JP2000063524A - 光学活性有機シリコン高分子 - Google Patents

光学活性有機シリコン高分子

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JP2000063524A
JP2000063524A JP23452998A JP23452998A JP2000063524A JP 2000063524 A JP2000063524 A JP 2000063524A JP 23452998 A JP23452998 A JP 23452998A JP 23452998 A JP23452998 A JP 23452998A JP 2000063524 A JP2000063524 A JP 2000063524A
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Michiya Fujiki
道也 藤木
Hiroshi Nakajima
寛 中島
Hiromi Takigawa
裕美 瀧川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 不斉中心を含む有機置換基がシリコン原子に
直接結合された構造を有し、かつ室温溶液中でも剛直ロ
ッド状構造が安定に保持された光学活性有機シリコン高
分子を提供。 【解決手段】 光学活性有機シリコン高分子は、γ−位
置に分岐構造を持つ(S)配置もしくは(R)配置を持
つキラルアルキル基とそれとは化学構造を異にするβ−
位置に分岐構造を持つアキラルアルキル基との両方の持
つシランモノマー単位の単独重合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリシラン主鎖が
温度によって可逆的な右らせん⇔左らせん構造変化を起
こし、また可逆的な右旋性⇔左旋性変化を伴なう変旋光
現象を示す新規な光学活性有機シリコン高分子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】有機シリコン化合物は産業上有用なもの
が多く、表面処理剤、はっ水・はつ油剤、電気絶縁体、
熟媒体、セラミック材の前駆体等、いずれもシリコンを
骨格の一部に含む高分子である。近年、主鎖骨格がシリ
コンのみから構成され、かつ溶媒に可溶な有機ポリシラ
ンが新しいタイプの機能材料として注目を集めており、
フォトレジスト、光導波路材料を指向した多くの研究が
進められている。有機ポリシランは一般に300から4
00nm付近にSi−Si連鎖に特有の主鎖骨格に基づ
く紫外吸収帯を持つ。従来のポリシランの主鎖吸収は室
温溶液中、主鎖骨格がランダムコイル状であるため、分
子吸収係数が約5,000〜10,000(モノマ単位
/リットル)-1cm-1、半値幅0.5〜0.6eV(約
40〜60nm)程度の幅広い主鎖吸収を示す。それに
対して、最近報告されたβ−位が分岐構造であるアルキ
ル基を持つ一連の有機ポリシラン類は、主鎖骨格が剛直
ロッド状であるため、分子吸収係数が約40,000〜
110,000(モノマ単位/リットル)-1cm-1、半
値幅0.1〜0.05eV(約8〜4nm)程度の非常
に急峻な主鎖吸収を示す。このような有機ポリシラン類
は、例えば(1)M.フジキ,ジャーナル オブ アメ
リカン ケミカル ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.)
、第116巻、第6017頁(1994年)、(2)
M.フジキ,ジャーナル オブ アメリカン ケミカル
ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.) 、第116巻、第
11976頁(1994年)、(3)M.フジキ,アプ
ライド フィジックス レターズ(Appl. Phys. Lett.)
、第65巻、第3251頁(1994年)、(4)
M.フジキ,ジャーナル オブ アメリカン ケミカル
ソサイエティ(J. Am. Chem. Soc.) 、第118巻、第
7424頁(1996年)に報告されている。すなわ
ち、有機ポリシランの吸収スペクトル強度・半値幅は、
主鎖の形態によって著しく変化することが知られるよう
になった。
【0003】有機ポリシランは、主鎖自身がシリコンの
みから構成される高分子であるため、紫外線照射により
比較的容易に主鎖分解を起こし、低分子量化、あるいは
シロキサン化が進行する。実際にこれを利用したフォト
レジストとしての応用例が報告されている。したがっ
て、安定性という観点から言えば、有機ポリシランの主
鎖吸収や発光現象を直接利用した非線形光学材料、発光
材料等の光関連機能材料に該有機ポリシランを適用する
ことは困難である。しかし、有機ポリシランの主鎖吸収
帯よりも長波長側で機能する性質を見つければ、このよ
うな欠点を克服することが可能となる。なぜなら、有機
ポリシラン自身は暗所では非常に安定であるからであ
る。
【0004】一方、エナンチオマーを認識する高分子材
料として、これまでスパルティン−n−ブチルリチウム
を重合開始剤にして合成したポリ(トリフェニルメチル
メタクリレート)やポリ(ジフェニルピリジンメチルメ
タクリレート)など、主鎖が一方向ヘリシティ(一方向
のらせん構造)を有する炭素骨格高分子が知られている
〔例えば、Y.オカモト(Y. Okamoto)ほか、ジャーナル
オブ アメリカンカミカル ソサイエティ (J. Am. C
hem. Soc.)、第103巻、第6971頁(198
1)〕。これらの一方向ヘリシティを持つ有機高分子
は、実際にシリカゲル表面に担持された形態で、エナン
チオマーを分離分割する高速液体クロマトグラフィー用
カラム材として市販されている〔ダイセル化学(下部)
Chiralpak-OT、Chiralpak-OP〕。しかし、これらポリ
(トリフェニルメチルメタクリレート)系材料は、主鎖
ヘリックス構造を固定する側鎖部が加水分解や加溶媒分
解で脱離すると、エナンチオマー認識能も同時に失われ
るという欠点を有する。有機ポリシランのシリコン主鎖
骨格や炭化水素系側鎖が加水分解や加溶媒分解に対して
耐性があるという特徴を活かせば、通常、暗所、脱酸素
の条件下で使用する高速液体クロマトグラフィー(HP
LCと略す)、ガスクロマトグラフィー(GCと略す)
用カラム材料としての用途が開ける。現在HPLCによ
る分離分析手段として、逆相条件でも使用できるエナン
チオマー認識用カラム材の多くは生体物質由来のもので
あり、その多くがアミド結合を有するアルキル誘導体で
あるため、やはり加水分解によるカラムの劣化という解
決すべき課題が残されている。ここでもし光学活性置換
基を有する全く人工的な光学活性有機ポリシランを担体
に担持させることができれば、HPLC用チラル固定層
(以下、CSPと略す)あるいはGC用CSPとしての
用途がさらに開ける。ここで重要なことは、一方向ヘリ
シティを有する炭素骨格高分子を一旦シリカゲル表面に
担持すればらせん巻き性が不変であるため、通常エナン
チオマーの溶出順序に基本的な変化はない。もしカラム
温度を変化させることによって、可逆的な右らせん構造
から左らせん構造あるいは逆に左らせん構造から右らせ
ん構造に構造変化を起こすことができれば、カラム温度
を変化させるだけで、エナンチオマーの溶出順序を逆転
させることが可能になる。溶出溶媒の極性変化でエナン
チオマーの溶出順序を逆転させる例が1〜2例知られて
いるが、カラム温度のみでエナンチオマーの溶出順序を
逆転させたような例は現在のところ知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、温度可逆な右旋性⇔左旋性変化を用いた光学活
性なスイッチ・メモリー用材料ならびに新規なエナンチ
オマー認識材料、特にHPLCやGC用のCSP材料と
して、不斉中心を含む有機置換基がシリコン原子に直接
結合された構造を有し、かつ室温溶液中でも剛直ロッド
状構造が安定に保持された光学活性有機シリコン高分子
を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明にもとづく光学活性有機シリコン高分子は、
一般式:
【0007】
【化2】
【0008】で表され、該式中、R* はγ−位が不斉中
心であるキラルアルキル基、Rはβ−位が分岐したアキ
ラルアルキル基、およびnは10から100,000ま
での範囲内の整数であることを特徴とする。好ましく
は、前記R* は(S)−3,7−ジメチルオクチル基お
よび(R)−3,7−ジメチルオクチル基のいずれか一
方で、さらに前記Rはシクロペンタンエチル基である。
【0009】
【発明の実施の形態】光学活性有機シリコン高分子の特
徴は、γ−位置に分岐構造を持つ(S)配置もしくは
(R)配置を持つキラルアルキル基とそれとは化学構造
を異にするβ−位置に分岐構造を持つアキラルアルキル
基との両方の持つシランモノマー単位の単独重合体であ
る。
【0010】以下、本発明にもとづく光学活性有機シリ
コン高分子について詳細に説明する。本発明で適用され
るSi−Clを結合を2個有する対称置換型、非対称置
換型光学活性基を含むクロロシラン類は、下記一般反応
式(i)〜(iii )に基づいて合成される。これらの具
体的な合成方法や分析結果については、特願平5−20
2474号および特願平5−202528号に開示され
ている。
【0011】
【化3】
【0012】式中、Et2 Oはジエチルエーテルを示
す。
【0013】ここで使用する有機ジクロロシラン類の13
C−,29Si−NMR(CDCl3,30℃)、沸点、
比旋光度(ニート液体、24℃)核データを次にまとめ
る。
【0014】1)(S)−3,7−ジメチルオクチル−
シクロペンタンエチルシランジクロライド13 C−NMR: 17.375,19.100,19.
340,22.617,22.704,24.731,
25.236,27.968,28.509,29.1
10,32.252,34.784,36.449,3
9.294,42.410ppm29 Si−NMR: 34.313ppm 沸点 115℃〜118℃/0.35mmg [α]D 1.52° 2)(R)−3,7−ジメチルオクチル−シクロペンタ
ンエチルシランジクロライド13 C−NMR: 17.383,19.105,19.
357,22.626,22.713,24.739,
25.245,27.977,28.522,29.1
23,32.261,34.788,36.462,3
9.308,42.423ppm29 Si−NMR: 33.83ppm 沸点 131°〜133°/0.80mmHg [α]D −1.40° 本発明の光学活性ポリシランは、光学活性をジクロロシ
ランをトルエン中金属ナトリウムと脱塩縮合すること
で、対応する光学活性ポリシラン単独重合体を合成する
もので、下記一般式で表される。
【0015】
【化4】
【0016】以下、本発明にもとづく光学活性有機ポリ
シランの具体的合成例を下記の実施例によりさらに具体
的に説明する。しかし、本発明はこれら実施例に限定さ
れない。
【0017】(実施例1)ポリ〔((S)−3,7−ジ
メチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラン〕の合
成例を示す。反応容器内を十分に脱水脱気し、アルゴン
ガスによる置換を行った後、金属ナトリウムを0.29
g、18−クラウンエーテル−6を0.04g、および
脱水トルエンを6ml採取してフラスコに入れた。油浴
温度120℃において(S)−3,7−ジメチルオクチ
ル)−シクロペンタンエチルシランジクロライド1.2
gを滴下し、8時間反応させた。反応混合溶液を加圧ろ
過し、エチルアルコールから分別再沈殿させた。生じた
自色沈殿を遠心分離機で回収し、120℃で6時間真空
乾燥した。収量は0.32gであり、収率はジクロロシ
ラン換算で33%であった。ゲル透過クロマトグラフィ
ー(以下、GPCと略す)法により、重量平均分子量が
1.2万であった。得られたポリシランの紫外吸収スペ
クトルおよび円二色スペクトルを図1に示す。すなわ
ち、図1は実施例1で得られた、ポリ〔((S)−3,
7−ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラ
ン〕の紫外線吸収スペクトルおよび円二色スペクトル
(イソオクタン中、−45℃と−10℃)を示す図であ
る。図中、εは分子吸光率、Δεはモル円二色性であ
る。
【0018】図1において、紫外線吸収スペクトルと円
二色スペクトルの比較から、−45℃での3.82eV
の負コットン円二色性(CD)吸収帯は3.82eVで
の主鎖吸収帯の完全な相似形でかつ吸収極大が一致し、
一方、−10℃での3.75eVの正コットンCD吸収
帯は3.75eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形でかつ
吸収極大が一致する。ε値が−45℃で42,000、
ε値が−10℃で36,000であることから、この温
度範囲ではポリシラン主鎖骨格は剛直ロッド状構造を保
持していることが示される。以上コットンCD吸収帯の
符号は−45℃と−10℃の間で完全に逆転しており、
この温度内でらせん巻き性の反転が起きていることがわ
かる。
【0019】図2において、らせん純度の指標となる非
対称性因子(Δε/ε)を縦軸に、測定温度(℃)を横
軸にプロットする。ここで降温過程と昇温過程を同時に
示す。図中、●は降温過程で、○は昇温過程で得られた
実測値である。結果は右らせん⇔左らせん構造変化を起
こし、コットンCD吸収帯の符号は−33℃で逆転し、
この温度でらせん巻き性の反転が起きていることがわか
る。コットンCDバンドの符号は−33℃以下で負であ
り、−33℃以上では正である。らせん転移点に関し
て、昇温過程と降温過程では変化はない。−33℃以上
では、(+)−らせん構造が優勢であり、−33℃以下
では、(−)−らせん構造が優勢である。以上のことよ
り、ポリ〔((S)−3,7−ジメチルオクチル)−シ
クロペンタンエチルシラン〕は、−33℃以下でほぼ9
0%が(−)−らせん構造に、−10℃以上ではほぼ8
0%が(+)−らせん構造に変化すると結論できる。
【0020】(実施例2)ポリ〔((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラン〕を実
施例1に準じて合成した。GPC法により、重量平均分
子量が5.2万であった。得られたポリシランの紫外吸
収スペクトルと円二色スペクトルとを図3に示す。すな
わち、図3は実施例2で得られたポリ〔((R)−3,
7−ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラ
ン〕の紫外線吸収スペクトルおよび円二色スペクトル
(イソオクタン中、−44℃と−10℃)を示す図であ
る。
【0021】図3において、紫外線吸収スペクトルと円
二色スペクトルとの比較から、−44℃での3.82e
Vの正コットンCD吸収帯は3.82eVでの主鎖吸収
帯の完全な相似形でかつ吸収極大が一致し、一方、−1
0℃での3.75eVの負コットンCD吸収帯は3.7
5eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形でかつ吸収極大が
一致する。ε値が−44℃で47,000、ε値が−1
0℃で42,000であることから、この温度範囲では
ポリシラン主鎖骨格は剛直ロッド状構造を保持している
ことが示される。以上コットンCD吸収帯の符号は−4
4℃と−10℃との間で完全に逆転しており、この温度
内でらせん巻き性の反転が起きていることがわかる。
【0022】図4において、非対称性因子(Δε/ε)
と測定温度(℃)の関係を横軸にプロットする。ここで
降温過程と昇温過程とを同時に示す。図中、●は降温過
程で、○は昇温過程で得られた実測値である。結果はポ
リ〔((R)−3,7−ジメチルオクチル)−シクロペ
ンタンエチルシラン〕に類似して、同様の右らせん⇔左
らせん構造変化を起こし、コットンCD吸収帯の符号は
−33℃で逆転し、この温度でらせん巻き性の反転が起
きている。コットンCDバンドの符号は〔((S)−
3,7−ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチルシ
ラン〕とは逆に、−33℃以下では正であり、−33℃
以上では負である。らせん転移点に関して、昇温過程と
降温過程では変化はない。−33℃以上では、(−)−
らせん構造が優勢であり、−33℃以下では、(+)−
らせん構造が優勢である。ポリ〔((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラン〕は、
−33℃以下でほぼ90%が(+)−らせん構造に、−
33℃以上ではほぼ90%が(−)−らせん構造に変化
する。
【0023】(比較例1)ポリ〔(S)−3,7−ジメ
チルオクチル−(2−メチルプロピル)シラン〕を実施
例1に準じて合成した。GPC法により、重量平均分子
量が4.2万の単峰性であった。結果はポリ〔((S)
−3,7−ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチル
シラン〕やポリ〔((R)−3,7−ジメチルオクチ
ル)−シクロペンタンエチルシラン〕と異なり、右らせ
ん⇔左らせん構造変化を起こさず、コットンCD吸収帯
の符号は+80℃から−90℃まですべて正のままであ
る。発明者の解釈として、2−メチルプロピル基のらせ
ん構造固定効果が強すぎるためである。
【0024】(比較例2)ポリ〔(R)−3,7−ジメ
チルオクチル−(2−メチルプロピル)シラン〕を実施
例1に準じて合成した。GPC法により、重量平均分子
量が809万と3.7万の二峰性であり、積分比が前者
が6%、後者が94%であった。結果はポリ〔((S)
−3,7−ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチル
シラン〕やポリ〔((R)−3,7−ジメチルオクチ
ル)−シクロペンタンエチルシラン〕と異なり、右らせ
ん⇔左らせん構造変化を起こさず、コットンCD吸収帯
の符号は+80℃から−90℃まですべて負のままであ
る。2−メチルプロピル基のらせん構造固定効果が強す
ぎるためであると思われる。
【0025】以上のことから明らかなように、正コット
ンCD信号⇔負コットンCD信号変化を伴うこれらの有
機ポリシラン類は、ポリシラン主鎖分解波長よりも長波
長側で右らせん⇔左らせん変化を用いたメモリ・スイッ
チ現象を示すことは予想されるため、主鎖分解という欠
点を克服した新しいタイプの機能素子材料としての可能
性がある。なぜなら、円二色吸収や旋光分散とはクラマ
ース・クローニッヒの関係で互いに結びついており、も
しこの有機ポリシランのらせん構造に関係する旋光度の
温度変化を主鎖吸収帯よりも長波長側で検出した場合、
旋光度が(+)−らせん⇔(−)−らせん転移温度で正
負に変化することが期待できるからである。このポリシ
ランは、吸光度1程度の旋光度が十数ミリ度から数ミリ
度程度の比較的弱い旋光性を有しているが、吸光度10
0程度の高濃度のポリシラン溶液あるいは長い光路長に
おいては数度程度の旋光度を実現していることは比較的
容易である。この性質を利用すれば、ポリシランの主鎖
吸収帯よりもはるかに長波長である近赤外域光通信波長
帯、例えば、0.78〜1.55μmにおいて非常に透
過損失が低いハロゲン化溶媒、例えば、重ジクロロメタ
ン、重クロロホルム、重クロロベンゼン、パーフルオロ
ベンゼンなどを使用し、29Si−NMRの半値値などか
ら判断してmsecないしμsecオーダーの温度誘起
メモリ・スイッチ素子が期待できる。
【0026】一方、エナンチオマー認識高分子材料とし
ての観点から、一方向らせん状構造を有する光学活性置
換基を有する全く人工的な光学活性有機ポリシランは、
シリコン主鎖骨格や炭化水素系側鎖が加水分解や加溶媒
分解に対して十分な耐性を有しているという特徴を活か
し、暗所、脱酸素の条件下で使用するHPLCやGCカ
ラム材料としての用途が開ける。特に温度で主鎖らせん
巻き性が反転するこれらのポリシラン類は、エナンチオ
マー認識サイトである側鎖の巻き性も反転するため、カ
ラム温度の変化によって、エナンチオマーの溶出順序を
逆転させることが可能になる。これまで溶出溶媒の極性
変化でエナンチオマーの溶出順序を逆転させる例が1〜
2例知られているが、カラム温度のみでエナンチオマー
の溶出順序を逆転させたような例は現在のところ知られ
ていない。(+)−らせん⇔(−)−らせん転移を示す
このようなポリシランは、温度スイッチする新しい機能
性HPLCやGCカラム材料の可能性がある。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にもとづく
本発明にもとづく光学活性有機シリコン高分子は、一般
式:
【0028】
【化5】
【0029】で表され、該式中、R* はγ−位が不斉中
心であるキラルアルキル基、Rはβ−位が分岐したアキ
ラルアルキル基、およびnは10から100,000ま
での範囲内の整数であることを特徴とするものなので、
温度可逆な右旋性⇔左旋性変化を用いた光学活性なスイ
ッチ・メモリー用材料ならびに新規なエナンチオマー認
識材料、特にHPLCやGC用のCSP材料として、不
斉中心を含む有機置換基がシリコン原子に直接結合され
た構造を有し、かつ室温溶液中でも剛直ロッド状構造が
安定に保持された光学活性有機シリコン高分子を提供す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリ〔((S)−3,7−
ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラン〕の
紫外線吸収吸スペクトルおよび円二色スペクトル(イソ
オクタン中、実線:−45℃、破線:−10℃)を示す
図である。
【図2】実施例1で得られたポリ〔((S)−3,7−
ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラン〕の
非対称性因子(イソオクタン中)と測定温度の関係を示
す図である。
【図3】実施例3で得られたポリ〔((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−シクロペンタンエチルシラン〕の
紫外線吸収吸スペクトルおよび円二色スペクトル(イソ
オクタン中、実線:−44℃、破線:−10℃)を示す
図である。
【図4】実施例3で得られた〔((R)−3,7−ジメ
チルオクチル)−シクロペンタンエチルシラン〕の非対
称性因子(イソオクタン中)と測定温度の関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀧川 裕美 東京都武蔵野市御殿山一丁目1番3号 エ ヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株 式会社内 Fターム(参考) 4J035 JA01 JB10 LA03 LB20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: 【化1】 で表され、該式中、R* はγ−位が不斉中心であるキラ
    ルアルキル基、Rはβ−位が分岐したアキラルアルキル
    基、およびnは10から100,000までの範囲内の
    整数であることを特徴とする光学活性有機シリコン高分
    子。
  2. 【請求項2】 前記R* は(S)−3,7−ジメチルオ
    クチル基および(R)−3,7−ジメチルオクチル基の
    いずれか一方で、さらに前記Rはシクロペンタンエチル
    基であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性有
    機シリコン高分子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1396516A1 (en) * 2002-09-03 2004-03-10 Nara Institute of Science and Technology Optically active polysilane, optically active film, and method of controlling optical characteristics of solid thin film
JP2005239863A (ja) * 2004-02-26 2005-09-08 Japan Science & Technology Agency キラル配向構造を有する有機/無機複合体及びその製造法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1396516A1 (en) * 2002-09-03 2004-03-10 Nara Institute of Science and Technology Optically active polysilane, optically active film, and method of controlling optical characteristics of solid thin film
JP2005239863A (ja) * 2004-02-26 2005-09-08 Japan Science & Technology Agency キラル配向構造を有する有機/無機複合体及びその製造法

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