JP2000054809A - エンジンの動弁装置 - Google Patents

エンジンの動弁装置

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JP2000054809A
JP2000054809A JP22281398A JP22281398A JP2000054809A JP 2000054809 A JP2000054809 A JP 2000054809A JP 22281398 A JP22281398 A JP 22281398A JP 22281398 A JP22281398 A JP 22281398A JP 2000054809 A JP2000054809 A JP 2000054809A
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acceleration
valve
valve lift
section
exhaust
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Minoru Iida
実 飯田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最大加速度を大きくすることなく角度面積を
大きくして出力性能の向上を図ることができるエンジン
の動弁装置を提供する。 【解決手段】 最大弁リフト付近における加速度係数の
絶対値が進角側及び遅角側に隣接する弁リフト域での加
速度係数の絶対値より小さくなるようにし、かつ弁リフ
トが増加する区間(昇り区間)の加速度係数が増加する
昇り加速度増加区間長さ,減少する昇り加速度減少区間
長さをそれぞれθ0upa,θ0upbとするとき、 θ0upa<θ0upb となるように設定された排気カムプロフィル又は吸気カ
ムプロフィルの少なくとも一方を有するカム軸を備え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、4サイクルエンジ
ンの排気弁,吸気弁を開閉駆動する動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】4サイクルエンジンの動弁装置は、排気
カムノーズ,吸気カムノーズによりリフタ,ロッカアー
ム等を介して排気弁,吸気弁をクランク軸の回転に同期
して開閉させるためのものである。
【0003】従来のカム軸のカムノーズは、例えば図1
1に示すカム軸回転角一弁リフト(揚程)曲線y,単位
角速度でカム軸が回転するとした時の各々カム軸回転角
に対する速度係数曲線y′,及び加速度係数曲線y′′
を有するカムプロフィルを備えたものが一般的である。
【0004】このカム軸のカムノーズは、ベース円部
と、実際に弁を開閉駆動するリフト部とからなり、ベー
ス円部はカム軸心を中心とする半径Roの一定の円形を
なすように設定されている。一方リフト部は、弁リトフ
を、カムが直接あるいはロッカアーム等を介して弁を押
し始めるまでのランプ部及び弁の開き始め付近では緩や
かに増加させ、続いて放物線状に増加減少させ、弁の閉
じ終わり付近及び弁が弁座に着座するカム軸回転角以降
のランプ部では再び緩やかに減少させるように、そのカ
ムプロフィルが設定されている。
【0005】このようなカムプロフィルを有することか
ら、上記従来のカム軸の速度係数曲線y′(カム軸が単
位角速度で回転するとしてカム軸回転角度を変数とする
弁リフト曲線を微分してリフト方向の速度を算出したも
の)は、弁リフトの上記放物線的増加域で正側最大値を
示し、最大リフト域で正側から負側に反転し、上記放物
線的減少域で負側最大値を示す。
【0006】また加速度係数曲線y′′(速度係数曲線
y´をさらにカム軸回転角度で微分して得られたもの)
は、弁リフトの放物線的増加開始域,減少終了域近傍で
それぞれ正側の最大値を示し、その間の領域では最大リ
フト域で負側の最大値を示しかつ連続的に緩やかに変化
している。
【0007】ここで、弁リフトは速度の積分量であるた
め、最大リフトを大きくするためには、バルブの速度を
より速く大きくすることが効果的である。さらには、速
度は加速度の積分量であるから、加速度をより大きくす
ることにより、速度はより速く大きくなり、その結果最
大リフトも大きくとれる。その結果、吸入空気量の増大
による出力向上が望める。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、バルブ系の
慣性力は加速度に比例するため最大加速度を大きくする
と慣性力が増大し、その結果カムシャフト周りの振動が
増大するという問題がある。
【0009】本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされ
たもので、最大加速度を大きくすることなく角度面積
(弁開口面積と開時間との積等から求められる実質的な
弁開面積)を大きくして出力性能の向上を図ることがで
きるエンジンの動弁装置を提供することを課題としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、最大
弁リフト付近における加速度係数の絶対値が進角側及び
遅角側に隣接する弁リフト域での加速度係数の絶対値よ
り小さくなるようにするか、又は最大弁リフト付近での
曲率半径が進角側及び遅角側に隣接する弁リフト域での
曲率半径より大きくなるように、かつ弁リフトが増加す
る区間(昇り区間)の加速度係数が増加する昇り加速度
増加区間長さ,減少する昇り加速度減少区間長さをそれ
ぞれθ0upa,θ0upbとするとき、 θ0upa<θ0upb となるように設定された排気カムプロフィル又は吸気カ
ムプロフィルの少なくとも一方を有するカム軸を備えた
ことを特徴としている。
【0011】請求項2の発明は、最大弁リフト付近にお
ける加速度係数の絶対値が進角側及び遅角側に隣接する
弁リフト域での加速度係数の絶対値より小さくなるよう
にするか、又は最大弁リフト付近での曲率半径が進角側
及び遅角側に隣接する弁リフト域での曲率半径より大き
くなるように、かつ弁リフトが減少する区間(下り区
間)の加速度係数が増加する下り加速度増加区間長さ,
減少する下り加速度減少区間長さをそれぞれθ0dna,θ
0dnbとするとき、 θ0dna>θ0dnb となるように設定された排気カムプロフィル又は吸気カ
ムプロフィルの少なくとも一方を有するカム軸を備えた
ことを特徴としている。
【0012】請求項3の発明は、最大弁リフト付近にお
ける加速度係数の絶対値が進角側及び遅角側に隣接する
弁リフト域での加速度係数の絶対値より小さくなるよう
にするか、又は最大弁リフト付近での曲率半径が進角側
及び遅角側に隣接する弁リフト域での曲率半径より大き
くなるように、かつ弁リフトが増加する区間(昇り区
間)の加速度係数が増加する昇り加速度増加区間長さ,
減少する昇り加速度減少区間長さそれぞれθ0upa,θ0u
pbとするとき、 θ0upa<θ0upb となるように、さらに弁リフトが減少する区間(下り区
間)の加速度係数が増加する下り加速度増加区間長さ,
減少する下り加速度減少区間長さをそれぞれθ0dna,θ
0dnbとするとき、 θ0dna>θ0dnb となるように設定された排気カムプロフィル又は吸気カ
ムプロフィルの少なくとも一方を有するカム軸を備えた
ことを特徴としている。
【0013】
【発明の作用効果】請求項1の発明によれば、最大弁リ
フト付近における加速度係数の絶対が進角側及び遅角側
に隣接する弁リフト域での加速度係数の絶対値より小さ
くなるようにするか、又は最大弁リフト付近での曲率半
径が進角側及び遅角側に隣接する弁リフト域での曲率半
径より大きくなるようにしたので、最大弁リフト付近に
おいてカムノーズとリフタあるいはロッカアームとの間
に作用する荷重が小さくならず、エンジン回転を上昇さ
せていく時の両者の追従性の低下を防止でき、エンジン
の限界回転数を高めて高速化を図ることができる。
【0014】また、最大弁リフト付近での曲率半径を進
角側及び遅角側に隣接する弁リフト域での曲率半径より
大きくしたので、最大弁リフト付近での曲率半径の減少
を防止でき、カム面の応力増加を防止できる。即ち、カ
ム面の応力は曲率半径の平方根に反比例するので、カム
ノーズとリフタあるいはロッカアームとの間に作用する
荷重が小さくならないか却って大きくなっても、カム面
の応力の増加を防止で、動弁装置の耐久性の低下を防止
できる。
【0015】また昇り区間における加速度係数が増加す
る区間長さ(昇り加速度増加区間長さ)をθ0upa,減少
する区間長さ(昇り加速度減少区間長さ)をθ0upbとす
るとき、θ0upa<θ0upbとしたので、θ0upa=θ0upbと
した従来のものに比べて、最大加速度により速く達する
ことができ、速度の積分量であるリフトをより速く増大
させることができ、その結果、最大加速度を大きくする
ことなく、弁の実質的な開面積を示す角度面積を大きく
でき、吸気量を増大して出力性能を向上することができ
る。
【0016】また、排気弁用カムノーズに上記関係θ0u
pa<θ0upbを適用した場合、排気弁の開き始めの角度面
積を大きくできることから、排出開始初期の温度, 圧力
の高い排気を早期に排出することができる。そのため、
排気弁閉直前に排気の逆流が起こったとしても、排気の
圧力及び密度が低くなっていることから逆流する排気の
量を少なくでき、排気再循環量を減少でき、出力性能を
向上することができる。
【0017】請求項2の発明によれば、下り区間におけ
る加速度係数が増加する区間長さをθ0dna、減少する区
間長さをθ0dnbとするとき、θ0dna>θ0dnbとしたの
で、従来のθ0dna=θ0dnbとしたものに比べて、より遅
く最大加速度に達することから加速度の積分量である速
度もより遅くまで大きな値をとることができ、速度の積
分量であるリフトもより遅くまで大きな値をとることが
でき、その結果、最大加速度を大きくすることなく、角
度面積を大きくして出力性能を向上することができる。
【0018】請求項3の発明によれば、θ0upa<θ0upb
かつθ0dna>θ0dnbとなるように、つまり昇り区間では
より早く最大加速度となるように、かつ下り区間ではよ
り遅く最大加速度となるようにカムプロフィルを設定し
たので、特に、吸気弁,排気弁が両方とも開いているオ
ーバーラップを大きく設定したエンジンの場合、該オー
バーラップ期間における吸気量を増加できる。
【0019】即ち、吸気弁用カムノーズにθ0upa<θ0u
pbを適用した場合、吸気弁側においては上記オーバーラ
ップ期間における弁の開き始めの角度面積を大きくで
き、一方、排気弁用カムノーズにθ0dna>θ0dnbを適用
した場合、排気弁側においてはオーバーラップ期間にお
ける弁の閉じ終わりにおける角度面積を大きくできる。
そのため、排気の圧力波が排気管出口又は排気管途中で
負圧に反転して排気弁を通って燃焼室内に戻る際に、排
気弁側の角度面積が大きいことから該負圧がより確実に
燃焼室に伝達され、また吸気弁側の角度面積が大きいこ
とから上記負圧によりより多量の空気が吸引され、その
結果、オーバーラップ期間における吸気量が増加し、出
力性能が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1〜図10は本発明の一実
施形態のエンジンの動弁装置を説明するための図であ
る。図1はSOHCタイプの動弁装置の断面側面図、図
2はDOHCタイプの動弁装置の断面側面図、図3はカ
ムノーズのプロフィルを示す模式図、図4はカムノーズ
のプロフィルを曲率半径で示す図、図5はカム軸回転角
度と加速度係数及び弁リトフとの関係を、図8はカム軸
回転角度とカムノーズ・リフタ間荷重との関係を、図9
はカム軸回転角度をカム面の応力との関係を、それぞれ
説明するための特性図、図6は昇り区間における加速度
係数の変化を、図7は下り区間における加速度係数の変
化を、それぞれ説明するための特性図、図10はクラン
ク角と弁リフトとの関係を説明するための特性図であ
る。
【0021】図1において、1はSOHCタイプの動弁
装置を備えた水冷式4サイクル複数気筒エンジンであ
り、これはそれぞれアルミ合金製のクランクケース(図
示せず)上にシリンダボディ10,シリンダヘッド1
1,ヘッドカバー20を積層結合し、上記シリンダボデ
ィ10内に圧入されたシリンダライナ10cのシリンダ
ボア内にピストン14を摺動自在に挿入配置し、該ピス
トン14をコンロッドで上記クランクケース内のクラン
ク軸に連接した概略構造のものである。
【0022】また上記シリンダヘッド11のシリンダボ
ディ側合面には燃焼室Eを形成する燃焼凹部11aが凹
設されており、該燃焼凹部11aには3つの吸気弁開口
18と2つの排気弁開口15が燃焼室Eの外周に沿うよ
う配置されて開口しており、該各吸気弁開口18,排気
弁開口15は吸気ポート31,排気ポート32によりシ
リンダヘッド11の後壁,前壁に導出されている。な
お、10aはシリンダボディ10に形成された水冷ジャ
ケット、30bは点火プラグの電極である。
【0023】上記各吸気弁開口18,各排気弁開口15
は、動弁装置40により進退駆動される吸気弁25,排
気弁26の弁頭25a,26aにより開閉される。該各
吸気弁25,排気弁26は、その弁軸25b,26bが
シリンダヘッド11とヘッドカバー20で形成されるカ
ム室24内に突出するようにかつ軸方向に進退自在に配
設されており、突出端に装着されたリテーナ34とシリ
ンダヘッド11のばね座との間に介在された弁ばね35
により閉方向に付勢されている。
【0024】上記動弁装置40は、燃焼室Eの略中心の
上方を通るようにクランク軸方向に配置された1本のカ
ム軸36と、該カム軸36の両側でかつ上方に配置され
た吸気ロッカ軸46及び排気ロッカ軸47と、該各ロッ
カ軸46,47により揺動自在に支持された1気筒当た
り3本の吸気ロッカアーム43,2本の排気ロッカアー
ム42とを備えている。
【0025】上記カム軸36は各気筒毎に3つの吸気カ
ムノーズ36aと2つの排気カムノーズ36bを有し、
燃焼室略中央部分及び両端部分がシリンダヘッド11に
形成されたカム軸受及びこれに装着された軸受キャップ
により回転自在に支持されている。
【0026】また上記吸気ロッカ軸46,排気ロッカ軸
47はヘッドカバー20の内面に下方に突設されたボス
部20a,20aにより固定支持されている。そして上
記吸気ロッカアーム43,排気ロッカアーム42の内側
端部には上記カムノーズ36a,36bに摺接する摺動
面43a,42aが形成され、外側端部には上記吸気弁
25,排気弁26の弁軸25b,26bの上端面に当接
するアジャストボルト48,49が軸方向位置を調整可
能に螺挿されている。なお48a,49aはロックナッ
トであり、50はヘッドカバー12に着脱可能に装着さ
れた弁隙間調整用キャップである。
【0027】図2において、1は直動式のDOHCタイ
プの動弁装置60を備えた水冷式4サイクルエンジンで
あり、図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。この
動弁装置60は、吸気弁25,排気弁26をそれぞれ独
立の吸気カム軸61,排気カム軸62のカムノーズ36
a,36bによりリフタ63a,63bを介して開閉駆
動するようになっている。
【0028】上記図1,図2の各カム軸36,61,6
2の吸気カムノーズ36a,排気カムノーズ36bは本
実施形態の特徴をなすカムプロフィルを有しており、こ
のカムプロフィルについて詳述する。なお、以下の説明
は、主として図2に示す直動式の動弁装置における吸気
カムノーズ36aの場合を説明しているが、排気カムノ
ーズ36bについても同様である。また図1の動弁装置
における吸気カムノーズ36a,排気カムノーズ36b
についても同様である。
【0029】図3,図4は反時計回りに回転する上記吸
気カムノーズ36a,排気カムノーズ36bのカムプロ
フィルを説明するための図であり、同一タイミングにお
ける状態を示す。図中、TDCinは排気・吸入行程にお
ける上死点、BDCinは吸入・圧縮行程における下死
点、TDCexは圧縮・爆発行程における上死点、BDC
exは爆発・排気行程における下死点を示す。またθin,
θexはそれぞれ上記TDCin, l燃焼サイクル前のTD
Cin´を基準としたカム軸回転角度、γin, γexはそれ
ぞれ上記TDCin,TDCin´からカムノーズとリフタ
との接触点Bin,Bexまでのカム軸回転角度、Bino,
Bexoは最大リフト時の接触点、Pinは上記接触点Bin
からリフタ63aの摺接面に垂直の直線上に位置する曲
率中心、Rinは上記接触点Bin部分の曲率半径を示す。
【0030】なお、図3において、排気カムノーズをβ
角だけ戻した時の排気カムノーズとリフタとの相対位置
を、排気カムノーズを固定してリフタを移動させて図示
しており、この時のリフタが63b´であり、θex´は
この時のl燃焼サイクル前のTDCin´を基準としたカ
ム軸回転角、Bex´はカムノーズとリフタとの接触点、
γex´はl燃焼サイクル前のTDCin´を基準としたカ
ムノーズとリフタとの接触点Bex´までのカム軸回転角
度、Pex´は上記接触点Bex´からリフタ63b´の摺
接面に垂直の直線上に位置する曲率中心、Rex´は上記
接触点Bex´部分の曲率半径を示す。
【0031】図3において、カムプロフィルに固定する
仮想のTDCinラインは、このラインがリフタ63aの
軸線に一致したときピストンが排気・吸入行程の上死点
に位置し、カムプロフィルに固定する仮想のTDCexラ
インはこのラインが排気リフタ63bの軸線に一致した
ときピストンが圧縮・爆発行程の上死点に位置するもの
である。そして図示の状態は、吸気カムノーズ36aは
TDCinラインが排気・吸入行程の上死点位置から矢印
方向(カム軸回転方向)にθinだけ回転し、かつ排気カ
ムノーズ36bはl燃焼サイクル前のTDCin´を基準
としてθex(=θin+360°)だけ回転していること
を示している。
【0032】上記吸気カムノーズ36aは、弁リフト作
用を行わないベース円部70aと、ランプ部と実際に弁
をリフトさせる部分からなるリフト部70bとからな
り、排気カムノーズ36bは同様にベース円部71aと
リフト部71bとからなる。上記ベース円部70a,7
1aはカム軸心Cを中心とする半径Roの円弧からな
り、リフト部70b,71bの曲率半径は上記カム軸回
転角度θin,θex(あるいはγin,γex)に応じて図4
に示すように設定されている。
【0033】図4において実線,破線はそれぞれ排気カ
ムノーズ36b,吸気カムノーズ36aの曲率半径をカ
ム軸回転角θ及びクランク軸回転角Qをパラメータとし
て表したものである。図から判るように、ベース円部7
0a,71a部分は半径Ro一定であり弁のリフト作用
は生じない。
【0034】一方、リフト部70b,71bの曲率半径
については、弁の開き始め付近a及び閉じ終わり付近b
で最大値に設定されており、そのためリフト量は弁の開
き始め付近,又は閉じ終わり付近では緩やかに増加し、
又は減少する。また上記開き始め付近と閉じ終わり付近
との間の部分cでは、曲率半径はベース円部70a,7
1aの半径Roより小さい値に設定されており、弁リフ
ト量は放物線状に増加することとなる。
【0035】そして、従来のカムプロフィルの場合、上
記開き始めと閉じ終わりの間の部分cにおける曲率半径
は一定あるいは図4で下方に凸に設定されていたのに対
し、本実施形態では最大リフトに対応する部分dの曲率
半径Rexo,Rinoをその進角側及び遅角側に隣接する
部分の曲率半径Rexo´,Rino´よりΔRだけ大きく
設定している。即ち、従来のカム軸の最大リフト部分の
カムプロフィルが尖っていたのに対し、本実施形態の最
大リフト部分のカムプロフィルは従来のものよりベース
円部の半径に近くなっている。
【0036】ここで上記θinとγinとの間にはカムの形
状から求まる一定の関係、即ち γin=f1(θin) がある。またRinはγinの関数でもあり、θinの関数で
もある。即ち、 Rin=f2(γin) =f2(f1(θin))=g1( θin) の関係がある。なお、g1( θin) は図4に示す曲率半径
を示すデータを意味する。従って、図4に示すRin=g1
( θin) のデータが与えられれば、Rin=f2(γin) ,
及びγin=f1(θin) が求まり、従ってカムノーズの形
状が定まる。すなわち、カム軸中心Cと接触点Binとの
間の距離をZin、カム軸中心Cから降ろしたリフタへの
法線におけるカム軸中心Cとリフタ間の距離をyinとす
る時、曲率半径Rin(γin)が決まれば、幾何学的なカ
ムプロフィルを決めるZin(γin)及び、一定のカム軸
回転角速度で吸気カムを回転した時のカム軸回転角に対
する弁リフト量を決めるyin(θin)が定まる。このカ
ム軸中心Cとリフタ間の距離yinが本願に言う吸気カム
ノーズにおける弁リフト曲線である。なお、排気カムノ
ーズについても同様である。
【0037】図5は、カム軸回転角(θ)の変化に対す
る、弁リフト曲線y(mm) 及び加速度係数曲線y´´=
2 f(θ)/dθ2 (mm/rad2) の変化を示している。
本第1実施形態のカム軸は以下の条件〜を満足する
ようにそのカムノーズのプロフィルが設定されている。
即ち、 弁リフトyが最大値を示す付近(最大弁リフト域)
における加速度係数の絶対値αが、進角側及び遅角側に
隣接する弁リフト域での加速度係数の絶対値α′よりΔ
αだけ小さくなるように、 弁リフトyが減少するカム軸回転角度区間(下り区
間)における加速度係数の最大値αdnが弁リフトyが増
加する昇り区間における加速度係数の最大値αupより小
さくなるように、 下り区間における正加速度区間長さθ0dn が昇り区
間における正加速度区間長さθ0up より大きくなるよう
に、カムプロフィルが設定されている。
【0038】さらにまた上記正加速度区間長さθ0dn,θ
0up はより詳細には、図6,7に示すように設定されて
いる。即ち、図6の特性線Aに示すように、上記昇り区
間の正加速度区間長さθ0up は、加速度係数が増加する
区間長さ(昇り加速度増加区間長さ)をθ0upaとし、減
少する区間長さ(昇り加速度減少区間長さ)をθ0upbと
するとき、θ0upa<θ0upbに設定されている。なお、破
線の特性線Bは従来の上記θ0upaとθ0upbとをほぼ同じ
に設定した場合を示している。
【0039】また、図7の特性線Cに示すように、上記
下り区間の正加速度区間長さθ0dnは、加速度係数が増
加する区間長さ(下り加速度増加区間長さ)をθ0dnaと
し、減少する区間長さ(下り加速度減少区間長さ)をθ
0dnbとするとき、θ0dna>θ0dnbに設定されている。な
お、破線の特性線Dは従来の上記θ0dnaとθ0dnbとをほ
ぼ同じに設定した場合を示している。
【0040】図8はカムノーズとリフタとの間に作用す
る荷重をカム軸回転角度をパラメータとして表したもの
である。カムノーズとリフタとの間に作用する荷重は、
弁ばねの発生する荷重と、慣性力〔弁, リフタ, 弁ばね
の一部からなる慣性マスに加速度を乗算したもの。最大
リフト付近では加速度係数が負であり、慣性力は負とな
る。また、加速度は図5の加速度係数y´´(mm/rad2)
に、実際のカム軸回転角速度( 例えばωrad/sec)を2乗
したものを掛けたものすなわちy´´×ω2(mm/sec2)と
なる。〕との和で表される。本実施形態カムプロフィル
の場合、図5から判るように、最大リフト付近での負の
加速度係数が小さくなっていることから、最大リフト付
近でのカムノーズとリフタとの間の荷重Fは、従来の荷
重F´に比較してΔFだけ増加する。その結果、リフタ
のカムノーズへの追従性が向上し、より高速回転まで安
定して作動し、限界回転数を高めることができる。
【0041】図9はカムノーズのカム面に作用する応力
をカム軸回転角度をパラメータとして表したものであ
る。カム面の応力はHertzの応力式から判る通り、カム
ノーズとリフタとの間に作用する荷重に比例するととも
に、カムの曲率半径の平方根に反比例する。本実施形態
のカムプロフィルでは、上述のように最大リフト付近の
曲率半径が大きく設定されており、そのためカム面応力
はσとなり、従来のカム面応力σ′よりΔσだけ応力が
低下する。
【0042】慣性力はカム軸回転速度の2乗に比例する
ので、低速,中速回転域では、弁バネ荷重に対して慣性
力が相対的に小さくなり、カムプロフィル全体で見た場
合に最大リフト部分の応力が最大値を示すのが一般的で
ある。従って、低速,中速回転が常用される自動車用エ
ンジンの場合、最大リフト域部分の応力が高いことが動
弁装置全体の耐久性を低下させることとなる。本実施形
態では、上述のように最大リフト付近のカム面応力を従
来のものよりΔσだけ低下させ、また下り区間における
カム面応力を低下させたので、カム軸,ひいては動弁装
置全体の耐久性を向上できる。
【0043】また本実施形態では、昇り区間における加
速度係数が増加する区間長さθ0upa<減少する区間長さ
をθ0upbとしたので、上記特性線Bに示す従来のものと
比べて、最大加速度により速く達することができ、速度
の積分量であるリフトをより速く増大させることがで
き、その結果、最大加速度を大きくすることなく、弁の
実質的な開面積を示す角度面積を大きくでき、吸気量を
増大して出力性能を向上することができる。
【0044】また、下り区間における加速度係数が増加
する区間長さθ0dna>減少する区間長さθ0dnbとしたの
で、上記特性線Dに示すものと比べて、より遅く最大加
速度に達することから加速度の積分量である速度もより
遅くまで大きな値をとることができ、速度の積分量であ
るリフトもより遅くまで大きな値をとることができ、そ
の結果、最大加速度を大きくすることなく、角度面積を
大きくして出力性能を向上することができる。
【0045】ここで本実施形態におけるカムプロフィル
は、吸気弁25,排気弁26用カムノーズの何れか一方
又は両方に適用可能であり、またこれらのカムノーズに
おいてθ0upa<θ0upb,θ0dna>θ0dnbの一方又は両方
の適用が可能であるが、図10に示すように、上記吸気
弁25,排気弁26が両方とも開いているオーバーラッ
プ期間を大きく設定したエンジンの場合、少なくとも、
排気弁用カムノーズの下り区間においてθ0dna>θ0dnb
を適用し、吸気弁用カムノーズにおいてθ0upa<θ0upb
を適用することにより、該オーバーラップ期間における
吸気量を増加できる。
【0046】即ち、吸気弁用カムノーズにθ0upa<θ0u
pbを適用した場合、吸気弁側においてはオーバーラップ
期間における弁の開き始めの角度面積を大きくでき、一
方、排気弁用カムノーズにθ0dna>θ0dnbを適用した場
合、排気弁側においてはオーバーラップ期間における弁
の閉じ終わりにおける角度面積を大きくできる。そのた
め、排気の圧力波が排気管出口又は排気管途中で負圧に
反転して排気弁を通って燃焼室内に戻る際に、排気弁側
の角度面積が大きいことから該負圧がより確実に燃焼室
に伝播され、また吸気弁側の角度面積が大きいことから
上記負圧によりより多量の空気が吸引され、その結果、
オーバーラップ期間における吸気量が増加し、出力性能
が向上する。
【0047】また、排気弁用カムノーズにθ0upa<θ0u
pbを適用した場合、排気弁の開き始めの角度面積を大き
くできることから、排出開始初期の温度, 圧力の高い排
気を早期に排出することができるため、排気弁閉直前に
排気の逆流が起こったとしても、排気の圧力及び密度が
低くなっていることから逆流する排気の量を少なくで
き、排気再循環量を減少でき、性能を向上することがで
きる。なお、この排気逆流防止作用は、上述のオーバー
ラップの有無とは無関係に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態カム軸が適用されたSOHC
型エンジンの動弁装置部分の断面側面図である。
【図2】上記実施形態カム軸が適用されたDOHC型エ
ンジンの動弁装置部分の断面側面図である。
【図3】上記実施形態カム軸のカムノーズを模式的に示
す図である。
【図4】上記実施形態カム軸のカムプロフィルを曲率半
径で表す特性図である。
【図5】上記実施形態カム軸のカムプロフィルのカム軸
回転角度と加速度係数との関係を示す特性図である。
【図6】上記実施形態カノ軸の昇り区間におけるカム軸
回転角度と加速度係数との関係を拡大して示す特性図で
ある。
【図7】上記実施形態カノ軸の下り区間におけるカム軸
回転角度と加速度係数との関係を拡大して示す特性図で
ある。
【図8】上記実施形態装置のカム軸回転角度とカムノー
ズ・リフタ間荷重特性図である。
【図9】上記実施形態装置のカム軸回転角度・カム面応
力特性図である。
【図10】クランク角と弁リフトとの関係を説明するた
めの特性図である。
【図11】従来のカムプロフィルにおける弁揚程曲線,
速度係数曲線,加速度係数曲線を示す特性図である。
【符号の説明】
1 エンジン 36,61,62 カム軸 40,60 動弁装置 y 弁リフト y´´ 加速度係数 θ0up 昇り区間の正加速度区間長さ θ0upa 昇り区間の加速度係数増加区間長さ θ0upb 昇り区間の加速度係数減少区間長さ θ0dn 下り区間の正加速度区間長さ θ0dna 下り区間の加速度係数増加区間長さ θ0dnb 下り区間の加速度係数減少区間長さ α 最大弁リフト付近における加速度係数の絶対値 α′ 隣接する弁リフト域での加速度係数の絶対値

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大弁リフト付近における加速度係数の
    絶対値が進角側及び遅角側に隣接する弁リフト域での加
    速度係数の絶対値より小さくなるようにするか、又は最
    大弁リフト付近での曲率半径が進角側及び遅角側に隣接
    する弁リフト域での曲率半径より大きくなるように、か
    つ弁リフトが増加する区間(昇り区間)の加速度係数が
    増加する昇り加速度増加区間長さ,減少する昇り加速度
    減少区間長さをそれぞれθ0upa,θ0upbとするとき、 θ0upa<θ0upb となるように設定された排気カムプロフィル又は吸気カ
    ムプロフィルの少なくとも一方を有するカム軸を備えた
    ことを特徴とするエンジンの動弁装置。
  2. 【請求項2】 最大弁リフト付近における加速度係数の
    絶対値が進角側及び遅角側に隣接する弁リフト域での加
    速度係数の絶対値より小さくなるようにするか、又は最
    大弁リフト付近での曲率半径が進角側及び遅角側に隣接
    する弁リフト域での曲率半径より大きくなるように、か
    つ弁リフトが減少する区間(下り区間)の加速度係数が
    増加する下り加速度増加区間長さ,減少する下り加速度
    減少区間長さをそれぞれθ0dna,θ0dnbとするとき、 θ0dna>θ0dnb となるように設定された排気カムプロフィル又は吸気カ
    ムプロフィルの少なくとも一方を有するカム軸を備えた
    ことを特徴とするエンジンの動弁装置。
  3. 【請求項3】 最大弁リフト付近における加速度係数の
    絶対値が進角側及び遅角側に隣接する弁リフト域での加
    速度係数の絶対値より小さくなるようにするか、又は最
    大弁リフト付近での曲率半径が進角側及び遅角側に隣接
    する弁リフト域での曲率半径より大きくなるように、か
    つ弁リフトが増加する区間(昇り区間)の加速度係数が
    増加する昇り加速度増加区間長さ,減少する昇り加速度
    減少区間長さそれぞれθ0upa,θ0upbとするとき、 θ0upa<θ0upb となるように、さらに弁リフトが減少する区間(下り区
    間)の加速度係数が増加する下り加速度増加区間長さ,
    減少する下り加速度減少区間長さをそれぞれθ0dna,θ
    0dnbとするとき、 θ0dna>θ0dnb となるように設定された排気カムプロフィル又は吸気カ
    ムプロフィルの少なくとも一方を有するカム軸を備えた
    ことを特徴とするエンジンの動弁装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006518022A (ja) * 2003-02-14 2006-08-03 ジェセル、インコーポレイテッド 動弁機構及びカム・ローブ
JP2010169005A (ja) * 2009-01-23 2010-08-05 Hitachi Automotive Systems Ltd 内燃機関の可変動弁装置

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