JP2000076639A - 磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気記録再生装置

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JP2000076639A
JP2000076639A JP10246409A JP24640998A JP2000076639A JP 2000076639 A JP2000076639 A JP 2000076639A JP 10246409 A JP10246409 A JP 10246409A JP 24640998 A JP24640998 A JP 24640998A JP 2000076639 A JP2000076639 A JP 2000076639A
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JP10246409A
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English (en)
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Kenichi Kurihara
研一 栗原
Noriyuki Kishii
典之 岸井
Takahiro Kamei
隆広 亀井
Takeshi Kobayashi
健 小林
Hiroshi Iwamoto
岩本  浩
Nobuyuki Matsuzawa
伸行 松澤
Yutaka Okazaki
裕 岡崎
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実に焼き付き物の発生を抑制し得る磁気記
録再生装置を提供する。 【解決手段】 フレキシブル磁気ディスクを記録媒体と
する摺動方式の磁気記録再生装置において、ピリジン骨
格を有し2座以上の配位座を有する化合物を含有する焼
き付き防止剤が表面に保持されているフレキシブル磁気
ディスク、あるいはクリーニングディスクを用いる。ピ
リジン骨格を有し2座以上の配位座を有する化合物は、
金属原子との錯形成能に優れ、ヘッド表面に生成した金
属酸化物は錯塩となり、ヘッド表面から容易に離脱し、
ヘッド表面には残留しなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレキシブル磁気
ディスクを記録媒体とする磁気記録再生装置に関するも
のであり、特に、記録ヘッド、再生ヘッドの長寿命化に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】フレキシブル磁気ディスクは、ワードプ
ロセッサ、パーソナルコンピュータ等の外部記憶媒体と
して広く利用されている。
【0003】その性能の向上は著しく、それに伴って高
密度記録が可能なフレキシブル磁気ディスクの開発が求
められている。塗布型のフレキシブル磁気ディスクにお
いても例外ではなく、より一層の電磁変換特性の向上が
強く要求されている。
【0004】それ故、塗布型磁気ディスクの出力を向上
するための方法が種々検討されており、磁性層の薄膜化
(0.1〜1μm)もその一つである。これは、記録時
の自己減磁損失を低減することにより電磁変換特性を向
上させる方法であり、これまでにも様々な塗布方法が提
案されている。
【0005】一般に、非磁性支持体上に1μm以下の薄
い磁性層を単層で設けた場合、支持体の表面形状の影響
が現れやすく、平滑な表面を得ることは困難である。
【0006】この問題を解決する方法として、磁性層と
非磁性支持体の間に非磁性の下塗り層を設け、磁性層を
薄膜化すると共に平滑面を実現する方法が考案されてお
り、その代表的な例がダイコーターによる上層磁性層と
下層非磁性層を非磁性支持体上に同時に塗布する、いわ
ゆる同時重層塗布方式である。
【0007】この方法によると、塗布欠陥や塗り筋のな
い均一な塗膜を形成することが可能であるため、電磁変
換特性の向上やノイズの低減を達成することができる。
また、前記塗布方式は、上下層の界面の接着性を向上さ
せる方法としても有効であり、近年の重層塗布型磁気記
録媒体の中心的な塗布方式になりつつある。
【0008】一方、磁気ヘッドの観点から見た場合、デ
ィジタル磁気記録において記録密度を向上させるために
は、孤立再生波の出力(IS TAA)の向上と、その
波高値が半分となるレベルの長さ(PW50)の狭小化
が必要条件となる。記録密度の向上のためには、これに
加えて媒体ノイズやシステムノイズの維持あるいは低減
も必要である。
【0009】さらに、磁気ディスクの更なる高密度化、
高転送レート化を達成するためには、磁気メディアの回
転数を増加させる必要がある。このとき、ハードディス
クドライブのように高回転数では磁気ヘッドが浮上して
いる場合には、焼き付きの問題は生じない。しかしなが
ら、より高密度化が進み、ヘッド浮上量が減少してコン
タクト領域になると、焼き付きの問題が生ずる。
【0010】コンタクト系の代表であるフレキシブル磁
気ディスクの場合、これまでは回転数が小さい、すなわ
ち相対速度が低いため、コンタクトしているにもかかわ
らず、焼き付きの問題は生じていない。
【0011】しかしながら、コンタクトにより出力を確
保したまま、高転送レート化等のために回転数を増加す
ると、その相対速度が増し、やはり焼き付きの問題は発
生する。
【0012】特に、高温低湿のような環境下では磁気デ
ィスクの研磨力が減少するため、トライボロジカルに生
成した金属酸化物等が焼き付きを起こしたとき、この焼
き付き物等が研磨されずに磁気ヘッド表面に蓄積されて
しまう。そして、この蓄積された焼き付き物等によって
磁気ディスクと磁気ヘッド間に隙間(スペーシング)が
生じ、所定の信号出力が得られなくなるという問題が発
生する。
【0013】近年、電磁変換特性を向上させ、スペーシ
ングロスを減少させるために、スーパーカレンダー処理
等によりテープ表面性を向上させることが行われてお
り、磁気ディスクと磁気ヘッドとの摩擦は一層高くなる
傾向にある。しかし、この傾向は、上述した磁気ヘッド
表面への焼き付き物の生成を促進するものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで、磁気ヘッドへ
の焼き付き物を発生させないために、アスコルビン酸誘
導体のような還元剤を酸化防止剤として添加する試みが
なされたり、摩擦を低減させるために潤滑剤の量を多く
する試みがなされている。しかしながら、酸化防止剤を
添加しても、また潤滑剤量をいくら多くしても、一旦生
成された焼き付き物を除去することはできない。
【0015】一方、一旦生成した焼き付き物を除去する
ため、物理的に磁気ヘッドを研磨するクリーニングディ
スクを用いる方法も検討されている。
【0016】この場合、上記の焼き付き物を除去するた
めには、ある程度研磨力を高める必要があるが、研磨力
を高め過ぎると、必要以上に磁気ヘッドを研磨してしま
い、特性を劣化させるという問題がある。
【0017】本発明は、かかる従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、フレキシブル磁気ディスクを用いた
記録再生装置において、確実に焼き付き物の発生を抑制
し得る焼き付き物発生防止方法を提供し、これにより、
スペーシングロスによる出力低下が少なく、エラーレー
トの上昇も少ない磁気記録再生装置を提供することを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述の目
的を達成せんものと鋭意研究の結果、特定の有機化合物
が焼き付き物生成の抑制に大きな効果を示すことを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0019】すなわち、本発明は、塗布型のフレキシブ
ル磁気ディスクを記憶媒体とし、回転駆動されるフレキ
シブル磁気ディスクに対して磁気ヘッドが接触し記録再
生が行われる磁気記録再生装置において、上記塗布型の
フレキシブル磁気ディスク及び/又はクリーニングディ
スクは、ピリジン骨格を有し2座以上の配位座を有する
化合物を含有する焼き付き防止剤を保持していることを
特徴とするものである。
【0020】ピリジン骨格を有し2座以上の配位座を有
する化合物は、金属原子との錯形成能に優れ、係る化合
物を含有する焼き付き防止剤が保持されているフレキシ
ブル磁気ディスクやクリーニングディスクと磁気ヘッド
が高速で摺動した場合、ヘッド表面に生成した金属酸化
物と前記化合物の間で錯形成反応が起こる。その結果、
前記酸化物は、ヘッド表面から容易に離脱する錯塩とな
り、ヘッド表面には残留しなくなる。したがって、焼き
付き物が蓄積することによるスペーシングロス、及びこ
れに伴う出力の低下が抑えられ、さらにはエラーレート
も低く抑えられる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録再生装置
について説明する。
【0022】本発明の磁気記録再生装置は、塗布型のフ
レキシブル磁気ディスクを記憶媒体とする磁気記録再生
装置であり、上記フレキシブル磁気ディスクに対して磁
気ヘッドが摺動しながら情報信号の記録・再生が行われ
る。
【0023】このように磁気ヘッドがフレキシブル磁気
ディスクと摺動するシステムにおいては、焼き付きの問
題が発生する。このとき、その回転数が小さいと、即ち
相対速度が低いと焼き付きはほとんど問題とならない
が、回転数が増加すると、相対速度が増し、焼き付きの
問題が生ずる。
【0024】そこで、本発明に係る磁気記録再生装置に
おいては、非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形成さ
れてなり、ピリジン骨格を有し2座以上の配位座を有す
る化合物(配位子)を含有する焼き付き防止剤が保持さ
れているフレキシブル磁気ディスクを磁気記録媒体とし
て用いる。
【0025】なお、高記録密度化、高転送レート化、及
び低回転数では焼き付きが生じないという観点から、本
発明は、フレキシブル磁気ディスクの回転数が1000
rpm以上の磁気記録再生装置に適用して好適である。
【0026】ここで用いられる配位子としては、例えば
下記の化9〜化16に示す化合物を挙げることができ
る。
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】
【化13】
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】
【0034】
【化16】
【0035】焼き付き防止剤に含まれる配位子として
は、上述したように様々な種類のものがあるが、これら
は単独で使用されても、複数の種類のものが組み合わせ
て用いられても構わない。
【0036】フレキシブル磁気ディスクの構成として
は、いわゆる塗布型の磁性層を有するものでり、前記配
位子は、該磁性層表面に塗布されてもよいし、該磁性層
中に内添されてもよい。
【0037】なお、配位子を磁性層表面に塗布する場
合、その塗布量としては、磁性層1m2 当たり10mg
〜10gであることが好ましい。このときの溶液濃度は
0.05〜3重量%であることが好ましい。また、配位
子を磁性層中に内添させる場合、その添加量としては、
磁性粉末100重量部に対して0.5〜20重量部であ
ることが好ましい。配位子の塗布量あるいは添加量が上
述の範囲より少ないと、磁気ヘッドの焼き付きを抑える
効果が不十分となる。また、上述の範囲より多いと、磁
気記録媒体の走行性が劣化したり、磁性粉末の分散性が
低下し、良好な電磁変換特性が得られなくなる。
【0038】また、磁性層に配位子を内添させる場合
は、配位子の磁性粉末への吸着を防止する目的で、カル
ボン酸を併用するとよい。すなわち、配位子は、金属原
子との錯形成能を有することから、磁性層内に含有され
る磁性粉末にも配位、吸着する。配位子が、磁性粉末に
配位、吸着した場合、磁気ヘッドに付着した金属酸化物
との錯形成反応に寄与できなくなることから、当該配位
子の金属酸化物の除去効果が損なわれる。
【0039】ここで、カルボン酸を共存させると、これ
らの化合物は、磁性粉末表面に吸着し易いため、配位子
が磁性粉末に配位、吸着するのを妨げる。したがって、
配位子が、磁気ヘッドの金属酸化物との錯形成に有効に
寄与するようになる。
【0040】上記カルボン酸としては、pKaが6以下
であればよく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酢酸、吉草
酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン
酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシ
ル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、
ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキ
ン酸、ペヘン酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、クロトン
酸、イソクロトン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、エ
ライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、プラシジン酸、
ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等
の不飽和脂肪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼラ
イン酸、セパシン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレ
イン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボ
ン酸、クエン酸のようなトリカルボン酸が挙げられる。
特に、オレイン酸、ミリスチン酸は潤滑効果をも発揮す
ることから実用的である。なお、これらカルボン酸は、
1種類を単独で使用しても複数種を組み合わせて用いて
も差し支えない。
【0041】このカルボン酸の磁性層への内添量は、磁
性粉末100重量部に対して1〜30重量部であること
が好ましい。
【0042】なお、これらカルボン酸は、焼き付き防止
剤を塗布型の磁性層に内添する場合に限らず、塗布型の
磁性層あるいは蒸着型の磁性層の表面に焼き付き防止剤
を塗布する場合に併用しても差し支えない。但し、磁性
粉末への配位子の吸着は、配位子を磁性層に内添した場
合に最も問題になることから、このような内添に当たっ
て併用するのが効果的である。
【0043】ところで、上記磁気記録媒体における非磁
性支持体や磁性層等を構成するその他の材料は、従来公
知のものがいずれも使用可能であり、特に限定されな
い。
【0044】例示するならば、非磁性支持体としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等の
ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロ
ースジアセテート等のセルロース類、ビニル系樹脂、ポ
リイミド類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリ
フェニレンサルファイド等に代表されるような高分子材
料よりなるフィルムを用いて好適である。なお、このよ
うな非磁性支持体の厚みとしては、1.0〜200μ
m、好ましくは2.0〜100μmとして好適である。
【0045】また、磁気記録媒体が塗布型の磁性層を有
する場合、該磁性層は磁性粉末と結合剤とを主体とする
磁性塗料が塗布されることによって形成されるが、この
磁性粉末としては、γ−Fe23 ,Fe34 ,γ−
Fe23 とFe34 とのベルトライド化合物、Co
含有γ−Fe23 、Co含有Fe34 、Coを含有
するγ−Fe23 とFe34 とのベルトライド化合
物、CrO2 に1種またはそれ以上の金属元素、たとえ
ばTe,Sb,Fe,Biなどを含有させた酸化物が挙
げられる。
【0046】さらに、Fe,Co,Niなどの金属、F
e−Co,Fe−Ni,Fe−Co−Ni,Fe−Co
−B,Fe−Co−Cr−B,Mn−Bi,Mn−A
l,Fe−Co−V,Fe−Al,Fe−Ni−Al,
Fe−Al−P,Fe−Ni−Si−Al,Fe−Ni
−Si−Al−Mn,Fe−Mn−Zn,Fe−Ni−
Zn,Co−Ni,Co−P,Fe−Co−Ni−C
r,Fe−Co−Ni−Pなどの合金、炭化鉄、窒化鉄
などの強磁性金属粉末等が挙げられる。
【0047】このような強磁性金属粉末は、上述のよう
な金属元素の酸化物、含水酸化物、無機塩、有機酸塩等
を還元性気体により気相中還元する方法や、湿式還元す
る方法により得ることができる。なお、強磁性金属粉末
の生成においては、還元時の焼結防止または形状維持等
の目的でAl,Si,P,B等の軽金属元素を適当量添
加するようにしても良い。
【0048】また、還元後には、有機溶剤を含浸させ乾
燥させる方法、有機溶剤に浸漬させ酸化性ガスを吹き込
み乾燥させる方法、有機溶剤を用いず分圧を調整した酸
化性ガスを吹き込む方法により、表面に薄い酸化膜を形
成して、酸化安定性を付与する。表面に形成される酸化
膜は、上述の金属あるいは合金の構成元素のみならず、
Al,Si,Ca,Mg,Sr,Ba,B,S,Ti,
Zn,Na,Zr,K,Y,La,Ce,Pr,Nd,
Sm,Gd,Ge,Sn,Ga等を含有していてもよ
い。
【0049】さらに、磁性粉末としては、以上のような
酸化物や強磁性金属粉末の他、六方晶系板状フェライト
も使用可能である。この六方晶系板状フェライトとして
は、M型,W型,Y型,Z型のバリウムフェライト、ス
トロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛フ
ェライト等が挙げられ、これらに保磁力を制御する目的
で、Co−Ti,Co−Ti−Zn,Co−Ti−N
b,Co−Ti−Zn−Nb,Cu−Zr,Ni−Ti
等を添加したものも使用可能である。
【0050】なお、これらの磁性粉末は1種類を単独で
用いても複数種を組み合わせて用いても差し支えない。
【0051】これら磁性粉末のサイズは次のようになさ
れているのが望ましい。
【0052】まず、比表面積は、35m2/g以上であ
るのが好ましい。比表面積がこの範囲にある磁性粉末
は、粒子が非常に微細であり、このような微細な磁性粉
末を用いることで高密度記録が可能となり、ノイズが低
減する。
【0053】また、特に磁性粉末が針状粒子である場合
には、長軸長が0.05〜0.50μm、軸比が2〜1
5であることが好ましい。長軸長が0.05μm未満で
あると、磁性粉末の塗料への分散が困難となり、長軸長
が0.50μmを越えると、ノイズが増大する恐れがあ
る。また、軸比が2未満であると、磁性粉末の配向性が
低下し、出力の低下を招来する。逆に、軸比が15を越
えると、短波長信号出力が低下する。
【0054】一方、磁性粉末が板状フェライトの場合に
は、板径が0.01〜0.5μm、板厚が0.001〜
0.2μmであるのが好ましい。
【0055】なお、以上に示した磁性粉末の長軸長、軸
比、板径及び板厚は、透過型電子顕微鏡写真から無作為
に100サンプル以上を選択し、その平均値を算出した
ものである。
【0056】磁性層に含有させる結合剤は、従来より磁
気記録媒体用の結合剤として使用される公知の熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が使用可能であり、
数平均分子量が5000〜100000のものが好まし
い。
【0057】熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、マレ
イン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル
酸、メタクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロ
ニトリル、メタアクリロニトリル、スチレン、メチルス
チレン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセタール、ビ
ニルブチラール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン等
を構成単位として含む重合体あるいは共重合体が挙げら
れる。具体的には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−ア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリ
ロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニル
−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニト
リル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル
共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合
体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、
メタクリル酸エステル−塩化ビニル共重合体、メタクリ
ル酸エステル−エチレン共重合体、塩化ビニリデン−ア
クリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体、ポリビニルブチラール,スチレンブタジエ
ン共重合体等が挙げられる。この他、ポリフッ化ビニ
ル、ポリアミド樹脂、さらにはセルロースアセテートブ
チレート,セルロースダイアセテート,セルローストリ
アセテート,セルロースプロピオネート,ニトロセルロ
ース等のセルロース誘導体、ポリウレタン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
【0058】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂の例
としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン
硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹
脂、シリコーン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアル
デヒド樹脂等が挙げられる。
【0059】また、これら全ての結合剤には、顔料成分
の分散性を向上させる目的で極性官能基が導入されてい
ても良い。
【0060】極性官能基としては、−SO3M,−OS
3M,−COOM,P=O(OM)2(但し、Mは水素
原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアル
カリ金属を表す。)等が挙げられる。また、−NR
12,−NR123+-の末端基を有する側鎖型アミ
ン、あるいは>NR12+-で表される主鎖型アミン
(但し、R1,R2,R3は、水素原子あるいは炭化水素
基を表し、X-はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロ
ゲン元素イオン、無機イオン,有機イオンを表す。)で
あっても良い。さらに、極性官能基としては−OH、−
SH、−CN、エポキシ基等が挙げられる。これら極性
官能基の結合剤に含有される量は、10-8〜10-1mo
l/gであるのが好ましく、10-6〜10-2mol/g
であるのがより好ましい。
【0061】磁性層には以上のような結合剤が用いられ
るが、これら結合剤は1種単独で用いても良く、2種類
以上を組み合わせて使用しても差し支えない。
【0062】上述したような磁性粉末や結合剤は溶媒中
に分散されて磁性塗料とされるが、この溶媒としては、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸
エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系
溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エ
トキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等
のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素系溶剤、メチレンクロライド、エチレン
クロライド、四塩化炭素、クロロホルム、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素系溶媒あるいは水等が挙げら
れる。
【0063】なお、磁性塗料中には必要に応じて潤滑
剤、研磨剤、硬化剤、分散剤、帯電防止剤、防錆剤等が
加えられてもよい。これらの分散剤、潤滑剤、帯電防止
剤及び防錆剤としては、従来公知の材料がいずれも使用
可能であり、何ら限定されるものではない。
【0064】潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン等の固体潤滑剤の他、炭素数1
0〜40のアルキル鎖を有するモノカルボン酸、これら
カルボン酸の電解質、これらカルボン酸と炭素数10〜
40のアルコールとのモノエステル、これらカルボン酸
と多価アルコールとの多価エステル、あるいは上述のア
ルキル鎖を有するアミド、アミン、アルコール等を用い
て好適である。また、シリコンオイル、パラフィンオイ
ル、上述した化合物のフッ素化物、さらにはテルペン系
化合物ならびにこれらのオリゴマー等を用いてもよい。
【0065】研磨剤としては、酸化アルミニウム(α,
β,γ)、炭化珪素、酸化クロム、酸化鉄、コランダ
ム、ダイヤモンド、窒化珪素、炭化チタン、酸化チタン
(ルチル,アナターゼ)、ガーネット、エメリー、窒化
ホウ素等が挙げられる。なお、これら研磨剤は、モース
硬度が4以上、好ましくは5以上であるのが良く、比重
が2〜6、好ましくは3〜5の範囲であるのが良い。ま
た、平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは0.3μ
m以下が良い。なお、この平均粒径は、透過型電磁顕微
鏡写真から無作為に100サンプル以上を選択し、その
平均値を算出したものである。これら研磨剤の添加量
は、磁性粉末100重量部に対して20重量部以下、好
ましくは10重量部以下がよい。
【0066】また、帯電防止剤としては、カーボンブラ
ックを用いて好適であり、これを添加することにより塗
膜強度を向上させることもできる。
【0067】さらに、分散剤としては、各種界面活性剤
あるいは各種カップリング剤が使用できる。
【0068】硬化剤としては、トルエンジイソシアネー
ト、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート等のアルキレンジイソシアネート、
キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等の2官能イソシアネ
ート化合物、あるいは、これらジイソシアネートの重合
体や多価アルコールとの反応物が挙げられる。これら硬
化剤の添加量は、結合剤100重量部に対して5〜80
重量部とするのが好ましく、10〜50重量部とするの
がより好ましい。
【0069】磁性塗料を調製するには、以上のような材
料を混練工程、混合工程、分散工程によって塗料化す
る。分散装置及び混練装置には、ロールミル、ボールミ
ル、サンドミル、アジター、ニーダー、エクストルーダ
ー、ホモジナイザー、超音波分散機等が用いられる。
【0070】そして、このようにして調製された磁性塗
料を、非磁性支持体上に吹き付ける、あるいはロール塗
布する等の任意の方法で塗布し、乾燥することで磁性層
は形成される。なお、この後、カレンダー装置に導き、
磁性層に表面平滑化処理を施しても良い。
【0071】ここで、磁性層は、乾燥時の厚さが0.1
〜50μm、好ましくは1.0〜30μmとされる。ま
た、結合剤と磁性粉末との混合比は、結合剤1重量部に
対して、磁性粉末1〜10重量部、好ましくは3〜9重
量部とされる。結合剤の量が多すぎる場合には、磁性層
での磁性粉末の占める割合が相対的に小さくなり、出力
が低下する。また、ドライブ上で磁気ヘッドや各種摺動
部材に対して繰り返し摺動したときに、磁性層に塑性流
動が生じ易く、媒体の走行耐久性が低下する。結合剤の
量が少なすぎる場合には、磁性層が脆くなり、媒体の走
行耐久性が低下する。
【0072】なお、このような塗布型の磁性層を設ける
場合、当該磁性層と非磁性支持体との間に、磁性層の平
滑化を図る目的で、非磁性粉末を結合剤中に分散させた
非磁性層(下層)を設けるようにしても良い。非磁性支
持体上に直接磁性層を設けた場合、特に磁性層の厚さが
薄い場合には、非磁性支持体の表面粗さが磁性層表面に
現れ易く、磁性層の表面平滑化が困難になる。非磁性支
持体と磁性層の間に非磁性層を設けると、非磁性支持体
と磁性層の間に厚さが稼がれるので、非磁性支持体の表
面粗さが磁性層表面に現れ難くなり、磁性層が平滑な表
面で形成できるようになる。
【0073】これは一般に重層塗布型磁気記録媒体と呼
ばれるものである。
【0074】重層塗布型フレキシブル磁気ディスクの上
層で用いられる強磁性粉末としては、Fe、Co、Ni等の金
属、Fe-Co、Fe-Ni、Fe-Al、Fe-Ni-Al、Fe-Al-P、Fe-Ni-
Si-Al、Fe-Ni-Si-Al-Mn、Fe-Mn-Zn、Fe-Ni-Zn、Co-Ni、
Co-P、Fe-Co-Ni、Fe-Co-Ni-Cr、Fe-Co-Ni-P、Fe-Co-B、
Fe-Co-Cr-B、Mn-Bi、Mn-Al、Fe-Co-V、等の合金、窒化
鉄、炭化鉄等が挙げられる。もちろん、還元時の焼結防
止または形状維持等の目的で添加されるAl、Si、P、B等
の軽金属元素が適当量含有したとしても、その効果を妨
げるものではない。更に、γ-Fe2O3、Fe3O4、γ−Fe2O3
とFe3O4とのベルトライド化合物、Co含有γ−Fe2O3、Co
含有Fe3O4、Coを含有するγ−Fe2O3とFe3O4とのベルト
ライド化合物、CrO2 に1種またはそれ以上の金属元
素、たとえばTe、Sb、Fe、B等を含有させた酸化物等が
ある。さらに、六方晶系板状フェライトも使用可能であ
り、M型、W型、Y型、Z型のバリウムフェライト、ス
トロンチウムフェライト、カルシウムフェライト、鉛フ
ェライト、及びこれらに、保磁力を制御する目的で、Co
-Ti、Co-Ti-Zn,Co-Ti-Nb、Co-Ti-Zn-Nb、Cu-Zr、Ni-Ti
等を添加したものも使用可能である。これら強磁性粉末
は、それぞれ1種を用いることも可能であるが、2種以上
を併用することも可能である。また、本発明に用いる強
磁性粉末の比表面積は、35から80m2/g 好ましく
は、40から70m2/g であることが望ましい。比表面
積が、上記範囲にあると、強磁性粉末の形状の微粒子化
を伴い、高密度記録が可能となり、ノイズ特性の優れた
磁気記録媒体を得ることが可能である。
【0075】さらに、本発明に用いられる強磁性粉末
は、長軸長0.05から0.30μm、軸比が5から15であること
が好ましい。長軸長が0.05μm未満であると、磁性塗料
中の分散が困難となり、長軸長が0.30μm を越えるとノ
イズ特性が劣化する恐れがあり好ましくない。軸比が5
未満であると、強磁性粉末の配向性が低下し出力の低下
となり、軸比が15を超えると短波長信号出力が低下する
恐れがあり好ましくない。板状フェライトの場合は、板
径0.01〜0.5μm、板厚0.001〜0.2μm程度が好ましい。
長軸長、軸比、板径、及び板厚は、透過型電子顕微鏡写
真から無作為に選んだ100サンプル以上の平均値を採用
する。
【0076】また上層には研磨剤粒子を含有させること
が可能である。これらの例としては、酸化アルミニウム
(α、β、γ)、酸化クロム(Cr2O3)、炭化珪素、ダ
イヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チタ
ンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン(ル
チル、アナターゼ)、コランダム等が挙げられる。これ
らの粒子は強磁性粉末100重量部に対して、20重量部以
下、好ましくは、10重量部以下がよい。モース硬度は、
4以上、好ましくは5以上、比重は、2〜6、好ましくは3
〜5の範囲、平均粒径は、0.5μm以下、好ましくは、0.3
μm以下がよい。平均粒径は透過型電子顕微鏡写真から
無作為に選んだ100サンプル以上の平均値を採用する。
研磨剤は強磁性粉末と共に混合し分散処理する手法にて
用いても良く、予め結合剤中に分散し研磨剤塗料とした
上で、主として強磁性粉末と結合剤からなる磁性塗料に
添加しても良い。
【0077】下層に含有させる非磁性粉末として用いら
れるものは、例えば、α-Fe2O3等の非磁性酸化鉄、ゲー
タイト、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタ
ン、酸化錫、酸化タングステン、酸化珪素、酸化亜鉛、
酸化クロム、酸化セリウム、チタンカーバイト、BN、α
-アルミナ、β-アルミナ、γ-アルミナ、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸マグネシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウ
ム、チタン酸バリウム等があり、これらの粉末は、単独
で用いることも可能であるし、複数を混合して用いるこ
とも可能である。上記非磁性粉末は、目的に応じて適当
量の不純物をドープすることも可能であるし、分散性の
改良、導電性の付与、色調の改善等の目的で、Al、Si、
Ti、Sn、Sb、Zr等の化合物で表面処理することも可能で
ある。非磁性粉末の比表面積は、30から80m2/g 、好ま
しくは40から70m2/g である。また必要に応じてゴム用
ファーネス、熱分解カーボン、カラー用ブラック、アセ
チレンブラック等のカーボンブラックが含まれていても
良い。比表面積は100〜400m2/g、DBP吸油量は20〜1000m
l/100gであることが好ましい。なお、上記DPB吸油量
は、カーボンブラックにジブチルフタレートを少しずつ
加え、練り合わせながらカーボンブラックの状態を観察
し、ばらばらに分散した状態から一つの塊をなす点を見
出した時のジブチルフタレートの添加量(ml)を意味す
る。カ−ボンブラックの具体的な例としては、商品名B
LACKPEARLS1000、900、800、70
0、VULCANXC−72(キャボット社製)、商品
名#35、#50、#55、#60及び#80(旭カ−
ボン社製)、商品名#3950B、#3750B、#3
250B、#2400B、#2300B、#1000、
#900、#40、#30、及び#10B(三菱化成工
業社製)、商品名CONDUCTEX SC、RAVE
N、150、50、40、15(コンロンビアカ−ボン
社製)、ケッチェンブラックEC及びケッチェンブラッ
クECDJ−600(ライオンアグゾ社製)を挙げるこ
とができる。非磁性粉末及びカーボンブラックの比表面
積が、上記範囲にあると、形状の微粒子化を伴い、下層
が平滑化し、結果的に上層の平滑化が可能となる為、変
調ノイズ特性が優れ、スペーシングロスの影響の少ない
磁気記録媒体を得ることが可能である。非磁性粉末は磁
気的な凝集力を有さず、強磁性粉末に比べ分散が容易で
あるとはいえ、比表面積が上記の範囲より大きい場合に
は、粉体の分散が困難となる。比表面積が小さすぎる
と、高密度記録に耐えられる表面平滑性が確保できな
い。
【0078】上層及び下層に含有させる結合剤は、従来
より磁気記録媒体用の結合剤として使用される公知の熱
可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等が使用可能で
あり、数平均分子量が2000〜100000のものが好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては塩化ビニル、酢酸ビニル、塩
化ビニルー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルー塩化ビニ
リデン共重合体、塩化ビニルーアクリロニトリル共重合
体、アクリル酸エステルーアクリロニトリル共重合体、
アクリル酸エステルー塩化ビニルー塩化ビニリデン共重
合体、塩化ビニルーアクリロニトリル共重合体、アクリ
ル酸エステルーアクリロニトリル共重合体、アクリル酸
エステルー塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エス
テルー塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル
ー塩化ビニル共重合体、メタクリル酸エステルーエチレ
ン共重合体、ポリ弗化ビニル、塩化ビニリデンーアルリ
ロニトリル共重合体、アクリロニトリルーブタジエン共
重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セル
ロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セル
ロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セ
ルロースプロピオネート、ニトロセルロース)、スチレ
ンブタジエン共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アミノ樹脂、合成ゴム等が挙げられる。また熱
硬化性樹脂または反応型樹脂の例としてはフェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、
ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げら
れる。なお、これらの樹脂については改訂新版「プラス
チックハンドブック」(朝倉書店)に記載されている。
また上記の全ての結合剤には、顔料の分散性を向上させ
る目的で-SO3M、-OSO3M、-COOM、P=O(OM)2等の極性官能
基が導入されていても良い。ここで、式中Mは、水素原
子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアル
カリ金属である。更に、上記極性官能基としては、-NR1
R2、-NR1R2R3 +-の末端基を有する側鎖型のもの、>NR
1R2 +-の主鎖型のものがある。ここで、式中R1、R2、R
3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は弗素、
塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無
機・有機イオンである。また、-OH、-SH、-CN、エポキ
シ基等の極性官能基もある。これら極性官能基の量は、
10-1〜10-8mol/gであり、好ましくは10-2〜10-6mol/gで
ある。これら結合剤は、1種単独で用いられることが可
能であるが、2種以上を併用することも可能である。塗
膜におけるこれら結合剤は、上記強磁性粉末または非磁
性粉末100重量部に対して、1から200重量部、好ましく
は、10から50重量部である。用いることができる結合剤
の具体的な例としては、商品名VAGH、VYHH、V
MCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、V
YNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、P
KHJ、PKHC、及びPKFE(ユニオンカ−バイト
社製)、商品名MR110、MR100、MR112、
及びMR104(日本ゼオン社製)、商品名ニッポラン
N2301、N2302、及びN2304(日本ポリウ
レタン工業社製)、商品名バイロンUR8200、UR
8300、RV530、及びRV280(東洋紡社
製)、商品名ダイフェラミン4020、9020、90
22、及び7020(大日精化社製)、商品名サランF
310、及びF210(旭化成社製)などを挙げること
ができる。
【0079】上記結合剤を架橋硬化させるポリイソシア
ネートを併用することが可能である。このポリイソシア
ネートとしては、トリレンジイソシアネート並びにこれ
の付加体、アルキレンジイソシアネート並びにこれの付
加体等である。これらのイソシアネート類の具体例とし
ては、商品名コロネートL、コロネートHL、コロネ−
ト2030、及びコロネート2031(日本ポリウレタ
ン工業社製)、商品名タケネートD−102、タケネー
トD−110N、タケネートD−200、タケネートD
−202(武田薬品工業社製)を挙げることができる。
これらポリイソシアネートの上記結合剤への配合量は、
上記結合剤100重量部に対して、5から80重量部、好まし
くは、10から50重量部である。これらポリイソシアネー
ト類は、上下両層に用いることが可能であるし、いずれ
か一層のみに限定して用いることも可能である。上下両
層に用いる場合の配合量は、各層に等量投入することも
可能であるし、任意の比率で変えることも可能である。
【0080】また、潤滑剤を上層磁性層及び下層非磁性
層に含有させることが可能である。上記潤滑剤として
は、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなど
の微粉末、炭素数10から22までの脂肪酸、並びに、これ
と炭素数2から26までのアルコールからなる脂肪酸エス
テル、フルオロカーボン類、ジアルキルポリシロキサ
ン、フルオロアルキルポリシロキサンなどのシリコンオ
イル並びにこれらのオリゴマー等ある。これら潤滑剤
は、上層にのみ添加することも可能であるし、上下両層
に添加する事も可能である。これらのうち、塗布型ディ
スクでは脂肪酸エステルが一般に好ましく、多用されて
いる。脂肪酸エステルの具体例としては、ブチルステア
レート、イソプロピルステアレート、ブチルオレエー
ト、2−エチルヘキシルステアレート、2−ヘキシルデ
シルステアレート、ヘプチルステアレート、ブチルパル
ミテート、2−エチルヘキシルミリステート、ブチルス
テアレートとブチルパルミテートの混合物、オレイルオ
レエート、ブトキシエチルステアレート、2−ブトキシ
−1−プロピルステアレート、ジエチレングリコールジ
オレエート、グリセリンのオレエート等の種々のエステ
ル化合物を挙げることができる。
【0081】さらに、上層磁性層及び下層非磁性層に含
有させる粉末を良好に分散させるための分散剤を添加す
ることができる。分散剤の具体例としてはポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンフェ
ノールエーテル等のノニオン系界面活性剤、ポリオキシ
アルキレンリン酸エステル、各種脂肪酸等のアニオン系
界面活性剤、トリアルキル第4級アンモニウム塩等のカ
チオン系界面活性剤、更に両性の界面活性剤がある。こ
れらは目的に応じて種類、量を上下各層に使い分けるこ
とが可能であるし、1層のみに使用しても差し支えな
い。分散剤の添加量は強磁性あるいは非磁性粉末に100
重量部に対し、0.5〜10重量部であることが好ましい。
【0082】また、下層に非磁性補強粒子として、酸化
アルミニウム(α、β、γ)、酸化クロム、炭化珪素、
ダイヤモンド、ガーネット、エメリー、窒化ホウ素、チ
タンカーバイト、炭化珪素、炭化チタン、酸化チタン
(ルチル、アナターゼ)等を含有させても良い。この粒
子は、非磁性粉末100重量部に対して、20重量部、
好ましくは、10重量部以下がよい、又、モース硬度
は、4以上、好ましくは5以上、比重は、2〜6、好ま
しくは3〜5の範囲、平均粒径は、1.0μm以下、好
ましくは、0.5μm以下がよい。非磁性補強粒子の平
均粒径も透過型電子顕微鏡写真から測定し、統計処理し
て求める。
【0083】非磁性支持体としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート等のポリ
エステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セ
ルローストリアセテート、セルロースジアセテート等の
セルロース類、ビニル系樹脂、ポリアミド類、ポリイミ
ド類、ポリカーボネート類に代表されるような高分子材
料が挙げられる。
【0084】上記非磁性支持体上に塗膜を形成するに
は、上下層形成材料を塗料として塗布乾燥して形成され
るが、この塗料化に用いられる溶剤は、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のア
ルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールア
セテート等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル、2-エトキシエタノール、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレン
クロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロ
ホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒
等が用いられる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋で
ある必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、
水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもか
まわない。
【0085】上記下層非磁性層及び上層磁性層の形成に
際しては、非磁性支持体と非磁性層の間に密着性を向上
させるために下塗り層を設けても良い。この厚みは0.01
〜1μmであることが好ましく、更に好ましくは、0.03
〜0.5μmである。この下塗り層の形成に際しては、従
来から磁気テープ、磁気記録ディスクにおいて用いられ
ている公知のものを使用することができる。
【0086】上記塗料の作成は混練工程、混合工程、分
散工程の各工程によって行われる。分散及び混練には、
ロールミル、ボールミル、サンドミル、アジター、ニー
ダー、エクストルーダー、ホモジナイザー、超音波分散
機等が用いられる。
【0087】更に、このように形成された塗料を非磁性
支持体上に同時に重層塗布するのが良いが、これには主
にダイコーターが用いられる。ダイコーターのリップ構
成は、2リップ方式、3リップ方式、4リップ方式等が用
いられる。
【0088】非磁性支持体上に下層及び上層を形成する
場合、1層ずつ塗布乾燥を行う方式(いわゆるウエット
・オン・ドライ塗布方式)と、乾燥されていない湿潤状
態にある下層の上に磁性層を重ねて塗布する方式(いわ
ゆるウエット・オン・ウエット塗布方式=湿潤重層塗布
方式)とがある。
【0089】こうしたウエット・オン・ウエット方式に
おける同時湿潤塗布方式においては、下層が湿潤状態の
まま上層の磁性層の磁性塗料を塗布するので、下層の表
面(即ち、上層との境界面)が滑らかになると共に上層
の表面性が良好となり、かつ上下層間の接着性も向上す
る。この結果、特に高密度記録のために高出力、低ノイ
ズの要求される磁気記録媒体としての要求性能を満たし
たものとなり、かつ膜剥離がなくなり、膜強度が向上す
る。またドロップアウトも低減することが可能であり、
信頼性も向上する。
【0090】これに対し、例えばウエット・オン・ドラ
イ方式による場合、下層として、上層の磁性層の塗料に
対して十分な耐溶剤性のあるものを選択する必要があ
る。また、表面の平滑性が損なわれ、結果的に電磁変換
特性に支障をきたす。
【0091】上記ウエット・オン・ウエット重層塗布方
式によって形成される上下層間には、明確な境界が実質
的に存在する場合以外に、一定の厚みを以て両層の成分
が混在してなる境界領域が存在する場合があるが、こう
した境界領域を除いた上層または下層の層を上記磁性
層、下層として良い。
【0092】磁性層の乾燥前には強磁性粉末のランダム
配向処理が施される。強磁性粉末のランダム配向処理方
法としては交流磁場を印加する方法を利用して行うこと
が好ましく、具体的には、非磁性層及び磁性層がまだ湿
潤状態にあるうちに交流磁場発生装置の中を通過させる
ことにより行われる。交流磁場の周波数、磁界強度は、
通常50Hz、50〜500Oeである。このような強磁性粉末の
ランダム配向処理により、配向度比は0.9以上であるこ
とが好ましい。これにより、ディスクの円周において均
一な再生出力を得ることができる。
【0093】上記ランダム配向処理後、ドライヤーを通
過させ乾燥し、カレンダー処理を行う。カレンダー処理
はロールの間を加圧及び加熱させながら通すことにより
行われる。ロールは通常、エポキシ、ポリイミド、ポリ
アミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチッ
クロールが使用され、また金属ロールを用いることもで
きる。処理温度は70℃〜120℃(好ましくは80℃〜110
℃)である。線圧力は通常、200〜450kg/cmである。カ
レンダー処理機は、30m/分〜500m/分の処理速度で、5〜
10段のロールを備えたものが好ましい。
【0094】カレンダー処理後、スリット(裁断)工
程、打ち抜き工程、そしてカートリッジ組み込み工程を
経て重層塗布型フレキシブル磁気ディスクを製造するこ
とができる。かかるフレキシブル磁気ディスクは、その
磁性層の表面固有抵抗値が、1×105 〜5×109 Ω/sqの
範囲にあることが好ましい。
【0095】また、上記フレキシブル磁気ディスクの代
わりに、あるいは上記フレキシブル磁気ディスクと併用
して、上記配位子を含有するクリーニングディスクを用
いることも可能である。
【0096】すなわち、ここで用いるクリーニングディ
スクは、支持体上にピリジン骨格を有し2座以上の配位
座を有する化合物(配位子)が保持されて構成される。
【0097】用いられる配位子としては、先に磁気記録
媒体の焼き付き防止剤として例示した配位子がいずれも
使用可能である。
【0098】また、この場合にも、これら配位子には先
に例示した各種置換基が導入される。これら配位子は、
1種類を単独で用いても、複数種を組み合わせて用いて
も構わない。
【0099】以上のような配位子は金属原子と錯形成能
を有するため、これを保持させたクリーニングディスク
を磁気ヘッド表面に対して摺動させると、当該配位子が
磁気ヘッド表面に生成した金属酸化物と錯形成反応を生
じて錯体となる。この錯体は、磁気ヘッド表面から容易
に脱離し、取り除かれることになる。
【0100】配位子を保持させる支持体としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド
等よりなる高分子フィルムが用いられる。この高分子フ
ィルムの厚みは、1.0〜200μmであるのが好まし
く、2.0〜100μmであるのがより好ましい。
【0101】この他、支持体としては、これらの高分子
等よりなる繊維同士を接合した、いわゆる不織布を用い
るようにしても良い。
【0102】支持体に配位子を保持させるには、配位子
を溶剤に溶解してクリーニング塗料を調製し、このクリ
ーニング塗料を支持体上に塗布する。
【0103】支持体が高分子フィルムの場合には、この
高分子フィルム表面に上記クリーニング塗料が薄い被膜
となって保持される。また、支持体が不織布の場合に
は、この不織布にクリーニング塗料が含浸されたかたち
で保持される。
【0104】なお、溶剤としては、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロ
パノール等のアルコール系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の方香族炭化水素系溶剤あるいは水等が
挙げられる。
【0105】また、支持体表面に、結合剤よりなる層を
形成しておき、この層の表面にクリーニング塗料を塗布
するようにしても構わない。なお、この層には、帯電防
止や塗膜強度向上のためにカーボンブラック等の粉末成
分を添加しても良い。
【0106】クリーニング塗料を塗布する場合、配位子
の塗布量は1m2当たりで10mg〜10gであるのが
望ましい。配位子の量がこの範囲よりも少ない場合に
は、磁気ヘッド上に付着した焼き付き物を除去する効果
が不足する。また、配位子の量がこの範囲よりも多い場
合には、配位子が磁気ヘッド表面に付着してしまい、デ
ィスクの走行を阻害するようになる。
【0107】なお、クリーニング塗料は、予め支持体に
保持させておいても良いが、クリーニングの直前に支持
体に塗布するようにしても構わない。
【0108】また、クリーニング塗料に結合剤を混合
し、この結合剤によって配位子を支持体に結着させても
良い。この場合、配位子は、ある程度の厚みをもった結
合剤の層に内添されたかたちで保持される。なお、この
層にも、帯電防止や塗膜強度向上のために、カーボンブ
ラック等の粉末成分を添加しても良い。
【0109】結合剤としては、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン
酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、
メタクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニト
リル、メタアクリロニトリル、スチレン、メチルスチレ
ン、ブタジエン、エチレン、ビニルアセタール、ビニル
ブチラール、メチルスチレン、ブタジエン、エチレン、
ビニルアセタール、ビニルブチラール、ビニルエーテ
ル、ビニルピロリドン等を構成単位として含む重合体あ
るいは共重合体が挙げられる。さらに、ニトロセルロー
ス、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノ
キシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂等が
挙げられる。
【0110】これら結合剤の量は、配位子1重量部に対
して10重量部以下であるのが好ましく、5重量部以下
であるのが好ましい。また、層の厚さは、乾燥厚で50
μm以下、さらには30μm以下であるのが好ましい。
【0111】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的な実験
結果に基づいて説明するが、本発明がこの実施例に限定
されるものでないことは言うまでもない。
【0112】<磁性塗料の調製及びフレキシブル磁気デ
ィスクの作製>ここでは重層塗布型のフレキシブル磁気
ディスクを作製し、その特性を評価した。
【0113】下記の組成にて塗料化を行った。塗料化
は、常法に従い、粉末、結合剤、添加剤、所定量の溶剤
とピリジン骨格を含む2座以上の配位子を混合し、エク
ストルーダーにより混練した後、サンドミルで6時間分
散した。
【0114】 磁性層(上層)塗料組成 Fe系メタル強磁性粉末(保磁力=160kA/m 、飽和磁化量 =145Am2/kg、比表面積=51m2/g、 長軸長=0.08μm、針状比=3) 100重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(日本ゼオン製 MR-110) 14重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製) 3重量部 添加剤(Al2O3) 5重量部 ステアリン酸 1重量部 イソセチルステアレート 6重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 配位子 表2記載 なお、配位子としては、実施例1〜9では、化17に示
す化合物において表1に示すように置換基を変えたもの
を用いた。
【0115】
【化17】
【0116】
【表1】
【0117】また、実施例10〜20においては、下記
の化18〜化28に示す化合物をそれぞれ用いた。
【0118】
【化18】
【0119】
【化19】
【0120】
【化20】
【0121】
【化21】
【0122】
【化22】
【0123】
【化23】
【0124】
【化24】
【0125】
【化25】
【0126】
【化26】
【0127】
【化27】
【0128】
【化28】
【0129】 非磁性層(下層)塗料組成 針状α-Fe2O3 100重量部 カーボンブラック(ケッチェンブラックEC) 15重量部 ポリ塩化ビニル樹脂(日本ゼオン製 MR-110) 14重量部 ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡製) 3重量部 イソセチルステアレート 6重量部 メチルエチルケトン 150重量部 シクロヘキサノン 150重量部 上層及び下層塗料にポリイソシアネート(コロネート
L、日本ポリウレタン工業製)をそれぞれ3重量部、6
重量部を加え、ピリジン骨格を含む配位子を添加し、4
リップ方式ダイコーターを用いて、厚さ62μmのPE
T(ポリエチレン2−6−ナフタレート)フィルム上に
上層が0.2μm、下層が2μmとなるように同時重層
塗布した。そして、周波数50Hz、150ガウスの交
流磁場発生装置の中を通過させ、ランダム配向処理を行
った。更に乾燥、カレンダー処理を行い、3.5インチ
の大きさに打ち抜いた。これを60℃で48時間アニー
ル処理した後、3.5インチのフロッピーディスク用カ
ートリッジに収納した。
【0130】そして、図1に示すように、この3.5イ
ンチディスク・カートリッジ1をスピンスタンド2に水
平にクランプし、4000rpmの回転数で回転させ定
常状態になった後ディスク両面から同時に磁気ヘッド3
をロードした。磁気ヘッド3は、水平可動部4及び高さ
調整機構5によりフロッピーディスクに対して位置決め
可能である。ここでは中心から半径24mmの位置に磁
気ヘッドを固定して、初期の孤立再生波形の出力IS
TAAとPW50を測定した。トラック幅は5μmであ
る。常温常湿において60時間スチルさせたのち、スチ
ル後のISTAAとPW50を測定するとともに、ヘッ
ド表面を光学顕微鏡で観察し、汚れの状態を4段階
(◎,○,△,×)で評価した。
【0131】なお、実施例4〜実施例7は、あらかじめ
配位子を磁性層には添加せず、得られたサンプルディス
クに0.05、0.1、0.3、0.5重量%に調整さ
れた溶液(溶媒:n−ヘキサン)をスピンコートするこ
とで作製した。比較例1にはピリジン骨格を含む2座以
上の配位子を使用しないディスクを用いた。比較例2
は、実施例1と同様の化合物を0.5重量部添加した。
比較例3は配位子を添加していないサンプルディスク上
に0.01重量%に調整された溶液(溶媒:n−ヘキサ
ン)をスピンコートすることで作製した。
【0132】結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】表2より、ピリジン骨格を含む2座以上の
配位子を添加していない比較例1あるいはその添加量の
少ない比較例2、溶液濃度の低い比較例3はいずれもヘ
ッド上に焼き付きが観察され、かつIS TAAが減
少、PW50が増加する傾向にある。このことから、配
位子が無い場合あるいはその存在量が少ない場合には、
焼き付きを抑えることができないことがわかる。
【0135】これに対し、実施例1〜20ではいずれの
サンプルにおいてもIS TAA、PW50の変化が少
ない。また、ヘッド表面の焼き付きも少なく、ディスク
上に十分な配位子が存在する場合には、摺動時の焼き付
きを抑えることが可能である。
【0136】<回転数の影響についての検討>フレキシ
ブル磁気ディスクの回転数を変えて同様の測定を行っ
た。結果を以下に示す。なお、測定に際しては、スライ
ダー(磁気ヘッド)が常時ディスクに接触した状態を作
り出すため、スライダーのロード荷重を通常の4倍の値
である18gに設定した。
【0137】 回転数1000rpmの時(配位子添加) IS TAA(スチル前/後) 80/78μVpp PW 50 (スチル前/後) 0.45/0.46μm ヘッド汚れ ◎ 回転数1000rpmの時(配位子無添加) IS TAA(スチル前/後) 80/65μVpp PW 50 (スチル前/後) 0.45/0.58μm ヘッド汚れ × 回転数500rpmの時(配位子無添加) IS TAA(スチル前/後) 40/43μVpp PW 50 (スチル前/後) 0.45/0.48μm ヘッド汚れ ○ 回転数が1000rpmになると、配位子が無いとヘッ
ドに焼き付きが生じ、IS TAA,PW50がともに
変化するのに対して、回転数500では低相対速度のた
め、配位子無添加でも焼き付きは生じていない。したが
って、配位子の添加は、回転数1000rpm以上の時
に有効であることがわかる。
【0138】<クリーニングディスクによる効果>次の
ようにしてクリーニングディスクを作製した。
【0139】具体的には、まず、下記の組成物を用意
し、 熱可塑性ポリウレタン樹脂(平均分子量20000) 10重量部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10重量部 カーボン(平均粒径150nm) 5重量部 配位子 5重量部 混合溶剤 220重量部 (メチルエチルケトン/メチルイソブチルケトン/トルエン=2:1:1) この組成物をボールミルにて48時間混合してから、ポ
リイソシアネートよりなる硬化剤を3.5重量部添加し
て、さらに30分間混合した。
【0140】そして、このようにして得られたクリーニ
ング塗料を70μm厚のポリエチレンテレフタレートフ
ィルム上に乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布し
た。その後、硬化促進のため60℃のオーブンに20時
間放置することによりクリーニング層を硬化し、円盤状
に打ち抜くことでクリーニングディスクを作製した。
【0141】このクリーニングディスクを走行させ、ク
リーニング効果について調べた。結果は以下の通りであ
る。
【0142】 回転数4000rpmの時(配位子無添加) IS TAA(スチル前/後) 300/210μVpp PW 50 (スチル前/後) 0.45/0.60μm ヘッド汚れ × クリーニングディスク走行5分後 IS TAA(スチル後) 290μVpp PW 50 (スチル後) 0.46μm ヘッド汚れ ◎ このように、クリーニングディスク走行後に焼き付きが
除去され、IS TAA、PW50が初期値に近い値に
回復した。
【0143】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明によれば、塗布型のフレキシブル磁気ディスクを記録
媒体とし磁気ヘッドが接触走行するの磁気記録再生装置
において、磁気ヘッドの焼き付き物の発生、蓄積を確実
に抑制することができる。
【0144】したがって、スペーシングロスによる出力
低下が少なく、エラーレートの上昇も少ない磁気記録再
生装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】測定用の磁気記録再生装置の概略構成を示す模
式図である。
【符号の説明】
1 フロッピーディスクカートリッジ、3 磁気ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀井 隆広 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 小林 健 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岩本 浩 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 松澤 伸行 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 岡崎 裕 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4J038 EA011 JB28 JB36 NA22 PA07 PB11 5D006 AA01 BA19 CA05 DA02 FA05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗布型のフレキシブル磁気ディスクを記
    憶媒体とし、回転駆動されるフレキシブル磁気ディスク
    に対して磁気ヘッドが接触し記録再生が行われる磁気記
    録再生装置において、 上記塗布型のフレキシブル磁気ディスク及び/又はクリ
    ーニングディスクは、ピリジン骨格を有し2座以上の配
    位座を有する化合物を含有する焼き付き防止剤を保持し
    ていることを特徴とする磁気記録再生装置。
  2. 【請求項2】 上記フレキシブル磁気ディスクは、下層
    非磁性層上に上層磁性層が形成されてなる重層塗布型の
    フレキシブル磁気ディスクであることを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録再生装置。
  3. 【請求項3】 上記フレキシブル磁気ディスクが回転駆
    動される際の回転数が1000rpm以上であることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。
  4. 【請求項4】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配位
    座を有する化合物が下記の化1で示されるビピリジン誘
    導体であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録再
    生装置。 【化1】
  5. 【請求項5】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配位
    座を有する化合物が下記の化2で示されるフェナントロ
    リン誘導体であることを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録再生装置。 【化2】
  6. 【請求項6】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配位
    座を有する化合物が下記の化3で示される2−置換ピリ
    ジン誘導体であることを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録再生装置。 【化3】
  7. 【請求項7】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配位
    座を有する化合物が下記の化4で示されるキノリン誘導
    体であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生
    装置。 【化4】
  8. 【請求項8】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配位
    座を有する化合物が下記の化5で示される化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。 【化5】
  9. 【請求項9】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配位
    座を有する化合物が下記の化6で示される化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。 【化6】
  10. 【請求項10】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配
    位座を有する化合物が下記の化7で示される化合物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。 【化7】
  11. 【請求項11】 上記ピリジン骨格を有し2座以上の配
    位座を有する化合物が下記の化8で示される化合物であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録再生装置。 【化8】
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