JP2000075440A - 写真用支持体及び熱現像感光材料 - Google Patents

写真用支持体及び熱現像感光材料

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JP2000075440A
JP2000075440A JP10247104A JP24710498A JP2000075440A JP 2000075440 A JP2000075440 A JP 2000075440A JP 10247104 A JP10247104 A JP 10247104A JP 24710498 A JP24710498 A JP 24710498A JP 2000075440 A JP2000075440 A JP 2000075440A
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acid
layer
polymer
heat
silver
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English (en)
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Hidetoshi Ezure
秀敏 江連
Masato Takada
昌人 高田
Kenji Onuma
憲司 大沼
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Konica Minolta Inc
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱現像処理前後の熱による寸法変化が小さ
く、また画像形成層側からのみ熱現像処理が行われて
も、カール変形が起こり難く、更に取り扱い易い写真用
支持体及び熱現像感光材料を提供する。 【解決手段】 熱現像感光材料の支持体として用い、ガ
ラス転移点が100℃以上のポリマーを有する最外層を
有し、かつ該支持体の厚さの総和d1と該ポリマー層の
厚さd2の比が0.01〜0.75であることを特徴と
する写真用支持体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像感光材料の写
真用支持体及びそれを用いた熱現像感光材料に関するも
のであり、特に熱に対する寸法安定性に優れ、また熱現
像処理後のカール変形が起こり難く、作業性に優れた写
真用支持体及び熱現像感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】現像工程が加熱による熱現像処理方式
は、白黒画像形成あるいはカラー画像形成するものが従
来数多く検討されて来ている。また、熱現像方式により
得られた画像を画像形成層から画像受像層に転写するい
わゆる転写型の熱現像感光材料もよく知られている。熱
現像方式を用いたハロゲン化銀写真感光材料は80〜1
50℃という高い温度で現像されるため、現像後の画像
形成材料の寸法変化やカール変形が従来の湿式現像のも
のに比べて大きく支持体の改善が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一方、熱現像方式の熱
現像処理は、ヒートロール、サーマルヘッド、加熱板、
赤外線、または温風等によって行われているが、何れの
加熱方法においても、取扱の簡易さや現像装置の小型
化、省スペース化のため、熱現像感光材料の画像形成層
側からのみ加熱されているのが一般的である。そのた
め、熱現像処理後に加熱された画像形成層側に凹にカー
ル変形を起こし易く、その後の取り扱いがし難く作業性
が著しく低かった。しかし、例え両面から加熱する方法
が取られるとしても、熱せられた搬送ロールなどにより
熱現像処理後にカール変形や熱収縮が残る場合が多かっ
た。
【0004】熱現像感光材料の熱現像処理後の熱による
寸法変化を少なくするために、熱現像温度より高いガラ
ス転移点(以降、Tgということもある)を持つポリマ
ーを写真用支持体として使用することは一般に知られて
いる。これは熱現像温度より高いTgを持つポリマーで
構成される写真用支持体を使用することで熱収縮による
変形を抑制するものであるが、熱現像温度より高いTg
のポリマーの写真用支持体を使用しても、熱現像画像形
成層側からのみ熱現像処理がなされるとカール変形が起
こってしまう。
【0005】上記のような課題に対し、本発明の目的
は、熱現像処理前後の熱による寸法変化が小さく、また
画像形成層側からのみ熱現像処理が行われても、カール
変形が起こり難く、更に取り扱い易い写真用支持体及び
熱現像感光材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記のよう
な問題点に対し鋭意検討した結果、写真用支持体の熱現
像画像形成層を塗設する側に特定のTg以上を有するポ
リマー層を有する積層した支持体を用いることによっ
て、熱現像処理後の寸法変化が少なく、また画像形成層
側からのみ加熱がされたとしても、カール変形が起こり
難い写真用支持体を、また取り扱い易い熱現像感光材料
を得ることが出来た。
【0007】本発明は下記の構成により達成することが
出来た。
【0008】(1)熱現像感光材料の支持体として用
い、ガラス転移点が100℃以上のポリマーを有する最
外層を有し、かつ該支持体の厚さの総和d1と該ポリマ
ー層の厚さd2の比が0.01〜0.75であることを
特徴とする写真用支持体。
【0009】(2)前記比が0.1〜0.5であること
を特徴とする(1)記載の写真用支持体。
【0010】(3)ガラス転移点が100℃以上の前記
ポリマー層が実質的にポリエチレンナフタレートの層で
あることを特徴とする(1)または(2)に記載の写真
用支持体。
【0011】(4)(1)乃至(3)の何れか1項に記
載の写真用支持体のガラス転移点が100℃以上のポリ
マー層の上に熱現像画像形成層を有することを特徴とす
る熱現像感光材料。
【0012】以下に本発明を詳しく説明する。
【0013】本発明の写真用支持体は、Tgが異なるポ
リマー層を積層したフィルム(以降、積層フィルムとす
ることもある)である。この積層フィルムは何層積層さ
れていても良いが、製造コストや製造の煩雑さから考慮
すると、2層または3層が好ましい。本発明の積層フィ
ルムの層は、積層ポリマー層のTgが異なっており、積
層フィルムの片側の熱現像画像形成層側にTgが100
℃以上のポリマー層を有することが特徴である。
【0014】本発明の積層フィルムの各ポリマー層のポ
リマーとしては、透明性および耐熱寸法安定性が良い下
記のようなポリマー、例えば、ポリエチレンテレフタレ
ート(以降、略してPETとすることもある)、ポリエ
チレンナフタレート(以降、略してPENとすることも
ある)、ポリカーボネート(以降、略してPCとするこ
ともある)、ポリエーテルスルフォン(以降、略してP
ESとすることもある)、ポリアリレート(以降、略し
てPArとすることもある)、ポリエーテルエーテルケ
トン(以降、略してPEEKとすることもある)、ポリ
サルフォン(以降、略してPSOとすることもある)、
ポリイミド(以降、略してPIとすることもある)、ポ
リエーテルイミド(以降、略してPEIとすることもあ
る)、ポリアミド(以降、略してPAmとすることもあ
る)、ポリスチレン(以降、略してPSとすることもあ
る)、シンジオタクチックポリスチレン(以降、略して
SPSとすることもある)等を好ましく挙げることが出
来る。
【0015】上記ポリマーがTg100℃以上の場合は
そのものだけで1層を形成してもよいし、上記Tg10
0℃以上のポリマーを構成する成分を主成分とする共重
合体、またはTg100℃以上のポリマー同士あるいは
Tg100℃以上と以下の2種以上のポリマーをブレン
ドして層を形成しても良い。ここで言う主成分であると
いうのはTg100℃以上のポリマー構成成分の1種が
共重合比率として50重量%以上のものをいう。
【0016】本発明の積層フィルムの熱現像画像形成層
側のポリマー層がTg100℃以上のポリマーであれ
ば、本発明の熱現像感光材料の性質を支えることが出
来、制限なく使用出来るが、前記ポリマーのうちTgが
100℃以上のものとして、PEN、PC、PES、P
Ar、PEEK、PSO、PI、PEI、PAmまたは
SPSがこれに相当し、PEN、PCを単独重合体、ま
たはこれを主成分とする共重合体あるいはブレンドとし
たものが特に好ましい。更に好ましくはPENである。
またPETのようにTgが100℃以下のポリマーでも
Tgが100℃以上のポリマー、例えばPENの構成成
分との共重合、またはPETとPENのブレンドでも総
じてTgが100℃以上ならば使用し得る。なおこれら
2種のポリマーをブレンドした場合、約300℃で押出
機中で溶融するする際、エステル交換する可能性もあり
実質的に共重合体になる可能性がある。
【0017】PENはナフタレンジカルボン酸とエチレ
ングリコールから構成されたポリマーの総称であるが、
このカルボン酸としては、ナフタレン−2,6−ジカル
ボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレ
ン−1,5−ジカルボン酸を挙げることが出来、これら
のうち特にナフタレン−2,6−ジカルボン酸が好まし
い。上記ナフタレンジカルボン酸をポリマーの構成成分
として2種以上混合して使用しても良く、第3構成成分
としては、上記ナフタレンジカルボン酸以外のものも混
合してもよい。例えば、第3成分のジカルボン酸として
次のようなものが挙げられる。例えば、テレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルスルホンジカルボ
ン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエ
タンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフ
ェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボ
ン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダ
ンジカルボン酸などを挙げることが出来る。
【0018】本発明のTgが100℃以上のポリマー、
例えばPENのポリエステルを構成する一員としてのグ
リコールはエチレングリコールであるが、他のグリコー
ル成分を混合してもよい。例えば、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタ
ノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエー
テル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ハイドロキノン、1,4−シクロヘキサンジオール
などを挙げることが出来る。
【0019】本発明に使用するPENの合成方法は、特
に限定的なものがあるわけではなく、従来公知のPET
やPENの製造方法に従って製造出来る。例えば、ジカ
ルボン酸成分をジオール成分と直接反応させる直接エス
テル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエ
ステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換
反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分
を除去することにより重合させるエステル交換法を用い
ることが出来、エステル交換触媒あるいは重合反応触媒
を添加反応または重合するのがよい。また、必要に応じ
て、耐熱安定剤を添加することによって安定なポリエス
テルが得られる。またエステル化あるいは重合過程で着
色防止剤、結晶核剤、易滑剤、安定剤、ブロッキング防
止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、帯電防止剤、染料、
顔料などを添加してもよい。
【0020】本発明において、Tgは示差走査熱量計で
測定するところのベースラインが偏奇し始める温度と、
新たにベースラインに戻る温度との平均値として求めた
ものである。
【0021】本発明の積層フィルムにおいて、Tgが1
00℃以上のポリマー層d2の支持体の厚さの総和d1
対する比が、0.01≦d2/d1≦0.75であること
が好ましく、優れた耐熱寸法安定性やカール変形の起こ
りにくい熱現像写真感光材料用の支持体を得ることが出
来る。特に好ましくは0.1≦d2/d1≦0.5であ
る。
【0022】本発明の写真用支持体を構成する、上記T
gが100℃以上のポリマー層以外の層のポリマーは、
前記ポリマーの単独ポリマーまたは共重合体あるいはブ
レンドとして熱現像画像形成層側のポリマー層1よりも
低いTgのポリマーを使用するポリマー層2を積層する
ことによって本発明が達成される。Tgが100℃以下
のポリマーとしてはPETが好ましく、ポリマー層2と
して、PETの単独ポリマー層でも、PET構成成分を
有する共重合体層でも、PETあるいはPET構成成分
を有する共重合体を含有するポリマーブレンド層であっ
てもよい。
【0023】本発明の写真用支持体には、酸化防止剤を
含有していることが好ましい。酸化防止剤は、押出機で
溶融する前にタンブラーのような混合乾燥機中で添加し
ても、また押出機に投入する際に混合してもよい。酸化
防止剤はその種類について特に限定はなく、各種の酸化
防止剤を使用することが出来るが、例えば、ヒンダード
フェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエー
テル系化合物などの酸化防止剤を挙げることが出来る。
中でも、透明性の良い点からヒンダードフェノール系化
合物の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の含有量は、
通常、0.01〜2重量%、好ましくは0.1〜0.5
%である。酸化防止剤の含有量をこの範囲とすること
で、熱現像写真感光材料のカブリが防止出来、かつ、支
持体のヘーズを低く抑えることが出来るので、透明性の
優れた熱現像写真感光材料用支持体を得ることが出来
る。なお、これらの酸化防止剤は二種以上を組合せて使
用してもよい。
【0024】また、必要に応じて易滑性を付与するため
の易滑剤を添加することも出来る。易滑性付与手段とし
ては、特に限定はないが、不活性無機粒子を添加する外
部粒子添加方法、ポリマー重合時に添加する触媒を析出
させる内部粒子析出方法、あるいは界面活性剤などを支
持体表面に塗布する方法などが一般的である。これらの
中でも、析出する粒子を比較的小さくコントロール出来
る内部粒子析出方法が、支持体の透明性を損なうことな
く易滑性を付与出来るので好ましい。
【0025】本発明の写真用支持体の厚みは特に限定が
ある訳ではなく、その使用目的に応じて必要な強度を有
する様に設定すればよい。特に医用や印刷用写真感光材
料に用いられる場合は、50〜250μm、特に70〜
200μmであることが好ましい。
【0026】また、本発明の写真用支持体は、ヘーズが
3%以下であることが画像形成層の鮮鋭性を高めること
が出来るので好ましく、更に好ましくは1%以下であ
る。上記ヘーズは、ASTM−D1003−52に従っ
て測定したものである。
【0027】本発明の写真用支持体は、米国特許第4,
141,735号明細書に記載のようなTg以下の温度
での熱処理、あるいは特開平9−218486号、同9
−281650号及び同10−103944号公報に記
載のような(Tg+25℃)〜(Tg+5℃)の温度範
囲を20秒〜300秒かけて通過する様に冷却しながら
の熱処理を施すことにより、巻き癖をつきにくくするこ
とが出来る。
【0028】本発明の写真用支持体の2層以上を積層す
る製造法については、例えば、2種以上のポリマーを別
々の押出機から溶融押し出した後、溶融ポリマーの導管
内または押出口金内において層流状で接合せしめて押し
出し、冷却ドラム上で冷却固化し、未延伸シートを得た
後、2軸延伸し、熱固定する共押出方法、もしくはポリ
エステルを押出機から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却
固化した未延伸シートまたは該未延伸フィルムを一軸延
伸した一軸配向フィルムの面に、必要に応じてアンカー
剤、接着剤等をコーティングした後、その上にポリマー
をエクストルージョンラミネートし、次いで2軸延伸を
完了した後、熱固定するエクストルージョンラミネート
法等があるが、工程の簡便さからは共押出方法を用いる
ことが好ましい。未延伸シートを2軸延伸する方法とし
ては、例えば、次の(A)、(B)または(C)のうち
何れかの方法を採用することが出来る。ただし、フィル
ム支持体の機械的強度、寸法安定性等を満足させるため
に、延伸倍率は面積比で4〜16倍の範囲で行うことが
好ましい。
【0029】(A)未延伸シートをまず縦方向に延伸
し、次いで横方向に延伸する方法 (B)未延伸シートをまず横方向に延伸し、次いで縦方
向に延伸する方法 (C)未延伸シートを1段または多段で縦方向に延伸し
た後、再度縦方向に延伸し、次いで横方向に延伸する方
法。
【0030】延伸条件は限定されないが、ポリマー層1
の条件に合わせることが好ましく、例えば、温度は(T
g)〜(Tg+100℃)、2軸方向へそれぞれの延伸
倍率は2.5〜6.0、熱固定温度は150〜240℃
の範囲であることが好ましい。
【0031】次に、本発明における熱現像画像形成層と
写真用支持体とを接着させる下引層及び下引処理につい
て述べる。
【0032】下引層を塗設する際には、支持体を前もっ
て薬品処理、機械的粗面化処理、コロナ放電処理、火炎
処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性
プラズマ処理、レーザー処理などを施すことが好まし
い。これらの処理により表面の表面張力を50dyen
/cm以上にすることが好ましい。
【0033】下引層については、当業者で用いられてい
るものは何れも使用出来る。また、下引層は、1層で
も、2層以上重層してもよいが、より機能性を付与して
接着力を高めるためには重層であることが望ましい。
【0034】以下下引層の重層について説明する。
【0035】重層においては、下引第1層が支持体とよ
く接着することが重要である。下引第1層の素材として
は、メタクリル酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸も
しくはそのエステル、スチレン、塩化ビニリデン、塩化
ビニル等の単量体から得られる重合体もしくは共重合
体、また、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン
イミン、エポキシ樹脂等の水分散物などを挙げることが
出来る。この中で好ましいものは、水分散性ポリエステ
ル、あるいはスチレン系共重合体である。
【0036】水分散性ポリエステルとは、多塩基酸成分
として多塩基酸またはそのエステルと、ポリオール成分
のポリオールとからの縮重合反応により得られる実質的
に線状のポリマーである。多塩基酸成分としては、テレ
フタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸などを挙げること
が出来る。これら成分と共にマレイン酸、フマール酸、
イタコン酸などの不飽和多塩基酸や、p−ヒドロキシ安
息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸など
のヒドロキシカルボン酸を少い割合用いてもよい。
【0037】また、ポリオール成分としては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジメタノール、キシリレングリコール、トリメチロ
ールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、
ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなどを挙げ
ることが出来る。
【0038】本発明の写真用支持体の下引層に使用する
ポリエステルに水分散性または水溶性(場合によって
は)を付与するために、スルホン酸塩、ジエチレングリ
コール、ポリアルキレンエーテルグリコールなどの導入
が有効な手段である。特にスルホン酸塩を有するジカル
ボン酸成分(スルホン酸塩を有するジカルボン酸または
そのエステル)を水分散性ポリエステル中の全ジカルボ
ン酸成分に対して5〜15モル%含有することが好まし
い。
【0039】本発明の下引層に用いられる水分散性また
は水溶性ポリエステルのスルホン酸塩を有するジカルボ
ン酸またはそのエステルとしてはスルホン酸アルカリ金
属塩の基を有するものが特に好ましく、例えば、4−ス
ルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、スルホテ
レフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレ
ン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキ
シ)イソフタル酸などのアルカリ金属塩またはそのエス
テルが用いられるが、5−スルホイソフタル酸ナトリウ
ム塩またはそのエステルが特に好ましい。これらのスル
ホン酸塩を有するジカルボン酸及び/又はそのエステル
形成性誘導体は、水溶性と耐水性の両方の点から全ジカ
ルボン酸成分に対し6〜10モル%で用いられることが
特に好ましい。ここでいうジカルボン酸のエステルは2
個の炭素数1〜3の低級アルコールのエステルあるいは
2個のエチレングリコールのハーフエステルである。
【0040】本発明の写真用支持体の下引層に用いるス
チレン系共重合体のスチレン以外の単量体としては、メ
チルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアク
リレート、エチルメタクリレート、(n)プロピルメチ
ルアクリレート、(n)プロピルメタクリレート、
(i)プロピルアクリレート、(i)プロピルメタクリ
レート、(n)ブチルアクリレート、(n)ブチルメタ
クリレート、(i)ブチルアクリレート、(i)ブチル
メタクリレート、(s)ブチルアクリレート、(s)ブ
チルメタクリレート、(t)ブチルアクリレート、
(t)ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロ
ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、
ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェ
ネチルアクリレート、フェネチルメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロプルメタクリレート等のアクリ
レート類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N
−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミ
ド、N−(n)ブチルアクリルアミド、N−(i)ブチ
ルアクリルアミド、N−(s)ブチルアクリルアミド、
N−(t)ブチルアクリルアミド、N−エチルメタクリ
ルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−(n)
ブチルメタクリルアミド、N−(iso)ブチルメタク
リルアミド、N−(sec)ブチルメタクリルアミド、
N−(t)ブチルメタクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,
N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチル
アクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フ
ェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミ
ド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−フェネチルア
クリルアミド、N−フェネチルメタクリルアミド等のア
クリルアミド類;また特殊の置換基をもつものとして、
N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−
ジエチルアミノメタクリレートのアミノ基含有アクリレ
ート類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリ
レート等のエポキシ基含有アクリレート類;アクリル
酸、メタクリル酸、イタコン酸及びそれらの塩(ナトリ
ウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のエチレン性
不飽和酸またはその塩;スチレンスルホン酸、ビニルス
ルホン酸、4−スルホメチルスチレン及びそれらの塩
(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のス
チレンスルホン酸またはその塩;また、無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の酸無水物;ビニルイソシアネー
ト、アリルイソシアネート、ビニルメチルエーテル、ビ
ニルエチルエーテル、アクリロニトリル、塩化ビニル、
酢酸ビニル、塩化ビニリデン等を挙げる事が出来る。上
述の単量体は、2種以上を用いて共重合させてもよい。
【0041】水分散性ポリエステルをスチレン系共重合
体で変性させることも出来る。それには水分散性ポリエ
ステルの末端に付加重合可能な基を導入してスチレン系
共重合体の単量体と共重合することによりグラフト化す
る方法、スチレン系共重合体が持っているカルボン酸、
グリシジル基やアミノ基等の反応基を水分散性ポリエス
テルを縮重合する際に反応可能基を導入するグラフト化
する方法等がある。これらのグラフト化に使用する重合
開始剤には、通常使用されるもの、例えば、過硫酸アン
モニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、アゾビ
スイソブチロニトリル(ABIN)及びこのAIBNの
量末端にカルボン酸基やアミノ基を持つABIN系開始
剤等が使用出来、過硫酸アンモニウムが好ましく使用出
来る。また、このカルボン酸基やアミノ基ABIN系開
始剤でスチレン系共重合体を重合しておき、出来たビニ
ル系重合体の末端にある開始剤の片割れのカルボン酸基
やアミノ基にポリエステルを重合する過程でエステル化
することによってグラフト化することも出来る。この変
性ポリエステルグラフト化物を合成するには、特に界面
活性剤を必要とせず、ソープフリーで反応可能である。
しかし、重合安定性を改良する目的で、系内に界面活性
剤を乳化剤として用いてもよく、一般のノニオン性・ア
ニオン性いずれの界面活性剤も使用出来る。
【0042】上記の水分散性ポリエステルとスチレン系
共重合体の変性する割合は、(99/1)〜(5/9
5)、好ましくは(97/3)〜(50/50)、更に
好ましくは(95/5)〜(80/20)がよい。ここ
で、(/)は(ポリエステル/スチレン系共重合体)で
ある。
【0043】本発明の写真用支持体に塗設する下引第1
層中には、硬膜剤を添加することによって接着をより強
固にすることが出来る。かかる硬膜剤としては、例えば
ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデ
ヒド化合物、米国特許2,732,303号、同3,2
88,775号、英国特許974,723号、同1,1
67,207号明細書等に記載されている反応性ハロゲ
ンを有する化合物、ジアセチル、シクロペンタンジオン
の如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル)尿素、
2−ヒドキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリア
ジン(またはそのナトリウム塩)、ジビニルスルホン、
5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−
1,3,5−トリアジン;米国特許第3,232,76
3号、同第3,635,718号、英国特許第994,
809号明細書等に記載の反応性オレフィンを有する化
合物;米国特許第3,539,644号、同第3,64
2,486号明細書、特公昭49−13568号、同5
3−47271号、同56−48860号、特開昭53
−57257号、同61−128240号、同62−4
275号、同63−53541号、同63−26457
2号公報等に記載のビニルスルホン化合物、N−ヒドロ
キシメチルフタルイミド;米国特許第2,732,31
6号、同第2,586,168号明細書等に記載のN−
メチロール化合物;米国特許第3,103,437号明
細書等に記載のイソシアネート化合物;米国特許第2,
983,611号、同第3,107,280号明細書等
に記載のアジリジン化合物;米国特許第2,725,2
94号、同第2,725,295号明細書等に記載の酸
誘導体類;米国特許第3,100,704号明細書等に
記載のカルボジイミド系化合物;米国特許第3,09
1,537号明細書等に記載のエポキシ系化合物;米国
特許第3,321,313号、同3,543,292号
明細書等に記載のイソオキサゾール系化合物、ムコクロ
ル酸のようなハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒド
ロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン
誘導体等の有機硬膜剤、更にクロムミョウバン、硫酸ジ
ルコニウム、三塩化クロム等の無機硬膜剤等を挙げるこ
とが出来る。またゼラチンに対して比較的硬膜作用が比
較的速い硬膜剤としては、特開昭50−38540号公
報に記載のジヒドロキノリン骨格を有する化合物;、特
開昭51−59625号、同62−262854号、同
62−264044号、同63−184741号公報に
記載のN−カルバモイルピリジニウム塩類;特公昭55
−38655号公報に記載のアシルイミダゾール類;特
公昭53−22089号公報に記載のN−アシルオキシ
イミダゾール類;特公昭53−22089号公報に記載
のN−アシルオキシイミノ基を分子内に2個以上有する
化合物;特開昭52−93470号公報に記載のN−ス
ルホニルオキシイミド基を有する化合物;特開昭58−
113929号公報に記載のリン−ハロゲン結合を有す
る化合物;特開昭60−225148号、同61−24
0236号、同63−41580号公報に記載のクロロ
ホルムアミジニウム化合物等を挙げることが出来る。
【0044】また、下引第1層塗布液に界面活性剤やメ
チルセルロース等のセルロース化合物を含有させること
ことにより塗布性を向上させることが出来好ましい。
【0045】下引第1層の塗設は、本発明の支持体を製
膜中に延伸前下引でも、縦延伸後下引でも、また2軸延
伸後下引を行ってもよい。
【0046】下引第2層は、熱現像画像形成層と良く接
着する親水性樹脂層であることが好ましい。親水性樹脂
層を構成するバインダーとしては、ゼラチン、ゼラチン
誘導体、ガゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷ
ん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、等の水溶性ポリマー類、ポリスチレンスルホン酸
ソーダ共重合体と疎水性ラテックスの組み合わせなどが
挙げられるが、このうちゼラチンが好ましい。
【0047】下引第2層にも、硬膜剤を添加することに
より、膜強度を高めることと接着性の強化をはかること
が出来る。硬膜剤としては、前記下引第1層のところで
記載したものが同様に使用することが出来る。
【0048】この下引第2層には、二酸化珪素、二酸化
チタン等の無機微粒子やポリメタクリル酸メチル等の有
機系マット剤(1〜10μm)を含有することが好まし
い。これ以外にも必要に応じて、各種の添加剤例えば、
帯電防止剤、ハレーション防止剤、着色用染料、顔料、
塗布助剤を含有することが出来る。
【0049】下引第2層に帯電防止剤を含有させること
によって好ましい帯電防止効果が得られる。帯電防止剤
としては、導電性帯電防止剤が好ましく、粒子中に存在
する電荷担体、例えば陽イオン、陰イオン、電子、正孔
等によって導電性を示すもので、有機材料、無機材料あ
るいは両者の複合材料でもよい。好ましくは電子伝導性
を示す化合物であり、有機材料であればポリアニリン、
ポリピロール、ポリアセチレン等の高分子微粒子等が挙
げることができ、無機材料であれば酸素不足酸化物、金
属過剰酸化物、金属不足酸化物、酸素過剰酸化物等の不
定比化合物を形成し易い金属酸化物微粒子等が挙げられ
る。また電荷移動錯体もしくは有機−無機複合材料であ
ればホスファゼン金属錯体等を挙げることが出来る。こ
の中で最も好ましい導電性帯電防止剤は導電性微粒子の
金属酸化物微粒子で、酸化第2スズコロイド状物あるい
は酸化第2スズ他の金属をドープした微粒子粉末等であ
る。
【0050】次に、熱現像画像形成材料について説明す
る。
【0051】熱現像感光材料の詳細は、例えば、米国特
許第3,152,904号、同第3,457,075号
明細書、及びD.モーガン(Morgan)による「ド
ライシルバー写真材料(Dry Silver Pho
tographic Material)」やD.モー
ガン(Morgan)とB.シェリー(Shely)に
よる「熱によって処理される銀システム(Therma
lly Processed SilverSyste
ms)」(イメイジング・プロセッシズ・アンド・マテ
リアルズ(Imaging Processes an
d Materials)Neblette 第8版、
スタージ(Sturge)、V.ウォールワース(Wa
lworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第
2頁、1969年)等に開示されている。
【0052】本発明の熱現像感光材料は、80〜150
℃で熱現像することで画像を形成させ、定着を行わない
ことが特徴である。そのため、未露光部に残ったハロゲ
ン化銀や有機銀塩は除去されずにそのまま熱現像画像形
成層中に残るが、熱が加わらない限りカブリ濃度が増加
することはない。
【0053】本発明においては、熱現像処理した後熱現
像写真感光材料全ての光透過性は、400nmにおける
光学透過濃度が0.2以下であることが好ましく、更に
好ましくは0.02〜0.2以下である。0.02未満
では感度が低く使用ができないことがある。
【0054】本発明の熱現像画像形成層のハロゲン化銀
粒子は光センサーとして機能する。ハロゲン化銀粒子は
平均粒子サイズは、画像形成後の画像形成層の白濁を低
く抑え、良好な画質を得るために小さい方がよく、平均
粒子サイズとして0.1μm以下、より好ましくは0.
01μm〜0.1μm、特に0.02μm〜0.08μ
mであることが好ましい。ここでいう粒子サイズとは、
ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正
常晶である場合には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをい
う。又、正常晶でない場合、例えば球状、棒状、あるい
は平板状の粒子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と
同等な球を考えたときの直径をいう。またハロゲン化銀
は単分散であることが好ましい。ここでいう単分散と
は、下記式で求められる単分散度が40以下をいう。単
分散度は、好ましくは30以下であり、特に好ましくは
0.1〜20%である粒子である。
【0055】単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の
平均値)×100 本発明に用いられるハロゲン化銀の粒子が平均粒径0.
1μm以下でかつ単分散粒子であることがより好まし
く、こうすることによって画像の粒状性も向上すること
が出来る。ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制
限はないが、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高
いことが好ましく、この割合が50%以上、更には70
%以上、特に80%以上であることが好ましい。ミラー
指数〔100〕面の比率は増感色素の吸着における〔1
11〕面と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.
Tani:J.Imaging Sci.、29巻、1
65頁(1985)により求めることが出来る。またも
う一つの好ましいハロゲン化銀の形状は、平板粒子であ
る。ここでいう平板粒子とは、投影面積の平方根を粒径
rμmとして垂直方向の厚みhμmした場合のアスペク
ト比(AR)=r/hが3以上のものをいう。
【0056】AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm) その中でも好ましくはアスペクト比が3以上50以下で
ある。また粒径は0.1μm以下であることが好まし
く、0.01μm〜0.08μmがより好ましい。これ
らは米国特許第5,264,337号、第5,314,
798号、第5,320,958号明細書等に記載され
ており、容易に目的の平板状粒子を得ることが出来る。
本発明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、さら
に画像の鮮鋭性も向上する。
【0057】ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成としては
特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化
銀、沃臭化銀、沃化銀の何れであってもよい。本発明に
用いるハロゲン化銀乳剤は、P.Glafkides
著、Chimie et Physique Phot
ographique(Paul Montel社刊、
1967年)、G.F.Duffin著 、Photo
graphic Emulsion Chemistr
y(The Focal Press刊、1966
年)、V.L.Zelikman et al著、Ma
king and Coating Photogra
phic Emulsion(The Focal P
ress刊、1964年)等に記載された方法を用いて
調製することが出来る。即ち、酸性法、中性法、アンモ
ニア法等の何れでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロ
ゲン塩を反応させるハロゲン化銀形成方法としては、片
側混合法、同時混合法、それらの組合せ等の何れを用い
てもよい。熱現像画像形成層にこのハロゲン化銀を混合
する際、ハロゲン化銀が還元可能な銀源に近接するよう
に配置させることが重要である。またハロゲン化銀は、
有機酸銀とハロゲンイオンとの反応によって有機酸銀の
銀の一部または全部をハロゲン化銀に変換することによ
って調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め調製してお
き、これを有機銀塩を調製するための溶液に添加しても
よく、またはこれらの方法の組み合わせも可能である
が、後者が好ましい。熱現像画像形成層はハロゲン化銀
を有機銀塩に対して0.75〜30重量%含有すること
が好ましい。
【0058】本発明に用いられるハロゲン化銀に、元素
周期律表の6族から10族に属する金属のイオンまたは
錯体イオンを含有させることが好ましく、W、Fe、C
o、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、I
r、Pt、Au等が好ましい。これらの金属はハロゲン
化銀に錯体の形で導入されるが、本発明においては、遷
移金属錯体として下記一般式で表される6配位錯体が好
ましい。
【0059】一般式〔ML6m ここで、式中Mは元素周期表の6〜10族の元素から選
ばれる遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、−1、−2
または−3を表す。Lで表される配位子の具体例として
は、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化
物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレ
ノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各
配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好
ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等であ
る。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つまた
は二つを占めることが好ましい。Lは同一でもよく、ま
た異なっていてもよい。Mとして特に好ましい具体例
は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム
(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)
である。
【0060】以下に遷移金属配位錯体の具体例を示す。
【0061】 1:〔RhCl63- 2:〔RuCl63- 3:〔ReCl63- 4:〔RuBr63- 5:〔OsCl63- 6:〔IrCl64- 7:〔Ru(NO)Cl52- 8:〔RuBr4(H2O)〕2- 9:〔Ru(NO)(H2O)Cl4- 10:〔RhCl5(H2O)〕2- 11:〔Re(NO)Cl52− 12:〔Re(NO)CN2- 13:〔Re(NO)ClCN42- 14:〔Rh(NO)2Cl4- 15:〔Rh(NO)(H2O)Cl4- 16:〔Ru(NO)CN52- 17:〔Fe(CN)63- 18:〔Rh(NS)Cl52- 19:〔Os(NO)Cl52- 20:〔Cr(NO)Cl52- 21:〔Re(NO)Cl5- 22:〔Os(NS)Cl4(TeCN)〕2- 23:〔Ru(NS)Cl52- 24:〔Re(NS)Cl4(SeCN)〕2- 25:〔Os(NS)Cl(SCN)42- 26:〔Ir(NO)Cl52- 27:〔Ir(NS)Cl5〕2- これらの金属のイオンまたは錯体イオンは一種類でもよ
いし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用しても
よい。これらの金属のイオンまたは錯体イオンの含有量
としては、一般的にはハロゲン化銀1モル当たり1×1
-9〜1×10-2モルが適当であり、好ましくは1×1
-8〜1×10-4モルである。これらの金属のイオンま
たは錯体イオンを提供する化合物は、ハロゲン化銀粒子
形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれるこ
とが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形
成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加
してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添
加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加
するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加
する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加して
もよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることも
出来るし、特開昭63−29603号、特開平2−30
6236号、同3−167545号、同4−76534
号、同6−110146号、同5−273683号等公
報に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有さ
せることも出来る。好ましくは粒子内部に分布をも持た
せることが出来る。これらの金属化合物は水あるいは適
当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グ
リコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解
して添加することが出来るが、その添加調整方法は、例
えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とN
aCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成
中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中に添加
しておく方法、あるいは銀塩溶液とハライド溶液が同時
に混合される時に第3の水溶液として添加し、3液同時
混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形
成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入す
る方法、あるいはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオ
ンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀
粒子を添加して溶解させる方法等があるが、特に、金属
化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、
KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド溶液
に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時に
は、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了時
または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反応
容器に投入することも出来る。一般に形成されたハロゲ
ン化銀粒子は不必要な塩類をヌードル法、フロキュレー
ション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱
塩しているが、本発明においては脱塩してもしなくても
よい。
【0062】本発明の熱現像写真感光材料に使用するハ
ロゲン化銀粒子は化学増感されていることが好ましい。
化学増感法としては当業界でよく知られているように硫
黄増感法、セレン増感法、テルル増感法等があり、何れ
も用いることが出来る。また本発明においては、金化合
物や白金、パラジウム、イリジウム化合物等の貴金属増
感法や還元増感法も用いることが出来る。硫黄増感法、
セレン増感法、テルル増感法の化合物としては公知の化
合物を本発明においても好ましく用いることが出来る
が、特開平7−128768号公報に記載の化合物も使
用することが出来る。テルル増感剤としては例えばジア
シルテルリド類、ビス(オキシカルボニル)テルリド
類、ビス(カルバモイル)テルリド類、ジアシルテルリ
ド類、ビス(オキシカルボニル)ジテルリド類、ビス
(カルバモイル)ジテルリド類、P=Te結合を有する
化合物、テルロカルボン酸塩類、Te−オルガニルテル
ロカルボン酸エステル類、ジ(ポリ)テルリド類、テル
リド類、テルロール類、テルロアセタール類、テルロス
ルホナート類、P−Te結合を有する化合物、含Teヘ
テロ環類、テルロカルボニル化合物、無機テルル化合
物、コロイド状テルルなどを用いることが出来る。貴金
属増感法に好ましく用いられる化合物としては例えば塩
化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチ
オシアネート、硫化金、金セレナイド、あるいは米国特
許2,448,060号、英国特許618,061号明
細書等に記載されている化合物を好ましく用いることが
出来る。還元増感法の具体的な化合物としてはアスコル
ビン酸、二酸化チオ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、
アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、
ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物等を用
いることが出来る。また、乳剤のpHを7以上またはp
Agを8.3以下に保持して熟成することにより還元増
感することが出来る。また、粒子形成中に銀イオンのシ
ングルアディション部分を導入することにより還元増感
することが出来る。
【0063】本発明の熱現像写真感光材料に使用する有
機銀化合物は熱現像写真感光材料において重要な素材の
一つである。有機銀化合物は還元可能な銀源であり、還
元可能な銀イオン源を含有する有機酸及びヘテロ有機酸
の銀塩、特に長鎖(炭素原子数10〜30、好ましくは
15〜25)の脂肪族カルボン酸及び含窒素複素環が好
ましい。配位子が、4.0〜10.0の銀イオンに対す
る総安定定数を有する有機または無機の銀塩錯体も有用
である。好適な有機銀化合物の例は、Research
Disclosure第17029及び29963に
記載されており、次のものが有用である。有機銀化合物
は、例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジ
ン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の
塩);銀のカルボキシアルキルチオ尿素塩(例えば、1
−(3−カルボキシプロピル)チオ尿素、1−(3−カ
ルボキシプロピル)−3,3−ジメチルチオ尿素等);
アルデヒドとヒドロキシ置換芳香族カルボン酸とのポリ
マー反応生成物の銀錯体(例えば、アルデヒド類(ホル
ムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド
等)、ヒドロキシ置換酸類(例えば、サリチル酸、安息
香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、5,5−チオジ
サリチル酸)、チオエン類の銀塩または錯体(例えば、
3−(2−カルボキシエチル)−4−ヒドロキシメチル
−4−(チアゾリン−2−チオエン、及び3−カルボキ
シメチル−4−チアゾリン−2−チオエン)、イミダゾ
ール、ピラゾール、ウラゾール、1,2,4−チアゾー
ル及び1H−テトラゾール、3−アミノ−5−ベンジル
チオ−1,2,4−トリアゾール及びベンゾトリアゾー
ルから選択される窒素酸と銀との錯体また塩;サッカリ
ン、5−クロロサリチルアルドキシム等の銀塩;及びメ
ルカプチド類の銀塩。これらのうち好ましい有機銀化合
物はベヘン酸銀、アラキジン酸銀またはステアリン酸銀
である。
【0064】本発明において、有機銀化合物は、水溶性
銀化合物と銀と錯形成する化合物を混合することにより
得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平
9−127643号に記載されている様なコントロール
ドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例えば、
有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソ
ープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナト
リウムなど)を作成した後に、コントロールドダブルジ
ェットにより、前記ソープと硝酸銀などを添加して有機
酸銀塩の結晶を作成する。その際にハロゲン化銀粒子を
混在させてもよい。
【0065】本発明において、有機銀化合物は平均粒径
が1μm以下でありかつ単分散であることが好ましい。
有機銀化合物の平均粒径とは、有機銀化合物の粒子が例
えば球状、棒状、あるいは平板状の粒子の場合には、有
機銀化合物粒子の体積と同等な球を考えたときの直径を
いう。平均粒径は好ましくは0.01μm〜0.8μ
m、特に0.05μm〜0.5μmが好ましい。また単
分散とは、ハロゲン化銀の場合と同義であり、好ましく
は単分散度が1〜30である。本発明においては、有機
銀化合物が平均粒径1μm以下の単分散粒子であること
がより好ましく、この範囲にすることで濃度の高い画像
が得られる。更に有機銀化合物は平板状粒子が全有機銀
化合物の60%以上有することが好ましい。本発明にお
いてはアスペクト比が3以上のものがよい。
【0066】有機銀化合物をこれらの形状にするために
は、前記有機銀化合物結晶をバインダーや界面活性剤な
どをボールミルなどで分散粉砕することで得られる。
【0067】本発明の熱現像画像形成層の失透を防ぐた
めには、ハロゲン化銀及び有機銀化合物の総量は、銀量
に換算して1m2当たり0.5〜2.2gであることが
好ましい。この範囲にすることで硬調な画像が得られ
る。また銀総量に対するハロゲン化銀の量は、重量比で
50%以下、好ましくは25%以下、更に好ましくは
0.1〜15%の間である。
【0068】本発明の熱現像感光材料には還元剤を内蔵
させることが好ましい。好適な還元剤の例は、米国特許
第3,770,448号、同第3,773,512号、
同第3,593,863号等明細書、及びResear
ch Disclosure第17029及び2996
3に記載されており、次のものがある。アミノヒドロキ
シシクロアルケノン化合物(例えば、2−ヒドロキシピ
ペリジノ−2−シクロヘキセノン);還元剤の前駆体と
してアミノリダクトン類エステル(例えば、ピペリジノ
ヘキソースリダクトンモノアセテート);N−ヒドロキ
シ尿素誘導体(例えば、N−p−メチルフェニル−N−
ヒドロキシ尿素);アルデヒドまたはケトンのヒドラゾ
ン類(例えば、アントラセンアルデヒドフェニルヒドラ
ゾン);ホスファーアミドフェノール類;ホスファーア
ミドアニリン類;ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、
ヒドロキノン、(t)ブチル−ヒドロキノン、イソプロ
ピルヒドロキノン及び(2,5−ジヒドロキシ−フェニ
ル)メチルスルホン);スルフヒドロキサム酸類(例え
ば、ベンゼンスルフヒドロキサム酸);スルホンアミド
アニリン類(例えば、4−(N−メタンスルホンアミ
ド)アニリン);2−テトラゾリルチオヒドロキノン類
(例えば、2−メチル−5−(1−フェニル−5−テト
ラゾリルチオ)ヒドロキノン);テトラヒドロキノキサ
リン類(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロキノキ
サリン);アミドオキシン類;アジン類(例えば、脂肪
族カルボン酸アリールヒドラザイド類とアスコルビン酸
の組み合わせ);ポリヒドロキシベンゼンとヒドロキシ
ルアミンの組み合わせ、リダクトン及び/またはヒドラ
ジン;ヒドロキサン酸類;アジン類とスルホンアミドフ
ェノール類の組み合わせ;α−シアノフェニル酢酸誘導
体;ビス−β−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベン
ゼン誘導体の組み合わせ;5−ピラゾロン類;スルホン
アミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,
3−ジオン等;クロマン;1,4−ジヒドロピリジン類
(例えば、2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエト
キシ−1,4−ジヒドロピリジン);ビスフェノール類
(例えば、ビス(2−ヒドロキシ−3−(t)ブチル−
5−メチルフェニル)メタン、ビス(6−ヒドロキシ−
m−トリ)メシトール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
−3−メチルフェニル)プロパン、4,5−エチリデン
−ビス(2−(t)ブチル−6−メチル)フェノー
ル)、紫外線感応性アスコルビン酸誘導体及び3−ピラ
ゾリドン類。中でも特に好ましい還元剤はヒンダードフ
ェノール類である。ヒンダードフェノール類としては下
記一般式(A)で表される化合物が挙げられる。
【0069】
【化1】
【0070】式中、Rは水素原子、または炭素原子数1
〜10のアルキル基(例えば、−C49、2,4,4−
トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原子
数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、
(t)ブチル)を表す。
【0071】一般式(A)で表される化合物の具体例を
以下に示す。ただし、本発明は、以下の化合物に限定さ
れるものではない。
【0072】
【化2】
【0073】
【化3】
【0074】前記一般式(A)で表される化合物を始め
とする還元剤の使用量は好ましくは銀1モル当り1×1
-2〜10モル、特に1×10-2〜1.5モルである。
【0075】本発明の熱現像感光材料に好適なバインダ
ーは透明または半透明で一般に無色の天然高分子化合物
や合成高分子化合物ならば使用出来る。例えば:ゼラチ
ン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシ
エチルセルロース、セルロースジアセテート、セルロー
スアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、カゼ
イン、デンプン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリ
ル酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、スチレン−
無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル
共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニル
アセタール類(例えば、ポリビニルホルマール及びポリ
ビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン
類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキ
シド類、ポリカーボネート類、ポリ酢酸ビニル、ポリア
ミド類がある。親水性でも非親水性何れでもよい。また
熱現像写真感光材料の表面を保護したり擦り傷を防止す
るために、熱現像画像形成層の外側に非感光性層を設け
てもよい。これらの非感光性層に用いられるバインダー
は感光性層に用いられるバインダーと同じ種類でも異な
った種類でもよい。
【0076】本発明の熱現像写真感光材料の熱現像の速
度を速める一つの手段として熱現像画像形成層のバイン
ダー量を1.5〜10g/m2とすることが好ましく、
1.7〜8g/m2がより好ましい。これはバインダー
中の画像形成物質の量を適度に有することにより画像濃
度を維持することが出来る。
【0077】また、本発明においては、熱現像画像形成
層側にマット剤を有する層があることが好ましく、熱現
像処理後の画像が傷つくのを防止するためもので、熱現
像画像形成層の最外層にマット剤を有することが好まし
く、熱現像画像形成層の全バインダーに対し、重量比で
0.5〜30%含有することが好ましい。マット剤の材
質は、有機物及び無機物の何れでもよい。例えば、無機
物としては、スイス特許第330,158号明細書等に
記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書
等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号
明細書等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、
亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることが出来
る。有機物としては、米国特許第2,322,037号
明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451
号や英国特許第981,198号明細書等に記載された
澱粉誘導体粒子、特公昭44−3643号公報等に記載
のポリビニルアルコール粒子、スイス特許第330,1
58号明細書等に記載のポリスチレンあるいはポリメタ
アクリレート粒子、米国特許第3,079,257号明
細書等に記載のポリアクリロニトリル粒子、米国特許第
3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボ
ネート粒子の様な有機マット剤を用いることが出来る。
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでも良いが、好
ましくは定形で、球形が好ましく用いられる。マット剤
の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径
で表される。マット剤の粒径とはこの球形換算した直径
のことを示すものとする。マット剤は平均粒径が0.5
〜10μmのものが好ましく、更に好ましくは1.0〜
8.0μmである。
【0078】本発明の熱現像感光材料において、熱現像
処理にて写真画像を形成するもので、還元可能な銀源
(有機銀化合物)、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び必
要に応じて銀の色調を抑制する色調剤等が、バインダー
中に分散した状態で存在することが好ましい。本発明の
熱現像感光材料は常温で安定であるが、露光後、例え
ば、80℃〜150℃で加熱することによって現像され
る。熱により有機銀化合物(酸化剤として機能する)と
還元剤との間で酸化還元反応が起こり銀を生成する。こ
の酸化還元反応は露光でハロゲン化銀に発生した潜像が
触媒となって促進される。露光領域中の有機銀化合物が
反応して生成した銀は、黒色画像となる。この反応過程
は、外部から水等の処理液の供給を一切受けずに進行す
る。
【0079】本発明の熱現像感光材料は、写真用支持体
上に少なくとも1層の熱現像画像形成層を有しており、
熱現像画像形成層だけでもよいが、この層の上に少なく
とも1層の非感光性層があることが好ましい。熱現像写
真感光材料には、熱現像画像形成層側にフィルター染料
層を、また反対側にはアンチハレーション染料層やバッ
ク層を有していてもよく、また熱現像画像形成層に染料
または顔料を含ませてもよい。染料としては所望の波長
範囲の光を吸収するものであればいかなる化合物でも使
用し得る。例えば特開昭59−6481号、同59−1
82436号公報、米国特許第4,271,263号、
米国特許第4,594,312号明細書、欧州特許公開
第533,008号、欧州特許公開第652,473号
明細書、特開平2−216140号、同4−34833
9号、同7−191432号、同7−301890号公
報などの記載の化合物が好ましく用いられる。
【0080】またこれらの非感光性層には前記のバイン
ダーやマット剤を含有することが好ましく、さらにポリ
シロキサン化合物やワックスや流動パラフィンのような
スベリ剤を含有してもよい。
【0081】熱現像画像形成層は複数層としてもよく、
また画像の階調を調節のために高感層と低感層を設け、
何れかの層を上にすればよい。
【0082】本発明の熱現像感光材料には、現像後の銀
色調を改良する目的で色調剤を添加することが好まし
い。好適な色調剤の例はResearch Discl
osure第17029号に開示されており、次のもの
を挙げることが出来る。例えば、フタルイミドのような
イミド類;スクシンイミド、3−フェニル−2−ピラゾ
リン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン
及び2,4−チアゾリジンのようなジオン環状イミド
類、ピラゾリン−5−オン類、及びキナゾリノン;N−
ヒドロキシ−1,8−ナフタールイミドのようなナフタ
ールイミド類;コバルトヘキサミントリフルオロアセテ
ートのようなコバルト錯体;3−メルカプト−1,2,
4−トリアゾールのようなメルカプタン類;N−(ジメ
チルアミノメチル)フタルイミドのようなN−(アミノ
メチル)アリールジカルボキシイミド類;N,N′−ヘ
キサメチレン(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピ
ラゾール)、1,8−(3,6−ジオキサオクタン)ビ
ス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)と2−
(トリブロモメチルスルホニル)ベンゾチアゾールの組
み合わせた化合物のようなブロックされたピラゾール類
やイソチウロニウム誘導体及びある種の光漂白剤の組み
合わせ;3−エチル−5−((3−エチル−2−ベンゾ
チアゾリニリデン(ベンゾチアゾリニリデン))−1−
メチルエチリデン)−2−チオ−2,4−オキサゾリジ
ンジオンのようなメロシアニン染料;4−(1−ナフチ
ル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−
ジメチルオキシフタラジノン、または2,3−ジヒドロ
−1,4−フタラジンジオンのようなフタラジノン、フ
タラジノン誘導体またはこれらの誘導体の金属塩;6−
クロロフタラジノン+ベンゼンスルフィン酸ナトリウム
または8−メチルフタラジノン+p−トリスルホン酸ナ
トリウムのようなフタラジノンとスルフィン酸誘導体の
組み合わせ;フタラジン+フタル酸の組み合わせ;フタ
ル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテ
トラクロロフタル酸無水物)から選択される少なくとも
1つの化合物との組み合わせのようなフタラジン(フタ
ラジンの付加物を含む)とマレイン酸無水物、及びフタ
ル酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸またはo−フェ
ニレン酸誘導体及びその無水物;キナゾリンジオン類、
ベンズオキサジン、ナルトキサジン誘導体;1,3−ベ
ンズオキサジン−2,4−ジオンのようなベンズオキサ
ジン−2,4−ジオン類;2,4−ジヒドロキシピリミ
ジンのようなピリミジン類及び不斉−トリアジン類;
3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4
H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレンのよう
なテトラアザペンタレン誘導体等である。好ましい色調
剤としてはフタラゾンまたはフタラジンである。
【0083】また、本発明の熱現像画像形成層には、熱
現像を抑制あるいは促進させ現像速度を制御し、分光増
感効率を向上せしめ、更に現像前後の画像の保存性を向
上せしめる等のために、メルカプト化合物、ジスルフィ
ド化合物、チオン化合物を含有させてもよい。メルカプ
ト化合物の場合、Ar−SM1、Ar−S−S−Arで
表される化合物が好ましい。式中、M1は水素原子また
はアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イ
オウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する
芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香
環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾ
チアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、
ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテル
ラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、
トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリア
ジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、
プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素
芳香環は、例えば、ハロゲン原子(例えば、Brおよび
Cl)、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ア
ルキル基(例えば1〜4個の炭素原子の)及びアルコキ
シ(例えば、1〜4個の炭素原子の)から選択されるも
のを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物と
しては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メル
カプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチア
ゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾー
ル、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−
メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2,3,
5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−ヒ
ドロキシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト
−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発
明はこれらに限定されない。
【0084】本発明の熱現像感光材料中にはカブリ防止
剤を含んでいてもよい。例えば米国特許第4,546,
075号及び同第4,452,885号明細書及び特開
昭59−57234号公報に開示されている様なカブリ
防止剤が好ましい。特に好ましいカブリ防止剤は、米国
特許第3,874,946号及び同第4,756,99
9号明細書に開示されているような化合物、−C
(X1)(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲン
でX3は水素またはハロゲン)で表される1以上の置換
基を備えたヘテロ環状化合物である。好適なカブリ防止
剤の例としては、特開平9−288328号公報段落番
号〔0030〕〜〔0036〕に記載されている化合物
等が好ましく用いられる。また特開平9−90550号
公報段落番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されて
いる化合物である。更にカブリ防止剤は米国特許第5,
028,523号及び英国特許出願第9222138
3.4号、同第9300147.7号、同第93117
90.1号明細書に開示されているものがよい。
【0085】本発明の熱現像感光材料には、例えば特開
昭63−159841号、同60−140335号、同
63−231437号、同63−259651号、同6
3−304242号、同63−15245号等公報、米
国特許第4,639,414号、同第4,740,45
5号、同第4,741,966号、同第4,751,1
75号、同第4,835,096号等明細書に記載され
た増感色素が使用出来る。本発明に使用される有用な増
感色素は例えばResearch Disclosur
e Item17643IV−A項(1978年12月
p.23)、同Item1831X項(1978年8月
p.437)に記載もしくは引用された文献に記載され
ている。特に各種スキャナー光源の分光特性に適した分
光感度を有する増感色素を有利に選択することが出来
る。例えば特開平9−34078号、同9−54409
号、同9−80679号等公報記載の化合物が好ましく
用いられる。
【0086】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0087】[ガラス転移点Tg、結晶化度Tcの測
定]フィルム10mgを毎分300ccの窒素気流中、
300℃で溶融し、直ちに液体窒素中で急冷する。この
急冷サンプルを示差熱走査型熱量計(理化学電器製、D
SC8230型)にセットし、毎分100ccの窒素気
流中、毎分10℃の昇温速度で昇温し、Tg及びTcを
検出する。Tgはベースラインが偏奇し始める温度と新
たにベースラインに戻る温度との平均値、Tcはその発
熱ピークのピーク温度である。なお、測定開始温度は、
測定されるTgより50℃以上低い温度とする。
【0088】実施例1 [写真用支持体の作製] 〈ポリマー樹脂の作製〉以下のようにしてポリマー樹脂
を得た。
【0089】《PET樹脂》テレフタル酸ジメチル10
0重量部、エチレングリコール65重量部にエステル交
換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05重量部を
添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた
生成物に、三酸化アンチモン0.05重量部、リン酸ト
リメチルエステル0.03重量部を添加した。次いで、
徐々に昇温、減圧にし、280℃、0.5mmHgで重
合を行い、ペレット化して取り出し、固有粘度0.50
のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレット
を得た。
【0090】《PEN樹脂》2,6−ナフタレンジカル
ボン酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60
重量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和
物0.1重量部を添加し、常法に従ってエステル交換を
行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05
重量部、リン酸トリメチルエステル0.03重量部を添
加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、290℃、
0.5mmHgで重合を行い、ペレット化して取り出
し、固有粘度0.58のポリエチレン2,6−ナフタレ
ート(PEN)樹脂ペレットを得た。
【0091】《PC樹脂》平均分子量28000の2,
2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンポリカ
ーボネート樹脂ペレットを常法に従い重合して得た。
【0092】《SPS樹脂》特開平3−131843号
公報に準じて以下のようにシンジオタクチックポリスチ
レン樹脂を作製した。触媒の調整から重合反応までは、
全て乾燥アルゴン気流下で行った。内容積500mlの
ガラス性容器に硫酸銅5水塩(CuSO4・5H2O)
精製ベンゼン200mlおよびトリメチルアルミニウム
24mlをいれ、40℃で8時間攪拌して触媒の調整を
行った。これをアルゴン気流下No.3ガラスフィルタ
ーで濾過して、濾液を凍結乾燥させた。これを取り出
し、2lのステンレス製容器にいれ、この中にさらにト
リブチルアルミニウム、ペンタシクロペンタジエチルチ
タンメトキシドを混合し90℃に加熱した。この中に、
精製したスチレンを1l入れ、さらに、精製したp−メ
チルスチレン70mlを入れ、この温度中で8時間重合
反応を続けた。この後室温まで冷却し、1lの塩化メチ
レンを入れ、さらに攪拌しながらナトリウムメチラート
のメタノール溶液を加えて触媒を失活させた。内容物を
20lのメタノール中に徐々に滴下して、更にガラスフ
ィルターで濾過して3回メタノールで洗浄した後、乾燥
させた。1,2,4−トリクロルベンゼンを溶媒とし
て、135℃で標準ポリスチレンで検量したGPCの測
定の結果から求めたこの重合体の重量平均分子量は、4
15000であった。また、13C−NMRの測定からも
得られた重合体のは、シンジオタクチック構造を有する
ことを確認した。
【0093】《共重合PET樹脂》テレフタル酸ジメチ
ル100重量部、エチレングリコール56重量部、1,
4−ブタンジオールを4.1重量部(5モル%)を添加
し、エステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物
0.1重量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行
った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.04重
量部、リン酸トリメチルエステル0.1重量部を添加し
た。次いで、徐々に昇温、減圧にし、285℃、0.5
mmHgで重合を行い、ペレット化して取り出し、固有
粘度0.40のポリエチレンテレフタレートが主成分の
共重合ポリエステル樹脂ペレットを得た。
【0094】以上のようにして得られたそれぞれのポリ
マーを用いて、以下のようにして比較例1〜6、本発明
1〜8の二軸延伸ポリマーフィルムを作製した。
【0095】〈フィルムの作製〉 《比較例1》PET樹脂ペレットを150℃で8時間真
空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押しだ
し、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着さ
せ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。この未延伸
シートをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に
3.3倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムをテンタ
ー式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延
伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃
で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。次い
で、70℃2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン
150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で
15秒間熱固定した。次いで横方向に5%弛緩処理しな
がら室温まで60秒かけて冷却し、フィルムをクリップ
から解放し、巻き取り、厚さ180μの二軸延伸フィル
ムを得た。
【0096】《比較例2》比較例1のPET樹脂の代わ
りにPEN樹脂を使用し、溶融押し出し温度300℃、
冷却ドラム温度50℃、縦延伸温度135℃、第一横延
伸ゾーン温度145℃、第二横延伸ゾーン温度155
℃、前熱処理温度100℃、第一固定ゾーン温度200
℃、第二固定ゾーン温度230℃を変更させて行った以
外は、比較例1と同様にして、厚さ180μの二軸延伸
フィルムを得た。
【0097】《比較例3》PC樹脂ペレットを130℃
で3時間真空乾燥した後、310℃でTダイから層状に
溶融押しだし、50℃の冷却ドラム上で静電印加しなが
ら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。こ
の未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、170℃
で縦方向2.2倍延伸した。得られた一軸延伸フィルム
をテンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン170
℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾー
ン170℃で総横延伸倍率2.2倍になるように延伸し
た。次いで、横方向に5%弛緩処理しながら室温まで6
0秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放し、巻
き取り、厚さ180μの二軸延伸フィルムを得た。
【0098】《本発明1〜3、5、6、8と比較例4、
5》表1に示したポリマーの組み合わせの2種類の樹脂
ペレットをそれぞれ150℃で8時間真空乾燥した後、
2台の押出機を用いて、表1に示す層構成およびd2
1になるように、295℃でTダイから層状に接合
し、45℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着さ
せ、冷却固化させ、積層未延伸フィルムを得た。なお、
樹脂ペレットをブレンドする場合は、タンブラー型混合
機でブレンドしてから行った。この未延伸シートをロー
ル式縦延伸機を用いて、125℃で縦方向に3.3倍延
伸した。得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸
機を用いて、第一延伸ゾーン135℃で総横延伸倍率の
50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン145℃で総横延
伸倍率3.3倍になるように延伸した。次いで、85℃
2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン180℃で
5秒間熱固定し、第二固定ゾーン225℃で15秒間熱
固定した。次いで横方向に5%弛緩処理しながら室温ま
で60秒かけて冷却し、フィルムをクリップから解放
し、巻き取り、厚さ180μの二軸延伸フィルムを得
た。表1に記載のポリマー層1は熱現像画像形成層側で
ある。なお、比較例4のみを熱現像画像形成層側がTg
100℃以下のポリマー層である。
【0099】《本発明4、7と比較例6》製膜条件を以
下のように変更して、本発明1〜3、5、6、8、比較
例4、5と同様に積層して二軸延伸フィルムを得た。製
膜条件は、溶融押し出し温度300℃、冷却ドラム温度
50℃、縦延伸温度135℃、第一横延伸ゾーン温度1
45℃、第二横延伸ゾーン温度155℃、前熱処理温度
85℃、第一固定ゾーン温度180℃、第二固定ゾーン
温度225℃を変更させた。なお、表1のポリマー層は
熱現像画像形成層側である。
【0100】〈下引済み写真用支持体の作製〉上記で作
製した厚さ180μmの写真用支持体の熱現像画像形成
層を塗設する側に8W/m2・分のコロナ放電処理を施
し、下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになる
ように塗設し乾燥させて下引層A−1とした。
【0101】 《下引塗布液a−1》 ポリエステル系ラテックス液(固形分15%) 250g (C−1) 0.6g 水で1lに仕上げる。
【0102】《ポリエステル系ラテックスの調製》ジカ
ルボン酸として、DMT/DMI/SIPM=50/4
0/10(重量%)、またジオールとして、EG/CH
DM=70/30(重量%)を常法によりポリエステル
を作製し、水に分散させた。ここで、DMIはジメチル
イソフタレート、SIPMはスルフォイソフタレート、
AAはアジピン酸、EGはエチレングリコール及びCH
DMはシクロヘキシルジメタノールである。
【0103】
【化4】
【0104】《バック層の塗設》熱現像感光材料を塗設
する側と反対側に、8W/m2・分のコロナ放電処理を
施し、その後、バック層下層(B−1)塗布液(b−
1)を乾燥後の膜厚が0.2μmになるように塗布乾燥
し、さらにその上にバック層上層(B−2)塗布液(b
−2)を乾燥後の膜厚が0.3μmになるように順次塗
布した。この試料を110℃〜90℃に温度勾配をつけ
た熱処理ゾーンに2分間熱処理した。
【0105】 《バック層下層(B−1)塗布液b−1》 ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルアクリレート=40/20/40( 重量%)共重合体ラテックス液(固形分30%) 22g ブチルアクリレート/スチレン/ヒドロキシメチルメタクリレート=45/25 /30(重量%)共重合体ラテックス液(固形分30%) 6g 酸化スズ水分散物(多木化学製 固形分8.3%) 310g (C−1) 0.6g 水で1lに仕上げる。
【0106】 《バック層下層(B−2)塗布液b−2》 上記ポリエステル系ラテックス液(固形分15%) 250g (C−1) 0.6g シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で1lに仕上げる。
【0107】〈熱現像ハロゲン化銀乳剤の作製〉 《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水900ml中にイナー
トゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解し
て温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74
gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭
化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液及び〔Ir(N
O)Cl52-塩を銀1モル当たり1×10-6モル及び
塩化ロジウム塩を銀1モル当たり1×10-4モルを、p
Ag7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット
法で添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−
1,3,3a,7−テトラザインデンを添加しNaOH
でpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、単
分散度10%の投影直径面積の変動係数8%、〔10
0〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳
剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フ
ェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pA
g7.5に調整して、ハロゲン化銀乳剤を得た。さらに
塩化金酸及び無機硫黄で化学増感を行い、ハロゲン化銀
乳剤Aを調製した。
【0108】《ベヘン酸ナトリウム溶液の調製》945
mlの純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9
g、ステアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に高
速で撹拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液9
8mlを添加した。次に濃硝酸0.93mlを加えた
後、55℃に冷却して30分撹拌させてベヘン酸ナトリ
ウム溶液を得た。
【0109】《ベヘン酸銀とハロゲン化銀A等から形成
するプレフォーム乳剤の調製》ベヘン酸ナトリウム溶液
に前記ハロゲン化銀乳剤Aを15.1g添加し水酸化ナ
トリウム溶液でpH8.1に調整した後に1Mの硝酸銀
溶液147mlを7分間かけて加え、さらに20分撹拌
し限外濾過により水溶性塩類を除去した。ベヘン酸銀は
平均粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であっ
た。分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6
回の水洗と水の除去を行った後乾燥させた。
【0110】《感光性ハロゲン化銀乳剤の調製》プレフ
ォーム乳剤にポリビニルブチラール(平均分子量300
0)のメチルエチルケトン溶液(17重量%)544g
とトルエン107gを徐々に添加して混合した後に、4
000psiで分散させた。
【0111】次に、バック層の上に側に下記のバック層
保護層を順次形成し試料を作成した。尚、乾燥は60
℃、15分間で行った。
【0112】《バック層保護層の塗布》以下の組成の液
をバック層の上に塗布した。
【0113】 セルロースジアセテート(10%メチルエチルケトン溶液) 15ml/m2 染料−B 7mg/m2 染料−C 7mg/m2 マット剤(単分散度15%平均粒子サイズ10μm単分散シリカ) 30mg/m281764SO3Na 10mg/m
【0114】
【化5】
【0115】《熱現像画像形成層の塗設》感光層1を以
下組成液として塗布銀量が2.1g/mになる様に塗
布した。
【0116】 プレフォーム乳剤 240g 増感色素−1(0.1%メタノール溶液) 1.7ml ピリジニウムプロミドペルブロミド(6%メタノール溶液) 3ml 臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7ml カブリ防止剤−2(10%メタノール溶液) 1.2ml 2−(4−クロロベンゾイル安息香酸(12%メタノール溶液)9.2ml 2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11ml トリブロモメチルスルホキノリン(5%メタノール溶液) 17ml 現像剤−1(20%メタノール溶液) 29.5ml
【0117】
【化6】
【0118】《表面保護層の塗設》:以下の組成液を熱
現像感光層の上に塗布した。
【0119】 アセトン 35ml/m2 メチルエチルケトン 17ml/m2 セルロースジアセテート 2.3g/m2 メタノール 7ml/m2 フタラジン 250mg/m2 4−メチルフタル酸 180mg/m2 テトラクロロフタル酸 150mg/m2 テトラクロロフタル酸無水物 170mg/m2 マット剤(単分散度10%平均粒子サイズ4μm単分散シリカ) 70mg/m281764SO3Na 10mg/m2 《露光及び現像処理》上記で作成した熱現像感光材料に
イメイジャーで810nm、100mwの半導体レーザ
ーを、縦5cm横5cmベタになるように走査露光(ビ
ーム径8μm、走査ピッチ5μm)を行い、潜像を形成
させた。その後、自動熱現像現像機でヒートドラムに熱
現像感光層を密着させて加熱(110℃で15秒間)し
た。なお、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿し
た部屋で行った。
【0120】〈熱現像感光材料の評価〉 《熱画像寸法安定性》5cm×5cmに露光した画像
を、熱処理現像前後において正方形の縦横それぞれの辺
の長さを測定し、前後の比を熱画像寸法安定度とした。
【0121】 A:0.01未満 B:0.01〜0.02未満 C:0.02〜0.04未満 D:0.04〜0.06未満 E:0.06以上 《カール変形》熱現像処理後、試料を巾30mm、長さ
210mmの寸法に裁断し、23℃、55%RHの条件
下で1時間放冷し、試料のカール凸部を下にして、立ち
上がったフイルム四隅の高さを測定し、その平均値を求
めた。単位は、mmである。
【0122】 A:0〜2未満 B:2〜10未満 C:10〜20未満 D:20〜30未満 E:30以上 評価した結果を表1に示す。
【0123】
【表1】
【0124】以上の結果から明らかなように、本発明の
写真用支持体を熱現像感光材料用に用いることによっ
て、熱現像感光材料が耐熱寸法安定性に優れ、また熱現
像処理後のカール変形も起こり難く、その結果、取り扱
い易い熱現像感光材料を得ることが出来た。
【0125】
【発明の効果】本発明の積層した写真用支持体の感光層
側をTgが100℃以上のポリマー層とすることによっ
て、耐熱寸法安定性に優れ、また熱現像処理後のカール
変形も起こり難い、取り扱い易い熱現像感光材料を得る
ことが出来た。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱現像感光材料の支持体として用い、ガ
    ラス転移点が100℃以上のポリマーを有する最外層を
    有し、かつ該支持体の厚さの総和d1と該ポリマー層の
    厚さd2の比が0.01〜0.75であることを特徴と
    する写真用支持体。
  2. 【請求項2】 前記比が0.1〜0.5であることを特
    徴とする請求項1記載の写真用支持体。
  3. 【請求項3】 ガラス転移点が100℃以上の前記ポリ
    マー層が実質的にポリエチレンナフタレートの層である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の写真用支持
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の何れか1項に記載の写
    真用支持体のガラス転移点が100℃以上のポリマー層
    の上に熱現像画像形成層を有することを特徴とする熱現
    像感光材料。
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