JP2000056158A - サファイア導波管の製造方法およびサファイア導波管 - Google Patents

サファイア導波管の製造方法およびサファイア導波管

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JP2000056158A
JP2000056158A JP21584799A JP21584799A JP2000056158A JP 2000056158 A JP2000056158 A JP 2000056158A JP 21584799 A JP21584799 A JP 21584799A JP 21584799 A JP21584799 A JP 21584799A JP 2000056158 A JP2000056158 A JP 2000056158A
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Jonathan Heffernan
ヘファナン ジョナサン
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一な厚さを有する薄膜を製造し、さらに、
イオン注入技術を使用して低損失導波管を製造するこ
と。 【解決手段】 基板上にアルミニウムを含む層を配置す
る工程と、アルミニウムを含む層をα−Al23からな
る層に変換する工程と、を包含し、1つ以上の導波管を
規定する工程をさらに包含する、サファイア導波管の製
造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サファイア導波管
の製造方法、特に固体結晶レーザなどの光学デバイスに
おいて使用されるサファイア導波管の製造方法に関す
る。本発明はまた、サファイア導波管、特に半導体基板
上に配置されたサファイア導波管を備える光学デバイス
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に導波管は、所定波長の光が導波管
材料の長さ方向に沿って伝搬できるように幅および厚さ
が選択された導波管材料から構成される。導波管材料よ
りも低い屈折率を有する第2の材料が導波管材料を取り
囲む。導波管材料に沿って伝搬する光のうち、導波管材
料の境界に斜めに入射する光は、全反射するので導波管
材料内に閉じ込められる。
【0003】レーザデバイスは、1対のエネルギー準位
の間で「反転分布」を得ることができる光学材料を含
む。熱平衡状態において、占有は常に、高いエネルギー
準位よりも低いエネルギー準位の方が多い。これに対
し、高いエネルギー準位の占有が低いエネルギー準位の
占有よりも多い場合を、反転分布という。公知のレーザ
システムが多く存在する。その例として、アルゴンイオ
ンガスレーザなどのガスレーザ、ルビー結晶またはチタ
ンサファイア結晶を使用する固体レーザ、および半導体
レーザなどがある。
【0004】固体レーザは、図1(a)に模式的に示さ
れるような結晶レーザロッド1を基本とする。ホスト結
晶は、異物原子でドーピングされ、ホスト結晶中の電子
エネルギー準位が増加する。適切なホスト結晶の一例
は、サファイア(α−Al23)である。サファイアホ
スト結晶に対して適切なドーパントの例は、チタン(チ
タンサファイアを生成する)またはクロム(ルビーを生
成する)などの金属である。
【0005】固体結晶レーザにおけるレーザ作用は、図
1(b)に模式的に示される。これは、ホスト結晶をド
ーピングすることによってホスト結晶中に導入された3
つのエネルギー準位A、B、およびCを示す。光学励起
において、ドーピングされた結晶が外部の光源からエネ
ルギーを吸収し、原子は基底(最低)エネルギー準位A
から最高エネルギー準位Cに励起される。励起された原
子は、光子を放射して中間エネルギー準位Bへ急速に緩
和する。その後、光子を放射して基底エネルギー準位A
に減衰する。エネルギー準位Bからの光子放出が比較的
ゆっくりと起こり、かつ外部光源の強度が十分であるな
らば、結晶性ホスト中のドーパント原子の2つのエネル
ギー準位AおよびBの間で反転分布が起こり得る。これ
によって、レーザ作用を生じることが可能となる。
【0006】固体結晶レーザは一般に、ドーピング量が
大きい。典型的には、ドーパント濃度は約1019cm-3
である。この高レベルのドーピングは、レーザ作用を生
じ得る非常に多くの電子エネルギー準位を生じるので、
この場合のレーザ光は、広いレーザスペクトルを有す
る。例えば、チタンがドーピングされたサファイア結晶
を基にしたレーザは、約700nmから1100nmの
レーザスペクトルを有することができる。固体結晶レー
ザには、例えば数ワットもの高出力を有し得るものがあ
る。
【0007】固体レーザ結晶は一般に、結晶の「シー
ド」を使用して融解物から成長させる(例えば、A.
W.Vere、「Crystal Growth」、P
lenum Press(New York)、198
7に記載される)。チタンサファイアレーザ結晶は、ア
モルファスまたは多結晶の酸化アルミニウム(Al
23)および酸化チタンの混合物を融解することによっ
て成長させ得る。少量の「シード」結晶状のAl23
融解物中に導入し、次にそれを引き出す。融解物からシ
ード結晶を引き出すと融解物から融解した材料が引き出
される。材料は凝固して結晶ロッドを生成する。次にロ
ッドは、冷却され、所定形状に切断され、そして研磨さ
れる。典型的な固体レーザ結晶は、数立方センチメート
ルの体積である。しかし、この方法を使用して結晶の大
量生産を行うことは、困難である。
【0008】固体結晶レーザは、周知であり、例えば、
Amnon Yariv、「Optical Elec
tronics」、出版社Holt、Rinehart
and Winston(New York)198
5、に記載される。
【0009】図2(a)は、半導体レーザの模式図であ
る。半導体レーザ10は、半導体基板11上に配置され
たレーザ活性領域12からなる。レーザ光は、このデバ
イスの活性領域において生成される。導波管構造体、例
えば図2(a)に示されるようなリッジ導波管13は、
活性領域12において生成されたレーザ光を閉じ込める
ために提供される。レーザ共振器は、導波管13および
導波管端面によって規定される。
【0010】図2(b)に示されるように、半導体レー
ザの活性領域において生成されたレーザ光は、伝導帯と
価電子帯との間の半導体材料のバンドギャップを間の遷
移によって生じる。バンドギャップを間の光学遷移は、
伝導帯の電子が価電子帯の正孔と再結合する場合に起き
る。光学利得が生じるのは、伝導帯の電子密度および価
電子帯の正孔密度が、反転分布を起こすのに十分なほど
に高い場合である。電子および正孔は、種々の手段によ
って半導体材料のエネルギー帯へ注入され得る。このう
ち最も一般なものは、光学注入(すなわち、外部光の吸
収による)および電気的注入である。
【0011】半導体レーザにおいてレーザ作用を得るた
めには、約1018cm-3のキャリア密度が必要である。
半導体においてより高いキャリア密度で起こる他のプロ
セス(キャリアによって誘発される熱、または密度に依
存する再結合寿命時間など)のために、半導体レーザの
レーザスペクトルは一般に、ほんの数nmである。半導
体レーザの出力は一般に、結晶レーザの出力よりも小さ
い。
【0012】半導体レーザの主な利点は、大きさが小さ
いこと(長さが1mmより小さい)、およびコストが低
いことである。半導体レーザは、大量生産が可能であ
り、したがって安価である。直径15cmまでの半導体
ウエハが公知の半導体エピタキシャル成長方法によって
生成できる。次に各ウエハは、何十万個もの個々のレー
ザを形成するように加工され得る(典型的なレーザの面
積は、ほんの2×10-5cm2である)半導体レーザ
は、例えば光学的記憶装置(CDプレーヤー中のものな
ど)、光通信、およびバーコード読み取り器中のものな
どの小型で安価なレーザシステムを必要とする他の用途
において広く使用される。
【0013】半導体レーザの利点(小型サイズ、大量生
産/大量加工の可能性、低コスト)と固体結晶レーザの
利点(大きな波長同調範囲および高出力)とを組み合わ
せたレーザの製造が所望される。このようなレーザに対
する多くの用途が想定できる。例えば、大きなスペクト
ル同調範囲は、通信システム、波長選択的光学的記憶装
置システム、広帯域レーザ出力に基づく視覚表示、また
は分光学および光学検出のための同調可能な供給源にお
ける波長分割多重化において適用され得る。高出力レー
ザ供給源は、とりわけ医療物理学において適用可能性が
ある。
【0014】図3は、半導体レーザの特性と固体結晶レ
ーザの特性とを組み合わせたハイブリッドレーザシステ
ムを得るための簡単なアプローチの模式図である。この
模式図において、半導体レーザ10によって出力された
レーザ光は、固体レーザ結晶のレーザ結晶ロッド1中へ
導入される。半導体レーザ10からのレーザ放射は、結
晶レーザ内の電子を光学的に励起させることによって固
体結晶レーザ内に反転分布を生成させるために使用され
る。これは、半導体レーザからの単一波長レーザ発光を
結晶レーザの広帯域発光に変換するという効果を有す
る。
【0015】図3において、半導体レーザ10および固
体結晶レーザ1は、レンズ15を使用して光学的に互い
に結合される。あるいは、固体レーザ結晶を半導体レー
ザデバイスの面に単に接着させてもよい。しかし、これ
らの方法はどちらも、固体結晶レーザおよび半導体レー
ザの従来の製造方法を使用して、固体結晶レーザおよび
半導体レーザを別個に製造することが必要である。した
がって、固体結晶レーザの製造に関する上記不利点がま
だ存在する。
【0016】固体結晶レーザの製造を、光学的に活性な
結晶材料からなる薄層を成長させることによって簡単化
する試みが数多くなされてきた。R.Chartier
ら、「Optics Letters」Vol17 N
o.11、1992年6月1日には、液相エピタキシ
(LPE)によってYAG基板上にNd:YAG(ネオ
ジミウムをドーピングしたイットリウムアルミニウムガ
ーネット)からなる薄層の製造方法が開示される。ま
た、M.Ezakiら、「Japanese Jour
nal of Applied Physics」Vo
l34、6838−6841ページ、1995には、単
結晶SiおよびMgOなどの基板上、ならびにYAGウ
エハ上にもパルスレーザ蓄積によってNd:YAGから
なる薄層を成長させることが開示される。S.J.Fi
eldら、「ElectronicsLetters」
第27巻、2375−6ページ、1991には、イオン
注入によるNd:YAG中の導波管の製造が開示され
る。したがって、薄膜固体結晶レーザを得る。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記参考資料
において記載される技術によって、均一な厚さを有する
薄膜を製造することは困難である。さらに、イオン注入
技術を使用して低損失導波管を製造することは困難であ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の局面によ
ると、基板上にアルミニウムを含む層を配置する工程
と、アルミニウムを含む層をα−Al23からなる層に
変換する工程と、を包含し、1つ以上の導波管を規定す
る工程をさらに包含する、サファイア導波管の製造方法
が提供される。
【0019】アルミニウムを含む層は、分子線エピタキ
シャル成長法(MBE)などの高純度エピタキシャル成
長処理によって、または有機金属気相エピタキシャル成
長法(MOVPE)によって成長させることができる。
したがって、アルミニウムを含む層は、非常に純度が高
く、層の厚みは極めて均一である(数原子の層内ま
で)。このような純度および厚みの均一性は、酸化およ
びアニールする工程によって生成される対応するサファ
イア層にある程度「移行される」。さらに、導波管は、
公知の半導体加工技術を使用して規定され得る。
【0020】本発明の1つの実施態様において、1つ以
上の導波管は、変換工程を行う前に、アルミニウムを含
む層において規定される。あるいは、1つ以上の導波管
がα−Al23層において規定され得る。
【0021】したがって、多くの導波管が1つの基板上
に生成され得る。基板は製造過程の最後に劈開され、個
々のサファイア導波管を生成する。
【0022】本発明の1つの実施態様において、アルミ
ニウムを含む層をα−Al23からなる層に変換する工
程は、アルミニウムを含む層をγ−Al23に酸化する
工程と、γ−Al23をアニールし、α−Al23から
なる層を生成する工程とを包含し得る。酸化工程は、H
2Oを含む雰囲気下で行うのがよい。酸化工程は、約4
00℃の基板温度で行うのがよい。これは、K.D.C
hoquette、「IEEE Photonics
Technical Letters」Vol7、N
o.11、1237−1239ページ(1995)に記
載の「ウエット酸化」の技術であり、安定したAl23
を層を生成するようにアルミニウムを含む層を酸化する
信頼できる方法である。アルミニウムを含む層の従来の
「ドライ」酸化は、不安定な酸化物を生成することがよ
くある。
【0023】本発明の1つの実施態様において、アルミ
ニウムを含む層のアルミニウムのモル分率は、アルミニ
ウムを含む層の厚さ全体において変化し得る。これによ
り、得られたサファイア導波管において屈折率が変化す
るようになる。
【0024】本発明の1つの実施態様において、アルミ
ニウムを含む層のアルミニウムのモル分率は、アルミニ
ウムを含む層と基板との間の界面において最大値とな
る。これにより、界面から離れるほど得られたサファイ
ア導波管の屈折率が増加するようになり、サファイア導
波管において垂直導波を与える。
【0025】本発明の1つの実施態様において、アルミ
ニウムを含む層は、AlxGa1-xAs層であり得る(A
xGa1-xAsは、簡便のために、以下一般に、「Al
GaAs」と称される)。AlGaAs層は、0.1μ
m〜20μmの厚さを有してもよい。これにより、得ら
れたサファイア導波管は、適切な厚さを有する。
【0026】本発明の1つの実施態様において、AlG
aAs層のアルミニウムのモル分率は、0.5より大き
いのが好ましい。より好ましくは0.8より大きことで
ある。これにより、酸化工程において、AlGaAs層
の十分な領域が確実に酸化される。
【0027】本発明の1つの実施態様において、サファ
イア導波管を製造する方法は、酸化工程が行われる前
に、AlxGa1-xAs層上に別のAlyGa1-yAs層を
配置する工程をさらに包含し得る。層のアルミニウムの
モル分率は、x>yの関係に従ってもよい。これは、得
られたサファイア導波管において屈折率の変化を得るた
めの別の方法である。あるいは、変換工程が行われる前
に、AlxGa1-xAs層上にAlGaAs超格子構造を
配置する工程をさらに包含してもよい。
【0028】本発明の1つの実施態様において、アニー
ル工程は、γ−Al23の選択された部分を加熱する工
程を包含し得る。γ−Al23の選択された部分を電子
ビームまたは電磁波を使用して照射することによって、
選択的加熱工程を行ってもよい。γ−Al23の選択さ
れた部分は、アルミニウムを含む層において規定された
導波管に対応する。
【0029】本発明の1つの実施態様において、サファ
イア導波管を製造する方法は、AlGaAs層を酸化す
る工程の前に、AlGaAs層をドーピングする工程を
さらに包含し得る。あるいは、サファイア導波管を製造
する方法は、AlGaAs層を酸化する工程の後で、γ
−Al23をアニールする工程の前に、γ−Al23
ドーピングする工程をさらに包含してもよい。あるい
は、サファイア導波管を製造する方法は、γ−Al23
をアニールする工程の後にα−Al23をドーピングす
る工程をさらに包含してもよい。これらの追加工程によ
り、例えばレーザ作用を生成することのできるドーピン
グされたサファイア導波管が得られる。
【0030】本発明の第2の局面によると、任意の上記
方法によって生成されるサファイア導波管が提供され
る。
【0031】本発明の第3の局面によると、半導体基板
上に配置されたサファイア導波管を含む光学デバイスが
提供される。半導体基板上にサファイア導波管を形成す
ることは、従来の半導体大量生産技術を導波管の形成に
適用するのを可能にする。半導体加工およびエッチング
は、固体結晶に適用される対応技術に比べて著しく簡単
であり、高度に発展している。基板は、シリコン基板で
もよい。または、基板は炭化ケイ素基板でもよい。
【0032】本発明の1つの実施態様において、サファ
イア導波管は、ドーピングされ得る。ドーパントは、チ
タン、クロム、またはコバルトでもよい。光学デバイス
は、レーザデバイスでもよい。半導体基板上にサファイ
ア結晶を有するレーザを提供することは、図4に模式的
に示されるように、半導体レーザおよび結晶レーザを1
つのデバイスに集積することを可能にする。さらに、半
導体レーザおよび固体結晶レーザの両方を半導体加工技
術によって大量生産することが可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施態様は、付
属の図面を参照して例示的な実施例によって説明され
る。
【0034】図5は、本発明による固体結晶レーザの製
造の1つの実施態様を示す図である。本実施態様におい
て、アルミニウムを含む層は、AlxGa1-xAsからな
る層である。第1の工程において、図5(a)に示すよ
うに、AlxGa1-xAs層21を基板20上に成長させ
る。AlGaAs層21は、例えばMBEなどの任意の
適切なエピタキシャル成長加工によって成長させること
ができる。
【0035】次に、AlGaAs層21は、複数の導波
管22を規定するように加工される。この加工は、例え
ばフォトリソグラフィー、エッチング、または誘電体の
蒸着などの任意の適切な従来の半導体加工技術によって
行われ得る。図5(b)は、導波管を規定する工程後の
基板を示す。
【0036】次の工程は、AlGaAs層をアモルファ
スまたは多結晶Al23(γ−Al 23)に変換する工
程である。本実施態様において、この変換は、K.D.
Choquette、「IEEE Photonics
Technical Letters」Vol7、N
o.11、1237−1239ページ(1995)に記
載の「ウエット酸化」技術によって行われる。この技術
は、エピタキシャルAlGaAs層を約400℃の基板
温度で、H2Oを含む雰囲気下にさらす工程を含む。こ
れにより、ヒ素が酸素に置換されるのでAl23からな
る安定な薄層ができる。この技術は、約90℃まで加熱
された水を介してキャリアガスをバブリングする工程を
含む。これにより、キャリアガスが水分を反応チャンバ
に運ぶ。このように「ウエット酸化」は、H2Oおよび
キャリアガスを含む雰囲気下で行われる。本実施態様に
おいて、窒素がキャリアガスとして使用されるが、反応
チャンバに水分を搬送するどのようなガスでも原理的に
キャリアガスとして使用してもよい。他の可能なキャリ
アガスの例は、水素および酸素である。この結果得られ
たAl23層は、主にアモルファスまたは多結晶γ−A
23である(R.D.Twesten、「Appli
ed Physics Letters」Vol.6
9、No.1、19−21ページ(1996))。
【0037】最後に、γ−Al23は、1100℃より
高い温度で基板をアニールすることによってサファイア
(結晶α−Al23)に変換される。次に基板20は、
複数のサファイア導波管を生成するために劈開される。
【0038】エピタキシャルAlGaAs層21は、任
意の適切な基板上に成長させ得る。基板20は、例えば
シリコン基板または炭化ケイ素(SiC)基板などの半
導体基板でよい。あるいは、基板はサファイア基板でも
よい。
【0039】AlxGa1-xAs層21中のAlのモル分
率(x)は、ウエット酸化工程中でAlGaAs層が十
分に酸化されるのに十分な大きさであることが必要であ
る。アルミニウムのモル分率は、x>0.5であること
が好ましく、特にモル分率がx>0.8であることが好
ましい。
【0040】AlGaAsエピタキシャル層21の厚さ
は、好ましくは0.1μm〜20μmの範囲内であるべ
きである。これにより、結果として得られるサファイア
導波管24は、効率的な導波を与えるのに十分な厚さを
確実に有する。サファイア導波管で使用される光の波長
が既知であるならば、サファイア導波管24の寸法は、
光の波長に対する導波特性を最適にするように選択され
得る。
【0041】γ−Al2323をアニールする工程は、
1100℃以上の温度で行われる。γ−Al23からサ
ファイアへ変換するための最低限の閾値温度が1100
℃であることが観測された。上限温度は、エピタキシャ
ル層の熱安定性、基板の融点、および最終的にはサファ
イア導波管24の融点を含むの多くの因子によって決定
される。例えば、基板20がシリコン基板である場合、
1410℃がシリコンの融点であるので、基板温度がそ
れより低い温度を維持するようにアニール加工を行わな
ければならない。一方、基板20がサファイア基板であ
る場合、サファイアの融点が2015℃であるので、シ
リコン基板に対する温度よりも高い温度でアニール加工
を行い得る。
【0042】γ−Al2323からサファイアへの十分
な変換を確実に行うために、好ましくはアニール加工
は、1〜72時間の範囲内で持続されるべきである。実
際には、1〜10時間の範囲で持続すれば、良好な結果
が得られる。
【0043】γ−Al23をアニールする工程は単に、
基板全体を炉中に設置し、所望のアニール温度に基板を
加熱することによって行われ得る。別の実施態様におい
て、γ−Al23を高エネルギー電子ビームで照射する
ことによってアニールすることができる。電子ビーム
は、基板を隈なく走査することによってサンプル全体を
アニールするように使用され得る。または、例えばエピ
タキシャル層中に規定された導波管などのサンプルの一
部分だけを選択的にアニールするように使用され得る。
【0044】サンプルをアニールするさらに別の方法
は、紫外線レーザビームなどの強力な光学ビームでサン
プルを照射することである。電子ビームでサンプルを照
射する場合、光学ビームの照射は、サンプル全体をアニ
ールするように使用され得るし、または、γ−Al23
の一部分だけを選択的にアニールするように使用され得
る。
【0045】別の実施態様において、導波管21は選択
的アニール工程によって規定される。この工程を用いれ
ば、導波管を規定するための独立の工程が必要でなくな
る。これが可能となるのは、α−Al23(n=1.7
5)の屈折率がγ−Al23(n=1.7)よりも大き
いからである。したがって、導波管の所望の位置に対応
するγ−Al23層の領域だけがアニールされる場合、
α−Al23中を伝搬する光がγ−Al23との境界で
内側に反射するので、アニールされα−Al23となっ
たγ−Al23層の領域は導波管として動作し得る。
【0046】厚さ全体にわたって一定の組成を有するエ
ピタキシャルAlGaAs層21を成長させることが可
能である。しかし、本発明のさらなる実施態様におい
て、AlGaAsエピタキシャル層は、AlGaAs層
のアルミニウムのモル分率がエピタキシャル層20の上
表面へ向かって増加するような傾斜的組成を有する。こ
れは図6に示される。
【0047】傾斜的なアルミニウム含量を有するエピタ
キシャルAlGaAs層21を使用することは、得られ
るサファイア導波管24が、基板20から離れるほど増
加するような傾斜的な屈折率を有することを意味する。
サファイア導波管24における屈折率のこの傾斜は、レ
ーザビームを導波管において垂直方向に閉じ込める(垂
直導波)。
【0048】アルミニウム含量のグレーディングは典型
的には、エピタキシャル層21と基板20との間の界面
の近くにおける高いアルミニウム含量から、エピタキシ
ャル層21の露出表面の近くでの低いアルミニウム含量
までである。例えば、AlGaAsエピタキシャル層
は、基板20との界面におけるAlAs(すなわち、x
=1)から、基板から遠い表面におけるAl0.95Ga
0.05Asまで傾斜的に変化し得る。
【0049】図7は、図6の実施態様を変更したものを
示す。この変更において、AlGaAsエピタキシャル
層21は、アルミニウム含量の変化する一連のAlGa
As層からなる多層構造または超格子構造によって置き
換えられる。図6の実施態様と同じ垂直導波効果を得る
ために、AlGaAs層のアルミニウム含量は、基板と
の界面の近くで高く、界面から離れるにしたがって減少
すべきである。
【0050】図5(a)〜5(d)を参照して上述され
た方法において、サファイア導波管24に光学活性を与
えるドーパントは、エピタキシャル層自体の成長中にエ
ピタキシャルAlGaAs層中に導入され得る。しか
し、ドーパントは、製造方法の他の段階において導入さ
れ得る。例えば、AlGaAs層21の成長後に、イオ
ン注入(例えば、M.Bauerら、「Nuclear
Instruments And Methods
In Physics Research」、Vol.
B 65、301ページ(1992)に記載)またはイ
オン交換などの任意の適切な従来技術を使用して、適切
なドーパントをAlGaAs層21に導入できる。ある
いは、ウエット酸化工程の後に、イオン注入またはイオ
ン交換などの適切な従来技術によって、ドーパントをγ
−Al2323に導入できる。さらにあるいは、ウエッ
ト酸化およびアニール工程が完了した後に、例えば、イ
オン注入またはイオン交換などの任意の適切な従来技術
によって、ドーパントをサファイア導波管24に直接的
に導入できる。
【0051】本発明は、固体レーザ結晶において使用す
るためのサファイア導波管の製造に特に関連して記載し
ている。しかし、本発明は、他の目的のためのサファイ
ア導波管の製造に適用可能である。レーザ作用を発生さ
せる必要のないサファイア導波管が要求されるのであれ
ば、例えば、ドーパントを導入する工程は、本明細書中
に記載の方法から省略できる。
【0052】本発明は、好ましい実施態様によって説明
されたが、本発明は、上記の実施態様に限定されない。
例えば、実施態様においてAlGaAs層がアルミニウ
ムを含む初期層として使用されたが、本発明はこの開始
材料に限定されない。アルミニウムを含み、γ−Al2
3を生じるように酸化され得る層であれば、AlGa
Asの代わりにどのような層でも使用できる。別の開始
材料の例は、AlGaInPである。
【0053】上記方法の実施態様は、AlGaAsをα
−Al23に変換するための独立した酸化およびアニー
ル工程を有するが、原理的には、酸化およびアニール工
程を1つの工程に組み合わせることが可能である。この
ようにした場合、組み合わされた酸化およびアニール工
程の間に、Asが脱離され得ないことが望ましい。
【0054】AlGaAsが乾燥した雰囲気下で加熱さ
れる場合、Asは脱離し、不安定なAl23が生成され
る(しかし、AlGaAs層上に、SiO2などのキャ
ップ層を配置することによって、Asの脱離を防止する
ことができる)。Asの脱離は、「ウエット」酸化加工
において発生しないので、安定したγ−Al23層が形
成される。原理的には、水分を含んだ雰囲気下で、Al
GaAsを約1100℃まで加熱し、Asの著しい脱離
が起こる前に層を酸化させるべきである。γ−Al23
は、形成されながら、高温のためにアニールされてα−
Al23を生じる。したがって、AlGaAsは、1工
程でα−Al23に変換される。
【0055】上記実施態様において、導波管はα−Al
23層において規定される。しかし、導波管を規定する
工程は、屈折率変化を層内へ導入する工程を必ず含むの
で、導波管は原理的に、本発明の方法の初期に規定され
得る。導波管を規定するためには、加工の任意の時点で
行われ、α−Al23よりも低い屈折率を有する材料に
よって囲まれたα−Al23からなる領域を最終的に生
成する方法であれば、どのような方法を用いてもよい。
概念的に簡単な方法においては、アルミニウムを含む初
期層から、またはアルミニウムを含むのであれば中間層
から、材料を単に除去することによって導波管は規定さ
れ得、その結果、最終的なα−Al23導波管は空気に
よって囲まれる(空気は、α−Al23よりも屈折率が
低い)。
【0056】サファイア導波管を製造する方法は、基板
(20)上にAlxGa1-xAs(21)からなる層を配
置する工程を含む。導波管(22)は、AlxGa1-x
s層(21)中に規定される。次に、AlxGa1-xAs
層(21)は、アルモファスまたは多結晶Al23(γ
−Al23)(23)に酸化され、これは1100℃の
温度でアニールされ、サファイア(α−Al23)(2
4)からなる層を生成する。次に基板は、個々のサファ
イア導波管に劈開される。レーザ作用を補強する光学活
性なサファイア導波管を必要に応じて生成するために、
本方法の種々の時点でドーパントをサファイア導波管に
導入し得る。
【0057】
【発明の効果】上述したように、本発明によると、サフ
ァイア導波管を製造する方法が提供される。これによ
り、均一な厚さを有する薄膜が製造され、さらに、イオ
ン注入技術を使用して低損失導波管が製造される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、固体結晶レーザの模式図である。
(b)は、(a)の固体結晶レーザにおけるエネルギー
準位の模式図である。
【図2】(a)は、半導体レーザの模式図である。
(b)は、(a)のレーザデバイスのキャリアエネルギ
ー準位の模式図である。
【図3】必要に応じて固体結晶レーザにレーザ光を注入
するための半導体レーザの使用を示す模式図である。
【図4】必要に応じて本発明の固体結晶レーザにレーザ
光を注入するために使用される半導体レーザを示す模式
図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の固体結晶レーザの
製造方法である。
【図6】本発明のさらなる実施態様における、図5
(a)に対応する模式断面図である。
【図7】本発明のさらなる実施態様における、図5
(a)に対応する断面図である。
【符号の説明】
1 結晶レーザロッド 10 半導体レーザ 11 半導体基板 12 レーザ活性領域 13 リッジ導波管 15 レンズ 20 基板 21 エピタキシャルAlGaAs 22 導波管 23 γ−Al23 24 サファイア導波管

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にアルミニウムを含む層を配置す
    る工程と、 該アルミニウムを含む層をα−Al23からなる層に変
    換する工程と、を包含し、 1つ以上の導波管を規定する工程と、をさらに包含す
    る、サファイア導波管の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記変換工程を行う前に、前記1つ以上
    の導波管が前記アルミニウムを含む層において規定され
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記1つ以上の導波管が前記α−Al2
    3からなる層において規定される、請求項1に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウムを含む層をα−Al2
    3からなる層に変換する工程が、 アルミニウムを含む層をγ−Al23に酸化する工程
    と、 該γ−Al23をアニールし、α−Al23からなる層
    を生成する工程と、を包含する、請求項1、2、または
    3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記酸化工程がH2Oを含む雰囲気下で
    行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化工程が約400℃の基板温度で
    行われる、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記アルミニウムのモル分率がアルミニ
    ウムを含む層の厚さ全体において変化する、上記請求項
    のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記アルミニウムのモル分率が前記アル
    ミニウムを含む層と前記基板との間の界面において最大
    値となる、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記アルミニウムを含む層がAlxGa
    1-xAs層である、上記請求項のいずれかに記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 前記AlxGa1-xAs層が0.1μm
    〜20μmの厚さを有する、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 x>0.5である、請求項9または1
    0に記載の方法。
  12. 【請求項12】 x>0.8である、請求項11に記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 前記変換工程が行われる前に、前記A
    xGa1-xAs層上に別のAlyGa1-yAs層を配置す
    る工程をさらに包含する、請求項9〜12のいずれかに
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 x>yである、請求項13に記載の方
    法。
  15. 【請求項15】 前記変換工程が行われる前に、前記A
    xGa1-xAs層上にAlGaAs超格子構造を配置す
    る工程をさらに包含する、請求項9〜12のいずれかに
    記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記アニール工程が前記γ−Al23
    の選択された部分を加熱する工程を包含する、請求項4
    に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記γ−Al23の前記選択された部
    分を電子ビームまたは電磁波を使用して照射することに
    よって、前記選択的加熱工程が行われる、請求項16に
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 変換工程を行う前に、1つ以上の導波
    管が前記アルミニウムを含む層において規定され、前記
    γ−Al23の前記選択された部分が該アルミニウムを
    含む層において規定された導波管に対応する、請求項1
    6または17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記AlGaAs層を酸化する工程の
    前に、該AlGaAs層をドーピングする工程をさらに
    包含する、請求項9〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記AlGaAs層を酸化する工程の
    後で、前記γ−Al 23をアニールする工程の前に、該
    γ−Al23をドーピングする工程をさらに包含する、
    請求項9〜18のいずれかに記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記γ−Al23を前記アニールする
    工程の後に前記α−Al23をドーピングする工程をさ
    らに包含する、請求項9〜18のいずれかに記載の方
    法。
  22. 【請求項22】 上記請求項に記載の方法によって生成
    される、サファイア導波管。
  23. 【請求項23】 半導体基板上に配置されたサファイア
    導波管を備える、光学デバイス。
  24. 【請求項24】 前記基板がシリコン基板である、請求
    項23に記載の光学デバイス。
  25. 【請求項25】 前記基板が炭化ケイ素基板である、請
    求項23に記載の光学デバイス。
  26. 【請求項26】 前記サファイア導波管がドーピングさ
    れる、請求項23、24、または25に記載の光学デバ
    イス。
  27. 【請求項27】 前記ドーパントがチタン、クロム、ま
    たはコバルトである、請求項26に記載の光学デバイ
    ス。
  28. 【請求項28】 前記光学デバイスがレーザデバイスで
    ある、請求項26または27に記載の光学デバイス。
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CN107044247A (zh) * 2017-04-28 2017-08-15 长乐净能新材料科技有限公司 一种吸音门

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