JP2000060548A - 電気化学的方法による代謝の制御方法 - Google Patents

電気化学的方法による代謝の制御方法

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JP2000060548A
JP2000060548A JP10241397A JP24139798A JP2000060548A JP 2000060548 A JP2000060548 A JP 2000060548A JP 10241397 A JP10241397 A JP 10241397A JP 24139798 A JP24139798 A JP 24139798A JP 2000060548 A JP2000060548 A JP 2000060548A
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microorganism
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Nagahito Miyawaki
長人 宮脇
Takafumi Sunaga
貴文 須永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物を用いた有用物質生産において、酸素
を供給しない嫌気状態において微生物の代謝を還元的な
反応から酸化的反応へ制御することにより、好ましから
ざる副産物の生成を抑制し、目的物質を効率良く製造す
る。 【解決手段】 微生物の代謝を利用して嫌気的な条件で
物質生産させる場合において、微生物を含む溶液に電圧
を印加し、必要に応じて電子運搬体を添加することによ
り、該微生物の代謝反応における、酸化反応を促進さ
せ、還元反応を抑制する。該結果として、副産物の生成
が抑制され、目的有用物質を効率的に生産することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、嫌気条件下にて電
気化学的手法により微生物の代謝を制御する方法および
かかる微生物の代謝を制御する方法を用いた有用物質の
生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多くのアミノ酸、有機酸、核酸などの有
用物質は、安価な糖を原料として好気的条件下で発酵生
産されている。安価な糖を原料とした場合、これら有用
物質は多段階の酵素反応による複雑な反応、いわゆる代
謝によって生合成されている。このような好気的条件下
での発酵生産のデメリットとして、大量生産プロセスを
構築する上でのスケールアップが難しいことが挙げられ
る。
【0003】即ち、これら発酵においては最適な酸素供
給条件が存在しているため、この最適条件をはずれると
発酵の収率は低下する〔K.Akashi et al., Biotechnol.
Bioeng., 20, 27 (1965)、K. Akashi et al., J. Ferm
ent. Technol., 57, 317 (1979)〕。
【0004】下部から通気を行うタイプのタンクをスケ
ールアップする場合、理論的にタンク下部と上部とでは
溶存酸素濃度に大きな差が生じると考えられ、そのため
に実験室での結果が再現せず、酸素供給条件を最適化す
るために極めて大きな労力が割かれている(武部英日、
平成6年度生物工学会大会要旨集p274、岡田茂稔、
平成7年度生物工学会大会要旨集 p15)。
【0005】上記のスケールアップ上のデメリットを考
慮すると、微生物菌体もしくは酵素を用い、嫌気条件下
で反応・生産させることが好ましいと考えられる。しか
しながら、元来好気条件下で発酵が成立していた品目に
おいて、酸素の供給量を低下させていくと生産効率は大
きく低下する(相田浩ら編“アミノ酸発酵"学会出版セ
ンター、p127-144)。
【0006】生産効率の低下する原因としては、酸素の
供給が律速すると酸化的反応が進行しないなどの代謝の
流れの変化が生じ、例えばピルビン酸からの還元反応で
生成する乳酸、アルコール類などの副産物が蓄積するこ
とが考えられる〔M.Ruklishaet al., Biotechnol. Let
t., 3, 465 (1981)、K. Akashi et al., Agric. Biol.
Chem., 43, 2087 (1979)〕。
【0007】嫌気的な条件下において微生物の代謝を制
御する方法としては、David P.Clark〔J.Bacteriol., 1
71, 6213-6217(1989)〕やHarold L.Drake〔J.Bacterio
l., 178, 3140-3145(1996)〕らの方法が知られている。
即ち、基質として用いる炭素源を各種糖、アルドン酸、
糖アルコール、有機酸などに代えることにより、最終産
物である乳酸、酢酸、エタノールなどの生成比率が変わ
ることが報告されている。しかしながら、原料として用
いる炭素源を高価なものに変更することは経済的に不利
である。
【0008】単一の酵素反応系において、酸化反応で生
じた補酵素NADHを電気化学的方法によりNADに再生し、
酸化反応を促進させる報告はあるものの〔O.Miyawaki a
nd T.Yano, Enzyme Microb. Technol.,14, 474 (199
2)〕、微生物の代謝といった複雑な反応系で、電気化学
的方法を用いることにより酸化反応が促進された例は知
られていない。
【0009】また、電気化学的な手法で代謝制御を行う
先行技術として、 M. Hongo and M.Iwahara, “Applica
tion of Electro-energizing Method to L-Glutamic Ac
idFermentation."Agric. Biol. Chem., 43, 2075(197
9)、T. S. Kim and B. H. Kim,“Electron Flow Shift
inClostridium acetobutylicum Fermentation by Elect
rochemically Introduced Reducing Equivalent."Biote
chnol.Lett.,10, 123(1988)が知られているが、これら
は元来好気条件下もしくは嫌気条件下で行われている発
酵を同条件下で実施しており、好気条件下で行われてい
る発酵を嫌気条件下に変更させるというような、変更さ
せた条件下で実施した例は知られていない。また、これ
ら先行技術においては、いずれも陰電極から電子を供給
することにより還元反応を促進することを目的としてい
る。
【0010】以上のように、微生物による有用物質発酵
の中で好気条件下でのみ成立するものを酸素を供給しな
い嫌気条件下で実施し、酸化反応の促進と還元反応の抑
制により副産物の生成を抑制し、効率的に有用物質を生
産する技術は知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、微生
物を用いた有用物質生産において、酸素を供給しない嫌
気状態において微生物の代謝を還元的な反応から酸化的
反応へ制御することにより、好ましからざる副産物の生
成を抑制し、目的物質を効率良く製造する方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題の
解決を目的とし鋭意検討した結果、通常好気条件下で行
われている有用物質発酵を嫌気条件下で行わせる場合に
おいて、電極から電圧を印加することにより、酸化還元
にからむ代謝を制御することができ、それにより目的物
質を効率良く製造することに成功し、本発明を完成する
に至った。
【0013】即ち本発明は、以下の(1)〜(7)に関
する。 (1)嫌気条件下で、微生物の培養液または該培養液の
処理物を含む溶液に電圧を印加することにより、該微生
物の代謝反応における酸化反応を促進させ、還元反応を
抑制することを特徴とする代謝制御方法。
【0014】(2)電圧の印可が、酸化還元反応のため
の作用電極、作用電極の電位制御のための参照電極およ
び電流制御のための補助電極よりなる三電極方式の電解
セルを用いて行われることを特徴とする上記(1)記載
の代謝制御方法。 (3)電圧が、−0.5V〜+3.0V(対参照電極)
であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の
代謝制御方法。
【0015】(4)溶液として、電子運搬体が添加され
た溶液を用いることを特徴とする上記(1)〜(3)の
いずれか記載の代謝制御方法。 (5)培養液の処理物が、培養液の濃縮物、培養液の乾
燥物、培養液を遠心分離して得られる菌体、該菌体の乾
燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理
物、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理
物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、該菌体
の蛋白質分画物、該菌体の固定化物、該菌体より抽出し
て得られる酵素あるいは該酵素の固定化物より選ばれる
培養液の処理物である上記(1)〜(4)のいずれか記
載の代謝制御方法。
【0016】(6)バイオリアクターによる有用物質の
生産において、上記(1)〜(5)のいずれかに記載し
た代謝制御方法を用いることにより、副産物の生成を抑
制することを特徴とする有用物質の生産方法。 (7)有用物質が、ピルビン酸である上記(6)記載の
有用物質の生産方法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明によれば、嫌気条件下で、
微生物の培養液または該培養液の処理物を含む溶液に電
圧を印加することにより、該微生物の代謝反応におけ
る、酸化反応を促進させ、還元反応を抑制することがで
きる。
【0018】上記本発明の反応系において、電圧を印加
する方法としては、電圧を印加することのできるいかな
る方法も用いることができるが、好ましくは、酸化還元
反応のための作用電極、作用電極の電位制御のための参
照電極および電流制御のための補助電極よりなる三電極
方式の電解セルを用いた方法を挙げることができる。こ
の場合、作用電極の電位はポテンショスタットで任意の
酸化還元電位に設定することができる。印加電圧として
は、−0.5Vから+3.0V(対参照電極)、特に+
0.01Vから+0.8Vが好ましい。なお、本発明に
おいては電圧を印可することが必要であるから、電圧が
印可されていない0Vの場合は、当然上記印可電圧の範
囲から除かれる。
【0019】本発明の反応系における嫌気状態は、本発
明に用いる微生物が持つ呼吸活性により、特に何も処置
しなくとも保たれるが、反応液中に窒素などの酸素を含
まないガスをバブリングして酸素を追い出す方法、反応
液に亜硫酸塩などの酸素と反応性のある物質を添加する
方法等、あるいは、これらの方法を組み合わせて用いる
ことにより、完全に嫌気状態に維持することができる。
【0020】本発明における溶液としては、本発明で用
いる微生物を培養したときに得られる培養液、一般的に
使用されている緩衝液等を挙げることができる。そし
て、かかる溶液に電子運搬体を添加することにより、よ
り効果的に微生物の代謝反応における、酸化反応を促進
させ、還元反応を抑制することができる。また、この電
子運搬体は、本発明の上記反応系において再利用され
る。即ち、微生物代謝の酸化反応で生じた電子を間接
的、直接的に受容した電子運搬体は、電極の作用により
電子を放出し酸化されて元の形に戻り、再び電子運搬体
として働く。
【0021】上記電子運搬体としては、電子運搬体とし
て働くものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、電子受容体として知られているフェナジンメトサル
フェート、2,6−ジクロロフェノールインドフェノー
ル、フェナジンエトサルフェート、メチレンブルー、フ
ラビンアデニンジヌクレオチド、パラキノン、フェリシ
アン化カリ、メチルビオロゲン、ニュートラルレッド、
カルボキサミドメチルビオロゲン、アントラキノンサル
フォネート、リゾルフィン、チオニンを挙げることがで
きる。
【0022】微生物としては、好気条件下で有用物質を
生産する微生物は全て用いることができる。具体的に
は、各種アミノ酸、有機酸、糖、核酸、ビタミン、抗生
物質、生理活性物質等の発酵生産に用いることのできる
微生物を挙げることができる。より具体的には、ピルビ
ン酸発酵に用いられるエシェリヒア・コリ、グルタミン
酸発酵に用いられるコリネバクテリウム・グルタミカ
ム、クエン酸発酵に用いられるキャンディダ・リポリテ
ィカ、ソルボース発酵に用いられるアセトバクター・ソ
ボキシダンス、イノシン酸発酵に用いられるコリネバク
テリウム・アンモニアジェネス等を挙げることができ
る。
【0023】微生物は、公知の培養方法により培養する
ことができ、この培養により得られる培養液が本発明の
反応系に用いられる。また、かかる培養液の処理物も本
発明の反応系に用いることができる。この培養液の処理
物としては、培養液の濃縮物、培養液の乾燥物、培養液
を遠心分離して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体
の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の超
音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、該菌体の溶媒
処理物、該菌体の酵素処理物、該菌体の蛋白質分画物、
該菌体の固定化物、該菌体より抽出して得られる酵素あ
るいは該酵素の固定化物等を挙げることができる。
【0024】微生物菌体あるいは酵素を担体に固定化す
る方法としては、ヒドロキシアパタイトなどを利用する
物理的吸着法、イオン交換レジンなどを利用するイオン
結合法、ジアゾニウム塩などを利用する共有結合法、グ
ルタールアルデヒドなどを利用する架橋法、アルギン酸
や膜などを利用した包括法など、一般的に固定化法とし
て知られている方法ならばいずれも利用できる。
【0025】本発明における有用物質の生産は、バイオ
リアクターを用いて行われる。ここで、バイオリアクタ
ーとは、酵素や微生物など生体触媒を利用して物質を生
産する手段と定義され、生体触媒を固定化したリアクタ
ーの他、発酵に用いられる培養槽等も含まれる。そし
て、本発明の有用物質の生産方法においては、有用物質
生産の基質となるものを添加することにより、効率的に
該有用物質を生産することができる。該基質は本発明の
反応の初期に添加してもよいし、反応中適宜添加しても
よい。培養液の処理物を固定化して用いる場合には、該
基質を流加しつつ反応有用生産物を抜取るという連続生
産プロセスを採用することができる。
【0026】基質としては、好気培養発酵における有用
物質生産において、有用物質生産のために用いられる基
質であればどのようなものでも用いることができる。具
体的には、グルコース、フラクトース、ラクトース等の
糖、n−パラフィン等を挙げることができる。また、基
質と共に、微生物代謝に必要と考えられる補酵素などの
成分を添加することにより、有用物質の生産効率を上げ
ることができる。
【0027】該補酵素として、ニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチド(以下、NADと略す)、ニコチンアミ
ドアデニンジヌクレオチドフォスフェート、チアミン、
アデノシンジフォスフェート(以下、ADPと略す)、
アデノシントリフォスフェート、フラビンアデニンジヌ
クレオチド、ピリドキサールリン酸、各種金属などを挙
げることができる。
【0028】本発明の上記有用物質の生産において、用
いる微生物の細胞膜の物質透過性を高める物質を添加す
ることにより、有用物質生産効率を高めることができ
る。かかる細胞膜の物質透過性を高める物質として、例
えば、細胞膜の透過性を高めることが知られている有機
溶媒、界面活性剤を挙げることができる。有機溶媒と界
面活性剤はその両方を組み合わせて用いることもでき
る。
【0029】上記細胞膜の透過性を高めることが知られ
ている有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレ
ン等を挙げることができ、界面活性剤としては、ポリオ
キシエチレングリコールソルビタンアルキルエステルな
どの非イオン性界面活性剤、塩化ベンザルコニウムなど
の陽イオン性界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸
ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、ホスファチジ
ルエタノールアミンなどの両性界面活性剤等を挙げるこ
とができる。
【0030】本発明の反応系におけるpHは、その反応
中、目的有用物質の生産に適したpHに調整することが
好ましい。そして、pHを調製する方法としては、リン
酸などの緩衝液の使用、炭酸カルシウムなどの添加、p
H電極などでpHを確認しつつ酸やアルカリを適宜添加
するpHスタット法、あるい上記方法の組み合わせなど
で行うことができる。
【0031】反応終了液からの目的物質の精製は通常の
発酵生産による物質精製と同様にして行えば良い。具体
的には、イオン交換樹脂法や、晶析法などといった公知
の方法、あるいはその組み合わせで、目的物質を精製す
ることができる。
【0032】以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【実施例】実施例1 微生物の培養 微生物としてエシェリヒア・コリ K-12株 YYC188〔J. B
acteriol., 154, 756-762, (1983); E. coli Genetic S
tock CenterにCGSC6776株として登録されている〕を用
いた。
【0033】エシェリヒア・コリ K-12株 YYC188をバク
トトリプトン1.0%、イーストイクストラクト0.5
%、NaCl1.0%、酢酸ナトリウム 0.4g/
l、グルコース1.0%、リン酸第一カリウム0.2
%、硫酸マグネシウム0.1g/l、硫酸第一鉄10m
g/lを含む1Lの培地で培養した。培養は2L容のジ
ャーファーメンター(ミツワバイオシステム株式会社)
を用い、通気をしながら好気的に行い、培地中のグルコ
ースが消費し尽くされた時点で培養液を遠心分離にか
け、菌体を集菌した。
【0034】実施例2 グルコースからピルビン酸の生
産1 グルコース25mM、ADP1mM、NAD(還元型)
1mM、キシレン1ml/L、炭酸カルシウム2%(W
/V)および実施例1で取得した集菌体3g(湿菌体重
量)/lを30mMリン酸緩衝液(pH6.5)中に混
合した。
【0035】該反応液を30mlづつ用い、以下の3種
類の条件で反応させた。 (1)反応液を三角フラスコに入れ、振とうしつつ好気
的条件で反応を行う。 (2)反応液を電解セルへ入れ、電子運搬体として2,
6−ジクロロフェノールインドフェノール(以下、DC
PIPと略す)0.5mMを加え、反応液中の酸素を窒
素置換した後、窒素を上面通気しつつ嫌気条件下で反応
を行う。
【0036】(3)+0.2V(対参照電極)の電圧で
印加する以外は(2)と同じ条件で反応を行う。上記
(2)、(3)において、作用電極として炭素繊維電極
(東レ株式会社製)、参照電極として銀塩化銀電極、補
助電極として白金電極の装着された電解セルを用いた。
【0037】上記3種類の条件で6時間反応させた後、
ピルビン酸生成濃度を測定した。ピルビン酸の濃度は乳
酸脱水素酵素を利用し、還元型NADの酸化を340n
mの吸光度を測定することにより求めた。各条件下での
ピルビン酸の生成濃度はそれぞれ、(1)7mM、
(2)1.5mM、(3)3mMであった。
【0038】実施例3 グルコースからピルビン酸の生
産2 電子運搬体をDCPIPからフェナジンメトサルフェー
トに代える以外は、実施例2と同じ3種類の条件で反応
を行い、ピルビン酸の生成濃度を測定した。各条件下で
ピルビン酸の生成濃度はそれぞれ、(1)7.3mM、
(2)2.2mM、(3)5.5mMであった。
【0039】更に、各条件下でのD−乳酸蓄積濃度も測
定した。D−乳酸の蓄積濃度は、D−乳酸脱水素酵素を
利用し、NADの還元を340nmの吸光度で測定する
ことにより求めた。各条件下でのD−乳酸蓄積濃度は
(1)0.4mM、(2)4.2mM、(3)1.0m
Mであった。
【0040】上記結果より、嫌気条件下で電圧を印加し
なければ、最終産物としてD−乳酸が著量蓄積し、ピル
ビン酸の生成量が低下するのに対し、電圧を印加するこ
とにより、副産物であるD−乳酸の蓄積量の低減および
ピルビン酸の蓄積レベルの大幅な向上が認められ、好気
条件下での生成量に近い値が得られることがわかった。
【0041】
【発明の効果】微生物による有用物質発酵のほとんどは
好気条件下で行われており、該発酵を嫌気条件下で行わ
せると、乳酸などの副産物が蓄積するなどの理由によ
り、目的物質の収量は大きく低下する。
【0042】本発明によれば、反応液に電圧を印加し、
必要に応じて電子運搬体を添加することにより、嫌気条
件下で特異的に生成される副産物の生成を制御し、目的
とする有用物質を高収率で生産することができる。ま
た、嫌気条件下で反応させることが可能であるため、ス
ケールアップが容易であり、通気に必要な設備を削減す
ることが可能である。更に、微生物菌体を固定化し再利
用することにより、生産性を向上させることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 嫌気条件下で、微生物の培養液または該
    培養液の処理物を含む溶液に電圧を印加することによ
    り、該微生物の代謝反応における酸化反応を促進させ、
    還元反応を抑制することを特徴とする代謝制御方法。
  2. 【請求項2】 電圧の印可が、酸化還元反応のための作
    用電極、作用電極の電位制御のための参照電極および電
    流制御のための補助電極よりなる三電極方式の電解セル
    を用いて行われることを特徴とする請求項1記載の代謝
    制御方法。
  3. 【請求項3】 電圧が、−0.5V〜+3.0V(対参
    照電極)であることを特徴とする請求項1または2記載
    の代謝制御方法。
  4. 【請求項4】 溶液として、電子運搬体が添加された溶
    液を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の代謝制御方法。
  5. 【請求項5】 培養液の処理物が、培養液の濃縮物、培
    養液の乾燥物、培養液を遠心分離して得られる菌体、該
    菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性
    剤処理物、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕
    処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の酵素処理物、該
    菌体の蛋白質分画物、該菌体の固定化物、該菌体より抽
    出して得られる酵素あるいは該酵素の固定化物より選ば
    れる培養液の処理物である請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の代謝制御方法。
  6. 【請求項6】 バイオリアクターによる有用物質の生産
    において、請求項1〜5のいずれか1項に記載した代謝
    制御方法を用いることにより、副産物の生成を抑制する
    ことを特徴とする有用物質の生産方法。
  7. 【請求項7】 有用物質が、ピルビン酸である請求項6
    記載の有用物質の生産方法。
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