JP2000065820A - タンパク質抽出用水溶液及び抽出方法並びにアレルゲン分析方法 - Google Patents

タンパク質抽出用水溶液及び抽出方法並びにアレルゲン分析方法

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JP2000065820A
JP2000065820A JP10232537A JP23253798A JP2000065820A JP 2000065820 A JP2000065820 A JP 2000065820A JP 10232537 A JP10232537 A JP 10232537A JP 23253798 A JP23253798 A JP 23253798A JP 2000065820 A JP2000065820 A JP 2000065820A
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Kazufumi Tsubaki
和文 椿
Yoshiro Ikezawa
善郎 池澤
Sadasuke Shimada
禎祐 嶋田
Kazuyuki Mogi
和之 茂木
Hiroshi Sugiyama
宏 杉山
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ALLERGEN FREE TECHNOLOGY KENKY
ALLERGEN FREE TECHNOLOGY KENKYUSHO KK
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ALLERGEN FREE TECHNOLOGY KENKY
ALLERGEN FREE TECHNOLOGY KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱処理後食品でも変性させずにタンパク質
を抽出できる抽出用水溶液及び抽出方法、更にアレルゲ
ン分析方法を提供する。 【解決手段】 抽出用水溶液は、(a)アルキル硫酸塩
と(b)尿素と(c)ジチオスレイトール又は2−メル
カプトエタノールとを、モル比で3.1〜52:200
0以上:1.1以上(ジチオスレイトールの場合)又は
9〜400(2−メルカプトエタノールの場合)の割合
で含有する。抽出方法は、(a)アルキル硫酸塩0.0
9重量%〜1.5重量%、(b)尿素2M以上、及び
(c)ジチオスレイトール1.1mM以上、又は2−メ
ルカプトエタノール9mM〜400mMを含む水性抽出
系中で実施する。アレルゲン分析方法は、得られた抽出
液中のタンパク質のアレルゲン性を免疫学的に測定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タンパク質抽出用水溶
液、及びタンパク質抽出方法、並びにアレルゲン分析方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】食品の栄養学的な価値又はその安全性な
どを評価するために、食品成分を分析することが一般的
に行われている。食品成分は多種多様であり、多くの成
分について分析する必要がある。その中でも、タンパク
質の分析は重要な項目の1つであり、タンパク質の分析
方法は多岐にわたる。タンパク質の分析方法の中でも、
ケルダール法又は近赤外吸光法などは、試料を直接分析
することができるので、簡便な分析方法ではある。しか
し、これらの方法においては、各種のタンパク質を全体
としてとらえるため、様々なアミノ酸配列や活性を有す
る各々のタンパク質成分の詳細について、個別に解析す
ることはできない。従って、食品に含まれるタンパク質
成分をそれぞれについて詳しく調べるためには、タンパ
ク質成分を食品から抽出分離する必要がある。しかしな
がら、抽出されたタンパク質成分を分析する際には、抽
出方法が分析結果に大きな影響を与える場合がある点を
考慮する必要がある。従って、食品中に含まれるタンパ
ク質成分をいかにして効率良く確実にもれなく、しかも
その性質・機能・活性等を維持したまま抽出するかは、
技術課題として極めて重要である。
【0003】タンパク質を抽出する際には、一般的に
は、適当な抽出用水溶液、例えば、水、0.1M程度の
塩を含有する緩衝液、又は2M以下程度の食塩水などを
対象物に添加し、含浸又は撹拌することにより、対象物
に含まれているタンパク質成分を溶液中に抽出する操作
が行われている。あるいは、抽出用水溶液に、タンパク
質変性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(以下、SDS
と称することがある)若しくは尿素、又はSH基含有酸
化防止剤である2−メルカプトエタノールを添加するこ
とも知られている。しかし、これらの化合物がタンパク
質に与える変性作用は著しく、特に、タンパク質の抗原
性に与える影響は顕著であるため、一般的濃度で使用す
ると、タンパク質の性質・機能・活性等を維持したまま
抽出するには不向きである場合が多い。
【0004】抽出操作においてタンパク質の性質・機能
・活性等を変化させないことが特に望まれる分析対象と
しては、例えば、食品に含まれるタンパク質の抗原性又
はアレルゲン性の分析がある。この分析は、その食品の
安全性を評価する上で重要である。抗原性又はアレルゲ
ン性の一般的分析方法としては、例えば、エンザイムイ
ムノアッセイ法若しくはオクタロニー法等のイムノアッ
セイ法、ヒスタミン若しくはセロトニン等を指標とする
細胞試験、ヒスタミン遊離試験、イムノブロット法、又
は皮膚テスト等が知られている。しかし、これらの方法
では抗体又は生細胞を使用するので、仮に、サンプル中
にタンパク質変性剤(例えば、SDS又は尿素)又はS
H基含有酸化防止剤(例えば、2−メルカプトエタノー
ル)等の添加剤が存在すると、それらの添加剤が抗体又
は生細胞に与える影響を充分に考慮しなければならな
い。従って、抗原性又はアレルゲン性の一般的分析にお
いては、これらの添加剤を抽出液に添加しないのが一般
的である。
【0005】更に、食品に含まれるタンパク質の抗原性
又はアレルゲン性の分析においては、食品の加熱調理を
考慮する必要がある。すなわち、食品の多くは、人間が
摂取する前に、加熱処理などの調理を施されていること
が多い。また、タンパク質は、加熱によって可逆的又は
不可逆的に変性することが知られている。このことは、
タンパク質と炭水化物や脂質等との混合物である食品に
おいても例外ではなく、加熱調理によって食品中のタン
パク質は変性する。加熱調理後では、炭水化物や脂質と
の相互作用等により、タンパク質が加熱前と異なる挙動
を示す可能性があることは充分に考えられるが、食品の
加熱前と加熱後におけるタンパク質の抽出効率の変化に
関する具体的報告は乏しい。そこで、本発明者は、実際
に、イムノアッセイ法による分析に供するために使用さ
れる一般的な抽出用水溶液、例えば、0.5M塩化ナト
リウム水溶液、リン酸緩衝液、又は水等を用いて、未加
熱の食品等からタンパク質を抽出し、イムノアッセイ法
を実施してみたところ、加熱前の食品からは抽出された
タンパク質が、加熱後の食品からは抽出されないことを
見出した(例えば、後述する比較例1参照)。このこと
は、加熱後の食品からのタンパク質抽出、又はアレルゲ
ンの分析においては、従来のように未加熱の食品に対し
て用いていた抽出液は適さない場合があることを意味す
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、食品に含まれるタンパク質の抗原性又はアレルゲン
性などの分析が可能である程度に、タンパク質の性質・
機能・活性等を変化させずに分析対象食品からタンパク
質を抽出することができ、しかも分析対象食品が加熱調
理を行った後の食品であっても、加熱調理前の食品と同
様に、効率良く、しかも、変性させることなく(特に、
抗原性を失わせることなく)、タンパク質(特にはアレ
ルゲン)を抽出することができ、更に、得られた抽出液
を予備処理(例えば、SDS除去処理)を行なうことな
くそのまま免疫学的分析に用いることのできる、タンパ
ク質抽出手段を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題は、本発明によ
る、(a)アルキル硫酸塩と(b)尿素と(c)ジチオ
スレイトール又は2−メルカプトエタノールとを、モル
比[(a):(b):(c)]で、3.1〜52:20
00以上:1.1以上(ジチオスレイトールの場合)又
は9〜400(2−メルカプトエタノールの場合)の割
合で含有することを特徴とする、食品からのタンパク質
の抽出用水溶液により解決することができる。また、本
発明は、(a)アルキル硫酸塩0.09重量%〜1.5
重量%、(b)尿素2M以上、及び(c)ジチオスレイ
トール1.1mM以上、又は2−メルカプトエタノール
9mM〜400mMを含む水性抽出系中で食品からタン
パク質抽出を実施することを特徴とする、タンパク質の
抽出方法に関する。更に、本発明は、(a)アルキル硫
酸塩0.09重量%〜1.5重量%、(b)尿素2M以
上、及び(c)ジチオスレイトール1.1mM以上、又
は2−メルカプトエタノール9mM〜400mMを含む
水性抽出系中で食品からタンパク質を抽出し、抽出液中
のタンパク質のアレルゲン性を免疫学的に測定すること
を特徴とする、前記食品中に含まれるアレルゲンの分析
方法にも関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を用いてタンパク質の抽出
を実施することのできる「食品」(以下、抽出対象食品
と称することがある)は、その中にタンパク質(特には
アレルゲン)を含有する食品又は含有する可能性のある
食品であれば、特に限定されるものではなく、例えば、
穀類、乳製品、卵、豆類、畜肉、魚肉、野菜、若しくは
果実、又はそれらの加工食品などを挙げることができ
る。また、前記の抽出対象食品は、加熱処理前の食品、
又は加熱処理後の食品であることができるが、本発明
は、従来公知の抽出用水溶液では充分なタンパク質抽出
及び抗原性・アレルゲン性の分析を行なうことのできな
かった加熱処理後食品からのタンパク質抽出に適してい
る。加熱処理後食品としては、例えば、炊飯後の米飯、
ベーカリー製品、麺類、又は魚肉練製品などを挙げるこ
とができる。
【0009】本発明のタンパク質抽出用水溶液は、
(a)アルキル硫酸塩と(b)尿素と(c)ジチオスレ
イトールとを、モル比[(a):(b):(c)]で、
3.1〜52:2000以上:1.1以上の割合で含有
する水溶液であるか、あるいは、(a)アルキル硫酸塩
と(b)尿素と(c)2−メルカプトエタノールとを、
モル比[(a):(b):(c)]で、3.1〜52:
2000以上:9〜400の割合で含有する水溶液であ
る。
【0010】前記のモル比でアルキル硫酸塩と尿素とジ
チオスレイトール又は2−メルカプトエタノールとを含
有する本発明のタンパク質抽出用水溶液を抽出対象食品
と接触させ、その食品からタンパク質を抽出する際に
は、抽出対象食品試料に含まれている水分量を考慮し
て、本発明のタンパク質抽出用水溶液を適宜希釈して用
いることができる。すなわち、本発明の抽出方法におい
ては、抽出対象食品試料を含む水性抽出系中で、(a)
アルキル硫酸塩0.09重量%〜1.5重量%、(b)
尿素2M以上、及び(c)ジチオスレイトール1.1m
M以上、又は2−メルカプトエタノール9mM〜400
mMの存在下で、前記の抽出対象食品試料からタンパク
質を抽出する。従って、抽出対象食品試料に含まれてい
る水分なども含めて、水性抽出系中でのアルキル硫酸
塩、尿素、及びジチオスレイトール又は2−メルカプト
エタノールのそれぞれの濃度が前記の濃度範囲内になる
ように、本発明のタンパク質抽出用水溶液を適宜希釈し
て用いる。
【0011】本発明において使用することのできるアル
キル硫酸塩は、アルキル硫酸と無機塩基又は有機塩基と
の塩であることができる。アルキル硫酸塩におけるアル
キル基の炭素数は、8〜16であることが好ましく、前
記アルキル基は、直鎖状アルキル基であることもできる
し、あるいは、分枝状アルキル基であることもできる。
アルキル基としては、例えば、ラウリル基、トリデシル
基、ミリスチル基、ペンタデシル基、ウンデシル基、デ
シル基、ノニル基、又はオクチル基を挙げることがで
き、ラウリル基が好ましい。無機塩基との塩としては、
例えば、アルキル金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、又はリチウム塩)、又はアンモニウム塩を挙げ
ることができ、また、有機塩基との塩としては、例え
ば、アルカノール塩(例えば、モノエタノールアミン)
を挙げることができる。本発明においては、ナトリウム
塩であることが好ましい。本発明においては、アルキル
硫酸塩として、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を用
いることが好ましい。
【0012】本発明のタンパク質抽出方法においては、
抽出対象食品と接触させるアルキル硫酸塩の濃度(すな
わち、水性抽出系中のアルキル硫酸塩濃度)は臨界的で
あって、0.09重量%〜1.5重量%であることが必
要であり、抽出したタンパク質の抗原性の低下がより少
ない点で、0.125重量%〜0.5重量%であること
が好ましい。アルキル硫酸塩濃度が1.5重量%を越え
ると、抽出されるタンパク質は、免疫学的に変性してし
まい、抗原性を失うことがある。一方、アルキル硫酸塩
濃度が0.09重量%未満であると、抽出対象食品が加
熱処理後食品である場合に、非加熱の食品から抽出した
場合と同じようには、タンパク質が抽出されないことが
ある。このことは、非加熱食品から得られた抽出液と、
加熱処理後食品から得られた抽出液とをSDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動法により分析した際に、タン
パク質の泳動パターンが異なることから確認することが
できる。
【0013】本発明のタンパク質抽出方法においては、
抽出対象食品と接触させる尿素濃度(すなわち、水性抽
出系中の尿素濃度)は、2M以上であることが必要であ
り、4M〜8Mであることが好ましい。尿素濃度が2M
未満であると、抽出対象食品が加熱処理後食品である場
合に、非加熱の食品から抽出した場合と同じようには、
タンパク質が抽出されないことがある。
【0014】本発明のタンパク質抽出方法においては、
SH基保護剤である2−メルカプトエタノール又はジチ
オスレイトールの少なくともいずれか一方を使用する。
2−メルカプトエタノールを使用する場合には、抽出対
象食品と接触させる2−メルカプトエタノール濃度(す
なわち、水性抽出系中の2−メルカプトエタノール濃
度)は、9mM〜400mMであることが必要であり、
12.5mM〜100mMであることが好ましい。2−
メルカプトエタノールの濃度が25mM未満であると、
抽出対象食品が加熱処理後食品である場合に、非加熱の
食品から抽出した場合と同じようには、タンパク質が抽
出されないことがある。
【0015】本発明のタンパク質抽出方法においてジチ
オスレイトールを使用する場合には、抽出対象食品と接
触させるジチオスレイトール濃度(すなわち、水性抽出
系中のジチオスレイトール濃度)は、1.1mM以上で
あることが必要である。抽出対象食品が加熱処理後食品
である場合に、タンパク質の抽出量が不充分になること
があるので、3mM〜100mMであることが好まし
い。ジチオスレイトールの濃度が1.1mM未満である
と、抽出対象食品が加熱処理後食品である場合に、非加
熱の食品から抽出した場合と同じようには、タンパク質
が抽出されないことがあり、100mMを越えると、抽
出したタンパク質の抗原性の低下が認められることがあ
る。
【0016】本発明の抽出用水溶液のベースとなる溶媒
は、抽出されるタンパク質の免疫学的活性を損なわない
溶媒である限り、特に限定されるものではない。例え
ば、水、緩衝液、又は適当な塩を含む水溶液(例えば、
塩化ナトリウム水溶液又は生理食塩水)を使用すること
ができる。前記緩衝液としては、公知の緩衝液、例え
ば、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、ヘペス緩衝液、又は
メス緩衝液を挙げることができ、これらの緩衝液を、例
えば、50〜150mMの濃度で使用することができ
る。また、本発明の抽出用水溶液を希釈する場合には、
前記の溶媒を使用することができる。
【0017】また、本発明の抽出用水溶液のpHも、抽
出されるタンパク質の免疫学的活性を損なわないpHで
ある限り、特に限定されるものではないが、好ましくは
4〜10、より好ましくは5〜9である。
【0018】更に、本発明の抽出用水溶液は、抽出され
るタンパク質の安定化やタンパク質の抽出効率を向上さ
せるために一般的に使用することのできる成分、例え
ば、金属イオン、酸化防止剤、キレート剤、吸着剤、グ
リセリン、ソルビトール、又はプロテアーゼインヒビタ
ーを、抽出されるタンパク質の免疫学的活性を損なわな
い範囲で含有することができる。
【0019】本発明の抽出方法によって、(a)アルキ
ル硫酸塩と(b)尿素と(c)ジチオスレイトール又は
2−メルカプトエタノールとが前記の濃度範囲で存在す
る水性抽出系中で、抽出対象食品からタンパク質を抽出
すると、従来の抽出用溶液では抽出することが不可能で
あった加熱処理後の食品からでも、非加熱の食品から抽
出した場合と同じようにタンパク質を抽出することがで
きる。前記の(a)アルキル硫酸塩、(b)尿素、及び
(c)ジチオスレイトール又は2−メルカプトエタノー
ルの内、いずれか1つの化合物が欠けたり、あるいは、
いずれか1つの化合物の濃度が前記濃度範囲を外れる
と、例えば、後述する実施例1〜実施例4に示すよう
に、加熱処理後の食品からはタンパク質を充分に抽出す
ることができないことがある。また、抗原性・アレルゲ
ン性の分析を行なうことができない場合がある。
【0020】本発明の抽出方法においては、例えば、抽
出対象食品と接触させたときに前記の(a)アルキル硫
酸塩、(b)尿素、及び(c)ジチオスレイトール又は
2−メルカプトエタノールの各々が前記濃度になるよう
な本発明の抽出用水溶液を予め調製し、その抽出用水溶
液と抽出対象食品とを接触させることにより、(a)ア
ルキル硫酸塩、(b)尿素、及び(c)ジチオスレイト
ール又は2−メルカプトエタノールの各々の濃度が前記
濃度範囲内となる条件下でタンパク質抽出を実施するこ
とができる。もちろん、抽出用水溶液における前記の
(a)アルキル硫酸塩、(b)尿素、及び(c)ジチオ
スレイトール又は2−メルカプトエタノールの各々の含
有量は、抽出対象食品が予め含有する水分量を考慮した
上で、決定することが必要である。
【0021】あるいは、抽出対象食品に、前記の(a)
アルキル硫酸塩、(b)尿素、及び(c)ジチオスレイ
トール又は2−メルカプトエタノールの各々を、前記の
濃度範囲内の濃度になるように、それぞれ別々に添加す
ることによっても、添加した前記化合物の各々の濃度が
前記濃度範囲内となる条件下でタンパク質を抽出するこ
とができる。なお、この場合にも、抽出対象食品が予め
含有する水分量を考慮した上で、別々に添加する際の前
記化合物の各々の添加量を決定する必要がある。例え
ば、抽出対象食品が、食品(特には加熱処理後食品、例
えば、炊飯後の米飯)の乾燥物である場合には、その乾
燥物重量の好ましくは約5〜100倍量、より好ましく
は約20〜30倍量の緩衝液を加え、場合によりしばら
く(例えば、10分間)静置した後に、前記濃度になる
ように(a)アルキル硫酸塩、(b)尿素、及び(c)
ジチオスレイトール又は2−メルカプトエタノールをそ
れぞれ添加することにより、添加した前記化合物の各々
の濃度が前記濃度範囲内となる条件下でタンパク質抽出
を実施することができる。
【0022】本発明の抽出方法においてタンパク質抽出
を行なう際の抽出対象食品の形状は、特に限定されるも
のではなく、食品をそのまま試料として用いることもで
きるが、食品をより小さな形状に分割、破砕、又は粉砕
すると、抽出効率が向上するので好ましい。本発明の抽
出方法において、抽出対象食品がデンプンに富む食品
(特には加熱処理後食品、例えば、炊飯後の米飯)であ
る場合には、その食品をそのまま試料として使用するこ
ともできるが、前記食品を凍結乾燥し、粉砕処理を行な
って調製した試料について抽出操作を実施することが好
ましい。そのまま試料として使用すると、デンプンの粘
性のために抽出操作がべとついたり、特に、加熱直後
(例えば、米飯においては炊飯直後)であると、水分の
蒸発による試料採取の誤差が大きくなるなど、作業に困
難性を伴うことがあるからである。また、抽出対象食品
が、脂肪に富む食品(特には加熱処理後食品で)ある場
合にも、その食品をそのまま試料として使用することも
できるが、前記食品を凍結乾燥し、粉砕処理を行なって
調製した試料について抽出操作を実施することが好まし
い。更には、脱脂したものであることがより好ましい。
前記脱脂方法としては、公知の方法、例えば、溶媒[例
えば、ケトン類(例えば、アセトン)、アルコール類、
又はアルカン類(例えば、ヘキサン)]による抽出方法
を用いることができる。
【0023】本発明の抽出方法において、前記の(a)
アルキル硫酸塩、(b)尿素、及び(c)ジチオスレイ
トール又は2−メルカプトエタノールの各々の濃度が前
記濃度範囲内となる条件下でタンパク質を抽出する際に
は、例えば、水性抽出系を静置したままで抽出処理を実
施することもできるし、あるいは、タンパク質抽出を促
進する種々の公知方法、例えば、撹拌[例えば、ローテ
ーターによる撹拌、あるいは、混合器(例えば、ボルテ
ックスミキサー)による撹拌]、又は振盪下で抽出を実
施することもできる。抽出の際の温度は特に限定される
ものではないが、好ましくは4〜40℃、より好ましく
は10〜30℃である。また、抽出時間も特に限定され
るものではないが、抽出用水溶液と抽出対象食品とを接
触させてから、好ましくは24時間以内、より好ましく
は0.5〜2時間である。
【0024】本発明のアレルゲン分析方法においては、
前記の(a)アルキル硫酸塩、(b)尿素、及び(c)
ジチオスレイトール又は2−メルカプトエタノールの各
々の濃度が前記濃度範囲内となる条件下でタンパク質の
抽出を実施した後に、固液分離を行ない、得られた抽出
液中に含まれるタンパク質について、それらのアレルゲ
ン性を公知の免疫学的手法により分析する。なお、本明
細書において、「分析」には、アレルゲンの存在の有無
を判定する「検出」と、アレルゲンの存在量を決定する
「定量」との両方が含まれる。前記の固液分離は、公知
方法により実施することができ、例えば、遠心分離又は
濾過などの手段を用いることができる。本発明の抽出方
法により得られた抽出液は、免疫学的活性が高く維持さ
れているので、イン・ビトロ(in vitro)で行
なう各種免疫学的試験の試料として、そのまま(例え
ば、アルキル硫酸塩等を除去することなく)用いること
ができる。なお、本発明のアレルゲン分析方法において
は、得られた抽出液からアルキル硫酸塩等を除去してか
ら、公知の免疫学的手法により分析することが好ましい
場合もある。
【0025】本発明のアレルゲン分析方法においては、
公知の免疫学的手法により、抽出液中に含まれるタンパ
ク質のアレルゲン性を分析する。前記免疫学的手法に
は、イン・ビトロ(in vitro)で行なう免疫学
的試験と、イン・ビボ(invivo)で行なう免疫学
的試験との両方が含まれる。イン・ビトロで行なう免疫
学的試験としては、例えば、イムノアッセイ法[例え
ば、エンザイムイムノアッセイ法(以下、ELISA法
と称する)若しくはオクタロニー法]、ヒスタミン若し
くはセロトニン等を指標とする細胞試験、ヒスタミン遊
離試験、又はイムノブロット法を挙げることができ、イ
ン・ビボで行なう免疫学的試験としては、例えば、皮膚
テスト(例えば、プリックテスト又はパッチテスト)を
挙げることができる。
【0026】例えば、前記の免疫学的手法としてELI
SA法を用いる場合には、これに限定されるものではな
いが、本発明によるアレルゲン分析方法を、例えば、以
下のように実施することができる。すなわち、或る食品
から得られた抽出液を適切な緩衝液(例えば、リン酸緩
衝生理食塩水)で希釈した後に、マイクロタイタープレ
ートに分注し、そのまま静置することによりコーティン
グし、適切にブロッキングし、洗浄した後に、抽出液中
に存在するタンパク質に対する抗体を有する疑いの有る
血清(例えば、前記抽出対象食品に対してアレルギー反
応を起こす可能性のある患者からの血清)を添加して、
反応させる。更に洗浄した後に、ビオチン標識二次抗体
(抗ヒトIgE抗体)を反応させ、洗浄し、ペルオキシ
ダーゼ結合アビジンと反応させ、洗浄した後に、発色試
薬により発色させ、硫酸により反応を停止した後、呈色
の度合いを吸光度計で測定する。前記の血清中に抗アレ
ルゲン抗体が含まれている場合には、黄色から茶色の呈
色が認められる。また、前記の血清中に抗アレルゲン抗
体が含まれていない場合には、呈色は認められない。こ
うして、前記の食品がアレルゲンを含有するか否かを分
析することができ、更に前記食品を摂取した人がアレル
ギー反応を起こすか否かを判定することができる。ま
た、呈色の度合いでアレルギー反応の強さを定量するこ
とができる。なお、前記抽出液中に存在するタンパク質
は、それが同定されているか否かとは無関係に、前記の
方法によってそのアレルゲン性を分析することができ
る。
【0027】前記ELISA法では、標識手段と二次抗
体とを直接的に結合させることもできるし、標識手段と
して、前記ペルオキシダーゼ以外にも、例えば、酵素
(例えば、アルカリホスファターゼ)、蛍光物質(例え
ば、フルオレセインイソチアネート)、生物発光物質
(例えば、ルシフェリン−ルシフェラーゼ)、化学発光
物質(例えば、ルミノール、アクリジン誘導体、又はア
ダマンタン誘導体)、金コロイド、又は放射性物質(例
えば、32P)を用いることもできる。
【0028】また、前記免疫学的手法としてヒスタミン
遊離試験を用いる場合には、これに限定されるものでは
ないが、本発明によるアレルゲン分析方法を、例えば、
以下のように実施することができる。すなわち、或る食
品から得られた抽出液を適切な緩衝液[例えば、PIP
ES[ピペラジン−N,N'−ビス(2−エタンスルホ
ン酸)]−トリス緩衝液]で希釈した後にチューブに分
注し、抽出液中に存在するタンパク質に対するヒスタミ
ン遊離細胞を有する疑いの有る血液(例えば、アレルギ
ー患者の血液)を添加し、反応させる。その反応液中に
存在するヒスタミン量、あるいは、前記反応液から遠心
分離等により上清を得、その上清中に存在するヒスタミ
ン量を、公知方法により測定する。ヒスタミン量を測定
する前記公知方法としては、例えば、前記反応液又はそ
の上清をグラスファイバーを固着化したマイクロタイタ
ープレートに添加し、洗浄した後に、フタルアルデヒド
を反応させ、発色安定剤を添加した後に、蛍光強度を測
定する方法を挙げることができる。あるいは、抗ヒスタ
ミン抗体を用いて免疫学的手法によりヒスタミン量を測
定することもできる。
【0029】アルキル硫酸塩及び/又はSH基保護剤
は、その強力な作用のため、イン・ビトロで行なう免疫
学的試験の際には、一般的には、反応系から除かれてい
るのが好ましいとされている。しかしながら、本発明方
法により得られた抽出液は、免疫学的活性が高く維持さ
れているので、イン・ビトロで行なう各種免疫学的試験
の試料として、そのまま(例えば、アルキル硫酸塩等を
除去することなく)用いることができる。なお、イン・
ビボで行なう各種免疫学的試験(例えば、アレルギー患
者の皮膚を用いるプリックテストやパッチテスト等)で
は、人体に直接に試料液を接種するため、試料液にアル
キル硫酸塩及び/又はSH基保護剤は含まれていてはな
らない。従って、イン・ビボで行なう各種免疫学的試験
を用いる場合には、得られた抽出液からアルキル硫酸塩
等を予め除去した後に、前記免疫学的手法による分析を
実施することが必要である。
【0030】得られた抽出液からアルキル硫酸塩を除去
する方法としては、これに限定されるものではないが、
例えば、タンパク質を沈澱させることのできる化合物を
抽出液に添加してタンパク質を沈澱させ、得られた沈澱
を回収し、再可溶化する方法を挙げることができる。
【0031】タンパク質を沈澱させることのできる化合
物としては、特に限定されるものではないが、例えば、
有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、又はアセトン)、水溶性高分子化合物(例えば、
ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、又はデキス
トラン)、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、又は
トリクロロ酢酸を挙げることができ、アセトン又はプロ
パノールが好ましく、免疫学的活性の維持の観点からは
アセトンが特に好ましい。前記有機溶媒を使用する場合
には、抽出液の容量に対して約1〜10倍量で添加する
ことが好ましい。回収した沈殿を再可溶化させる場合に
は、例えば、尿素を含有する生理食塩水溶液(尿素濃度
が2M以上であることが好ましく、4M以上であること
がより好ましい)、エタノール、又はエタノール水溶液
(好ましくは50〜80%エタノール水溶液)を用いる
ことができる。
【0032】なお、この脱アルキル硫酸塩操作は比較的
煩雑であり、前記脱アルキル硫酸塩操作を必要としない
アレルゲン分析方法の開発が待たれていたが、本発明の
抽出方法により得られる抽出液は、イン・ビトロで行な
う免疫学的試験の試料として、脱アルキル硫酸塩操作を
実施することなく、そのまま用いることができる。ま
た、本発明の抽出方法により得られた抽出液中に含まれ
るタンパク質は、これを各種ポリペプチドについて精製
し、タンパク質工学的試験の試料としても使用すること
ができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。なお、特に断わらない限り、SDSの濃度を示す
「%」は、「重量%」を意味する。
【実施例1】《米飯からのタンパク質抽出におけるSD
S濃度の影響》 (1)米飯粉末抽出液の調製 精米100gに対して水250mlを加えて炊飯器を用
いて炊飯した米飯を、凍結乾燥した後に、微粉砕し、米
飯粉末を得た。この米飯粉末50mgを1.5mlチュ
ーブに取り、リン酸緩衝溶液(phosphate−b
ufferedsaline;以下、PBSと略称す
る)(pH7.0)250μlを加え、10分間放置し
た。米飯粉末が充分に膨潤した後に、8M尿素、100
mM−2−メルカプトエタノール、及び種々の濃度のS
DSを含有する抽出用水溶液(SDS含有溶液)100
0μl、又は8M尿素及び100mM−2−メルカプト
エタノールを含有する抽出用水溶液(SDS不含溶液)
1000μlを加えた。なお、SDSは、前記のSDS
含有抽出用水溶液中の最終濃度が6%、5%、4%、3
%、2%、1%、0.5%、0.25%、0.125
%,又は0.06%となるようにそれぞれ添加した。回
転抽出器(ローテーター:タイテック社製)を用いて室
温で30分間抽出を行ない、続いて、遠心分離(4℃,
15000×g,15分間)により固液分離を行なっ
た。得られたそれぞれの上清を抽出液No.1(SDS
濃度=6%)、No.2(SDS濃度=5%)、No.
3(SDS濃度=4%)、No.4(SDS濃度=3
%)、No.5(SDS濃度=2%)、No.6(SD
S濃度=1%)、No.7(SDS濃度=0.5%)、
No.8(SDS濃度=0.25%)、No.9(SD
S濃度=0.125%)、No.10(SDS濃度=
0.06%)、及びNo.11(SDS濃度=0%)と
命名した。
【0034】(2)SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動法による分析 各抽出液No.1〜No.11(50μl)に、SDS
試薬(第一化学薬品社製)50μlを加え、2分間煮沸
した後に、その内の10μlをSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動に供試した。電気泳動を実施した後
に、銀染色法によりゲルを染色し、タンパク質バンドを
検出したところ、実施例1(1)で用いたSDS濃度が
0.06%以上である場合に、分子量10〜100kd
の範囲全体にわたってタンパク質バンドが認められた。
また、本発明の抽出用水溶液における配合成分の内、尿
素及び2−メルカプトエタノールのみを含有する抽出用
水溶液を用いて抽出した場合(抽出液No.11)に
は、タンパク質を充分に抽出することができなかった。
【0035】(3)ELISA法による分析 前記実施例1(2)の結果を踏まえて、次に、SDS濃
度が0.06%以上の抽出用水溶液から得られた抽出液
(すなわち、抽出液No.1〜No.10)を用いて、
以下に示す手順でIgE−ELISA実験を実施した。
すなわち、各抽出液No.1〜No.10を、96ウェ
ルのマイクロタイタープレートに70μlずつ分注し、
シーリングして4℃にて一昼夜、コーティングさせた。
次に、2%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液180μ
lを加え、37℃で1時間放置し、ブロッキング操作を
行なった。自動洗浄機を用いて、プレートの各ウェルを
洗浄液[PBSに0.05%となるようにポリオキシエ
チレングリコールソルビタンアルキルエステル(商品
名:Tween20)を溶解させた溶液、以下、PBS
−T溶液と称する]で3回洗浄した後に、米アレルギー
患者血清の希釈液(0.2%BSAを含むPBS−Tに
より10倍希釈した患者血清)50μlを各ウェルに加
えた。
【0036】4℃にて一昼夜放置した後に、プレートの
各ウェルをPBS−T溶液で5回洗浄し、次に、抗体用
希釈液(2%BSAを含むPBS−T溶液)で2,00
0倍希釈した抗ヒトIgE−ビオチン(ベクター社製)
希釈溶液100μlを各ウェルに加えて、37℃で2時
間反応させた。PBS−T溶液で再度5回洗浄した後
に、前記抗体用希釈液にて4000倍希釈したペルオキ
シターゼ結合アビジン(ベーリンガー社製)希釈液10
0μlを各ウェルに加えて、37℃で1時間反応させ
た。PBS−T溶液で5回洗浄した後に、発色試薬液
(50mMオルトフェニレンジアミン溶液)100μl
を各ウェルに加えて、37℃で10分間反応させた。2
M硫酸40μlを各ウェルに添加して反応を終了させ、
プレートリーダー(測定波長=490nm)にて測定し
た。
【0037】結果を表1に示す。表1において「コント
ロール」は、8M尿素、100mM−2−メルカプトエ
タノール、及び種々の濃度のSDSを含有する抽出用水
溶液の代わりに、0.5M塩化ナトリウム水溶液を用い
たこと以外は、前記と同様の操作を繰り返して得られた
抽出液であり、そして、「陽性コントロール」は、米飯
粉末の代わりに、精米を単に粉砕して調製した未加熱米
粉を用いたこと以外は、前記のコントロール操作と同様
の操作を繰り返して得られた抽出液である。また、表1
(及び表2以下)に示す「比率」は、陽性コントロール
のO.D.(optical density;光学濃
度)値を基準(100)とした場合の各抽出液のO.
D.値の比率である。この比率が50以上になる場合に
は、アレルゲンタンパク質が良好に抽出されたものと評
価することができ、50未満になる場合には、アレルゲ
ンタンパク質が良好に抽出されなかったものと評価する
ことができる。
【0038】表1から明らかなように、SDS濃度が
0.125%〜1%の抽出用水溶液からは、アレルゲン
を充分に抽出することができるのに対して、SDS濃度
が2%以上の抽出用水溶液からは、アレルゲンを充分に
抽出することができないことが示された。
【0039】
【表1】抽出液No. SDS濃度(%) O.D.値 比率 1 6 0.2 18 2 5 0.2 18 3 4 0.35 31 4 3 0.4 35 5 2 0.45 39 6 1 0.678 59 7 0.5 1.044 91 8 0.25 1.055 92 9 0.125 0.688 60 10 0.06 0.400 35 コントロール 0 0.023 2陽性コントロール 0 1.142 100
【0040】
【実施例2】《米飯からのタンパク質抽出における尿素
濃度の影響》前記実施例1(1)で用いた抽出用水溶液
の代わりに、0.25%SDS、100mM−2−メル
カプトエタノール、及び種々の濃度の尿素を含む抽出用
水溶液(但し、尿素は、最終濃度が8M、7.2M、
6.4M、5.6M、4.8M、4M、2M、1M、又
は0.5Mとなるようにそれぞれ添加した)、並びに
0.25%SDS及び100mM−2−メルカプトエタ
ノールを含有する抽出用水溶液を用いたこと以外は、前
記実施例1(1)に記載の手順を繰り返すことにより、
抽出液No.12(尿素濃度=8M)、No.13(尿
素濃度=7.2M)、No.14(尿素濃度=6.4
M)、No.15(尿素濃度=5.6M)、No.16
(尿素濃度=4.8M)、No.17(尿素濃度=4
M)、No.18(尿素濃度=2M)、No.19(尿
素濃度=1M)、No.20(尿素濃度=0.5M)、
及びNo.21(尿素濃度=0M)を得た。
【0041】得られた各抽出液No.12〜No.21
を用いて、前記実施例1(2)に記載の手順を繰り返し
たところ、尿素濃度が2M以上である場合に、分子量1
0〜100kdの範囲全体にわたってタンパク質バンド
が認められた。また、本発明の抽出用水溶液における配
合成分の内、SDS及び2−メルカプトエタノールのみ
を含有する抽出用水溶液を用いて抽出した場合(抽出液
No.21)には、タンパク質を充分に抽出することが
できなかった。この結果を踏まえて、次に、尿素濃度が
2M以上の抽出用水溶液から得られた抽出液(すなわ
ち、抽出液No.12〜No.18)を用いて、前記実
施例1(3)に記載の手順を繰り返した。結果を表2に
示す。表2において、「コントロール」及び「陽性コン
トロール」は、前記表1の再掲である。表2から明らか
なように、尿素濃度が2M以上の抽出用水溶液からは、
アレルゲンを充分に抽出することができることが示され
た。
【0042】
【表2】抽出液No. 尿素濃度(M) O.D.値 比率 12 8 1.011 89 13 7.2 0.965 85 14 6.4 0.933 82 15 5.6 0.957 84 16 4.8 0.919 80 17 4 0.909 80 18 2 0.903 79 コントロール 0 0.023 2陽性コントロール 0 1.142 100
【0043】
【実施例3】《米飯からのタンパク質抽出における2−
メルカプトエタノール濃度の影響》前記実施例1(1)
で用いた抽出用水溶液の代わりに、0.5%SDS、8
M尿素、及び種々の濃度の2−メルカプトエタノールを
含む抽出用水溶液(但し、2−メルカプトエタノール
は、最終濃度が400mM、200mM、100mM、
50mM、25mM、12.5mM、6mM、3mM、
又は1.5mMとなるようにそれぞれ添加した)、並び
に0.5%SDS及び8M尿素を含有する抽出用水溶液
を用いたこと以外は、前記実施例1(1)に記載の手順
を繰り返すことにより、抽出液No.22(2−メルカ
プトエタノール濃度=400mM)、No.23(2−
メルカプトエタノール濃度=200mM)、No.24
(2−メルカプトエタノール濃度=100mM)、N
o.25(2−メルカプトエタノール濃度=50m
M)、No.26(2−メルカプトエタノール濃度=2
5mM)、No.27(2−メルカプトエタノール濃度
=12.5mM)、No.28(2−メルカプトエタノ
ール濃度=6mM)、No.29(2−メルカプトエタ
ノール濃度=3mM)、No.30(2−メルカプトエ
タノール濃度=1.5mM)、及びNo.31(2−メ
ルカプトエタノール濃度=0mM)を得た。
【0044】得られた各抽出液No.22〜No.31
を用いて、前記実施例1(2)に記載の手順を繰り返し
たところ、2−メルカプトエタノール濃度が12.5m
M以上である場合に、分子量10〜100kdの範囲全
体にわたってタンパク質バンドが認められた。また、本
発明の抽出用水溶液における配合成分の内、尿素及びS
DSのみを含有する抽出用水溶液を用いて抽出した場合
(抽出液No.31)には、タンパク質を充分に抽出す
ることができなかった。この結果を踏まえて、次に、2
−メルカプトエタノール濃度が6mM以上の抽出用水溶
液から得られた抽出液(すなわち、抽出液No.22〜
No.28)を用いて、前記実施例1(3)に記載の手
順を繰り返した。結果を表3に示す。表3に示す「2−
ME」は、2−メルカプトエタノールを意味する。表3
において、「コントロール」及び「陽性コントロール」
は、前記表1の再掲である。表3から明らかなように、
2−メルカプトエタノール濃度が12.5mM〜400
mMの抽出用水溶液からは、アレルゲンを充分に抽出す
ることができることが示された。
【0045】
【表3】抽出液No. 2−ME濃度(mM) O.D.値 比率 22 400 0.607 53 23 200 0.65 57 24 100 0.931 82 25 50 0.984 86 26 25 0.774 68 27 12.5 0.741 65 28 6 0.550 48 コントロール 0 0.023 2陽性コントロール 0 1.142 100
【0046】
【実施例4】《米飯からのタンパク質抽出におけるジチ
オスレイトール濃度の影響》前記実施例1(1)で用い
た抽出用水溶液の代わりに、0.5%SDS、8M尿
素、及び種々の濃度のジチオスレイトールを含む抽出用
水溶液(但し、ジチオスレイトールは、最終濃度が10
0mM、50mM、25mM、12.5mM、6mM、
3mM、1.5mM、0.75mM、又は0.37mM
となるようにそれぞれ添加した)、並びに0.5%SD
S及び8M尿素を含有する抽出用水溶液を用いたこと以
外は、前記実施例1(1)に記載の手順を繰り返すこと
により、抽出液No.32(ジチオスレイトール濃度=
100mM)、No.33(ジチオスレイトール濃度=
50mM)、No.34(ジチオスレイトール濃度=2
5mM)、No.35(ジチオスレイトール濃度=1
2.5mM)、No.36(ジチオスレイトール濃度=
6mM)、No.37(ジチオスレイトール濃度=3m
M)、No.38(ジチオスレイトール濃度=1.5m
M)、No.39(ジチオスレイトール濃度=0.75
mM)、No.40(ジチオスレイトール濃度=0.3
7mM)、及びNo.41(ジチオスレイトール濃度=
0mM)を得た。
【0047】得られた各抽出液No.32〜No.41
を用いて、前記実施例1(2)に記載の手順を繰り返し
たところ、ジチオスレイトール濃度が1.5mM以上で
ある場合に、分子量10〜100kdの範囲全体にわた
ってタンパク質バンドが認められた。また、本発明の抽
出用水溶液における配合成分の内、尿素及びSDSのみ
を含有する抽出用水溶液を用いて抽出した場合(抽出液
No.41)には、タンパク質を充分に抽出することが
できなかった。この結果を踏まえて、次に、ジチオスレ
イトール濃度が0.75mM以上の抽出用水溶液から得
られた抽出液(すなわち、抽出液No.32〜No.3
9)を用いて、前記実施例1(3)に記載の手順を繰り
返した。結果を表4に示す。表4に示す「DTT」は、
ジチオスレイトールを意味する。表4において、「コン
トロール」及び「陽性コントロール」は、前記表1の再
掲である。表4から明らかなように、ジチオスレイトー
ル濃度が1.5mM以上の抽出用水溶液からは、アレル
ゲンを充分に抽出することができることが示された。
【0048】
【表4】抽出液No. DTT濃度(mM) O.D.値 比率 32 100 1.114 98 33 50 1.146 100 34 25 1.05 92 35 12.5 0.996 87 36 6 0.988 87 37 3 0.878 77 38 1.5 0.772 68 39 0.75 0.411 36 コントロール 0 0.023 2陽性コントロール 0 1.142 100
【0049】
【実施例5】《ヒスタミン遊離実験における脱SDS操
作の有無の影響》 (1)米飯粉末抽出液の調製とSDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動法による分析 100mM−2−メルカプトエタノールの代わりに、2
0mMジチオスレイトールを用いたこと以外は、前記実
施例1(1)に記載の手順を繰り返すことにより、抽出
液No.42(SDS濃度=6%)、No.43(SD
S濃度=5%)、No.44(SDS濃度=4%)、N
o.45(SDS濃度=3%)、No.46(SDS濃
度=2%)、No.47(SDS濃度=1%)、No.
48(SDS濃度=0.5%)、No.49(SDS濃
度=0.25%)、No.50(SDS濃度=0.12
5%)、No.51(SDS濃度=0.06%)、及び
No.52(SDS濃度=0%)を得た。得られた各抽
出液No.42〜No.52を用いて、前記実施例1
(2)に記載の手順を繰り返したところ、SDS濃度が
0.125%以上である場合に、分子量10〜100k
dの範囲全体にわたってタンパク質バンドが認められ
た。
【0050】(2)抽出液の脱SDS操作 前記の実施例5(1)の結果を踏まえて、次に、SDS
濃度が0.125%以上の抽出用水溶液から得られた抽
出液(すなわち、抽出液No.42〜No.50)を用
いて、以下に示す手順で抽出液の脱SDS操作を実施し
た。すなわち、各抽出液No.42〜No.50(10
0μl)にアセトン400μlを加え、−30℃にて1
0分間静置した後に、遠心分離(4℃,15000×
g)により沈澱を回収した。沈澱を乾燥した後に、4M
尿素含有生理食塩水溶液(pH7.0)100μlを加
えて沈澱を溶解した。各抽出液No.42〜No.50
から得られた前記溶解液を、それぞれ溶解液No.4
2'〜No.50'と命名した。
【0051】(3)ヒスタミン遊離実験による分析 前記実施例5(1)で得られた各抽出液No.42〜N
o.50、及び前記実施例5(2)で得られた脱SDS
化した各溶解液No.42'〜No.50'を用いて、以
下に示す手順でヒスタミン遊離実験を実施した。すなわ
ち、各抽出液No.42〜No.50又は各溶解液N
o.42'〜No.50'と10mM−PIPES[ピペ
ラジン−N,N'−ビス(2−エタンスルホン酸)]−
トリス緩衝液(pH7.4)とを1:1に混合した希釈
液を作成し、更に、前記希釈液と前記PIPES−トリ
ス緩衝液とを用いて3倍希釈系列を作成し、それぞれ2
5μlずつを、グラスファイバーをコーティングした9
6ウェルプレートへ加えた。また、検量線の作成用に、
別のウェルにヒスタミン濃度が50〜0ng/mlの溶
液をそれぞれ添加した。続いて、各ウェルに米アレルギ
ー患者血液25μlを加えて、ヒスタミン遊離反応を3
7℃にて90分間実施した。プレートの各ウェルを水で
洗浄した後に、15mM−SDS溶液200μlを加
え、37℃で1時間静置した。各ウェルを水で洗浄した
後に、1%o−フタルアルデヒドを含有する50mM水
酸化ナトリウム溶液75μlを加え、室温にて10分間
静置した。発色を安定化させるために、0.6%過塩素
酸75μlを更に加え、450nMの蛍光強度を蛍光測
定器で測定し、検量線から、それぞれの3倍希釈系列に
含まれるヒスタミン量(単位=ng/ml)を算出し
た。
【0052】結果を表5に示す。表5に示す「コントロ
ール」は、8M尿素、100mM−2−メルカプトエタ
ノール、及び種々の濃度のSDSを含有する抽出用水溶
液の代わりに、0.5M食塩水を用いたこと以外は、前
記と同様の操作を繰り返して得られた抽出液であり、そ
して、「陽性コントロール」は、米飯粉末の代わりに、
精米を単に粉砕して調製した未加熱米粉を用いたこと以
外は、前記と同様の操作を繰り返して得られた抽出液で
ある。更に、表5に示す「×1」、「×3」、「×
9」、「×27」、「×81」、及び「×243」は、
3倍希釈系列における希釈倍率、すなわち、各抽出液又
は各溶解液と10mM−PIPES−トリス緩衝液とを
1:1に混合した前記の各希釈液から何倍希釈を行なっ
たかをそれぞれ表わしている。本試験では、ヒスタミン
遊離量は濃度(ng/ml)で表示され、血液25μl
と、希釈した抽出液又は溶解液25μlとが反応した結
果、放出されたヒスタミン量を濃度で示している。な
お、表5における「ヒスタミン量(ng/ml)」欄に
示す数値は、希釈率を補正する前の数値である。遊離さ
れたヒスタミン量が15ng/ml以上の場合を、本試
験での陽性と判断した。
【0053】表5から明らかなように、未加熱米粉を
0.5M塩化ナトリウムで抽出した場合(陽性コントロ
ール)には、希釈倍率が×1である希釈液において陽性
基準以上(45ng/ml)のヒスタミン遊離が認めら
れた。希釈倍率が上がる(すなわち、抽出物量の減少)
に従って、遊離されるヒスタミン濃度は減少したが、希
釈倍率が×27である希釈液においても、陽性基準以上
(16ng/ml)のヒスタミン遊離が認められた。一
方、加熱米飯を0.5M塩化ナトリウムで抽出した場合
(コントロール)には、希釈倍率が×1である希釈液で
あっても、陽性基準以上のヒスタミン遊離反応が認めら
れなかった。
【0054】抽出液No.42〜No.50の内、抽出
時のSDS濃度が0.125%であった抽出液(抽出液
No.50)において、陽性コントロールと同様に、希
釈倍率が×27である希釈液においても、陽性基準以上
(15ng/ml)のヒスタミン遊離が認められた。一
方、脱SDS化し、4M尿素含有生理食塩水溶液に可溶
化させた溶解液No.42'〜No.50'においては、
抽出時のSDS濃度が0.5%〜0.25%の範囲(す
なわち、溶解液No.48'及びNo.49')で、陽性
コントロールと同様に、希釈倍率が×1である希釈液〜
希釈倍率が×27である希釈液において、陽性基準以上
のヒスタミン遊離が認められた。以上の結果から、抽出
時のSDS濃度が0.125%である抽出液を用いる
と、抽出対象食品が加熱米飯であっても、未加熱米粉か
ら抽出した陽性コントロールと同様に、脱SDS操作を
実施することなしにヒスタミン遊離試験を実施可能であ
ることが示された。また、ヒスタミン遊離試験を実施す
る際に、脱SDS操作を実施すると、抽出時のSDS濃
度が0.25%〜0.5%である抽出液においても、未
加熱米粉から抽出した陽性コントロールと同様に、ヒス
タミン遊離試験を実施可能であることが示された。
【0055】
【表5】 溶解液NO.又は ヒスタミン量(ng/ml)抽出液No. SDS濃度(%) ×1 ×3 ×9 ×27 ×81 ×243 (溶解液) 42' 6 14 12 0 0 0 0 43' 5 17 11 0 0 0 0 44' 4 20 13 0 0 0 0 45' 3 14 16 0 0 0 0 46' 2 16 13 10 11 8 0 47' 1 33 20 13 10 6 8 48' 0.5 40 42 31 18 12 10 49' 0.25 37 60 25 16 7 1 50' 0.125 22 18 15 10 6 0 (抽出液) 42 6 10 5 0 0 0 0 43 5 6 2 1 0 1 0 44 4 15 10 0 0 0 0 45 3 7 8 7 2 0 0 46 2 14 9 5 1 1 1 47 1 10 12 10 0 0 0 48 0.5 21 16 18 5 1 0 49 0.25 36 20 15 8 0 0 50 0.125 26 20 16 15 12 12 コントロール 0 4 3 4 0 0 0陽性コントロール 0 45 36 21 16 11 6
【0056】
【実施例6】《種々の食品から得られる抽出液のELI
SA法による分析》 (1)うどん粉末抽出液の調製 米飯粉末の代わりに、市販のゆでうどん(すなわち、加
熱処理後)を凍結乾燥し、微粉砕することにより得られ
るうどん粉末を用いたこと、そして、前記実施例1
(1)で用いた抽出用水溶液の代わりに、8M尿素、5
0mMジチオスレイトール、及び0.5%SDSを含有
するPBS(pH7.0)を抽出用水溶液として用いた
こと以外は、前記実施例1(1)に記載の手順を繰り返
すことにより、抽出液No.51を得た。
【0057】(2)種々の食品由来抽出液の調製 前記うどん粉末の代わりに、市販のゆでそば(すなわ
ち、加熱処理後)を凍結乾燥し、微粉砕することにより
得られるうどん粉末を用いたこと以外は、前記実施例6
(1)に記載の手順を繰り返すことにより、抽出液N
o.52を得た。また、卵を含有する市販のクッキー
(以下、卵クッキーと称する)を粉砕し、その2倍量の
アセトンを加えて脱脂した後に、乾燥させることにより
得られる卵クッキー粉末、あるいは、脱脂粉乳を含有す
る市販のクッキー(以下、粉乳クッキーと称する)を粉
砕し、その2倍量のアセトンを加えて脱脂した後に、乾
燥させることにより得られる粉乳クッキー粉末を、前記
うどん粉末の代わりに用いたこと以外は、前記実施例6
(1)に記載の手順を繰り返すことにより、抽出液N
o.53(卵クッキー粉末由来)及びNo.54(粉乳
クッキー粉末由来)を得た。
【0058】(3)ELISA法による分析 得られた各抽出液No.51〜No.54を用いて、前
記実施例1(3)に記載の手順を繰り返した。その結果
を、後述する比較例1の結果と併せて、表6に示す。
【0059】
【比較例1】《種々の食品から得られる抽出液のELI
SA法による分析》前記実施例6(1)で用いた抽出用
水溶液の代わりに、0.5M−NaCl含有PBS(p
H7.0)を用いたこと以外は、前記実施例6(1)又
は前記実施例6(2)に記載の手順を繰り返すことによ
り、4種類の比較用抽出液、すなわち、抽出液No.5
5(うどん粉末由来)、抽出液No.56(そば粉末由
来)、抽出液No.57(卵クッキー粉末由来)、及び
抽出液No.58(粉乳クッキー粉末由来)を得た。更
に、未加熱のうどん、未加熱のそば、未加熱の乾燥卵、
及び未加熱の脱脂粉乳のそれぞれの乾燥粉末を用いて、
前記比較例1(1)に記載の手順を繰り返すことによ
り、更に4種類の比較用抽出液、すなわち、抽出液N
o.59(うどん粉末由来)、抽出液No.60(そば
粉末由来)、抽出液No.61(卵クッキー粉末由
来)、及び抽出液No.62(粉乳クッキー粉末由来)
を得た。得られた各抽出液No.55〜No.62を用
いて、前記実施例1(3)に記載の手順を繰り返した。
その結果を表6に示す。
【0060】
【表6】 抽出液 SDS濃度 食品 O.D.値 (実施例) 51 0.25 うどん 1.114 52 0.25 そば 1.146 53 0.25 卵クッキー 0.343 54 0.25 粉乳クッキー 0.196 (比較例) 55 0 うどん 0.023 56 0 そば 0.017 57 0 卵クッキー 0.114 58 0 粉乳クッキー 0.089 59 0 うどん 0.922 60 0 そば 0.515 61 0 卵クッキー 0.37662 0 粉乳クッキー 0.261 表6から明らかなように、本発明方法によれば、未加熱
食品の場合と同様に、加熱食品からもアレルゲンを充分
に抽出することができることが示された。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、抽出対象食品が加熱処
理後食品であっても、非加熱の食品から抽出した場合と
同様に、効率良く、しかも、変性させることなく(特
に、抗原性を失わせることなく)、タンパク質を抽出す
ることができる。従って、抽出対象食品の加熱歴に応じ
て、複数の抽出用水溶液を用意する必要がなく、抽出対
象食品が未加熱であるか、あるいは、加熱処理後である
かにかかわらず、1種類の抽出用水溶液で任意の食品か
らタンパク質を抽出することが可能である。また、本発
明の抽出方法により得られる抽出液は、イン・ビトロの
生化学的免疫学的試験の試料として、そのまま使用する
ことができ、煩雑な脱アルキル硫酸塩操作を回避するこ
とができる。
フロントページの続き (72)発明者 嶋田 禎祐 東京都荒川区東尾久8丁目4番1号 株式 会社アレルゲンフリー・テクノロジー研究 所内 (72)発明者 茂木 和之 東京都荒川区東尾久8丁目4番1号 株式 会社アレルゲンフリー・テクノロジー研究 所内 (72)発明者 杉山 宏 東京都荒川区東尾久8丁目4番1号 株式 会社アレルゲンフリー・テクノロジー研究 所内 Fターム(参考) 4B023 LE11 LP20 4D056 AB20 AC13 AC21 BA03 CA01 CA06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アルキル硫酸塩と(b)尿素と
    (c)ジチオスレイトール又は2−メルカプトエタノー
    ルとを、モル比[(a):(b):(c)]で、3.1
    〜52:2000以上:1.1以上(ジチオスレイトー
    ルの場合)又は9〜400(2−メルカプトエタノール
    の場合)の割合で含有することを特徴とする、食品から
    のタンパク質の抽出用水溶液。
  2. 【請求項2】 食品が米飯である、請求項1に記載の溶
    液。
  3. 【請求項3】 (a)アルキル硫酸塩0.09重量%〜
    1.5重量%、(b)尿素2M以上、及び(c)ジチオ
    スレイトール1.1mM以上、又は2−メルカプトエタ
    ノール9mM〜400mMを含む水性抽出系中で食品か
    らタンパク質抽出を実施することを特徴とする、タンパ
    ク質の抽出方法。
  4. 【請求項4】 食品が米飯である、請求項3に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 (a)アルキル硫酸塩0.09重量%〜
    1.5重量%、(b)尿素2M以上、及び(c)ジチオ
    スレイトール1.1mM以上、又は2−メルカプトエタ
    ノール9mM〜400mMを含む水性抽出系中で食品か
    らタンパク質を抽出し、抽出液中のタンパク質のアレル
    ゲン性を免疫学的に測定することを特徴とする、前記食
    品中に含まれるアレルゲンの分析方法。
  6. 【請求項6】 食品が米飯である、請求項5に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 免疫学的測定をエンザイムイムノアッセ
    イ法又はヒスタミン遊離試験によって実施する、請求項
    5又は6に記載の方法。
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