JP2000078965A - 培地用滅菌卵黄含有液の製造法 - Google Patents

培地用滅菌卵黄含有液の製造法

Info

Publication number
JP2000078965A
JP2000078965A JP10267248A JP26724898A JP2000078965A JP 2000078965 A JP2000078965 A JP 2000078965A JP 10267248 A JP10267248 A JP 10267248A JP 26724898 A JP26724898 A JP 26724898A JP 2000078965 A JP2000078965 A JP 2000078965A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yolk
egg yolk
liquid
sterilized
medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10267248A
Other languages
English (en)
Inventor
Mamoru Tomita
守 冨田
Kazuyoshi Toyama
一吉 外山
Kenji Mizuguchi
建治 水口
Kenji Kiyotaki
兼司 清瀧
Kenichiro Kano
健一郎 狩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Morinaga Milk Industry Co Ltd filed Critical Morinaga Milk Industry Co Ltd
Priority to JP10267248A priority Critical patent/JP2000078965A/ja
Publication of JP2000078965A publication Critical patent/JP2000078965A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 培地成分として前処理の必要がなく、簡便に
使用することが可能である無菌状態の卵黄の調製方法を
提供する。 【解決手段】 液状卵黄を55〜67℃の温度で1〜3
0分間加熱殺菌し、殺菌液状卵黄を配合した卵黄含有液
を容器に充填し、密封し、密封した容器を0〜15℃の
温度で12時間〜7日間保管し、のち2〜40kGyの
照射量で電離放射線を照射することを特徴とする培地用
滅菌卵黄含有液の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種微生物の増
殖、試験等に使用する培地のための滅菌卵黄含有液の製
造法に関する。更に詳しくは、本発明は、液状卵黄を5
5〜65℃の温度で1〜20分間加熱殺菌し、殺菌液状
卵黄を配合した卵黄含有液を容器に充填し、密封し、密
封した容器を0〜15℃の温度で12時間〜7日間保存
し、のち1〜40kGyの照射量で電離放射線を照射す
ることを特徴とする培地用滅菌卵黄含有液の製造法であ
る。
【0002】本明細書において、百分率は、特に断りの
ない限り重量による値である。また、液状卵黄は、割卵
した全卵から卵黄を分離し、撹拌して液状となし、カラ
ザ、卵黄膜等を濾別したものを意味する。
【0003】
【従来の技術】卵黄は、全卵の31%を占め、水分48
%、タンパク質17.5%、脂質32.5%、及び灰分
2.0%から構成されており[ニュー・フード・インダ
ストリー(New Food Industry) 、第24巻、第1号、第
85ページ、1982年]、約70℃に加熱することに
より凝固することが知られている(食の科学、第16
号、第43ページ、1974年)。
【0004】また、卵黄は、微生物試験における重要な
培地成分であり、特にスタフィロコッカス・アウレウス
(Staphylococcus aureus 。以下、黄色ブドウ球菌と記
載する。)、バシラス・セレウス(Bacillus cereus 。
以下、セレウス菌と記載する。)、クロストリジウム・
パーフリンジェンス(Clostridium perfringens 。以
下、ウェルシュ菌と記載する。)等の増殖による卵黄反
応[レシトビテリン反応(lecitho-vitellin reaction)
]から、これらの微生物を特定するために使用されて
いる(厚生省生活衛生局監修、「食品衛生検査指針 微
生物編」、第161ページ、第180ページ、及び第1
95ページ、社団法人日本食品衛生協会、1990
年)。
【0005】卵黄を微生物試験用培地に使用する場合、
卵黄を滅菌する必要があるが、前記のとおり卵黄は約7
0℃でゲル化するので、70℃未満の低温により加熱す
ることが必須である。しかしながら、このような低温加
熱では、大腸菌等の非耐熱性微生物の殺菌又は滅菌は可
能であるが、耐熱性微生物の滅菌はできないのである。
【0006】従って、従来、微生物の試験現場では、無
菌環境下で割卵し、無菌的な操作により卵黄のみを摘出
し、培地に使用する操作が行われていた。しかしなが
ら、従来の操作は、微生物汚染に対する厳重な注意が必
要であること、大量に卵黄を調製するには、長時間を要
すること等の不都合があった。
【0007】一方、物品を加熱せずに殺菌又は滅菌する
方法として、物品に電離放射線を照射する方法が知られ
ている。例えば、リン脂質又はリン脂質水性分散液にガ
ンマ線、電子線、エックス線等を1〜50kGy照射す
る方法(特開平5−15574号公報)、タンパク質粉
末にガンマ線、電子線、エックス線等を1〜50kGy
照射する方法(特開平7−16085号公報)等が開示
されている。
【0008】しかしながら、これらの方法は、それらの
発明の要旨から、人体に無害な程度に微生物を減少させ
ることが主たる目的であり、完全に無菌状態を必要とす
る培地成分の滅菌方法としては不十分であった。また、
耐熱性微生物を完全に死滅させるためには、大量の照射
を行う必要があり、異臭の発生が認められている(太陽
化学株式会社編、「卵−その化学と加工技術−」、第1
98〜199ページ、光琳、昭和60年)。
【0009】その他、全卵及び卵黄の一般的な殺菌技術
としては、卵の紫外線による殺菌方法も知られている
が、殺菌後に異臭の発生が認められており[フード・テ
クノロジー(Food Technology) 、第18巻、第10号、
第1628ページ、1964年]、卵黄低密度リポタン
パク及び少なくとも1.9重量%の食塩を含有する動物
細胞培養用栄養剤の製造法において、60〜70℃の加
熱殺菌処理とマイクロフィルター濾過処理とを併用する
方法も開示されている(特許第2592144号)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記従
来技術に鑑みて、培地成分として簡便に使用し得る液状
卵黄の調製方法について鋭意研究を行い、低温加熱殺菌
と電離放射線照射とを組み合わせることにより、完全に
無菌状態の卵黄含有液を調製し得ることを見い出し、本
発明を完成した。
【0011】本発明は、培地成分として前処理の必要が
なく、簡便に使用することが可能である無菌状態の卵黄
含有液の調製方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明は、液状卵黄を55〜67℃の温度で1〜30分間加
熱殺菌し、殺菌液状卵黄を配合した卵黄含有液を容器に
充填し、密封し、密封した容器を0〜15℃の温度で1
2時間〜7日間保存し、のち2〜40kGyの照射量で
電離放射線を照射することを特徴とする培地用滅菌卵黄
含有液の製造法であり、卵黄含有液が、20〜100%
(重量)の液状卵黄、0〜10%(重量)の塩化ナトリ
ウム、及び0〜80%(重量)の精製水からなること、
照射量が、2〜25kGyであること、及び保存が、5
〜10℃の温度で1〜5日間行われることを望ましい態
様としてもいる。
【0013】次に本発明について詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の方法においては、後記試
験例から明らかなとおり、最初に液状卵黄を55〜67
℃の温度で1〜30分間、望ましくは60〜67の温度
で3〜20分間、加熱殺菌する。加熱殺菌の方法は、公
知の方法であり、バッチ式、連続式等を例示することが
できる。
【0015】本発明の方法に使用する卵黄含有液は、殺
菌した液状卵黄そのもの、殺菌した液状卵黄を精製水で
希釈したもの、又は殺菌した液状卵黄若しくは前記液状
卵黄希釈液に塩化ナトリウムを添加したものである。殺
菌液状卵黄の希釈は、殺菌液状卵黄が20%及び精製水
80%の割合が最大であり、これ以上の希釈は卵黄含量
が低くなりすぎて、培地に使用するのに望ましくない。
また、本発明の方法において精製水による希釈は、必須
の要件ではなく、低濃度の卵黄を必要とする培地の場
合、必要とする濃度に合わせて適宜希釈することができ
る。
【0016】塩化ナトリウムは、卵黄を使用する培地に
おいて、等張性を必要とする培地の浸透圧を調整するた
めの成分(この場合は0.42%添加する。)、又は培
地の一成分(この場合は5〜10%添加する。)として
添加する場合があり、添加する割合は最大10%である
が、本発明の方法においては、塩化ナトリウムの添加が
必須の要件ではない。
【0017】前記のとおり調製した卵黄含有液を電離放
射線照射に耐える容器に充填し、密封する。容器への充
填は、公知のシリンダー式充填機、ロータリー式充填機
等により実施され、容器への充填容量は任意である。
【0018】容器の材質としては、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリエチレンテレフタレート(以下、PE
Tと記載する。)、ポリアクリロニトリル等の合成樹
脂、パウチ、ガラス、紙等を例示することができ、適宜
の容量の容器に成形される。尚、容器は予め滅菌された
ものが望ましい。
【0019】容器の密封は公知の方法で実施され、具体
的には合成樹脂フィルムを用いたヒートシール方式、キ
ャップにパッキングを配設して密封する方法等を例示す
ることができる。
【0020】密封後、後記試験例から明らかなとおり、
卵黄含有液を0〜15℃、望ましくは5〜10℃、に冷
却し、同温度で12時間〜7日間、望ましくは1〜5
日、保存する。この保存により、前記加熱殺菌において
死滅しなかった耐熱性微生物の芽胞を発芽させ、次の電
離放射線照射による滅菌効果を増加させることが可能と
なる。また、この前記加熱殺菌は、芽胞菌胞子を高率で
発芽させるための活性化処理の役割も果たしている。
【0021】次いで本発明の方法においては、保存した
容器入り卵黄含有液に電離放射線を照射する。電離放射
線は、ガンマー線、エックス線、電子線等であり、公知
の装置を使用し、後記試験例から明らかなとおり2〜4
0kGy、望ましくは2〜25kGyの線量を常法のバ
ッチ式又は連続式により照射する。この電離放射線照射
により、前記低温殺菌により死滅させ得なかった耐熱性
の微生物を完全に死滅させることが可能であり、得られ
た滅菌卵黄含有液は、色調の変化が少なく、異臭もな
く、ゲル化、凝固等の組織の変化も生じていない。
【0022】以上の方法により得られた滅菌卵黄含有液
の所定量を、滅菌した公知の培地、例えば、黄色ブドウ
球菌選択培地のマンニット食塩寒天培地、セレウス菌選
択培地のNGKG(NaCl Glycine Kim and Goepfert) 寒
天培地、ウエルシュ菌選択培地のCW(Clostoridium we
lchii)寒天培地等に添加する。具体的には、前記培地を
調製し、滅菌し、例えば50℃の温度で液状に保存し、
滅菌卵黄含有液が充填された密封容器を開封し、無菌的
に所定量を添加し、均一に混合し、滅菌卵黄を含有する
培地を調製する。滅菌卵黄の添加量は培地の種類により
異なるが、通常4〜10%の範囲である。
【0023】得られた滅菌卵黄を含有する培地を使用
し、以下常法により微生物の試験を実施することができ
る。
【0024】次に試験例を示して本発明を更に詳細に説
明する。
【0025】試験例1 この試験は、容器に密封した卵黄含有液において、滅菌
前の卵黄含有液の汚染菌数レベルの高い場合における適
性な保存温度、期間及び照射量を調べるために行った。
【0026】1)試料の調製 バシラス・セレウス[Bacillus cereus:JCM(Japan Colle
ction of Microorganisms)2152。理化学研究所から入
手。以下、JCM について同じ。] を液状卵黄1ml当た
り50×107 添加したこと、及び表1に示す保存温
度、保存期間において保管したこと、照射量を5から5
0kGyまで5kGy間隔にごとに条件を変えて試験を
行ったことを除き、実施例1と同一の方法により、48
0種類の試料を調製した。尚、各試料とも10本を試験
に供した。
【0027】2)試験方法 各保存温度、各保存期間、各照射量の試料10本におい
て、各試料について、チオグリコレート培地を用いた公
知の方法(厚生省生活衛生局監修、「食品衛生検査指針
微生物編」、第77ページ、社団法人日本食品衛生協
会、1990年)により無菌試験を行った。また、各試
料の外観上の異常について肉眼で観察した。
【0028】3)試験結果 この試験の結果は、表1に示すとおりである。尚、表1
には、各保存温度及び各保存期間において、試料10本
のすべてを完全に滅菌するために必要な最低照射量のみ
を示した。
【0029】表1から明らかなとおり、0〜15℃に1
2時間〜7日間保存することにより、卵黄含有液を完全
に滅菌するために必要な照射量は10〜40kGyであ
り、その他の条件における照射量45〜50kgyより
も低減できることが認められた。更に、5℃及び10℃
に24時間〜5日間保存することにより、滅菌に要する
照射量は10〜25kGyで十分であり、より一層照射
量を低減し得ることが判明した。
【0030】また、5kGyの照射量では、すべてのサ
ンプルにおいて菌が残存し、45kGy以上の照射量で
は、卵黄含有液の色調が著しく退色し、沈殿物も著しく
増加し、望ましくないことが判明した。
【0031】尚、微生物及び卵黄含有液の種類を変更し
て試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0032】
【表1】
【0033】試験例2 この試験は、容器に密封した卵黄含有液において、滅菌
前の卵黄含有液の汚染菌数レベルの低い場合における適
性な保存温度、保存期間及び照射量を調べるために行っ
た。
【0034】1)試料の調製 表2に示す各保存温度、各保存期間において保管したこ
と、照射量を2から34kGyまで4kGy間隔で変更
したことを除き、実施例1と同一の方法により、432
種類の試料を調製した。尚、各試料とも10本を試験に
供し、滅菌前の卵黄含有液の一般生菌数は14×103
/mlであった。
【0035】2)試験方法 試験例1と同様に、各保存温度、各保存期間、各照射量
の試料10本について、試験例1と同一の方法により無
菌試験を行い、滅菌性について試験した。また、各試料
の外観上の異常について肉眼により観察した。
【0036】3)試験結果 この試験の結果は、表2に示すとおりである。尚、表2
には、各保存温度及び各保存期間において、試料10本
のすべてを完全に滅菌するために必要な最低照射量のみ
を示した。
【0037】表2から明らかなとおり、0〜15℃に1
2時間〜7日間保存することにより、卵黄含有液を完全
に滅菌するために必要な照射量は18〜26kGyであ
り、その他の条件における照射量30〜34kgyより
も低減できることが認められた。更に、5℃及び10℃
に24時間〜5日間保存することにより、滅菌に要する
照射量は2〜14kGyで十分であり、より一層照射量
を低減し得ることが判明した。
【0038】また、照射量が30kGy以上の試料は、
照射量が26kGy以下の試料と比較して、色調がやや
退色し、沈殿物もやや多く認められた。
【0039】尚、微生物及び卵黄含有液の種類を変更し
て試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0040】
【表2】
【0041】試験例3 この試験は、卵黄含有液の主要成分である液状卵黄の適
性な加熱殺菌条件を調べるために行った。
【0042】1)試料の調製 バシラス・セレウス(Bacillus cereus:JCM2152) の胞子
を無菌的に作成した液状卵黄に、1ml当たり50×1
5 の割合で添加したこと、プレート式連続殺菌機(A
PV社製)及びバッチ式殺菌機(ヤスダファインテ社
製)を用いて殺菌条件を表3及び表4に示したとおり設
定したことを除き、実施例2と同一の方法により、48
種類の試料を調製した。尚、各試料とも殺菌卵黄液5試
料、及び電子線照射卵黄含有液10本を試験に供した。
【0043】2)試験方法 表3及び表4に示した殺菌条件で液状卵黄を殺菌し、の
ち1mlを標準寒天培地に接種し、所定の時間培養し、
集落数を計数し、発芽率(集落数/50×105 )を測
定したことを除き、実施例2と同一の方法により、電子
線を照射し、試験例1と同一の方法により無菌試験を行
った。
【0044】尚、この試験における液状卵黄の加熱殺菌
条件ではバシラス・セレウス(Bacillus cereus:JCM215
2) 胞子数が減少しないことを予め確認した。
【0045】3)試験結果 この試験の結果は、表3及び表4に示すとおりである。
表3及び表4から明らかなとおり、バシラス・セレウス
胞子の発芽率は、プレート式殺菌方法の場合60〜67
℃の温度で1〜5分間、バッチ式殺菌方法の場合55〜
65℃の温度で10〜30分間保持することにより80
%以上、特にプレート式殺菌方法の場合60〜67℃の
温度で3〜5分間、バッチ式殺菌方法の場合60〜65
℃の温度で10〜20分間保持することにより90%以
上の高い発芽率であった。一方、プレート式殺菌方法の
場合60〜70℃の温度で0.5分間、バッチ式殺菌方
法の場合50℃の温度で10〜35分間の条件では70
%未満の低い発芽率であった。
【0046】また、表3及び表4の無菌試験結果を示す
増菌試料数から、プレート式殺菌方法の場合60〜70
℃の温度で0.5分間、バッチ式殺菌方法の場合50℃
の温度で10〜35分間、及び55〜65℃の温度で3
5分間以上の殺菌条件では、照射により完全に滅菌され
ないことが認められた。
【0047】また、これらの試験結果から、発芽率が低
い試料ほど滅菌されず、胞子が残存する確率が高い傾向
が認められた。
【0048】更に、最初に実施したプレート式殺菌方法
において、70℃の殺菌温度では著しく粘度が増加し、
一部凝固が発生したので、以後この温度における試験を
中止した。
【0049】尚、微生物及び卵黄含有液の種類を変更し
て試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】試験例4 この試験は、卵黄含有液の液状卵黄、塩化ナトリウム、
精製水の適性な配合を調べるために行った。
【0053】1)試料の調製 液状卵黄を表5乃至表7の第1欄に示すとおり配合した
ことを除き、実施例1と同一の方法により卵黄含有液の
試料を調製した。これとは別に市販の培地から、常法に
よりマンニット食塩寒天培地(極東製薬社製。表4)、
CW寒天培地(栄研科学社製。表5)及びNGKG寒天
培地(ニッスイ社製。表6)を調製し、滅菌し、約50
℃に冷却した。表5の第9欄、表6の第7欄及び表7の
第7欄に示した配合割合により前記卵黄含有液を各培地
に添加し、塩化ナトリウムを各表に示す割合で各培地に
配合し、42種類の試験用卵黄含有培地を調製した。
尚、卵黄含有液の各培地への配合割合は、卵黄含有液中
の液状卵黄の含量(各表の第1欄)に基づき、マンニッ
ト食塩培地及びCW寒天培地は5%に、NGKG寒天培
地では2%に調整した。
【0054】マンニット食塩培地で培養するスタフィロ
コッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus:JCM241
3) 、CW寒天培地で培養するクロストリジウム・パー
フリンジェンス(Clostridium perfringens:JCM3816) 、
及びNGKG寒天培地で培養するバシラス・セレウス(B
acillus cereus:JCM2152) を予め1ml当たり約300
の菌数に調整した菌液を調製した。
【0055】2)試験方法 前記各試験用卵黄含有培地をシャーレに分注し、前記各
菌液0.1mlを、常法により、それぞれの前記各試験
用卵黄含有培地に接種し、培養し、培地の状態、菌の発
育状態、卵黄反応について肉眼で観察し、次の基準によ
り評価した。 A:菌の発育が良好であり、卵黄反応を示す。 B:菌の発育が不良であり、卵黄反応を示さない。 C:培地のゲル化が脆弱であり、培地として不適当であ
る。
【0056】3)試験結果 この試験の結果は、表5乃至表7に示すとおりである。
表5乃至表7から明らかなとおり、マンニット食塩培地
(表5)では卵黄含有液中の液状卵黄の割合が40〜1
00%、塩化ナトリウムの割合が0〜10%、CW寒天
培地(表6)では卵黄含有液中の液状卵黄の割合が40
〜100%、塩化ナトリウムの割合が0〜1%、NGK
G寒天培地では卵黄含有液中の液状卵黄の割合が20〜
100%、塩化ナトリウムの割合が0〜1%、において
培地として使用可能であることが認められた。
【0057】一方、マンニット食塩培地及びCW寒天培
地では卵黄含有液中の液状卵黄の割合が20%以下、N
GKG寒天培地では卵黄含有液中の液状卵黄の割合が1
0%以下の場合、所定量の卵黄が培地に含有させるため
には、培地に対して添加する卵黄含有液が多くなり(2
0%以上添加する必要がある。)、培地のゲル化力が著
しく低下し、培地として不適であることが判明した。
【0058】また、CW寒天培地及びNGKG寒天培地
では塩化ナトリウムの割合が1.5%以上の場合、すべ
ての卵黄含有液配合において菌の発育が阻害され、マン
ニット食塩培地では、塩化ナトリウムの割合が12%以
上の場合、同様にすべての卵黄含有液配合において菌の
発育が阻害された。
【0059】尚、卵黄含有液の種類を変更して試験した
が、ほぼ同様の結果が得られた。
【0060】
【表5】
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】
【0063】参考例1 市販のNGKG寒天培地(ニッスイ社製)を常法にによ
り滅菌し、約50℃に冷却し、実施例1の培地用滅菌卵
黄含有液を培地に対して4%の割合で添加して混合し、
シャーレに分注した。予め1ml当たり約300の菌数
に調製したバシラス・セレウス(Bacillus cereus:JCM21
52) の菌液0.1mlを常法により前記培地に接種し、
培養した結果、集落周辺に所定の卵黄反応を呈した。
【0064】参考例2 市販のCW寒天培地(栄研科学社製)を常法により滅菌
し、約50℃に冷却し、実施恵2の培地用滅菌卵黄含有
液を培地に対して3%の割合で添加して混合し、シャー
レに分注した。予め1ml当たり約300の菌数に調製
したクロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridi
um perfringens:JCM3816) の菌液0.1mlを常法によ
り前記培地に接種し、培養した結果、集落周辺に所定の
卵黄反応を呈した。
【0065】参考例3 市販のマンニット食塩寒天培地(極東製薬社製)を常法
により滅菌し、約50℃に冷却し、実施例3の培地用滅
菌卵黄含有液を培地に対して10%の割合で添加して混
合し、シャーレに分注した。予め1ml当たり約300
の菌数に調製したスタフィロコッカス・アウレウス(Sta
phylococcus aureus:JCM2413) の菌液0.1mlを常定
により前記培地に接種し、培養した結果、集落周辺に所
定の卵黄反応を呈した。
【0066】次に実施例を示して本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0067】
【実施例】実施例1 市販の液状卵黄(キューピー社製)5000gを、加熱
タンクで60℃の温度で10分間加熱殺菌し、精製水4
960g及び塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)40
gを添加し、均一に混合した。60ml容ポリアクリロ
ニトリル製容器(中部硝子社製)に50mlを充填し、
合成樹脂製キャップにより密封し、4℃で4日間保存
し、のちガンマ線照射装置(三菱加工機社製。RIC−
2型式)により20kGyの線量でガンマ線を照射し、
培地用滅菌卵黄含有液190本を得た。
【0068】得られた培地用滅菌卵黄含有液を前記試験
例1と同一の方法により試験した結果、微生物は検出さ
れなかった。
【0069】実施例2 市販の液状卵黄(太陽化学社製)70kgを、プレート
殺菌機(APV社製)を用いて65℃の温度で2分間加
熱殺菌し、精製水29kg及び塩化ナトリウム(和光純
薬工業社製)1kgを添加し、均一に混合し、2.2l
容PET製容器(吉野工業所社製)に2lを充填し、ア
ルミ製キャップにより密封し、10℃で2日間保存し、
のち電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製。EPS
5型式)により15kGyの線量で電子線を照射し、培
地用滅菌卵黄含有液45本を得た。
【0070】得られた培地用滅菌卵黄含有液を前記試験
例1と同一の方法により試験した結果、微生物は検出さ
れなかった。
【0071】実施例3 市販の液状卵黄(キューピー社製)50kgを、加熱タ
ンク(ヤスダファインテ社製)で63℃の温度で20分
間加熱殺菌し、精製水45kg及び塩化ナトリウム(和
光純薬工業社製)5kgを添加し、均一に混合した。
4.2l容PET製容器(吉野工業所社製)に4lを充
填し、アルミ製キャップにより密封し、10℃で2日間
保存し、のち電子ビーム変換エックス線照射装置(日新
ハイボルテージ社製。EPS5型式)により15kGy
の線量でガンマ線を照射し、培地用滅菌卵黄含有液23
本を得た。
【0072】得られた培地用滅菌卵黄含有液を前記試験
例1と同一の方法により試験した結果、微生物は検出さ
れなかった。
【0073】
【発明の効果】以上記載したとおり本発明は、液状卵黄
を55〜67℃の温度で1〜30分間加熱殺菌し、殺菌
液状卵黄を配合した卵黄含有液を容器に充填し、密封
し、密封した容器を0〜15℃の温度で12時間〜7日
間保存し、のち2〜40kGyの照射量で電離放射線を
照射することを特徴とする培地用滅菌卵黄含有液の製造
法であり、本発明により奏せられる効果は次のとおりで
ある。 1)色調及び組織が変化せず、異臭が発生しない滅菌卵
黄含有液を得ることができる。 2)微生物試験用培地に、直接混合できる滅菌卵黄含有
液を得ることができる。 3)従来、微生物試験の前に実施していた滅菌卵黄の調
製が不要であり、直ちに試験を実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水口 建治 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社食品総合研究所内 (72)発明者 清瀧 兼司 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社食品総合研究所内 (72)発明者 狩野 健一郎 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社食品総合研究所内 Fターム(参考) 4B065 BB02 BB03 BB23 4C058 AA15 AA21 AA22 BB02 BB06 DD04 DD05 DD07 KK03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状卵黄を55〜67℃の温度で1〜3
    0分間加熱殺菌し、殺菌液状卵黄を配合した卵黄含有液
    を容器に充填し、密封し、密封した容器を0〜15℃の
    温度で12時間〜7日間保存し、のち2〜40kGyの
    照射量で電離放射線を照射することを特徴とする培地用
    滅菌卵黄含有液の製造法。
  2. 【請求項2】 卵黄含有液が、20〜100%(重量)
    の液状卵黄、0〜10%(重量)の塩化ナトリウム、及
    び0〜80%(重量)の精製水からなる請求項1に記載
    の培地用滅菌卵黄含有液の製造法。
  3. 【請求項3】 照射量が、2〜25kGyである請求項
    1又は請求項2のいずれかに記載の培地用滅菌卵黄含有
    液の製造法。
  4. 【請求項4】 保存が、5〜10℃の温度で1〜5日間
    行われる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の培地
    用滅菌卵黄含有液の製造法。
JP10267248A 1998-09-04 1998-09-04 培地用滅菌卵黄含有液の製造法 Pending JP2000078965A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10267248A JP2000078965A (ja) 1998-09-04 1998-09-04 培地用滅菌卵黄含有液の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10267248A JP2000078965A (ja) 1998-09-04 1998-09-04 培地用滅菌卵黄含有液の製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000078965A true JP2000078965A (ja) 2000-03-21

Family

ID=17442204

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10267248A Pending JP2000078965A (ja) 1998-09-04 1998-09-04 培地用滅菌卵黄含有液の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000078965A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Moorer et al. Evidence for antibacterial activity of endodontic gutta-percha cones
BAYLISS et al. The combined effect of hydrogen peroxide and ultraviolet irradiation on bacterial spores
EA007791B1 (ru) Состав со стабилизированными окислительно-восстановительными свойствами и способ стабилизации окислительно-восстановительных свойств
JP4393509B2 (ja) 極限環境でも保存が可能な宇宙キムチの製造方法
CN1087258C (zh) 消毒密封容器的方法
JPH0482556A (ja) 高電圧パルスによる殺菌方法
de Souza Botelho-Almeida et al. Evaluating the potential, applicability, and effectiveness of ozone sterilization process for medical devices
Darmady et al. Radiation sterilization
JP2000078965A (ja) 培地用滅菌卵黄含有液の製造法
US5330775A (en) Sterility control of food product by introducing a harmless non-sterile component
CN113197199B (zh) 一种器械消毒液及其制备方法和应用
KR102034792B1 (ko) 유아용 또는 노약자용 구강 물티슈에 사용할 수 있는 항균력을 띄는 천연 조성물
JPH0541981A (ja) 生菌含有液状組成物
JP2001029007A (ja) 山菜、野菜及び穀類の殺菌方法
CN218869308U (zh) 一种固态食品杀菌装置
RU2806168C2 (ru) Применение растворов фотосенсибилизаторов в бактерицидных целях для обработки тушек птиц
JP2582002B2 (ja) アルミニウム製蓋又は容器の滅菌方法
CN101478993A (zh) 含有臭氧的消毒剂
JPS59175879A (ja) 酵素における汚染細菌の殺菌法
CA2063068C (en) Ionizing irradiation sterilizable culture medium suitable for use in environmental sampling devices
CN115671344A (zh) 一种一次性卫生用品的消毒方法
JPH02504480A (ja) 滅菌した食塩水入りエアゾル容器及び該容器の滅菌方法
JPH0221868A (ja) オゾンによる殺菌方法
Mukhopadhayay et al. Conventional Processes for Sterilization and Preservation
Potts et al. Plasma decontamination of sealed packages