JP2000071266A - 芳香族ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法

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JP2000071266A
JP2000071266A JP10248239A JP24823998A JP2000071266A JP 2000071266 A JP2000071266 A JP 2000071266A JP 10248239 A JP10248239 A JP 10248239A JP 24823998 A JP24823998 A JP 24823998A JP 2000071266 A JP2000071266 A JP 2000071266A
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aromatic polycarbonate
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Hiroshi Shudo
弘 首藤
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 気泡が生じず、着色のない、透明性の良好な
芳香族ポリカーボネート樹脂成形体、殊に光ファイバー
紡糸用芳香族ポリカーボネート樹脂透明ロッドの製造方
法を提供する。 【解決手段】 芳香族ポリカーボネート樹脂固形物を成
形型内に導入し、これを減圧下、熱源として遠赤外線を
用いて加熱成形することを特徴とする芳香族ポリカーボ
ネート樹脂成形体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂成形体の製造方法に関する。さらに詳しく
は、気泡が生じず、着色のない、透明性の良好な芳香族
ポリカーボネート樹脂成形体、殊に光ファイバー紡糸用
芳香族ポリカーボネート樹脂透明ロッドの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
としては溶融縮重合法(エステル交換法)と界面縮重合
法(ホスゲン法)とがあり、工業的に芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を製造する方法としては界面縮重合法が一般
に使用されているが、近年溶融縮重合法も行われてい
る。
【0003】界面縮重合法による芳香族ポリカーボネー
ト樹脂の製造では、芳香族ポリカーボネート樹脂の有機
溶媒溶液とアルカリ性水溶液のエマルジョン溶液が得ら
れる。このエマルジョン溶液を洗浄、分離操作を繰返す
ことにより芳香族ポリカーボネート樹脂を有機溶媒溶液
として得る。次に得られた有機溶媒溶液から芳香族ポリ
カーボネート樹脂を粉粒体として得る。そして溶融押出
工程によりペレットを得て、押し出し成形や射出成形に
より芳香族ポリカーボネート成形体が製造される。
【0004】しかしながら、従来の技術では各工程にお
いて種々の問題を有している。先ず異物の混入に関して
は芳香族ポリカーボネート樹脂有機溶剤溶液から芳香族
ポリカーボネート樹脂成形体までの製造過程がパウダー
化、ペレット化、成形と他段階におよぶため、各工程及
び輸送中の異物の混入を押さえることが困難であるとい
う問題がある。また、ペレット化、成形の過程で用いる
押出機は構造上、樹脂通路がスクリュウ状になってお
り、このため一部滞留をおこす。成形温度が高い場合は
この滞留した樹脂が熱により劣化し着色を生じ、その結
果成形体が着色するという問題が生じる。
【0005】芳香族ポリカーボネート樹脂固形物を成形
型内に導入し加熱することによる芳香族ポリカーボネー
ト樹脂成形体の製造法では異物の混入及び滞留によるヤ
ケは押さえられるものの、常圧下では内部気泡の残留が
問題となり、又減圧下では熱伝導率が低いため熱効率が
悪く、成形時間が長く必要となりヤケが生じるという問
題点がある。
【0006】一方、溶融縮重合法による芳香族ポリカー
ボネート樹脂の製造においては、高温、減圧下での反応
であり、重合反応装置中の樹脂の滞留などにより、異物
の混入、樹脂の劣化が生じ易いという問題がある。
【0007】これらの方法で製造した芳香族ポリカーボ
ネート樹脂成形体は、光学用途、特に光ファイバー用途
では異物の混入、樹脂の劣化のため十分な性能が出ない
という問題があり、気泡が生じず、着色のない、透明性
の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂成形体の提供が望
まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、気泡
が生じず、着色のない、透明性の良好な芳香族ポリカー
ボネート樹脂成形体、殊に光ファイバー紡糸用芳香族ポ
リカーボネート樹脂透明ロッドの製造方法を提供するこ
とにある。本発明者はこの目的を達成せんとして鋭意研
究を重ねた結果、芳香族ポリカーボネート樹脂固形物を
成形型内に導入し、赤外線を熱源として用いて、減圧真
空下で効率よく加熱することにより、気泡が生じず、着
色のない、透明性の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂
成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、芳香族ポリカーボネート樹脂固形物を成形型内に導
入し、これを減圧下、熱源として赤外線を用いて加熱成
形することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂成
形体の製造方法が提供される。
【0010】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト樹脂としては、通常二価フェノールとカーボネート前
駆体とを溶液法または溶融法で反応させて得られるもの
である。ここで使用される二価フェノールの代表的な例
としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′
−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチ
ルメタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチ
ル)フェニル}メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,
5−ジクロロ)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノ
ールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチ
ル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2
−ビス{(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ)フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4
−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プ
ロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニ
ル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン(通称ビスフェノールAF)、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロ)フェニル}
−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テ
トラフルオロ)フェニル}−1,1,1,3,3,3−
ヘキサフルオロプロパン、オクタフルオロビフェノー
ル、2,2′,5,5′−テトラフルオロビフェノー
ル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル
ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピル
シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9
−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フ
ルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、
α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイ
ソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4′−
ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロ
キシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ
ジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニルエステル等
があげられ、これらは単独または2種以上を混合して使
用できる。
【0011】なかでも、下記式(1)で表される化合
物、特に好ましくはビスフェノールAFが二価フェノー
ル成分の少なくとも50モル%、好ましくは60モル
%、より好ましくは80モル%であり、さらに好ましく
は二価フェノール成分の全てが下記式(1)で表される
化合物である。
【0012】
【化2】
【0013】〔式中、n及びmは各々独立して0〜4の
整数である。〕
【0014】上記式(1)で示される二価フェノールよ
り製造された芳香族ポリカーボネート樹脂は、光ファイ
バー用途に使用する際、その構造中に脂肪族C−H結合
を持たないため、特に720nm〜830nmの近赤外
線領域において光吸収が少なく伝送損失の低い光ファイ
バーが得られるため好適である。
【0015】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0016】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を溶液法または溶融法によって反応させてポリカーボネ
ート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末
端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用しても
よい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能
性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂
であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸
を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であっても
よく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上
を混合した混合物であってもよい。
【0017】溶液法による反応は、通常二価フェノール
とホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の
存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物
またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶
媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のた
めに例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアン
モニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウム
ブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合
物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることも
できる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間
は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つの
が好ましい。
【0018】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、例えばフェノール、
p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノー
ル、イソオクチルフェノール、2,6−ジフルオロフェ
ノール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、
p−フェニルフェノール、o−フェニルフェノール、β
―ナフトール等が挙げられる。
【0019】これらの末端停止剤は、得られたポリカー
ボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ま
しくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ま
しく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合し
て使用してもよい。
【0020】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、
不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエ
ステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコール
またはフェノールを留出させる方法により行われる。反
応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等
により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。
反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して
生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさ
せる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0021】カーボネートエステルとしては、置換され
ていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル
基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが
挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジト
リルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネー
ト、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネー
ト、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボ
ネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート
などが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好
ましい。
【0022】また、重合速度を速めるために重合触媒を
用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナ
トリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸
化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等
のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウム
ヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシ
ド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩
基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコ
キシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合
物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ
化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモ
ン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコ
ニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交
換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は
単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用して
もよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェ
ノール1モルに対し、好ましくは1×10-9〜1×10
-3当量、より好ましくは1×10-8〜5×10-4当量の
範囲で選ばれる。
【0023】また、かかる重合反応において、フェノー
ル性の末端基を減少するために、重縮合反応の後期ある
いは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネ
ート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニ
トロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニ
ル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネー
ト、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェ
ニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネ
ート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネー
トおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネ
ート等の化合物を加えることが好ましい。なかでも2−
クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカ
ルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エト
キシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好まし
く、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカー
ボネートが好ましく使用される。
【0024】ポリカーボネート樹脂の分子量は、塩化メ
チレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを2
0℃で溶解した溶液から求めた比粘度が0.1〜0.4
の範囲のものが好ましい。
【0025】成形型内に導入する芳香族ポリカーボネー
ト樹脂固形物の形状はペレット、フレーク、パウダーの
いずれの形態でもよい。また、特に光ファイバー紡糸用
透明ロッドを製造する場合には異物の含有量が極めて少
ないことが要求され、ポリカーボネート樹脂20gを塩
化メチレン1Lに溶解した溶液をハイアックロイコ社製
液体パーティクルカウンターモデル4100を用いレー
ザーセンサー法にて散乱光をラテックス粒子の散乱光に
換算する方法で求めた平均粒径0.5μm以上の異物が
3000個/g以下、好ましくは2000個/g以下で
あることが望ましい。
【0026】異物の含有量が極めて少ない芳香族ポリカ
ーボネート樹脂固形物の製造方法としては、0.1μm
以上の異物を補集できるフィルターでろ過精製を行った
芳香族ポリカーボネート樹脂有機溶剤溶液を0.2μm
以上の外界異物に対して完全密閉である熱媒循環式スプ
レードライヤーにより噴霧乾燥することにより得ること
ができる。熱媒循環式スプレードライヤーはその構造
上、樹脂通路に稼動部が存在しないため装置内での異物
発生の可能性が低く、また熱媒循環式であるため外界か
らの異物が混入することもなく低異物量の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂固形物をパウダーとして得ることが可能
である。かかるフィルターとしては、メンブランフィル
タータイプやカートリッジフィルタータイプ等が使用で
き、具体的にはADVANTEC製PTFEメンブラン
フィルター、PALL製エンフロンスーパーケミナー
ト、キュノ製ゼータプラスおよびゼータポア等を採用す
ることができる。
【0027】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂成形
体、殊に光ファイバー紡糸用芳香族ポリカーボネート樹
脂透明ロッドは、ガラス製又は石英製等の透明な容器か
らなる成形型内に成形材料である芳香族ポリカーボネー
ト樹脂固形物を充填し、減圧下で赤外線を熱源として該
樹脂に流動性が生じる温度で加熱成形することによって
得られる。
【0028】常圧で成形を行うと空気中の酸素により酸
化劣化が生じ着色しやすく、また、気泡が成形体中に残
存し良好な成形体が得られない。また、気泡が抜けるほ
どの流動性を与える温度で成形を行うと芳香族ポリカー
ボネート樹脂が熱劣化をおこす。従って、20torr
以下、好ましくは5torr以下、より好ましくは1t
orr以下の減圧下で成形を行うことが望ましい。減圧
下にある樹脂固形物、特に嵩密度が低い固形物において
は熱伝導が悪く通常の伝熱による加熱では効率が悪く成
形時間が長くなり熱劣化をおこし、透明性にも劣る。芳
香族ポリカーボネート樹脂固形物の嵩密度は0.1g/
cm3〜0.6g/cm3の範囲が好ましい。
【0029】本発明では、熱源として波長2.5〜10
00μmの赤外線、好ましくは波長25〜1000μm
の遠赤外線を用いて、直接成形型内部の芳香族ポリカー
ボネート樹脂固形物を加熱することにより効率よく成形
することができる。上述したように伝熱による加熱では
芳香族ポリカーボネート樹脂が熱劣化をおこし、その透
明性に劣ることとなり使用できない。また、赤外線を用
いた加熱成形では熱源と成形型が非接触とすることがで
き全体を均一に加熱することが可能であり、温度むらに
よる部分焼けを生じないというメリットも有する。成形
温度は200℃〜300℃が好ましく、220℃〜28
0℃がより好ましい。
【0030】また、異物の混入を最小限に押さえ芳香族
ポリカーボネート樹脂成形体、殊に光ファイバー紡糸用
芳香族ポリカーボネート樹脂透明ロッドを製造するに
は、芳香族ポリカーボネート樹脂有機溶剤溶液を熱媒循
環式スプレードライヤーにより噴霧乾燥し、得られたパ
ウダーを直接成形型内に導入し減圧下、赤外線で加熱成
形する過程を密閉下、外気に接触させることなく行うこ
とが好ましい。
【0031】加熱成形後の芳香族ポリカーボネート樹脂
成形体の冷却は急激に冷却すると内部ひずみが生じるた
め徐冷することが好ましい。また、冷却の際芳香族ポリ
カーボネート樹脂成形体を該樹脂のガラス転移温度から
+30℃の範囲で保持し、30分〜1時間アニーリング
することにより内部ひずみのない良好な成形体を得るこ
とができる。
【0032】成形型には、成形体の離形性をよくするた
め離形材を塗布しておくことが好ましく、離形材として
は成形材料樹脂の軟化点より高いガラス転移温度を有す
るフッ素系樹脂が好ましい。
【0033】このようにして得られた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂成形体は光ファイバー紡糸用ロッド、光導波
路、レンズ等の光学部品、殊に光ファイバー紡糸用ロッ
ドに好適に使用される。
【0034】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。なお、実施例中の測定は下記の方法によって行っ
た。 (1)比粘度:ポリマー0.7gを塩化メチレン100
mlに溶解し20℃で測定を行なった。 (2)光線透過率:日立製作所製分光光度計U−340
0で測定を行った。 (3)塩化メチレン不溶解粒子:ポリカーボネート樹脂
20gを塩化メチレン1Lに溶解した溶液をハイアック
ロイコ社製液体パーティクルカウンターモデル4100
を用いレーザーセンサー法にて散乱光をラテックス粒子
の散乱光に換算する方法で求めた。
【0035】[実施例1]2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパンとホスゲン、末端停止剤としてp−ターシャ
リーブチルフェノールを用い界面縮重合法により合成し
た芳香族ポリカーボネート樹脂の10wt%塩化メチレ
ン溶液を0.1μmのメンブランフィルター(PTFE
製)でろ過精製を行った。該ポリマーの比粘度は0.1
55であった。次に、該ろ過溶液をヤマトラボッテク製
有機溶剤用スプレードライヤーにより噴霧乾燥を行いパ
ウダーを得た。この時のパウダー嵩密度は0.25g/
cm3であり、0.5μm以上の塩化メチレン未溶解粒
子は1800個/gであった。該パウダーを離形剤とし
てデュポン製テフロンAF2400でコートしたガラス
製円筒状成形型内(直径30φ×高さ750mm)に導
入し0.05torrの減圧真空下、ノリタケカンパニ
ー(株)製の遠赤外線パイプヒーター(25〜1000
μm)を用いて240℃で加熱成形を行った。その後、
窒素により常圧に戻し180℃で30分間、アニーリン
グした後、徐冷することにより、気泡、着色を生じさせ
ず、芳香族ポリカーボネート樹脂透明ロッドを得ること
ができた。このようにして得られた成形体を10cmの
長さに切り出し、その端面鏡面仕上げされたホットプレ
ートに押し付け端面を平らにする処理を行なった。かか
る成形体の透過率を測定したところ、760nmで光線
透過率88%であった。
【0036】[実施例2]2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパンと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンとの混合物(モル比で80:20)、ホスゲン
および末端停止剤としてp−ターシャリーブチルフェノ
ールを用い界面縮重合法により合成した芳香族ポリカー
ボネート樹脂の8wt%塩化メチレン溶液を0.1μm
のメンブランフィルター(PTFE製)でろ過精製を行
った。該ポリマーの比粘度は0.272であり、0.5
μm以上の塩化メチレン未溶解粒子は1700個/gで
あった。該ろ過溶液をヤマトラボッテク製有機溶剤用ス
プレードライヤーにより噴霧乾燥を行いパウダーを得
た。この時のパウダー嵩密度は0.20g/cm3であ
った。該パウダーを離形剤としてデュポン製テフロンA
F2400でコートしたガラス製円筒状成形型内に導入
し0.05torrの減圧真空下、遠赤外線パイプヒー
ターを用いて240℃で加熱成形を行った。その後、窒
素により常圧に戻し180℃で30分間アニーリングす
ることにより、気泡、着色を生じさせず、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂透明ロッドを得ることができた。このよ
うにして得られた成形体を10cmの長さに切り出し、
その端面をホットプレート処理し透過率を測定したとこ
ろ、760nmで光線透過率86%であった。
【0037】[比較例1]2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパンとホスゲン、末端停止剤としてp−ターシャ
リーブチルフェノールを用い界面縮重合法により合成し
た芳香族ポリカーボネート樹脂の10wt%塩化メチレ
ン溶液を0.1μmのメンブランフィルター(PTFE
製)でろ過精製を行った。該ポリマーの比粘度は0.1
55であった。該ろ過溶液をヤマトラボッテク製有機溶
剤用スプレードライヤーにより噴霧乾燥を行いパウダー
を得た。この時のパウダー嵩密度は0.25g/cm3
であり、0.5μm以上の塩化メチレン未溶解粒子は1
800個/gであった。該パウダーを離形剤としてデュ
ポン製テフロンAF2400でコートしたガラス製円筒
状成形型内に導入し0.05torrの減圧真空下、電
熱ヒーターを用いて240℃で加熱成形を行った。その
後、窒素により常圧に戻し除冷することにより成形体を
得た。このサンプルは気泡を含まないものの、わずかな
がら黄着色を生じた。このようにして得られた成形体を
10cmの長さに切り出し、その端面をホットプレート
処理し透過率を測定したところ、760nmで光線透過
率70%であった。
【0038】[比較例2]2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパンとホスゲン、末端停止剤としてp−ターシャ
リーブチルフェノールを用い界面縮重合法により合成し
た芳香族ポリカーボネート樹脂の10wt%塩化メチレ
ン溶液を0.1μmのメンブランフィルター(PTFE
製)でろ過精製を行った。該ポリマーの比粘度は0.1
55であった。該ろ過溶液をヤマトラボッテク製有機溶
剤用スプレードライヤーにより噴霧乾燥を行いパウダー
を得た。この時のパウダー嵩密度は0.25g/cm3
であり、0.5μm以上の塩化メチレン未溶解粒子は1
900個/gであった。該パウダーを離形剤としてデュ
ポン製テフロンAF2400でコートしたガラス製円筒
状成形型内に導入し常圧、窒素雰囲気下、電熱ヒーター
を用いて240℃で加熱成形を行った。この結果得られ
た成形体は内部に気泡を含んでおり、また黄着色を生じ
ていた。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、気泡が生じず、着色の
ない、透明性の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂成形
体、殊に光ファイバー紡糸用芳香族ポリカーボネート樹
脂透明ロッドを製造することが可能であり、その工業的
効果は格別のものがある。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F201 AA28 AC01 AC04 AH73 AH77 AK04 AM28 AM32 AR02 BA04 BC01 BC12 BD01 BN21 BN27 4F204 AA28 AC01 AC04 AH73 AH77 AK04 AM28 AM32 AR02 EA03 EB01 EE02 EE11 EK09 EK13 EK19 EK26 4J002 CG031 GP02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネート樹脂固形物を成
    形型内に導入し、これを減圧下、熱源として赤外線を用
    いて加熱成形することを特徴とする芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 減圧度20torr以下で、熱源として
    波長2.5〜1000μmの赤外線を用い、成形型と熱
    源とを非接触の状態で加熱成形する請求項1記載の芳香
    族ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】 芳香族ポリカーボネート樹脂固形物が、
    熱媒循環式スプレードライヤーにより噴霧乾燥して得ら
    れた粉粒体である請求項1記載の芳香族ポリカーボネー
    ト樹脂成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリカーボネート樹脂が、二価フ
    ェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる
    芳香族ポリカーボネート樹脂であり、その二価フェノー
    ル成分の少なくとも50モル%が下記式(1)で表され
    る化合物である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート
    樹脂成形体の製造方法。 【化1】 〔式中、n及びmは各々独立して0〜4の整数であ
    る。〕
  5. 【請求項5】 成形体が、光ファイバー紡糸用透明ロッ
    ドである請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂成
    形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2007055390A1 (ja) * 2005-11-10 2009-04-30 帝人化成株式会社 光学素子および色収差補正レンズ

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