JP2000074344A - 廃棄物溶融炉への廃プラスチック吹き込み方法 - Google Patents

廃棄物溶融炉への廃プラスチック吹き込み方法

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守弘 長田
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秀治 芝池
Takeshi Takamiya
健 高宮
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃棄物溶融炉へ廃プラスチックを吹き込む
廃棄物溶融処理において、廃プラスチックの吹き込みに
よりコークスの代替を図ってコークスの使用量を低減さ
せ、また、コークスの無駄な消費量を減らし、より多く
の廃プラスチックを処理する、廃棄物溶融炉への廃プラ
スチックの吹き込み方法の提供。 【解決手段】廃棄物溶融炉1に廃棄物をコークス、石灰
石とともに装入し、乾燥、熱分解、燃焼、溶融して廃棄
物を溶融処理する際に、廃棄物溶融炉1の送風羽口7か
らコークスベッド9へ常温の酸素富化空気または高温空
気を吹き込むとともに、廃プラスチックをコークスベッ
ド9ヘ吹き込む方法において、送風羽口7を介し吹き込
まれた酸素が廃プラスチックの燃焼も加味して消失する
レベルにコークスベッド上端を設定し、送風羽口レベル
とコークスベッド上端レベルとの間に廃プラスチックを
吹き込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般廃棄物、産業
廃棄物等の廃棄物を溶融処理する廃棄物溶融炉への廃プ
ラスチック吹き込み方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般廃棄物、産業廃棄物等の廃棄物の処
理方法の一つとして、シャフト炉型の廃棄物溶融炉で廃
棄物を乾燥、熱分解、燃焼、溶融して、スラグとメタル
にする廃棄物溶融処理がある。この廃棄物溶融処理は、
廃棄物をガス化・高温溶融して一括処理することが可能
である。
【0003】図3及び図4は、従来のシャフト炉型の廃
棄物溶融炉の説明図で、図3において、廃棄物溶融炉1
には、副資材であるコークス2、石灰石3および廃棄物
を炉上部から2重シール弁機構の装入装置4を介して装
入され、乾燥、熱分解、燃焼、溶融の過程を経て、可燃
分は熱分解ガスとして廃棄物溶融炉上部のダクト5から
排出され、燃焼室で完全燃焼後、ボイラー・タービン発
電機などの付帯設備により熱および電気エネルギーとし
て利用される。炉下部には、スラグを排出するための出
滓口6、空気と酸素を混合した酸素富化空気を吹き込む
送風羽口7が設けられ、灰分はスラグおよびメタルとし
て出滓口6から取り出す。
【0004】また、図4に示すように、従未のシャフト
炉型の廃棄物溶融炉には、炉下部に廃棄物の熱分解残渣
を燃焼するための空気を吹き込む上部送風羽口8が設け
られている場合もある。
【0005】ところで、廃棄物には大量のプラスチック
類が含まれているが、廃棄物溶融炉では廃棄物中にプラ
スチック類が含まれている場合も、ダイオキシン等の有
害物質を発生させることなく安全に処理することが可能
である。しかし、炉内で廃棄物は下方に降下するに従っ
て次第に温度が上昇していくことから、プラスチック類
は炉下部に到達する前に熱分解・ガス化してしまい、プ
ラスチック類の持つ高い発熱量や、還元材としての能力
が高温溶融の際に有効に活用されていない。
【0006】そこで、本出願人は、廃棄物を溶融処理す
る廃棄物溶融炉において、プラスチック類の持つ還元剤
としての能力及びその高い発熱量を有効利用することに
より、分別プラスチックを含めた廃棄物全体を効率よく
処理するため、廃棄物を直接溶融処理するシャフト炉型
の廃棄物溶融炉に分離した廃プラスチックを廃棄物溶融
炉の下部に設けた図4に示す羽口7を介して廃棄物溶融
炉内に供給する廃棄物溶融処理技術を特願平9−320
131号として出願した。
【0007】また、特開平10−148321号公報に
は、前述の一般廃棄物等の溶融処理とは異なるが、焼却
灰の溶融処理において、焼却灰の無害化及び減容化を図
るため、焼却灰の溶融装置で廃プラスチックを羽口から
供給する技術が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】廃棄物溶融炉では、還
元剤及び熱源としてコークスを使用するが、コークスの
使用量はコストの面などから極力少い方が望しく、廃プ
ラスチックを吹込むことによって、コークスの使用量が
増大することは避けねばならない。しかしながら、前記
特願平9−320131号の発明にしたがって、既存の
廃棄物溶融炉の羽口から廃プラスチックを廃棄物溶融炉
内に供給しても、コークス使用量を大幅に低減させるこ
とができないという問題が生じた。
【0009】また、特開平10−148321号公報の
焼却灰の溶融装置では、コークス使用量を低減するため
の手段については何も開示されていない。
【0010】本発明は、廃棄物溶融炉へ廃プラスチック
を吹き込む廃棄物溶融処理において、廃プラスチックの
吹込みによりコークスの代替を図ってコークスの使用量
を低減させ、また、コークスの無駄な消費量を減らし、
より多くの廃プラスチックを処理する、廃棄物溶融炉へ
の廃プラスチックの吹き込み方法を提供するものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の廃プラスチック
の吹き込み方法は、廃棄物溶融炉に廃棄物をコークス、
石灰石とともに装入し、乾燥、熱分解、燃焼、溶融して
廃棄物を溶融処理する際に、廃棄物溶融炉の送風羽口か
らコークスベッドへ常温の酸素富化空気または高温空気
を吹き込むとともに、廃プラスチックをコークスベッド
ヘ吹き込む方法において、送風羽口を介し吹き込まれた
酸素が廃プラスチックの燃焼も加味して消失するレベル
にコークスベッド上端を設定し、送風羽口レベルとコー
クスベッド上端レベルとの間に廃プラスチックを吹き込
むことを特徴とする。
【0012】また、前記酸素が消失するレベルより高い
位置にコークスベッド上端を設定し、送風羽ロレベルと
前記酸素が消失するレベルとの間、および該レベルとコ
ークスベッド上端レベルとの間にそれぞれ廃プラスチッ
クを吹き込むこともできる。
【0013】
【発明の実施の形態】コークス使用量の低減について考
察した結果、次のことから廃プラスチックの吹き込み位
置が廃プラスチックの果たす役割に大きく影響すること
が判明した。
【0014】コークス中のCまたは廃プラスチック中の
Cの消費には下記の2形態が存在する。
【0015】 C+O2→CO2・・・・・ (1) C+CO2→2CO・・・・(2) CO2濃度は送風羽口からコークスベッド上方にいくに
したがって、(1)式の反応により上昇し、一方O2
消費され減少していく。そしてO2の消失した位置より
上方では、(2)式の反応によりCO2濃度が減少し、
CO濃度が上昇しはじめる。
【0016】(1)式の反応は、発熱反応でコークス中
のCが有効に利用されるが、(2)式の反応は吸熱反応
でCが有効に利用されないことになる。したがって、コ
ークスには極力(1)式の反応をさせる必要があるが、
2のない状態で、高温のCO2に接すると、(2)式に
よりコークスのソリューション反応が起こり、コークス
が無駄に消費されることになる。
【0017】廃プラスチックはコークスに比べ燃焼速度
が速いため、コークスベッド内に廃プラスチックを吹き
込むと、吹き込まない場合に比べO2の消失位置が下る
ことになる。したがって、廃プラスチックを吹き込まな
い条件のまま、無闇にコークスベッドヘ廃プラスチック
を吹き込んでも、O2の消失位置より上方にコークスが
存在することになり、(1)式のコークス消費量を減少
できても、(2)式でコークス消費量が増大し、結果的
に廃プラスチック吹き込みがコークスに消費量の低減に
寄与することができなくなる。
【0018】こうした状況を回避し、廃プラスチック吹
き込みによりコークス代替を行わせるには、以下の二つ
の方法が有効である。即ち(2)式の反応をコークスベ
ッド内で行わせないようにするか、(2)式で反応する
コークス中のCを廃プラスチック中のCに置き換えるこ
とにより、コークスのソリューション反応を起こさせな
いようにすることである。
【0019】第一の方法は、図1に示すように、送風羽
口を介し吹き込まれたO2が廃プラスチックの燃焼も加
味して消失するレベルにコークスベッド上端を設定し、
2の存在しない領域にはコークスも存在しないように
して、廃プラスチックを送風羽口レベルとコークスベッ
ド上端の間に吹き込む方法である。この場合、廃プラス
チックの吹き込み位置は、送風羽口レべルとコークスベ
ッド上端の間であれば送風羽口も含め任意の位置でよ
く、一段でも複数段でもよい。
【0020】なお、通常コークスは廃棄物の性状、処理
量等を勘案して廃棄物溶融炉から投入され、炉下部へ降
下し、コークスベッドを形成する。しかし、前述のとお
り、コークスベッド上端を酸素消失レベルより高く設定
するとソリューション反応により無駄にコークスを消費
することになるため、コークス供給速度の適正化を図る
こと等によりコークスベッド上端レベルを調整すること
が必要である。
【0021】第二の方法は、図2に示すように、送風羽
口を介し吹き込まれたO2が廃プラスチックの燃焼も加
味して消失するレベルによりコークスベッド上端を上方
に設定する場合で、この時は廃プラスチックを送風羽口
レベルとコークスベッド上端の間に吹き込むとともに、
2の存在しないコークスベッド上部領域にもコークス
に代替してソルーション反応を起こさせるための廃プラ
スチックを吹き込む方法である。この場合、下部の廃プ
ラスチック吹き込み位置は、送風羽口レベルとO2消失
点レベルの間であれば送風羽口も含め任意の位置でよ
く、一段でも複数段でもよい。また上部の廃プラスチッ
ク吹き込み位置もO2消失点レベルとコークスベッド上
端の間であれば任意の位置でよく、一段でも複数段でも
よい。この方法は、前記第一の方法に比べて、上部に吹
き込む分だけ廃プラスチックの吹き込み量を増やすこと
が可能となる。
【0022】
【実施例】実施例1 図1は本発明を実施するための廃棄物溶融炉の実施例を
示す説明図で、廃棄物溶融炉1は、図3に示す従来の廃
棄物溶融炉と実質的に同じ構造である。炉下部において
は、送風羽口7前でコークスベッド9が形成され、常温
の酸素富化空気により高温で燃焼している。送風羽口に
7には、廃プラスチックが気流搬送され、送風羽口を介
してコークスベッド9に吹き込まれる。
【0023】本実施例では、送風羽口を介し吹き込まれ
た送風酸素が廃プラスチックの燃焼も加味して消失する
コークスベッド上端レベルは、送風羽口レベルから上方
300mmの位置であった。この条件で送風羽口7を利
用して廃プラスチック吹き込むことにより、コークス使
用量を低減することができた。
【0024】表1はコークスの低減率を示す表である。
【0025】
【表1】 なお、吹き込み条件は、廃プラスチック吹き込み量:4
5kg/tごみ、吹き込みキャリアガス(酸素富化空
気)流速:55m/s、廃プラスチック粒径:5mmで
ある。
【0026】表1から、送風羽口レベルから上方300
mmの位置にコークスベッド上端を設定し、送風羽口か
ら廃プラスチック吹き込むことにより、コークスのソル
ーション反応を起こすことなく、コークス使用量を大幅
に低減することができた。しかしながら、送風羽ロレベ
ルから上方500mmの位置にコークスベッド上端を設
定し、送風羽口から廃プラスチックを吹き込んだ比較例
の場合は、コークスのソルーション反応が起こり、コー
クスの使用量はほとんど低減することができなかった。
【0027】実施例2 図2は本発明の別実施例の説明図で、コークスベッド9
に廃プラスチックを吹き込む位置を2段としたものであ
る。この実施例では、コークスベッド上端が下部の送風
羽口レベル7から上方500mmの位置に設定されてお
り、送風羽口7を介し吹き込まれた送風酸素の消失する
レベルより高い。下部の廃プラスチックを吹き込む位置
は、送風羽口レベルとし、上部羽口10の廃プラスチッ
クを吹き込む位置は、送風羽口を介し吹き込まれた送風
酸素を消失させるレベルとしている。そのため下部の廃
プラスチック吹き込みにより、前述の(1)式の反応を
行って廃プラスチックでコークスの代替を行いコークス
の使用量を減少させ、上部羽口からの廃プラスチック吹
き込みにより、前述の(2)式の反応を行ってコークス
のソルーション反応を防ぎ、コークスの無駄な消費を防
ぐとともに、廃プラスチックの吹き込み量を増やすこと
ができる。
【0028】表2は、廃プラスチックを吹き込む位置を
2段として、廃プラスチックをコークスベッドに吹き込
んだ結果を示すものである。
【0029】
【表2】 なお、吹き込み条件は、廃プラスチック吹き込み量:
(下部)50kg/tごみ、(上部)30kg/tご
み、吹き込みキャリアガス流速:(下部 酸素富化空
気)55m/s、(上部 空気)30m/s、廃プラス
チック粒径:5mmである。
【0030】表2から、コークスベッド上端が送風羽口
レベルから上方500mmの位置に設定された場合、下
部吹き込みだけではコークスのソルーション反応が起こ
り、コークスの使用量が低減できなかったものが、上部
吹き込みを付加することにより、コークスの使用量を低
減しながら、廃プラスチックの吹き込み量を増やすこと
ができた。
【0031】
【発明の効果】廃棄物溶融炉のコークスベッドの適正な
位置に廃プラスチックを吹き込むことにより、コークス
のソリューション反応を起こすことなく、廃プラスチッ
クが還元剤又は燃料としてのコークスに代替することが
できる。
【0032】また、複数段の羽口でコークスベッドの適
正な位置に廃プラスチックを吹き込むことにより、コー
クスの無駄な消費を防ぐとともに、廃プラスチックの処
理量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施するための廃棄物溶融炉の実施
例を示す説明図である。
【図2】 本発明の別実施例の説明図である。
【図3】 従来のシャフト炉型の廃棄物溶融炉の説明図
である。
【図4】 従来の別のシャフト炉型の廃棄物溶融炉の説
明図である。
【符号の説明】
1 廃棄物溶融炉 2 コークス 3 石灰石 4 装入装置 5 ダクト 6 出滓口 7 送風羽口 8 上段羽口 9 コークスベッド 10 上部羽口
フロントページの続き (72)発明者 高宮 健 北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本製 鐵株式会社エンジニアリング事業本部内 (72)発明者 内藤 誠章 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 3K061 AA16 AB03 AC13 BA04 CA07 CA08 FA05 3K065 AA16 AB03 AC13 BA04 DA03 DA04 EA31

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃棄物溶融炉に廃棄物をコークス、石灰
    石とともに装入し、乾燥、熱分解、燃焼、溶融して廃棄
    物を溶融処理する際に、廃棄物溶融炉の送風羽口からコ
    ークスベッドへ常温の酸素富化空気または高温空気を吹
    き込むとともに、廃プラスチックをコークスベッドヘ吹
    き込む方法において、送風羽口を介し吹き込まれた酸素
    が廃プラスチックの燃焼も加味して消失するレベルにコ
    ークスベッド上端を設定し、送風羽口レベルとコークス
    ベッド上端レベルとの間に廃プラスチックを吹き込むこ
    とを特徴とする廃棄物溶融炉への廃プラスチック吹き込
    み方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸素が消失するレベルよ
    り高い位置にコークスベッド上端を設定し、送風羽口レ
    ベルと前記酸素が消失するレベルとの間、および該レベ
    ルとコークスベッド上端レベルとの間にそれぞれ廃プラ
    スチックを吹き込むことを特微とする廃棄物溶融炉への
    廃プラスチック吹き込み方法。
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