JPH11158288A - 光学活性有機シリコン高分子 - Google Patents

光学活性有機シリコン高分子

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JPH11158288A
JPH11158288A JP33066597A JP33066597A JPH11158288A JP H11158288 A JPH11158288 A JP H11158288A JP 33066597 A JP33066597 A JP 33066597A JP 33066597 A JP33066597 A JP 33066597A JP H11158288 A JPH11158288 A JP H11158288A
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JP
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dimethyloctyl
silane
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JP33066597A
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English (en)
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Michiya Fujiki
道也 藤木
裕美 ▲瀧▼川
Hiromi Takigawa
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度可逆な右施性⇔左施性変化を用いた光学
活性なスイッチ・メモリ用材料ならびに新規なエナンチ
オマー認識材料、特にHPLCやGC用CSP用材料と
して、不斉中心を含む有機置換基がシリコン原子に直接
結合された構造を有する、室温溶液中でも剛直ロッド状
構造が安定に保持された光学活性有機シリコン高分子を
提供すること。 【解決手段】 下記一般式(1)で示される光学活性有
機シリコン高分子である。 【化12】 (式(1)中、R* はγ−位が不斉中心であるキラルア
ルキル基を示し、nの数として10から100000ま
での範囲にある)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリシラン主鎖が
温度によって可逆的な右らせん⇔左らせん構造変化を起
こし、また可逆的な右施性⇔左施性変化を伴う変旋光現
象を示す新規な光学活性有機シリコン高分子に関する。
【0002】
【従来の技術】有機シリコン化合物は産業上有用なもの
が多く、表面処理剤、はっ水・はつ油剤、電気絶縁体、
熱媒体、セラミック材の前駆体など、いずれもシリコン
を骨格の一部に含む高分子である。近年、主鎖骨格がシ
リコンのみから構成される、溶媒に可溶な有機ポリシラ
ンが新しいタイプの機能材料として注目を集めてきてお
り、フォトレジスト、光導波路材料を指向した多くの研
究が進められている。有機ポリシランは一般に300か
ら400nm付近にSi−Si連鎖に特有の主鎖骨格に
基づく紫外吸収帯を持つ。従来のポリシランの主鎖吸収
は室温溶液中、主鎖骨格がランダムコイル状であるた
め、分子吸収係数が約5000〜10000(モノマ単
位/リットル)-1cm-1、半値幅0.5〜0.6eV
(約40〜60nm)程度の幅広い主鎖吸収を示す。そ
れに対して、最近報告されたβ−位が分岐構造であるア
ルキル基を持つ一連の有機ポリシラン類は、主鎖骨格が
剛直ロッド状であるため、分子吸収係数が約4000〜
110000(モノマ単位/リットル)-1cm-1、半値
幅0.05〜0.10eV(約4〜8nm)程度の非常
に急峻な主鎖吸収を示す。例えば、(1)M.フジキ、
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエテ
ィ(J. Am. Chem. Soc.) 、第116巻、第6017ペー
ジ(1994年)、(2)M.フジキ、ジャーナル オ
ブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J. Am. Che
m. Soc.) 、第116巻、第11976ページ(199
4年)、(3)M.フジキ、アプライド フィジックス
レターズ(Appl. Phys. Lett.) 、第65巻、第325
1ページ(1994年)、(4)M.フジキ、ジャーナ
ル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ(J. A
m. Chem.Soc.) 、第118巻、第7424ページ(19
96年)などですでに報告されている。すなわち、有機
ポリシランの吸収スペクトル強度・半値幅は、主鎖の形
態によって著しく変化することが知られるようになっ
た。
【0003】有機ポリシランは、主鎖自身がシリコンの
みから構成される高分子であるため、紫外線照射により
比較的容易に主鎖分解を起こし、低分子量化、あるいは
シロキサン化が進行する。実際にこれを利用したフォト
レジストとしての応用例が報告されている。したがっ
て、有機ポリシランの主鎖吸収や発光現象を直接利用し
た非線形光学材料、発光材料など、光関連の機能材料と
しては寿命の点では不適である。しかしながら、もし有
機ポリシランの主鎖吸収帯よりも長波長側で機能する性
質が見つかれば、この欠点を克服することができる。な
ぜなら、有機ポリシラン自身は暗所では非常に安定され
るからである。
【0004】一方、エナンチオマーを認識する高分子材
料として、これまでスパルティン−ブチルリチウムを重
合開始剤にして合成したポリ(トリフェニルメチルメタ
クリレート)やポリ(ジフェニルピリジルメチルメタク
リレート)など、主鎖が一方向ヘリシティを有する炭素
骨格高分子が知られている〔例えば、Y.オカモト(Y.
Okamoto)ほか、ジャーナル オブ アメリカン ケミカ
ル ソサイエティ(J.Am. Chem. Soc.) 、第103巻、
第6971頁(1981)〕。これらの一方向ヘリシテ
ィを持つ有機高分子は、実際にシリカゲル表面に担持さ
れた形態で、エナンチオマーを分離分割する高速液体ク
ロマトグラフィー用カラム材として上市されている〔ダ
イセル化学(株)Chiralpak-OT、Chiralpak-OP〕。しか
しながら、これらポリ(トリフェニルメチルメタクリレ
ート)系材料は、主鎖ヘリックス構造を固定する側鎖部
が加水分解や加溶媒分解で脱離すると、エナンチオマー
認識能も同時に失われるという欠点を有する。有機ポリ
シランのシリコン主鎖骨格や炭化水素系側鎖が加水分解
や加溶媒分解に対して耐性があるという特徴を活かせ
ば、通常、暗所、脱酸素の条件下で使用する高速液体ク
ロマトグラフィー(HPLCと略)、ガスクロマトグラ
フィー(GCと略)用カラム材料としての用途が開け
る。現在HPLCによる分離分析手段として、逆相条件
でも使用できるエナンチオマー認識用カラム材の多くは
生体物質由来のものであり、その多くがアミド結合を有
するアルキル誘導体であるため、やはり加水分解による
カラムの劣化という課題が残されている。ここでもし光
学活性置換基を有する全く人工的な光学活性有機ポリシ
ランを単体に担持させることができれば、HPLC用C
SPあるいはGC用CSPとしての用途がさらに開け
る。ここで重要なことは、一方向ヘリシティを有する炭
素骨格高分子を一旦シリカゲル表面に担持すればラセン
巻き性が不変であるため、通常エナンチオマーの溶出順
序に基本的な変化はない。もしカラム温度を変化させる
ことによって、可逆的な右らせん構造から左らせん構造
あるいは逆に左らせん構造から右らせん構造に構造変化
を起こすことができれば、カラム温度を変化させるだけ
で、エナンチオマーの溶出順序を逆転させることが可能
になる。溶出溶媒の極性変化でエナンチオマーの溶出順
序を逆転させる例が1〜2例知られているが、カラム温
度のみでエナンチオマーの溶出順序を逆転させたような
例は現在のところ知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、温度
可逆な右施性⇔左施性変化を用いた光学活性なスイッチ
・メモリ用材料ならびに新規なエナンチオマー認識材
料、特にHPLCやGC用CSP用材料として、不斉中
心を含む有機置換基がシリコン原子に直接結合された構
造を有する、室温溶液中でも剛直ロッド状構造が安定に
保持された光学活性有機シリコン高分子を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は光学活性有機シリコン高分子に関す
る発明であって、第一には、下記一般式(1):
【0007】
【化5】
【0008】(式(1)中、R* はγ−位が不斉中心で
あるキラルアルキル基を示し、nの数として10から1
00000までの範囲にある)で示されることを特徴と
する。
【0009】ここで、式(1)中、R* は(S)−3,
7−ジメチルオクチル基または(R)−3,7−ジメチ
ルオクチル基であることができる。
【0010】また第二には、下記一般式(2):
【0011】
【化6】
【0012】(式(2)中、R1 *はγ−位が不斉中心で
あるキラルアルキル基を示し、R2 *はR1 *とは化学構造
と絶対配置を異にする、γ−位が不斉中心であるキラル
アルキル基を示し、nの数として10から100000
までの範囲にある)で示されることを特徴とする。
【0013】ここで、式(2)中、R1 *は(S)−3,
7−ジメチルオクチル基であり、R2 *は(R)−3−メ
チルペンチル基であるか、もしくは、R1 *は(R)−
3,7−ジメチルオクチル基であり、R2 *は(S)−3
−メチルペンチル基であることができる。
【0014】第三には、下記一般式(3):
【0015】
【化7】
【0016】(式(3)中、R* はγ−位が不斉中心で
あるキラルアルキル基を示し、Rはγ−位が分岐したア
キラルアルキル基を示し、nの数として10から100
000までの範囲にある)で示されることを特徴とす
る。
【0017】ここで、式(3)中、R* は(S)−3,
7−ジメチルオクチル基もしくはR* は(R)−3,7
−ジメチルオクチル基であり、Rは3−メチルブチル基
であることができる。
【0018】第四には、下記一般式(4):
【0019】
【化8】
【0020】(式(4)において、R1 *,R3 *はγ−位
が不斉中心であるキラルアルキル基を示し、R2 はγ−
位が分岐したアキラルアルキル基を示し、R4 はβ−位
が分岐したアキラルアルキル基を示し、x値として0.
500から0.999の範囲にあり、nの数として10
から100000までの範囲にある)で示されることを
特徴とする。
【0021】ここで、式(4)中、R1 *とR3 *は絶対配
置を同じくする同一の置換基であって(S)−3,7−
ジメチルオクチル基もしくは(R)−3,7−ジメチル
オクチル基であり、R2 は3−メチルブチル基であり、
4 は2−メチルプロピル基であるとすることができ
る。
【0022】第五には、式(4)中、R1 *はγ−位が不
斉中心であるキラルアルキル基であり、R2 はγ−位が
分岐したアキラルアルキル基であり、R3 *はR1 *とは逆
の絶対配置を持つγ−位が不斉中心であるキラルアルキ
ル基であり、R4 はβ−位が分岐したアキラルアルキル
基であるとすることができる。
【0023】ここで、式(4)中、R1 *は(R)−3,
7−ジメチルオクチル基であり、R2 は3−メチルブチ
ル基であり、R3 *は(R)−3,7−ジメチルオクチル
基であり、R4 は2−メチルプロピル基であるか、もし
くは、R1 *は(R)−3,7−ジメチルオクチル基であ
り、R2 は3−メチルブチル基であり、R3 *は(S)−
3,7−ジメチルオクチル基であり、R4 は2−メチル
プロピル基であることができる。
【0024】第一の発明の特徴は、γ−位置に分岐構造
を持つ(S)配置もしくは(R)配置を持つキラルアル
キル基を持つシランモノマー単位の単独重合体である。
第二の発明の特徴は、γ−位置に分岐構造を持つ(S)
配置もしくは(R)配置を持つキラルアルキル基とそれ
とは化学構造を異にしかつ側鎖キラリティを異にするキ
ラルアルキル基の両方を持つシランモノマー単位の単独
重合体である。第三の発明の特徴は、γ−位置に分岐構
造を持つ(S)配置もしくは(R)配置を持つキラルア
ルキル基とそれとは化学構造を異にするγ−位置に分岐
構造を持つアキラルアルキル基の両方を持つシランモノ
マー単位の単独重合体である。第四の発明の特徴は、γ
−位置に分岐構造を持つ(S)配置のみあるいは(R)
配置のみのキラルアルキル基と、β−位置に分岐構造を
持つアキラルアルキル置換基とγ−位置に分岐構造を持
つアキラルアルキル置換基とを同時に含む重合体であ
る。β−分岐アキラルアルキル置換基/γ−分岐アキラ
ルアルキル置換基の比率は、0.500/0.500〜
0.001/0.999の間にある。第五の発明の特徴
は、γ−位置に分岐構造を持つ(S)配置キラルアルキ
ル基とγ−位置に分岐構造を持つ(R)配置キラルアル
キル基の両方を持つキラルアルキル基と、β−位置に分
岐構造を持つアキラルアルキル置換基とγ−位置に分岐
構造を持つアキラルアルキル置換基とを同時に含む共重
合体である。β−分岐アキラルアルキル置換基/γ−分
岐アキラルアルキル置換基の比率は、0.500/0.
500〜0.001/0.999の間にある。
【0025】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明で使用したSi−Cl結合を2個有する対称置換
型、非対称置換型光学活性基を含むクロロシラン類は、
下記一般反応式(i)〜(iii )に基づいて合成され
る。これらの具体的な合成方法や分析結果については、
特願平5−202474号、特願平5−202528号
の各明細書に記載してある。
【0026】
【化9】
【0027】ここで使用する有機ジクロロシラン類の13
C−,29Si−NMR(CDCl3、30℃)、沸点、
比施光度(液体、24℃)各データを次にまとめる。
【0028】1)ビス((S)−3,7−ジメチルオク
チル)シランジクロライド13 C−NMR:17.35,19.09,22.62,
22.71,24.73,27.96,29.13,3
4.79,36.45,39.29ppm29 Si−NMR:34.74ppm 沸点123°−133°/0.35mmHg [α]D 1.90° 2)ビス((R)−3,7−ジメチルオクチル)シラン
ジクロライド13 C−NMR:17.40,19.11,22.62,
22.71,24.74,27.98,29.17,3
4.81,36.49,39.33ppm29 Si−NMR:34.76ppm 沸点 142°−147°/1.5mmHg [α]D −1.98° 3)(S)−3,7−ジメチルオクチル−((S)−3
−メチルペンチル)シランジクロライド13 C−NMR:11.32,17.37,18.64,
19.11,22.63,22.71,24.75,2
7.98,28.70,29.14,34.80,3
6.44,36.47,39.31ppm29 Si−NMR:34.75ppm 沸点 109°−113°/0.20mmHg [α]D 5.60° 4)(R)−3,7−ジメチルオクチル−((R)−3
−メチルペンチル)シランジクロライド13 C−NMR:11.32,17.37,18.64,
19.11,22,63,22.71,24.75,2
7.98,28.70,29.14,34.80,3
6.44,36.47,39.31ppm29 Si−NMR:34.75ppm 沸点 109°−113°/0.20mmHg [α]D −5.60° 5)(S)−3,7−ジメチルオクチル−((R)−3
−メチルペンチル)シランジクロライド13 C−NMR:11.33,17.38,18.64,
19.11,22.63,22.72,24.76,2
7.99,28.71,29.14,34.81,3
6.44,36.48,39.32ppm29 Si−NMR:34.73ppm 沸点 108°−113°/0.20mmHg [α]D 2.66° 6)(R)−3,7−ジメチルオクチル−((S)−3
−メチルペンチル)シランジクロライド13 C−NMR:11.33,17.38,18.64,
19.11,22.63,22.72,24.76,2
7.99,28.71,29.14,34.81,3
6.44,36.48,39.32ppm29 Si−NMR:34.73ppm 沸点 108°−113°/0.20mmHg [α]D −2.56° 7)(S)−3,7−ジメチルオクチル−(3−メチル
ブチル)シランジクロライド13 C−NMR:17.36,17.89,19.10,
21.98,22.63,22.72,24.74,2
7.98,29.12,30.18,31.16,3
4.79,36.47,39.31ppm29 Si−NMR:34.63ppm 沸点 108°−113°/0.20mmHg [α]D 1.71° 8)(R)−3,7−ジメチルオクチル−(3−メチル
ブチル)シランジクロライド13 C−NMR:17.36,17.89,19.10,
21.98,22.63,22.72,24.74,2
7.98,29.12,30.18,31.16,3
4.79,36.47,39.31ppm29 Si−NMR:34.65ppm 沸点 107°−108°/0.50mmHg [α]D −1.61° 9)(S)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチル
プロピル)シランジクロライド13 C−NMR:18.43,19.09,22.61,
22.71,24.20,24.72,25.60,2
7.96,29.16,30.31,34.78,3
6.45,39.29ppm29 Si−NMR:33.30ppm 沸点 89°−93°/0.20mmHg [α]D 1.81° 10)(R)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチ
ルプロピル)シランジクロライド13 C−NMR:18.37,19.04,22.57,
22.66,24.14,24.67,25.55,2
7.91,29.10,30.25,34.73,3
6.40,39.24ppm29 Si−NMR:33.22ppm 沸点 86°−92°/0.45mmHg[α]D
1.77°
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の光学活性ポリシランは、
大別して二種類の高分子系に分けられる。一つは、光学
活性ジクロロシランをトルエン中金属ナトリウムと脱塩
縮合することで、対応する光学活性ポリシラン単独重合
体を合成するもので、下記反応式(5)で表される。
【0030】
【化10】
【0031】もう一つの系は、対応する2種類の光学活
性ジクロロシランをトルエン中金属ナトリウムと脱塩共
重合することで、対応する光学活性ポリシラン共重合体
を合成するもので、下記反応式(6)で表される。
【0032】
【化11】
【0033】この際、使用する光学活性有機置換基を含
むジクロロシラン類は、いずれもγ位に分岐部を有する
キラルアルキル基を側鎖基として含んでいるため、右ラ
セン−左ラセン構造転移を容易に引き起こすことのでき
る有機ポリシランが得られる。
【0034】
【実施例】本発明である光学活性鎖状有機ポリシランの
具体的合成例を下記実施例によりさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0035】(実施例1)ポリ(ビス(R)−3,7−
ジメチルオクチル)シラン)の合成例を示す。反応容器
内を十分に脱水脱気し、アルゴンガス置換した後、金属
ナトリウム0.75g、18−クラウンエーテル−6の
0.06gと脱水トルエン20mlをフラスコに入れ
た。油浴温度120℃においてビス((R)−3,7−
ジメチルオクチル)シランジクロライド4.0gを滴下
し、3時間反応させた。反応混合溶液を加圧ろ過し、イ
ソプロピルアルコール、エチルアルコールから分別再沈
殿させた。生じた白色沈殿を遠心分離機で回収し、12
0℃で6時間真空乾燥した。収量は0.36gあり、収
率はジクロロシラン換算で、11%であった。GPC法
により、重量平均分子量が392万と10万の二峰性で
あり、積分比で前者が67%、後者が33%であった。
得られたポリシランの紫外吸収スペクトルと円二色スペ
クトルを図1に示す。すなわち、図1は実施例1で得ら
れた、ポリ(ビス((R)−3,7−ジメチルオクチ
ル)シラン)の吸収、円二色吸収スペクトル(イソオク
タン中、−30℃と−76℃)を示す図である。
【0036】図1において、横軸は光子エネルギー(e
V)、左縦軸は吸光係数〔ε(Si−単位)-1dm3
-1〕、右縦軸は円二色吸光係数〔Δε(Si−単位)
-1dm3 cm-1〕を示す。これらのスペクトルの比較か
ら、−30℃での3.86eVの負コットンCD吸収帯
は3.86eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形でかつ吸
収極大が一致し、一方、−76℃での3.89eVの正
コットンCD吸収帯は3.89eVでの主鎖吸収帯の完
全な相似形でかつ吸収極大が一致する。ε値が−30℃
で72000、ε値が−76℃で98000であること
から、この温度範囲ではポリシラン主鎖骨格は剛直ロッ
ド状構造を保持していることが示される(M.フジキ、
ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエテ
ィ(J. Am. Chem. Soc.) 、第118巻、第7242ペー
ジ(1996年))。以上コットンCD吸収帯の符号は
−30℃と−76℃の間で完全に逆転しており、この温
度内でラセン巻き性の反転が起きていることがわかる。
【0037】図2において、ラセン純度の指標となる非
対称性因子(Δε/ε)を縦軸に、測定温度(℃)を横
軸にプロットする。ここで降温過程と昇温過程の測定値
を同時に示す。コットンCD吸収帯の符号は−70℃近
辺で完全に逆転しており、この温度でラセン巻き性の反
転が起きていることがわかる。ポリシランのラセン巻き
性とコットンCD吸収帯の符号の関係は不明確である
が、ここで便宜上、正のコットンCD吸収帯を与えるポ
リシランのラセン巻き性を(+)−ラセンと表記するな
らば、これは、昇温過程では−65℃で(+)−ラセン
→(−)−ラセン転移が起きていることが示される。−
65℃以上では、(−)−ラセン構造が優勢であり、−
65℃以下では、(+)−ラセン構造が優勢である。一
方、降温過程では−75℃で(−)−ラセン→(+)−
ラセン転移が起きていることが示される。−75℃以上
では、(−)−ラセン構造が優勢であり、−75℃以下
では、(+)−ラセン構造が優勢である。
【0038】一方向ラセン性剛直ロッド状ポリ(n−ア
ルキル−((S)−2−メチルブチル)シラン)の非対
称性因子が約+2×10-4程度である((1)M.フジ
キ、ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイ
エティ(J. Am. Chem. Soc.)、第116巻、第6017
ページ(1994年)、(2)M.フジキ、アプライド
フィジックス レターズ(Appl. Phys. Lett.) 、第6
5巻、第3251ページ(1994年))ことを考慮す
ると、ポリ(ビス((S)−3,7−ジメチルオクチ
ル)シラン)は、−90℃以下でほぼ90%の(+)−
ラセン構造に、−40℃以上でほぼ100%の(−)−
ラセン構造に変化する。ここで注目すべきことは、降温
過程と昇温過程とで(+)−ラセン⇔(−)−ラセン転
移温度が異なり、いわゆるヒステリシスが存在すること
である。すなわち、ラセン巻き性、すなわちコットンC
D吸収帯の符号に関してメモリ性があることを示してい
る。
【0039】(実施例2)ポリ(ビス((S)−3,7
−ジメチルオクチル)シラン)を実施例1に準じて合成
した。GPC法により、重量平均分子量が3.8万の単
峰性であった。結果はポリ(ビス((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)シラン)に類似して、同様の右らせん
⇔左らせん構造変化を起こし、コットンCD吸収帯の符
号は約−85℃付近で逆転する。コットンCDバンドの
符号はポリ(ビス((R)−3,7−ジメチルオクチ
ル)シラン)とは逆に、−90℃以下では負であり、−
80℃以上では正である。
【0040】(実施例3)ポリ(((S)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)の合
成例を示す。反応容器内を十分に脱水脱気し、アルゴン
ガス置換した後、金属ナトリウム0.80g、18−ク
ラウンエーテル−6の0.05gと脱水トルエン8ml
をフラスコに入れた。油浴温度120℃において(S)
−3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)
シランジクロライド3.1gを滴下し、2時間反応させ
た。反応混合溶液を加圧ろ過し、イソプロピルアルコー
ル、エチルアルコールから分別再沈殿させた。生じた白
色沈殿を遠心分離機で回収し、120℃で6時間真空乾
燥した。収量は0.69gであり、収率はジクロロシラ
ン換算で、29%であった。GPC法により、重量平均
分子量が302万と5.3万の二峰性であり、積分比で
前者が3%、後者が97%であった。得られたポリシラ
ンの紫外吸収スペクトルと円二色スペクトルを図3に示
す。すなわち、図3は実施例3で得られた、ポリ
(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチ
ルブチル)シラン)の吸収、円二色吸収スペクトル(イ
ソオクタン中、−38℃と−2℃)を示す図である。
【0041】図3において、UV・CDスペクトルの比
較から、−38℃での3.88eVの負コットンCD吸
収帯は3.88eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形でか
つ吸収極大が一致し、一方、−2℃での3.85eVの
正コットンCD吸収帯は3.85eVでの主鎖吸収帯の
完全な相似形でかつ吸収極大が一致する。ε値が−38
℃で63000、ε値が−2℃で45000であること
から、この温度範囲ではポリシラン主鎖骨格は剛直ロッ
ド状構造を保持していることが示される。以上コットン
CD吸収帯の符号は−38℃と−2℃の間で完全に逆転
しており、この温度内でラセン巻き性の反転が起きてい
ることがわかる。
【0042】図4において、非対称性因子(Δε/ε)
を縦軸に、測定温度(℃)横軸にプロットする。ここで
降温過程と昇温過程とを同時に示す。コットンCD吸収
帯の符号は−20℃近辺で完全に逆転しており、この温
度でラセン巻き性の反転が起きていることがわかる。ラ
セン転移点に関して、昇温過程と降温過程では変化はな
い。−20℃以上では、(+)−ラセン構造が優勢であ
り、−20℃以下では、(−)−ラセン構造が優勢であ
る。ポリ(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−
(3−メチルブチル)シラン)は、−40℃以下でほぼ
80%以上が(−)−ラセン構造に、−10℃以上では
ほぼ80%以上が(+)−ラセン構造に変化する。
【0043】(実施例4)ポリ(((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)を実
施例3に準じて合成した。GPC法により、重量平均分
子量が600万と5.2万の二峰性であり、積分比で前
者が1%、後者が99%であった。得られたポリシラン
の紫外吸収スペクトルと円二色スペクトルを図5に示
す。すなわち、図5は実施例4で得られた、ポリ
((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチル
ブチル)シラン)の吸収、円二色吸収スペクトル(イソ
オクタン中、−40℃と−1℃)を示す図である。
【0044】図5において、UV・CDスペクトルの比
較から、−40℃での3.87eVの正コットンCD吸
収帯は3.87eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形でか
つ吸収極大が一致し、一方、−1℃での3.85eVの
負コットンCD吸収帯は3.85eVでの主鎖吸収帯の
完全な相似形でかつ吸収極大が一致する。ε値が−40
℃で65000、ε値が−1℃で43000であること
から、この温度範囲ではポリシラン主鎖骨格は剛直ロッ
ド状構造を保持していることが示される。以上コットン
CD吸収帯の符号は−40℃と−1℃の間で完全に逆転
しており、この温度内でラセン巻き性の反転が起きてい
ることがわかる。
【0045】図6において、非対称性因子(Δε/ε)
と測定温度(℃)の関係をプロットする。ここで降温過
程と昇温過程を同時に示す。結果はポリ(((S)−
3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シ
ラン)に類似して、同様の右らせん⇔左らせん構造変化
を起こし、コットンCD吸収帯の符号は−21℃で逆転
し、この温度でラセン巻き性の反転が起きていることが
わかる。コットンCDバンドの符号は((S)−3,7
−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
とは逆に、−21℃以下では正であり、−21℃以上で
は負である。ラセン転移点に関して、昇温過程と降温過
程では変化はない。−21℃以上では、(−)−ラセン
構造が優勢であり、−21℃以下では、(+)−ラセン
構造が優勢である。ポリ(((R)−3,7−ジメチル
オクチル)−(3−メチルブチル)シラン)は、−40
℃以下でほぼ80%が(+)−ラセン構造に、−5℃以
上ではほぼ90%が(−)−ラセン構造に変化する。
【0046】(比較例1)ポリ(((S)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(2−メチルプロプル)シラン)を
実施例1に準じて合成した。GPC法により、重量平均
分子量が4.2万の単峰性であった。結果はポリ
(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチ
ルブチル)シラン)やポリ(((R)−3,7−ジメチ
ルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)と異な
り、右らせん⇔左らせん構造変化を起こさず、コットン
CD吸収帯の符号は+80℃から−90℃まですべて正
のままである。発明者の解釈として、2−メチルプロピ
ル基のラセン構造固定効果が強すぎるためである。
【0047】(比較例2)ポリ(((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(2−メチルプロピル)シラン)を
実施例1に準じて合成した。GPC法により、重量平均
分子量が809万と3.7万の二峰性であり、積分比で
前者が6%、後者が94%であった。結果はポリ
(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチ
ルブチル)シラン)やポリ(((S)−3,7−ジメチ
ルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)と異な
り、右らせん⇔左らせん構造変化を起こさず、コットン
CD吸収帯の符号は+80℃から−90℃まですべて負
のままである。発明者の解釈として、2−メチルプロピ
ル基のラセン構造固定効果が強すぎるためである。
【0048】(実施例5)ポリ(((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−((S)−3−メチルペンチル)シ
ラン)を実施例1に準じて合成した。反応容器内を十分
に脱水脱気し、アルゴンガス置換した後、金属ナトリウ
ム0.50g、18−クラウンエーテル−6の0.03
gと脱水トルエン12mlをフラスコに入れた。油浴温
度120℃において((R)−3,7−ジメチルオクチ
ル)−((S)−3−メチルペンチル)シランジクロラ
イド1.6gを滴下し、2時間反応させた。反応混合溶
液を加圧ろ過し、イソプロピルアルコール、エチルアル
コールから分別再沈殿させた。生じた白色沈殿を遠心分
離機で回収し、120℃で6時間真空乾燥した。収量は
0.29gであり、収率はジクロロシラン換算で、23
%であった。GPC法により、重量平均分子量が240
万と7.4万の二峰性であり、積分比で前者が10%、
後者が90%であった。得られたポリシランの紫外吸収
スペクトルと円二色スペクトルを図7に示す。すなわ
ち、図7は実施例3で得られた、ポリ(((R)−3,
7−ジメチルオクチル)−((S)−3−メチルペンチ
ル)シラン)の吸収、円二色吸収スペクトル(イソオク
タン中、−10℃と55℃)を示す図である。
【0049】図7において、UV・CDスペクトルの比
較から、−10℃での3.88eVの正コットンCD吸
収帯は3.88eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形でか
つ吸収極大が一致し、一方、55℃での3.85eVの
負コットンCD吸収帯は3.85eVでの主鎖吸収帯の
完全な相似形でかつ吸収極大が一致する。ε値が−10
℃で49000、ε値が55℃で36000であること
から、この温度範囲ではポリシラン主鎖骨格は剛直ロッ
ド状構造を保持していることが示される。以上コットン
CD吸収帯の符号は−10℃と55℃の間で完全に逆転
しており、この温度内でラセン巻き性の反転が起きてい
ることがわかる。
【0050】図8において、非対称性因子(Δε/ε)
と測定温度(℃)の関係をプロットする。ここで降温過
程と昇温過程を同時に示す。コットンCD吸収帯の符号
は0℃近辺で完全に逆転しており、この温度でラセン巻
き性の反転が起きていることがわかる。ラセン転移点に
関して、昇温過程と降温過程では変化はない。0℃以上
では、(−)−ラセン構造が優勢であり、0℃以下で
は、(+)−ラセン構造が優勢である。ポリ(((R)
−3,7−ジメチルオクチル)−((S)−3−メチル
ペンチル)シラン)は、−40℃以下でほぼ80%以上
が(+)−ラセン構造に、20℃以上でほぼ70%以上
が(−)−ラセン構造に変化する。
【0051】(実施例6)ポリ(((S)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(((R)−3−メチルペンチル)
シラン)を実施例5に準じて合成した。結果はポリ
(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−((S)−
3−メチルペンチル)シラン)に類似して、同様の右ら
せん⇔左らせん構造変化を起こし、コットンCD吸収帯
の符号は約0℃付近で逆転する。コットンCDバンドの
符号はポリ(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−
((R)−3−メチルペンチル)シラン)とは逆に、0
℃以下では負であり、0℃以上では正である。
【0052】(比較例3)ポリ(((S)−3,7−ジ
メチルオクチル)−((S)−3−メチルペンチル)シ
ラン)を実施例5に準じて合成した。GPC法により、
重量平均分子量が476万と6.7万の二峰性であり、
積分比で前者が22%、後者が78%であった。結果は
ポリ(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
((S)−3−メチルペンチル)シラン)やポリ
(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−((R)−
3−メチルペンチル)シラン)と異なり、右らせん⇔左
らせん構造変化を起こさず、コットンCD吸収帯の符号
は+80℃から−90℃まですべて正のままである。発
明者の解釈として、同一の絶対配置を持つγ−分岐アル
キル基同士の組み合わせはラセン構造固定効果が強すぎ
るためである。
【0053】(比較例4)ポリ(((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−((R)−3−メチルペンチル)シ
ランを実施例5に準じて合成した。GPC法により、重
量平均分子量が470万と6.0万の二峰性であり、積
分比で前者が20%、後者が80%であった。結果はポ
リ(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−((S)
−3−メチルペンチル)シラン)やポリ(((S)−
3,7−ジメチルオクチル)−((R)−3−メチルペ
ンチル)シラン)と異なり、右らせん⇔左らせん構造変
化を起こさず、コットンCD吸収帯の符号は+80℃か
ら−90℃まですべて負のままである。発明者の解釈と
して、同一の絶対配置を持つγ−分岐アルキル基同士の
組み合わせではラセン構造固定効果が強すぎるためであ
る。
【0054】このような一方向ラセン構造の固定効果
は、以下に示すとおり、ラセン構造固定効果が少し弱い
γ−分岐アルキル基、例えば、3−メチルブチル基と、
少し強いβ−分岐アルキル基、例えば、2−メチルプロ
ピル基の比率を適宜変化させ、3,7−ジメチルオクチ
ル基の絶対配置を同種、あるいは異種の組み合わせとす
ることによって制御することが可能である。よくモノマ
ー構造が制御されたコポリマーでは、右らせん⇔左らせ
ん構造変化を容易に起こすことが可能となり、かつその
転移温度を−140℃から100℃と幅広い温度範囲に
わたって制御が可能である。以下に実例を示す。
【0055】(実施例7)ポリ(((S)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)0.75
−コ−(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(2
−メチルプロピル)シラン)0.25の具体的合成例を示
す。反応容器内を十分に脱水脱気し、アルゴンガス置換
した後、金属ナトリウム0.45g、18−クラウンエ
ーテル−6の0.04gと脱水トルエン14mlをフラ
スコに入れた。油浴温度120℃において、((S)−
3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シ
ランジクロライド0.95gと((R)−3,7−ジメ
チルオクチル)−(2−メチルプロピル)シランジクロ
ライド0.30gの混合物を滴下し、2時間反応させ
た。反応混合溶液を加圧ろ過し、ろ液にエチルアルコー
ルを加えて生じた白色沈殿を遠心分離機で回収し、12
0℃で真空乾燥した。収量は0.31gであり、収率は
ジクロロシラン換算で、32%であった。GPC法によ
り、重量平均分子量が7.2万と530万の二峰性であ
り、積分比で前者が96%、後者が4%であった。得ら
れたポリシランの紫外吸収スペクトルと円二色スペクト
ルを図9に示す。すなわち、図9は実施例7で得られ
た、ポリ(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−
(3−メチルブチル)シラン)0.75−コ−(((R)−
3,7−ジメチルオクチル)−(2−メチルプロピル)
シラン)0.25の吸収、円二色吸収スペクトル(イソオク
タン中、−5℃と55℃)を示す図である。
【0056】図9において、UV・CDスペクトルの比
較から、−5℃での3.88eVの負コットンCD吸収
帯は3.86eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形でかつ
吸収極大が一致し、一方、55℃での3.82eVの正
コットンCD吸収帯は3.82eVでの主鎖吸収帯の完
全な相似形でかつ吸収極大が一致する。ε値が−5℃で
50000、ε値が55℃で37000であることか
ら、この温度範囲ではポリシラン主鎖骨格は剛直ロッド
状構造を保持していることが示される。以上コットンC
D吸収帯の符号は−5℃と55℃の間で完全に逆転して
おり、この温度内でラセン巻き性の反転が起きているこ
とがわかる。
【0057】図10において、非対称性因子(Δε/
ε)と測定温度(℃)の関係をプロットする。ここで降
温過程と昇温過程を同時に示す。コットンCD吸収帯の
符号は10℃近辺で完全に逆転しており、この温度でラ
セン巻き性の反転が起きていることがわかる。ラセン転
移点に関して、昇温過程と降温過程ではほとんど変化は
ない。10℃以上では、(+)−ラセン構造が優勢であ
り、10℃以下では、(−)−ラセン構造が優勢であ
る。ポリ(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−
(3−メチルブチル)シラン)0.75−コ−(((R)−
3,7−ジメチルオクチル)−(2−メチルプロピル)
シラン)0.25は、−40℃以下でほぼ100%が(−)
−ラセン構造に、60℃以上ではほぼ75%以上が
(+)−ラセン構造に変化する。ポリ(((S)−3,
7−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラ
ン)ホモポリマーでは、ラセン転移点が−20℃であっ
たのに対して、((R)−3,7−ジメチルオクチル)
−(2−メチルプロピル)シラン単位を25%導入する
ことで、ラセン転移点を10℃に上昇させ、ホモポリマ
ーに比べ30℃も変化させることができる。
【0058】(実施例8)ポリ(((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)0.75
−コ−(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−(2
−メチルプロピル)シラン)0.25を実施例7に準じて合
成した。GPC法により、重量平均分子量が200万と
3.8万の二峰性であり、積分比で前者が5%、後者が
95%であった。結果はポリ(((S)−3,7−ジメ
チルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)0.75
コ−(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(2−
メチルプロピル)シラン)0.25に類似して、同様の右ら
せん⇔左らせん構造変化を起こし、コットンCD吸収帯
の符号は−1℃で逆転する。コットンCDバンドの符号
はポリ(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(3
−メチルブチル)シラン)0.75−コ−(((S)−3,
7−ジメチルオクチル)−(2−メチルプロピル)シラ
ン)0.25とは逆に、10℃以下では正であり、10℃以
上では負である。
【0059】(実施例9)ポリ(((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)0.73
−コ−(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(2
−メチルプロピル)シラン)0.27の具体的合成例を示
す。反応容器内を十分に脱水脱気し、アルゴンガス置換
した後、金属ナトリウム0.51g、18−クラウンエ
ーテル−6の0.04gと脱水トルエン15mlをフラ
スコに入れた。油浴温度120℃において、((R)−
3,7−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シ
ランジクロライド0.91gと((R)−3,7−ジメ
チルオクチル)−(2−メチルプロピル)シランジクロ
ライド0.32gの混合物を滴下し、2時間反応させ
た。反応混合溶液を加圧ろ過し、ろ液にエチルアルコー
ルを加えて生じた白色沈殿を遠心分離機で回収し、12
0℃で真空乾燥した。収量は0.06gであり、収率は
ジクロロシラン換算で、6%であった。GPC法によ
り、重量平均分子量が5.0万と257万の二峰性であ
り、積分比で前者が98%、後者が2%であった。得ら
れたポリシランの紫外吸収スペクトルと円二色スペクト
ルを図11に示す。すなわち、図11は実施例9で得ら
れた、ポリ(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(3−メチルブチル)シラン)0.73−コ−(((R)−
3,7−ジメチルオクチル)−(2−メチルプロピル)
シラン)0.27の吸収、円二色吸収スペクトル(イソオク
タン中、−59℃と22℃)を示す図である。
【0060】図11において、UV・CDスペクトルの
比較から、−59℃での3.88eVの正コットンCD
吸収帯は3.86eVでの主鎖吸収帯の完全な相似形で
かつ吸収極大が一致し、一方、22℃での3.84eV
の負コットンCD吸収帯は3.84eVでの主鎖吸収帯
の完全な相似形でかつ吸収極大が一致する。ε値が−5
9℃で61000、ε値が22℃で42000であるこ
とから、この温度範囲ではポリシラン主鎖骨格は剛直ロ
ッド状構造を保持されている。以上コットンCD吸収帯
の符号は−59℃と22℃の間で完全に逆転しており、
この温度内でラセン巻き性の反転が起きていることがわ
かる。
【0061】図12において、非対称性因子(Δε/
ε)と測定温度(℃)の関係をプロットする。ここで降
温過程と昇温過程を同時に示す。コットンCD吸収帯の
符号は−47℃近辺で完全に逆転しており、この温度で
ラセン巻き性の反転が起きていることがわかる。ここで
注目すべきことは、ポリ((ビス((R)−3,7−ジ
メチルオクチル)シラン)の場合と同様に降温過程と昇
温過程とで(+)−ラセン⇔(−)−ラセン転移温度が
異なり、弱いヒステリシスが存在することである。すな
わち、ラセン巻き性、すなわちコットンCD吸収帯の符
号に関してメモリ性がある。−47℃以上では、(−)
−ラセン構造が優勢であり、−47℃以下では、(+)
−ラセン構造が優勢である。ポリ(((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
0.73−コ−(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)0.27は、−80℃以下
でほぼ75%が(+)−ラセン構造に、−20℃以上で
はほぼ100%以上が(−)−ラセン構造に変化する。
ポリ(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(3−
メチルブチル)シラン)ホモポリマーでは、ラセン転移
点が−21℃であったのに対して、((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−(2−メチルプロピル)シラン単
位を27%導入することで、ラセン転移点が−47℃
と、ホモポリマーに比べ25℃も低下させることができ
る。
【0062】(実施例10)ポリ(((S)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
0.73−コ−(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)0.27を実施例9に準じ
て合成した。GPC法により、重量平均分子量が200
万と3.8万の二峰性であり、積分比で前者が5%、後
者が95%であった。結果はポリ(((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
0.73−コ−(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)0.27に類似して、同様
の右らせん⇔左らせん構造変化を起こし、コットンCD
吸収帯の符号は−47℃で逆転する。コットンCDバン
ドの符号はポリ(((S)−3,7−ジメチルオクチ
ル)−(3−メチルブチル)シラン)0.73−コ−
(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−(2−メチ
ルプロピル)シラン)0.27とは逆に、−47℃以下では
負であり、47℃以上では正である。
【0063】同様に比率の異なる種々の組成のコポリマ
ーを合成し、(R)−3,7−ジメチルオクチル−(3
−メチルブチル)シランに対する、同種の絶対配置を持
つ(R)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプ
ロピル)シランの割合とラセン転移点の関係、ならびに
(S)−3,7−ジメチルオクチル−(3−メチルブチ
ル)シランに対する、異種の絶対配置を持つ(R)−
3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプロピル)シ
ランの割合とラセン転移点の関係を図13に示す。
【0064】(R)−3,7−ジメチルオクチル−(3
−メチルブチル)シランに対して、異種の絶対配置を持
つ(S)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプ
ロピル)シランだと、ラセン転移点は非線形的に上昇
し、(R)−3,7−ジメチルオクチル−(3−メチル
ブチル)シラン対(S)−3,7−ジメチルオクチル−
(2−メチルプロピル)シランの比率が60対40では
ラセン転移点は80℃に達する。さらにその比率が48
対52に変化し、(R)−3,7−ジメチルオクチル−
(2−メチルプロピル)シラン含量が(S)−3,7−
ジメチルオクチル−(3−メチルブチル)シラン含量よ
りも少しでも多くなると、もはやラセン転移は起きな
い。反対に、(R)−3,7−ジメチルオクチル−(3
−メチルブチル)シランに対して、同種の絶対配置を持
つ(R)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプ
ロピル)シランの場合だと、ラセン転移点は非線形的に
大きく低下し、(R)−3,7−ジメチルオクチル−
(3−メチルブチル)シラン対(R)−3,7−ジメチ
ルオクチル−(2−メチルプロピル)シランの比率が6
0対40ではラセン転移点はおよそ−140℃に低下す
る。さらにその比率を48対52まで変化させ、(R)
−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプロピル)
シラン含量が(R)−3,7−ジメチルオクチル−(3
−メチルブチル)シラン含量よりも少しでも多くなる
と、もはやラセン転移は起きない。
【0065】逆に、絶対配置をすべて逆転させた種々の
組成のコポリマーを合成し、(S)−3,7−ジメチル
オクチル−(3−メチルブチル)シランに対する、同種
の絶対配置を持つ(S)−3,7−ジメチルオクチル−
(2−メチルプロピル)シランの割合とラセン転移点の
関係、ならびに(R)−3,7−ジメチルオクチル−
(3−メチルブチル)シランに対する、異種の絶対配置
を持つ(S)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチ
ルプロピル)シランの割合とラセン転移点の関係を図1
4に示す。(S)−3,7−ジメチルオクチル−(3−
メチルブチル)シランに対して、異種の絶対配置を持つ
(R)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプロ
ピル)シランだと、ラセン転移点は非線形的に上昇し、
(S)−3,7−ジメチルオクチル−(3−メチルブチ
ル)シラン対(R)−3,7−ジメチルオクチル−(2
−メチルプロピル)シランの比率が60対40ではラセ
ン転移点は80℃に達する。さらにその比率が48対5
2まで変化させ、(S)−3,7−ジメチルオクチル−
(2−メチルプロピル)シラン含量が(R)−3,7−
ジメチルオクチル−(3−メチルブチル)シラン含量よ
りも少しでも多くなると、もはやラセン転移は起きな
い。反対に、(S)−3,7−ジメチルオクチル−(3
−メチルブチル)シランに対して、同種の絶対配置を持
つ(R)−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプ
ロピル)シランの場合だと、ラセン転移点は非線形的に
大きく低下し、(S)−3,7−ジメチルオクチル−
(3−メチルブチル)シラン対(S)−3,7−ジメチ
ルオクチル−(2−メチルプロピル)シランの比率が6
0対40ではラセン転移点はおよそ−140℃に低下す
る。さらにその比率を48対52まで変化させ、(S)
−3,7−ジメチルオクチル−(2−メチルプロピル)
シラン含量が(S)−3,7−ジメチルオクチル−(3
−メチルブチル)シラン含量よりも少しでも多くなる
と、もはやラセン転移は起きない。
【0066】
【発明の効果】上述したように、正コットンCD信号⇔
負コットンCD信号変化を伴うこれらの有機ポリシラン
類は、ポリシラン主鎖分解波長よりも長波長側で右施性
⇔左施性変化を用いたメモリ・スイッチ現象を示すこと
が予想されるため、主鎖分解という欠点を克服した新し
いタイプの機能素子材料としての可能性がある。なぜな
ら、円二色吸収と施光分散とはクラマース・クローニッ
ヒの関係で互いに結びついており、もしこの有機ポリシ
ランのラセン構造に関係する施光度の温度変化を主鎖吸
収帯よりも長波長側で検出した場合、施光度が(+)−
ラセン⇔(−)−ラセン転移温度で正負に変化すること
が期待できるからである。このポリシランは、吸光度1
程度で施光度が十数ミリ度から数ミリ度程度の比較的弱
い施光性を有しているが、吸光度100程度の高濃度の
ポリシラン溶液あるいは長い光路長においては数度程度
の施光度を実現することは比較的容易である。この性質
を利用すれば、ポリシランの主鎖吸収帯よりもはるかに
長波長である近赤外域光通信波長帯、例えば、0.78
〜1.55μmにおいて非常に透過損失が低いハロゲン
化溶媒、例えば、重ジクロロメタン、重クロロホルム、
重クロロベンゼン、パーフルオロベンゼンなどを使用
し、29Si−NMRの半値幅などから判断してmsec
ないしμsecオーダーの温度誘起メモリ・スイッチ素
子が期待できる。
【0067】一方、エナンチオマー認識高分子材料とし
ての観点から、一方向ラセン状構造を有する光学活性置
換基を有する全く人工的な光学活性有機ポリシランは、
シリコン主鎖骨格や炭化水素系側鎖が加水分解や加溶媒
分解に対して十分な耐性を有しているという特徴を活か
し、暗所、脱酸素の条件下で使用するHPLCやGCカ
ラム材料としての用途が開ける。特に温度で主鎖ラセン
巻き性が反転するこれらのポリシラン類は、エナンチオ
マー認識サイトである側鎖の巻き性も反転するため、カ
ラム温度の変化によって、エナンチオマーの溶出順序を
逆転させることが可能になる。これまで溶出溶媒の極性
変化でエナンチオマーの溶出順序を逆転させる例が1〜
2例知られているが、カラム温度のみでエナンチオマー
の溶出順序を逆転させたような例は現在のところ知られ
ていない。(+)−ラセン⇔(−)−ラセン転移を示す
このようなポリシランは、温度スイッチする新しい機能
性HPLCやGCカラム材料の可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリ(ビス((R)−3,
7−ジメチルオクチル)シラン)の吸収、円二色吸収ス
ペクトル(イソオクタン中、−30℃、−76℃)を示
す図である。
【図2】実施例1で得られたポリ(ビス((R)−3,
7−ジメチルオクチル)シラン)の非対称性因子(イソ
オクタン中)と測定温度の関係を示す図であり、実線は
降温過程で、破線は昇温過程で得られた実測値である。
【図3】実施例3で得られたポリ(((S)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)の
吸収、円二色吸収スペクトル(イソオクタン中、−2
℃、−38℃)を示す図である。
【図4】実施例3で得られたポリ(((S)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)の
非対称性因子(イソオクタン中)と測定温度の関係を示
す図であり、実線は降温過程で、破線は昇温過程で得ら
れた実測値である。
【図5】実施例4で得られたポリ(((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)の
吸収、円二色吸収スペクトル(イソオクタン中、−1
℃、−40℃)を示す図である。
【図6】実施例4で得られたポリ(((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)の
非対称性因子(イソクタン中)と測定温度の関係を示す
図であり、実線は降温過程で、破線は昇温過程で得られ
た実測値である。
【図7】実施例5で得られたポリ(((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−((S)−3−メチルペンチル)
シラン)の吸収、円二色吸収スペクトル(イソオクタン
中、−10℃、55℃)を示す図である。
【図8】実施例5で得られたポリ(((R)−3,7−
ジメチルオクチル)−((S)−3−メチルブチル)シ
ラン)の非対称性因子(イソクタン中)と測定温度の関
係を示す図である。
【図9】実施例7で得られたポリ(((S)−3,7−
ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
0.75−コ−(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)0.25の吸収、円二色吸
収スペクトル(イソオクタン中、−5℃、55℃)を示
す図である。
【図10】実施例7で得られたポリ(((S)−3,7
−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
0.75−コ−(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)0.25の非対称性因子
(イソクタン中)と測定温度の関係を示す図である。
【図11】実施例9で得られたポリ(((R)−3,7
−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
0.73−コ−((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)0.27の吸収、円二色吸
収スペクトル(イソオクタン中、−59℃、22℃)を
示す図である。
【図12】実施例9で得られたポリ(((R)−3,7
−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラン)
0.73−コ−((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)0.27の非対称性因子
(イソクタン中)と測定温度の関係を示す図である。
【図13】ポリ(((R)−3,7−ジメチルオクチ
ル)−(3−メチルブチル)シラン)x −コ−
(((R)−3,7−ジメチルオクチル)−(2−メチ
ルプロピル)シラン)1-x およびポリ(((R)−3,
7−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラ
ン)x −コ−(((S)−3,7−ジメチルオクチル)
−(2−メチルプロピル)シラン)1-x 系において、
(S)−体あるいは(R)−体の含量と、ラセン−ラセ
ン転移点の関係を示す図である。
【図14】ポリ(((S)−3,7−ジメチルオクチ
ル)−(3−メチルブチル)シラン)x −コ−
(((S)−3,7−ジメチルオクチル)−(2−メチ
ルプロピル)シラン)1-x およびポリ(((S)−3,
7−ジメチルオクチル)−(3−メチルブチル)シラ
ン)x −コ−((R)−3,7−ジメチルオクチル)−
(2−メチルプロピル)シラン)1-x 系において、
(S)−体あるいは(R)−体の含量と、ラセン−ラセ
ン転移点の関係を示す図である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1): 【化1】 (式(1)中、R* はγ−位が不斉中心であるキラルア
    ルキル基を示し、nの数として10から100000ま
    での範囲にある)で示されることを特徴とする光学活性
    有機シリコン高分子。
  2. 【請求項2】 請求項1における式(1)中のR*
    (R)−3,7−ジメチルオクチル基であることを特徴
    とする請求項1記載の光学活性有機シリコン高分子。
  3. 【請求項3】 請求項1における式(1)中のR*
    (S)−3,7−ジメチルオクチル基であることを特徴
    とする請求項1記載の光学活性有機シリコン高分子。
  4. 【請求項4】 下記一般式(2): 【化2】 (式(2)中、R1 *はγ−位が不斉中心であるキラルア
    ルキル基を示し、R2 *はR1 *とは化学構造を異にする、
    γ−位が不斉中心であるキラルアルキル基を示し、nの
    数として10から100000までの範囲にある)で示
    されることを特徴とする光学活性有機シリコン高分子。
  5. 【請求項5】 請求項4における式(2)中のR1 *
    (S)−3,7−ジメチルオクチル基であり、R2 *
    (R)−3−メチルペンチル基であることを特徴とする
    請求項4記載の光学活性有機シリコン高分子。
  6. 【請求項6】 請求項4における式(2)中のR1 *
    (R)−3,7−ジメチルオクチル基であり、R2 *
    (S)−3−メチルペンチル基であることを特徴とする
    請求項4記載の光学活性有機シリコン高分子。
  7. 【請求項7】 下記一般式(3): 【化3】 (式(3)中、R* はγ−位が不斉中心であるキラルア
    ルキル基を示し、Rはγ−位が分岐したアキラルアルキ
    ル基を示し、nの数として10から100000までの
    範囲にある)で示されることを特徴とする光学活性有機
    シリコン高分子。
  8. 【請求項8】 請求項7における式(3)中のR*
    (S)−3,7−ジメチルオクチル基であり、Rが3−
    メチルブチル基であることを特徴とする請求項7記載の
    光学活性有機シリコン高分子。
  9. 【請求項9】 請求項7における式(3)中のR*
    (R)−3,7−ジメチルオクチル基であり、Rが3−
    メチルブチル基であることを特徴とする請求項7記載の
    光学活性有機シリコン高分子。
  10. 【請求項10】 下記一般式(4): 【化4】 (式(4)中、R1 *はγ−位が不斉中心であるキラルア
    ルキル基を示し、R2 はγ−位が分岐したアキラルアル
    キル基を示し、R3 *はR1 *と同一の絶対配置を持つγ−
    位が不斉中心であるキラルアルキル基を示し、R4 はβ
    −位が分岐したアキラルアルキル基を示し、x値として
    0.500から0.999の範囲にあり、nの数として
    10から100000までの範囲にある)で示されるこ
    とを特徴とする光学活性有機シリコン高分子。
  11. 【請求項11】 請求項10における式(4)中のR1 *
    とR3 *が(S)−3,7−ジメチルオクチル基であり、
    2 が3−メチルブチル基であり、R4 が2−メチルプ
    ロピル基であることを特徴とする請求項10記載の光学
    活性有機シリコン高分子。
  12. 【請求項12】 請求項10における式(4)中のR1 *
    とR3 *が(R)−3,7−ジメチルオクチル基であり、
    2 が3−メチルブチル基であり、R4 が2−メチルプ
    ロピル基であることを特徴とする請求項10記載の光学
    活性有機シリコン高分子。
  13. 【請求項13】 請求項10における式(4)中のR3 *
    がR1 *とは逆の絶対配置を持つγ−位が不斉中心である
    キラルアルキル基であることを特徴とする請求項10記
    載の光学活性有機シリコン高分子。
  14. 【請求項14】 請求項10における式(4)中のR1 *
    が(R)−3,7−ジメチルオクチル基であり、R2
    3−メチルブチル基であり、R3 *が(R)−3,7−ジ
    メチルオクチル基であり、R4 が2−メチルプロピル基
    であることを特徴とする請求項10記載の光学活性有機
    シリコン高分子。
  15. 【請求項15】 請求項10における式(4)中のR1 *
    が(R)−3,7−ジメチルオクチル基であり、R2
    3−メチルブチル基であり、R3 *が(S)−3,7−ジ
    メチルオクチル基であり、R4 が2−メチルプロピル基
    であることを特徴とする請求項10記載の光学活性有機
    シリコン高分子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1396516A1 (en) * 2002-09-03 2004-03-10 Nara Institute of Science and Technology Optically active polysilane, optically active film, and method of controlling optical characteristics of solid thin film

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1396516A1 (en) * 2002-09-03 2004-03-10 Nara Institute of Science and Technology Optically active polysilane, optically active film, and method of controlling optical characteristics of solid thin film
US6716373B2 (en) * 2002-09-03 2004-04-06 Nara Institute Of Science And Technology Optically active polysilane, optically active film, and method of controlling optical characteristics of solid thin film

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