JP4077584B2 - 廃棄物溶融炉への燃料ガスの吹込み方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般廃棄物、産業廃棄物等の廃棄物を溶融処理する廃棄物溶融炉への燃料ガスの吹込み方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般廃棄物、産業廃棄物等の廃棄物の処理方法の一つとして、シャフト炉型の廃棄物溶融炉で廃棄物を乾燥、熱分解、燃焼、溶融して、スラグとメタルにする廃棄物溶融処理がある。この廃棄物溶融処理は、廃棄物をガス化・高温溶融して一括処理し、且つスラグは骨材として有効利用することが可能である。
【0003】
図2は、従来のシャフト炉型の廃棄物溶融炉の説明図で、廃棄物溶融炉1には、副資材であるコークス2、石灰石3および廃棄物を炉上部から2重シール弁機構の装入装置4を介して装入され、乾燥、熱分解、燃焼、溶融の過程を経て、可燃分は熱分解ガスとして廃棄物溶融炉上部のダクト5から排出され、燃焼室で完全燃焼後、ボイラー・タービン発電機などの付帯設備により熱および電気エネルギーとして利用される。炉下部には、スラグを排出するための出滓口6、空気と酸素を混合した酸素富化空気を吹き込む送風羽口7が設けられ、灰分はスラグおよびメタルとして出滓口6から取り出す。
【0004】
羽口から送られた酸素富化空気は、炉内のコークス及び熱分解したチャーを燃焼させ、その燃焼熱で炉内の不燃物を溶融している。炉内のコークスは燃料としての役割を有しつつ、且つ2000℃超の高温中でもその形状を維持し、炉内の灰分を完全に溶融する機能をもつ火格子の役割も有しており、骨材などに利用可能な溶融物を得るためには必要不可欠である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
昨今のCO2問題から、できるかぎりCO2を削減することが望ましい。しかし、前述のとおり、廃棄物溶融炉においては利用可能な溶融物を得るためにはコークスベッドは必要不可欠である。したがって、CO2を削減するには、燃料としてのコークスをできるだけ低減させる必要があるが、単純にコークスを減らすだけでは次の問題が発生することがわかった。
【0006】
まず、廃棄物溶融炉内でのコークスの燃焼割合が減少し、コークス以外の可燃物(粗粒・低炭素・高灰分チャー)の燃焼割合が増加したため、コークス燃焼熱により溶融する廃棄物中の灰分量、即ち溶融負荷が上昇し、溶融物温度が低下するという問題があった。
【0007】
また、送風羽口を介して吹き込まれた酸素量は、供給されたコークスの理論燃焼酸素量を大幅に上回るため、コークスベッドを維持することができず、利用可能な溶融物としての形状が維持できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、利用可能な溶融物を生産するに必要なコークスベッドを維持しつつ、コークス使用量を低減することができる廃棄物溶融炉への燃料ガスの吹き込み方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の廃棄物溶融炉への燃料ガスの吹き込み方法は、廃棄物溶融炉に廃棄物をコークス・石灰石とともに装入し、乾燥、熱分解、燃焼、溶融して廃棄物を溶融処理する際に、廃棄物溶融炉の送風羽口からコークスベッドへ常温の空気、酸素富化空気又は高温空気を吹き込むとともに燃料ガスを吹き込む方法において、送風羽口を介して吹き込まれたO が燃料ガスの燃料も加味して消滅するレベルにコークスベッド上端を設定し、O の存在しない領域にはコークスも存在しなしようにして、燃料ガスを送風羽口レベルとコークスベッドの上端の間に吹き込むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
廃棄物溶融炉へ燃料ガスを空気、酸素富化空気又は高温空気とともに吹き込むと、炉内に供給するコークスを減少させること、即ちコークス比を低減させることができる。コークスベッド充填層に燃料ガスを吹き込むことによって、コークスベッド充填層内で適当に混合され、羽口を介して吹き込んだ酸素は、コークスや粗粒チャーよりも、吹き込んだ燃料ガスと優先的に燃焼する。その結果、コークスベッドの消費を抑制しつつ、コークスベッド部内の高温雰囲気維持が可能となる。
【0012】
また、効果的にコークス使用量を低減するには、次のことから燃料ガスの吹き込み位置が大きく影響することが判明した。
【0013】
コークス中のCまたは燃料ガス中のCの消費には下記の2形態が存在する。
【0014】
C+O2→CO2・・・・・ (1)
C+CO2→2CO・・・・(2)
CO2濃度は送風羽口からコークスベッド上方にいくにしたがって、(1)式の反応により上昇し、一方O2は消費され減少していく。そしてO2の消失した位置より上方では、(2)式の反応によりCO2濃度が減少し、CO濃度が上昇しはじめる。
【0015】
(1)式の反応は、発熱反応でコークス中のCが有効に利用されるが、(2)式の反応は吸熱反応でCが有効に利用されないことになる。したがって、コークスには極力(1)式の反応をさせる必要があるが、O2のない状態で、高温のCO2に接すると、(2)式によりコークスのソリューション反応が起こり、コークスが無駄に消費されることになる。
【0016】
燃料ガスはコークスに比べ燃焼速度が速いため、コークスベッド内に燃焼ガスを吹き込むと、吹き込まない場合に比べO2の消失位置が下ることになる。したがって、無闇にコークスベッドヘ燃料ガスを吹き込んでも、O2の消失位置より上方にコークスが存在する場合には、(1)式のコークス消費量を減少できても、(2)式でコークス消費量が増大し、結果的に燃料ガス吹き込みがコークスの消費量の低減に寄与することができなくなる。
【0017】
こうした状況を回避し、燃料ガス吹き込みによりコークス代替を行わせるには、以下の方法が有効である。即ち(2)式の反応をコークスベッド内で行わせないようにして、コークスのソリューション反応を起こさせないようにすることである。
【0018】
図1に示すように、送風羽口を介し吹き込まれたO2が燃料ガスの燃焼も加味して消失するレベルにコークスベッド上端を設定し、O2の存在しない領域にはコークスも存在しないようにして、燃料ガスを送風羽口レベルとコークスベッド上端の間に吹き込む方法である。この場合、燃料ガスの吹き込み位置は、送風羽口レべルとコークスベッド上端の間であれば送風羽口も含め任意の位置でよく、一段でも複数段でもよい。
【0019】
なお、通常コークスは廃棄物の性状、処理量等を勘案して廃棄物溶融炉から投入され、炉下部へ降下し、コークスベッドを形成する。しかし、前述のとおり、コークスベッド上端を酸素消失レベルより高く設定するとソリューション反応により無駄にコークスを消費することになるため、コークス供給速度の適正化を図ること等によりコークスベッド上端レベルを調整することが必要である。
【0020】
【実施例】
図1は本発明を実施するための廃棄物溶融炉の実施例を示す説明図で、廃棄物溶融炉1は、図3に示す従来の廃棄物溶融炉と実質的に同じ構造である。炉下部においては、送風羽口7前でコークスベッド9が形成され、常温の酸素富化空気により高温で燃焼している。送風羽口7の先端には、燃料ガスが気流搬送され、送風羽口を介してコークスベッド9に吹き込まれる。
【0021】
なお、使用する燃料ガスは、LPG、LNG、本プラントから発生する熱分解ガス等いずれも可能である。
【0022】
本実施例では、送風羽口を介し吹き込まれた送風酸素が燃料ガスの燃焼も加味して消失するコークスベッド上端レベルは、送風羽口レベルから上方300mmの位置であった。この条件で送風羽口7を利用して燃料ガス吹き込むことにより、コークス使用量を低減することができた。
【0023】
表1はコークスの低減率を示す表である。
【0024】
【表1】
Figure 0004077584
なお、吹き込み条件は、燃料ガスとしてLPGを使用した。燃料ガス吹き込み量は6.6Nm3/tごみであり、コークスとLPGとごみ中炭素を燃焼するために使用する酸素富化空気の酸素換算量は130Nm3/tごみである。
【0025】
表1から、送風羽口レベルから上方300mmの位置にコークスベッド上端を設定し、送風羽口から燃料ガス吹き込むことにより、コークスのソルーション反応を起こすことなく、コークス使用量を大幅に低減することができた。しかしながら、送風羽口レベルから上方500mmの位置にコークスベッド上端を設定し、送風羽口から燃料ガスを吹き込んだ比較例の場合は、コークスのソルーション反応が起こり、コークスの使用量はほとんど低減することができなかった。
【0026】
【発明の効果】
コークスベッド充填層の適正な位置に燃料ガスを吹き込むことにより、利用可能な溶融物を得るために必要な高温のコークスベッド充填層を維持しつつ、燃料としてのコークス使用量を低減することが可能となった。
【0027】
また、炭化水素系や水素を主成分とするガス燃料を使用するため、従来のコークスと比較して炭素の消費量即ちCO2の発生量の低減が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための廃棄物溶融炉の実施例を示す説明図である。
【図2】従来のシャフト炉型の廃棄物溶融炉の説明図である。
【符号の説明】
1:廃棄物溶融炉 2:コークス 3:石灰石 4:装入装置
5:ダクト 6:出滓口 7:送風羽口 8:上段羽口
9:コークスベッド

Claims (1)

  1. 廃棄物溶融炉に廃棄物をコークス・石灰石とともに装入し、乾燥、熱分解、燃焼、溶融して廃棄物を溶融処理する際に、廃棄物溶融炉の送風羽口からコークスベッドへ常温の空気、酸素富化空気又は高温空気を吹き込むとともに燃料ガスを吹き込む方法において、
    送風羽口を介して吹き込まれたO が燃料ガスの燃料も加味して消滅するレベルにコークスベッド上端を設定し、O の存在しない領域にはコークスも存在しなしようにして、燃料ガスを送風羽口レベルとコークスベッドの上端の間に吹き込むことを特徴とする廃棄物溶融炉への燃料ガスの吹き込み方法。
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