時の白化を防止する観点より充填剤の添加は避けるべきである。
【0043】
着色フィルム層3には顔料が添加されるが、その添加量はベース樹脂100重量部に対して3〜30重量部とすることが好ましい。顔料の添加が3重量部であると隠蔽性が不十分となって台紙の下地が透けて見えてしまいくるみ表紙用ブッククロスとしての商品価値が低下する。また、顔料を30重量部を超えて添加してもコスト増を招くだけで実際的な効果に乏しい。表面フィルム層2および裏面フィルム層4についても必要に応じて顔料を添加して着色力を補完することができる。
【0044】
図2に関して述べたように、本発明のくるみ表紙用ブッククロスの表面側(表面フィルム層2の表面)および裏面側(裏面フィルム層4の裏面)にはいずれもコロナ処理が施されて微小凹凸面とされており、表面側は40以上、裏面側は54のぬれ指数(JIS−K6768に規定されるぬれ試験による)を有する。ぬれ指数が表面側と裏面側とで異なるのは、表面側はニカワ7で台紙5と接着されるのに対し裏面側はエマルジョン系接着剤8で見返し紙6と接着され、各々について上記ぬれ指数に満たないと、ベース樹脂について接着性の良いものを選択したとしても、接着剤(ニカワ7またはエマルジョン系接着剤8)をはじいてしまって被着体(台紙5または見返し紙6)に対する接着性が不可能または不十分となる。特に裏面側における接着性は重要であり、被着体である台紙5と材料破壊するレベルの良好な接着性が要求され、すなわちニカワ7で裏面フィルム層4を台紙5と接着した後の剥離試験において裏面フィルム層4または台紙5が切断しあるいは変形して元の形状を維持できないレベルの接着性を有することが要求される。
【0045】
本発明のくるみ表紙用ブッククロス1は、着色フィルム層3の表面に表面フィルム層2が積層されているため、JIS−L1096に規定される学振型染色堅牢度試験200g×200回で5級の耐摩耗性を有する。これによりくるみ表紙の用途に適した製品が得られる。
【0046】
本発明のくるみ表紙用ブッククロス1は、全体厚が80〜200μ、好ましくは100〜130μであり、全体厚に対して、表面フィルム層2が5〜30%、着色フィルム層3が40〜90%、裏面フィルム層4が5〜30%の各厚さを有する。表面フィルム層2が薄すぎると着色フィルム層3に対する保護層としての機能が不十分となり、色落ちを有効に防止することができなくなるが、限られた全体厚の中で着色フィルム層3をできるだけ厚くして着色力を発現する必要があるため、上記範囲の厚さとする。
【0047】
また、本発明のくるみ表紙用ブッククロス1は、JIS−L1096に規定される剛軟度ガーレ法で20〜90mg、より好ましくは30〜60mgの硬さを有する。これによりくるみ製本時の折れ曲がり性が良好で且つ屈曲部が白化しないフィルムとなる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、くるみ表紙用ブッククロスをオレフィン系樹脂で形成するに当たって3層積層フィルムとして構成することにより要求性能をすべて満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の態様であるくるみ表紙用ブッククロスの構成を示す断面図である。
【図2】図1のブッククロスを製造する装置構成を示す概略図である。
【図3】図1のくるみ表紙用ブッククロスを用いてくるみ製本した装丁状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 くるみ表紙用ブッククロス
2 表面フィルム層
3 着色フィルム層
4 裏面フィルム層
5 台紙
6 見返し紙
7 ニカワ
8 エマルジョン系接着剤
10a〜10c 押出成型機
11 3層Tダイ
12 ゴムロール
13 キャストロール
14 アニール部
15 カッタ
16 コロナ処理部
17 巻取ロール
JP26903598A 1998-09-08 1998-09-08 くるみ表紙用ブッククロス Expired - Lifetime JP4088374B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26903598A JP4088374B2 (ja) 1998-09-08 1998-09-08 くるみ表紙用ブッククロス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26903598A JP4088374B2 (ja) 1998-09-08 1998-09-08 くるみ表紙用ブッククロス

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2000085263A JP2000085263A (ja) 2000-03-28
JP2000085263A5 true JP2000085263A5 (ja) 2005-10-27
JP4088374B2 JP4088374B2 (ja) 2008-05-21

Family

ID=17466774

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26903598A Expired - Lifetime JP4088374B2 (ja) 1998-09-08 1998-09-08 くるみ表紙用ブッククロス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4088374B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5126658B2 (ja) * 2007-07-13 2013-01-23 ダイニック株式会社 くるみ表紙用ブッククロス
KR101076824B1 (ko) 2008-09-11 2011-10-25 이영근 앨범용 표지, 그 제조 방법 및 제본 앨범
JP5501916B2 (ja) * 2010-09-27 2014-05-28 東レエンジニアリング株式会社 基板処理システム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06278257A (ja) 多層ポリウレタン・フイルムおよびこれを感光性材料の包装材料として使用する方法
CA2349860A1 (en) Halogen-free, printable, multilayered shrink films and articles encapsulated therein
JPS6218548A (ja) 写真感光材料用包装材料
JPH01156741A (ja) 感光物質用包装袋およびその製袋方法
JPH048535Y2 (ja)
EP0376324B1 (en) Packaging material
JP2000085263A5 (ja)
JP4088374B2 (ja) くるみ表紙用ブッククロス
JPH11320780A (ja) 多層フィルム及びそれを用いた粘着テープ
JP2002370328A (ja) 共押出多層フィルム
KR101332314B1 (ko) 디스플레이 제품 포장용 알루미늄 합지 폴리에틸렌 필름
JP2001334617A (ja) 積層用シーラントフィルム、複合フィルム及び複合包装袋
JPH0730220B2 (ja) 包装用フイルムおよびシ−ト用の重合体混和物
JP2001505500A (ja) 共押出フィルム類、並びに、それらを含むテープ製品類及び製造物品類
JP5164307B2 (ja) 押出ラミネート用樹脂組成物及びそれを用いた積層体
JP2011161666A (ja) 押出ラミネート積層体
JP3807579B2 (ja) オレフィン系樹脂製多層フィルム又はシート及びその製造方法
JP3088190B2 (ja) 表面保護フイルム及びその製造方法
JPH0480372B2 (ja)
JPS6218547A (ja) 写真感光材料用包装材料
JP3028893U (ja) シート状書類ホルダ
JP3902978B2 (ja) オレフィン系多層樹脂シート
JP5397249B2 (ja) エチレン系重合体ペレット混合物
JPH079642A (ja) 表面保護フイルム
JP2747969B2 (ja) オレフィン系樹脂シートおよびオレフィン系樹脂製デスクマット