JP2000080588A - キビ類から糖液、糖とパルプを併産する方法 - Google Patents
キビ類から糖液、糖とパルプを併産する方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】砂糖キビ、スウィ−トソルガム等のキビ類の糖
液を搾ったあとの粕から得られる従来のパルプは強度が
低く、濾水性が悪く低質であった。砂糖キビ、スウィ−
トソルガム等のキビ類から糖液、糖を得るとともに、良
質のパルプを製造する技術を提供する。 【解決手段】砂糖キビ、スウィ−トソルガム等は良質の
繊維原料である。従来原料植物を激しく破損して糖液を
取得するため、繊維は短く切断され、蒸解工程で抽出す
る前に既に良質の繊維ではなくなっていた。本発明で
は、最初に原料を斜めにかつ平行に切断し、圧壊するこ
とによって、糖液の取得も、バガス(搾り粕)の繊維長
の確保も可能とした。さらに、バガスからのピスの分離
除去後、ラインド(厚皮)を各種蒸解法で処理すること
により良質のパルプの取得が可能となった。特にPA法
によれば収率、品質ともに優れたパルプの製造が可能
で、パルプ廃液からのアルカリの回収と薬品の再生も容
易で、低公害でパルプが得られる優れたト−タルシステ
ムが提供される。
液を搾ったあとの粕から得られる従来のパルプは強度が
低く、濾水性が悪く低質であった。砂糖キビ、スウィ−
トソルガム等のキビ類から糖液、糖を得るとともに、良
質のパルプを製造する技術を提供する。 【解決手段】砂糖キビ、スウィ−トソルガム等は良質の
繊維原料である。従来原料植物を激しく破損して糖液を
取得するため、繊維は短く切断され、蒸解工程で抽出す
る前に既に良質の繊維ではなくなっていた。本発明で
は、最初に原料を斜めにかつ平行に切断し、圧壊するこ
とによって、糖液の取得も、バガス(搾り粕)の繊維長
の確保も可能とした。さらに、バガスからのピスの分離
除去後、ラインド(厚皮)を各種蒸解法で処理すること
により良質のパルプの取得が可能となった。特にPA法
によれば収率、品質ともに優れたパルプの製造が可能
で、パルプ廃液からのアルカリの回収と薬品の再生も容
易で、低公害でパルプが得られる優れたト−タルシステ
ムが提供される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分】本発明はキビ類から糖液、糖及
び良質のパルプの製造方法に関する。
び良質のパルプの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】砂糖キビ及びスウィ−トソルガム等のキ
ビ類は砂糖またはアルコ−ルをとるため栽培する。その
ため収穫された砂糖キビからミル方式又はデフュ−ザ−
方式で糖液を収得する。これら植物には蔗糖の他、果糖
及び葡萄糖等からなる糖類とセルロ−ス繊維、ヘミセル
ロ−ス、及びリグニン等が含まれ、糖液を取ったあとの
粕はバガスと呼ばれ製糖工場の燃料とされるが、余剰バ
ガスは種々の利用法が研究されてきた。バガスには特に
セルロ−ス繊維が大量に含まれ、繊維長は木材に比べ一
般に短いが、中には長いものも報告されている。しかし
てパルプ製造に利用することは一部で行われているが、
いろいろの欠点も指摘され、パルプ化工程、周辺技術及
びト−タルシステム等の改良が進められている。ミル方
式は、搾汁の前に破砕機で幹茎を粗いソ−ダスト状に破
砕する方式で、装置と工程が単純なため、季節産業であ
る製糖工業に適し、最も普及している方式である。しか
し、幹茎は破砕工程で、中の繊維は激しく破壊され、繊
維の短小化することにより、得られるパルプの濾水性を
悪くし、叩解の余地を極めて少なくして、紙の原料とし
ての用途を狭めている。このようにして得られるバガス
パルプは抄紙適性が悪く、得られる紙の引き裂き強度を
著しく低下させるほか諸強度が低かった。デフュウザ−
方式は細い鉋屑状に砂糖キビを削り、デフュ−ザ−で水
を用いて向流洗浄して糖液を収得する方式でである。そ
のため、繊維の破壊はミル方式に比べて少なく、バガス
から分離されたラインドから得られるパルプの強度の低
下も小さい。しかし、欠点としては、バガスが細長いの
で機械的処理は容易でなく、特にピスとラインドの分離
が困難となる。さらに、砂糖キビの稈茎の表面にあるワ
ックスによる障害を防ぐため、搾汁工程でキビに石灰乳
を加えるのでバガスの色が黒くなり、これを原料とする
未晒パルプの色は黒くなり、ミル方式のバガスから得ら
れる未晒パルプに比べ白色度が10% 以上も低下するの
で、漂白段数を1 段以上増やさなければならないという
欠点もあった。季節産業である製糖工業としては設備の
構造と取扱いがミル方式に比べて複雑で、受入れ難く、
デフュウザ−方式を採用している工場は少なかった。ほ
ぼ類似した形状をしたスウィ−トソルガムも、糖液を得
るために栽培されているが、良質のパルプを糖液と同時
に製造したい、と言う潜在的願望は強かった。
ビ類は砂糖またはアルコ−ルをとるため栽培する。その
ため収穫された砂糖キビからミル方式又はデフュ−ザ−
方式で糖液を収得する。これら植物には蔗糖の他、果糖
及び葡萄糖等からなる糖類とセルロ−ス繊維、ヘミセル
ロ−ス、及びリグニン等が含まれ、糖液を取ったあとの
粕はバガスと呼ばれ製糖工場の燃料とされるが、余剰バ
ガスは種々の利用法が研究されてきた。バガスには特に
セルロ−ス繊維が大量に含まれ、繊維長は木材に比べ一
般に短いが、中には長いものも報告されている。しかし
てパルプ製造に利用することは一部で行われているが、
いろいろの欠点も指摘され、パルプ化工程、周辺技術及
びト−タルシステム等の改良が進められている。ミル方
式は、搾汁の前に破砕機で幹茎を粗いソ−ダスト状に破
砕する方式で、装置と工程が単純なため、季節産業であ
る製糖工業に適し、最も普及している方式である。しか
し、幹茎は破砕工程で、中の繊維は激しく破壊され、繊
維の短小化することにより、得られるパルプの濾水性を
悪くし、叩解の余地を極めて少なくして、紙の原料とし
ての用途を狭めている。このようにして得られるバガス
パルプは抄紙適性が悪く、得られる紙の引き裂き強度を
著しく低下させるほか諸強度が低かった。デフュウザ−
方式は細い鉋屑状に砂糖キビを削り、デフュ−ザ−で水
を用いて向流洗浄して糖液を収得する方式でである。そ
のため、繊維の破壊はミル方式に比べて少なく、バガス
から分離されたラインドから得られるパルプの強度の低
下も小さい。しかし、欠点としては、バガスが細長いの
で機械的処理は容易でなく、特にピスとラインドの分離
が困難となる。さらに、砂糖キビの稈茎の表面にあるワ
ックスによる障害を防ぐため、搾汁工程でキビに石灰乳
を加えるのでバガスの色が黒くなり、これを原料とする
未晒パルプの色は黒くなり、ミル方式のバガスから得ら
れる未晒パルプに比べ白色度が10% 以上も低下するの
で、漂白段数を1 段以上増やさなければならないという
欠点もあった。季節産業である製糖工業としては設備の
構造と取扱いがミル方式に比べて複雑で、受入れ難く、
デフュウザ−方式を採用している工場は少なかった。ほ
ぼ類似した形状をしたスウィ−トソルガムも、糖液を得
るために栽培されているが、良質のパルプを糖液と同時
に製造したい、と言う潜在的願望は強かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は砂糖キビ又は
及びスイ−トソルガム等キビ類から、糖液、糖及び良質
のパルプが同時にかつ容易に得られる方法を提供するこ
とをその課題とする。
及びスイ−トソルガム等キビ類から、糖液、糖及び良質
のパルプが同時にかつ容易に得られる方法を提供するこ
とをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。発明者は砂糖キビを縦に割りケインジュ−スと
ピスを取り出すとともに、パルプ原料として極めて良好
なケインラインド(キビ類の厚皮)を繊維を傷めずに分
離した。このラインドを長さ約5cmの長さにチッパ−
で切断しチップ化し、PA法(過酸化水素−アルカリ
法)で蒸解処理したところ濾水性がC.S.F.760
mlと極めて高く、比引き裂き強度が103と従来バガ
スパルプに比べて極めて高いパルプが得られた。なお、
同パルプは裂断長6.5km、比破裂強度3.8と木材
のつなぎパルプなしで上質紙を抄造しうるパルプを砂糖
キビからでも得られることを確かめた。さらに、研究を
進め、砂糖キビの幹茎を既存のチッパ−で斜めに、かつ
平行に、数cmの厚さに切断し、スクリュ−プレスで圧壊
することにより、季節的に収穫される砂糖キビを短時間
に大量処理し、ケインジュ−スとバガスが得られるよう
になった。斜めに切断したバガスはピスを分離除去する
ことにより、薄く、ほぼ均一な長さを有し、繊維が長
く、均一且つ迅速な蒸解が行える良質のラインドが得ら
れた。同ラインドは各種パルプ化法によりパルプが得ら
れたが、PA法は硫黄を全く用いない蒸解法で、パルプ
の収率、品質ともに優れ、パルプ廃液は濃縮燃焼してア
ルカリとエネルギ−の回収が容易で、硫黄系の悪臭物質
の発生を伴わないので、環境対策も極めて容易に行え
る、ト−タルシステムの提供が可能となった。すなわ
ち、本発明では砂糖キビ及びスィ−トソルガムの幹茎
を、(1)斜めに切断し、(2)斜めに切断した幹茎か
ら糖液と粕(バガス)を分離収得し、(3)粕からライ
ンド(厚皮)とピス(髄質)を分離収得し、(4)ライ
ンドをアルカリ性の蒸解薬液で蒸解するか、所望により
蒸解物を機械的に解繊してパルプ化し、(5)パルプと
パルプ廃液とに分離収得し、パルプ廃液を濃縮燃焼して
アルカリ金属の炭酸塩を主成分とする灰を得、炭酸塩を
部分苛性化して蒸解薬液に再生して次回以降のパルプ化
に供する、(1)から(5)の組み合わせによって糖液
とパルプを生産する方法を提供する。
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。発明者は砂糖キビを縦に割りケインジュ−スと
ピスを取り出すとともに、パルプ原料として極めて良好
なケインラインド(キビ類の厚皮)を繊維を傷めずに分
離した。このラインドを長さ約5cmの長さにチッパ−
で切断しチップ化し、PA法(過酸化水素−アルカリ
法)で蒸解処理したところ濾水性がC.S.F.760
mlと極めて高く、比引き裂き強度が103と従来バガ
スパルプに比べて極めて高いパルプが得られた。なお、
同パルプは裂断長6.5km、比破裂強度3.8と木材
のつなぎパルプなしで上質紙を抄造しうるパルプを砂糖
キビからでも得られることを確かめた。さらに、研究を
進め、砂糖キビの幹茎を既存のチッパ−で斜めに、かつ
平行に、数cmの厚さに切断し、スクリュ−プレスで圧壊
することにより、季節的に収穫される砂糖キビを短時間
に大量処理し、ケインジュ−スとバガスが得られるよう
になった。斜めに切断したバガスはピスを分離除去する
ことにより、薄く、ほぼ均一な長さを有し、繊維が長
く、均一且つ迅速な蒸解が行える良質のラインドが得ら
れた。同ラインドは各種パルプ化法によりパルプが得ら
れたが、PA法は硫黄を全く用いない蒸解法で、パルプ
の収率、品質ともに優れ、パルプ廃液は濃縮燃焼してア
ルカリとエネルギ−の回収が容易で、硫黄系の悪臭物質
の発生を伴わないので、環境対策も極めて容易に行え
る、ト−タルシステムの提供が可能となった。すなわ
ち、本発明では砂糖キビ及びスィ−トソルガムの幹茎
を、(1)斜めに切断し、(2)斜めに切断した幹茎か
ら糖液と粕(バガス)を分離収得し、(3)粕からライ
ンド(厚皮)とピス(髄質)を分離収得し、(4)ライ
ンドをアルカリ性の蒸解薬液で蒸解するか、所望により
蒸解物を機械的に解繊してパルプ化し、(5)パルプと
パルプ廃液とに分離収得し、パルプ廃液を濃縮燃焼して
アルカリ金属の炭酸塩を主成分とする灰を得、炭酸塩を
部分苛性化して蒸解薬液に再生して次回以降のパルプ化
に供する、(1)から(5)の組み合わせによって糖液
とパルプを生産する方法を提供する。
【0005】
【発明実施の形態】砂糖キビ又はスウィ−トソルガム等
キビ類の幹茎から、糖液、糖を収得するためには短く切
断することが求められるし、パルプ原料用の繊維長の大
きいラインドを収得するためには幹茎を長く切断するこ
とが求められる。一見相反する要求を、本発明では第1
工程で幹茎を斜めにかつ平行に切断することで、糖液を
得るとともに繊維の長いラインドを得ることを両立させ
ることに成功した。例えば、幹茎は縦の方向に直角にか
つ平行に20mmの厚さで切断すればラインドの繊維の
長さも最大20mmであるが、斜めに45°の角度で切
断すれば約1.4倍の28mmの長さで得られるし、3
0°の角度で切断すれば2倍の40mmの長さで得ら
れ、最終的に微細繊維が少なく、濾水性の良い繊維長の
大きいパルプが得られる。砂糖キビ及びスィ−トソルガ
ム等キビ類の幹茎を、大量かつ連続的に斜めに切断する
装置としては、付け替え可能な鋭利な刃を1〜30枚を
回転円板に15〜60°、好ましくは25〜45°の角
度で取り付け、3〜60mm、好ましくは6〜30mm
の厚さで幹茎を斜めに切れるものであればよく、種々の
装置が使用できる。季節産業である製糖業で必要とする
キビ類は、限られた期間に大量に収穫し処理しなければ
ならない。装置は堅牢で構造が単純でなことが必要であ
る。パルプ工業で使う木材チップ製造用のチッパ−1台
で、小型の1枚刃のものであれば黒糖工場で幹茎を1日
1〜10t程度処理でき、大型の10枚刃以上のチッパ
−であれば大手の製糖工場で1日1,000〜5,00
0t程度のキビ類の処理できるので新規に開発せずに
も、当面使用は可能である。第2工程の斜めに切った幹
茎から糖液と粕(バガス)とを分離収得するために用い
る装置としては、従来の製糖工場で用いていたロ−ルプ
レスの他スクリュ−プレスのような圧縮脱汁装置が使用
でき、これらと共に向流洗浄機能を有する糖液回収装置
及びデフュ−ザ−装置が使用出来る。これらの組み合わ
せにより少量の水を洗浄に使用するだけで、ほとんど希
釈されずに糖液と搾り粕のバガスを収得しうる。なお、
圧縮脱汁装置のみではじめ搾汁し、洗浄液を混入させず
濃縮し晶出させれば、一番搾りの極良質な黒糖ができる
し、あとは従来法と同様に向流洗浄により糖液を収得
し、糖液を濃縮晶出すれば分蜜糖が得られ、所望により
酸処理又は酵素処理により転化糖とし、噴霧乾燥すれば
粉末含蜜糖、転化糖を併産することができる。なお、圧
搾の際スクリュ−プレスで固形分35プラスマイナス約
10%に、ロ−ルプレスでは固形分50プラスマイナス
5%に搾られ、そのうえラインドは縦に割れるので、脱
汁が容易になるとともに、第3工程のピスとラインドの
分別を容易にする。第3工程のピスとラインドの分離は
常法による湿式分離と乾式分離が可能である。ピスの分
離除去が良好に行われるので、蒸解及び解繊後の精選が
容易でありパルプの濾水性を高くすることができる。第
4工程のアルカリ性蒸解薬液による蒸解は、苛性アルカ
リのみの水溶液を蒸解薬液とするAP法、水酸化ナトリ
ウムと硫化ナトリウムの混合液を蒸解薬液とするKP
法、過酸化水素のアルカリ溶液に下記の蒸解助剤のうち
少なくとも1種以上加えたものを蒸解薬液とするPA法
等が可能で、本発明によって分離されたラインドを用い
て各種パルプ化法で得られたパルプは、従来法のバガス
から分離されたラインドを同条件でパルプ化したものよ
り諸強度に優れ、濾水性が高く、叩解により種々の紙の
抄造が容易であり、抄紙適性に優れている。PA法の蒸
解薬液の過酸化水素のアルカリ溶液に添加する蒸解助剤
として、キレ−ト剤、アントラキノン類、マグネシウム
化合物、水と任意に混合する極性の有機溶媒、所望によ
り酸素等のうち少なくとも1種以上が用いられる。PA
法によればパルプの強度、収率はAP法パルプに優れ、
KP法に比べ硫黄を用いてないので公害対策が極めて容
易である。PA法に用いるアルカリ溶液はカリウム又は
ナトリウムの水酸化物で、その炭酸塩が共存することが
更に望ましい。アルカリの量は(蒸解に必要な薬品量は
以下原料ラインドの絶乾物に対し表す)活性アルカリが
Na2O表示で13〜30%、好ましくは17〜22%
である。また、苛性化率として50〜95%、望ましく
は65〜85%で、炭酸塩が共存することにより繊維の
損傷が少なく、パルプの高収率化が望めるる。過酸化水
素で代表される過酸化物のうち、水溶性過酸化物として
は、過酸化水素の他、過酸化ナトリウムや過酸化カリウ
ム等の水溶性金属過酸化物;炭酸ナトリウムやホウ酸等
の化合物と過酸化水素よりなる水溶性附加体;過炭酸や
過ホウ酸等水溶性無機過酸又はその水溶性塩;等が挙げ
られる。これらの水溶性過酸化物を投入し、溶解させる
ことによって過酸化水素を得ることができる。過酸化水
素以外の水溶性の過酸化物は、水と反応して過酸化水素
を放出する。この過酸化水素は弱アルカリでパルプのリ
グニン保存漂白に使われてきたが、アルカリが強ければ
逆に強い脱リグニン作用を示すことが見出された。この
事が本発明のパルプ蒸解薬液の製造とパルプの製造を可
能とした。過酸化水素の使用量はH2O2換算で0.5〜
15%、好ましくは1.0〜5%である。本発明で種々
蒸解助剤が効果的に使用される。各種キレ−ト剤は過酸
化水素の安定剤として使用される。クエン酸またはその
酸の塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)又はその
塩、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)又はその
塩、フォスフォン酸又はその塩、アミノトリエチレンフ
ォスフォン酸又はその塩が使用されるが、下記一般式
〔化1〕で示される1−ヒドロキシアルキリデン−1,
1−ジフォスフォン酸又はその塩の使用は未晒パルプの
白色度の向上にも役立ち、ときには他のキレ−ト剤の使
用に比し、約10%に及ぶ白色度の高いパルプを与える
ことがある。キレ−ト剤の使用量は0.02〜1重量
%、好ましくは0.1〜0.5%である。本発明で用い
る蒸解薬液は蒸解助剤として、9,10位にヒドロキシ
ル基又は/及びアルキル基を有するアンスラセン系化合
物又は/及びアントラキノン系化合物を含有することが
できる。これら助剤の添加により蒸解は容易に行われ、
かつパルプ収率が向上する。アントラキノン系化合物に
は、アントラキノンの他、アルキルアントラキノンが含
有される。アルキルアントラキノンとしては、炭素数1
〜12、その中でも2〜5のアルキル基を有するものの
使用が好ましい。9,10位にヒドロキシル基をを有す
るアントラセン系化合物には、未置換9,10−ジヒド
ロキシル基を1個有するアンスラセンの他、置換アンス
ラセン、例えば、アルキルアントラセンが包含される。
9,10−ジヒドロキシルアルキルアントラセンにおい
て、アルキル基の炭素数は、通常12以下であり、好ま
しくは2〜8、より好ましくは2〜6である。9,10
−ジヒドロキシルアルキルアントラセンの具体例として
は、9,10−ジヒドロキシルエチルアントラセン、
9,10−ジヒドロキシルブチルアントラセン、9,1
0−ジヒドロキシルアミルアントラセン、9,10−ジ
ヒドロキシルヘキシルアントラセン等が挙げられる。ア
ントラキノン化合物又は/及び9,10−ジヒドロキシ
ル化合物の使用量は, 0.003〜1重量%、好ましく
は0.01〜0.3%である。マグネシウム化合物のパ
ルプ化用溶液への添加は、蒸解中セルロ−スを保護しパ
ルプ収率を増加させるとともに、機械的強度、特に引き
裂き強さ、耐折強さの向上したパルプの製造を可能とす
る。その使用量は0.05〜0.5重量%である。蒸解
助剤としてNMP(ノルマル−メチル−ピロリドン)、
アセトン、ジオキサン、ジメチルフォルムアミド等水と
任意に混ざり合う極性の有機溶剤を用いることは、竹、
バガス、松等樹脂を含有するセルロ−ス原料からのパル
プの製造において効果的であり、特にNMPの使用は樹
脂障害のないパルプを得るのに好ましい。その使用量は
0.02〜1.0重量%で好ましくは0.05〜0.2
重量%である。本発明による蒸解方法は、過酸化水素と
の接触に耐えるステンレス等の材質を用いた容器の中
に、ラインドと蒸解薬液(つまり、過酸化水素のアルカ
リを主成分とする蒸解薬液、又は過酸化水素−アルカリ
−酸素蒸解の反応系蒸解薬液)を入れ、90〜180
℃、好ましくは110〜150℃、最高温度の保持時間
は化学パルプの製造では10〜360分、好ましくは3
0〜120分である。なお、酸素を圧入する場合には酸
素分圧が0.5〜10.0kg/cm2 好ましくは1〜
3kg/cm2 となるように酸素を圧入する。酸素源と
しては純酸素の他、酸素と空気との混合ガスが用いられ
る。酸素分圧が前記の範囲に保持できれば限定されない
が、装置の耐圧度を高くすると装置費が嵩むことから、
純酸素か空気をプレッシャ−スイングの装置で濃縮され
た高濃度の酸素を使うのが好ましい。なお、蒸解中に酸
素との接触を容易にするためにには、気相蒸解が好まし
い。セルロ−ス原料は、蒸解に先立ち、蒸解薬液の一部
または全部を添加、混合しておくことは、腐敗の防止が
出来、数年にわたる長期貯蔵が可能となるばかりでな
く、原料が柔らかくなって嵩張らなくなるので、大量の
原料の地球規模での長距離輸送が可能となり、非木材パ
ルプの製造においても木材パルプ工場に匹敵する以上の
規模のパルプ工場の建設と、経済的運営を可能とする。
また、原料の貯蔵中にも温和な蒸解が進ので、全く熱処
理することなしに直ちにレファイナ−等で機械処理して
ケミメカニカルパルプ等に相当する半化学パルプを得る
ことも可能となる。また、上述のように原料の輸送貯蔵
に先立って薬液と混合しておくことは、気相蒸解の前処
理として効果的に利用することができる。
キビ類の幹茎から、糖液、糖を収得するためには短く切
断することが求められるし、パルプ原料用の繊維長の大
きいラインドを収得するためには幹茎を長く切断するこ
とが求められる。一見相反する要求を、本発明では第1
工程で幹茎を斜めにかつ平行に切断することで、糖液を
得るとともに繊維の長いラインドを得ることを両立させ
ることに成功した。例えば、幹茎は縦の方向に直角にか
つ平行に20mmの厚さで切断すればラインドの繊維の
長さも最大20mmであるが、斜めに45°の角度で切
断すれば約1.4倍の28mmの長さで得られるし、3
0°の角度で切断すれば2倍の40mmの長さで得ら
れ、最終的に微細繊維が少なく、濾水性の良い繊維長の
大きいパルプが得られる。砂糖キビ及びスィ−トソルガ
ム等キビ類の幹茎を、大量かつ連続的に斜めに切断する
装置としては、付け替え可能な鋭利な刃を1〜30枚を
回転円板に15〜60°、好ましくは25〜45°の角
度で取り付け、3〜60mm、好ましくは6〜30mm
の厚さで幹茎を斜めに切れるものであればよく、種々の
装置が使用できる。季節産業である製糖業で必要とする
キビ類は、限られた期間に大量に収穫し処理しなければ
ならない。装置は堅牢で構造が単純でなことが必要であ
る。パルプ工業で使う木材チップ製造用のチッパ−1台
で、小型の1枚刃のものであれば黒糖工場で幹茎を1日
1〜10t程度処理でき、大型の10枚刃以上のチッパ
−であれば大手の製糖工場で1日1,000〜5,00
0t程度のキビ類の処理できるので新規に開発せずに
も、当面使用は可能である。第2工程の斜めに切った幹
茎から糖液と粕(バガス)とを分離収得するために用い
る装置としては、従来の製糖工場で用いていたロ−ルプ
レスの他スクリュ−プレスのような圧縮脱汁装置が使用
でき、これらと共に向流洗浄機能を有する糖液回収装置
及びデフュ−ザ−装置が使用出来る。これらの組み合わ
せにより少量の水を洗浄に使用するだけで、ほとんど希
釈されずに糖液と搾り粕のバガスを収得しうる。なお、
圧縮脱汁装置のみではじめ搾汁し、洗浄液を混入させず
濃縮し晶出させれば、一番搾りの極良質な黒糖ができる
し、あとは従来法と同様に向流洗浄により糖液を収得
し、糖液を濃縮晶出すれば分蜜糖が得られ、所望により
酸処理又は酵素処理により転化糖とし、噴霧乾燥すれば
粉末含蜜糖、転化糖を併産することができる。なお、圧
搾の際スクリュ−プレスで固形分35プラスマイナス約
10%に、ロ−ルプレスでは固形分50プラスマイナス
5%に搾られ、そのうえラインドは縦に割れるので、脱
汁が容易になるとともに、第3工程のピスとラインドの
分別を容易にする。第3工程のピスとラインドの分離は
常法による湿式分離と乾式分離が可能である。ピスの分
離除去が良好に行われるので、蒸解及び解繊後の精選が
容易でありパルプの濾水性を高くすることができる。第
4工程のアルカリ性蒸解薬液による蒸解は、苛性アルカ
リのみの水溶液を蒸解薬液とするAP法、水酸化ナトリ
ウムと硫化ナトリウムの混合液を蒸解薬液とするKP
法、過酸化水素のアルカリ溶液に下記の蒸解助剤のうち
少なくとも1種以上加えたものを蒸解薬液とするPA法
等が可能で、本発明によって分離されたラインドを用い
て各種パルプ化法で得られたパルプは、従来法のバガス
から分離されたラインドを同条件でパルプ化したものよ
り諸強度に優れ、濾水性が高く、叩解により種々の紙の
抄造が容易であり、抄紙適性に優れている。PA法の蒸
解薬液の過酸化水素のアルカリ溶液に添加する蒸解助剤
として、キレ−ト剤、アントラキノン類、マグネシウム
化合物、水と任意に混合する極性の有機溶媒、所望によ
り酸素等のうち少なくとも1種以上が用いられる。PA
法によればパルプの強度、収率はAP法パルプに優れ、
KP法に比べ硫黄を用いてないので公害対策が極めて容
易である。PA法に用いるアルカリ溶液はカリウム又は
ナトリウムの水酸化物で、その炭酸塩が共存することが
更に望ましい。アルカリの量は(蒸解に必要な薬品量は
以下原料ラインドの絶乾物に対し表す)活性アルカリが
Na2O表示で13〜30%、好ましくは17〜22%
である。また、苛性化率として50〜95%、望ましく
は65〜85%で、炭酸塩が共存することにより繊維の
損傷が少なく、パルプの高収率化が望めるる。過酸化水
素で代表される過酸化物のうち、水溶性過酸化物として
は、過酸化水素の他、過酸化ナトリウムや過酸化カリウ
ム等の水溶性金属過酸化物;炭酸ナトリウムやホウ酸等
の化合物と過酸化水素よりなる水溶性附加体;過炭酸や
過ホウ酸等水溶性無機過酸又はその水溶性塩;等が挙げ
られる。これらの水溶性過酸化物を投入し、溶解させる
ことによって過酸化水素を得ることができる。過酸化水
素以外の水溶性の過酸化物は、水と反応して過酸化水素
を放出する。この過酸化水素は弱アルカリでパルプのリ
グニン保存漂白に使われてきたが、アルカリが強ければ
逆に強い脱リグニン作用を示すことが見出された。この
事が本発明のパルプ蒸解薬液の製造とパルプの製造を可
能とした。過酸化水素の使用量はH2O2換算で0.5〜
15%、好ましくは1.0〜5%である。本発明で種々
蒸解助剤が効果的に使用される。各種キレ−ト剤は過酸
化水素の安定剤として使用される。クエン酸またはその
酸の塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)又はその
塩、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)又はその
塩、フォスフォン酸又はその塩、アミノトリエチレンフ
ォスフォン酸又はその塩が使用されるが、下記一般式
〔化1〕で示される1−ヒドロキシアルキリデン−1,
1−ジフォスフォン酸又はその塩の使用は未晒パルプの
白色度の向上にも役立ち、ときには他のキレ−ト剤の使
用に比し、約10%に及ぶ白色度の高いパルプを与える
ことがある。キレ−ト剤の使用量は0.02〜1重量
%、好ましくは0.1〜0.5%である。本発明で用い
る蒸解薬液は蒸解助剤として、9,10位にヒドロキシ
ル基又は/及びアルキル基を有するアンスラセン系化合
物又は/及びアントラキノン系化合物を含有することが
できる。これら助剤の添加により蒸解は容易に行われ、
かつパルプ収率が向上する。アントラキノン系化合物に
は、アントラキノンの他、アルキルアントラキノンが含
有される。アルキルアントラキノンとしては、炭素数1
〜12、その中でも2〜5のアルキル基を有するものの
使用が好ましい。9,10位にヒドロキシル基をを有す
るアントラセン系化合物には、未置換9,10−ジヒド
ロキシル基を1個有するアンスラセンの他、置換アンス
ラセン、例えば、アルキルアントラセンが包含される。
9,10−ジヒドロキシルアルキルアントラセンにおい
て、アルキル基の炭素数は、通常12以下であり、好ま
しくは2〜8、より好ましくは2〜6である。9,10
−ジヒドロキシルアルキルアントラセンの具体例として
は、9,10−ジヒドロキシルエチルアントラセン、
9,10−ジヒドロキシルブチルアントラセン、9,1
0−ジヒドロキシルアミルアントラセン、9,10−ジ
ヒドロキシルヘキシルアントラセン等が挙げられる。ア
ントラキノン化合物又は/及び9,10−ジヒドロキシ
ル化合物の使用量は, 0.003〜1重量%、好ましく
は0.01〜0.3%である。マグネシウム化合物のパ
ルプ化用溶液への添加は、蒸解中セルロ−スを保護しパ
ルプ収率を増加させるとともに、機械的強度、特に引き
裂き強さ、耐折強さの向上したパルプの製造を可能とす
る。その使用量は0.05〜0.5重量%である。蒸解
助剤としてNMP(ノルマル−メチル−ピロリドン)、
アセトン、ジオキサン、ジメチルフォルムアミド等水と
任意に混ざり合う極性の有機溶剤を用いることは、竹、
バガス、松等樹脂を含有するセルロ−ス原料からのパル
プの製造において効果的であり、特にNMPの使用は樹
脂障害のないパルプを得るのに好ましい。その使用量は
0.02〜1.0重量%で好ましくは0.05〜0.2
重量%である。本発明による蒸解方法は、過酸化水素と
の接触に耐えるステンレス等の材質を用いた容器の中
に、ラインドと蒸解薬液(つまり、過酸化水素のアルカ
リを主成分とする蒸解薬液、又は過酸化水素−アルカリ
−酸素蒸解の反応系蒸解薬液)を入れ、90〜180
℃、好ましくは110〜150℃、最高温度の保持時間
は化学パルプの製造では10〜360分、好ましくは3
0〜120分である。なお、酸素を圧入する場合には酸
素分圧が0.5〜10.0kg/cm2 好ましくは1〜
3kg/cm2 となるように酸素を圧入する。酸素源と
しては純酸素の他、酸素と空気との混合ガスが用いられ
る。酸素分圧が前記の範囲に保持できれば限定されない
が、装置の耐圧度を高くすると装置費が嵩むことから、
純酸素か空気をプレッシャ−スイングの装置で濃縮され
た高濃度の酸素を使うのが好ましい。なお、蒸解中に酸
素との接触を容易にするためにには、気相蒸解が好まし
い。セルロ−ス原料は、蒸解に先立ち、蒸解薬液の一部
または全部を添加、混合しておくことは、腐敗の防止が
出来、数年にわたる長期貯蔵が可能となるばかりでな
く、原料が柔らかくなって嵩張らなくなるので、大量の
原料の地球規模での長距離輸送が可能となり、非木材パ
ルプの製造においても木材パルプ工場に匹敵する以上の
規模のパルプ工場の建設と、経済的運営を可能とする。
また、原料の貯蔵中にも温和な蒸解が進ので、全く熱処
理することなしに直ちにレファイナ−等で機械処理して
ケミメカニカルパルプ等に相当する半化学パルプを得る
ことも可能となる。また、上述のように原料の輸送貯蔵
に先立って薬液と混合しておくことは、気相蒸解の前処
理として効果的に利用することができる。
【0006】〔実施例】次に本発明を実施例により更に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるも
のではない。
【0007】実施例1 砂糖キビをチッパ−で縦の方向に約30°の角度で、約
20mmの厚みで切断しチップ化した。チップはロ−ル
でプレスし、脱汁し、一番搾りの糖液は黒糖の製造に供
し、残りは更に向流洗浄し糖液を収得し、粗糖の製造に
供し、黒糖を対キビ7%、粗糖を対キビ4%で収得し
た。搾り粕は10メッシュの篩で乾式分別し、ラインド
をパルプ原料として蒸解に供し、ピスは廃糖蜜と乳酸発
酵し飼料の原料とした。ラインドのパルプ化はAP法に
よった。すなわち、水酸化ナトリウムをNa2O表示で
対絶乾原料18%を加え、145℃で2時間蒸解処理を
行い、カッパ−価10、ハンタ−白色度35%の未晒パ
ルプを39%の収率で得た。未晒パルプは塩素化、アル
カリ抽出、ハイポ漂白の3段漂白で晒パルプ(ハンタ−
白色度84%、裂断長3.9km、比破裂強度3.2、
比引き裂き強度75)を得た。
20mmの厚みで切断しチップ化した。チップはロ−ル
でプレスし、脱汁し、一番搾りの糖液は黒糖の製造に供
し、残りは更に向流洗浄し糖液を収得し、粗糖の製造に
供し、黒糖を対キビ7%、粗糖を対キビ4%で収得し
た。搾り粕は10メッシュの篩で乾式分別し、ラインド
をパルプ原料として蒸解に供し、ピスは廃糖蜜と乳酸発
酵し飼料の原料とした。ラインドのパルプ化はAP法に
よった。すなわち、水酸化ナトリウムをNa2O表示で
対絶乾原料18%を加え、145℃で2時間蒸解処理を
行い、カッパ−価10、ハンタ−白色度35%の未晒パ
ルプを39%の収率で得た。未晒パルプは塩素化、アル
カリ抽出、ハイポ漂白の3段漂白で晒パルプ(ハンタ−
白色度84%、裂断長3.9km、比破裂強度3.2、
比引き裂き強度75)を得た。
【0008】実施例2 実施例1と同様処理を行って得られたラインドを水酸化
ナトリウムと硫化ナトリウムを硫化度30%、全アルカ
リ(Na2 O表示)で対絶乾原料18%を加え、140
℃で2時間KP蒸解処理を行い、カッパ−価5、ハンタ
−白色度19%の未晒パルプを43%の収率で得た。未
晒パルプは塩素化、アルカリ抽出、二酸化塩素漂白の3
段漂白で晒パルプ(ハンタ−白色度81%、裂断長5.
5km、比破裂強度3.9比引き裂き強度105)が得
られた。
ナトリウムと硫化ナトリウムを硫化度30%、全アルカ
リ(Na2 O表示)で対絶乾原料18%を加え、140
℃で2時間KP蒸解処理を行い、カッパ−価5、ハンタ
−白色度19%の未晒パルプを43%の収率で得た。未
晒パルプは塩素化、アルカリ抽出、二酸化塩素漂白の3
段漂白で晒パルプ(ハンタ−白色度81%、裂断長5.
5km、比破裂強度3.9比引き裂き強度105)が得
られた。
【0009】実施例3 実施例1と同様処理を行って得られたラインドを125
℃で2時間カリウムベ−スのPA蒸解(活性アルカリ、
Na2 O換算22%、苛性化率80%、H2 O2 を3
%、キレ−ト剤として1−ヒドロキシアルキリデン−,
1−ジフォスフォン酸を0.3%、アントラキノン類と
してアミルアントラキノンを0.08%、マグネシウム
化合物として水酸化マグネシウムをMgOとして0.2
%、水と任意に混合する極性の有機溶媒としてNMPを
0.1%を加えて蒸解薬液として)処理を行った。蒸解
物は未晒パルプとパルプ廃液に固液分離した。未晒パル
プは収率49%で、カッパ−価5、白色度52%であっ
た。同パルプは篩い分け試験により24メッシュオン4
0.8%、42メッシュオン30.0%、80メッシュ
オン11.9%、150メッシュオン5.1%、150
メッシュパス11.2%、濾水度C.S.F.720m
lと比較例1に比べ長繊維区分が遙に多く、また濾水性
も遙に大きく、叩解によってパルプの性質を変えやすい
ことが示された。 漂白は2段漂白によった。1段目は
酸素共存下でPa処理後、2段目の二酸化塩素による処
理を行い、純白で良質の晒パルプ(ハンタ−白色度85
%、裂断長5.3km、比破裂強度4.2、比引き裂き
強度100) を得た。一方パルプ廃液は濃縮燃焼し、得
られる炭酸カリウムを主成分とする灰を水で抽出し、抽
出液を酸化カルシウムで苛性化率80%まで苛性化し、
アルカリ液を回収し、更に蒸解助剤を添加して次回の蒸
解薬液を再生した。
℃で2時間カリウムベ−スのPA蒸解(活性アルカリ、
Na2 O換算22%、苛性化率80%、H2 O2 を3
%、キレ−ト剤として1−ヒドロキシアルキリデン−,
1−ジフォスフォン酸を0.3%、アントラキノン類と
してアミルアントラキノンを0.08%、マグネシウム
化合物として水酸化マグネシウムをMgOとして0.2
%、水と任意に混合する極性の有機溶媒としてNMPを
0.1%を加えて蒸解薬液として)処理を行った。蒸解
物は未晒パルプとパルプ廃液に固液分離した。未晒パル
プは収率49%で、カッパ−価5、白色度52%であっ
た。同パルプは篩い分け試験により24メッシュオン4
0.8%、42メッシュオン30.0%、80メッシュ
オン11.9%、150メッシュオン5.1%、150
メッシュパス11.2%、濾水度C.S.F.720m
lと比較例1に比べ長繊維区分が遙に多く、また濾水性
も遙に大きく、叩解によってパルプの性質を変えやすい
ことが示された。 漂白は2段漂白によった。1段目は
酸素共存下でPa処理後、2段目の二酸化塩素による処
理を行い、純白で良質の晒パルプ(ハンタ−白色度85
%、裂断長5.3km、比破裂強度4.2、比引き裂き
強度100) を得た。一方パルプ廃液は濃縮燃焼し、得
られる炭酸カリウムを主成分とする灰を水で抽出し、抽
出液を酸化カルシウムで苛性化率80%まで苛性化し、
アルカリ液を回収し、更に蒸解助剤を添加して次回の蒸
解薬液を再生した。
【0010】比較例.1と同一ロットの砂糖キビを従来
法のミル法で破砕し、糖液を取得した後のバガスを比較
試料として用いた。バガスは10メッシュの振動篩でピ
スを分離除去し、ラインドを取得した。ラインドは、P
A法(水酸化カリウムをNa2 O換算表示で対絶乾原料
22%その他条件もいずれも実施例3と同じ)で125
℃、2時間の蒸解処理を行い、カッパ−価4、ハンタ−
白色度53%の未晒パルプを46%の収率で得た。同パ
ルプは篩い分け試験により24メッシュオン16.6
%、42メッシュオン27.5%、80メッシュオン2
1.9%、150メッシュオン15.1%、150メッ
シュパス18.9%、濾水度C.S.F.425mlと
実施例3に比べ長繊維区分が少なく短繊維区分が多く濾
水性が低いことが示された。漂白は2段漂白によった。
1段目は酸素共存下でPa処理後、2段目の二酸化塩素
による処理を行い、純白で良質の晒パルプ(ハンタ−白
色度84%、裂断長4.9km、比破裂強度3.8、比
引き裂き強度52) を得た。
法のミル法で破砕し、糖液を取得した後のバガスを比較
試料として用いた。バガスは10メッシュの振動篩でピ
スを分離除去し、ラインドを取得した。ラインドは、P
A法(水酸化カリウムをNa2 O換算表示で対絶乾原料
22%その他条件もいずれも実施例3と同じ)で125
℃、2時間の蒸解処理を行い、カッパ−価4、ハンタ−
白色度53%の未晒パルプを46%の収率で得た。同パ
ルプは篩い分け試験により24メッシュオン16.6
%、42メッシュオン27.5%、80メッシュオン2
1.9%、150メッシュオン15.1%、150メッ
シュパス18.9%、濾水度C.S.F.425mlと
実施例3に比べ長繊維区分が少なく短繊維区分が多く濾
水性が低いことが示された。漂白は2段漂白によった。
1段目は酸素共存下でPa処理後、2段目の二酸化塩素
による処理を行い、純白で良質の晒パルプ(ハンタ−白
色度84%、裂断長4.9km、比破裂強度3.8、比
引き裂き強度52) を得た。
【0011】実施例4 スウィ−トソルガムをチッパ−で縦の方向に35°の角
度で、約15mmの厚みで切断しチップ化した。チップ
はスクリュ−プレス機で脱汁し、濾過精製し、更に減圧
濃縮後噴霧乾燥して粉末含蜜糖を得た。搾り粕は10メッ
シュの篩で乾式分別し、ラインドをパルプ原料として蒸
解に供し、ピスは乾燥後微粉砕して100メッシュの篩
で粗粒を除去し食品添加用の食物繊維とした。ラインド
は125℃で2時間カリウムベ−スのPA蒸解(Na2
O換算17%、H2 O2 を3%、キレ−ト剤として1−
ヒドロキシアルキリデン−,1−ジフォスフォン酸を
0.3%、アントラキノン類としてアミルアントラキノ
ンを0.08%、マグネシウム化合物として水酸化マグ
ネシウムをMgOとして0.2%、水と任意に混合する
極性の有機溶媒としてNMPを0.1%加えて蒸解薬液
として) 処理を行い、カッパ−価4、白色度52%の未
晒パルプを収率46%で得た。未晒パルプはPa処理後
二酸化塩素による2段漂白で良質の晒パルプ(ハンタ−
白色度83%、裂断長5.3km、比破裂強度4.3、
比引き裂き強度102) が得られた。
度で、約15mmの厚みで切断しチップ化した。チップ
はスクリュ−プレス機で脱汁し、濾過精製し、更に減圧
濃縮後噴霧乾燥して粉末含蜜糖を得た。搾り粕は10メッ
シュの篩で乾式分別し、ラインドをパルプ原料として蒸
解に供し、ピスは乾燥後微粉砕して100メッシュの篩
で粗粒を除去し食品添加用の食物繊維とした。ラインド
は125℃で2時間カリウムベ−スのPA蒸解(Na2
O換算17%、H2 O2 を3%、キレ−ト剤として1−
ヒドロキシアルキリデン−,1−ジフォスフォン酸を
0.3%、アントラキノン類としてアミルアントラキノ
ンを0.08%、マグネシウム化合物として水酸化マグ
ネシウムをMgOとして0.2%、水と任意に混合する
極性の有機溶媒としてNMPを0.1%加えて蒸解薬液
として) 処理を行い、カッパ−価4、白色度52%の未
晒パルプを収率46%で得た。未晒パルプはPa処理後
二酸化塩素による2段漂白で良質の晒パルプ(ハンタ−
白色度83%、裂断長5.3km、比破裂強度4.3、
比引き裂き強度102) が得られた。
【0012】
【発明の効果】熱帯、亜熱帯の代表的農産物である砂糖
キビ、スウィ−トソルガム等キビ類から糖液、糖を得る
とともに、その搾り粕から、強度と濾水性が大きい良質
のパルプを、高収率でかつ大量に製造し得るようになっ
た。 (式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基を示す)
キビ、スウィ−トソルガム等キビ類から糖液、糖を得る
とともに、その搾り粕から、強度と濾水性が大きい良質
のパルプを、高収率でかつ大量に製造し得るようになっ
た。 (式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基を示す)
Claims (10)
- 【請求項1】 砂糖キビ又はスウィ−トソルガム等キビ
類の幹茎を斜めに、かつ平行に切断するのを第1工程と
し、斜めに切った幹茎から糖液と繊維を主成分とする粕
(バガス)とを分離収得し、パルプを製造することを特
徴とする糖液、糖とパルプを併産する方法。 - 【請求項2】 第1工程において、縦の方向に15〜6
0°、厚み3〜60mm、好ましくは厚み6〜30mm
に並行に、縦の方向に25〜45°で、稈茎を斜めに切
ることを特徴とする請求項1の方法。 - 【請求項3】 第2工程において、斜めに切った幹茎を
圧壊し、糖液とバガスとを分離収得するのを特徴とする
請求項1及び2の方法。 - 【請求項4】 第2工程で得られる糖液を濃縮し、黒糖
を得るか、所望により結晶させて分蜜糖を得るか、粉霧
乾燥させて固形含蜜糖糖を得るか、又は糖液を加水分解
して転化糖とし、濃縮し、所望により粉霧乾燥させて固
形転化糖を得る請求項1〜3の方法 - 【請求項5】 第2工程において、斜めに切った幹茎又
は更に圧壊した幹茎を、向流洗浄して糖液とバガスとを
分離収得するのを特徴とする請求項1〜4の方法。 - 【請求項6】 第2工程で得られるバガスをラインド
(厚皮)とピス(髄質)とに分離収得するのを第3工程
とし、ラインドをアルカリ液の苛性化率を50〜95
%、好ましくは65〜85%に部分苛性化したアルカリ
性の蒸解薬液で蒸解してパルプ化するか、所望により軽
度のアルカリ性の薬液による蒸解を行ったのちに機械的
に解繊してパルプ化するのを第4工程とし、第1、第
2、第3及び第4工程の組み合わせからなる請求項1〜
5の方法。 - 【請求項7】 第4工程でパルプとパルプ廃液とに分離
収得し、パルプ廃液は濃縮燃焼してアルカリ金属の炭酸
塩を主成分とする灰を得、炭酸塩を苛性化率50〜95
%、好ましくは65〜85%に部分苛性化して蒸解薬液
に再生して次回以降のパルプ化に供するのを第5工程と
し、第1、第2、第3、第4及び第5工程の組み合わせ
からなる請求項1〜6の方法。 - 【請求項8】 第4工程のラインドをアルカリ性の蒸解
薬液で蒸解する際に、PA法(過酸化水素アルカリ法:
過酸化水素のアルカリ溶液に蒸解助剤としてキレ−ト
剤、アントラキノン類、マグネシウム化合物、シュウ酸
又はシュウ酸塩、酸素及び水と任意の割合で混合する極
性の有機溶媒のうち少なくとも1種以上を含む液を蒸解
薬液ととする)で蒸解する請求項1〜7の方法。 - 【請求項9】 第4工程で得られた未晒パルプをPa薬
液(漂白に用いる過酸化水素のアルカリ溶液) で処理す
るか、所望により酸素存在下でPa薬液で処理し、更に
オゾン処理して無塩素漂白し、晒パルプを得る請求項1
〜8の方法。 - 【請求項10】第4工程のラインドを蒸解装置に入れる
前に、PA法の蒸解薬液を加えて処理し輸送及び貯蔵す
る請求項1 〜9の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10259140A JP2000080588A (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | キビ類から糖液、糖とパルプを併産する方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10259140A JP2000080588A (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | キビ類から糖液、糖とパルプを併産する方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000080588A true JP2000080588A (ja) | 2000-03-21 |
Family
ID=17329892
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10259140A Pending JP2000080588A (ja) | 1998-08-31 | 1998-08-31 | キビ類から糖液、糖とパルプを併産する方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000080588A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2447062A (en) * | 2006-09-08 | 2008-09-03 | Nasamax Ltd | Processing of Sweet Sorghum for Bioethanol Production |
CN100417731C (zh) * | 2005-09-20 | 2008-09-10 | 新疆大学 | 甜高粱秆榨汁生产高果糖浆 |
-
1998
- 1998-08-31 JP JP10259140A patent/JP2000080588A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100417731C (zh) * | 2005-09-20 | 2008-09-10 | 新疆大学 | 甜高粱秆榨汁生产高果糖浆 |
GB2447062A (en) * | 2006-09-08 | 2008-09-03 | Nasamax Ltd | Processing of Sweet Sorghum for Bioethanol Production |
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