JP2000059178A - Firフィルタ - Google Patents

Firフィルタ

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JP2000059178A
JP2000059178A JP10233618A JP23361898A JP2000059178A JP 2000059178 A JP2000059178 A JP 2000059178A JP 10233618 A JP10233618 A JP 10233618A JP 23361898 A JP23361898 A JP 23361898A JP 2000059178 A JP2000059178 A JP 2000059178A
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sample
tap coefficient
signal
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multiplication
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JP10233618A
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Takahiro Todate
高広 戸舘
Ichiro Imaizumi
市郎 今泉
Masahito Honma
聖人 本間
Yoshiyuki Konno
善行 金野
Hisashi Kato
寿 加藤
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Kokusai Electric Corp
Original Assignee
Kokusai Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 入力したアナログ信号をデジタル変換するこ
となく、当該アナログ信号の周波数帯域をフィルタリン
グにより制限するFIRフィルタを実現する。 【解決手段】 FIRフィルタでは例えば分配手段A1
が入力したアナログ信号を正相信号と逆相信号とから成
る一対の信号に分配し、当該一対の信号が互いに1サン
プル分の時間差をもって入力されるフィルタリングのタ
ップ数nと同数の乗算部B1〜Bnが当該一対の信号の
内のいずれか一方の信号のサンプル値をタップ係数の正
負に応じて選択入力して、入力したサンプル値と当該タ
ップ係数の絶対値とを乗算し、加算器A2が各乗算部B
1〜Bnでの乗算結果を総和することでフィルタリング
したアナログ信号を出力する。各乗算部B1〜Bnは前
記いずれか一方の信号のサンプル値を選択入力するスイ
ッチと、入力したサンプル値を複数の容量の中からタッ
プ係数の絶対値に対応した容量を用いて保持するサンプ
ルホールド手段とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入力したアナログ
信号の周波数帯域をフィルタリングにより制限して出力
するFIRフィルタ(Finite Impulse Responseフィル
タ:有限インパルスフィルタ)に関し、特に、入力した
アナログ信号をデジタル信号に変換することなく、フィ
ルタリング処理を行うFIRフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】例えばスペクトラム拡散方式を用いた情
報通信では、送信機が拡散符号を乗じて変調した信号を
無線送信する一方、受信機が当該信号を受信して、受信
した信号に上記と同じ拡散符号を乗じて当該信号を復調
することが行われている。また、受信機では、送信機と
の間の同期を確立(捕捉)するために、送信機から受信
した信号と拡散符号との相関値が最大(ピーク)となる
タイミングを検出して、検出したタイミングで受信信号
を復調処理することが行われている。
【0003】図10には、上記した受信機において受信
信号と拡散符号との相関値を算出するスライディングコ
リレータの構成例を示してあり、このスライディングコ
リレータは例えば論理回路を用いて構成されている。同
図に示したスライディングコリレータでは、例えばCD
MA方式により変調されたアナログ信号(すなわち、受
信信号)がアナログ−デジタル(A−D)変換器11に
よりデジタル信号に変換され、変換されたデジタル信号
とPNコードレジスタ13から出力された拡散符号(P
Nコード)とが各チップ毎に乗算器12により乗算さ
れ、各チップ毎の乗算結果が加算器14により1シンボ
ル分累積加算されて、累積加算された1シンボル分の加
算結果が相関信号として加算器14から出力される。
【0004】また、上記したスライディングコリレータ
では、乗算器12に入力されたデジタル信号に対して拡
散符号を乗算するタイミング(すなわち、拡散符号の位
相)を1チップ分ずつずらして相関信号を算出していく
ことにより、受信機では当該相関信号がピークとなるタ
イミングを検出することで受信信号中の拡散符号の位相
と当該受信信号に乗算する拡散符号の位相との同期を捕
捉することができる。
【0005】なお、上記したスライディングコリレータ
の構成は比較的簡単であり、例えばゲート数も少なく、
A−D変換器以外の部分では消費電力も少ないが、入力
されたアナログ信号をデジタル信号に変換する高精度の
A−D変換器が不可欠な構成要素であるため、このA−
D変換器により全体としての消費電力が増大してしまう
といった不具合もある。また、上記の構成では、1シン
ボル内のチップ数回分の相関信号を1つの乗算器や加算
器により順次算出してピークを検出することが行われる
ため、同期が捕捉されるまでの時間がかかってしまうと
いった不具合もある。
【0006】また、例えば情報通信の分野においては、
受信機により受信した信号等から不要な周波数成分を除
去するために、デジタルFIRフィルタを用いて信号の
周波数帯域を制限することが行われることがある。例え
ば、フィルタリング対象となるデジタル信号中の連続し
た各サンプル値をx(m)とし、フィルタリングの各タ
ップ係数をh(m)とすると、一般に、フィルタリング
処理後の信号値yは式1のフィルタ方程式により示され
る。ここで、式1中の和の記号Σは上記したmが1から
タップ数の値となるまでの和を算出することを示してお
り、すなわち、連続したタップ数個分の各サンプル値x
(m)に各タップ係数h(m)を乗じて総和することを
示している。
【0007】
【数1】
【0008】一例として、上記したmの値をX−Y座標
の横軸にとる一方、mの値に対応したタップ係数h
(m)の値を縦軸にとり、mが1からタップ数の値とな
る範囲で示した場合にタップ数個分並んだタップ係数h
(m)の値が左右対称となるようなFIRフィルタを構
成することで左右対称なインパルス応答をする対称型F
IRフィルタを構成することがある。なお、左右対称と
は具体的に、例えばフィルタリングのタップ数が8の場
合には、各タップ係数h(1)〜h(8)について式2
に示す関係があることを示しており、この場合には、上
記式1は式3のように示される。
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】図11には、フィルタリングのタップ数が
8である場合の対称型FIRフィルタの構成例を示して
あり、この対称型FIRフィルタは、シフトレジスタ部
21と、加算部22と、乗算部23と、全加算部24と
から構成されている。シフトレジスタ部21では8個の
レジスタ(フリップフロップ回路)L1〜L8を設けて
おり、入力されたデジタル信号中の連続した各サンプル
値x(m)(例えば図11中のx(1)〜x(8))を
各レジスタL1〜L8により順次保持してシフトさせて
いくことが行われる。具体的には、例えば外部から第1
のレジスタL1に入力されたサンプル値x(m)が第2
のレジスタL2から第8のレジスタL8へ順次シフトさ
れていった後、当該サンプル値x(m)が第8のレジス
タL8から外部へ出力される。また、各レジスタL1〜
L8でのシフト処理はクロックポートに入力されたクロ
ック信号CLK1に同期して行われる。
【0012】加算部22では4個の加算器25a〜25
dを設けており、例えば上記した第1及び第8のレジス
タL1、L8から出力されたサンプル値x(1)、x
(8)を第1の加算器25aにより加算するといったよ
うに、乗算するタップ係数h(1)〜h(4)が等しい
サンプル値同士(例えばx(1)とx(8)、x(2)
とx(7)、x(3)とx(6)、x(4)とx
(5))を各加算器25a〜25dにより加算すること
が行われる。
【0013】乗算部23では4個の乗算器26a〜26
dを設けており、上記した各加算器25a〜25dから
出力された加算結果s(1)〜s(4)を各乗算器26
a〜26dにより入力し、入力した各加算結果s(1)
〜s(4)と対応した各タップ係数h(1)〜h(4)
とを乗算することが行われる。全加算部24では3個の
加算器27〜29と1個のレジスタL9を設けており、
上記した4個の乗算器26a〜26dでの乗算結果を3
個の加算器27〜29により総和し、当該総和値をレジ
スタL9を介してフィルタリングした信号値yとして出
力することが行われる。なお、出力される信号値yは上
記式3で示したものと同様な値となる。また、レジスタ
L9のクロックポートには上記したクロック信号CLK
1が入力される。
【0014】ここで、本発明者等は、例えば構成を簡易
にして総面積を小さくすることができるデジタル対称型
FIRフィルタを発明しており、タップ数を8とした場
合の構成例を紹介しておく。図12には、本発明者等が
発明した対称型FIRフィルタの構成例を示してあり、
この対称型FIRフィルタは、シフトレジスタ部31
と、セレクタ部32と、乗算部33と、全加算部34と
から構成されている。
【0015】シフトレジスタ部31は、例えば上記図1
1に示した従来の対称型FIRフィルタのシフトレジス
タ部21の構成や動作と同様に、8個のレジスタ(例え
ばフリップフロップ回路)L11〜L18を設けてお
り、外部から入力されたデジタル信号中の連続した各サ
ンプル値x(m)を8個のレジスタL11〜L18によ
り順次保持してシフトさせていくことが行われる。な
お、各レジスタL11〜L18でのシフト処理はクロッ
クポートに入力された第1のクロック信号CLK1に同
期して行われる。また、この例では、第1のクロック信
号CLK1として上記図11に示した対称型FIRフィ
ルタの場合と同じクロック信号を用いている。
【0016】セレクタ部32は例えば4個のセレクタス
イッチ35a〜35dを設けており、各セレクタスイッ
チ35a〜35dは、シフトレジスタ部31から出力さ
れた2つのサンプル値を交互に切り替えて一方を出力す
る機能を有している。具体的には、各セレクタスイッチ
35a〜35dでは、乗算するタップ係数h(1)〜h
(4)が等しい2つのサンプル値を交互に切り替えて出
力することが行われ、一例として、第1のセレクタスイ
ッチ35aでは第1及び第8のレジスタL11、L18
から出力されたサンプル値x(1)、x(8)を交互に
切り替えて出力し、第2のセレクタスイッチ35bでは
第2及び第7のレジスタL12、L17から出力された
サンプル値x(2)、x(7)を交互に切り替えて出力
し、第3のセレクタスイッチ35cでは第3及び第6の
レジスタL13、L16から出力されたサンプル値x
(3)、x(6)を交互に切り替えて出力し、第4のセ
レクタスイッチ35dでは第4及び第5のレジスタL1
4、L15から出力されたサンプル値x(4)、x
(5)を交互に切り替えて出力することが行われる。
【0017】また、上記した各セレクタスイッチ35a
〜35dでの切替は例えば各セレクタスイッチ35a〜
35dの”SW”ポートに上記した第1のクロック信号
CLK1が制御信号として入力されることで制御され
る。具体的には、各セレクタスイッチ35a〜35dで
は、例えば入力された第1のクロック信号CLK1が高
レベル(HIGH)の状態であるときにそれぞれx
(8)、x(7)、x(6)、x(5)をサンプル値i
(1)〜i(4)として出力する一方、例えば入力され
た第1のクロック信号CLK1が低レベル(LOW)の
状態であるときにそれぞれx(1)、x(2)、x
(3)、x(4)をサンプル値i(1)〜i(4)とし
て出力する。
【0018】乗算部33は、例えば上記図11に示した
従来の対称型FIRフィルタの乗算部23の構成や動作
とほぼ同様に、4個の乗算器36a〜36dを設けてお
り、各乗算器36a〜36dは、上記した各セレクタス
イッチ35a〜35dから出力されたサンプル値i
(1)〜i(4)を入力して、入力したサンプル値i
(1)〜i(4)と対応したタップ係数h(1)〜h
(4)とを乗算する機能を有している。この機能により
各乗算器36a〜36dからそれぞれi(1)・h
(1)、i(2)・h(2)、i(3)・h(3)、i
(4)・h(4)といった乗算結果が出力される。
【0019】全加算部34は例えば4個の加算器37〜
40と2個のレジスタL19、120を設けており、ま
ず、乗算部33中の第1及び第2の乗算器36a、36
bから出力された乗算結果が第1の加算器37により加
算されるとともに、乗算部33中の第3及び第4の乗算
器36c、36dから出力された乗算結果が第2の加算
器38により加算され、第1及び第2の加算器37、3
8での加算結果が第3の加算器39により加算される。
【0020】上記した第3の加算器39からは式4に示
す加算結果y1と式5に示す加算結果y2とが交互に出
力され、これらの加算結果y1、y2が第4の加算器4
0に直接的に入力されるとともに、当該第4の加算器4
0に遅延用のレジスタL19を介して入力される。
【0021】
【数4】
【0022】
【数5】
【0023】上記した遅延用のレジスタL19のクロッ
クポートには例えば上記した第1のクロック信号CLK
1の2倍の周波数から成る第2のクロック信号CLK2
が入力され、このレジスタL19では、第3の加算器3
9から入力された加算結果を第1のクロック信号CLK
1の半周期分遅延させて第4の加算器40へ出力するこ
とが行われる。この遅延処理により、第4の加算器40
には上記した加算結果y1と加算結果y2とが例えば同
時に入力されて加算され、当該加算結果が安定化用のレ
ジスタL20に入力される。
【0024】安定化用のレジスタL20のクロックポー
トには例えば上記した第1のクロック信号CLK1が反
転して入力され、これにより上記した第4の加算器40
から出力された加算結果y(すなわち、y1+y2)の
最も安定した値が第1のクロック信号CLK1のダウン
エッジでラッチされて出力される。なお、出力される加
算結果yは上記式3で示したものと同様な値となる。こ
のように、上記図12に示した対称型FIRフィルタで
は、上記図11に示したものと同様なフィルタリング処
理を行うことができるとともに、構成を簡易にして例え
ば基板上に形成される場合の総面積を小さくすることが
できる。
【0025】図13には、上記図11に示した従来の対
称型FIRフィルタの面積と上記図12に示した本発明
者等が発明した対称型FIRフィルタの面積とを比較し
たテーブルQ3を示してある。なお、このテーブルQ3
中の各数値としては、一例として、0.35μのGateAr
ray Cellの論理合成により算出した値を示してある。同
図のテーブルQ3では、従来の対称型FIRフィルタの
各処理部21〜24の面積及び総面積と、発明した対称
型FIRフィルタの各処理部31〜34の面積及び総面
積と、従来と発明とで対応した処理部についての面積比
(発明に係る面積を従来の面積で割って100を乗じた
値(%))とを示してある。
【0026】従来のシフトレジスタ部21の構成と発明
のシフトレジスタ部31の構成とは例えば同じであり、
両処理部21、31の面積は同じとなる。従来の加算部
22に比べて発明のセレクタ部32の方が小さな面積で
構成することができ、例えば発明のセレクタ部32の面
積は従来の加算部22の面積の1/3程度となる。
【0027】従来の乗算部23では2つのサンプル値x
(m)の和とタップ係数h(m)とを乗算するため、サ
ンプル値x(m)のビット幅に1を加えたビット幅から
成る数値とタップ係数h(m)のビット幅から成る数値
とを乗算する乗算器26a〜26dを設けたが、発明の
乗算部33では1つのサンプル値x(m)とタップ係数
h(m)とを乗算するため、サンプル値x(m)のビッ
ト幅から成る数値とタップ係数h(m)のビット幅から
成る数値とを乗算する乗算器36a〜36dを設ければ
よく、例えば発明の乗算部33の面積は従来の乗算部2
3の面積の9割程度となる。
【0028】従来の全加算部24に比べて発明の全加算
部34では遅延用のレジスタL19や第4の加算器40
が構成要素として加えられているため、例えば発明の全
加算部34の面積は従来の全加算部24の面積に比べて
4割程度増加している。以上に示した全ての処理部の総
面積を比較すると、発明の対称型FIRフィルタでは従
来の対称型FIRフィルタに比べて総面積を5%程度低
減することを実現している。このように、上記図12に
示した本発明者等が発明した対称型FIRフィルタで
は、例えば上記図11に示した従来のものに比べて全加
算部34の面積が増加してはいるものの、各処理部31
〜34の総面積については従来のものに比べて低減させ
ることができ、これにより、デジタル対称型FIRフィ
ルタの実用性を高めることができる。
【0029】以上では、信号をデジタル処理する回路の
構成例について示したが、例えば上記したスペクトラム
拡散方式を採用した受信機等において、送信機から受信
した信号等をアナログ処理する回路が用いられる場合も
ある。図14には、例えばスペクトラム拡散方式により
通信を行う受信機において送信機から受信した信号と拡
散符号との相関値を算出するマッチトフィルタの構成例
を示してあり、以下に述べるように、このマッチトフィ
ルタでは例えば上記図10に示したスライディングコリ
レータに比べて同期捕捉までの時間を短縮させることが
できる。
【0030】すなわち、同図に示したマッチトフィルタ
では、1シンボル内のチップ数uと同数のサンプルホー
ルド回路(S/H)K1〜Kuや当該チップ数uと同数
の乗算器J1〜Juを設けてあり、例えばCDMA方式
により変調されたアナログ信号(すなわち、受信信号)
が各サンプルホールド回路K1〜Kuに互いに1チップ
分の時間差をもって入力されて保持され、これらu個の
サンプルホールド回路K1〜Kuにより保持された1シ
ンボル分の信号値とPNコードレジスタ41から出力さ
れた1シンボル分の拡散符号とがu個の乗算器J1〜J
uにより各チップ毎に一斉に乗算され、各乗算器J1〜
Juでの乗算結果が加算器42により総和されて相関信
号として出力される。
【0031】このように、上記したマッチトフィルタで
は、1シンボル内のチップ数u回の乗算を一斉に実行す
る構成であるため、例えば1チップ分のアナログ信号が
入力される毎に上記した相関信号の算出を行えば、入力
アナログ信号に乗算する拡散符号の位相をu通りにずら
した場合の相関信号を1シンボル分のアナログ信号が取
り込まれる時間内に算出することができ、これにより、
受信機では1シンボル分のアナログ信号の取り込み時間
程度内で当該相関信号のピークを検出して送信機との同
期を捕捉することができる。
【0032】なお、上記したマッチトフィルタでは上記
のように同期捕捉までの時間を短くすることができる一
方、1シンボル内のチップ数分のサンプルホールド回路
や乗算器を設ける必要があるため、例えば上記図10に
示したスライディングコリレータに比べて1シンボル内
のチップ数倍のゲートが必要となってしまうことや、ゲ
ート規模が増大して消費電力が増大してしまい、移動端
末に適用することが実用上困難となってしまうといった
不具合があった。
【0033】また、例えば上記図10に示したスライデ
ィングコリレータや上記図14に示したマッチトフィル
タに比べて実用性があり、受信信号をA−D変換器によ
りデジタル化することなくアナログ信号のまま復調を行
うこと等ができるスライディングコリレータやマッチト
フィルタの他の構成例を以下に示す。
【0034】図15には、スライディングコリレータの
他の構成例を概略的に示してあり、1シンボル内のチッ
プ数が4である場合を例として示してある。同図に示し
たスライディングコリレータでは、例えばCDMA方式
により変調されたアナログ信号電圧(すなわち、受信信
号)が乗算器51に入力されて、当該信号電圧とPNコ
ードレジスタ52から出力された拡散符号とが乗算さ
れ、各チップ毎の乗算結果が各サンプルホールド回路5
3a〜53dにより保持され、所定の時間が経過した時
点でサンプルホールド回路53a〜53dに保持された
1シンボル分の乗算結果が加算器54により総和されて
相関信号として出力される。また、同図に示したスライ
ディングコリレータにおいても、入力した信号電圧に乗
算する拡散符号の位相をずらしていくことで同期を捕捉
することができる。
【0035】また、図16には、上記図15に示したス
ライディングコリレータの具体的な回路構成例を示して
あり、1シンボル内のチップ数がu個(例えば128
個)である場合を示してある。上記図16に示したスラ
イディングコリレータは差動アンプ(増幅器)61とコ
リレータ基本構成ブロック62とバッファアンプ63と
から構成されており、差動アンプ61では、例えばCD
MA方式により変調されたアナログ信号(すなわち、受
信信号)をベースバンドアナログ信号として一方から入
力するとともに、当該アナログ信号の直流レベルと同じ
大きさの電圧を他方から入力し、当該アナログ信号の正
相信号と逆相信号とを出力する。
【0036】なお、正相信号としては例えば差動アンプ
61に入力されたアナログ信号がそのまま出力され、ま
た、逆相信号としては例えば当該アナログ信号が上記し
た直流レベル電圧を基準として反転させられた信号が出
力される。また、上記した差動アンプ61は主として、
例えば受信信号をLSI内に取り込んで機能させるドラ
イバとしての役割や当該受信信号の正相信号や逆相信号
を出力する役割を果たすものであるため、信号の増幅率
(ゲイン)は1程度であってもよい。
【0037】コリレータ基本構成ブロック62では1シ
ンボル内のチップ数uと同数の容量(情報保持用静電容
量)Z1〜Zuや、当該チップ数uと同数のスイッチを
有したスイッチ群65を設けており、PNコードレジス
タ64から出力された拡散符号に応じてスイッチ群65
を制御することで各容量Z1〜Zuに互いに1チップ分
の時間差をもって上記した正相信号或いは逆相信号を保
持することを行う。
【0038】具体的には、上記したスイッチ群65中の
各スイッチは拡散符号を構成する各チップ毎の符号値に
応じて制御され、これにより、各容量Z1〜Zu毎に上
記した差動アンプ61から出力された正相信号と逆相信
号とのいずれか一方の信号が切り替えられて、切り替え
られた信号が各容量Z1〜Zuに電圧の形で保持され
る。なお、切替としては、例えば符号値が”1”である
チップについては正相信号を対応した容量Z1〜Zuに
保持させる一方、符号値が”0”であるチップについて
は逆相信号を対応した容量Z1〜Zuに保持させること
が行われ、これにより、上記した差動アンプ61に入力
されたアナログ信号と1シンボル分の拡散符号との乗算
結果がu個の容量Z1〜Zuを用いて保持される。
【0039】また、上記したコリレータ基本構成ブロッ
ク62では上記した各容量Z1〜Zuに対応したu個の
スイッチから成る加算用スイッチ群66を設けており、
例えばuチップ分(すなわち、1シンボル分)の乗算結
果が上記した容量Z1〜Zuに保持された時点で加算用
スイッチ群66中の各スイッチを閉じることにより、1
シンボル分の乗算結果がバッファアンプ63により総和
されて相関信号として出力される。
【0040】また、上記図16に示したスライディング
コリレータでは、例えば差動アンプ61から出力された
正相信号や逆相信号を容量Z1〜Zuに取り込むタイミ
ング(すなわち、受信信号の位相)を上記したスイッチ
群65を制御することで1チップ分ずつずらして拡散符
号と乗算することを繰り返すことにより、受信機では1
シンボル内のチップ数回分(u回分)の相関信号の中か
らピークを検出して送信機との同期を捕捉することがで
きる。
【0041】また、図17には、マッチトフィルタの他
の構成例を概略的に示してあり、例えば上記図16に示
したスライディングコリレータの場合と同様に1シンボ
ル内のチップ数がu個(例えば128個)である場合を
示してある。上記図17に示したマッチトフィルタは差
動アンプ71と上記図16に示したものと同様なu個の
コリレータ基本構成ブロックE1〜Euとバッファアン
プ72とから構成されており、差動アンプ71では、例
えば上記図16に示した差動アンプ61と同様に、CD
MA方式により変調されたアナログ信号と当該アナログ
信号の直流レベルと同じ大きさの電圧とを入力して、当
該アナログ信号の正相信号と逆相信号とを出力する。
【0042】また、u個の各コリレータ基本構成ブロッ
クE1〜Euの構成や動作は例えば上記図16に示した
ものと同様であり、具体的には、各コリレータ基本構成
ブロックE1〜Euには互いに1チップ分の時間差をも
って上記した差動アンプ71から出力された正相信号及
び逆相信号が入力され、これにより、各コリレータ基本
構成ブロックE1〜Euでは、互いに1チップ分の位相
がずれて取り込まれた正相信号及び逆相信号を用いて受
信信号とPNコードレジスタ(図示せず)から出力され
た拡散符号との相関信号を算出することが行われる。
【0043】このように、上記図17に示したマッチト
フィルタではu個のコリレータ基本構成ブロックE1〜
Euにより互いに位相が1チップ分ずれた受信信号から
算出した相関信号(”相関出力1”〜”相関出力u”)
をバッファアンプ72へ出力することが可能な構成であ
るため、受信機では例えば上記図16に示したスライデ
ィングコリレータを用いた場合に比べて短い時間で同期
を捕捉することができる。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来で
は、例えば入力したアナログ信号をA−D変換器により
デジタル信号に変換することなく当該アナログ信号の周
波数帯域をフィルタリングにより制限することができる
アナログFIRフィルタがなかったため、このようにフ
ィルタリングをアナログ処理により実現することができ
るFIRフィルタの発明が要求されていた。
【0045】例えば上記従来例で示したスペクトラム拡
散方式により送信機との間で通信を行う受信機では、上
記図16に示したスライディングコリレータや上記図1
7に示したマッチトフィルタを逆拡散回路に備えること
で受信信号と拡散符号との相関値をアナログ処理により
算出することはできるものの、例えば受信信号をアナロ
グ信号のままフィルタリングにより帯域制限することは
できなかったため、上記したようにアナログ処理により
帯域制限を行うことができるFIRフィルタの開発が望
まれていた。
【0046】また、例えばアナログFIRフィルタによ
りアナログ信号をそのまま処理することで消費電力を小
さくすることや、例えばアナログFIRフィルタにより
プログラマブルに通過帯域を変更することを可能にする
ことや、また、例えばアナログFIRフィルタの処理速
度を高めること等を実現することでアナログ信号のフィ
ルタリングの効率化を図りたいといった要望があった。
【0047】本発明は、このような従来の課題を解決す
るためになされたもので、例えば入力したアナログ信号
をA−D変換器によりデジタル信号に変換しなくとも、
当該アナログ信号の周波数帯域をフィルタリングにより
制限して出力することができるFIRフィルタを提供す
ることを目的とする。更に具体的には、本発明は、例え
ばプログラマブルにアナログ信号の通過帯域を変更する
ことが可能なFIRフィルタを提供することを目的とす
る。また、具体的には、本発明は、例えばアナログ信号
のフィルタリングの処理速度を高めることができるFI
Rフィルタを提供することを目的とする。
【0048】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係るFIRフィルタでは、次のようにし
て、入力したアナログ信号の周波数帯域をフィルタリン
グにより制限して出力する。すなわち、分配手段が入力
したアナログ信号を正相信号と逆相信号とから成る一対
の信号に分配し、分配手段から出力された一対の信号が
フィルタリングのタップ数と同数の乗算部に互いに1サ
ンプル分の時間差をもって入力され、各乗算部が当該一
対の信号の内のいずれか一方の信号のサンプル値をフィ
ルタリングのタップ係数の正負に応じて選択入力して、
選択入力したサンプル値と当該タップ係数の絶対値とを
乗算し、加算器が各乗算部での乗算結果を総和すること
によりフィルタリングしたアナログ信号を出力する。ま
た、上記した各乗算部では、スイッチが前記一対の信号
の内のいずれか一方の信号のサンプル値を選択入力し、
サンプルホールド手段がスイッチにより選択入力したサ
ンプル値を複数の容量の中から前記タップ係数の絶対値
に対応した容量を用いて保持することにより当該サンプ
ル値と当該絶対値とを乗算する。
【0049】このように、本発明に係るFIRフィルタ
では、例えば入力したアナログ信号をA−D変換器によ
りデジタル信号に変換しなくとも、当該アナログ信号の
周波数帯域を制限することができ、これにより、アナロ
グ処理を行う低域通過フィルタや高域通過フィルタ等を
実現することができる。なお、各乗算部が乗算に用いる
タップ係数としては、例えば常に一定の値に設定するこ
ともでき、また、例えば外部からの制御信号等により当
該タップ係数の値を変更することができる構成とするこ
ともでき、後者の構成では、一例として、アナログ信号
の通過帯域を使用状況等に応じてプログラマブルに変更
することを実現することもできる。
【0050】なお、分配手段から出力された一対の信号
がフィルタリングのタップ数と同数の乗算部に互いに1
サンプル分の時間差をもって入力される態様としては、
必ずしも各乗算部に前記一対の信号が互いに1サンプル
分の時間差をもって並列的に入力される態様が用いられ
なくともよく、例えば各乗算部に互いに1サンプル分の
時間差をもったサンプル値を順次入力していき、全ての
乗算部における当該サンプル値とタップ係数との乗算が
終了した後に加算器により乗算結果を総和するといった
態様が用いられてもよい。すなわち、要は、上記したタ
ップ数と同数の乗算部により1回のフィルタリング処理
に用いるタップ数個の時系列的なサンプル値(すなわ
ち、互いに1サンプル分の時間差をもったサンプル値)
を保持して、これらの各サンプル値と各タップ係数とを
乗算することができる構成であればよい。
【0051】また、本発明に係るFIRフィルタでは、
次のようにして、入力したアナログ信号の周波数帯域を
フィルタリングにより制限して出力する。すなわち、乗
算手段が入力したアナログ信号のサンプル値とフィルタ
リングのタップ係数とを乗算し、フィルタリングのタッ
プ数と同数のサンプルホールド部が乗算手段による各タ
ップ係数毎の乗算結果を複数のサンプルホールド回路に
より時系列的に順次保持することを互いに1サンプル分
の時間差をもって行い、加算部が各サンプルホールド部
からタップ数分の連続した乗算結果を抽出して、当該乗
算結果を総和することによりフィルタリングしたアナロ
グ信号を出力する。
【0052】このような構成によっても、本発明に係る
FIRフィルタでは、例えば入力したアナログ信号をA
−D変換器によりデジタル信号に変換しなくとも、当該
アナログ信号の周波数帯域を制限することができる。ま
た、上記したサンプルホールド部中に複数のサンプルホ
ールド回路を設けているため、これら複数のサンプルホ
ールド回路を順次用いて処理を行うことでフィルタリン
グの処理速度を高めることも可能である。なお、上記と
同様に、乗算手段により乗算するタップ係数の値として
は、例えば一定の値に設定することもでき、また、例え
ば当該タップ係数の値を可変にすることもできる。
【0053】なお、フィルタリングのタップ数と同数の
サンプルホールド部が乗算手段による各タップ係数毎の
乗算結果を複数のサンプルホールド回路により時系列的
に順次保持することを互いに1サンプル分の時間差をも
って行う態様としては、要は、加算部が各サンプルホー
ルド部から1回のフィルタリング処理に係るタップ数個
の乗算結果を抽出して総和する場合に、各サンプルホー
ルド部から抽出される乗算結果が互いに1サンプル分の
時間差をもったサンプル値に係る乗算結果であればよ
く、例えば、加算部が1回分のフィルタリング処理を行
うために乗算結果を抽出する元となる各サンプルホール
ド部のサンプルホールド回路に互いに1サンプル分の時
間差をもったサンプル値に係る乗算結果が保持されるよ
うな構成が用いられればよい。
【0054】
【発明の実施の形態】本発明に係る第1実施例を図面を
参照して説明する。図1には、本発明に係るFIRフィ
ルタの一例を示してあり、本例では、このFIRフィル
タは、例えばスペクトラム拡散方式により送信機との間
で通信を行う受信機の逆拡散回路に設けられている。同
図に示したFIRフィルタには、2つの入力端及び2つ
の出力端を有した差動アンプ(増幅器)A1と、タップ
係数の乗算処理を行う複数のタップ係数乗算ブロックB
1〜Bnと、加算処理を行うバッファアンプA2とが備
えられている。
【0055】ここで、タップ係数乗算ブロックB1〜B
nは周波数帯域を制限するフィルタリングのタップ数n
と同数個(n個)備えられており、フィルタリングの各
タップ係数が各タップ係数乗算ブロックB1〜Bnに割
り当てられている。また、各タップ係数乗算ブロックB
1〜Bnの構成はほぼ同様であり、1つのタップ係数乗
算ブロックB1〜Bnの具体的な回路構成例を図2に示
してある。
【0056】差動アンプA1は、フィルタリングの対象
となるアナログ信号を一方の入力端から入力するととも
に、当該アナログ信号の直流レベルと等しい電圧を他方
の入力端から入力し、当該アナログ信号の正相信号を一
方の出力端から出力するとともに、当該アナログ信号の
逆相信号を他方の出力端から出力する機能を有してい
る。
【0057】ここで、本例では、上記した正相信号とし
ては差動アンプA1の前記一方の入力端から入力された
アナログ信号がそのまま出力される一方、上記した逆相
信号としては差動アンプA1の前記一方の入力端から入
力されたアナログ信号を前記他方の入力端から入力され
た直流レベル電圧を基準として反転させた信号が出力さ
れ、これにより、差動アンプA1に入力されたアナログ
信号が正相信号と逆相信号とから成る一対の信号に分配
される。
【0058】また、差動アンプA1でのアナログ信号の
増幅率(ゲイン)としては特に限定はなく、例えば増幅
率が1程度であっても構わない。本例では、上記した差
動アンプA1が入力したアナログ信号の正相信号と逆相
信号とを一対の信号として出力することにより、入力し
たアナログ信号を正相信号と逆相信号とから成る一対の
信号に分配する分配手段が構成されている。
【0059】n個のタップ係数乗算ブロックB1〜Bn
の構成は上記したようにほぼ同様であり、上記図2を用
いて、各タップ係数乗算ブロックB1〜Bnの具体的な
回路構成例を説明する。ここで、各タップ係数乗算ブロ
ックB1〜Bnには、上記した差動アンプA1から出力
された一対の信号が互いに1サンプル分の時間差をもっ
て入力され、本例では、第1のタップ係数乗算ブロック
B1、第2のタップ係数乗算ブロックB2、・・・、第
nのタップ係数乗算ブロックBnの順に前記一対の信号
が入力されるタイミングが互いに1サンプル分遅延させ
られており、また、同様な順序をもってフィルタリング
の各タップ係数が割り当てられている。
【0060】なお、本例では以下に示すように、各タッ
プ係数乗算ブロックB1〜Bnではフィルタリング対象
のアナログ信号から時系列的に複数のサンプル値を抽出
して、抽出した各サンプル値とフィルタリングの各タッ
プ係数とを乗算して出力することが行われ、本例では、
上記した1サンプル分の時間とは例えば或るサンプル値
の抽出を開始してから次のサンプル値の抽出を開始する
までの時間のことをいう。
【0061】また、本例では、差動アンプA1と各タッ
プ係数乗算ブロックB1〜Bnとの間の配線長を調整す
ることにより、前記一対の信号を各タップ係数乗算ブロ
ックB1〜Bnに互いに1サンプル分の時間差をもって
入力する構成を実現しているが、このような時間差を実
現する構成としては特に限定はなく、例えば遅延バッフ
ァ等を用いて当該時間差が実現されてもよい。
【0062】上記図2に示されるように、本例の各タッ
プ係数乗算ブロックB1〜Bnには、タップ係数符号切
替スイッチS1と、8個の乗算用スイッチSW1a〜S
W8aと、一方の電極が接地された9個の容量(例えば
コンデンサ)C0〜C8と、9個の加算用スイッチSW
0、SW1b〜SW8bから成る加算用スイッチ群S2
とが備えられている。
【0063】タップ係数符号切替スイッチS1は、上記
した差動アンプA1から出力された一対の信号の内のい
ずれか一方の信号(すなわち、正相信号と逆相信号との
いずれか一方の信号)を切り替えて入力する機能を有し
ており、また、いずれの信号をも入力しないオフ状態に
切り替えられることもできる。上記したように、本例で
はn個のタップ係数乗算ブロックB1〜Bnのそれぞれ
にフィルタリングの各タップ係数が割り当てられてお
り、各タップ係数乗算ブロックB1〜Bnのタップ係数
符号切替スイッチS1では、当該タップ係数乗算ブロッ
クB1〜Bnに割り当てられたタップ係数の正負に応じ
てスイッチの切り替えを行う。
【0064】具体的には、各タップ係数乗算ブロックB
1〜Bnには例えば当該タップ係数乗算ブロックB1〜
Bnに割り当てられたタップ係数の正負を示す符号制御
信号が外部の制御部等から入力され、一例として、本例
のタップ係数符号切替スイッチS1では、タップ係数が
正の値であることが符号制御信号により通知された場合
にはタップ係数乗算ブロックB1〜Bn内に正相信号の
サンプル値を取り込む一方、タップ係数が負の値である
ことが符号制御信号により通知された場合にはタップ係
数乗算ブロックB1〜Bn内に逆相信号のサンプル値を
取り込む動作を行う。
【0065】また、上記したタップ係数符号切替スイッ
チS1によるスイッチの切替処理は例えば1サンプル分
の時間差毎に行われ、これにより、各タップ係数乗算ブ
ロックB1〜Bnでは1サンプル分の時間差毎に正相信
号或いは逆相信号のいずれかのサンプル値が選択入力さ
れて、当該サンプル値が1個の容量C0及び8個の乗算
用スイッチSW1a〜SW8aへ入力される。本例で
は、上記したタップ係数符号切替スイッチS1が上記し
たように正相信号或いは逆相信号を切り替えてそのサン
プル値を取り込むことにより、入力される一対の信号の
内のいずれか一方の信号のサンプル値をフィルタリング
のタップ係数の正負に応じて選択入力するスイッチが構
成されている。
【0066】8個の乗算用スイッチSW1a〜SW8a
は、上記したタップ係数符号切替スイッチS1により選
択入力された信号のサンプル値をオン・オフ切替して8
個の容量C1〜C8へ出力する機能を有している。本例
では、各タップ係数乗算ブロックB1〜Bnの乗算用ス
イッチSW1a〜SW8aによるスイッチ切替は当該タ
ップ係数乗算ブロックB1〜Bnに割り当てられたタッ
プ係数の絶対値に応じて行われ、具体的には、例えば当
該絶対値を示す8ビットのタップ係数設定信号が外部の
制御部等から入力されることによりスイッチ切替が行わ
れる。
【0067】一例として、本例では9個の容量C0、C
1、C2、・・・C8の各容量値(静電容量値)の比が
1:1:2:4:8:16:32:64:128となる
ように設定されており、この容量比の値を用いて示す
と、8個の乗算用スイッチSW1a〜SW8aのそれぞ
れをオン或いはオフに切り替えることにより、タップ係
数符号切替スイッチS1から選択入力された信号のサン
プル値を保持させる容量値の総和値を1〜256のいず
れかの値に設定することができる。一般に、容量C0〜
C8に蓄積される電荷はその容量値に比例することか
ら、本例では、タップ係数符号切替スイッチS1により
サンプリングされたアナログ信号の電圧値と設定された
総容量値(すなわち、上記容量比を用いて示すと1〜2
56のいずれかの値)との乗算結果に対応した電荷量が
9個の容量C0〜C8の一部或いは全てを用いて蓄積さ
れる。
【0068】このように、本例の各タップ係数乗算ブロ
ックB1〜Bnでは、例えば上記容量比を用いて示す
と、重み付けされた複数の容量C0〜C8によって1〜
256の絶対値と選択入力した信号のサンプル値とを乗
算することができ、また、上記したようにタップ係数符
号切替スイッチS1により選択入力する信号の正負を切
り替えることもできるため、総じて+1〜+256及び
−1〜−256の内のいずれかの値をタップ係数として
設定して、当該タップ係数と選択入力したサンプル値と
を乗算することができる。
【0069】本例では、上記したようにタップ係数符号
切替スイッチS1から選択入力されたサンプル値を乗算
用スイッチSW1a〜SW8aの切替により複数の容量
C0〜C8の中からタップ係数の絶対値に対応した容量
を用いて保持することによって当該サンプル値と当該絶
対値とを乗算することにより、スイッチ(本例ではタッ
プ係数符号切替スイッチS1)により選択入力したサン
プル値を複数の容量の中からタップ係数の絶対値に対応
した容量を用いて保持することにより当該サンプル値と
当該絶対値とを乗算するサンプルホールド手段が構成さ
れている。
【0070】図3には、一例として、フィルタリングの
タップ数nが16である場合における低域通過フィルタ
のタップ係数の設定例をテーブルQ1に示してあり、同
図では上記した容量比と同じ単位で値を示すとともにタ
ップ係数の精度が8ビットである場合を示してある。同
図のテーブルQ1に示した例では、上記したタップ係数
乗算ブロックB1〜Bnは16個備えられ、これら16
個のタップ係数乗算ブロックB1〜Bnに当該テーブル
Q1に示した16個のタップ係数(テーブルQ1中で”
タップ番号”が”0”〜”15”に対応したタップ係
数)が1つずつ割り当てられる。
【0071】また、この場合における各タップ係数乗算
ブロックB1〜Bnでのタップ係数符号切替スイッチS
1や乗算用スイッチSW1a〜SW8aの切替の仕方の
具体例としては、例えば”タップ番号”が”7”に対応
したタップ係数乗算ブロックでは正相信号を選択入力す
るとともに6個の乗算用スイッチSW1a、SW3a、
SW4a、SW5a、SW6a、SW7aをオンにして
+126のタップ係数を設定し、また、例えば”タップ
番号”が”4”に対応したタップ係数乗算ブロックでは
逆相信号を選択入力するとともに1個の乗算用スイッチ
SW5aをオンにして−17のタップ係数を設定する。
【0072】加算用スイッチ群S2に設けられた9個の
各加算用スイッチSW0、SW1b〜SW8bは上記し
た各容量C0〜C8に接続されており、各容量C0〜C
8に保持されたサンプル値をオン・オフ切替してバッフ
ァアンプA2へ出力することにより、各容量C0〜C8
において行われた乗算の結果を当該バッファアンプA2
へ出力する機能を有している。
【0073】本例の各タップ係数乗算ブロックB1〜B
nでは、例えば上記した9個の容量C0〜C8によりサ
ンプル値とタップ係数とが乗算されるとタップ係数符号
切替スイッチS1が一旦オフ状態に切り替えられ、その
後、例えば予め設定された所定時間経過後にバッファア
ンプA2による加算処理を実行させることを指示する加
算信号が外部の制御部等から入力されることにより、当
該加算信号に応じて上記した9個の加算用スイッチSW
0、SW1b〜SW8bが全てオン状態に切り替えら
れ、9個の容量C0〜C8により算出された乗算結果が
バッファアンプA2へ出力される。
【0074】以上のように、本例の各タップ係数乗算ブ
ロックB1〜Bnは、上記した分配手段(本例では差動
アンプA1)から出力された一対の信号が互いに1サン
プル分の時間差をもって入力されて、当該一対の信号の
内のいずれか一方の信号のサンプル値をフィルタリング
のタップ係数の正負に応じて選択入力するとともに、選
択入力したサンプル値と当該タップ係数の絶対値とを乗
算する乗算部を構成しており、乗算した結果をバッファ
アンプA2へ出力することを行う。
【0075】バッファアンプA2は、上記したn個のタ
ップ係数乗算ブロックB1〜Bnから出力されたn個の
乗算結果を入力し、入力した乗算結果を全て加算して総
和値を出力する機能を有しており、具体的には、例えば
1回のフィルタ処理分に係るn個の乗算結果を同時に入
力して、当該乗算結果の総和値を出力することを行う。
これにより、バッファアンプA2から出力される総和値
は、上記差動アンプA1に入力されたフィルタリング対
象のアナログ信号をフィルタリングした後のアナログ信
号となる。
【0076】本例では、上記したバッファアンプA2が
n個のタップ係数乗算ブロックB1〜Bnから出力され
た乗算結果を総和してフィルタリングしたアナログ信号
として出力することにより、上記した各乗算部(本例で
は各タップ係数乗算ブロックB1〜Bn)での乗算結果
を総和することによりフィルタリングしたアナログ信号
を出力する加算器が構成されている。
【0077】以上の構成により、本例のFIRフィルタ
では、例えば入力したアナログ信号をA−D変換器によ
りデジタル信号に変換しなくとも、当該アナログ信号の
周波数帯域をフィルタリングにより制限して出力するこ
とができ、これにより、例えばA−D変換器を用いた場
合に比べて消費電力を低減させることができる。また、
n個のタップ係数乗算ブロックB1〜Bnに設定するフ
ィルタリングのタップ係数の値としては例えば常に一定
の値に設定されていてもよいが、本例のように乗算用ス
イッチSW1a〜SW8aをデジタル制御信号等を用い
て制御するようにすれば、装置の使用状況等に応じてフ
ィルタリングのタップ係数、すなわちアナログ信号の通
過帯域をプログラマブルに変更することが可能な構成と
することもできる。
【0078】なお、一般に、フィルタリングによる通過
特性はタップ数やタップ係数の値や精度等によって決定
され、こうしたタップ数やタップ係数の値や精度等とし
ては、必ずしも本例に示したものに限られず、例えば要
求される通過帯域や精度等といったフィルタリングの特
性に応じて種々な設定が行われてもよい。また、同様
に、フィルタリング対象のアナログ信号から時系列的に
サンプル値を抽出するタイミング等としても、実行する
フィルタリングに応じて種々な態様が用いられてもよ
い。
【0079】また、フィルタリングの通過特性として
も、使用状況等に応じて種々な通過帯域が設定されても
よく、各タップ係数乗算ブロックB1〜Bnに備えられ
る容量の数や容量値としても、要求されるフィルタリン
グの特性等に応じて種々な態様のものが用いられてもよ
い。
【0080】次に、本発明に係る第2実施例を図面を参
照して説明する。なお、本例では、説明の便宜上から、
周波数帯域を制限するフィルタリングのタップ数が4で
ある場合を例として説明する。図4には、本発明に係る
FIRフィルタの一例を示してあり、フィルタリングの
タップ数が4である場合の構成例を示してある。また、
本例では、このFIRフィルタは、例えばスペクトラム
拡散方式により送信機との間で通信を行う受信機の逆拡
散回路に設けられている。
【0081】上記図4に示したFIRフィルタには、乗
算処理を行う4個の乗算器M1〜M4と、乗算器M1〜
M4での乗算結果を保持する16個のサンプルホールド
回路H1〜H16と、加算処理を行う4個の加算器P1
〜P4と、4個の出力用スイッチW1〜W4とが備えら
れている。なお、本例のフィルタリングにおいても、上
記第1実施例の場合と同様に、フィルタリング対象のア
ナログ信号から時系列的に複数のサンプル値を抽出し、
当該各サンプル値(本例では4個の連続したサンプル
値)に各タップ係数(本例では4個の各タップ係数)を
乗算して総和することによりフィルタリング処理を実行
する。
【0082】4個の乗算器M1〜M4の構成はほぼ同様
であり、各乗算器M1〜M4にはフィルタリングの各タ
ップ係数T1〜T4が1つずつ割り当てられている。本
例では、フィルタリング対象となるアナログ信号が第1
〜第4の乗算器M1〜M4に入力され、各乗算器M1〜
M4では入力されたアナログ信号のサンプル値に割り当
てられたタップ係数T1〜T4を乗算して出力すること
を行う。
【0083】図5には、例えば4個の乗算器M1〜M4
に対して共通に設けられた差動アンプ(増幅器)A3
(上記図4では図示せず)と、1個の乗算器M1〜M4
の回路構成例を示してある。差動アンプA3は、2つの
入力端及び2つの出力端を有しており、フィルタリング
の対象となるアナログ信号を一方の入力端から入力する
とともに、当該アナログ信号の直流レベルと等しい電圧
を他方の入力端から入力し、当該アナログ信号の正相信
号を一方の出力端から出力するとともに、当該アナログ
信号の逆相信号を他方の出力端から出力する機能を有し
ている。
【0084】ここで、本例においても、上記第1実施例
の場合と同様に、差動アンプA3の一方の入力端から入
力されたアナログ信号がそのまま正相信号として出力さ
れる一方、当該アナログ信号が他方の入力端から入力さ
れた直流レベル電圧を基準として反転させられた信号が
逆相信号として出力される。なお、差動アンプA3での
アナログ信号の増幅率(ゲイン)としては特に限定はな
く、例えば増幅率が1程度であっても構わない。また、
本例では好ましい態様として、差動アンプA3が4個の
乗算器M1〜M4に対して共通に設けられている構成と
したが、例えば各乗算器M1〜M4毎に別個の差動アン
プが設けられてもよい。
【0085】上記図5に示されるように、本例の各乗算
器M1〜M4には、タップ係数符号切替スイッチS3
と、6個のトランジスタ(例えばMOSトランジスタ)
F1〜F6と、2個の抵抗R1、R2と、デジタル信号
をアナログ信号に変換するデジタル−アナログ(D−
A)変換器1と、定電流源である定電流回路2と、基準
電圧V1、V2等とが備えられている。なお、同図に示
した乗算器M1〜M4の回路中には、説明の便宜上か
ら、5カ所のノードN1〜N5を示してある。
【0086】本例の各乗算器M1〜M4の回路構成で
は、タップ係数符号切替スイッチS3の切替により上記
した差動アンプA3から出力された正相信号或いは逆相
信号が第1トランジスタF1のゲート(”G”)及び第
4トランジスタF4のゲートに入力される構成であり、
また、第1トランジスタF1のソース(”S”)及び第
3トランジスタF3のソースがノードN1により抵抗R
1の一端及び当該乗算器M1〜M4の出力端と接続され
ている一方、第2トランジスタF2のソース及び第4ト
ランジスタF4のソースがノードN2により抵抗R2の
一端と接続されている。また、上記した2つの抵抗R
1、R2の他端は例えば同一の定電圧源Vddに接続さ
れている。
【0087】また、第2トランジスタF2のゲート及び
第3トランジスタF3のゲートは例えば同一の基準電圧
V1と接続されており、第1トランジスタF1のドレイ
ン(”D”)及び第2トランジスタF2のドレインがノ
ードN3により第5トランジスタF5のソースと接続さ
れている一方、第3トランジスタF3のドレイン及び第
4トランジスタF4のドレインがノードN4により第6
トランジスタF6のソースと接続されている。
【0088】また、第5トランジスタF5のゲートとD
−A変換器1とが接続されている一方、第6トランジス
タのゲートと基準電圧V2とが接続されており、第5ト
ランジスタF5のドレイン及び第6トランジスタF6の
ドレインがノードN5により例えばグラウンド(GN
D)に接地された定電流回路2と接続されている。な
お、本例では、上記した2個の抵抗R1、R2としては
同じ抵抗値のものが用いられており、また、第1〜第4
トランジスタF1〜F4としては同じサイズのものが用
いられており、また、第5トランジスタF5と第6トラ
ンジスタF6としては同じサイズのものが用いられてい
る。
【0089】本例では、各乗算器M1〜M4のタップ係
数符号切替スイッチS3には、当該乗算器M1〜M4に
割り当てられたタップ係数の正負を示す符号制御信号が
外部の制御部等から入力され、また、各乗算器M1〜M
4のD−A変換器1には、当該乗算器M1〜M4に割り
当てられたタップ係数の絶対値を示すタップ係数設定信
号がデジタル信号として外部の制御部等から入力され
る。
【0090】タップ係数符号切替スイッチS3は、上記
した符号制御信号により通知されたタップ係数の正負に
応じて切替を行う機能を有しており、一例として、タッ
プ係数が正の値であることが符号制御信号により通知さ
れた場合には正相信号のサンプル値を取り込んで第1及
び第4トランジスタF1、F4のゲートへ出力する一
方、タップ係数が負の値であることが符号制御信号によ
り通知された場合には逆相信号のサンプル値を取り込ん
で第1及び第4トランジスタF1、F4のゲートへ出力
する動作を行う。
【0091】また、D−A変換器1は、上記したタップ
係数設定信号をデジタル信号からアナログ信号へ変換し
て、変換したアナログ信号を第5トランジスタF5のゲ
ートへ出力する機能を有しており、一例として、入力さ
れたタップ係数設定信号により示されたタップ係数の絶
対値に応じた大きさのアナログ信号を第5トランジスタ
F5のゲートへ出力する。
【0092】各乗算器M1〜M4では、上記のようにし
て正相信号と逆相信号とのいずれか一方の信号のサンプ
ル値が入力されるとともに、アナログ化されたタップ係
数設定信号が入力されると、上記した第1トランジスタ
F1や第4トランジスタF4や第5トランジスタF5の
ゲートが制御されることにより、アナログ信号として入
力された正相信号或いは逆相信号のサンプル値とアナロ
グ信号として入力されたタップ係数設定信号とが乗算さ
れて、当該乗算結果がノードN1の出力端から出力され
る。
【0093】なお、上記したタップ係数符号切替スイッ
チS3によるスイッチの切替処理は例えば1サンプル分
の時間差毎に行われ、これにより、各乗算器M1〜M4
では、上記差動アンプA3に入力されたフィルタリング
対象のアナログ信号のサンプル値と当該乗算器M1〜M
4に割り当てられたタップ係数との乗算結果が1サンプ
ル分の時間差毎に出力端から出力される。本例では、上
記のようにアナログ乗算回路から構成された各乗算器M
1〜M4がフィルタリング対象のアナログ信号のサンプ
ル値とタップ係数とを乗算することにより、入力したア
ナログ信号のサンプル値とフィルタリングのタップ係数
とを乗算する乗算手段が構成されている。
【0094】16個のサンプルホールド回路H1〜H1
6は、上記した乗算器M1〜M4により行われたサンプ
ル値毎の乗算結果を保持する機能を有しており、本例で
は、4個の乗算器M1〜M4のそれぞれ(すなわち4個
のタップ係数T1〜T4のそれぞれ)に4個ずつのサン
プルホールド回路H1〜H16が割り当てられている。
具体的には、第1の乗算器M1には第1〜第4のサンプ
ルホールド回路H1〜H4から成る第1サンプルホール
ド部が接続されており、第2の乗算器M2には第5〜第
8のサンプルホールド回路H5〜H8から成る第2サン
プルホールド部が接続されており、第3の乗算器M3に
は第9〜第12のサンプルホールド回路H9〜H12か
ら成る第3サンプルホールド部が接続されており、第4
の乗算器M4には第13〜第16のサンプルホールド回
路H13〜H16から成る第4サンプルホールド部が接
続されている。
【0095】上記した第1サンプルホールド部〜第3サ
ンプルホールド部の構成はほぼ同様であり、例えば第1
サンプルホールド部では第1の乗算器M1から出力され
た乗算結果を第1〜第4のサンプルホールド回路H1〜
H4により時系列的に順次保持することを行う。具体的
に、例えばフィルタリング対象のアナログ信号のサンプ
ル値が時系列的に”D1”、”D2”、”D3”、”D
4”、”D5(=D1)”、”D6(=D2)”、”D
7(=D3)”、D8(=D4)、・・・といった値で
あるとし、第1の乗算器M1に割り当てられたタップ係
数が”T1”であるとすると、上記図4に示されるよう
に、第1サンプルホールド部では、第1のサンプルホー
ルド回路H1、第2のサンプルホールド回路H2、第3
のサンプルホールド回路H3、第4のサンプルホールド
回路H4、第1のサンプルホールド回路H1、・・・と
いった順序(図4中の”データ取込1”〜”データ取込
4”を繰り返す順序)で”D1・T1”、”D2・T
1”、”D3・T1”、”D4・T1”等といった時系
列的な乗算結果を順次保持していくことを行う。
【0096】また、第2サンプルホールド部では、第2
の乗算器M2から出力された乗算結果を第5〜第8のサ
ンプルホールド回路H5〜H8により例えば上記した第
1サンプルホールド部と1サンプル分の時間差をもって
時系列的に順次保持することを行い、具体的には、第2
の乗算器M2に割り当てられたタップ係数が”T2”で
あるとすると、上記図4に示されるように、第2サンプ
ルホールド部では、第6のサンプルホールド回路H6、
第7のサンプルホールド回路H7、第8のサンプルホー
ルド回路H8、第5のサンプルホールド回路H5、第6
のサンプルホールド回路H6、・・・といった順序(図
4中の”データ取込1”〜”データ取込4”を繰り返す
順序)で”D1・T2”、”D2・T2”、”D3・T
2”、”D4・T2”等といった時系列的な乗算結果を
順次保持していくことを行う。
【0097】また、第3サンプルホールド部では、第3
の乗算器M3から出力された乗算結果を第9〜第12の
サンプルホールド回路H9〜H12により例えば上記し
た第1サンプルホールド部と2サンプル分の時間差をも
って(第2サンプルホールド部と1サンプル分の時間差
をもって)時系列的に順次保持することを行い、具体的
には、第3の乗算器M3に割り当てられたタップ係数
が”T3”であるとすると、上記図4に示されるよう
に、第3サンプルホールド部では、第11のサンプルホ
ールド回路H11、第12のサンプルホールド回路H1
2、第9のサンプルホールド回路H9、第10のサンプ
ルホールド回路H10、第11のサンプルホールド回路
H11、・・・といった順序(図4中の”データ取込
1”〜”データ取込4”を繰り返す順序)で”D1・T
3”、”D2・T3”、”D3・T3”、”D4・T
3”等といった時系列的な乗算結果を順次保持していく
ことを行う。
【0098】また、本例では、上記した第1〜第3サン
プルホールド部に備えられた12個のサンプルホールド
回路H1〜H12の構成はほぼ同様であり、1個のサン
プルホールド回路H1〜H12の回路構成例を図6に示
す。同図に示されるように、本例の第1〜第12の各サ
ンプルホールド回路H1〜H12は、サンプルホールド
用スイッチSW11aと、一方の電極が接地された容量
(例えばコンデンサ)C11と、加算用スイッチSW1
1bとから構成されている。
【0099】サンプルホールド用スイッチSW11a
は、例えば乗算器M1〜M3から出力された乗算結果
(図6中の”データ”)をオン・オフ切替して容量C1
1へ出力することにより、当該乗算結果を当該容量C1
1に保持させる機能を有している。また、加算用スイッ
チSW11bは、例えば容量C11に保持された乗算結
果をオン・オフ切替して一の加算器P1〜P4へ出力す
る機能を有しており、本例では、第1、第5、第9サン
プルホールド回路H1、H5、H9からの乗算結果は第
1の加算器P1へ出力され、第2、第6、第10サンプ
ルホールド回路H2、H6、H10からの乗算結果は第
2の加算器P2へ出力され、第3、第7、第11サンプ
ルホールド回路H3、H7、H11からの乗算結果は第
3の加算器P3へ出力され、第4、第8、第12サンプ
ルホールド回路H4、H8、H12からの乗算結果は第
4の加算器P4へ出力される。
【0100】本例では、上記したサンプルホールド用ス
イッチSW11aや加算用スイッチSW11bの切替は
例えば外部の制御部等から制御信号が入力されることに
より制御され、一例として、加算用スイッチSW11b
がオフ状態であるときにサンプルホールド用スイッチS
W11aがオン状態に切り替えられることで乗算結果が
容量C11に保持され、また、その後、サンプルホール
ド用スイッチSW11aがオフ状態に切り替えられて加
算用スイッチSW11bがオン状態に切り替えられるこ
とで容量C11に保持された乗算結果が対応した加算器
P1〜P4へ出力される。なお、本例では、上記図4中
に示した同じデータ取込系列(”データ取込1”〜”デ
ータ取込4”)に属する(すなわち、同一のサンプル値
に係る乗算結果が保持される)サンプルホールド回路で
はサンプルホールド用スイッチSW11aが同時にオン
・オフ切替されて乗算結果が取り込まれる。
【0101】また、上記した第4サンプルホールド部で
は第4の乗算器M4から出力された乗算結果を第13〜
第16のサンプルホールド回路H13〜H16により例
えば上記した第1サンプルホールド部と3サンプル分の
時間差をもって(第3サンプルホールド部と1サンプル
分の時間差をもって)時系列的に順次保持することを行
い、具体的には、例えば第4の乗算器M4に割り当てら
れたタップ係数が”T4”であるとすると、上記図4に
示されるように、第4サンプルホールド部では、第16
のサンプルホールド回路H16、第13のサンプルホー
ルド回路H13、第14のサンプルホールド回路H1
4、第15のサンプルホールド回路H15、第16のサ
ンプルホールド回路H16、・・・といった順序(図4
中の”データ取込1”〜”データ取込4”を繰り返す順
序)で”D1・T4”、”D2・T4”、”D3・T
4”、”D4・T4”等といった時系列的な乗算結果を
順次保持していくことを行う。
【0102】また、本例の第4サンプルホールド部に備
えられた各サンプルホールド回路H13〜H16の構成
はほぼ同様であるが、上記第1〜第3サンプルホールド
部に備えられたサンプルホールド回路H1〜H12の構
成とは異なっており、第4サンプルホールド部に備えら
れた1個のサンプルホールド回路H13〜H16の回路
構成例を図7に示す。
【0103】同図に示されるように、本例の第13〜第
16の各サンプルホールド回路H13〜H16は、サン
プルホールド用スイッチSW12aと一方の電極が接地
された容量(例えばコンデンサ)C12aと加算用スイ
ッチSW12bとから構成された第1保持部と、同様に
サンプルホールド用スイッチSW13aと一方の電極が
接地された容量(例えばコンデンサ)C12bと加算用
スイッチSW13bとから構成された第2保持部とを備
えている。
【0104】各保持部のサンプルホールド用スイッチS
W12a、13aは、例えば乗算器M4から出力された
乗算結果(図7中の”データ”)をオン・オフ切替して
各保持部の容量C12a、C12bに保持させる機能を
有している。また、各保持部の加算用スイッチSW12
b、13bは、例えば各保持部の容量C12a、C12
bに保持された乗算結果をオン・オフ切替して一の加算
器P1〜P4へ出力する機能を有しており、本例では、
第13サンプルホールド回路H13からの乗算結果は第
1の加算器P1へ出力され、第14サンプルホールド回
路H14からの乗算結果は第2の加算器P2へ出力さ
れ、第15サンプルホールド回路H15からの乗算結果
は第3の加算器P3へ出力され、第16サンプルホール
ド回路H16からの乗算結果は第4の加算器P4へ出力
される。
【0105】本例では、上記した各保持部のサンプルホ
ールド用スイッチSW12a、SW13aや加算用スイ
ッチSW12b、13bの切替は例えば外部の制御部等
から制御信号が入力されることにより制御され、第1保
持部と第2保持部とで乗算結果の保持と乗算結果の出力
とを交互に実行することを行う。
【0106】具体的には、例えば第2保持部の容量C1
2bに或るサンプル値に係る乗算結果が保持されている
場合に、第2保持部の加算用スイッチSW13bと第1
保持部のサンプルホールド用スイッチSW12aのみが
オン状態に切り替えられることで、第2保持部の容量C
12bから乗算結果が一の加算器P1〜P4へ出力され
るとともに、次のサイクルの(すなわち、4個分後の)
サンプル値に係る乗算結果が第1保持部の容量C12a
に保持され、全てのスイッチSW12a、SW13a、
SW12b、SW13bが一旦オフ状態に切り替えられ
る。
【0107】また、同様に、上記の切替により第1保持
部の容量C12aに乗算結果が保持されている場合に、
第1保持部の加算用スイッチSW12bと第2保持部の
サンプルホールド用スイッチSW13aのみがオン状態
に切り替えられることで、第1保持部の容量C12aか
ら乗算結果が一の加算器P1〜P4へ出力されるととも
に、次のサイクルの(すなわち、4個分後の)サンプル
値に係る乗算結果が第2保持部の容量C12bに保持さ
れ、全てのスイッチSW12a、SW13a、SW12
b、SW13bが一旦オフ状態に切り替えられる。
【0108】このように、本例では、第4サンプルホー
ルド部の各サンプルホールド回路H13〜H16を2つ
の保持部から構成してあるため、これら各サンプルホー
ルド回路H13〜H16では、乗算結果を保持する処理
と保持した乗算結果を出力する処理とを2つの保持部の
それぞれを用いて交互に実行することで総じて両処理を
同時に行うことができ、これにより、後述するようにフ
ィルタリングの処理速度を高めることができる。
【0109】なお、第4サンプルホールド部において
も、上記した第1〜第3サンプルホールド部の場合と同
様に、上記図4中に示した各データ取込系列(”データ
取込1”〜”データ取込4”)に属する(すなわち、同
一のサンプル値に係る乗算結果が保持される)サンプル
ホールド回路ではサンプルホールド用スイッチ(上記の
ように本例では2個のスイッチSW12a、SW13a
が交互に用いられる)が同時にオン・オフ切替されて乗
算結果が取り込まれる。
【0110】本例では、上記したように第1〜第4サン
プルホールド部が乗算器M1〜M4による各タップ係数
T1〜T4毎の乗算結果を複数のサンプルホールド回路
H1〜H16により時系列的に順次保持することを、例
えば1回分のフィルタリング処理に対応した4個のサン
プルホールド回路(例えばサンプルホールド回路H1、
H5、H9、H13等)では互いに1サンプル分の時間
差をもって行うことにより、乗算手段(本例では乗算器
M1〜M4)による各タップ係数毎の乗算結果を複数の
サンプルホールド回路により時系列的に順次保持するこ
とを互いに1サンプル分の時間差をもって行うタップ数
と同数のサンプルホールド部が構成されている。
【0111】4個の各加算器P1〜P4は、第1〜第4
サンプルホールド部から入力された1回分のフィルタリ
ング処理に係るタップ数分(本例では4個)の連続した
乗算結果を全て加算して総和値を出力する機能を有して
おり、本例では、各加算器P1〜P4の出力端には各出
力用スイッチW1〜W4が接続されており、各加算器P
1〜P4により算出された総和値は各出力用スイッチW
1〜W4がオン状態に切り替えられることでフィルタリ
ングしたアナログ信号として出力される。なお、本例で
は、各出力用スイッチW1〜W4の切替は例えば外部の
制御部等から制御信号が入力されることにより制御され
る。
【0112】本例では、上記したように4個の加算器P
1〜P4が第1〜第4サンプルホールド部からタップ数
分の連続した乗算結果を抽出して当該乗算結果を総和し
て出力することにより、各サンプルホールド部からタッ
プ数分の連続した乗算結果を抽出し、当該乗算結果を総
和することによりフィルタリングしたアナログ信号を出
力する加算部が構成されている。
【0113】上記したように、本例では、第1、第5、
第9、第13のサンプルホールド回路H1、H5、H
9、H13から出力された乗算結果が第1の加算器P1
により総和され、第2、第6、第10、第14のサンプ
ルホールド回路H2、H6、H10、H14から出力さ
れた乗算結果が第2の加算器P2により総和され、第
3、第7、第11、第15のサンプルホールド回路H
3、H7、H11、H15から出力された乗算結果が第
3の加算器P3により総和され、第4、第8、第12、
第16のサンプルホールド回路H4、H8、H12、H
16から出力された乗算結果が第4の加算器P4により
総和される。
【0114】また、本例では、4個の加算器P1〜P4
による加算処理が例えば互いに1サンプル分の時間差を
もって繰り返して行われ、具体的には、第1のサンプル
ホールド回路H1等により乗算結果が取り込まれる”デ
ータ取込1”の処理が終了すると第1のサンプルホール
ド回路H1等から第1の加算器P1へ乗算結果が出力さ
れ、同様に、第2のサンプルホールド回路H2等により
乗算結果が取り込まれる”データ取込2”の処理が終了
すると第2のサンプルホールド回路H2等から第2の加
算器P2へ乗算結果が出力され、第3のサンプルホール
ド回路H3等により乗算結果が取り込まれる”データ取
込3”の処理が終了すると第3のサンプルホールド回路
H3等から第3の加算器P3へ乗算結果が出力され、第
4のサンプルホールド回路H4等により乗算結果が取り
込まれる”データ取込4”の処理が終了すると第4のサ
ンプルホールド回路H4等から第4の加算器P4へ乗算
結果が出力され、更に、再び上記した”データ取込1”
の処理に戻って以上の処理を繰り返すといった手順で上
記図6や上記図7に示した各サンプルホールド回路H1
〜H16のサンプルホールド用スイッチSW11a、S
W12a、SW13aや加算用スイッチSW11b、S
W12b、SW13bが制御される。
【0115】このような本例の処理手順を用いた場合に
は、第4サンプルホールド部に備えられた各サンプルホ
ールド回路H13〜H16では、例えば保持した乗算結
果を加算器P1〜P4へ出力して総和値を得る処理と次
のサイクルのサンプル値に係る乗算結果を乗算器M4か
ら入力して保持する処理とが同時に重なってしまうこと
が生じるため、これらの処理を同時に行うことができる
構成とするのが好ましく、本例では、上記したように第
4サンプルホールド部の各サンプルホールド回路H13
〜H16を2つの保持部から構成することにより、こう
した同時処理を実現してフィルタリング処理の速度を高
めることを実現している。
【0116】なお、本例の第1〜第3サンプルホールド
部では保持した乗算結果を加算器P1〜P4へ出力する
処理と次のサイクルのサンプル値に係る乗算結果を入力
して保持する処理とを同時に行う必要は生じないため、
本例では、第4サンプルホールド部の各サンプルホール
ド回路H13〜H16のみを2つの保持部から構成して
いる。
【0117】以上の構成により、本例のFIRフィルタ
では、例えば入力したアナログ信号をA−D変換器によ
りデジタル信号に変換しなくとも、当該アナログ信号の
周波数帯域をフィルタリングにより制限して出力するこ
とができる。また、本例のFIRフィルタでは、上記し
たように複数のサンプルホールド回路H1〜H16をマ
トリクス状に配列して第4サンプルホールド部の各サン
プルホールド回路H13〜H16に2つの保持部を設け
る等しているため、フィルタリング処理を複数のサンプ
ルホールド部や複数の加算器P1〜P4を用いて高速に
実行することができる。
【0118】なお、図8のテーブルQ2には、本例のF
IRフィルタによりフィルタリング処理して出力される
アナログ信号の具体例を示してあり、このテーブルQ2
には、例えば各サンプルホールド回路H1〜H16に全
く乗算結果が保持されていない状態からの”出力順序”
と、本例のFIRフィルタによりフィルタリング処理さ
れたアナログ信号の出力値(”FIRフィルタ出力
値”)と、当該出力値が4個の加算器P1〜P4の内の
いずれの加算器P1〜P4の系列(上記図4中の”加算
1”〜”加算4”)で算出されたものであるかといっ
た”出力加算系列”とを対応させて示してある。
【0119】また、同図のテーブルQ2では、上記した
ようにフィルタリング対象のアナログ信号のサンプル値
が時系列的に”D1”、”D2”、”D3”、”D
4”、”D5(=D1)”、”D6(=D2)”、”D
7(=D3)”、D8(=D4)、・・・といった値で
あるとするとともに、第1〜第4の各乗算器M1〜M4
に割り当てられたタップ係数が”T1”〜”T4”であ
るとしており、このテーブルQ2に示されるように、例
えば最初の3回分の出力値では未だタップ数分(4個)
の連続したサンプル値に係る乗算結果がそろっていない
が、4回目以降の出力順序ではタップ数分の連続した乗
算結果を用いてフィルタリング処理を行った出力値を得
ることができる。
【0120】また、本第2実施例では、上記した4個の
乗算器M1〜M4を用いてアナログ信号のサンプル値と
タップ係数とを乗算する乗算手段を構成したが、こうし
た乗算器M1〜M4を備えずに、例えば上記第1実施例
の図2に示したものと同様な構成を各サンプルホールド
回路H1〜H16に適用して、こうした各サンプルホー
ルド回路H1〜H16によりアナログ信号のサンプル値
とタップ係数とを乗算する乗算手段を構成することもで
きる。
【0121】図9には、上記図2に示したものと同様な
構成を第1〜第3サンプルホールド部の各サンプルホー
ルド回路H1〜H12に適用した場合の1つのサンプル
ホールド回路H1〜H12の構成例と、例えば各サンプ
ルホールド部毎に共通に設けられた差動アンプA4とを
示してある。差動アンプA4は、例えば上記図5に示し
た差動アンプA3と同様に、フィルタリングの対象とな
るアナログ信号と当該アナログ信号の直流レベルと等し
い電圧とを入力し、当該アナログ信号の正相信号と逆相
信号とを出力する機能を有している。
【0122】また、各サンプルホールド回路H1〜H1
2は、例えば上記図2に示したものと同様に、タップ係
数符号切替スイッチS4と、8個の乗算用スイッチSW
21a〜SW28aと、一方の電極が接地された9個の
容量(例えばコンデンサ)C0a、C21〜C28と、
9個の加算用スイッチSW0a、SW21b〜SW28
bから成る加算用スイッチ群とから構成される。
【0123】このような構成では、例えば上記図6に示
したサンプルホールド用スイッチSW11aに対応した
タップ係数符号切替スイッチS4が符号制御信号に応じ
て切り替えられることにより、各サンプルホールド回路
H1〜H16に割り当てられたタップ係数の正負に対応
した正相信号或いは逆相信号のサンプル値が各サンプル
ホールド回路H1〜H16に取り込まれ、また、例えば
8個の乗算用スイッチSW21a〜SW28aが8ビッ
トのタップ係数設定信号に応じて切り替えられることに
より、取り込まれたサンプル値が各サンプルホールド回
路H1〜H16に割り当てられたタップ係数の絶対値に
対応した容量C0a、C21〜C28を用いて保持され
る。
【0124】また、例えば9個の容量C0a、C21〜
C28に容量値の重み付けが行われていることにより上
記のようにして保持されたサンプル値とタップ係数の絶
対値とが乗算され、当該乗算後に、例えば上記図6に示
した加算用スイッチSW11bに対応した9個の加算用
スイッチSW0a、SW21b〜SW28bが8ビット
の加算信号に応じてオン状態に切り替えられることによ
り、乗算結果が対応した加算器P1〜P4へ出力され
る。なお、タップ係数符号切替スイッチS4や加算用ス
イッチSW0a、SW21b〜SW28bの切替タイミ
ングとしては、例えば上記図6に示したサンプルホール
ド用スイッチSW11aや加算用スイッチSW11bと
同様な切替タイミングが用いられる。
【0125】また、上記図9に示したサンプルホールド
回路と同様な構成を第4サンプルホールド部の各サンプ
ルホールド回路H13〜H16に適用することもでき、
この場合には、これら各サンプルホールド回路H13〜
H16には、例えば上記図9に示した各スイッチS4、
SW21a〜SW28a、SW0a、SW21b〜SW
28bや9個の容量C0a、C21〜C28から成る保
持部が2組設けられる。また、これら2組の保持部に備
えられたタップ係数符号切替スイッチS4や加算用スイ
ッチSW0a、SW21b〜SW28bの切替タイミン
グとしては、例えば上記図7に示した2つの保持部のサ
ンプルホールド用スイッチSW12a、SW13aや加
算用スイッチSW12b、SW13bと同様な切替タイ
ミングが用いられる。
【0126】ここで、本第2実施例においても、上記第
1実施例の場合と同様に、乗算手段に設定されるフィル
タリングのタップ係数の値としては、例えば常に一定の
値に設定されていてもよいが、本例のようにデジタル制
御信号等を用いて制御することにより、装置の使用状況
等に応じてフィルタリングのタップ係数、すなわちアナ
ログ信号の通過帯域をプログラマブルに変更することが
可能な構成とすることもできる。
【0127】また、フィルタリングのタップ数やタップ
係数の値や精度等としても、必ずしも本第2実施例に示
したものに限られず、例えば要求されるフィルタリング
の特性に応じて種々な設定が行われてもよい。また、同
様に、フィルタリング対象のアナログ信号から時系列的
にサンプル値を抽出するタイミング等としても、実行す
るフィルタリングに応じて種々な態様が用いられてもよ
い。また、フィルタリングの通過特性としても、使用状
況等に応じて種々な通過帯域が設定されてもよく、各サ
ンプルホールド部中に備えられる複数のサンプルホール
ド回路の数や各サンプルホールド回路中に備えられる容
量の容量値等としても、要求されるフィルタリングの特
性等に応じて種々な態様のものが用いられてもよい。
【0128】以上の第1実施例や第2実施例で示したよ
うに、本発明では、従来実現されていなかったアナログ
FIRフィルタを実現することができる。一例として、
以上の実施例のように本発明に係るFIRフィルタをス
ペクトラム拡散方式により送信機との間で通信を行う受
信機の逆拡散回路に設けることにより、当該受信機で
は、送信機から受信したアナログ信号をA−D変換器に
よりデジタル化しなくとも、当該アナログ信号の周波数
帯域を制限することができることから、効率的なフィル
タリング処理を実現することができる。また、この場合
には、例えば拡散符号の各チップに対応した受信信号部
分からフィルタリング処理に用いる各サンプル値を抽出
するといったように、1サンプル分の時間差として拡散
符号の1チップ分の時間差を用いてフィルタリング処理
を行うこともできる。
【0129】なお、本発明のFIRフィルタは、必ずし
もスペクトラム拡散の分野に適用可能なばかりでなく、
アナログ信号の周波数帯域をフィルタリングにより制限
することが行われる種々な分野に適用することもでき
る。
【0130】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るFI
Rフィルタによると、例えば入力したアナログ信号をデ
ジタル信号に変換することなく、当該アナログ信号の周
波数帯域をフィルタリングにより制限して出力すること
ができるため、アナログ信号のフィルタリング処理の効
率化を図ることができる。また、例えばアナログ信号の
通過帯域をプログラマブルに変更することが可能な構成
とすることもでき、また、例えば上記第2実施例で示し
たような構成を用いることにより、フィルタリング処理
の効率化を更に図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るFIRフィルタの構
成例を示す図である。
【図2】タップ係数乗算ブロックの構成例を示す図であ
る。
【図3】タップ係数の設定例を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るFIRフィルタの構
成例を示す図である。
【図5】乗算器の構成例を説明するための図である。
【図6】サンプルホールド回路の一構成例を示す図であ
る。
【図7】サンプルホールド回路の他の構成例を示す図で
ある。
【図8】FIRフィルタからの出力値の一例を示す図で
ある。
【図9】サンプルホールド回路の他の構成例を説明する
ための図である。
【図10】従来のスライディングコリレータの構成例を
示す図である。
【図11】従来の対称型FIRフィルタの構成例を示す
図である。
【図12】対称型FIRフィルタの他の構成例を示す図
である。
【図13】2つの対称型FIRフィルタを比較した例を
示す図である。
【図14】従来のアナログマッチトフィルタの構成例を
示す図である。
【図15】スライディングコリレータの他の構成例を示
す図である。
【図16】スライディングコリレータの他の構成例に係
る回路構成例を示す図である。
【図17】アナログマッチトフィルタの他の構成例を示
す図である。
【符号の説明】
A1、A3、A4・・差動アンプ、 B1〜Bn・・タ
ップ係数乗算ブロック、A2・・バッファアンプ、S
1、S3、S4・・タップ係数符号切替スイッチ、SW
1a〜SW8a、SW21a〜SW28a・・乗算用ス
イッチ、C0〜C8、C11、C12a、C12b、C
0a、C21〜C28・・容量、SW0、SW1b〜S
W8b、SW11b〜SW13b、SW0a、SW21
b〜SW28b・・加算用スイッチ、S2・・加算用ス
イッチ群、 M1〜M4・・乗算器、H1〜H16・・
サンプルホールド回路、 P1〜P4・・加算器、W1
〜W4・・出力用スイッチ、 F1〜F6・・トランジ
スタ、R1、R2・・抵抗、 V1、V2、Vdd・・
電圧、 1・・D−A変換器、2・・定電流回路、 N
1〜N5・・ノード、SW11a〜SW13a・・サン
プルホールド用スイッチ、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本間 聖人 東京都中野区東中野三丁目14番20号 国際 電気株式会社内 (72)発明者 金野 善行 東京都中野区東中野三丁目14番20号 国際 電気株式会社内 (72)発明者 加藤 寿 秋田県南秋田郡天王町天王字長沼64 アキ タ電子株式会社内 Fターム(参考) 5J098 AA14 AB02 AB25 AB27 AC03 AC05 AC10 AC20 AD14 CA01 CA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力したアナログ信号の周波数帯域をフ
    ィルタリングにより制限して出力するFIRフィルタで
    あって、 入力したアナログ信号を正相信号と逆相信号とから成る
    一対の信号に分配する分配手段と、 分配手段から出力された一対の信号が互いに1サンプル
    分の時間差をもって入力されて、当該一対の信号の内の
    いずれか一方の信号のサンプル値をフィルタリングのタ
    ップ係数の正負に応じて選択入力し、選択入力したサン
    プル値と当該タップ係数の絶対値とを乗算するタップ数
    と同数の乗算部と、 各乗算部での乗算結果を総和することによりフィルタリ
    ングしたアナログ信号を出力する加算器と、を備え、 各乗算部は、前記一対の信号の内のいずれか一方の信号
    のサンプル値を選択入力するスイッチと、スイッチによ
    り選択入力したサンプル値を複数の容量の中から前記タ
    ップ係数の絶対値に対応した容量を用いて保持すること
    により当該サンプル値と当該絶対値とを乗算するサンプ
    ルホールド手段と、から構成されたことを特徴とするF
    IRフィルタ。
  2. 【請求項2】 入力したアナログ信号の周波数帯域をフ
    ィルタリングにより制限して出力するFIRフィルタで
    あって、 入力したアナログ信号のサンプル値とフィルタリングの
    タップ係数とを乗算する乗算手段と、 乗算手段による各タップ係数毎の乗算結果を複数のサン
    プルホールド回路により時系列的に順次保持することを
    互いに1サンプル分の時間差をもって行うタップ数と同
    数のサンプルホールド部と、 各サンプルホールド部からタップ数分の連続した乗算結
    果を抽出し、当該乗算結果を総和することによりフィル
    タリングしたアナログ信号を出力する加算部と、 を備えたことを特徴とするFIRフィルタ。
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