JP2000079690A - サーマルインクジェットヘッド - Google Patents

サーマルインクジェットヘッド

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JP2000079690A
JP2000079690A JP25017898A JP25017898A JP2000079690A JP 2000079690 A JP2000079690 A JP 2000079690A JP 25017898 A JP25017898 A JP 25017898A JP 25017898 A JP25017898 A JP 25017898A JP 2000079690 A JP2000079690 A JP 2000079690A
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heating resistor
region
resistor layer
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JP25017898A
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English (en)
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Takayuki Takeuchi
孝行 竹内
Nanao Inoue
七穂 井上
Masahiko Fujii
雅彦 藤井
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 発熱抵抗体層と電極との接続部の段差に起因
した故障をなくすとともにエネルギー効率を向上させた
サーマルインクジェットヘッドを提供する。 【解決手段】 ヒータ基板1となるシリコン基板上に蓄
熱層2を形成後、多結晶シリコンにより発熱抵抗体層を
形成し、イオン注入法等で高抵抗領域3aと低抵抗領域
3bを形成する。このとき、高抵抗領域3aの発熱によ
って発生する気泡の生成領域と樹脂層7に形成されるピ
ット10の大きさが略同じとなるように、高抵抗領域3
aと低抵抗領域3bを形成する。層間絶縁膜11を形成
後、電極層4を形成し、コンタクトホール12を介して
低抵抗領域3bと接続する。耐インク層5,電極保護層
6を形成後、樹脂層7を形成し、ピット10を開口させ
る。ピット10の大きさが、発生する気泡の大きさと略
同じであるので、気泡はピット10の高さ方向に成長
し、効率よくインクを吐出させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブリンタ、ファク
シミリ、複写機等に用いられるサーマルインクジェット
ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】サーマルインクジェットヘッドにおいて
は、その原理上、発熱抵抗体層と電極とを重ねて電気的
な接続を図っている。そのため、この電気的な接続部に
は段差が生じる。この段差は、例えば発熱抵抗体層及び
電極を覆う保護層にも生じる。この保護層の段差部にク
ラックが発生して、電気的または化学的故障などが発生
し、ヘッド全体の寿命を短縮させる原因となっていた。
【0003】また、サーマルインクジェットヘッドで
は、発熱抵抗体層の発熱によってインク中に気泡を発生
させ、その気泡の成長時の圧力によってインクを吐出さ
せる。発生した気泡は発熱の停止とともに収縮するが、
気泡消滅時には消滅点にキャビテーションの集中が生じ
る。このキャビテーションの集中によって生じる発熱抵
抗体層の上部における破壊も課題となっている。
【0004】これらの故障に対する対策としては、特開
平3−224743号公報に記載されているように、発
熱抵抗体層と電極層とが重合される接続部を樹脂層で覆
うことが提案されている。図8は、従来のサーマルイン
クジェットヘッドの一例を示すヒータ近傍の断面図であ
る。図中、1はヒータ基板、2は蓄熱層、3は発熱抵抗
体層、4aは個別電極、4bは共通電極、5a,5bは
耐インク層、6は電極保護層、7は樹脂層、8はチャネ
ル基板、9はインク吐出口、10はピットである。図8
に示したサーマルインクジェットヘッドでは、ヒータ基
板1上に蓄熱層2を形成した後、発熱抵抗体層3を形成
してヒータとなる部分を含む領域が残るようにパターニ
ングする。さらに配線層を形成してパターニングし、個
別電極4aおよび共通電極4bを形成する。上述のよう
に、個別電極4aおよび共通電極4bは発熱抵抗体層3
の上部に一部が重ねられ、ヒータとの電気的な接続を図
っている。
【0005】発熱抵抗体層3及び電極層の上には、耐イ
ンク層5aが形成されるとともに、ヒータの上部にキャ
ビテーションからヒータを保護するための耐インク層5
bが形成されている。さらに、ヒータ部を除く部分に電
極保護層6が形成され、さらにその上に厚く樹脂層7が
形成されている。この樹脂層7は、ヒータ部が除去され
てピット10を形成している。
【0006】また、別の工程においてチャネル基板8に
各ヒータ部に対応してインクの流路や、インクを一時的
に貯留するリザーバなどが形成され、上述のようにして
各層が形成されたヒータ基板1と位置合わせ後、接合さ
れる。接合後、2枚の基板を切断し、個々のサーマルイ
ンクジェットヘッドが得られる。このとき、チャネル基
板8に形成されたインクの流路を切断することによっ
て、切断面にインク吐出口9が現出する。
【0007】このような構成の従来のサーマルインクジ
ェットヘッドでは、ヒータ基板1に形成された発熱抵抗
体層3と個別電極4a、共通電極4bとの重合部分には
段差が形成される。さらにその上に形成する耐インク層
5aや電極保護層6にも段差が形成されてしまう。樹脂
層7は、このようにして形成された電極保護層6の段差
部分を覆うように設けられている。また、樹脂層7以外
の層である耐インク層5bが現れるピット10の底部は
平坦になる。
【0008】このような従来のサーマルインクジェット
ヘッドによれば、これまでの故障の主原因であった電極
保護層6の段差部における故障は、ほとんどなくなっ
た。これは、延性、粘性に富んだ樹脂層7を用いている
ために、キャビテーションダメージを減衰する効果があ
るためと推測できる。さらには、電極保護層6が直接イ
ンクに触れることがないため、電流のリークに起因する
電気的または化学的腐食等の故障もなくなった。
【0009】この構成では、発熱抵抗体層3のうち、個
別電極4aおよび共通電極4bとの接続部分の間が、発
熱するヒータ部となる。しかし、個別電極4aおよび共
通電極4bとの接続部分は、電極保護層6や樹脂層7に
よって覆われている。そのため、電極保護層6や樹脂層
7は、発熱抵抗体層3の発熱領域の上まで設けられてい
ることになる。このように発熱抵抗体層3の発熱領域を
電極保護層6や樹脂層7で覆うと、エネルギー効率が低
下するばかりか、覆われた部分において蓄熱され、樹脂
層7が変形するなどの新たな問題が発生する。
【0010】この問題を解決するために、例えば実用新
案登録第2539795号公報に記載されているよう
に、樹脂層7に覆われた発熱抵抗体層3の領域は、樹脂
層7に覆われていない領域よりも抵抗値が低くなるよう
に構成することが提案されている。図9は、従来のサー
マルインクジェットヘッドの別の例における発熱抵抗体
層の平面図である。図中、21はピット領域、22はコ
ンタクト領域、23は低抵抗領域、24は高抵抗領域で
ある。図9に示す発熱抵抗体層3において、ピット領域
21は、樹脂層7を除去して形成されるピット10の底
部となる領域である。このピット領域21の外側が樹脂
層7で覆われる領域である。コンタクト領域22は、発
熱抵抗体層3と個別電極4aおよび共通電極4bと電気
的に接続する領域である。発熱抵抗体層3は、図中の左
右方向にみて、ピット領域21より内側の高抵抗領域2
4の部分の抵抗値を高くし、その左右の低抵抗領域23
において抵抗値を低くしている。これにより、電極保護
層6や樹脂層7は低抵抗領域23を被覆するのみである
から、これらの層に被覆される領域の発熱量が低下し、
エネルギー効率の低下の緩和や、被覆された領域での蓄
熱による樹脂層7の変形などを回避することが可能であ
る。
【0011】しかしながら、より高速化を追求するサー
マルインクジェットヘッドにおいては、さらなるエネル
ギー効率の改善が必要である。なぜなら、高速印字にお
いては、駆動周波数や同時に駆動するヒータ数を増加さ
せる必要がある。しかし、インクの吐出に寄与しないエ
ネルギーのほとんどが熱となるため、ヘッドの昇温を招
き、これが画質欠陥の原因となるためである。そのた
め、コンタクト領域22と高抵抗領域24の間に存在す
る低抵抗領域23の抵抗値をできるかぎり低くし、気泡
生成に寄与しない、コンタクト領域22から高抵抗領域
24までの間の低抵抗領域23で消費されるエネルギー
を極小にする必要がある。
【0012】このような高速化の観点から低抵抗領域2
3の抵抗値を低くして構成すると、入力エネルギーに対
するインクの吐出体積の低下が確認された。これは、高
抵抗領域24と低抵抗領域23との温度差が顕著にな
り、高抵抗領域24の熱が低抵抗領域23ヘ放散するこ
とで、気泡の生成に寄与するヒータアクティブ領域の実
効面積が小さくなることが原因であることが判明した。
つまり、生成された気泡の大きさと樹脂層7により形成
されたピット10とのサイズに差を生じることになり、
気泡生成の初期圧力がインクの吐出に効率よく変換され
ず、吐出されるインクの体積が減少したと考えられる。
そのため、図9に示す発熱抵抗体層3の構成において吐
出されるインクの体積を低下させないためには、発熱抵
抗体層3における発熱エネルギーを増加させればよい。
しかし上述のように、インクの吐出に寄与しないエネル
ギーはそのままヘッドの昇温につながり、問題となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決するためになされたものであり、発熱抵抗体
層と電極との接続部に発生する段差に起因した故障、例
えば保護層の段差部におけるクラックや、気泡消滅によ
るキャビテーションの集中などによる故障をなくすこと
ができるとともに、さらに、エネルギー効率を向上させ
たサーマルインクジェットヘッドを提供することを目的
とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体を吐出す
るための吐出口と、吐出口に連通した液流路と、液流路
に設けられた発熱抵抗体層と、発熱抵抗体層に電気エネ
ルギーを供給する1対の電極層と、発熱抵抗体層の上に
開口を設けて形成された樹脂層を有するサーマルインク
ジェットヘッドにおいて、まず樹脂層を電極層と発熱抵
抗体層との電気的接続部分を覆うように形成して、電気
的接続部分に発生する段差が開口内に存在しないように
している。また、この樹脂層により、電極保護層のピン
ホールなどの欠陥を補充し、発熱抵抗体層の上部の段差
に起因した保護層のクラックやキャビテーションの集中
を著しく減衰させている。また、発熱抵抗体層として、
抵抗値が低い2つの低抵抗領域と該低抵抗領域に挟まれ
た抵抗値が高い高抵抗領域を形成し、低抵抗領域におい
て電極層と電気的に接続することにより、電気的な接続
部分付近での発熱を抑えて、この部分での蓄熱による樹
脂層の変形などを防止している。
【0015】さらに、高抵抗領域の発熱によって発生す
る気泡の生成領域と、樹脂層に形成される開口の位置が
略一致するように、開口と高抵抗領域及び低抵抗領域を
形成している。このとき、1対の電極層に挟まれる方向
における開口の長さをLp、高抵抗領域の長さをLhと
したとき、Lh≧Lpを満たすように構成することがで
きる。これによって、開口内に発生した気泡と開口の壁
面をなす樹脂層との間に空間を生じなくなり、気泡の成
長により発生する圧力の損失を防ぐことができる。その
ため、高抵抗領域において発生する熱エネルギーを有効
に液体の噴射に利用することができる。
【0016】なお、この樹脂層は、上述のように電極保
護層の上部に設けられており、抵抗体層の発熱領域のみ
が開口されている。そのため、この樹脂層の厚さを適当
にすることにより、例えば特開昭62−33648号公
報に記載されているように、吐出口から噴出される液滴
量を制御するとともに、気泡の抱き込みを防止し、液滴
噴射性能を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のサーマルインク
ジェットヘッドの実施の一形態を示す断面図、図2ない
し図4は、同じく作製方法の一例を示す工程図である。
図中、図8と同様の部分には同じ符号を付して説明を省
略する。3aは高抵抗領域、3bは低抵抗領域、4は電
極層、11は層間絶縁膜、12はコンタクトホール、1
3はホトレジストである。図1に示す本発明のサーマル
インクジェットヘッドの実施の一形態の構成は、図2〜
図4の工程を経て作製されたものである。図2〜図4に
示した工程を説明することによって、図1に示す実施の
一形態における構成を説明する。
【0018】まず図2(A)において、ヒータ基板1と
なるシリコン基板上に、蓄熱層2となるシリコン酸化膜
を形成し、その上に発熱抵抗体層3となる多結晶シリコ
ンを例えば化学的気相成長法により着模する。多結晶シ
リコンの膜厚は、0.1〜1.0μm程度とすればよ
く、より好ましくは0.3〜0.6μmがよい。
【0019】次に図2(B)において、多結晶シリコン
全体にイオン注入法により不鈍物を注入する。この不純
物は、リン、もしくは砒素がよい。その後、熱処理を行
い、多結晶シリコンを活性化することにより、高抵抗領
域に必要なシート抵抗値を得る。
【0020】次に図2(C)において、高抵抗領域3a
となる部分が覆われるようにホトレジスト13をパター
ニングする。次に、イオン注入法により、リン、もしく
は、砒素を不純物として注入する。ホトレジスト13を
剥離した後、熱処理を行い、多結晶シリコンを活性化す
る。これによって高抵抗領域3a以外の部分の抵抗値を
低下させることができる。さらに、通常のLSI作製方
法により、所望の大きさの発熱抵抗体(高抵抗領域3a
および低抵抗領域3b)を形成する。なお、高抵抗領域
3aとなる部分は、後述するようにこの上部に発生する
気泡の生成領域と、樹脂層7に形成されるピット10の
位置が略一致するように決定されている。また、高抵抗
領域3aとなる部分の図中の左右方向における長さは、
後に形成されるピット10の長さ以上となるように形成
される。
【0021】次に図2(D)において、発熱抵抗体層3
のうち、少なくとも低抵抗領域3bとなる部分が開口す
るようにホトレジスト13をバターニングする。次に、
イオン注入法により、リン、もしくは砒素を不純物とし
て注入する。ホトレジスト13を剥離した後、熱処理を
行い、多結晶シリコンを活性化する。
【0022】このように発熱抵抗体層3として多結晶シ
リコンを用い、イオン注入法によって高抵抗領域と低抵
抗領域を形成する場合、シート抵抗値は多結晶シリコン
の膜厚と不純物の注入量で決まる。ここでは多結晶シリ
コンを一様の膜厚で形成しているため、不純物の注入量
でシート抵抗値が決まる。上述のように高抵抗領域3a
では、図2(B)の工程における不純物のイオン注入し
か行っていないため高抵抗となり、低抵抗領域3bでは
図2(B)〜(D)の3回にわたり不純物のイオン注入
を行っているので、十分、低抵抗化されている。低抵抗
領域3bは、より好ましくは、固溶限まで不純物を注入
するとよい。このように低抵抗領域にシリコンの固溶限
まで不純物をドープしてその抵抗値を低下させることに
より、低抵抗領域での消費エネルギーを極小にできる。
このような方法により、例えば実用新案登録第2539
795号公報に記載されている作製方法の約半分のシー
ト抵抗値が得られる。具体的には、低抵抗領域3bにお
いて固溶限までイオン注入を行い、多結晶シリコンの膜
厚を0.4μmとした場合、低抵抗領域3bのシート抵
抗値は10〜20Ω/□程度となる。高抵抗領域3aの
シート抵抗値は、駆動電圧と発熱抵抗体の長さと幅の比
(アスペクト比)により決定される。例えば駆動電圧3
8V、アスペクト比2〜6の場合で、40〜120Ω/
□程度が適当である。
【0023】また、上述のように、イオン注入を複数回
に分けて実施することにより、シリコン基板に不純物を
注入して作製する各種の能動素子を同時に形成すること
ができ、このヒータ基板1上に駆動回路を形成すること
が可能である。
【0024】次に図3(A)において、通常のLSI作
製方法により層間絶縁膜11を形成し、発熱抵抗体層3
の高抵抗領域3aの両側に存在する低抵抗領域3bに、
次に形成する電極層4との電気的な接続を図るためのコ
ンタクトホール12を開口する。さらに図3(B)にお
いて、通常のLSI作製方法により電極層4を形成す
る。この電極層4は、アルミニウム、もしくは、アルミ
ニウム合金などを用いることができる。電極層4の形成
により、電極層4はコンタクトホール12から発熱抵抗
体層3の低抵抗領域に接触し、電気的に接続される。他
の部分は層間絶縁膜11によって発熱抵抗体層3と電極
層4は分離されている。
【0025】次に図3(C)において、電極層4に挟ま
れる所望の部分の層間絶縁膜11をエッチングにより開
口する。そして図3(D)において、タンタルとシリコ
ン窒化膜からなる耐インク層5を形成する。その後、図
4(A)において、シリコン酸化膜、もしくは、リンを
不純物としてドープしたシリコン酸化膜からなる電極保
護層6を形成する。最後に図4(B)において、樹脂層
7を塗布し、ピット10となる部分を除去して開口させ
る。このとき形成するピット10は、高抵抗領域3aに
おける発熱によって発生する気泡の生成領域と一致する
位置に設けられる。また、その大きさは、図中の左右方
向における長さが高抵抗領域3aの長さ以下となる大き
さに形成される。
【0026】一方、別の工程において、チャネル基板8
にヒータ基板1の発熱抵抗体層3に対応して液流路が形
成され、また、インクを一時的に貯留するリザーバなど
が形成される。そして、このチャネル基板8と、上述の
ようにして各層が形成されたヒータ基板1とを位置合わ
せ後、接合する。これによって、図1に示すような本発
明のサーマルインクジェットヘッドが完成する。
【0027】なお、ヒータ基板1が1枚のシリコン基板
上に多数形成されている場合には、ダイシングなどによ
って1つずつに切断してからチャネル基板8と接合す
る。さらに、チャネル基板8も1枚のシリコン基板上に
多数形成されている場合は、両者を接合後、ダイシング
などによって1つずつのヘッドに切断分離すればよい。
【0028】次に、発熱抵抗体層3とピット10との関
係について説明する。図5は、従来のサーマルインクジ
ェットヘッドにおける発熱抵抗体層の温度の分布の一例
を示すシミュレーション結果のグラフである。図5で
は、発熱抵抗体層が、例えば実用新案登録第25397
95号公報に記載されるような、図9に示した構造を有
しているものとする。具体例として、高抵抗領域24の
シート抵抗が90Ω/□、低抵抗領域23のシート抵抗
が20Ω/□であるものとし、このときの発熱抵抗体層
3の平面的な温度分布を図5に示している。
【0029】ここで、インクの膜沸騰温度が270℃で
あるとき、図5からわかるように、発熱抵抗体層3の温
度が270℃である領域が高抵抗領域24よりも狭い範
囲にあることがわかる。そのため、上述のように発熱抵
抗体層3の上部に発生する気泡は、発生時点においてピ
ット10の側壁との間に隙間があるため、初期状態にお
いては横への広がりが生じてピット10の高さ方向への
圧力が弱まる。これによってエネルギーロスが発生して
いた。
【0030】図6は、本発明のサーマルインクジェット
ヘッドの実施の一形態における発熱抵抗体層の構成例を
示す平面図である。図中の符号は図1および図9と同様
である。また、Lpは電極層に挟まれる方向におけるピ
ット10の長さを示し、Lh2は同じく電極層に挟まれ
る方向における高抵抗領域3aの長さを示している。
【0031】上述のように、高抵抗領域3aに発生する
気泡とピット10の側壁との間に隙間が存在すると、圧
力損失の原因となる。すなわち、高抵抗領域3aに発生
する気泡の大きさとピット10の大きさを一致させるこ
とにより、最大の効率を得ることができる。また、図5
からわかるように、気泡の発生する領域は、高抵抗領域
3a以内の領域である。そのため、高抵抗領域3aに発
生する気泡の大きさとピット10の大きさを一致させる
ためには、高抵抗領域3aの長さLh2がピット10の
長さLp以上、すなわちLh2≧Lpである必要があ
る。
【0032】本発明では、この条件を満足し、気泡の発
生する領域とピット10とが一致するように、ピット1
0と、高抵抗領域3a及び低抵抗領域3bを形成してい
る。例えば図6に示した例では、電極層に挟まれる方向
において、高抵抗領域3aの長さLh2がピット10の
長さLpより大きくなるように形成され、高抵抗領域3
aの上部において発生する気泡の大きさとピット10の
大きさを一致させている。これによって、高抵抗領域3
a上で発生した気泡の成長方向をピット10の高さ方向
に向かわせることができ、効率よく気泡の成長時の圧力
をインクの吐出に利用することができる。
【0033】また、図9に示した構成と同様に、高抵抗
領域3aの両側には低抵抗領域3bを配し、余分な発熱
を防止する。ピット10が形成された領域の両側は樹脂
層7で覆われる領域である。この樹脂層7で覆われた領
域にも高抵抗領域3aも多少含まれるものの、温度も低
く、蓄熱を極力防止している。電極層との接続は低抵抗
領域3bのコンタクト領域23において、コンタクトホ
ール12を介して行う。
【0034】図7は、本発明及び従来のサーマルインク
ジェットヘッドにおける発熱抵抗体層上の温度シミュレ
ーション結果を示すグラフである。図7において破線で
示したグラフAは、図5における電流方向の軸A−A’
に沿った温度分布を示している。インクの膜沸騰温度が
270℃であるとき、従来のサーマルインクジェットヘ
ッドではピット10の壁面が存在する位置(Lp/2)
では270℃より低くなっている。気泡はこの位置より
も中心よりの、温度が270℃以上の部分で発生するた
め、気泡の発生位置と、樹脂層7により形成されたピッ
ト10との間に空隙が存在する。この空隙が圧力損失の
原因となる。
【0035】図7において実線で示したグラフBは、図
6における電流方向の軸B−B’に沿った温度分布を示
している。ここではピット10の大きさを同じとし、こ
のピット10の壁面の位置(Lp/2)における高抵抗
領域3a上の温度が、インク膜沸騰温度である270℃
となるように、高抵抗領域3a及び低抵抗領域3bを形
成している。これにより、ピット10の壁面の位置に高
抵抗領域3a上で発生する気泡の端部が位置し、高抵抗
領域3a上で発生する気泡はピット10の高さ方向に成
長し、効率よくインクを必要量だけ吐出させることがで
きる。
【0036】この例のように高抵抗領域3a及び低抵抗
領域3bの形成位置を調節する構成では、他の部分の寸
法的な変更を行う必要はない。また、高抵抗領域3aと
低抵抗領域3bを合わせた発熱抵抗体層の大きさを変え
ることなく構成することができる。さらに、電極層と発
熱抵抗体層とのコンタクト部22と高抵抗領域3aとの
距離が小さくなるため、低抵抗領域3bでの余剰発熱が
小さくできる。
【0037】なお、ピット10の寸法を変更し、樹脂層
7の壁面が高抵抗領域3a上に発生する気泡の大きさに
合わせて構成することによって、気泡の成長方向をピッ
ト10の高さ方向とし、効率を向上させることも可能で
ある。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、発熱抵抗体層の高抵抗領域上に発生する気泡
の生成領域と開口とが略一致するように、開口と高抵抗
領域及び低抵抗領域を形成したので、高抵抗領域上に生
成された気泡が平面方向に広がることができないため、
開口の高さ方向に効果的に成長することになり、投入エ
ネルギーに対するインク吐出エネルギーへの変換割合を
高くできる。これによってエネルギー効率が向上し、か
つ、ヘッドの昇温が抑制でき、インク吐出特性が良好
で、高速印字が可能なサーマルインクジェットヘッドを
提供できるという効果がある。
【0039】このとき、高抵抗領域と低抵抗領域の位置
を調整することで気泡の生成領域を開口に合わせること
によって、発熱抵抗体層を大きくすることなく必要なイ
ンク吐出体積を得ることができる。また、低抵抗領域が
小さくなるため、余剰発熱を小さくし、蓄熱による影響
の排除とエネルギー効率の向上を図ることができるとい
う効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの実
施の一形態を示す断面図である。
【図2】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの実
施の一形態の作製方法の一例を示す工程図である。
【図3】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの実
施の一形態の作製方法の一例を示す工程図(続き)であ
る。
【図4】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの実
施の一形態の作製方法の一例を示す工程図(続き)であ
る。
【図5】 従来のサーマルインクジェットヘッドにおけ
る発熱抵抗体層の温度の分布の一例を示すシミュレーシ
ョン結果のグラフである。
【図6】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの実
施の一形態における発熱抵抗体層の構成例を示す平面図
である。
【図7】 本発明及び従来のサーマルインクジェットヘ
ッドにおける発熱抵抗体層上の温度シミュレーション結
果を示すグラフである。
【図8】 従来のサーマルインクジェットヘッドの一例
を示すヒータ近傍の断面図である。
【図9】 従来のサーマルインクジェットヘッドの別の
例における発熱抵抗体層の平面図である。
【符号の説明】
1…ヒータ基板、2…蓄熱層、3…発熱抵抗体層、3a
…高抵抗領域、3b…低抵抗領域、4…電極層、4a…
個別電極、4b…共通電極、5a,5b…耐インク層、
6…電極保護層、7…樹脂層、8…チャネル基板、9…
インク吐出口、10…ピット、11…層間絶縁膜、12
…コンタクトホール、13…ホトレジスト、21…ピッ
ト領域、22…コンタクト領域、23…低抵抗領域、2
4…高抵抗領域。
フロントページの続き (72)発明者 藤井 雅彦 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF53 AF65 AG46 BA03 BA13

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出するための吐出口と、該吐出
    口に連通した液流路と、該液流路に設けられた発熱抵抗
    体層と、該発熱抵抗体層に電気エネルギーを供給する1
    対の電極層と、前記発熱抵抗体層の上に開口を設けて形
    成された樹脂層を有するサーマルインクジェットヘッド
    において、前記発熱抵抗体層は、抵抗値が低い2つの低
    抵抗領域と該低抵抗領域に挟まれた抵抗値が高い高抵抗
    領域が形成されており、1対の前記電極層は前記低抵抗
    領域において前記発熱抵抗体層と電気的に接続され、前
    記樹脂層は前記電極層と前記発熱抵抗体層との電気的接
    続部分を覆うように形成されており、前記高抵抗領域の
    発熱によって発生する気泡の生成領域と前記開口とが略
    一致するように前記開口と前記高抵抗領域及び前記低抵
    抗領域が形成されていることを特徴とするサーマルイン
    クジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 1対の前記電極層に挟まれる方向におけ
    る前記樹脂層に設けられた前記開口の長さをLp、前記
    発熱抵抗体層に形成された前記高抵抗領域の長さをLh
    としたとき、Lh≧Lpを満たすことを特徴とする請求
    項1に記載のサーマルインクジェットヘッド。
JP25017898A 1998-09-03 1998-09-03 サーマルインクジェットヘッド Pending JP2000079690A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100497368B1 (ko) * 2002-11-12 2005-06-28 삼성전자주식회사 잉크젯 프린트헤드 및 그 제조방법
KR100555739B1 (ko) * 2002-12-02 2006-03-03 삼성전자주식회사 잉크젯 프린트 헤드의 히터장치 및 그 제조방법

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