JP2000073144A - 耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼熱延板、冷延板およびその製造方法 - Google Patents

耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼熱延板、冷延板およびその製造方法

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JP2000073144A JP24034198A JP24034198A JP2000073144A JP 2000073144 A JP2000073144 A JP 2000073144A JP 24034198 A JP24034198 A JP 24034198A JP 24034198 A JP24034198 A JP 24034198A JP 2000073144 A JP2000073144 A JP 2000073144A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐リジング性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼熱延板、冷延板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、Cr: 16〜20%を含有し、C、
N、Si、Mn、P、Sを適正量に調整し、850 ℃以上で
(α+γ)組織となるように、さらにAl:0.008%以下、
Nb: 0.005 〜0.06%を含有し、かつ、N as AlN が0.00
3 %以下とする。1100℃〜1250℃で加熱し、熱間圧延し
て熱延板とした後、850 ℃〜1000℃で連続焼純し、その
後冷間圧延と仕上焼純を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト系ステ
ンレス鋼熱延板、および冷延板に係り、とくに、フェラ
イト系ステンレス鋼冷延板の耐リジング性の改善と、製
造における生産性向上に関する。なお、本発明における
鋼板は、鋼板および鋼帯を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】SUS 430 に代表されるフェライト系ステ
ンレス鋼板は、家電機器、厨房機器や建築内装品など広
汎な用途に使用されている。しかし、フェライト系ステ
ンレス鋼板では、プレス加工や引張加工において、リジ
ングと呼ばれる圧延方向に平行な凸凹が生じ、美観を大
きく損なうという問題がある。このようなフェライト系
ステンレス鋼板におけるリジングの発生を防止するため
にいくつかの検討がなされてきた。
【0003】例えば、特開昭49−41227 号公報には、鋳
造温度を液相線温度+0℃ないし+20℃の温度で鋳造
し、微細な等軸晶を晶出させた連続鋳造スラブを用い、
リジングを低減させるフェライト系クロム含有鋼の製造
方法が提案されている。また、特開平2-250925号公報に
は、板厚の70%以上を等軸晶部分とし、等軸晶部分の平
均等軸晶粒径が1.0mm 以下であるスラブを用いて鋼板を
製造するフェライト系ステンレス鋼板の製造方法が開示
されている。
【0004】また、特開昭54−125132号公報には、溶鋼
の温度を凝固点+25℃以上とし、電磁撹拌条件を適切に
して連続鋳造したスラブを用いることによりリジングの
発生を防止するフェライト系ステンレス鋼板の製造方法
が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開昭54−12
5132号公報に記載された技術では、スラブの外皮が凝固
した後、撹拌を行うので等軸晶率の増加に限界があり、
耐リジング性の改善が不十分であることに加え、設備の
増設を必要とするという問題があった。また、特開昭49
−41227 号公報、特開平2−250925号公報に記載された
技術では、鋳造温度に厳しい制限があり、実操業時の溶
鋼温度管理が難しいという問題があった。
【0006】さらに、従来から、フェライト系ステンレ
ス鋼板の製造においては、熱延板の焼鈍にはバッチ焼鈍
が適用されているが、生産性に劣るという問題があっ
た。また、生産性向上のため、バッチ焼鈍に代えて連続
焼鈍を行うと、焼鈍後の冷却に際し、粒界にクロム炭窒
化物が析出し、鋭敏化を招く等問題があった。生産性の
向上のため、例えば、特開平8-311557号公報には、スラ
ブ加熱温度、粗圧延圧下率、シートバー保定時間、仕上
げ圧延終了温度を規定したうえ、熱延板焼鈍の昇温速度
を所定の範囲に限定する熱延板のバッチ焼鈍の短縮化の
試みが提案されているが、熱間圧延での規制が多く、さ
らに熱延板焼鈍に時間がかかり、まだ十分とは言えな
い。
【0007】本発明は、上記した従来技術の問題を解決
し、耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼熱
延板、冷延板および生産性に優れる、フェライト系ステ
ンレス鋼熱延板、冷延板の製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】リジングの発生は、連続
鋳造時に生成した粗大な柱状組織が圧延過程でも十分に
分断されないうえ、その後の焼鈍によっても微細結晶の
生成が十分ではないことに起因する。そこで、本発明者
らは、耐リジング性の向上には、熱間圧延時にフェライ
ト(α)+オーステナイト(γ)組織((α+γ)組
織)となるように成分組成を調整し、さらに熱間圧延に
よりγ結晶粒を分断し、焼鈍時に粒界からの再結晶を促
進させるのが有効であること、さらに、生産性向上のた
めに熱延板焼鈍に連続焼鈍法を適用することに想到し
た。
【0009】まず、本発明の基礎となった実験結果につ
いて説明する。重量%で、C:0.06%、Cr:16.4%を含
有し、さらに、Al: 0.0003〜0.4 %、N:0.001 〜0.03
0 %、Nb: 0.001 〜0.2 %の範囲で変化させた組成の鋼
を真空溶解炉で溶製し、小型鋼塊(50kg)とした。これ
ら小型鋼塊から180 mm厚の試験片を切り出し、1150℃に
加熱後熱間圧延し、3.5 mm厚の熱延板とした。ついで、
これら熱延板に連続焼純条件に相当する930 ℃×60s の
焼純を施したのち、冷間圧延により0.5 mm厚の冷延板と
した。さらに、これら冷延板に仕上焼純(850 ℃×20s
)を施し、冷延焼純板とした。なお、連続焼鈍前の熱
延板について、熱延板中のN as AlN を測定した。N a
s AlN の測定は、電解抽出による残渣を元素分析しAlN
量を測定し、N量に換算した。
【0010】これら冷延焼純板について、圧延方向と平
行にJIS 5号試験片を採取し、表面を#600 研磨し、25
%引張後に、リジング高さを粗度計にて測定し、耐リジ
ング性を評価した。耐リジング性は、優れる(A)から
劣る(E)までの5段階に分類した。なお、リジング高
さは、Aでは5μm 未満、Bでは5〜10μm 未満、Cで
は、10〜15μm 未満、Dでは、15〜20μm 未満、Eで
は、20μm 以上である。本発明では、リジング高さ15μ
m 未満、すなわち評価C以上が耐リジング性に優れた鋼
板とみなした。
【0011】耐リジング性とNb含有量との関係を図1に
示す。耐リジング性は、Nb含有量が0.005 〜0.06%のと
きに評価A〜Cとなり、改善されている。Nbは基本的に
炭窒化物を生成するためα相安定化元素であり、γルー
プを縮小しγ相の析出には不利となるが、結晶粒の成長
を抑制する作用も有している。Nb含有量が0.06%超の場
合には、γ相の析出量が減少したことに起因して、耐リ
ジング性が低下したと推測される。一方、Nb含有量が0.
005 %未満の場合には、Nbの結晶粒の成長を抑制する効
果が減少し、リジングの発生量が増加したと考えられ
る。
【0012】また、耐リジング性とAl含有量との関係を
図2に示す。耐リジング性は、Al含有量が0.008 %以下
のときに評価A〜Cとなり著しく改善されている。Al含
有量が0.008 %以下では、熱延中に析出するAlN 量が減
少し、マトリックス中の固溶N量が増加するためγルー
プが拡大し、熱延中に析出するγ量が増加する。その結
果、熱延時にγ粒を分断でき、組織が微細化でき、さら
に連続焼純における短時間処理でも微細結晶の柝出が促
進され、リジング発生量が減少したと推測される。この
ことは、熱延板のN as AlN 量と耐リジング性との関係
から明瞭となる。耐リジング性とN as AlN との関係を
図3に示す。図3からN as AlN が0.003 %以下とした
場合に、耐リジング性の改善が顕著であることがわか
る。
【0013】このように、本発明者らは、耐リジング性
の改善のためには、熱延時に(α+γ)組織となるよう
に成分調整することが重要であり、Al含有量の低減、Nb
の微量添加、あるいはさらにγ量を高めるために熱延板
におけるN as AlN の低減と、さらに熱延ならびに焼純
条件の最適化が好ましいという知見を得た。また、本発
明者らは、鋭敏化防止の観点からもNはAlN ではなく、
Nb窒化物として析出するほうが好ましいという知見を得
た。理由の詳細は現在のところ不明であるが、Nb窒化物
はAlN と比較してCr炭窒化物の析出核として有効に作用
するためではないかと考えられる。
【0014】本発明は、上記知見に基づいて、さらに検
討を加えて完成させたものである。すなわち、本発明
は、重量%で、Cr: 16〜20%、C:0.04〜0.08%、N:
0.005 〜0.04%、Si: 0.7 %以下、Mn: 1.0 %以下、
P:0.040 %以下、S:0.030%以下、Al:0.008%以
下、Nb: 0.005 〜0.06%を含有し、残部はFeおよび不可
避的不純物からなる組成を有し、かつ、N as AlN が0.
003 %以下であることを特徴とする耐リジング性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼熱延板である。
【0015】また、本発明は、重量%で、Cr: 16〜20
%、C:0.04〜0.08%、N:0.005 〜0.04%、Si: 0.7
%以下、Mn: 1.0 %以下、P:0.040 %以下、S:0.03
0 %以下、Al:0.008%以下、Nb: 0.005 〜0.06%を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成を有
し、かつ、N as AlN が0.003 %以下であるフェライト
系ステンレス鋼熱延板に、さらに熱延板焼鈍を施し、あ
るいはさらに酸洗を施したのち、冷間圧延と仕上へ焼鈍
を施してなる耐リジング性に優れるフェライト系ステン
レス鋼冷延板である。
【0016】また、本発明は、重量%で、Cr: 16〜20
%、C:0.04〜0.08%、N:0.005 〜0.04%、Al:0.008
%以下、Nb: 0.005 〜0.06%を含有する組成を有し、か
つ850℃以上で(α+γ)組織をなす鋼素材を1100〜125
0℃で加熱し、熱間圧延してNas AlN の含有量が0.003
%以下である熱延板とする、フェライト系ステンレス鋼
熱延板の製造方法である。
【0017】また、本発明は、重量%で、Cr:16 〜20
%、C:0.04〜0.08%、N:0.005〜0.04%、Al:0.008%
以下、Nb:0.005〜0.06%、を含有する組成を有し、かつ
850 ℃以上で(α+γ)組織をなす鋼素材を、1100℃〜
1250℃で加熱し、熱間圧延して熱延板とした後、該熱延
板を850 ℃〜1000℃で連続焼純し、その後冷間圧延と仕
上焼純を行うことを特徴とする耐リジング性に優れたフ
ェライト系ステンレス鋼冷延板の製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、鋼板組成の限定理由につい
て説明する。 Cr:16〜20% Crは、耐食性を確保するためには不可欠な元素である
が、含有量が16%未満では所望のステンレス鋼としての
耐食性が不足し、一方20%を越えての含有は冷間加工性
の低下を招く。このため、Crは16〜20%の範囲に限定し
た。なお、好ましくは16〜18%である。 C:0.04〜0.08% Cは、γ相安定化元素であるが、成形加工性の指標であ
るr値および伸び特性を低下させる元素である。とく
に、0.08%を超える含有では、成形加工性、伸び特性の
低下が顕著になる。また、0.04%未満の含有では、結晶
粒の粗大化を招くうえ、高温におけるγ量が少なくな
り、耐リジング性が劣化する。このため、Cは、0.04〜
0.08%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.05〜0.07
%の範囲である。
【0019】N:0.005 〜0.04% Nは、多量に含有するとr値および伸び特性を低下させ
るうえ、連続焼純−酸洗後に熱延板を鋭敏化させるとと
もに、「きらきら」と呼ばれる光沢不良を引き起こしや
すい。とくに、0.04%を超える含有で、「きらきら」と
呼ばれる光沢不良の発生が顕著となる。一方、0.005 %
未満の含有では、結晶粒の粗大化を招き、肌荒れを起こ
しやすい。このため、Nは0.005 〜0.04%の範囲に限定
した。なお、好ましくは0.008 〜0.025 %である。 Al:0.008 %以下 Alは、脱酸剤として作用する有効な元素であるが、Nと
結合しAlN を形成し、マトリックス中の固溶Nを減少さ
せて熱延中のγ量を減少させ、耐リジング性を低下させ
る。そのため、本発明では、Alの意図的な添加を避け、
さらに不可避的に混入する範囲も0.008 %以下に限定す
る。また、Al含有量が0.008 %を超えると、酸化物系介
在物がAl2O3 系主体となり、耐銹性が著しく劣化するう
え、さらに面疵発生の原因となり、ステンレス鋼の美麗
な外観を損なうこととなる。なお、耐リジング性の観点
から、好ましくは0.005 %以下である。
【0020】Nb:0.005 〜0.06% Nbは、α相安定化元素であり、結晶粒成長を抑制する作
用を有する。0.06%を超える含有では、熱間圧延温度域
でのγ量を減少させ、耐リジング性を劣化させる。一
方、0.005 %未満の含有では、Nbの結晶粒成長抑制効果
が減少し、そのため耐リジング性を劣化させる。このよ
うなことから、Nbは0.005 〜0.06%の範囲に限定する。
なお、好ましくは0.01〜0.05%である。
【0021】Si:0.7 %以下 Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼を硬質化させ
る元素である。Si含有量が0.7 %を超えると、伸び特性
の劣化が著しく加工性が劣化する。このため、Siは0.7
%以下に限定する。なお、好ましくは0.5 %以下であ
る。 Mn:1.0 %以下 Mnは、脱酸剤として作用するとともに、鋼を硬質化させ
る元素であるが、1.0%を超える含有は、MnS の生成量
が増加し、耐食性を劣化させる。このため、Mnは1.0 %
以下に限定した。なお、好ましくは0.7 %以下である。
【0022】P:0.040 以下 Pは、加工性、耐食性を劣化させるため、できるだけ低
減するのが望ましい。しかし、0.040 %までは許容でき
る。なお、好ましくは0.030 %以下である。 S:0.030 %以下 Sは、加工性、耐食性を劣化させるため、できるだけ低
減するのが望ましい。しかし、0.030 %までは許容でき
る。なお、好ましくは0.010 %以下である。
【0023】その他、残部はFeおよび不可避的不純物で
ある。なお、不可避的不純物としては、Ni:0.50%以下
が許容される。Niは耐食性を増加させる元素であり、伸
び特性を阻害しない0.50%まで許容される。その他、不
可避的不純物として、B,Ca,Mgがある。 N as AlN :0.003 %以下 γ相の比率を高める固溶N量を増加させ、熱間圧延時の
組織を(α+γ)組織とする。このため、熱延板中のAl
と結合したN量、N as AlN を熱延板焼鈍前で0.003 %
以下とする。なお好ましくは、0.002 %以下である。
【0024】次に、スラブの加熱、熱間圧延および焼純
条件について説明する。上記した組成の溶鋼を通常の溶
製炉で溶製し、連続鋳造法で所定の寸法の鋼素材(スラ
ブ)に凝固させるのが望ましい。得られた鋼素材(スラ
ブ)は1100〜1250℃に加熱され、通常の熱間圧延方法に
より熱延板とされる。スラブ加熱温度が1250℃を超える
と、表層部の結晶組織が粗大化し、へげ疵の原因とな
る。また、1100℃に満たない加熱温度では、熱間加工性
の不足による肌荒れが起こりやすい。このため、鋼素材
(スラブ)の加熱温度を1100〜1250℃の範囲に限定する
のが好ましい。なお、好ましくは、1130〜1200℃であ
る。
【0025】加熱された鋼素材(スラブ)は、熱間圧延
の温度範囲で、γ相が析出し、(α+γ)組織となり、
通常の熱延を施されても、γ粒の分断・微細化が行われ
る。上記した組織と熱間圧延により、熱延板中のN as
AlN の含有量を0.003 %以下とする。得られた熱延板
は、そのまま製品としても、熱延板焼鈍、酸洗を施して
使用してもよい。
【0026】ついで、熱延板は、連続焼鈍炉で、熱延板
焼純を施される。熱延板焼純は、熱延により分断・微細
化されたγ粒界から再結晶によりα相の微細結晶粒を得
るのが目的である。連続焼鈍では、熱延板は850 〜1000
℃の温度範囲に加熱され、通常、60s程度の短時間保持
が施される。連続焼鈍による熱延板焼鈍を行うことによ
り従来のバッチ焼鈍より生産性が著しく向上する。
【0027】連続焼鈍温度が850 ℃未満では、再結晶が
不足し加工性が劣化する。また、焼鈍温度が1000℃を超
えると、冷却中にマルテンサイトが析出し、硬質化し冷
間圧延性が著しく劣化する。さらに、鋭敏化による「き
らきら」が発生する。このようなことから、熱延板焼純
の加熱温度は850 〜1000℃に限定するのが好ましい。な
お、より好ましくは880 〜950 ℃である。
【0028】熱延板は、熱延板焼純を施されたのち、好
ましくは酸洗処理を施され、ついで冷間圧延により冷延
板とされる。冷間圧延は、累積圧下率50%以上の加工を
施すのが好ましい。このような冷間圧延により焼純後の
組織を加工性の高い組織とすることができる。次いで、
仕上焼純を施す。仕上焼純温度は750 〜1000℃の温度範
囲とするのが好ましい。焼純温度が750 ℃未満では、再
結晶が起こらず加工性の改善が望めない。また、1000℃
を超えると組織が粗大化し靱性の劣化や肌荒れの危険性
があるばかりでなく、粒界腐食等の原因ともなる。
【0029】
【実施例】表1に示す組成の溶鋼を転炉−VODで溶製
し、200 mm厚の連続鋳造スラブとした。このスラブを表
2に示す加熱温度に加熱し、熱間圧延により3.6 mm厚の
熱延板とした。この熱延板に、表2に示す条件の連続焼
鈍を施し熱延焼純板とし、ついで酸洗したのち、冷間圧
延により0.5 mm厚の冷延板とした。これら冷延板に、83
0 ℃の仕上焼鈍を施し、冷延焼鈍板とした。
【0030】これら冷延焼純板について、圧延方向と平
行にJIS 5号試験片を採取し、表面を#600 研磨し、25
%引張を施した後に、リジング高さを測定し耐リジング
性を評価した。ここで、リジング高さは粗度計を用いて
測定した。耐リジング性は、リジング高さによりA〜E
の5段階で評価した。評価Aは、リジング高さが5μm
未満、評価Bはリジング高さが5〜10μm 未満、評価C
はリジング高さが10〜15μm 未満、評価Dはリジング高
さが15〜20μm 未満、評価Eはリジング高さが20μm 以
上である。なお、熱延板焼鈍前の熱延板について、N a
s AlN 量を測定した。また、冷延焼鈍板について、表面
性状を調査した。これらの結果を表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】本発明例は、いずれも耐リジング性に優
れ、表面性状も良好であった。また、スラブ加熱温度、
熱延板焼鈍条件が好適範囲を外れる本発明例(鋼板No.
5、No.8、No.12 )は、耐リジング性が若干低下する傾
向を示している。これに対し、本発明の範囲を外れる比
較例(鋼板No.13 〜No.16 )は、耐リジング性が著しく
低下し、ヘゲ疵が発生し表面性状も劣化している。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、耐リジング性に優れ、
ヘゲ疵の発生の少ない表面性状の優れたフェライト系ス
テンレス冷延鋼板を、連続焼純という経済的な方法で製
造することができ、産業上格別の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐リジング性におよぼすNb含有量の影響を示す
グラフである。
【図2】耐リジング性におよぼすAl含有量の影響を示す
グラフである。
【図3】耐リジング性におよぼすN as AlN の影響を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 康 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Cr: 16〜20%、 C:0.04〜0.08%、 N:0.005 〜0.04%、 Si: 0.7 %以下、 Mn: 1.0 %以下、 P:0.040 %以下、 S:0.030 %以下、 Al:0.008%以下、 Nb: 0.005 〜0.06% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる組成
    を有し、かつ、N as AlN が0.003 %以下であることを
    特徴とする耐リジング性に優れたフェライト系ステンレ
    ス鋼熱延板。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のフェライト系ステンレ
    ス鋼熱延板に、さらに熱延板焼鈍を施し、あるいはさら
    に酸洗を施したのち、冷間圧延と仕上焼鈍を施してなる
    耐リジング性に優れるフェライト系ステンレス鋼冷延
    板。
  3. 【請求項3】 重量%で、 Cr: 16〜20%、 C:0.04〜0.08%、 N:0.005 〜0.04%、 Al:0.008%以下、 Nb: 0.005 〜0.06% を含有する組成を有し、かつ850 ℃以上で(α+γ)組
    織をなす鋼素材を1100〜1250℃で加熱し、熱間圧延して
    N as AlN の含有量が0.003 %以下である熱延板とす
    る、フェライト系ステンレス鋼熱延板の製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%で、 Cr:16 〜20%、 C:0.04〜0.08%、 N:0.005〜0.04%、 Al:0.008%以下、 Nb:0.005〜0.06%、を含有する組成を有し、かつ850 ℃
    以上で(α+γ)組織をなす鋼素材を、1100℃〜1250℃
    で加熱し、熱間圧延して熱延板とした後、該熱延板を85
    0 ℃〜1000℃で連続焼純し、その後冷間圧延と仕上焼純
    を行うことを特徴とする耐リジング性に優れたフェライ
    ト系ステンレス鋼冷延板の製造方法。
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