JP2000065790A - 二酸化炭素センサ - Google Patents

二酸化炭素センサ

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JP2000065790A JP10250472A JP25047298A JP2000065790A JP 2000065790 A JP2000065790 A JP 2000065790A JP 10250472 A JP10250472 A JP 10250472A JP 25047298 A JP25047298 A JP 25047298A JP 2000065790 A JP2000065790 A JP 2000065790A
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明 渋江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的低温で十分な感度と応答性が得られ、
選択性が高く、耐湿性にも優れ、さらには、起電力に対
する測定雰囲気中の湿度の影響が小さい二酸化炭素セン
サを提供する。 【解決手段】 本発明の二酸化炭素センサは、金属酸化
物層と集電体とを有する検知極と、対極とがそれぞれ、
金属イオン導電体を含有する固体電解質に接して設けら
れている二酸化炭素センサ素子と、前記二酸化炭素セン
サ素子を加熱する手段とを有する。そして、前記金属酸
化物層が、酸化インジウム、酸化スズ、酸化コバルト、
酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化
鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化
ビスマス、酸化マンガン、酸化イットリウム、酸化アン
チモン、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジ
ム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リチウム、酸化ナトリ
ウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウ
ムおよび酸化バリウムのいずれか一種以上を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室内外の環境制
御、施設園芸等の農工業プロセス、防災、生体表面の代
謝機能の測定などに使用される二酸化炭素センサに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、空調の普及に伴う室内空気の汚染
の検知、畜産における施設内空気の汚染の検知、園芸施
設における植物の成長制御、各種工業プロセスなどを中
心に、二酸化炭素センサに対するニーズが高まってお
り、種々の方式の二酸化炭素センサが提案されている。
【0003】具体的には、例えば、赤外線吸収方式の二
酸化炭素センサが実用化されている。しかし、この方式
のセンサは、装置が大きいこと、高価であることなどか
ら、普及するには至っていない。また、半導体を用いた
センサも提案されているが、このセンサは二酸化炭素の
選択性に劣るため、二酸化炭素のみの濃度を測定するこ
とが困難である。
【0004】これに対して、小型で安価なセンサとし
て、固体電解質を用いたものがいくつか提案されてい
る。
【0005】丸山ら{第10回固体イオニクス討論会講
演要旨集69(1983)}は、二酸化炭素と解離平衡
を形成する炭酸カリウムなどの固体電解質に一対の電極
を形成し、一方に濃度既知の基準ガスを接触させて、雰
囲気ガスの濃度差による起電力を測定する濃淡分極型セ
ンサを提案している。また、丸山らは、このような濃淡
分極型センサの他、NASICON(ナトリウムスーパ
ーイオン伝導体:Na3 Zr2 Si2 PO12)などのア
ルカリ金属イオン伝導性の固体電解質に一対の電極を形
成し、一方に炭酸ナトリウムなどの二酸化炭素と解離平
衡を形成する金属炭酸塩層を設けて検知極とし、他方を
二酸化炭素不感応性電極とした、いわゆる起電力検出型
センサも提案している。
【0006】特公平4−79542号公報では、二酸化
炭素と解離平衡を形成する金属塩の金属イオン導電性を
有する固体電解質に一対の電極を形成し、一方の電極を
上記金属塩で被覆し、もう一方の電極および残余の固体
電解質表面にガス遮断層で被覆している二酸化炭素セン
サが提案されている。
【0007】特開平7−63726号公報では、アルカ
リイオン伝導体からなる固体電解質に、電子および酸素
イオンの伝導体である固体基準極を圧着させた固体基準
極型二酸化炭素センサが提案されている。
【0008】固体電解質を用いた小型で安価な二酸化炭
素センサの問題点としては、まず材料として使用される
金属炭酸塩が湿度の影響を受けやすいことがある。この
問題を解決するためには、センサ素子のガス検知部以外
を密閉したり、センサをヒータにより加熱して作動温度
を高くして、湿度の影響を低減しなければならない。上
記のセンサの作動温度は400〜700℃と高温であ
る。作動温度が高いと、センサ全体の消費電力が大き
く、また、材料の熱劣化が起こる等の問題が生じてく
る。また、数百度の熱は、たとえ小さなヒータからであ
ってもセンサ周辺を加温し、空気の対流を発生するな
ど、測定環境に微妙な影響を与えてしまうという問題も
ある。
【0009】さらに、金属炭酸塩が湿度の影響を受けや
すいため、センサの使用停止時には素子を乾燥雰囲気中
で保存する必要がある。さらには、使用時に、停止中に
素子に進入した水分の除去等のためにベーキングが必要
で、センサの出力電圧が安定するまでに長時間要し、作
業性やエネルギー的な問題が存在する。これらはセンサ
を高温で動作させる場合には、不可避な問題であり、よ
り低い温度で動作するセンサが求められている。
【0010】この問題に対して、S.Breikhinら{Applie
d PhysicsA 57, 37-43(1993)}は、固体電解質と半導体
とを接合させた二酸化炭素センサを報告している。この
二酸化炭素センサは、検知極としてSbやVをドープし
たSnO2半導体を用い、これに固体電解質としてナト
リウムイオン導電体であるNASICONを接合させ、
検知極の反対側に参照極としてNaxCoO2を配置して
いる。この二酸化炭素センサは低温(−35℃〜室温)
作動が可能であるが、著者らの測定方法では応答が見ら
れるまで4分以上要している。また、80℃以上では応
答が見られなくなることや、検知機構に水蒸気が関与し
ているため湿度によって応答時間や感度が変化してしま
うという問題もある。
【0011】以上のような背景において、本発明者ら
は、特願平10−96604号公報で、検知極と対極と
がそれぞれ固体電解質に接して設けられており、固体電
解質が金属イオン導電体を含有し、検知極が金属酸化物
層と集電体とを有する二酸化炭素センサを考案してい
る。検知極の金属酸化物層には、酸化インジウム、酸化
スズ、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸
化鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸
化カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化イッ
トリウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化セリウ
ム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リ
チウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウ
ム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムのいずれか
一種以上が含有されている。この二酸化炭素センサは、
室温で作動し、十分な感度と応答性が得られ、選択性が
高い。耐湿性も比較的良好である。しかしながら、この
二酸化炭素センサも、室温での測定が可能である反面、
起電力が相対湿度(湿度)によって変化してしまい、安
定した性能を得ることが困難であるという問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比較
的低温で十分な感度と応答性が得られ、選択性が高く、
耐湿性にも優れ、さらには、起電力に対する測定雰囲気
中の湿度の影響が小さい二酸化炭素センサを提供するこ
とである。
【0013】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
の本発明により達成される。
【0014】(1) 金属酸化物層と集電体とを有する
検知極と、対極とがそれぞれ、金属イオン導電体を含有
する固体電解質に接して設けられている二酸化炭素セン
サ素子と、前記二酸化炭素センサ素子を加熱する手段と
を有する二酸化炭素センサ。 (2) 前記金属酸化物層が、酸化インジウム、酸化ス
ズ、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化
鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化
カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化イット
リウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化セリウ
ム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リ
チウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウ
ム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムのいずれか
一種以上を含有する上記(1)の二酸化炭素センサ。 (3) 前記金属酸化物層が金属炭酸塩を含有する上記
(1)または(2)の二酸化炭素センサ。 (4) 前記集電体が多孔質金属である上記(1)〜
(3)のいずれかの二酸化炭素センサ。 (5) 前記集電体が前記金属酸化物層を挟んで固体電
解質に対向して設けられている上記(1)〜(4)のい
ずれかの二酸化炭素センサ。 (6) 前記検知極と前記対極とが前記固体電解質の同
一の面上に設けられている上記(1)〜(5)のいずれ
かの二酸化炭素センサ。 (7) 前記対極が金属または金属酸化物のいずれか一
種以上を含有する上記(1)〜(6)のいずれかの二酸
化炭素センサ。 (8) 前記二酸化炭素センサ素子の温度を50〜15
0℃に加熱する上記(1)〜(7)のいずれかの二酸化
炭素センサ。 (9) 前記二酸化炭素センサ素子を加熱する手段が正
特性サーミスタである上記(1)〜(8)のいずれかの
二酸化炭素センサ。
【0015】
【作用】本発明の二酸化炭素センサは、金属酸化物層と
集電体とを有する検知極と、対極とがそれぞれ、金属イ
オン導電体を含有する固体電解質に接して設けられてい
る二酸化炭素センサ素子と、この二酸化炭素センサ素子
を加熱する手段とを有する。そして、例えば抵抗発熱材
料等の加熱手段によって、二酸化炭素センサ素子の温度
を50〜250℃、好ましくは50〜150℃に保持
し、測定雰囲気中の湿度によって素子の起電力が変動す
ることを抑制し、良好な素子特性を得ている。また、素
子温度を50〜250℃に保持することによって、起電
力の経時変化もより安定する。
【0016】金属酸化物層は、酸化インジウム、酸化ス
ズ、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化
鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化
カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化イット
リウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化セリウ
ム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リ
チウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウ
ム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
ム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムのいずれか
一種以上を含有することにより、応答性が向上し、低温
での迅速な測定が可能になる。
【0017】さらに、金属酸化物層に金属炭酸塩を含有
させることにより、二酸化炭素の選択性が向上する。ま
た、よりペーストにしやすくなり、検知極を形成しやす
くなるため、検知極の固体電解質に対する密着性がよく
なり、応答速度が向上する。しかも、検知極の形成時に
スクリーン印刷等の作業が容易になるため、生産性が向
上する。さらには、電極の強度も強くなる。
【0018】また、集電体を多孔質としたり、集電体を
金属酸化物層を挟んで固体電解質に対向して設けること
により、検知極自体がガス拡散層として働くために、さ
らに迅速な応答が得られるようになる。
【0019】さらには、対極に金属酸化物を用いること
により、共存ガスの影響が軽減し、高い二酸化炭素選択
性が得られる。また、耐湿性が向上し、特に低温での測
定時の湿度の影響が軽減する。
【0020】本発明のセンサの作動温度は、検知極と対
極との組み合わせにより、400〜700℃という高温
を必要とした従来の二酸化炭素センサよりも低温の50
〜150℃で作動させることができ、熱による測定環境
の変化が小さく、消費電力の低減が可能となる。
【0021】なお、測定雰囲気中の湿度の影響が小さい
二酸化炭素センサは今までに数多く考案されているが、
いずれも素子温度を300℃以上にするものである。3
00℃以上では熱力学的に求められる水のモル分率が室
温(25℃)と比べて非常に小さいので、水分の影響が
無視できる。しかし、上述の通り、加熱型のセンサで
は、素子をヒーターで加熱するため、対流や伝熱による
測定環境の変化や、消費電力が大きくなるという問題が
解決できない。本発明の二酸化炭素センサも加熱するこ
とにより熱力学的に求められる水のモル分率を小さくし
ているが、上述の通り、50〜150℃という低い温度
で湿度の影響を十分小さくすることができ、良好な測定
が可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の二酸化炭素センサは、検
知極と対極とがそれぞれ固体電解質に接して設けられて
おり、前記固体電解質が金属イオン導電体を含有し、前
記検知極が金属酸化物層と集電体とを有し、前記金属酸
化物層が、酸化インジウム、酸化スズ、酸化コバルト、
酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化
鉄、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化カドミウム、酸化
ビスマス、酸化マンガン、酸化イットリウム、酸化アン
チモン、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジ
ム、酸化ネオジム、酸化銀、酸化リチウム、酸化ナトリ
ウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウ
ムおよび酸化バリウムのいずれか一種以上を含有する。
そして、このセンサの温度を50〜250℃、好ましく
は50〜150℃に保持するための加熱手段を備えてい
る。
【0023】<固体電解質>本発明の二酸化炭素センサ
では、固体電解質に金属イオン導電体を用いる。金属イ
オン導電体としては、例えば、Na−β″アルミナ、N
a−βアルミナ、Na3Zr2PSi212、Na3Zr2
Si2PO12(NASICON)、Na−βGa23
Na−Fe23、Na3Zr2PSi2212、Li−β
アルミナ、Li14Zn(CeO4)、Li5AlO4、L
1.4Ti1.6In0.4312、K−βアルミナ、K1.6
Al0.8Ti7.216、K2MgTi716、CaS等が挙
げられる。中でも、NASICONが好ましい。これら
は化学量論組成から多少偏倚していてもよい。
【0024】固体電解質の作製法としては、通常用いら
れている固相法、ゾルゲル法、共沈法等のいずれでもよ
く、好ましくは固相法が用いられる。
【0025】固体電解質には、金属イオン導電体以外
に、イオン導電性を妨げない程度の補強剤として、酸化
アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、
酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭化ケイ素(Si
C)、窒化ケイ素(Si34)、酸化鉄(Fe23)等
が50wt%以下含有されていてもよい。これらは化学
量論組成から多少偏倚していてもよい。
【0026】<検知極>本発明の二酸化炭素センサで
は、検知極が金属酸化物層と集電体とから成る。
【0027】金属酸化物層は、酸化インジウム(In2
3)、酸化スズ(SnO2)、酸化コバルト(Co
34)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化鉛(PbO)、酸化銅(CuO)、酸化鉄
(Fe23、FeO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化
クロム(Cr23)、酸化カドミウム(CdO)、酸化
ビスマス(Bi23)、酸化マンガン(MnO2、Mn2
3)、酸化イットリウム(Y23)、酸化アンチモン
(Sb23)、酸化ランタン(La23)、酸化セリウ
ム(CeO2)、酸化プラセオジム(Pr611)、酸化
ネオジム(Nd23)、酸化銀(Ag2O)、酸化リチ
ウム(Li2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カ
リウム(K2O)、酸化ルビジウム(Rb2O)、酸化セ
シウム(Cs2O)、酸化マグネシウム(MgO)、酸
化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(Sr
O)および酸化バリウム(BaO)のいずれか一種以上
を含有する。中でも、酸化インジウム、酸化スズ、酸化
コバルト、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化
銅、酸化鉄、酸化ニッケルが好ましく、特に、酸化イン
ジウム、酸化スズ、酸化コバルト、酸化タングステンが
好ましい。酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウ
ム、酸化ルビジウム、酸化セシウム、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウ
ムを用いると応答がよくなるが、湿度の影響を受けやす
いので、他の金属酸化物と組み合わせて用いることが好
ましい。なお、これらは化学量論組成から多少偏倚して
いてもよい。検知極にこれらの金属酸化物を用いること
により、低温での迅速な測定が可能になる。
【0028】また、金属酸化物層は、金属酸化物の他
に、金属炭酸塩を含有することが好ましい。金属酸化物
層に金属炭酸塩を含有させることにより、二酸化炭素の
選択性が向上する。また、より安定なペーストを塗布し
て検知極を形成できるために、検知極の固体電解質に対
する密着性がよくなり、応答速度が向上する。しかも、
検知極の形成時にスクリーン印刷等の作業が容易になる
ため、生産性が向上する。さらには、電極の強度も強く
なる。
【0029】金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウ
ム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭
酸カリウム(K2CO3)、炭酸ルビジウム(Rb2
3)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、炭酸マグネシウ
ム(MgCO3)、炭酸カルシウム(CaCO3)、炭酸
ストロンチウム(SrCO3)、炭酸バリウム(BaC
3)、炭酸マンガン(Mn(CO32、Mn2(C
33)、炭酸鉄(Fe2(CO33、FeCO3)、炭
酸ニッケル(NiCO3)、炭酸銅(CuCO3)、炭酸
コバルト(Co2(CO33)、炭酸クロム(Cr2(C
33)、炭酸亜鉛(ZnCO3)、炭酸銀(Ag2CO
3)、炭酸カドミウム(CdCO3)、炭酸インジウム
(In2(CO33)、炭酸イットリウム(Y2(C
33)、炭酸鉛(PbCO3)、炭酸ビスマス(Bi2
(CO33)、炭酸ランタン(La2(CO33)、炭
酸セリウム(Ce(CO33)、炭酸プラセオジム(P
6(CO311)、炭酸ネオジム(Nd2(CO33
等が挙げられる。これらは化学量論組成から多少偏倚し
ていてもよい。金属炭酸塩は1種を用いても2種以上を
併用してもよい。
【0030】金属炭酸塩は、金属酸化物に対して1〜9
9wt%、特に5〜50wt%加えることが好ましい。
2種以上を併用する場合でも、添加量の合計は上記の範
囲であることが好ましい。
【0031】金属酸化物および金属炭酸塩を2種以上用
いる場合、それらを混合して用いてもよいし、用いる炭
酸塩の融点、または分解点以下の温度で熱処理し、複合
化させて用いてもよい。
【0032】検知極の金属酸化物層の形成方法は特に限
定されないが、通常、金属酸化物粉末および金属炭酸塩
粉末のペーストを固体電解質に塗布し、用いる炭酸塩の
融点、または分解点以下の温度で2時間程度加熱処理し
て形成することが好ましい。用いる金属酸化物、金属炭
酸塩の平均粒径は10nm〜100μmが好ましい。ペ
ーストの溶媒としては、金属酸化物および金属炭酸塩が
溶解したり、反応したりしない有機溶媒で、室温蒸気圧
が比較的低く、作業性がよいものであればよい。特に、
α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン
等が好ましい。スラリーの粘度は0.1〜100,00
0poiseが好ましい。
【0033】そして、本発明の二酸化炭素センサは、検
知極に集電体を用いる。
【0034】集電体に用いる金属は、金、白金、銀、ル
ビジウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ニッケ
ル、銅、クロム等のいずれか1種以上であればよい。
【0035】集電体は多孔質金属であることが好まし
い。集電体が多孔質であると、検知極自体がガス拡散層
として働くため、さらに迅速な応答が得られるようにな
る。
【0036】多孔質金属としては、金属メッシュ、ある
いは、金属の粉末ペーストを圧着またはスクリーン印刷
して構成する粉末電極が好ましい。特に、粉末電極が好
ましい。金属メッシュは、保持力があればメッシュサイ
ズは特に制限されない。
【0037】スクリーン印刷とは、金属粉末をペースト
状にしたものをメッシュ状スクリーンを通して基板に塗
布する方法であり、この場合、金属粒子が互いに連結し
た多孔質電極が形成される。このとき使用する金属粉末
の平均粒径は10nm〜100μm、特に10nm〜1
0μmの範囲であることが、良好な印刷ができるので、
好ましい。また、ペーストの溶媒としては、用いる金属
が溶解、反応しない有機溶媒で、室温蒸気圧が比較的低
く、作業性がよいものであればよい。特に、α−テルピ
ネオール、エチレングリコール、グリセリン等が好まし
い。スラリーの粘度は0.1〜100,000poiseと
することが好ましい。
【0038】また、金属酸化物層の上面に集電体金属粉
末のペーストを塗布し、リードを取ることも好ましい。
【0039】多孔質電極の細孔径は0.5〜500μm
が好ましい。
【0040】なお、これらの金属材料をスパッタするこ
とにより、表面が多孔質状態となる電極を形成すること
も可能である。スパッタガスにはAr、He、O2、N2
等のいずれかを用いることが好ましく、成膜中の圧力は
0.1〜500mTorrの範囲が好ましい。また、抵抗加
熱蒸着によっても電極表面を多孔質にすることができ
る。
【0041】集電体が金属メッシュの場合、金属酸化物
粉末のペーストを塗布する際に所定の位置にすることが
好ましい。
【0042】また、集電体は金属酸化物層を挟んで固体
電解質に対向して設けられていることが好ましい。この
ような構造にすることにより、検知極自体がガス拡散層
として働くために、さらに迅速な応答が得られるように
なる。
【0043】<対極>本発明の二酸化炭素センサでは、
対極に金属または金属酸化物を用いる。用いる金属また
は金属酸化物は、上述の検知極の集電体と同じ金属また
はそれらの酸化物、金属酸化物層と同じ金属酸化物のい
ずれか1種以上であればよい。対極に金属酸化物を用い
ることにより、共存ガスの影響が軽減し、高い二酸化炭
素選択性が得られる。また、耐湿性が向上し、特に低温
での測定時の湿度の影響が軽減する。
【0044】対極は、集電体と同じく、多孔質金属また
は多孔質金属酸化物が好ましい。特に、金属酸化物の粉
末ペーストを圧着またはスクリーン印刷して構成する粉
末電極が好ましい。金属メッシュは、保持力があればメ
ッシュサイズは特に制限されない。粉末電極を形成する
ためのペーストに用いる金属粉末、金属酸化物粉末の平
均粒径は10nm〜100μm、特に10nm〜10μ
mが好ましい。また、ペーストの溶媒としては、用いる
金属または金属酸化物が溶解、反応しない有機溶媒で、
室温蒸気圧が比較的低く、作業性がよいものであればよ
い。特に、α−テルピネオール、エチレングリコール、
グリセリン等が好ましい。スラリーの粘度は0.1〜1
00,000poiseとすることが好ましい。
【0045】多孔質電極の細孔径は0.5〜500μm
が好ましい。
【0046】<加熱部>本発明の二酸化炭素センサに
は、上記のような固体電解質と検知極と対極とから成る
二酸化炭素センサ素子の温度を50〜250℃、好まし
くは50〜150℃に保持するための加熱手段を設け
る。
【0047】加熱に用いられる手段は特に限定されない
が、素子近傍もしくは隣接して抵抗発熱材料を設ければ
よい。抵抗発熱材料としては、金属発熱体として白金、
パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、金、
銀等の電気抵抗膜や、ニッケル−クロム等の合金系の電
気抵抗体が挙げられる。また、非金属発熱体としては、
炭化ケイ素やケイ化モリブデン等の発熱体が挙げられ
る。特に、本発明の温度範囲においては、正特性サーミ
スタが温度の安定性が高く、また、温度を補償する手段
を必要としないため、好ましい。
【0048】抵抗発熱材料を素子近傍に設ける他にも、
例えば、素子にヒーターを巻いたり、赤外線ランプを素
子近傍もしくは隣接して設けたりしてもよい。
【0049】加熱器の形状、形態は特に限定されず、板
状のものを素子に隣接させて用いてもよいし、リボン状
のものを素子に巻き付けて用いてもよい。また、素子の
周囲を包み込むような形でもよい。
【0050】また、素子の温度を保てるのであれば、加
熱器の位置は特に限定されず、素子に接して設けられて
いても、素子から離れて設けられていてもよい。
【0051】<センサ構造>本発明の二酸化炭素センサ
の構成例を、図1、2に示す。図1は、固体電解質2を
挟んで、金属酸化物層4と集電体5とから成る検知極3
および対極6が対向して設けられて二酸化炭素センサ素
子を形成しており、さらに、加熱素子7がこのセンサ素
子に隣接して設けられている分離型の二酸化炭素センサ
1である。図2は、金属酸化物層4と集電体5とから成
る検知極3および対極6が固体電解質2の一方の面上に
設けられて二酸化炭素センサ素子を形成しており、さら
に、加熱素子7がこのセンサ素子に隣接して設けられて
いる非分離型の二酸化炭素センサ1である。非分離型
は、集電体の形成やリードの取り出しをプロセス上簡便
にでき、製造工程が簡略化されるので、生産効率が高く
なり、好ましい。また、素子の小型化が可能である。検
知極3および対極6からはそれぞれリード線が引き出さ
れて、電位差計に接続されている。両者ともに加熱素子
7は二酸化炭素センサ素子に隣接して設けられている
が、二酸化炭素センサ素子から離れて設けられていても
よい。
【0052】本発明の二酸化炭素センサは、湿度の影響
を極力防ぐために検知極表面以外は測定雰囲気に触れな
いような構成とすることが好ましい。例えば、検知極表
面以外をテフロン等の樹脂または無機セラミックスで被
覆したり、または、参照ガスが封入されたガラス管のよ
うなもので被覆したりすることが好ましい。
【0053】本発明の二酸化炭素センサの寸法は特に限
定されないが、検知極が形成される表面を固体電解質の
上面としたとき、通常、固体電解質の厚さは1μm〜5m
m程度、固体電解質の上面の面積は1μm2〜200mm2
度である。また、検知極の厚さは0.1〜100μm程
度、検知極の面積は0.5μm2〜200mm2程度であ
る。また、対極の厚さは0.1〜100μm程度、対極
の面積は0.5μm2〜200mm2程度である。
【0054】本発明の二酸化炭素センサの最適作動温度
は、センサ素子を構成する材料や共存ガスの種類等によ
っても異なるが、50〜250℃、好ましくは50〜1
50℃の範囲である。50℃より低い温度では、測定雰
囲気中の湿度の影響により、起電力が変化しやすい。ま
た、250℃より高い温度では、理由は明らかではない
が、二酸化炭素濃度に対する起電力の変化が小さくな
り、二酸化炭素濃度を測定できなくなってくる。本発明
の二酸化炭素センサは、従来の固体電解質を用いた二酸
化炭素センサよりも低温で作動することができ、消費電
力の低減が可能である。また、高温にしなくてよいの
で、ヒータの熱による測定環境の変化も十分小さい。
【0055】また、本発明の二酸化炭素センサは、応答
性もよく、1秒〜3分で応答が得られる。
【0056】
【実施例】<実施例1>固体電解質の作製 Na3PO4とZrSiO4とをモル比で1:2となるよ
うに秤量し、メノウ乳鉢で粉砕混合した。さらに、混合
した材料と同体積程度のジルコニアボール(3mmφ、2
mmφ、1mmφを適量ずつ混合)をミルに入れ、湿式法に
するためにエタノールをミルの容積の1/3程度入れて
24時間粉砕混合を行った。そして、ジルコニアボール
を除去し、デカンテーションによりエタノールを分離し
た後、乾燥機で十分に乾燥させた。得られた白色の試料
をメノウ乳鉢で粉砕後、アルミナるつぼに移し、大気開
放型の電気炉で1125℃で11時間仮焼きした。この
仮焼きした試料を再度メノウ乳鉢で粉砕し、200メッ
シュのふるいにかけてNASICONの前駆体とした。
【0057】得られたNASICONの前駆体の粉末を
錠剤成型器によりペレットに成型した。この際、2ton
/cm2の圧力で10分間プレスし、ペレットとした。そ
して、ペレットをアルミナるつぼ中に十分な量のNa3
PO4で包埋し、1220℃で14時間本焼結を行っ
た。得られた白色のペレットの表面を320CWのサンド
ペーパーにより研磨し、直径9mmφ、厚さ1mmのNAS
ICONディスク焼結体を得た。
【0058】調製したNASICONは、XRD装置
(理研電気 RINT2100)により同定した。その際、管電
流、管電圧はそれぞれ30mA、50kVとした。
【0059】CO2センサ素子の作製 NASICONペレットの下面には、PtペーストでP
tメッシュ(100メッシュ)を固定して900℃で焼
成し、対極とした。
【0060】表1、2に示す金属酸化物粉末(平均粒
径:10nm〜100μm)50mgにα−テルピネオー
ルを50wt%加えてよく混合し、ペースト状にした。こ
のペーストの粘度は10,000〜100,000pois
eだった。このペーストを固体電解質のNASICON
ペレットの上面に塗布し、650℃で2時間加熱処理
し、検知極の金属酸化物層を形成した。そして、その上
面に集電体のAuメッシュ(100メッシュ)を設けて
検知極とした。
【0061】さらに、ディスク状の正特性サーミスタ
(作動温度:50℃、80℃、100℃、120℃、1
50℃、180℃)を加熱素子として対極に張り合わせ
て固定した。
【0062】最後に、検知極表面だけが露出するよう
に、対極側に乾燥標準空気を封入した石英管を接着して
固定した。
【0063】そして、それぞれの電極からリード線を接
続し、図1のような分離型の二酸化炭素センサを得た。
【0064】センサ特性の確認 作製したセンサの特性はデジタルマルチメータTR68
46(アドバンテスト製)で二酸化炭素センサの起電力
を測定し、評価した。
【0065】まず、センサを、ガスの入出口を設けた測
定容器(以降、測定セルという)中に置き、セル内の空
気をいったん軽く減圧した後、純Air(窒素80%と
酸素20%とからなる混合ガス)を注入し、その後流量
100ml/minで流し続けた。この流通系には、純Ai
rと、CO2濃度10400ppm に調整された純Air
Aとが、マルチフローメータ1203(小島製作所製)
により混合され、任意のCO2濃度ガスが測定セルに流
入する。CO2濃度は、セルの出口よりサンプリングし
て、ガスクロマトグラフィー(使用カラム:Porapack
Q)にて濃度確認を行った。また、乾燥空気を二つに分
流し、一方を水蒸気飽和槽に導入して水蒸気で飽和さ
せ、再び合流させて所定の湿度の空気を得た(分流
法)。湿度は、分流した流量比から求めた。なお、測定
セルの体積は、約60cm3である。そして、二酸化炭素
センサ素子の起電力が安定したことを確認した後、その
時点の起電力を測定した。同様な手法で二酸化炭素セン
サの濃度と湿度とを任意に変化させ、各々の起電力を測
定した。
【0066】室温(25℃)において、湿度20%R
H、50%RH、80%RHの空気中で各種CO2濃度
の被検ガスを流通させた測定セル中に作製した二酸化炭
素センサを挿入し、CO2濃度に対して発生する電圧値
の特性を測定した。二酸化炭素センサ素子の温度は10
0℃とした。検知極にIn23を用いた二酸化炭素セン
サ(集電体がメッシュ電極のNo.1のセンサ)の結果を図
3に示す。●は湿度20%RHのときの値、▲は湿度5
0%RHのときの値、▼は湿度80%RHのときの値で
ある。また、比較例として素子温度25℃のときの結果
も図3に示す。
【0067】図3に示されるように、素子の温度を25
℃とした場合は湿度が高くなるにつれて起電力が上昇し
たが、素子の温度を100℃とした場合には起電力は湿
度の影響をほとんど受けなかった。本発明の他のセンサ
でも、同様に、素子の温度を25℃とした場合は湿度が
高くなるにつれて起電力が上昇したが、素子の温度を1
00℃とした場合には起電力は湿度の影響をほとんど受
けなかった。
【0068】室温(25℃)において、湿度50%RH
の空気中でCO2濃度1000ppmの被検ガスを流通させ
た測定セル中に作製した二酸化炭素センサを挿入し、素
子温度を80℃に加熱して応答速度、感度を調べた。さ
らに、環境基準濃度に希釈したNO、NO2、COのそ
れぞれのガスを流通させて応答を確認し、選択性を調べ
た。その結果を表1、2に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】応答速度は、CO2ガス導入後、応答が一
定になったときの電圧値の90%になるのに要する時間
である。その評価は ◎:1分以内 ○:1分超3分以内 △:3分超5分以内 ×:5分超 とした。
【0072】感度は、CO2ガス導入前の電圧値と導入
後の電圧値との差である。その評価は ◎:25mV以上 ○:15mV以上25mV未満 △:5mV以上15mV未満 ×:5mV未満 とした。
【0073】選択性は、CO2ガス以外の共存ガスの影
響を受けない性質である。その評価は ◎:すべての共存ガスの影響を受けないもの ○:2種類の共存ガスの影響を受けないもの △:1種類の共存ガスの影響を受けないもの ×:すべての共存ガスの影響を受けるもの とした。
【0074】酸化セリウム(CeO2)を検知極に用い
た二酸化炭素センサ、酸化プラセオジム(Pr611
を検知極に用いた二酸化炭素センサ、酸化ネオジム(N
23)を検知極に用いた二酸化炭素センサも、酸化ラ
ンタン(La23)を検知極に用いた二酸化炭素センサ
(No.17)と同等の結果が得られた。
【0075】また、酸化銅(CuO)に酸化マグネシウ
ム(MgO)を5wt%添加したものを検知極に用いた二
酸化炭素センサ、酸化銅(CuO)に酸化ストロンチウ
ム(SrO)を5wt%添加したものを検知極に用いた二
酸化炭素センサ、酸化銅(CuO)に酸化バリウム(B
aO)を5wt%添加したものを検知極に用いた二酸化炭
素センサも、酸化銅(CuO)に酸化カルシウム(Ca
O)を5wt%添加した二酸化炭素センサ(No.20)
と同等の結果が得られた。
【0076】酸化銅(CuO)に酸化リチウム(Li2
O)を5wt%添加したものを検知極に用いた二酸化炭素
センサ、酸化銅(CuO)に酸化カリウム(K2O)を
5wt%添加したものを検知極に用いた二酸化炭素セン
サ、酸化銅(CuO)に酸化ルビジウム(Rb2O)を
5wt%添加したものを検知極に用いた二酸化炭素セン
サ、酸化銅(CuO)に酸化セシウム(Cs2O)を5w
t%添加したものを検知極に用いた二酸化炭素センサ
も、酸化銅(CuO)に酸化ナトリウム(Na2O)を
5wt%添加した二酸化炭素センサ(No.21)と同等
の結果が得られた。
【0077】<実施例2>検知極材料に金属酸化物粉末
の代わりに、表3に示す金属酸化物に金属炭酸塩を5wt
%加えたものを使用し、加熱処理の温度を金属炭酸塩の
融点または分解点以下の温度で行った他は、実施例1と
同様にして分離型の二酸化炭素センサを作製し、実施例
1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】また、実施例2のセンサも、実施例1のセ
ンサと同様に、素子の温度を25℃とした場合は湿度が
高くなるにつれて起電力が上昇したが、素子の温度を8
0℃とした場合、100℃とした場合には、湿度を20
%RH、50%RH、80%RHと変えても起電力は湿
度の影響をほとんど受けなかった。
【0080】<実施例3>集電体にAuメッシュを設け
る代わりに、金属酸化物層の上面に、Au粉末(平均粒
径:0.1〜100μm)50mgにα−テルピネオール
を50wt%加えたペースト(粘度10,000〜10
0,000poise)を塗布し、700℃で2時間加熱処
理して多孔質の粉末電極を設けた他は、実施例1、2と
同様にして分離型の二酸化炭素センサを作製し、実施例
1と同様に評価した。その結果を表1、2、3に示す。
【0081】なお、集電体を粉末電極としたセンサも、
集電体がメッシュ電極のセンサと同様に、素子の温度を
25℃とした場合は湿度が高くなるにつれて起電力が上
昇したが、素子の温度を80℃とした場合、100℃と
した場合には、湿度を20%RH、50%RH、80%
RHと変えても起電力は湿度の影響をほとんど受けなか
った。
【0082】<比較例1>検知極材料に金属酸化物粉末
の代わりに、表4に示す金属炭酸塩粉末を用い、NAS
ICONペレットの上面に融着した他は、実施例1、3
と同様にして分離型の二酸化炭素センサを作製し、実施
例1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】また、比較例1のセンサは、実施例1〜3
のセンサとは違って、素子の温度を80℃とした場合、
100℃とした場合にも、湿度を20%RH、50%R
H、80%RHと変えると、起電力は湿度が高くなるに
つれて上昇し、安定した特性は得られなかった。
【0085】本発明の二酸化炭素センサ(No.1〜2
7)は、比較例のもの(No.28〜30)よりも応答
速度、感度、選択性すべてに優れていた。
【0086】また、検知極の金属酸化物層が金属炭酸塩
を含有しているセンサ(No.23〜27)は、金属酸
化物のみのもの(No.1、5、7、3)よりも応答が
迅速になった。
【0087】また、集電体が粉末電極であるセンサは、
メッシュ電極のものよりも応答が迅速で、感度も高かっ
た。
【0088】<実施例4>表5に示すIn23粉末(平
均粒径:50nm)、またはIn23にIn2(CO3
3を5wt%加えた粉末(平均粒径:50nm)、または
In23にWO3を5wt%加えた粉末(平均粒径:50
nm)50mgにα−テルピネオールを50wt%加えてよ
く混合し、ペースト状にした。このペーストの粘度は1
0,000〜100,000poiseだった。このペース
トを固体電解質のNASICONペレットの上面に塗布
し、金属および金属炭酸塩の融点または分解点以下の温
度で2時間加熱処理し、検知極の金属酸化物層を形成し
た。そして、その上面に集電体のAuメッシュ(100
メッシュ)を設けて検知極とした。
【0089】ペレットの上面、つまり検知極と同一面内
に、Ptメッシュ(100メッシュ)を設けて対極とし
た。
【0090】さらに、ディスク状の正特性サーミスタ
(作動温度:50℃、80℃、100℃、120℃、1
50℃、180℃)を加熱素子としてNASICONペ
レットの下面に張り合わせて固定した。
【0091】そして、それぞれの電極からリード線を接
続し、図2のような非分離型の二酸化炭素センサを得
た。
【0092】この二酸化炭素センサを実施例1と同様に
評価した。その結果を表5に示す。
【0093】
【表5】
【0094】<実施例5>対極にPtメッシュを設ける
代わりに、NASICONペレットの上面に、In23
粉末(平均粒径:50nm)50mgにα−テルピネオー
ルを50wt%加えたペーストを塗布し、650℃で2時
間加熱処理して多孔質の粉末電極を設けた他は、実施例
4と同様にして非分離型の二酸化炭素センサを作製し、
実施例1と同様に評価した。その結果を表5に示す。
【0095】非分離型の二酸化炭素センサは、分離型の
ものと同等の結果が得られた。また、対極に金属酸化物
を用いることにより、選択性が向上した。
【0096】なお、非分離型の二酸化炭素センサも、分
離型のセンサと同様に、素子の温度を25℃とした場合
は湿度が高くなるにつれて起電力が上昇したが、素子の
温度を80℃とした場合、100℃とした場合には、湿
度を20%RH、50%RH、80%RHと変えても起
電力は湿度の影響をほとんど受けなかった。
【0097】<比較例2>集電体をAuメッシュ(10
0メッシュ)の代わりに、Au薄膜とし、金属酸化物層
を覆ってしまった他は、実施例1と同様にして分離型の
二酸化炭素センサを作製し、実施例1と同様に評価し
た。
【0098】この二酸化炭素センサは、CO2応答がほ
とんど確認されなかった。これは、集電体であるAu薄
膜が表面を覆ってしまって、CO2が金属酸化物層に拡
散しないためと推測される。
【0099】<比較例3>検知極にIn23を用い、対
極表面を乾燥標準空気を封入したガラス管で被覆しなか
った他は、実施例1と同様にして分離型の二酸化炭素セ
ンサを作製し、実施例1と同様に評価した。
【0100】このセンサは、NO、COについては応答
が確認されず、本発明のセンサのCO2選択性が確認さ
れた。
【0101】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、比較的
低温で十分な感度と応答性が得られ、選択性が高く、耐
湿性にも優れ、さらには、起電力に対する測定雰囲気中
の湿度の影響が小さい二酸化炭素センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分離型二酸化炭素センサの構成例を示
す断面図である。
【図2】本発明の非分離型二酸化炭素センサの構成例を
示す断面図である。
【図3】検知極がIn23とAuメッシュとから成り、
対極がPtメッシュである本発明の分離型二酸化炭素セ
ンサの、素子温度100℃と25℃の場合のCO2濃度
に対する出力電圧値の特性図である。
【符号の説明】
1 二酸化炭素センサ 2 固体電解質 3 検知極 4 金属酸化物層 5 集電体 6 対極 7 加熱素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高田 進 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 2G004 ZA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属酸化物層と集電体とを有する検知極
    と、対極とがそれぞれ、金属イオン導電体を含有する固
    体電解質に接して設けられている二酸化炭素センサ素子
    と、 前記二酸化炭素センサ素子を加熱する手段とを有する二
    酸化炭素センサ。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物層が、酸化インジウム、
    酸化スズ、酸化コバルト、酸化タングステン、酸化亜
    鉛、酸化鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化クロ
    ム、酸化カドミウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸
    化イットリウム、酸化アンチモン、酸化ランタン、酸化
    セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化銀、
    酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ル
    ビジウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、酸化カル
    シウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムのいず
    れか一種以上を含有する請求項1の二酸化炭素センサ。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物層が金属炭酸塩を含有す
    る請求項1または2の二酸化炭素センサ。
  4. 【請求項4】 前記集電体が多孔質金属である請求項1
    〜3のいずれかの二酸化炭素センサ。
  5. 【請求項5】 前記集電体が前記金属酸化物層を挟んで
    固体電解質に対向して設けられている請求項1〜4のい
    ずれかの二酸化炭素センサ。
  6. 【請求項6】 前記検知極と前記対極とが前記固体電解
    質の同一の面上に設けられている請求項1〜5のいずれ
    かの二酸化炭素センサ。
  7. 【請求項7】 前記対極が金属または金属酸化物のいず
    れか一種以上を含有する請求項1〜6のいずれかの二酸
    化炭素センサ。
  8. 【請求項8】 前記二酸化炭素センサ素子の温度を50
    〜150℃に加熱する請求項1〜7のいずれかの二酸化
    炭素センサ。
  9. 【請求項9】 前記二酸化炭素センサ素子を加熱する手
    段が正特性サーミスタである請求項1〜8のいずれかの
    二酸化炭素センサ。
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CN115808460A (zh) * 2023-02-01 2023-03-17 南方电网数字电网研究院有限公司 二氧化碳气敏材料及其应用和二氧化碳传感器及其制备方法

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